JP2021136898A - アルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理プログラム、及びアルコール発酵醪の管理装置、並びに酒類の製造方法 - Google Patents

アルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理プログラム、及びアルコール発酵醪の管理装置、並びに酒類の製造方法 Download PDF

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光博 伴
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敦士 作田
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Abstract

【課題】アルコール度数及び日本酒度の少なくともいずれかが目標の値に達しないまま発酵が停止する発酵不良を抑制する、アルコール発酵醪の管理方法、管理プログラム、及び管理装置、並びに酒類の製造方法の提供。【解決手段】アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における質量モル濃度の最大値が、アルコール発酵の醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した醪の取得質量モル濃度Xと、所定時間に対応する理想質量モル濃度Yとを対比し、取得質量モル濃度Xが、1.02Y以上であるときは醪に水を追加する、発酵管理を行う工程を含む方法の提供。【選択図】図14

Description

本発明は、アルコール発酵の醪の発酵を適切に管理するためのアルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理プログラム、及びアルコール発酵醪の管理装置、並びに酒類の製造方法に関する。
日本酒や焼酎、ビールなどの酒類のアルコール発酵の醪において高品質の酒を醸造するためには、発酵が理想的に経過するように醪の温度をコントロールし、場合によっては追水と言われる仕込水の追加を実施し、発酵終了日まで管理していくことが重要であることが知られている。
アルコール発酵が理想的に経過しない場合は、目標のアルコール度数に至らないうちに発酵が終了して目標品質の酒類を醸造できないことがある。また、途中で発酵が鈍り、予定した発酵期間を延長しなければならないことがある。あるいは、発酵が理想的に進まないことによりアセトアルデヒド臭やダイアセチル臭のようなオフフレーバーを発生させたり酵母が死滅などして香味異常が起こったりして、品質が著しく損なわれることもある。
アルコール発酵を理想的に経過させるために、定期的に醪の一部を採取して、その日本酒度、比重(ボーメ)、アルコール度数などを測定し、その値や変化量から発酵醪の状態を推定して、管理温度を決めることや、発酵途中で追加する仕込水(追水)を行うか否か、行うなら仕込水の数量を決めること(発酵管理)が行われている。
醪の発酵管理においては、発酵日数(醪日数、所定経過時間とも称することがある)を横軸に、ボーメと発酵日数の積であるBMDを縦軸にプロットし、その山の形であるBMD曲線から発酵経過の良し悪しの判断を行ったり、発酵終了日を予測したりするような管理方法がよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、横軸にアルコール分(アルコール度数)、縦軸にボーメ、又は日本酒度をプロットしたAB直線の変化を見ながら発酵予測を行う方法もよく知られている(例えば、非特許文献2参照)。
その他にも、日本酒度又はボーメと、アルコール度数とから求められる原エキス分によって醪の発酵状態を管理する方法も知られている(例えば、非特許文献3参照)。
増補改訂 清酒製造技術(発行所:日本醸造協会)、252頁(平成21年8月10日増補改訂新版) 改訂 灘の酒用語集(発行所:灘酒研究会)、145頁(平成9年10月1日) 第1回清酒ビール製造技術セミナー(財団法人日本醸造協会主催、平成27年9月8日〜9日、北とぴあ)、P24〜P25 醸造物の成分(発行所:日本醸造協会)、21−23頁、28―29頁、34−37頁、50−54頁、77−78頁(平成11年12月10日発行) 渡辺大輔、生物工学会誌、第91巻、第1号、2−9、2013
しかしながら、醪の発酵管理においては、使用する酵母の発酵能力、米麹の酵素力価、使用する原料米、その精米歩合、仕込配合、発酵温度などの条件によって米の溶け方が異なってしまうので、専門知識や技能を持つ熟練した醸造技術者であっても、BMD曲線やAB直線、原エキス曲線を参照するだけでは、判断を誤り、目標とする日本酒度及びアルコール度数の醪を醸造することが難しく、目標発酵時間に達する前に発酵が停止してしまうことがある。
理想的な温度設定や追水量を自動計算するコンピュータプログラムを使用しても、判断が適正でないことがあり、せっかくコンピュータを用いても、実使用に耐えないことがある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、アルコール度数及び日本酒度の少なくともいずれかが目標の値に達しないまま発酵が停止する発酵不良を抑制するアルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理プログラム、及びアルコール発酵醪の管理装置、並びに酒類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、アルコール発酵において、発酵の状態が醪の濃さ(質量モル濃度(mol/kg))に決定的に影響することを発見した。アルコール発酵は、ブドウ糖(分子量180)などの糖類が酵母によってより低分子量のエタノール(分子量46)に分解される化学反応であり、例えば、ブドウ糖がアルコール発酵する場合は、1分子のブドウ糖から2分子のエタノールが生成される(C12→2COH+2CO)。
よって、発酵醪では発酵が継続している限り、醪中のモル数が増えるので質量モル濃度(mol/kg)は必ず上昇する。醪中の質量モル濃度(mol/kg)が上昇すると、発酵醪の浸透圧が上昇し、酵母の生理機能にストレスを与えると考えられる。本発明者らは、ある質量モル濃度(mol/kg)を超えると発酵が急激に衰えることを発見した。
特に、醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえる前記質量モル濃度(以下、本明細書では「限界質量モル濃度」と称することがある)は、醪の醸造方法によって特異的な値をとり酵母の発酵能に大きな影響を与えることを発見した。本発明のアルコール発酵醪の発酵管理方法は、前記限界質量モル濃度を超えないように発酵させた場合の前記質量モル濃度(以下、本明細書では「理想質量モル濃度」と称することがある)を参照しながら発酵管理を行う方法である。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
前記取得質量モル濃度Xが、
1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う発酵管理工程を含む、
ことを特徴とするアルコール発酵醪の管理方法である。
<2> 前記限界質量モル濃度が、下記条件を満たす、前記<1>に記載のアルコール発酵醪の管理方法である。
<条件>
一の時点と前記一の時点から24時間後の時点との、日本酒度(NS)及びアルコール度数(Alc)から算出される、
単位時間当たりの日本酒度の増加量ΔNSと、単位時間当たりのアルコール度数の増加量ΔAlcとが、下記式(I−a)及び式(I−b)を前記一の時点から24時間後の時点まで継続して満たしたときの前記一の時点から24時間後の時点の前記醪の質量モル濃度(mol/kg)
ΔNS≦1.0・・・式(I−a)
ΔAlc≦0.2・・式(I−b)
<3> 前記水の追加が、前記取得質量モル濃度の大きさに応じて行われる、前記<1>から<2>のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法である。
<4> 前記取得質量モル濃度Xが、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yよりも1.01Y以上1.02Y未満の値であるときも前記醪に対して水の追加を行う、前記<1>から<3>のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法である。
<5> 前記取得質量モル濃度が、前記醪の上清又はろ液における、エキス分(Ex)と、アルコール度数(Alc)とに基づき、次の式(1)から算出された推定値である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法である。
取得質量モル濃度(推定値)=α×(Ex)+β×(Alc)−γ・・・式(1)
但し、α、β及びγは定数を表す。
<6> 前記アルコール発酵が日本酒発酵であり、
前記αが0.1013であり、
前記βが0.2962であり、
前記γが1.536である、前記<5>に記載のアルコール発酵醪の管理方法である。
<7> 前記<1>から<6>に記載のアルコール発酵醪の管理方法を用いて酒類を製造することを特徴とする酒類の製造方法である。
<8> アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
前記取得質量モル濃度Xが、
1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う処理を、コンピュータに行わせる、
ことを特徴とするアルコール発酵醪の管理プログラムである。
<9> アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
前記取得質量モル濃度Xが、
1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う発酵管理手段を有する、
ことを特徴とするアルコール発酵醪の管理装置である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、アルコール度数及び日本酒度の少なくともいずれかが目標の値に達しないまま発酵が停止する発酵不良を抑制するアルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理プログラム、及びアルコール発酵醪の管理装置、並びに酒類の製造方法を提供することができる。
図1は、エタノール水溶液又はグルコース水溶液の質量モル濃度と凝固点降下度の関係を表す結果の一例を示す図である。 図2は、回帰式1から求められる凝固点降下度の推定値ΔT’と、日本酒酒母及び日本酒醪の凝固点降下度の実測値ΔTとの関係を表す結果の一例を示す図である。 図3は、醸造方法の違いによる質量モル濃度(mol/kg)の推定値の変化の結果の一例を示す図である。 図4は、発酵醪中の清酒酵母Aの死滅率と質量モル濃度(mol/kg)の経過を示すグラフの一例を示す図である。 図5Aは、異なる5つの醸造方法A、B、C、D、及びE、並びにその醸造方法における質量モル濃度(mol/kg)の発酵期間中における変化を示すグラフの一例を示す図である。 図5Bは、図5Aにおける質量モル濃度(mol/kg)を、各醸造方法における醪の質量モル濃度(mol/kg)の最大値M0maxで除した相対質量モル濃度の変化を示すグラフの一例を示す図である。 図5Cは、図5Bにおける全発酵期間を、20日間に変換した相対質量モル濃度の変化を示すグラフの一例を示す図である。 図5Dは、図5Cを、全発酵期間の中間日における相対質量モル濃度Mmidが「0.8208」となるように変換した相対質量モル濃度の変化を示すグラフの一例を示す図である。 図6は、アルコール発酵醪の管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図7は、アルコール発酵醪の管理装置の機能構成の一例を示す図である。 図8は、取得質量モル濃度DBが記憶する取得質量モル濃度データの一例を示す図である。 図9は、限界質量モル濃度DBが記憶する取得質量モル濃度データの一例を示す図である。 図10は、理想質量モル濃度DBが記憶する理想質量モル濃度データの一例を示す図である。 図11は、判定結果DBが記憶する判定結果データの一例を示す図である。 図12は、端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図13は、端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 図14は、アルコール発酵醪の管理装置の制御部におけるアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。 図15は、アルコール発酵醪の管理装置の制御部におけるアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順の他の一例を示すフローチャートである。 図16Aは、実施例1、比較例1、及び比較例2の結果の一例を示す図である。 図16Bは、実施例1、比較例1、及び比較例2の結果の一例を示す図である。 図17は、実施例2及び実施例3における結果の一例を示す図である。 図18は、実施例2及び実施例3における、理想質量モル濃度とオフフレーバーとの関係を示す結果の一例を示す図である。
本発明は、醪の質量モル濃度を制御することによってアルコール度数及び日本酒度の少なくともいずれかが目標の値に達しないまま発酵が停止する発酵不良を抑制し、かつ香味異常やオフフレーバーの発生を抑制するアルコール発酵醪の管理方法を見出した。
(アルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理装置、及びアルコール発酵醪の管理プログラム)
本発明のアルコール発酵醪の管理方法は、
アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
前記取得質量モル濃度Xが、
1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う発酵管理工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明のアルコール発酵醪の管理装置は、
アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
前記取得質量モル濃度Xが、
1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う発酵管理手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明のアルコール発酵醪の管理プログラムは、
アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
前記取得質量モル濃度Xが、
1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う処理を、コンピュータに行わせ、更に必要に応じてその他の処理を行わせる。
本発明のアルコール発酵醪の管理方法は、本発明のアルコール発酵醪の管理方法に係るアルコール発酵醪の管理装置により好適に行うことができ、発酵管理工程は発酵管理手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
本発明のアルコール発酵醪の管理装置における制御部等が行う制御は、本発明のアルコール発酵醪の管理方法を実施することと同義であるので、本発明のアルコール発酵醪の管理装置の説明を通じて本発明のアルコール発酵醪の管理方法の詳細についても明らかにする。また、本発明のアルコール発酵醪の管理プログラムは、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、本発明のアルコール発酵醪の管理装置として実現させることから、本発明のアルコール発酵醪の管理装置の説明を通じて本発明のアルコール発酵醪の管理プログラムの詳細についても明らかにする。
<発酵管理工程及び発酵管理手段>
本発明のアルコール発酵醪の管理方法、アルコール発酵醪の管理装置、及びアルコール発酵醪の管理プログラムにおける、「質量モル濃度(mol/kg)」、「質量モル濃度線」、「限界質量モル濃度(mol/kg)」、及び「理想質量モル濃度(mol/kg)」についてまず説明する。
−質量モル濃度(mol/kg)−
前記質量モル濃度(mol/kg)は、アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)の総和を意味する。
ここで、溶質には、通常、アルコール発酵の醪に含有されるものであれば特に制限はなく、例えば、エタノール、エキス分(グルコース、グリセロール、イソマルトース、αエチルグルコシド、イソマルトトリオースなどの糖類、乳酸、コハク酸などの有機酸、アラニン、アルギニン、グリシンなどのアミノ酸など不揮発性成分)が挙げられる。なお、「エキス分」については、下記説明において単位を付している場合には、「エキス分」の濃度を意味するものとする。
前記醪の前記質量モル濃度(mol/kg)は、例えば、前記醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」から算出する方法、前記醪の「エタノール濃度(v/v%)」、前記醪の「グルコース濃度(g/100ml)」、及び前記醪の「エキス分Ex(g/100ml)」から算出する方法などが挙げられる。なお、「エタノール濃度(v/v%)」と「アルコール度数」は同様の意味の濃度単位であるが、本明細書において「アルコール度数」は、発酵醪及びその酒類のアルコールの濃度の単位として使用している。
前記醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」から算出する方法、前記醪の「グルコース濃度(g/100ml)」、前記醪の「エタノール濃度(v/v%)」、及び前記醪の「エキス分Ex(g/100ml)」から算出する方法としては、例えば、以下の方法などが挙げられる。
(1)醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」を直接測定することによりエタノールに換算した醪の質量モル濃度(mol/kg)を算出する方法
(2)醪の「日本酒度(NS)」、醪の「アルコール度数(Alc)」、及び「エキス分(g/100ml)」から、醪の「エキス分Exの質量モル濃度(mol/kg)」及び醪の「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」を算出し、得られた「エキス分Exの質量モル濃度(mol/kg)」及び醪の「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」を加算することにより算出する方法
(3)「グルコース濃度(g/100ml)」及び「エタノール濃度(v/v%)」は測定値を、「エキス分(g/100ml)」は、醪の「日本酒度(NS)」、「アルコール度数(Alc)」から「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」を算出し、得られた「グルコース濃度(g/100ml)」と「エタノール濃度(v/v%)」と「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」とから醪の質量モル濃度(mol/kg)を算出する方法
前記(1)醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」を直接測定することによりエタノールに換算した醪の質量モル濃度(mol/kg)を算出する方法について、以下説明する。
本発明者は、醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」を測定することにより、簡便に、醪の質量モル濃度の推定値(mol/kg)を算出することができることを見出した。
具体的には、本発明者は、醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」を測定することにより、エタノールに換算した醪の質量モル濃度(mol/kg)を算出し醪中の溶質のモル濃度の総和の推定値(mol/kg)を算出できることを見出した。
前記(1)醪の「凝固点降下度」又は「浸透圧」を直接測定することによりエタノールに換算した醪の質量モル濃度(mol/kg)を算出する方法について、より詳細に説明する。
凝固点降下度や浸透圧は、存在する溶質分子の数だけに依存する性質(「束一的性質」と称することがある)である。溶質を溶媒に溶かすと溶媒の化学ポテンシャルが減少することを原因として、蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下度、浸透圧といった現象が引き起こされる。溶質の濃度が十分に低ければ、溶媒の化学ポテンシャルの強度は溶質の種類に依存しなくなるため、束一的性質をもつ溶液は、溶質の種類によらず質量モル濃度(又はモル分率)の大小でその強度が決定付けられる。ファントホッフの法則としてよく知られるように、希薄溶液においては、浸透圧は溶質の種類に関わらず質量モル濃度に依存する。同じ束一的性質である凝固点降下度も同様に溶質の種類に関わらず質量モル濃度に依存する。
ここで、アルコール発酵醪は希薄溶液ではないが、発酵醪中に存在しうる濃度と同じ濃度の純粋のエタノール水溶液、及び発酵醪に存在しうる濃度と同じ濃度の純粋のグルコース水溶液の凝固点降下度と質量モル濃度はほぼ同じ挙動をとることが分かった(図1及び2参照)。なお、質量モル濃度に対する凝固点降下度の比例定数を実験的に求めたところ、エタノールは2.2075、グルコースは2.3295であった(図1参照)。なお、エタノールは発酵醪において「水」に次ぐ第二の主成分、グルコースは第三の主成分である。醪中の溶質の質量モル濃度としてエタノールとグルコースの合計は90%以上を占め、また両者の比例定数は、エタノールは2.2075、グルコースは2.329と類似していることから、醪の凝固点降下度から醪の溶質のモル濃度の総和をエタノール換算値として推定することができることを見出した。
なお、本発明者らが算出した日本酒の発酵醪中の主要成分の容量モル濃度(mol/L)と成分比率(%)の一例を下記表1に示す。
Figure 2021136898
この関係を利用して、アルコール発酵醪を遠心分離した上清、又はフィルターでろ過したろ液の凝固点降下度を測定し、図1に示すようなエタノール濃度の回帰直線からエタノールに換算した醪の質量モル濃度(mol/kg)の推定値を得ることができる。
凝固点降下度は、発酵醪の遠心分離上清又はフィルターでろ過したろ液を試験管などに取り、凝固点降下度より低い温度に冷却した不凍液に浸し、撹拌しながら冷却し、直接温度計で温度を測る。冷却によってその液が凝固したときの温度と純水の凝固点との差を凝固点降下度として測定することができる。
また、凝固点降下度は、市販の浸透圧計の出力値から測定することもできる(例えば、「日本臨床検査機器・試薬・システム振興協会」の「自動浸透圧測定装置 オズモステーション OM−6060」など参照)。
浸透圧は、市販の浸透圧計を使い、測定することができる。
また、本発明者らは、醪の凝固点降下度は、上述したような直接測定する方法以外にも、醪の「エキス分(g/100ml)」(「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」)と醪の「アルコール度数(Alc)」から推定値を算出することができることを見出した。以下、このことについて説明する。
前記「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」は、アルコール発酵醪の上清又はろ液の日本酒度(NS)とアルコール度数(Alc)から下記式(1−1)によって得ることができる(西谷、山川、椎木、志垣、津川、佐川、日本醸造協会誌、63(8)、867(1968)参照)。
Figure 2021136898
本発明者は、日本酒における発酵醪中の各種成分の濃度の測定値から前記醪の「凝固点降下度の推定値ΔT’」を、「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」と、「アルコール度数(Alc)」を用いて以下の回帰式1により求めることができることを見出した。
Figure 2021136898
ただし、回帰式1中、a、b及びcは実数を表す。
図2は、回帰式1から求められる凝固点降下度の推定値ΔT’と、実測値から求められた凝固点降下度ΔTとの関係を示す図である。図2に示す回帰式1においては、aを0.2237、bを0.6539、cを−3.3898である。
図2に示すように、上記回帰式1は凝固点降下度の実測値とほぼ相関し、かつ誤差が小さいことが分かった。
また、凝固点降下度の推定値ΔT’からエタノール換算の醪の質量モル濃度に変換する式は、図1のエタノールの質量モル濃度と醪の凝固点降下度との関係式より、
エタノール換算の醪の質量モル濃度=ΔT’/2.2075
=(0.2237×Ex+0.6539×Alc−3.3898)/2.2075
=0.1013×Ex+0.2962×Alc−1.536・・・式(1−2)
から算出することができる。
したがって、醪の質量モル濃度(mol/kg)の推定値は、「凝固点降下度の推定値ΔT’」から導出された式(1−2)に基づいて、用いた醸造方法における醪の「エキス分(g/100ml)」(「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」)と醪の「アルコール度数(Alc)」から下記式(1−3)で表すことができる。
醪の質量モル濃度(mol/kg)の推定値=α×(Ex)+β×(Alc)−γ・・・(式1−3)
但し、α、β及びγは定数を表す。
本発明においては、この「醪の質量モル濃度(mol/kg)の推定値」を後述する「取得質量モル濃度(推定値)」として用いることができる。
以下、本明細書では、式(1−3)から推定したこのエタノール換算の醪の質量モル濃度を「モル値」と称することがある。
前記(2)醪の「日本酒度(NS)」、醪の「アルコール度数(Alc)」、及び「エキス分(g/100ml)」から、醪の「エキス分Exの質量モル濃度(mol/kg)」及び醪の「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」を算出し、得られた「エキス分Exの質量モル濃度(mol/kg)」及び醪の「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」を加算することにより算出する方法について、以下説明する。
醪中のエタノールの質量モル濃度(mol/kg)は、アルコール度数(Alc)から求めることができる。アルコール度数(Alc、vol%)とは、15℃における100ml中に存在するエタノールの容量(ml)であるので、エタノールの比重(15℃)を0.7942、エタノールの分子量を46.07すると、発酵醪のろ液1L中のエタノールのモル数は、Alc×0.7942×10/46.07(mol)である。
発酵醪の「比重(d)」(15℃)は、日本酒度(NS)の測定値から、下記式に基づいて求めることができる。
Figure 2021136898
前記「日本酒度(NS)」の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浮ひょう法、振動式密度計法などが挙げられる(例えば、「国税庁所定分析法(国税庁)」P3参照)。
発酵醪のろ液1L中の水(溶媒)の重量(kg)は、ろ液の総重量1×d(kg)から、ろ液中のアルコール重量のAlc×0.7942/100(kg)、及びろ液中のエキス分(g/100ml)の重量のEx分/100(kg)を差し引いた、(d−0.007942×Alc―0.01×Ex分)である。
エキス分(g/100ml)は不揮発性の固形分のことを意味する。なお、発酵醪のろ液中の水及びエタノール以外の揮発性成分(沸点150℃以下の物質)は、総和しても1500mg/L程度の僅少であることが報告されている(例えば、非特許文献4を元に発明者が作成した下記表2参照)。そのため、発酵醪のろ液中の水及びエタノール以外の揮発性成分(沸点150℃以下の物質)は、水(溶媒)の重量を求めるに当たっては無視してもよい。
Figure 2021136898
よって、発酵醪中のエタノールの質量モル濃度(mol/kg)は次式(2−1)で求めることができる。なお、式中「Alc」は「アルコール度数」を、「d」は比重を、「Ex」はエキス分(g/100ml)を表す。
Figure 2021136898
また、前記エキス分Exの平均分子量を185とすると、上述したエキス分を算出する式を用いて、前記エキス(Ex)分の質量モル濃度(mol/kg)は、下記式(2−2)により求めることができる。なお、式中「Alc」は「アルコール度数」を、「d」は比重を、「Ex」はエキス分(g/100ml)を表す。
Figure 2021136898
以上、得られた「エキス(Ex)分の質量モル濃度(mol/kg)」と「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」とを足し合わせ、式を整理することによって、下記式(2−3)で表される醪の質量モル濃度(mol/kg)を得ることができる。なお、グルコースの質量モル濃度はエキス分の質量モル濃度(mol/kg)に含まれている。
Figure 2021136898
次に、前記(3)「グルコース濃度(g/100mL)」の測定値から得られる「グルコースの質量モル濃度(mol/kg)」の値と、「アルコール度数(Alc)」の測定値から得られる「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」及び「エキス分の近似値Ex」とから醪の質量モル濃度(mol/kg)を算出する方法について、以下説明する。
この方法において、「グルコース濃度(g/100mL)」を直接測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の酵素法やHPLC法などが挙げられる。
前記グルコースの濃度(g/100mL)を質量モル濃度(mol/kg)へ変換するには、下記式(3−1)を用いることで算出することができる。なお、式(3−1)中「Alc」は「アルコール度数」を、「d」は比重を、「Glc」は「グルコース濃度(g/100ml)」を、「Ex」はエキス分(g/100ml)を表す。
Figure 2021136898
なお、「アルコール度数(Alc)」の測定値から得られる「エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」及びエキス分の近似値Exの質量モル濃度(mol/kg)」の算出方法は上述したものと同様の方法を用いることができる。
また、「エタノール濃度(mol/kg)」及び「グルコース濃度(mol/kg)」を用いて醪の質量モル濃度(mol/kg)を求める場合には、「グルコース以外のエキス分の質量モル濃度(mol/kg)」を求めることにより算出することができる。
前記「グルコース以外のエキス分の質量モル濃度(mol/kg)」は、グルコース以外の平均分子量を190とすると、下記式(3−2)で求めることができる。なお、式(3−2)中「Alc」は「アルコール度数」を、「d」は比重を、「Glc」は「グルコース濃度(g/100ml)」を、「Ex」はエキス分(g/100ml)を表す。
Figure 2021136898
したがって、醪の質量モル濃度は、「エタノール濃度(mol/kg)」、「グルコース濃度(mol/kg)」、及び「グルコース以外のエキス分の質量モル濃度(mol/kg)」を足し合わせることにより求めることができる。
以上説明したように、醪の質量モル濃度(の総和)は、上述した様々な方法により算出することができる。
−質量モル濃度線−
前記質量モル濃度線は、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示すデータを意味する。前記質量モル濃度線は、前記質量モル濃度と、前記発酵経過時間と、の関係を示す個々のデータそのもの自体であってもよく、データの集合から導き出される関数であってもよい。
その詳細は明らかではないが、前記質量モル濃度線は、醸造方法により変化することが本発明者の研究により明らかにされた(図3参照)。
前記発酵経過時間の単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「秒(second)」、「分(minute)」、「時間(hour)」、「日(day)」、「週(week)」、「月(month)」、「年(year)」などが挙げられる。前記質量モル濃度線の信頼度を向上させるために、前記質量モル濃度線における前記質量モル濃度と、前記発酵経過時間との関係を示すデータは短時間の周期的に採取されたデータであると質量モル濃度線の信頼性を向上させることができる点で好ましい。
−限界質量モル濃度(mol/kg)−
前記限界質量モル濃度は、前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえる前記質量モル濃度(mol/kg)である。前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえる前記質量モル濃度(mol/kg)とは、下記条件を満たすことを意味する。
<条件>
一の時点と前記一の時点から24時間後の時点との、日本酒度(NS)及びアルコール度数から算出される、
単位時間当たりの日本酒度の増加量ΔNSと、単位時間当たりのアルコール度数の増加量ΔAlcとが、下記式(I−a)及び式(I−b)を前記一の時点から24時間後の時点まで継続して満たしたときの24時間後の時点の前記醪の質量モル濃度(mol/kg)である。
ΔNS≦1.0・・・式(I−a)
ΔAlc≦0.2・・式(I−b)
前記<条件>における、前記発酵醪の「質量モル濃度(M)(mol/kg)」、「日本酒度(NS)」、「アルコール度数(Alc)」の算出方法は上述した方法を用いて算出することができる。
前記「単位時間」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「秒(second)」、「分(minute)」、「時間(hour)」、「日(day)」、「週(week)」、「月(month)」、「年(year)」などが挙げられる。
また、前記<条件>において、「式(I−a)及び式(I−b)を前記一の時点から24時間後の時点まで継続して満たす」とは、一の時点及び24時間後の時点において式(I−a)及び式(I−b)を満たしていればよく、一の時点から24時間後の時点の間、式(I−a)及び式(I−b)を維持していない場合をも含む。
前記<条件>について、本発明者らが検討したところ、醪の質量モル濃度(mol/kg)と、醪の日本酒度(NS)及び醪のアルコール度数(Alc)との関係は、下記表3のようになった。
Figure 2021136898
表3の結果から、醪の発酵が進むと、日本酒度の切れΔNS(日本酒度の一日当たりの増加分のこと)が非常に小さくなり、かつ一日当たりのアルコール度数の上昇ΔAlcも非常に小さくなることが分かった(表3の結果では、17日目から18日目)。具体的には、ΔNSが、1.0以下、かつΔAlcが、0.2以下の状態が一の時点と前記一の時点から24時間後の時点で継続して続いた。
これは、発酵が減衰し、酵母が発酵の限界をむかえていることを示唆する状態である。
一般的にはアルコール度数が高くなりすぎる、又は日本酒度が大きく(数字が大きく)なりすぎると酵母が発酵の限界をむかえると考えられている。確かに、同じ原料(米、米麹、水)を使用し、同じ温度、同じ仕込配合、同じ酵母で順調に発酵させれば、ほぼ類似した経過時間、アルコール度数、及び日本酒度で発酵の限界を迎えることが経験的に知られている。しかし、仕込配合、特に汲水歩合(総米に対する仕込水の割合)が変わると、発酵の限界となる経過時間、アルコール度数、日本酒度、及びエキス分は変化する。また、ほぼ同じような条件であっても、わずかな製造条件の差異によって、発酵の限界となる経過時間、アルコール度数、日本酒度、及びエキス分は異なる場合がある。
しかし、本発明者らは汲水歩合が変わっても発酵の限界をむかえる質量モル濃度はほぼ同じ値となることを発見した。下記表4に、酵母の種類(酵母A)及び米の種類を同じものを使用して、一段の日本酒の小仕込を行ったときの仕込配合を示す。簡単のため発酵温度は15℃で一定とした。
Figure 2021136898
上記表4に示す条件で発酵を行ったところ、ΔNSが、1.0以下、かつΔAlcが、0.2以下の状態が一の時点と前記一の時点から24時間後の時点で継続して続いたときの分析値と質量モル濃度の推定値(mol/kg)は下記表5の通りであった。質量モル濃度の推定値(mol/kg)は上述した方法を用いて算出した。
Figure 2021136898
各数値の変動係数(相対標準偏差)、即ち、標準偏差を平均値で除した百分率は質量モル濃度(日本酒度、アルコール度数、及びエキス分から推定したエタノール換算の醪の質量モル濃度)だけが特別に低く1%であり、表5中、製造条件1〜3のΔNSが、1.0以下、かつΔAlcが、0.2以下の状態が一の時点と前記一の時点から24時間後の時点で継続して続いたときの質量モル濃度はほぼ同じ値と言えるレベルであった。
ここで、日本酒製造に使用される清酒酵母の生存率は発酵の末期において徐々に低下することが知られている(例えば、非特許文献5参照)。
ここで、酵母の総個体数に対する死滅した酵母の個体数の割合を死滅率と称することにする。表5中の製造条件1の仕込におけるデータから、死滅率D(%)を発酵経過時間T(日)に対して、プロットしたものが図4である。回帰分析によりこの曲線を二次関数で近似したところ以下の式(4−1)を得た。
死滅率D(%)=0.4112T-5.696T+28.74・・・式(4−1)
この式(4−1)から、死滅率D(%)が50%となる発酵経過時間をTD50としたとき、TD50を得るには、二次方程式、0.4112T-5.696T+(28.74−50)=0をTについて解けばよい。即ち、TD50は以下のようになる。
Figure 2021136898
次に、TD50におけるモル値(質量モル濃度の推定値)を発酵経過時間T(日)に対して、プロットし、回帰分析により二次関数で近似したところ以下の式(4−2)を得た。
Figure 2021136898
この式から、死滅率が50%となる質量モル濃度(mol/kg)をMD50とすると、MD50を得るためには、上の式のTにTD50=16.91を代入すればよく、以下のようになる。
MD50(mol/L)
=−0.005564×(16.91)+0.2526×16.91+2.407
=5.09
このMD50の値は、ΔNSが、1.0以下、かつΔAlcが、0.2以下の状態が一の時点と前記一の時点から24時間後の時点で継続して続いたときの限界質量モル濃度の推定値(mol/kg)「4.99」を「0.1(2.0%)」上回る程度の数値である。この結果と、表5及び図4との結果から、「ΔNSが、1.0以下、かつΔAlcが、0.2以下の状態が一の時点と前記一の時点から24時間後の時点で継続して続いたときの限界質量モル濃度の推定値(mol/kg)」と「死滅率が50%となる質量モル濃度(mol/kg)」との間に密接な関係があることを示唆していることを見出した。
つまり、浸透圧ストレスによって質量モル濃度が上昇し、清酒酵母が死滅をはじめ、発酵が限界をむかえていることを示唆している。
よって、清酒酵母においては、酵母の死滅率と質量モル濃度の経過から、酵母が発酵の限界をむかえている質量モル濃度を求めることができる。
なお、清酒酵母ではない実験室酵母では、酵母が死滅するようなアルコール濃度に達する前に発酵を停止することが、例えば非特許文献5などにより報告されており、実験室酵母の場合においては、上記の方法では酵母が発酵の限界をむかえている質量モル濃度を求めることはできないものと考えられる。
本発明者らは、仕込配合が変わる現場スケールの実醸造でも発酵の限界を迎える質量モル濃度はほぼ同じ値となることを発見した。
下記表6に異なる仕込配合の総米3500kg〜6200kgの日本酒の仕込の配合を示す。
なお、酵母は前記上述の説明で使用したのと同じ酵母Aである。発酵醪の温度管理は、仕込み温度は6℃〜14℃とし、徐々に昇温させ、全発酵期間の中間日までに最高温度を10℃〜18℃とし、最高温度期間が終われば以降は上槽時期まで徐々に降温させた。最高温度期間は、最高温度を維持し続ける期間を意味し、発酵の進行度合いや目標発酵時間の長さなどにより適宜選択することができる。
また、降温させる温度についても同様に発酵の進行度合いや目標発酵時間の長さなどにより適宜選択することができる。
Figure 2021136898
ΔNSが、1.0以下、かつΔAlcが、0.2以下の状態が一の時点と前記一の時点から24時間後の時点で継続して続いたときの分析値と質量モル濃度の推定値(mol/kg)は下記表7の通りであった。
Figure 2021136898
上記表7に示すように、各数値の変動係数(相対標準偏差)、即ち、標準偏差を平均値で除した百分率は質量モル濃度だけが非常に低く1.4%であり、イ〜ホの質量モル濃度はほぼ同じ値と言えるレベルであった。なお、アルコール度数の変動係数も小さいが質量モル濃度の変動係数よりは大きい。アルコール度数の変動係数が質量モル濃度以外の他の項目より小さいのは、日本酒度が高くエキス分が低い状態になると、上述した式(1)における質量モル濃度に対するエキス分の寄与が相対的に低下し、アルコール度数と質量モル濃度との相関が高くなるためであり、アルコール度数が本質であるからではない。
酵母が発酵の限界をむかえるときには、醪の浸透圧が酵母の生理的限界になっているときと推定される。このときの醪の質量モル濃度(mol/kg)は、上記表7に示すのとおり、仕込配合や最終日本酒度や最終アルコール度数が異なるイ〜ホの醸造方法においてほぼ同じ値である。これは、イ〜ホの醸造方法における質量モル濃度と酵母の発酵の限界とが極めて密接な関係があること、そして、その質量モル濃度は醪の日本酒度(NS)及び醪のアルコール度数(Alc)によって推定できることを見出した。
この結果から、酵母の限界質量モル濃度(mol/kg)は、前記<条件>を満たす場合に、酵母が発酵の限界をむかえる前記質量モル濃度(mol/kg)であるとみなすことができることを見出した。
−理想質量モル濃度(mol/kg)−
前記理想質量モル濃度(mol/kg)は、発酵期間中における前記醪の質量モル濃度(mol/kg)が前記限界質量モル濃度(mol/kg)を超えないように発酵させたときにおける、発酵経過時間に対応した前記醪の理想的な質量モル濃度(mol/kg)を意味する。前記理想質量モル濃度(mol/kg)の情報としては、個々のデータそのもの自体であってもよく、データの集合から導き出される関数であってもよい。ここでいう「理想的な」とは、所望の発酵日数(目標発酵時間)で前記醪のアルコール度数及び日本酒度の両方が所望の値に達し、かつ香味が良好な状態で発酵した場合を意味する。
前記理想質量モル濃度(mol/kg)は、原料(米品種、精米歩合、米麹、水ほか)、仕込配合、酵母、発酵温度などが異なると変化することがわかった(図3参照)。
前記理想質量モル濃度(mol/kg)の情報としては、過去に順調に発酵が推移し、目標品質になったときの、対応する醸造方法に応じた質量モル濃度のデータに基づいて、発酵経過時間に応じた理想質量モル濃度(mol/kg)を定めてもよい。また、原料(米品種、精米歩合、米麹、水ほか)、仕込配合、酵母、発酵温度などが異なる醸造方法であっても、以下のようなデータ加工を行うと質量モル濃度線はほぼ同一の曲線になることから理想質量モル濃度線を求め、使用することができる。
ここで、前記データ加工による「理想質量モル濃度線」の導出方法について具体的に説明する。
図5Aに異なる5つの醸造方法A、B、C、D、及びE、並びにその醸造方法における質量モル濃度の発酵期間中における変化を示す。説明をより簡潔にするために、5つ醸造方法しか記述しないが加工するデータの数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
一の醸造方法Z(Zは醸造方法A、B、C、D、Eのいずれか)における発酵経過時間T日目の質量モル濃度をM0(Z,T)と表すこととする。
発酵醪の質量モル濃度の変化は、仕込水の追加を行わなければ、単調増加である。醪の最終期、つまり発酵終了の2日前から終了日までは仕込水の追加を行わないのが一般的であり、その場合、醪の最終日がその醸造方法における醪の質量モル濃度の最大値M0max(Z)である。この最大値M0max(Z)で当該質量モル濃度系列(各醸造方法における質量モル濃度の推移)を除すると、各系列は図5Bに示すように1.0を最大値とする相対質量モル濃度系列M1(Z,T)に変換される。
M1(Z,T)=M0(Z,T)/M0max(Z)・・・式(5−1)
次に、相対質量モル濃度系列の横軸(発酵経過時間)をすべて同じになるように変換する。変換後の相対質量モル濃度系列をM2とする。ここでは横軸(発酵経過時間)の最大値が、20日間となるように、横軸の数値を変換するように発酵経過時間Tを次式(5−2)で変換する。
T’=T×20/全発酵期間・・・式(5−2)
M2(Z,T’)=M1(Z,T)・・・式(5−3)
このように相対質量モル濃度系列の全発酵期間を20日間に変換した相対モル濃度系列M2は、図5Cに示すようになる。
次に、ある醸造方法Zにおける醪の全発酵期間における中間日のM2の値を「Mmid(Z)」とする。使用原料(米品種、米麹、精米歩合)や仕込配合、使用酵母などが異なる18の醸造方法のMmid(Z)の平均値は下記表8に示すように、「0.8208」であった。
Figure 2021136898
ここで、例えば、系列M2(Z,T’)の中間日の値が平均の0.8208となるようにM2(Z,T’)を次式(5−4)で変換する。
Figure 2021136898
このような変換を行うとすべての醸造方法の質量モル濃度系列は、図5Dに示すように、ほぼ同じ関数型となる。このように、どのような醸造方法を用いても、上述した変換を行うことによって、すべての醸造方法の質量モル濃度系列に共通して使用することができる理想的な発酵経過をたどる、理想質量モル濃度線を導出することができる。
また、上述したものと同様な考え方により、「理想質量モル濃度線」の数式を導出する方法について以下説明する。
すべての醸造方法の質量モル濃度系列に共通の関数型を当てはめるため、M0(Z,T)からM3(Z,T’)までの変換を含む、次の数式モデルを立て、その計算値M4(Z,T)と実際の測定値M0(Z,T)との誤差の二乗和を最小にする定数A、B、Cの組合せを選択(最適化)することもできる。
M4(Z,T)=M0max(Z)×[A×{1−exp(B×T×20/全発酵期間+C)}]^{log(Mmid)/log(0.8208)}・・・式(5−5)
前記式(5−5)中、「Mmid」は、ある醸造方法Zにおける醪の中間日のM2の値であり、使用した醸造方法における質量モル濃度(mol/kg)の実測値のデータベースを参照し、代入することができる。
前記式(5−5)中、「T(所定時間)」は、発酵を開始してから経過した一の時点を指す。なお、「T」は、発酵経過時間と称することがある。
前記式(5−5)中、「全発酵期間(目標発酵時間)」は、発酵を開始してから終了させるまでに予定している期間を指す。
上記式(5−5)の最適化法としては、例えば、Microsoft Excelの機能の一つであるソルバー法(ソルバー機能)を用い、誤差の二乗和を最小化するように、上記式(5−5)を解く方法などが挙げられる。
ソルバー法を使う場合について、より具体的に説明する。
ソルバー法を使用する場合には、初期値としては、A=1.0、B=−0.1、C=−0.3などを選び、それぞれ、たとえば、セル$A$1,セル$B$1,セル$C$1に入力する。
次に、発酵経過時間T(日)を、例えば、$A$3からA列に、M0(Z,T)を$B$3からB列に入力していく。次に、式(5−5)によって表されるM4(Z,T)を計算する式を、$C$3からC列に入力する。3行目からのB列とC列の差の二乗をD列に設け、これらを総和して誤差の二乗和を次式(5−6)で求めるセルを$D$1に作成する。
Figure 2021136898
ソルバーを用いて、誤差二乗和のセル$D$1を最小化するように、Aのセル$A$1、Bのセル$B$1、Cのセル$C$1を変化させ最適解を得る。
この方法により求めた前記18通りの醸造方法を母集団とするデータにおける最適解は、A=1.084、B=−0.1127、C=−0.2671となった。ただし、得られる式(5−5)におけるA、B、及びCの最適解は母集団のデータにより異なるため、これに限定されるものではない。
また、M0の最大値M0max(Z)が、前記の発酵の限界となる限界質量モル濃度の約0.9〜約1.0倍の状態において醸造を終了させることにより、限界質量モル濃度に届く前に醸造を終了させるように管理できる。
醪の発酵を理想質量モル濃度線に則って管理することができた場合、醸造(発酵)終了時の醪の質量モル濃度の推定値(モル値)(mol/kg)は、当該醸造方法の理想質量モル濃度の最大値(M0max)に一致する。
このとき、
モル値(mol/kg)=0.1013×Ex+0.2962×Alc−1.536
=M0max・・・式(5−7)
を満たしている。
式(5−7)を変形して、Exについて解くと、
Figure 2021136898
式(5−8)と上述した「エキス分の近似値Ex(g/100ml)」を求める式から次の等式が成り立つ。
Figure 2021136898
この式の右辺を左辺に移項して、下記式(5−10)を得ることができる。
Figure 2021136898
日本酒度NSが既知であれば、式(5−10)はアルコール度数Alcに関する二次方程式に変形できるので、式(5−10)のアルコール度数Alcは正の解として一意的に定まる。目標発酵時間において目標日本酒度に到達しておれば、アルコール度数Alcは自動的に1点に導かれる。
実用的な解法としては、Microsoft Excelの機能の一つであるソルバーを用い、アルコール度数の初期値をたとえば「15.0」として、セル$A$1に入力し、それを参照して式(5−10)の左辺を計算させる算式をセル$B$2に入力し、そのセル$B$2の値が「0」になるようにアルコール度数のセル$A$1を変更して最適化する。
当該醸造方法の理想質量モル濃度の最大値(M0max)が、「5.0」で日本酒度が「+3」であればアルコール度数は「20.11」として最適化される。目標発酵時間で目標日本酒度に到達しておれば、アルコール度数は「20.11」になることを示す。
所望の日本酒度と所望のアルコール度数のときの質量モル濃度が理想質量モル濃度線の最大値(M0max)となるように設定されていれば理想質量モル濃度線に則って発酵醪を管理でき、かつ日本酒度が所望の値になった場合は、自ずと所望のアルコール度数である酒を醸造できることになる。
また、所望の日本酒度と所望のアルコール度数のときの質量モル濃度よりも、理想質量モル濃度線の最大値(M0max)が高く設定された場合において、理想質量モル濃度線に則って発酵醪を管理でき、かつ日本酒度が所望の値になったときは、アルコール度数は当然に所望の値より高くなっているので上槽直前、つまり発酵醪と発酵粕の分離操作の直前に下式(5−11)に基づいて加水量を決めて加水することが好ましい。
Figure 2021136898
なお、上槽後であれば下式(5−12)に基づき加水量を決めて加水することが好ましい。
Figure 2021136898
なお、アルコール度数を1〜2%程度下げたとしても、日本酒度の変化は大きくないことが経験的に知られている。例えば、日本酒度「+5」、アルコール度数「18.5%」の発酵醪のろ液を加水によって「17.0%」に希釈しても日本酒度は「+5」のままである。よって、加水が少量であれば所望の日本酒度かつ所望のアルコール度数である品質の酒を醸造できる。
もし、所望の日本酒度と所望のアルコール度数のときの質量モル濃度が、理想質量モル濃度線の最大値(M0max)より高い場合は理想質量モル濃度線を超えないと所望の発酵醪を得られない。理想質量モル濃度線の最大値が、前記の発酵の限界となる限界質量モル濃度と一致するように設定されているなら、これは、酵母の発酵限界を超えてしまうことを意味する。この場合、設定した所望のアルコール度数と日本酒度の組み合わせは実現不可能か、もし実現可能であっても酵母の死滅を伴うので異臭(オフフレーバー)や異味を有するものしか醸造することができないと推定することができる。
前記発酵管理工程において、前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度X(mol/kg)と、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Y(mol/kg)とを対比し、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、処理を行う。
なお、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yに対して、0.98Y超1.02Y未満の場合には、現状の発酵管理を継続して行ってもよいし、温度条件などを変更してもよいし水の追加を行ってもよい。また、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Y(mol/kg)よりも0.98Y以下であるときは、上述した水の追加を行わない以外にも、発酵醪の温度を上げるなどして質量モル濃度の上昇を促してもよい。
さらに、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yに対して、0.980Y超1.010Y未満の値の場合にも、前記醪に対して水の追加を行ってもよい。発酵初期の取得質量モル濃度の上昇が急な段階において、米がよく溶けることが予想される場合には、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yに対して、0.980Y超1.010Y未満の値の場合にも、前記醪に対して水の追加を行うことにより、より細かく前記醪の発酵制御を行うことができる。
なお、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yに対して、0.98Y超1.02Y以下の範囲にある場合、前記醪の発酵は前記理想質量モル濃度線に沿った発酵管理がなされていると判断することができる。前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yに対して、0.98Y超1.02Y以下の範囲にあると、オフフレーバーの発生を抑制して醪を発酵させることができる。
前記取得質量モル濃度X(mol/kg)を得る方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した質量モル濃度の算出方法(A)〜(C)を用いて算出することができる。
前記水の追加が、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)の大きさに応じて行うことが好ましい。前記水の量としては、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が1.02Y以上の場合には、醪の体積(醪数量)をZ(L)として、(X/Y−1)/3×Z(L)以上が好ましい。ただし、(X/Y−1)/3×Z(L)が0.06×Z(L)を超えると発酵醪における酵母の環境の変化が著しくなるほか、取得質量モル濃度の増加が通常より鈍化した場合は結果として希釈超過となる恐れがあるため、一日(24時間)以内には0.06×Z(L)以下に留め、取得質量モル濃度が1.02Y未満となるまで、複数日繰り返すことが望ましい。なお、米が溶けにくい場合には、所得質量モル濃度の増加が通常より鈍化することがある。
また、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Y(mol/kg)よりも1.01Y以上1.02Y未満の値であるときも前記醪に対して水の追加を行うことが好ましい。前記水の量としては、醪の体積(醪数量)をZ(L)として、(X/Y−1)/3×Z(L)以上0.05×Z(L)以下が好ましい。前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が1.010Y以上1.015Y未満の場合には、(X/Y−1)/3×Z(L)以上0.04×Z(L)以下がより好ましい。
また、前記水の追加を、前記取得質量モル濃度X(mol/kg)が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Y(mol/kg)よりも0.980Y超1.010Y未満の値であるときも前記醪に対して水の追加を行うことにより、より細かく前記醪の発酵制御を行うことができる。特に、前記取得質量モル濃度の上昇が急である発酵前半期で米が溶けやすい場合は、0.980Y超1.000Y未満であっても前記醪に対して水の追加を行うことが好ましい場合がある。
<醪>
前記醪は、酒母(酵母)、蒸米、麹、水を仕込み、原料が発酵したものをいう。
<<酵母>>
前記酵母としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清酒酵母、焼酎酵母、ワイン酵母、ビール酵母、パン酵母などが挙げられる。これらの中でも、清酒酵母が好ましい。
前記酵母は、自然変異により得られたものを用いてもよいし、変異処理が施されたものを用いてもよい。
前記変異処理としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、紫外線照射、放射線照射等の物理的変異処理、エチルメタンスルホネートの添加、N−メチル−N’−ニトロ−ニトロソグアニジンの添加等の化学的変異処理などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<<培地>>>
前記培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般に酵母の培養に用いられるものを使用することができ、必要に応じて更にその他の成分を含む。前記一般に酵母の培養に用いられる培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SD培地、YPD培地などが挙げられる。これらの中でも、YPD培地が好ましい。
前記培地におけるその他の成分としては、特に制限はなく、一般に酵母の培養に用いられる成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大豆粉、小麦胚芽、押し麦、ペプトン、綿実粕、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等の窒素源;トマトペースト、グリセリン、デンプン、グルコース、ガラクトース、デキストリン、バクトソイトン等の炭水化物、脂肪等の炭素源;塩、炭酸カルシウム等の無機塩;金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記培地におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記培地の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固体、液体などが挙げられる。
<<<培養>>>
前記培養の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記培養の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10℃〜40℃などが挙げられる。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1日間〜10日間などが挙げられる。
前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、静置培養、振盪培養などが挙げられる。
本発明のアルコール発酵醪の管理プログラムによる処理は、アルコール発酵醪の管理装置を構成する制御部を有するコンピュータを用いて実行することができる。
以下、アルコール発酵醪の管理装置のハードウェア構成、及び機能構成について説明する。
<アルコール発酵醪の管理装置のハードウェア構成>
図6は、アルコール発酵醪の管理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6で示すように、アルコール発酵醪の管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信インターフェイス104、入力装置105、出力装置106、の各部を有する。これらの各部は、バス107を介してそれぞれ接続されている。
CPU101は、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU101は、主記憶装置102などが記憶するOS(Operating System)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。即ち、CPU101は、本発明では、アルコール発酵醪の管理プログラムを実行することにより、アルコール発酵醪の管理装置100の制御部130として機能する。
また、CPU101は、アルコール発酵醪の管理装置100全体の動作を制御する。尚、本発明では、アルコール発酵醪の管理装置100全体の動作を制御する装置をCPU101としたが、これに限ることなく、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などとしてもよい。
アルコール発酵醪の管理プログラムや各種データベースは、必ずしも主記憶装置102や、補助記憶装置103などに記憶されていなくともよい。インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを介して、アルコール発酵醪の管理装置100に接続される他の情報処理装置などにアルコール発酵醪の管理プログラムや各種データベースを記憶させてもよい。アルコール発酵醪の管理装置100がこれら他の情報処理装置からアルコール発酵醪の管理プログラムや各種データベースを取得して実行するようにしてもよい。
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶し、各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。
主記憶装置102は、図示しない、ROM(Reed Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を有する。
ROMは、BIOS(Basic Input/Output System)等の各種プログラムなどを記憶している。
RAMは、ROMに記憶された各種プログラムがCPU101により実行される際に展開される作業範囲として機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。RAMとしては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブなどが挙げられる。また、補助記憶装置103は、例えば、CD(Compact Disc)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置としてもよい。
通信インターフェイス104は、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線又は有線を用いた通信デバイス(通信センサ)などが挙げられる。
入力装置105は、アルコール発酵醪の管理装置100に対する各種要求を受け付けることができれば、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。
出力装置106は、ディスプレイやスピーカーなどを用いることができる。ディスプレイとしては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイが挙げられる。
以上のようなハードウェア構成によって、アルコール発酵醪の管理装置100の処理機能を実現することができる。
<アルコール発酵醪の管理装置の機能構成>
図7は、アルコール発酵醪の管理装置100の機能構成の一例を示す図である。
この図7に示すように、アルコール発酵醪の管理装置100は、入力部110、出力部120、通信部130、記憶部140、制御部150、を有する。
入力部110は、アルコール発酵醪の管理装置100に、醸造方法、醪の初期仕込み量などの情報の入力を受け付ける。
出力部120は、アルコール発酵醪の管理装置100が判定した処理を実行させる。
通信部130は、制御部150の指示に基づき、通信インターフェイス104を用いて、端末装置200から送信された発酵醪の情報を受信する。
記憶部140は、取得質量モル濃度データベース141と、限界質量モル濃度データベース142と、理想質量モル濃度データベース143と、判定結果データベース144と、を有する。以下、「データベース」を「DB」と称することもある。なお、記憶部に保存するデータは、揮発性及び不揮発性のいずれのメモリに記憶してもよい。メモリは「M」と称することもあり、「DB」と同様の意味で用いることもある。
なお、取得質量モル濃度DB141、限界質量モル濃度DB142、理想質量モル濃度DB143、及び判定結果DB144は、通信部130が受信した取得質量モル濃度データを取得質量モル濃度データ群として記憶する。
図8は、取得質量モル濃度DB141が記憶する取得質量モル濃度データの一例を示す図である。
図8に示すように、取得質量モル濃度データは、「仕込みタンクID」、「取得日時(時刻)」、「日本酒度(NS)」、「アルコール度数(Alc)」、「凝固点降下度(ΔT)」、「浸透圧」、「比重(d)」、「(A)エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」、「(B)エキス分の質量モル濃度(mol/kg)」、「(C)グルコースの質量モル濃度(mol/kg)」、「(D)グルコース以外の成分の質量モル濃度(mol/kg)」のデータ項目を含む。なお、「凝固点降下度(ΔT)」を取得する場合には「浸透圧」は取得してもしなくてもよく、「(A)エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」及び「(B)エキス分の質量モル濃度(mol/kg)」を取得する場合には「(C)グルコースの質量モル濃度(mol/kg)」及び「(D)グルコース以外の成分の質量モル濃度(mol/kg)」は取得してもしなくてもよい。
「仕込みタンクID」のデータ項目は、端末装置200が搭載されている仕込みタンクを識別するためのデータであり、予め設定される。
「取得日時」のデータ項目は、端末装置200に搭載されているデジタル時計などにより取得される。
「日本酒度(NS)」及び「アルコール度数(Alc)」のデータ項目は、端末装置200により採取された発酵醪の試料から上清を抽出し、各データを上述した方法で測定した結果である。
「凝固点降下度(ΔT)」、「浸透圧」のデータ項目は、端末装置200により採取された発酵醪の試料から上清を抽出し、各データを上述した方法で測定した結果である。
「(A)エタノールの質量モル濃度(mol/kg)」、「(B)エキス分の質量モル濃度(mol/kg)」、「(C)グルコースの質量モル濃度(mol/kg)」、「(D)グルコース以外の成分の質量モル濃度(mol/kg)」のデータ項目は、取得した「日本酒度(NS)」及び「アルコール度数(Alc)」、「グルコースの濃度(mg/100ml)」などから上述した方法により算出した結果である。
図9は、限界質量モル濃度DB142が記憶する取得質量モル濃度データの一例を示す図である。
図9に示すように、限界質量モル濃度データは、取得質量モル濃度DB141から得られた取得質量モル濃度データの内、『<条件>一の時点と前記一の時点から24時間後の時点との、日本酒度(NS)及びアルコール度数から算出される、
単位時間当たりの日本酒度の増加量ΔNSと、単位時間当たりのアルコール度数の増加量ΔAlcとが、下記式(I−a)及び式(I−b)を前記一の時点から24時間後の時点まで継続して満たしたときの24時間後の時点の前記醪の質量モル濃度(mol/kg)
ΔNS≦1.0・・・式(I−a)
ΔAlc≦0.2・・式(I−b)』である。
図10は、理想質量モル濃度DB143が記憶する理想質量モル濃度データの一例を示す図である。
図10に示すように、理想質量モル濃度データは、発酵期間中における醪の質量モル濃度が限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、発酵経過時間に対応した醪の理想的な質量モル濃度である。理想質量モル濃度データは、例えば、上述した式(5−5)を上述した入力部110からの情報、「取得質量モル濃度データ」、及び「限界質量モル濃度データ」に基づいて算出された結果である。
図11は、判定結果DB144が記憶する判定結果データの一例を示す図である。
図11に示すように、判定結果データは、所定時間(発酵経過時間)と、醪の質量モル濃度と、理想質量モル濃度とを対応させ、醪の質量モル濃度が理想質量モル濃度に対して所定値以上であるか、又は所定値以下であるかを判定した結果である。
制御部150は、情報取得部(抽出部)151と、対比部152と、判定部153と、を有する。制御部150は、アルコール発酵醪の管理装置100全体を制御する。
情報取得部(抽出部)151は、入力部110から入力された醸造方法、醪の初期仕込み量などの情報に基づき、アルコール発酵醪の管理条件と、通信部で受け付けた取得質量モル濃度データから醪の質量モル濃度のデータを作製し取得質量モル濃度DBへ記憶する。
また、得られた取得質量モル濃度データを用いて、限界質量モル濃度のデータを作製し、限界質量モル濃度DBへ記憶する。
さらに、得られた取得質量モル濃度データ及び限界質量モル濃度のデータを用いて、理想質量モル濃度データを作製し、理想質量モル濃度DBへ記憶する。なお、理想質量モル濃度データを作製する場合には、目標発酵時間の中間日に当たる理想質量モル濃度の過去のデータを用いて算出する(不図示)。
対比部152は、アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した醪の取得質量モル濃度データと、所定時間に対応する理想質量モル濃度データとを対比する。
判定部153は、取得質量モル濃度データが、所定時間の理想質量モル濃度データよりも102%以上であるときは醪に対して水の追加をし、所定時間の理想質量モル濃度データよりも98%以下であるときは醪に対して水の追加を行わない、判定を行う。
次に、端末装置200のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
端末装置200は、発酵醪の取得した情報をアルコール発酵醪の管理装置100に送信するために管理者などに使用される装置である。
<端末装置のハードウェア構成>
図12は、端末装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、端末装置200のハードウェア構成は、図6のアルコール発酵醪の管理装置100のハードウェア構成と同様であるため、説明を省略する。
<端末装置の機能構成>
図13は、端末装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。
図13に示すように、端末装置200の機能構成としては、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、入力部240と、出力部250と、を有する。
通信部210は、制御部230の指示に基づき、通信インターフェイス204を用いて、指定した発酵醪の情報をアルコール発酵醪の管理装置100へ送信する。
さらに、通信部210は、アルコール発酵醪の管理装置100から情報を受け付ける。
記憶部220は、アルコール発酵醪の管理装置100から受信した情報を補助記憶装置203に記憶する。
また、制御部230は、アルコール発酵醪の管理装置200に入力された情報をデータ抽出装置100に送信する制御を行う。
次に、本発明のアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順を示す。図14は、アルコール発酵醪の管理装置100の制御部150におけるアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS101では、アルコール発酵醪の管理装置100の制御部150の情報取得部151は、入力部110から入力された醸造方法や、端末装置から取得した情報に基づき、醪の質量モル濃度を取得し、処理をS102へ移行する。
ステップS102では、アルコール発酵醪の管理装置100の制御部150の情報取得部151は、取得した醪の取得質量モル濃度Xに基づき、限界質量モル濃度及び理想質量モル濃度Yのデータを取得し、処理をS103へ移行する。
ステップS103では、アルコール発酵の醪の開始から所定時間経過後に取得した醪の取得質量モル濃度Xと、経過した所定時間に対応する時間における理想質量モル濃度Yとを対比し、処理をS104へ移行する。
ステップS104では、取得質量モル濃度Xが、対応する理想質量モル濃度Yの1.02Y以上の値であるか判定し、前記取得質量モル濃度Xが、前記理想質量モル濃度Yの1.02Y以上の値であると判定した場合は、処理をS105へ移行する。一方、前記取得質量モル濃度Xが前記理想質量モル濃度Yの1.02Y以上の値でないと判定した場合は、処理をS107へ移行する。
ステップS107では、水の追加を行い、処理をS110へ移行する。
ステップS108では、水の追加を行わず、処理をS110へ移行する。
ステップS110では、目標発酵時間に到達したか否か判定し、到達していない場合には、処理をS101へ移行し、到達している場合には、データを記録し、本処理を終了する。
次に、本発明のアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順の他の一例を示す。図15は、アルコール発酵醪の管理装置100の制御部150におけるアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
ステップS101からステップS104、ステップS107、ステップS108、及びステップS110は図14に示すアルコール発酵醪の管理プログラムの処理手順と同様である。
ステップS105では、取得質量モル濃度Xが、対応する理想質量モル濃度Yの1.01Y超1.02未満の値であるか判定し、前記取得質量モル濃度Xが、前記理想質量モル濃度Yの1.01Y超1.02未満の値であると判定した場合は、処理をS105’へ移行する。一方、前記取得質量モル濃度Xが、前記理想質量モル濃度Yの1.01Y超1.02未満の値でないと判定した場合は、処理をS106へ移行する。
ステップS105’では、水の追加を行うか否かを判定し、水の追加を行う場合には処理をS107へ移行する。一方、水の追加を行わない場合には、処理をS109へ移行する。
ステップS106では、取得質量モル濃度Xが、対応する理想質量モル濃度Yの0.98Y以下の値であるか判定し、前記取得質量モル濃度Xが、前記理想質量モル濃度Yの0.98Y以下の値であると判定した場合は、処理をS108へ移行する。一方、前記取得質量モル濃度Xが、前記理想質量モル濃度Yの0.98Y以下の値でないと判定した場合は、処理をS109へ移行する。
ステップS109では、品温を上げるか維持するように管理し、発酵を促し質量モル濃度の速やかな上昇を促し、処理をS110へ移行する。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸度分析工程、アミノ酸度分析工程などが挙げられる。
<<酸度分析工程>>
前記酸度分析工程は、前記育種された酵母を用いて製造した日本酒の酸度を分析する工程である。
前記酸度は、国税庁所定分析法にしたがって分析することができる。
<<アミノ酸度分析工程>>
前記アミノ酸度分析工程は、前記育種された酵母を用いて製造した日本酒のアミノ酸度を分析する工程である。
前記アミノ酸度は、国税庁所定分析法にしたがって分析することができる。
(酒類の製造方法)
本発明の酒類の製造方法は、上記した本発明のアルコール発酵醪の管理方法を用いる以外は、通常の酒類の製造方法を目的に応じて適宜選択することができる。
<酒類>
前記酒類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、日本酒、焼酎、ビール、ワインなどが挙げられる。これらの中でも、日本酒が好ましい。
本発明の酒類の製造方法によれば、上記した本発明のアルコール発酵醪の管理方法を用いるので、優れた品質の酒類を製造することができる。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
清酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)A(白鶴酒造株式会社保有)を用いて、下記表9に示す醸造条件により醪Aを発酵させた。結果を図16Aに示す。
Figure 2021136898
醪Aの醸造においては、醪に含まれる溶質のモル濃度を質量モル濃度と、前記質量モル濃度と発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報と、を用いて、前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度と、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度とを対比し、前記取得質量モル濃度が、前記所定時間の前記理想質量モル濃度よりも102%以上であるときは前記醪に対して水の追加をし、前記所定時間の前記理想質量モル濃度よりも98%以下であるときは前記醪に対して水の追加を行わないようにして、水の追加の有無を見定めた。なお、追加した水の量としては下記表10の通りである。結果を表10及び図16Bに示す。
(比較例1及び2)
実施例1において、下記表10に示すように理想質量モル濃度に応じた水の追加を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の醪B及び比較例2の醪Cを発酵させた。
Figure 2021136898
表10及び図16Bの結果から、アルコール発酵の担い手である酵母Aが発酵の限界をむかえるのは、発酵醪の質量モル濃度に大きく依存することが示された。
また、アルコール発酵中に醪の質量モル濃度が、理想質量モル濃度から外れてしまうと、発酵醪の浸透圧のストレスが強まり、酵母の発酵の限界が早く訪れ発酵が停止してしまう場合があることが示された。
実施例1においては、目標通り順調に発酵をさせることができた(日本酒度+11、アルコール度数19.8)。
比較例1においては理想質量モル濃度からは外れた値で発酵が進み、発酵経過9日目以降で発酵が停止した(日本酒度+2、アルコール度数18.7)。
また、比較例2においても理想質量モル濃度からは外れた値で発酵が進み、9日目以降で発酵が停滞したが、外れ方が軽度であったためか、最終的には日本酒度+6.0、アルコール度数19.0まで発酵した。
そのため、実施例1の方法を用いた場合において、下記表12及び図16Bに示す通り、目標通りの優良酒を製造するのに適する方法であることがわかった。
Figure 2021136898
(実施例2)
清酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)A(白鶴酒造株式会社保有)を用いて、下記表13に示す醸造条件により醪Dを発酵させた。結果を図17に示す。なお、実施例2においても、実施例1と同様に、醪に含まれる溶質のモル濃度を質量モル濃度と、前記質量モル濃度と発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させた。
Figure 2021136898
(実施例3)
下記表14に示すように理想質量モル濃度に応じた水の追加において、水の量を多く行ったこと以外は、実施例2と同様にして、醪Eを発酵させた。結果を図17に示す。
Figure 2021136898
表14の結果から、実施例2及び実施例3とも、発酵終了日まで酵母が発酵の限界をむかえることなく良好に発酵し、目標日本酒度を超えた。しかし、下記表15に示すように、実施例2が目標アルコール度数を超えた15日目には、実施例3はアルコール度数が目標の19.5%を超えることができなかった。実施例3においては、発酵醪を続けて行ったところ、アルコール発酵が進み、18日目で目標のアルコール度数を超えることができた。
実施例3は、発酵終了日の15日目において、理想質量モル濃度Yに対する所得質量モル濃度Xの比率X/Yが、0.95となっており、理想質量モル濃度線を大きく下回ってしまったためである。実施例3において、最後の仕込水の追加を行った9日目の醪量Z(L)は12,320(L)であったが、追加した仕込水の量は800(L)であり、好ましい範囲の上限である0.06×Z(L)、すなわち739(L)を上回っていた。なお、実施例2において、最後の仕込水の追加を行った9日目の醪量Z(L)は12,320(L)であったが、追加した仕込水の量は200(L)であり、好ましい範囲の下限である(X/Y−1)/3×Z(L)、即ち、143(L)以上で、上限である0.06×Z(L)、すなわち739(L)以下であった。仕込水は一度に多量に行うことなく、醪の質量モル濃度が理想質量モル濃度線に沿うように少量を複数回に分けて行うのが望ましい。特に、米が溶けにくいような場合は、取得質量モル濃度の増加が通常より鈍化することがあるので仕込水が多すぎないように注意を要する。
Figure 2021136898
また、実施例3は、アセトアルデヒドが閾値の40ppmを超えて存在し、オフフレーバーを有していた。
また、実施例2及び実施例3について、オフフレーバーと質量モル濃度との関係を図18に示した。図18に示すように、醪の発酵経過において、理想質量モル濃度とほぼ同等の質量モル濃度で発酵をさせた場合はオフフレーバーがなかったのに対して、理想質量モル濃度から外れて発酵が進んでしまうと、オフフレーバーが発生する場合があることがわかった。
以上の通り、実施例2の方法を用いて発酵醪の管理を行った場合には、実施例3の方法を用いて理想質量モル濃度を大きく下回る発酵醪の管理を行った場合に比べて、格段にオフフレーバーの発生を抑制することができた。
次に、5種の醸造方法において本発明のアルコール発酵醪の管理方法及び従来の発酵醪の管理方法を用いて製造した酒の「管理精度(目標とする日本酒度及びアルコール度数の値に対する誤差)」、「審査員による利き酒評価」、及び「オフフレーバーの発生率」を評価した。なお、5種の醸造方法において、本発明のアルコール発酵醪の管理方法及び従来の発酵醪の管理方法を用いた以外は、米品種、原料処理条件、温度管理条件などは特に統一せずに醸造した酒を製造し評価した。以下、本発明のアルコール発酵醪の管理方法を用いた例を参考実施例、従来の発酵醪の管理方法を用いた例を参考比較例と称する。
<管理精度(目標とする日本酒度及びアルコール度数の値に対する誤差)>
製造した酒の日本酒度及びアルコール度数を公知の方法で測定し、目標とする各日本酒度及びアルコール度数に対する誤差を算出した。結果を下記表16に示す。5種の醸造方法によって、目標とする日本酒度、アルコール度数は異なるが、以下の表17の通りである。
Figure 2021136898
Figure 2021136898
実施例の方法を用いて発酵醪の管理を行った場合、アルコール発酵の主たる指標である日本酒度及びアルコール度数の管理精度が飛躍的に向上した。
なお、管理精度は、下記式により求められる。
Figure 2021136898
<審査員による利き酒評価>
製造した酒を熟練の審査員(各回によって審査員数は異なるが熟練者から選抜した10〜15人(平均12.5人/回))により下記評価基準に基づき、その酒が「本来備えるべき固有の香りと味(香味)、色とつや(色沢)を有しているか」を基準に評価した。なお醸造方法によって「本来備わるべき固有の香味」は異なるので、醸造方法名は開示して行う。吟醸であるのに吟醸香がない場合、甘口の酒であるのに甘口に感じられない場合、高酸味の酒であるのに酸が足りない場合は欠点がありとして減点される。また香味異常やオフフレーバーがあれば、その種類と程度によって減点をされる。外観上も固有の色沢でない場合も減点される。日本酒度やアルコール度数、酸度、アミノ酸、香気成分含量などは開示せず、官能のみによって評価する。結果を表18に示す。
[評価基準]
1:欠点・問題が全くなく申し分ない香味である
2:欠点・問題がない香味である
3:許容できるわずかな欠点・問題がある香味である
4:許容できない欠点・問題がある香味である
5:許容できない複数の、または致命的な欠点・問題がある香味である
Figure 2021136898
実施例の方法を用いて発酵醪の管理を行った場合、利き酒評価の平均点が格段に改善された。
<香味異常(オフフレーバー)の発生率>
製造した酒の利き酒評価における評点平均値が、1.10を下回るものについて、香味異常であると判定し、全試験に対する評点平均値が、1.10を下回る試験の割合(発生率)について算出した。結果を表19に示す。
Figure 2021136898

Claims (9)

  1. アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
    前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
    前記取得質量モル濃度Xが、
    1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う発酵管理工程を含む、
    ことを特徴とするアルコール発酵醪の管理方法。
  2. 前記限界質量モル濃度が、下記条件を満たす、請求項1に記載のアルコール発酵醪の管理方法。
    <条件>
    一の時点と前記一の時点から24時間後の時点との、日本酒度(NS)及びアルコール度数(Alc)から算出される、
    単位時間当たりの日本酒度の増加量ΔNSと、単位時間当たりのアルコール度数の増加量ΔAlcとが、下記式(I−a)及び式(I−b)を前記一の時点から24時間後の時点まで継続して満たしたときの前記一の時点から24時間後の時点の前記醪の質量モル濃度(mol/kg)
    ΔNS≦1.0・・・式(I−a)
    ΔAlc≦0.2・・式(I−b)
  3. 前記水の追加が、前記取得質量モル濃度の大きさに応じて行われる、請求項1から2のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法。
  4. 前記取得質量モル濃度Xが、前記所定時間の前記理想質量モル濃度Yよりも1.01Y以上1.02Y未満の値であるときも前記醪に対して水の追加を行う、請求項1から3のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法。
  5. 前記取得質量モル濃度が、前記醪の上清又はろ液における、エキス分(Ex)と、アルコール度数(Alc)とに基づき、次の式(1)から算出された推定値である、請求項1から4のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法。
    取得質量モル濃度(推定値)=α×(Ex)+β×(Alc)−γ・・・式(1)
    但し、α、β及びγは定数を表す。
  6. 前記アルコール発酵が日本酒発酵であり、
    前記αが0.1013であり、
    前記βが0.2962であり、
    前記γが1.536である、請求項5に記載のアルコール発酵醪の管理方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のアルコール発酵醪の管理方法を用いて酒類を製造することを特徴とする酒類の製造方法。
  8. アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
    前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
    前記取得質量モル濃度Xが、
    1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う処理を、コンピュータに行わせる、
    ことを特徴とするアルコール発酵醪の管理プログラム。
  9. アルコール発酵の醪に含まれる溶質のモル濃度(mol/kg)を質量モル濃度としたとき、前記質量モル濃度と、発酵経過時間との関係を示す質量モル濃度線における前記質量モル濃度の最大値が、前記アルコール発酵の前記醪に使用する酵母が発酵の限界をむかえるときの前記質量モル濃度である限界質量モル濃度を超えないように発酵させたときにおける、前記発酵経過時間に対応した理想質量モル濃度の情報を予め取得し、
    前記アルコール発酵の開始から所定時間経過後に取得した前記醪の取得質量モル濃度Xと、前記所定時間に対応する前記理想質量モル濃度Yとを対比し、
    前記取得質量モル濃度Xが、
    1.02Y以上であるときは前記醪に対して水の追加する、発酵管理を行う発酵管理手段を有する、
    ことを特徴とするアルコール発酵醪の管理装置。

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