JPH08265028A - 車両用ガラスアンテナ及びその設計方法 - Google Patents

車両用ガラスアンテナ及びその設計方法

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JPH08265028A
JPH08265028A JP7062667A JP6266795A JPH08265028A JP H08265028 A JPH08265028 A JP H08265028A JP 7062667 A JP7062667 A JP 7062667A JP 6266795 A JP6266795 A JP 6266795A JP H08265028 A JPH08265028 A JP H08265028A
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glass
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antenna wire
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龍昭 谷口
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成行 里村
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一生 重田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の2つのガラス面に夫々設けられたアン
テナ線を組み合わせることにより高性能の車両用ガラス
アンテナを提案する。 【構成】 FM電波を受信するために第1のガラス10
L上に延節され、ガラス上に給電点16を設けられた第
1のアンテナ線20と、AM電波を受信するために給電
点16近傍において第1のアンテナ線20に接続される
第2のアンテナ線30と、AM電波を受信するために第
2のガラス10R上に延節された第3のアンテナ線31
と、第2のアンテナ線30と第3のアンテナ線31とを
接続するためのAV接続線とを具備したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばバン等のよう
なリアガラスが特殊な車両のためのガラスアンテナ及び
その設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用アンテナとして、そのボ
ディにポール(ロッド)を絶縁状態で突設してこれに給
電するようにしたポールアンテナが広く知られている
が、このポールアンテナは、ポールの折れ曲がりや破線
を招き易く、しかも走行時に風切り音が発生するという
問題があることから、これに代わるアンテナとしてガラ
スアンテナが実用化されている。このガラスアンテナ
は、外観を考慮して、後部ウインドガラスに設けられる
のが普通である。
【0003】ところが、バンや所謂ハッチバック車で
は、広い後部ガラス面積が確保することが困難なことが
多い。また、後部ドアが開閉するために、アンテナのフ
ィーダ線などに折れ曲がりやすくなるような工夫が必要
となるために、コストアップの要因ともなる。面積が小
さいウインドガラスにアンテナを設けると、例えば、 :そのアンテナがFMアンテナの場合であれば、必要
なアンテナ長がとれない、 :そのアンテナがFMアンテナの場合であれば、大き
なインピーダンスをとることができない、 :そのアンテナがAMアンテナの場合であれば、受信
感度が低くなる、 :車両ハーネスの近傍に敷設さざるを得ないために、
ハーネスからのノイズを受け易い、という問題がある。
アンテナ感度が低い場合には、増幅機を付加して信号レ
ベルを上げることも考えられるが、ノイズ成分の上昇し
てしまうので意味がない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】受信感度を上げたりあ
るいは調整するために、従来から様々な提案がなされて
いる。例えば、特開平4−77005号では、対向する
2つの側面ガラス上に置いてアンテナラインを夫々配
し、夫々の受信出力を合成するようにしている。
【0005】しかしながら、この方法では、夫々のガラ
ス面上に設けられたアンテナ導体出力を合成するための
信号ラインが新たなアンテナ導体として機能してしまう
ために、当初の目的を得ることが困難となることが多
い。そこで、この特開平4−77005号では、広域カ
ット用のコイルを設けたり、位相調整用の導体素子を設
けたりしている。
【0006】また、特開平1−292902号のよう
に、窓ガラスの上辺の中央部を給電点として下方に垂直
に延びる主アンテナと、この給電点近傍の主アンテナに
接続されるインピーダンス調整用のアンテナとを具備す
ることも提案されている。上記2つの先行従来技術は共
に何らかの別の素子をガラスアンテナ上に装着すること
が特徴となっており、それ故に、これらがコストアップ
の要因になっていた。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、車両の2つのガラス面
に夫々設けられたアンテナ線を組み合わせることにより
高性能の周波数ダイバシティを実現する車両用ガラスア
ンテナを提案するものである。本発明の他の目的は、高
性能の周波数ダイバシティアンテナシステムを容易に設
計する方法を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、請求項1に係る本発明の、第1の周波数帯の電波と
前記第1の周波数帯よりも低い第2の周波数帯の電波を
受ける車両用ガラスアンテナは、前記第1の周波数帯の
電波を受信するために第1のガラス上に延設され、前記
ガラス上に給電点を設けられた第1のアンテナ線と、前
記第2の周波数帯の電波を受信するために前記第1のガ
ラス上に延設され、前記給電点近傍において前記第1の
アンテナ線に接続される第2のアンテナ線と、前記第2
の周波数帯の電波を受信するために前記第1のガラスと
異なる第2のガラス上に延設された第3のアンテナ線
と、前記第2のアンテナ線と前記第3のアンテナ線とを
接続するための接続線であって、一方の端部が前記第2
のガラス上の所定の第1の接続位置において前記第3の
アンテナ線に接続され、他方の端部が前記第1のガラス
面上の前記給電点から離間した所定の第2の接続位置に
於て前記第2のアンテナ線と接続される接続線とを具備
したことを特徴とする。
【0009】このような構成によると、第2のアンテナ
線は第2の周波数の電波を受けるためのアンテナ線であ
ると同時に、第1のアンテナ線のためのスタブとしても
機能する。また、第3のアンテナ線は、接続線と第2の
アンテナ線を介して給電点に接続される。このスタブ構
造と、第2のアンテナ線と第3のアンテナ線とが直列構
造になることとが、FM受信に対するAM受信アンテナ
線の影響をなくすことができ、結果として高性能の周波
数ダイバシティアンテナシステムを提供することができ
る。
【0010】本発明の請求項2のガラスアンテナは、第
1の周波数帯の電波と前記第1の周波数帯よりも低い第
2の周波数帯の電波を受ける車両用ガラスアンテナであ
って、前記第1の周波数帯の電波を受信するために、車
両の側部に設けられた第1のガラス上に延設され、前記
ガラス上に給電点を設けられた第1のアンテナ線と、前
記第2の周波数帯の電波を受信するために前記第1のガ
ラスの周縁に沿って延設され、一端が前記給電点近傍に
おいて前記第1のアンテナ線に接続される第2のアンテ
ナ線と、前記第2の周波数帯の電波を受信するために、
前記第1のガラスに対して前記車両の左右方向で反対側
の側面にある第2のガラス上に延設された第3のアンテ
ナ線と、前記第2のアンテナ線と前記第3のアンテナ線
とを接続するための接続線であって、一方の端部が前記
第2のガラス上の所定の位置において前記第3のアンテ
ナ線に接続され、他方の端部が前記第1のガラス面上の
前記給電点から離間した位置に於て前記第2のアンテナ
線と接続される接続線とを具備したことを特徴とする。
【0011】左右の2つの側面ガラスを積極的に利用す
ることにより、そして第1項のガラスアンテナと同じ機
能により、性能の良い周波数ダイバシティを達成するこ
とができる。請求項3の発明によれば、前記第1のアン
テナ線の前記給電点は前記第1のガラス面の周縁上に設
けられている。
【0012】請求項4の発明によれば、前記第1の周波
数帯はFM周波数帯であり、前記第2の周波数帯はAM
周波数帯である。請求項5の発明によれば、前記第1の
アンテナ線は、前記第1のガラス面の幅方向の略中央位
置に於て下方に延設されている。高い周波数の電波を受
信する第1のアンテナ線はガラスの周縁でない位置に延
設されるほうが好ましい。
【0013】請求項6の発明によれば、前記第2のアン
テナ線は、前記第1のガラス面の水平方向縁部と略上下
方向縁部に沿って延設された一本の線であることを特徴
とする。ガラス面を最大限に利用して、なるべく長いア
ンテナ線を確保できると共に、そのアンテナ線はガラス
の内側に向かって走る無効なアンテナ線部分がより少な
くなる。
【0014】請求項7の発明によれば、前記第2のアン
テナ線は、前記第1のガラス面の周縁に沿うように、且
つその終端点が孤立するように延設されることにより閉
じていないことを特徴とする。請求項8の発明によれ
ば、前記第2のアンテナ線は前記第1のガラス面の周縁
に沿って延設され、その端部の近傍において枝線を有す
ることを特徴とする。ガラス面の空き領域を積極的に活
用することができる。
【0015】請求項9の発明によれば、前記第3のアン
テナ線は、前記第2のガラスの上方の略水平方向周縁に
沿って延設された枝線と、前記第2のガラスの略上下方
向の周縁に沿って延設された少なくとも2本の枝線とを
有することを特徴とする。水平に走る枝線を上方の一本
とすることにより、ハーネスノイズの影響を少なくする
ことができる。
【0016】請求項10の発明によれば、前記第1のガ
ラス及び第2のガラスは略矩形形状を有し、前記第2の
アンテナ線は前記第1のガラスの下方の略水平方向周縁
に沿って延設された枝線を有し、前記第3のアンテナ線
は前記第2のガラスの下方の略水平方向周縁に沿って延
設された枝線を有し、前記第2のガラスの下方端部から
前記第3のアンテナ線の前記枝線までの距離は、前記第
1のガラスの下方端部から前記第2のアンテナ線の前記
枝線までの距離よりも長く設定されている。
【0017】第2のガラス上のアンテナ線をハーネスか
ら遠ざけることにより、ハーネスノイズの影響を少なく
することができる。請求項11の発明によれば、前記第
3のアンテナ線の、前記第2のガラスの上方の略水平方
向周縁に沿って延設された枝線は、前記第2のガラスの
上部周縁から延設され始め、前記第2のガラスの上下方
向長さよりも短い位置に於て終端していることを特徴と
する。
【0018】第2のガラス上のアンテナ線をハーネスか
ら遠ざけ、さらに底辺にはアンテナ線を延設しないこと
により、ハーネスノイズの影響を少なくすることができ
る。請求項12の発明によれば、前記接続線はAV線で
あることを特徴とする。AV線を用いることにより、前
述の直列接続効果を上げることができる。上記課題を達
成するための本発明の、第1の周波数帯の電波と前記第
1の周波数帯よりも低い第2の周は数帯の電波を受ける
ために、アンテナ線を車両の第1ガラス面と第2のガラ
ス面上における延設位置を設計する方法であって、前記
第1の周波数帯の電波を受信するための、前記第1のガ
ラス上に置いて略上下方向に延設される第1のアンテナ
線の長さと給電点の位置とを決定し、前記給電点位置か
ら前記第1のガラス面の上方の周縁に沿って延設される
第2のアンテナ線の長さ及び終端位置を決定し、前記第
2のガラス面上に延設され、前記第2のアンテナ線の前
記終端位置から介設された接続線により前記第2のアン
テナ線と電気的に接続された第3のアンテナ線の長さ
を、前記第2のアンテナ線と前記第3のアンテナ線との
インピーダンスが前記第1の周は数帯域について高い値
を示すように決定することを特徴とする。
【0019】第1のアンテナ線と、第2,第3のアンテ
ナ線との相互の影響を考える必要なく簡単にアンテナを
設計できる。
【0020】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明の好適
な実施例を2つ挙げて説明する。両実施例は、FM電波
とAM電波を共に高感度で受信するという点では共通
し、第1実施例は自動車の1枚の側面ガラスにFM用ガ
ラスアンテナとAM用のガラスアンテナを設けたもので
あり、第2実施例は1枚の側面ガラス上にFM用ガラス
アンテナとAM用のガラスアンテナを設け、相対向する
側面ガラス上に付加のAMアンテナを設けたものであ
る。自動車の側面ガラス(リアガラスも)は、フロント
ガラスに比して直立させるがゆえに上下方向の長さを大
きくとれない。両実施例は、側面ガラスのこの問題を解
消する。
【0021】〈第1実施例〉第1実施例の構成 図1は、本発明のガラスアンテナを自動車の左側面ガラ
スに適用した実施例を説明する。同図において、10L
は自動車(その車両の本体自体の図示は省略する)の左
側面ガラスである。ここで、図1の奥方向が車両の後方
であり、手前方向が車両の前方である。また、乗員が乗
車したときに前方にむいて右側にあるガラスが右側面ガ
ラス(10R、図1では不図示)、左側にあるガラスが
左側面ガラス(10L)である。
【0022】図1において、20(20-1,20-2)は
主にFM電波受信用のアンテナ線であり、20-1は主ア
ンテナ線であり、20-2はこの自動車が受信すべきFM
電波の周波数帯域を感度よく受信するようにアンテナ線
20の長さを適合する為に付加された付加部分である。
アンテナ線20は、この実施例では所謂モノポール型ア
ンテナであり、図1に示すように、給電点16から下方
向に伸びている。付加アンテナ線20-2が主アンテナ線
20-1に対して折れ曲がっているのは、アンテナ線20
に必要な長さが図1のガラス10Lの上下方向の長さを
超えているためである。
【0023】図1において、給電点16には同軸ケーブ
ル12の信号線13が接続されている。ケーブル12は
不図示のTV装置やFMチューナやAMチューナに接続
されている。ガラス10L上にはアンテナ線30が更に
延設されている。このアンテナ線30は、給電点16に
おいてアンテナ線20に接続され、この給電点16を起
点にしてガラス10Lの周縁部に沿って延設されてい
る。アンテナ線20は主にFM電波を受信するが、アン
テナ線30は、アンテナ線20と共にAM電波を受信す
るように機能する。即ち、アンテナ線30の主アンテナ
部分を30-1とすると、この主アンテナ線30-1は車両
後方に向けて延設され、さらに付加アンテナ線30-2
が、主アンテナ線30-1の終端に接続され、さらにこの
終端から略下方に向けて延設され、さらに付加アンテナ
線30-3が付加アンテナ線30-2の終端に接続されこの
終端から略前方に向け延設され、さらに付加アンテナ線
30-4が付加アンテナ線30-3の終端に接続されこの終
端から略上方に向けて延設され、さらに付加アンテナ線
30-5が付加アンテナ線30-4の終端に接続されこの終
端から略後方に向けて延設されている。
【0024】図1の例で、ガラスの上側の横方向の長さ
を約920mmとし、下側の横方向の長さを約880mmと
すると、FM受信用のアンテナ線20-1の長さは約37
0mmに、枝アンテナ線30-4の長さは約370mmに、枝
線30-5の長さは約450mmに設定した。このようにす
ると、アンテナ線30の全長は2300mmとなった。ま
た、アンテナ線30-1,30-5はガラス周縁の端部から
約50mmに、アンテナ線30-2はガラス周縁の端部から
約35mmに、アンテナ線30-3はガラス周縁の端部から
約30mmに設定した。さらに、アンテナ枝線20-2はア
ンテナ線30-3から10mmの距離だけ離間されている。
尚、種々の実験によると、外周に設けられたアンテナ線
30はガラスの周縁(即ち車体配面から約10mm〜30
mmの範囲内にあると好結果が得られた。
【0025】第1実施例の原理 第1実施例において、アンテナ線20は主にFM受信用
に用いられる。一方、AM周波数帯域に対しては、アン
テナ線20とアンテナ線30とがアンテナ導体として作
用する。即ち、アンテナ線20-1,20-2がFMアンテ
ナを構成し、アンテナ線20-1,20-2とアンテナ線3
0-1,30-2,30-3,30-4,30-5の双方がAMア
ンテナを構成する。
【0026】第1実施例のAM/FMアンテナシステム
の原理は、窓ガラスの周縁部に給電点を有し、この起点
からアンテナ線20が上下方向にモノポール型アンテナ
として設けられ、アンテナ線20の主アンテナ部分20
-1から更にAMアンテナ線20,30がガラス10Lの
周縁に沿って且つ周縁部からなるべく離間しないよう
に、順に目的の長さが得られるまで延設することにあ
る。
【0027】高い周波数であるFM電波を受信するため
のアンテナ線20は、AM用アンテナ線20,30に比
して短く設定できるために、モノポール型アンテナによ
って構成できる。アンテナ線20とアンテナ線30によ
って高性能のアンテナシステムを構成するためには、A
Mアンテナ線20,30がFMアンテナ線20のFM電
波の受信に影響しないことが望ましい。しかしながら、
モノポール型アンテナであるアンテナ線20は自動車の
側面ガラスに設けられているがゆえに比較的に短い。従
って、アンテナ線20自体のインピーダンスは低く(1
0Ω程度)ならざるを得ず、AMアンテナ線20,30
の影響を受け易い。そこで、第1実施例では、AMアン
テナ線の一部30をガラスの周縁部に沿って延設される
ことによってインピーダンスを上げている。
【0028】図2〜図6は、アンテナ線30の長さを長
くしていったときの図である。図2のように、アンテナ
線20のみのときの、AM電波の受信感度の基準(0d
B)とすると、AM線30-1を付加する(図3参照)こ
とにより3dBアップし、AM線30-2,30-3を付加
する(図4参照)ことにより1.9dBアップし、AM
線30-4を付加する(図5参照)ことにより2.2dB
アップし、AM線30-5を付加する(図6参照)ことに
より1.5dBアップすることが分かった。即ち、図1
の構成のアンテナ線により、図2のアンテナシステムに
比して合計で8.6dB受信感度がアップした。
【0029】AM受信感度の向上 図7は、AM電波の受信感度のさらなる上昇を目的とし
た付加線の増加を示す図である。即ち、枝線30-5はさ
らに延ばすとアンテナ線20に近接しFMアンテナの感
度に影響を与える。そこで、アンテナ線20に平行に図
7に示すように、AMアンテナ線の枝線30-6を追加す
る。アンテナ線30の枝線は本来はガラスの周縁に沿っ
て延設されるべきであるが、枝線を図7に示すようにガ
ラス面の周縁からはなれると、金衛第線を設けたことに
よる受信感度の上昇率は低減する。ちなみに、図7の例
では、枝線30-6を追加すると、0.6dB感度が上昇
した。尚、さらなるAM受信感度の上昇を見込むために
は、枝線30-6に平行な枝線を追加すればよい。
【0030】また、AMアンテナ枝線30-6の位置は、
乗員の視界の邪魔にならず、且つアンテナ枝線30-4と
アンテナ線20-1の中間(中央である必要はない)に設
置されればよい。尚、AM用の枝線30-6を追加するこ
とによりAM受信感度を上昇させることは、次に説明す
る第2実施例のアンテナシステムにも適用できる。
【0031】アンテナ線の破断対策 自動車の側面ガラスは、そのアンテナ線が延設された面
を清掃などによって乗員などが擦ることが多い。そのた
めに、FM受信アンテナとして重要なアンテナ線20は
断線する確率が高くなる。図8は断線対策を示す。図8
において、FMアンテナ線20-2に、さらに、枝線20
-3、枝線20-4、枝線20-5を追加し、枝線20-5の終
端を給電点16に接続させる。こうすることにより、F
Mアンテナ線20-1と枝線20-2、枝線20-3、枝線2
0-4、枝線20-5は1つのループを形成する。換言すれ
ば、FMアンテナ線は二重化されたことになる。このた
めに、いずれかの場所で断線があっても、切れた後のF
Mアンテナ線は2つのモノポール型アンテナとして機能
し、FM受信機能は維持される。
【0032】尚、二重化されたFMアンテナ線が同様の
機能を有するように、図8に示す各種離間距離は、d1
=d2=d3=10mmとした。図9は枝線20-5に破断が
発生した場合(即ち、アンテナ線の途中に破断が発生)
を示し、図10は枝線20-3に破断が発生した場合(即
ち、アンテナ線の先端部に破断が発生)を示す。
【0033】図11,図12における実線Iは、夫々、
破断がない場合の、水辺偏波の受信感度、垂直偏波の受
信感度を示す。そして、図11,図12における破線II
は、夫々、図9のような破断が発生した場合における、
水辺偏波の受信感度、垂直偏波の受信感度を示す。破断
が発生しても、聴感上の差異に現われるような感度劣化
が発生していないことが分かる。図13,図14におけ
る実線Iは、夫々、破断がない場合の、水辺偏波、垂直
偏波に対する指向特性を示す。そして、図13,図14
における破線IIは、夫々、図9のような破断が発生した
場合における、水辺偏波、垂直偏波に対する指向特性を
示す。破断が発生しても、指向性の劣化は発生していな
いことが分かる。
【0034】図17,図18における実線Iは、夫々、
破断がない場合の、水辺偏波の受信感度、垂直偏波の受
信感度を示す。そして、図17,図18における破線II
は、夫々、図10のような破断が先端に発生した場合に
おける、水辺偏波の受信感度、垂直偏波の受信感度を示
す。破断が発生しても、聴感上の差異に現われるような
感度劣化が発生していないことが分かる。図15,図1
6における実線Iは、夫々、破断がない場合の、水辺偏
波、垂直偏波に対する指向特性を示す。そして、図1
5,図16における破線IIは、夫々、図10のような破
断が発生した場合における、水平偏波、垂直偏波に対す
る指向特性を示す。破断が発生しても、指向性の劣化は
発生していないことが分かる。
【0035】尚、上述のアンテナ線の破断対策は次に説
明する第2の実施例のアンテナシステムにも適用でき
る。 〈第1実施例の効果〉以上説明した第1実施例のアンテ
ナシステムによれば: :面積を大きくとれないという側面ガラスの制限にも
かかわらず、アンテナ線を次々と折り返すことによって
(例えば、アンテナ線20-1と20-2、またはアンテナ
線30-1〜30-5)必要なFM用アンテナ線の長さを確
保している。 :面積を大きくとれないという側面ガラスの制限、即
ちFMアンテナ線のインピーダンスが小さくなってしま
うという制限にもかかわらず、FM受信用のアンテナ線
20に対して、アンテナ線30-1は開放スタブとして機
能するので、AM用アンテナ枝線30はアンテナ線20
に対して影響を与えない。即ち、夫々が他方の受信性能
に影響を与えないアンテナシステムが構成できる。 :アンテナ線30はガラス周縁に沿って延設されてい
るために、AM受信に対して十分な受信感度を確保でき
る。 :AM受信用には長いアンテナ線を確保しなければな
らず、従来では、面積の大きなリアガラスにアンテナ線
を設けることしか可能ではなく、感度の上昇を計るには
そのリアガラス上のデフォッガを積極的に利用するしか
なかった。しかし、前述したように、側面ガラスは面積
も少なくデフォッガに配線が設けられることもない。本
発明の第1実施例では、窓ガラスの周縁にAM用のアン
テナ線を配設し、これで十分な受信感度が得られるの
で、デフォッガを必要としなくなり(さらにデフォッガ
を利用する場合に必要であったチョークコイルも併せて
必要としなくなる)、全体構成を簡素化することができ
た。
【0036】〈第2実施例〉次に説明する第2実施例
は、AM受信感度をさらに向上させた実施例である。こ
の第2実施例は、AMアンテナ線を、2つのガラス面に
亘って延設させる点に特徴がある。構成 図19は、第2実施例のアンテナシステムの構成を説明
する。同図において、ガラス10Lは第1実施例と同じ
ように左側面ガラスを表し、10Rは、左側面ガラス1
0Lに相対抗して設けられている右側面ガラスを表す。
図示の便宜上、ガラス10L,10Rの形状は図19に
おいて矩形を示しているが、実際は図20のような第1
実施例と同じように平行四辺形をしており、または、任
意の形状をしていてもよい。
【0037】図19の右側面ガラス10Rの面上には、
AM受信用の付加アンテナ線31-1,付加アンテナ線3
1-2,付加アンテナ線31-3,付加アンテナ線31-4,
付加アンテナ線31-5が延設されている。左側面ガラス
10Lに設けられたAMアンテナ線30と右側面ガラス
10Rに設けられたAMアンテナ線31は、接続線14
によって接続されている。接続線14は、左側面ガラス
10Lに設けられたAMアンテナ線30とは接続点15
Lにおいて、右側面ガラス10Rに設けられたAMアン
テナ線31とは接続点15Rにおいて接続されている。
即ち、第2実施例において、アンテナ線20は主にFM
受信用に用いられ、AM周波数帯域に対しては、アンテ
ナ線20とアンテナ線30,31とがアンテナ導体とし
て作用する。即ち、アンテナ線20-1,20-2がFMア
ンテナを構成し、アンテナ線20-1,20-2とアンテナ
線30-1,30-2,30-3,30-4,30-5とアンテナ
線31-1,31-2,31-3,31-4,31-5の3組のア
ンテナ線がAMアンテナを構成する。
【0038】図19において、ケーブル11L,11R
は、夫々、ガラス10L,10Rの下部に配置された通
常は車体によって隠されているケーブルハーネスであ
る。図20に、図19の左側面ガラス10Lの延設され
たアンテナ線20とアンテナ線30の配置を示す。図2
1に、図19の右側面ガラス10Rの延設されたAMア
ンテナ線31の配置を示す。第2実施例の図20と第1
実施例の図1を比較してみると、接続線14が接続点1
5Lに於て接続されていることが大きな相違であること
が分かる。
【0039】開放スタブ構造 前述の第1実施例と同じように、AM用のアンテナ線と
増設がFM電波の受信に悪影響があってはならない。一
方、第1実施例と同じように、左側面ガラス上の面積は
小さいので、アンテナ線20のインピーダンスは小さい
ものとならざるを得ない。
【0040】図19,図20において、AMアンテナ線
30-1の給電点16と接続点15Lとの間のラインはア
ンテナ線とフィーダ線13とのインピーダンス整合をと
るためのスタブ(stub)として作用する。スタブは、通
常、アンテナ線とフィーダ線のインピーダンスの整合を
とるために、そのスタブ部分の分布定数がアンテナ線の
インピーダンスを変化させるので、その長さを適当にと
れば、アンテナ線とフィーダ線のインピーダンスが整合
されて反射波が発生しないようになる。
【0041】この第2実施例では、左ガラスと右ガラス
とを接続するための接続線を同軸ケーブルなどではな
く、通常のAV線を用いることにより、そして、接続点
15Lの位置を適当に設定することにより、通常のスタ
ブとして機能させると共に、アンテナ線20から見て、
左ガラス10L上のAM用アンテナ線30と右ガラス1
0R上のAM用アンテナ線31が大きなインピーダンス
を持つようにならしめる点に特徴がある。アンテナ線3
0,31がFMアンテナ線20から見て大きなインピー
ダンスを持ては、AM用アンテナ線30,31はFMア
ンテナ線20にとって恰も存在しないものとなり、その
アンテナ線20に対する影響は無視できるものとなる。
【0042】図22〜図33は、右側ガラスのアンテナ
線31との接続を行なうための接続線14との接続点1
5Lの位置を、左側ガラス面上に於て色々と変えたとき
の、各FM周波数に対するインピーダンス特性(VSW
R)を示す。各図において、1は接続点15Lの給電点
16からの距離を示し、l=20cm(図22)は、接続
点15Lが図20に示した位置にある場合を示す。図3
4〜図44は、夫々、図23〜図33に示されたVSW
R図の接続点15Lの位置を示す。
【0043】図45は、右側ガラスが存在しない場合の
VSWR図を示す。図22〜図33から分かるように、
接続点15Lを給電点16から適当な距離だけ離間さ
せ、活のその接続点15Lをガラス面の周縁上にとれば
広い周波数範囲で良好なVSWR特性が得られることが
分かる。さらに、図45のから、左ガラスと右ガラス上
にAMアンテナ線が存在すると、右ガラス上にAMアン
テナ線が存在しない場合に比して良好なVSWR特性が
得られることが分かる。
【0044】このように、第2実施例によれば、右側ガ
ラス10RにAM用アンテナ線31が存在しても、この
アンテナ線31はアンテナ線20に対して大きなインピ
ーダンスを有するものとなり、その存在がFMの受信特
性に影響を与えないものとなる。図46は、水平偏波さ
れたFM電波を、第2実施例の開放スタブ構造(AM線
30を有する構造)を有したアンテナシステム(図19
のアンテナシステム)で受信した場合の受信感度(実
線)と、ピラーに設けられたアンテナシステム(不図
示)で受信した場合の受信感度(破線)とを示す。同じ
く、図47は、水平偏波されたFM電波を、第2実施例
のアンテナシステムで受信した場合の指向性(実線)
と、ピラーアンテナシステムで受信した場合の指向性
(破線)とを示す。同じく、図48は、垂直偏波された
FM電波を、第2実施例のアンテナシステムで受信した
場合の受信感度(実線)と、ピラーアンテナシステムで
受信した場合の受信感度(破線)とを示す。図46〜図
48は、第2実施例のスタブ構造を有するアンテナシス
テムのFM電波の受信性能がピラーアンテナに比して遜
色のないものであることを物語っている。
【0045】図49は、水平偏波されたFM電波(76
MHz〜90MHz)を、第2実施例のスタブ構造(AM用枝
線30を有する構造)を有するアンテナシステムで受信
した場合の受信感度特性(実線)と、上記スタブ構造を
有さないアンテナシステム(不図示であるが、図20に
おいて、AM用アンテナ線30を有さず、アンテナ線2
0のみアンテナシステム)で受信した場合の受信感度
(破線)とを示す。図50は、同電波に対する指向特性
について、第2実施例のアンテナシステム(実線)とス
タブ構造を有さないアンテナシステム(破線)とを比較
した図である。図51は、水平偏波されたFM電波(8
8MHz〜108MHz)を、第2実施例のスタブ構造を有す
るアンテナシステムで受信した場合の受信感度特性(実
線)と、上記スタブ構造を有さないアンテナシステムで
受信した場合の受信感度(破線)とを示す。図52は、
同電波に対する指向特性について、第2実施例のアンテ
ナシステム(実線)とスタブ構造を有さないアンテナシ
ステム(破線)とを比較したズである。図53は、垂直
偏波されたFM電波(76MHz〜90MHz)を、第2実施
例のスタブ構造を有するアンテナシステムで受信した場
合の受信感度特性(実線)と、上記スタブ構造を有さな
いアンテナシステムで受信した場合の受信感度(破線)
とを示す。図54は、同電波に対する指向特性につい
て、第2実施例のアンテナシステム(実線)とスタブ構
造を有さないアンテナシステム(破線)とを比較した図
である。
【0046】図49〜図54は、同スタブ構造のための
AMアンテナ線が、FM電波の受信性能(受信感度と指
向性)に影響を与えていないことを物語っている。第1実施例との比較 図55は、水平偏波されたFM電波(76MHz〜90MH
z)を、第2実施例のアンテナシステムで受信したとき
の受信感度(実線)と、第1実施例のアンテナシステム
で受信したときの受信感度(破線)を示す。図56は、
同FM電波を、第2実施例のアンテナシステムで受信し
たときの指向性(実線)と、第1実施例のアンテナシス
テムで受信したときの指向性(破線)を示す。
【0047】図54,図55は、第2実施例の開放スタ
ブ構造が、右ガラス上のアンテナ線31の影響を無視で
きるものとすることにより、AMアンテナ線に影響され
ないFM受信性能を得ることができることを物語ってい
る。このことは、第2実施例の開放スタブ構造を有する
アンテナシステムは、右側ガラスに敷設するアンテナ線
は図21のようなアンテナ線でも勿論良く、あるいは例
えば、モノポール型アンテナ線やループアンテナ線によ
って置き換え可能であることを示している。さらに、A
Mアンテナ線にFM受信性能に影響させないと言う上記
開放スタブ構造を採用することにより、AM用アンテナ
線31が受信したFM電波の受信信号が接続線14を介
して給電点16に流れなくなり、従来では必要であった
FM信号をカットするための例えばコイル等を不要とす
ることができる。
【0048】AM受信性能 以下は、第2実施例のアンテナシステム(さらには第1
実施例のアンテナシステム)のAM電波に対する受信感
度を従来のピラーアンテナと比較したものである。特
に、表1,表2は、接続線14としてAV線を用いた例
であり、表3は接続線の線種を色々と変えたときのAM
受信感度をまとめたものである。
【0049】表1はアンテナからチューナまでに75Ω
の1.5Cケーブルを用いて第1実施例,第2実施例の
アンテナシステムを構成したものである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】 上記の2つの表から見て、左ガラス面上のアンテナ線3
0とAV線14を介して接続された右ガラス面上のAM
用のアンテナ線31はAM感度補正用として機能するこ
とがわかる。特に、1.5Cケーブルを用いた表1によ
れば平均で約4dB、低容量ケーブルを用いた表2の例
では平均で3dB、感度が向上している。右ガラス上の
AMアンテナ線31のAM感度向上に対する寄与の大き
さが分かる。
【0052】
【表3】 表3から明らかなように、接続線としてAV線を用いる
ほうが、同軸ケーブルを用いることに比して平均で約2
dB感度が上昇することが分かる。同軸ケーブルを使用
すると、ケーブル中の浮遊容量が無効容量として作用し
感度のロスとなって現れるからである。
【0053】ここで、従来の特開平4−77005号の
ガラスアンテナシステムと第2実施例のガラスアンテナ
システムとの違いについて説明する。特開平4−770
05号のアンテナシステムでは、2つのガラスのうちの
第1のガラス面上に、FMアンテナパターンと位相調整
用の導体素子とが設けられ、これらはその第1のガラス
面上の給電点に接続されている。一方、他方の第2のガ
ラス面上に於ては同じFM受信用のアンテナパターンが
形成され、そのアンテナパターンはその第2のガラス面
上に設けられた給電点に接続されている。これら2つの
給電点は、同軸の接続線によってガラス外に導かれて合
流されている。即ち、2つのガラス面上のアンテナパタ
ーンによって受信された信号が合成され、合成された信
号がチューナに導かれる。
【0054】従って、第2実施例のAM受信アンテナシ
ステム(特に、AM受信用の左ガラス上のアンテナ線3
0と右ガラス上のアンテナ線31)と特開平4−770
05号のFM受信用のアンテナシステムとを比較する
と、 :第2実施例の右ガラス上のアンテナ線31は接続線
14を介してアンテナ線30に接続されて合流し、さら
に1つの給電点16に接続されているために、2つのア
ンテナ線30,31は、全体として見れば直列接続シス
テムである。一方、特開平4−77005号では2つの
ガラス面上の夫々のアンテナ線は各々の給電点を有して
いる。従って、特開平4−77005号のアンテナシス
テムは全体としてみれば並列システムである。 :並列構成が特徴である特開平4−77005号では
広域カット用のコイルが必要となるが、前述の開放スタ
ブ構造を有する第2実施例のアンテナシステムではAM
アンテナ線がFM受信に影響を与えないために、そのよ
うなコイルは不要となる。 :同軸ケーブルを使わざるを得ない特開平4−770
05号ではその同軸ケーブルの浮遊容量が無効容量とし
て作用するが、AV線を使用しても構わない本願発明の
第2実施例では同軸ケーブルを使わずに安価で浮遊容量
の少ないAV線を使うことにより高感度を維持すること
ができる。
【0055】ノイズの減少化 アンテナ線を側面ガラスを取付けるときに発生する問題
として、車体側面には多くの信号線が走っており、その
信号線のケーブルがガラス面上のアンテナ線に近いとノ
イズ源となるということである。図19において、第2
実施例のアンテナシステムは、AM受信については、左
右の側面ガラスの夫々のAM受信用のアンテナ線を延設
することにより、AM受信感度を分散させている。この
ことは、個々のガラス上のアンテナ線30,31の受信
感度を低く抑えることとなる。それ故に、感度を低減さ
せられたAM受信用のアンテナ線はノイズの受信につい
ても感度が低くなるというメリットを得ることができ
る。
【0056】特に、フラッシャ等は左右が同時に作動す
ることは少ないので、ある時点では右あるいは左のみの
フラッシャが点滅している。従って、AM受信信号は合
成されることにより感度は向上するが、左右同時には作
動しないような機器からのノイズは半分であるのでノイ
ズの絶対量は少なくなる。さらに、第2実施例に採用さ
れている第2のノイズ低減手法の原理について説明す
る。図20,図21において、左ガラス10L上のアン
テナ線30-3のガラス周縁からの距離は30mmであるの
に対して、右ガラス10R上のアンテナ線31-3,31
ー4,31ー5の各々の最下位端部からガラス周縁までの距
離は80mmである。即ち、右ガラス10R上におけるア
ンテナ線をノイズ源からの距離を、左ガラスにおけるノ
イズ源からの距離よりも大きくとっている。換言すれ
ば、右ガラスにおいてはノイズの対する受信感度を相対
的に低減させている。さらに、左ガラス上に於いては、
水平公報のアンテナ線30ー3が設けられているのに対
し、右ガラスではガラス下部に於て水平方向に延びるA
Mアンテナ線は設けられていない。この不設置によって
も右ガラスにおけるノイズ受信感度の低減に役立ってい
る。
【0057】図57は、AM用アンテナ線30,31の
分散配置とノイズ源からの離間という手法を採用する本
発明の第2実施例と従来(例1〜3)とを比較して結果
である。図57の従来例1では、通所の感度のAMアン
テナをノイズ源であるハーネスから離してアンテナシス
テムを構成した場合には、ハーネスから受ける離調ノイ
ズの大きさは6dBであり、そのときのAM受信感度は
12dBであった。離調ノイズの大きさが6dBであれ
ば許容範囲内である。また、受信感度が12dBであれ
ば聴感上問題はない。ところが、従来例1のAMアンテ
ナ線をハーネス近傍に設置したときは図57の従来例2
に示すように、AM受信感度は12dBを維持したもの
の、離聴ノイズの大きさは12dBに上昇してしまい、
聴感上の問題は大きかった。
【0058】ところが第2実施例では、低感度の左側ア
ンテナ線30(−5dB)をハーネス近傍に設け(図2
0に示すようにガラス周縁から30mm)、同じく低感度
の右側アンテナ線31(−8dB)をハーネスから大き
く離間して(図21に示すようにガラス周縁から80m
m)設けている。このために、左アンテナ線30による
AM受信感度は7dBであり、右アンテナ線31による
受信感度は4dBであるので、全システムで11dBの
受信感度が選られ実用上全く問題がない。そして、左ア
ンテナ線30の受けた離聴ノイズの大きさは7dBであ
り、右アンテナ線31の受けた離聴ノイズの大きさは0
dBであるので、合計で7dBであり、この値は実用上
許容範囲内であった。
【0059】〈第2実施例の効果〉前述の第1実施例の
効果〜に加えて、さらに: :開放スタブ構成を採用したために、右ガラス上のア
ンテナ線31がアンテナ線20に影響しないようにな
り、高性能のガラスアンテナシステムの設計が容易にな
る。 :左右のガラス面上に配設されたアンテナ線30,3
1は直列接続となり、結果として、ガラス面積の増大の
降下が従来の特開平4−77005号における並列接続
方式に比べて大きくなる。従って、FM受信についても
従来のピラーアンテナと同等の感度を得ることができ、
AM受信についてもピラーアンテナと同等のものが得ら
れる。 :左右のガラス面上に夫々AM受信用のアンテナ線3
0とアンテナ線31を延設することにより、各々アンテ
ナ線の受信感度を下げることができる。このために、各
々のアンテナ線がノイズを拾う量が低くなる。 :右側ガラス上だけのアンテナ線31をハーネスから
大きく離間させることにより、ノイズ受信レベルを低下
させることができ、他方の左側ガラス10L上における
アンテナ線30をガラスの周縁に沿って大きくとること
によりAMアンテナ線として機能を確保できる。換言す
れば、ノイズの低減とAM感度の確保の両立がはかれ
る。 :右ガラス10R上のアンテナ線のうち、最低辺のア
ンテナ線をカットすることによりハーネスからのノイズ
を低減できる。これは右ガラス上のアンテナ線はAM受
信については左ガラスのアンテナ線30に対して補助と
して作用するので、最低辺のアンテナ線をカットするこ
とが許されるからである。
【0060】〈第1,第2実施例に共通な効果〉前述の
第1実施例と第2実施例とにおいて共通に奏される効果
として、上記〜以外に以下の効果が得られる。 I:図8に示すように、FM用のアンテナ線20を二重
化することにより万一一本が切れても受信機能を継続す
ることができる。 II:ガラス周縁に延節されたAM用アンテナ線に対し
て枝線として、モノポール型アンテナ導線を図8の30
-6または図21の31-4のように延設することにより、
AM受信感度を向上させることができる。 III:AM線をハーネスから離間させることによって
ノイズからの影響を低減できる。
【0061】〈変形〉なお、本発明が摘要されるべき車
両は、バンやワゴン等の自動車に限られない、凡そ、ガ
ラスが装着されている車両であればすべての車両に適用
される。また、本発明が適用されるべきガラスの位置は
後部座席の側面ガラスに限定されない。本発明の原理か
ら言って、1台の車両中のいかなるガラス面に対しても
適用可能である。例えば、第1実施例のガラスアンテナ
は、後部座席のガラスに限定されず、全部座席のガラス
面に、あるいは場合によってはリアガラス面に適用可能
である。また、第2実施例については、本発明のガラス
アンテナが適用されるべきガラスの組み合わせは、2枚
以上であってもよい。また、その2枚以上のガラスは、
例えば、同じ側面ガラス同士でも、前部座席に近い1枚
の右側(あるいは左側)ガラスと後部座席に近い1枚の
左側(あるいは左側)ガラス等のようにバリエーション
に富む。要は、第2実施例にあっては、低周波帯域(A
M)用の付加アンテナ線31は、その帯域用の主アンテ
ナ線30と異なるガラスであれば原理的にはどこであっ
てもよい。
【0062】本発明は、上記AM受信とFM受信に限定
されない。高域と中域(あるいは低域)の2つの電波の
受信にも適用できる。第2実施例のAV線を用いたアン
テナ線の直列接続は原理的には3枚以上のガラス面に延
設されたアンテナ線にも適用できる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両用ガ
ラスアンテナによれば、車両の2つのガラス面に夫々設
けられたアンテナ線を組み合わせ、スタブ構成と直列接
続とにより、高性能の車両用ガラスアンテナを提案する
ものである。本発明の設計方法によれば、スタブ構成と
直列接続により、他の周波数帯の影響を考慮する手間か
ら開放されるので、高性能のガラスアンテナシステムを
容易に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかるアンテナシステム
の構成を示す図である。
【図2】第1実施例において、AM用のアンテナ線の長
さを延ばしていったときに、その長さが受信感度に与え
る影響を示す図である。
【図3】第1実施例において、AM用のアンテナ線の長
さを延ばしていったときに、その長さが受信感度に与え
る影響を示す図である。
【図4】第1実施例において、AM用のアンテナ線の長
さを延ばしていったときに、その長さが受信感度に与え
る影響を示す図である。
【図5】第1実施例において、AM用のアンテナ線の長
さを延ばしていったときに、その長さが受信感度に与え
る影響を示す図である。
【図6】第1実施例において、AM用のアンテナ線の長
さを延ばしていったときに、その長さが受信感度に与え
る影響を示す図である。
【図7】第1実施例(あるいは第2実施例)のAM受信
用のアンテナ線30に枝線30ー6を設けた変形例を示す
図である。
【図8】第1実施例(あるいは第2実施例)のアンテナ
線20を二重化したときの構成を示す図である。
【図9】FMのアンテナ線の二重化の効果を説明する図
である。
【図10】FMのアンテナ線の二重化の効果を説明する
図である。
【図11】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図12】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図13】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図14】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図15】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図16】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図17】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図18】FMのアンテナ線の二重化の効果の実験結果
を説明する図である。
【図19】本発明の第2実施例の構成を説明する図であ
る。
【図20】第2実施例の左側ガラス上のアンテナシステ
ムを説明する図である。
【図21】第2実施例の右側ガラス上のアンテナシステ
ムを説明する図である。
【図22】第2実施例においてl=20cmとしたときの
VSWR特性を説明する図である。
【図23】第2実施例においてl=40cmとしたときの
VSWR特性を説明する図である。
【図24】第2実施例においてl=60cmとしたときの
VSWR特性を説明する図である。
【図25】第2実施例においてl=80cmとしたときの
VSWR特性を説明する図である。
【図26】第2実施例においてl=100cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図27】第2実施例においてl=120cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図28】第2実施例においてl=140cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図29】第2実施例においてl=160cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図30】第2実施例においてl=180cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図31】第2実施例においてl=200cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図32】第2実施例においてl=220cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図33】第2実施例においてl=235cmとしたとき
のVSWR特性を説明する図である。
【図34】第2実施例においてl=40cmとしたときの
左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位置
を示す図である。
【図35】第2実施例においてl=60cmとしたときの
左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位置
を示す図である。
【図36】第2実施例においてl=80cmとしたときの
左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位置
を示す図である。
【図37】第2実施例においてl=100cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図38】第2実施例においてl=120cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図39】第2実施例においてl=140cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図40】第2実施例においてl=160cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図41】第2実施例においてl=180cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図42】第2実施例においてl=200cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図43】第2実施例においてl=220cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図44】第2実施例においてl=235cmとしたとき
の左側アンテナ線30と右側アンテナ線31との接続位
置を示す図である。
【図45】第1実施例のVSWR特性を説明する図であ
る。
【図46】第2実施例と従来のピラーアンテナとの水平
偏波FM電波受信についての受信感度を示す図である。
【図47】第2実施例と従来のピラーアンテナとの水平
偏波FM電波受信についての指向性能を示す図である。
【図48】第2実施例と従来のピラーアンテナとの垂直
偏波FM電波受信についての受信感度を示す図である。
【図49】第2実施例においてスタブのFM電波(76
〜88MHz帯の水平偏波)受信に対する影響を説明する
図である。
【図50】第2実施例においてスタブのFM電波(76
〜88MHz帯の水平偏波)受信に対する指向性について
の影響を説明する図である。
【図51】第2実施例においてスタブのFM電波(88
〜108MHz帯の水平偏波)受信に対する影響を説明す
る図である。
【図52】第2実施例においてスタブのFM電波(88
〜108MHz帯の水平偏波)受信に対する指向性につい
ての影響を説明する図である。
【図53】第2実施例においてスタブのFM電波(76
〜88MHz帯の垂直偏波)受信に対する影響を説明する
図である。
【図54】第2実施例においてスタブのFM電波(76
〜88MHz帯の垂直偏波)受信に対する指向性について
の影響を説明する図である。
【図55】第2実施例において、右側ガラスアンテナを
設けたときと設けなかったときの性能比較を示す図であ
る。
【図56】第2実施例において、右側ガラスアンテナを
設けたときと設けなかったときの性能比較を示す図であ
る。
【図57】第2実施例においてノイズ減少結果を説明す
る図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 健治 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の周波数帯の電波と前記第1の周波
    数帯よりも低い第2の周波数帯の電波を受ける車両用ガ
    ラスアンテナであって、 前記第1の周波数帯の電波を受信するために第1のガラ
    ス上に延設され、前記ガラス上に給電点を設けられた第
    1のアンテナ線と、 前記第2の周波数帯の電波を受信するために前記第1の
    ガラス上に延設され、前記給電点近傍において前記第1
    のアンテナ線に接続される第2のアンテナ線と、 前記第2の周波数帯の電波を受信するために前記第1の
    ガラスと異なる第2のガラス上に延設された第3のアン
    テナ線と、 前記第2のアンテナ線と前記第3のアンテナ線とを接続
    するための接続線であって、一方の端部が前記第2のガ
    ラス上の所定の第1の接続位置において前記第3のアン
    テナ線に接続され、他方の端部が前記第1のガラス面上
    の前記給電点から離間した所定の第2の接続位置に於て
    前記第2のアンテナ線と接続される接続線とを具備した
    ことを特徴とする車両用ガラスアンテナ。
  2. 【請求項2】 第1の周波数帯の電波と前記第1の周波
    数帯よりも低い第2の周波数帯の電波を受ける車両用ガ
    ラスアンテナであって、 前記第1の周波数帯の電波を受信するために、車両の側
    部に設けられた第1のガラス上に延設され、前記ガラス
    上に給電点を設けられた第1のアンテナ線と、 前記第2の周波数帯の電波を受信するために前記第1の
    ガラスの周縁に沿って延設され、一端が前記給電点近傍
    において前記第1のアンテナ線に接続される第2のアン
    テナ線と、 前記第2の周波数帯の電波を受信するために、前記第1
    のガラスに対して前記車両の左右方向で反対側の側面に
    ある第2のガラス上に延設された第3のアンテナ線と、 前記第2のアンテナ線と前記第3のアンテナ線とを接続
    するための接続線であって、一方の端部が前記第2のガ
    ラス上の所定の位置において前記第3のアンテナ線に接
    続され、他方の端部が前記第1のガラス面上の前記給電
    点から離間した位置に於て前記第2のアンテナ線と接続
    される接続線とを具備したことを特徴とする車両用ガラ
    スアンテナ。
  3. 【請求項3】 前記第1のアンテナ線の前記給電点は前
    記第1のガラス面の周縁上に設けられたことを特徴とす
    る請求項1または2に記載の車両用ガラスアンテナ。
  4. 【請求項4】 前記第1の周波数帯はFM周波数帯であ
    り、前記第2の周波数帯はAM周波数帯であることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用ガラ
    スアンテナ。
  5. 【請求項5】 前記第1のアンテナ線は、前記第1のガ
    ラス面の幅方向の略中央位置に於て下方に延設されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    車両用ガラスアンテナ。
  6. 【請求項6】 前記第2のアンテナ線は、前記第1のガ
    ラス面の水平方向縁部と略上下方向縁部に沿って延設さ
    れた一本の線であることを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれかに記載の車両用ガラスアンテナ。
  7. 【請求項7】 前記第2のアンテナ線は、前記第1のガ
    ラス面の周縁に沿うように、且つその終端点が孤立する
    ように延設されることにより閉じていないことを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用ガラスア
    ンテナ。
  8. 【請求項8】 前記第2のアンテナ線は前記第1のガラ
    ス面の周縁に沿って延設され、その端部の近傍において
    枝線を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    かに記載の車両用ガラスアンテナ。
  9. 【請求項9】 前記第3のアンテナ線は、前記第2のガ
    ラスの上方の略水平方向周縁に沿って延設された枝線
    と、前記第2のガラスの略上下方向の周縁に沿って延設
    された少なくとも2本の枝線とを有することを特徴とす
    る請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用ガラスアン
    テナ。
  10. 【請求項10】 前記第1のガラス及び第2のガラスは
    略矩形形状を有し、 前記第2のアンテナ線は前記第1のガラスの下方の略水
    平方向周縁に沿って延設された枝線を有し、 前記第3のアンテナ線は前記第2のガラスの下方の略水
    平方向周縁に沿って延設された枝線を有し、 前記第2のガラスの下方端部から前記第3のアンテナ線
    の前記枝線までの距離は、前記第1のガラスの下方端部
    から前記第2のアンテナ線の前記枝線までの距離よりも
    長く設定されていることを特徴とする請求項1乃至9の
    いずれかに記載の車両用ガラスアンテナ。
  11. 【請求項11】 前記第3のアンテナ線の、前記第2の
    ガラスの上方の略水平方向周縁に沿って延設された枝線
    は、前記第2のガラスの上部周縁から延設され始め、前
    記第2のガラスの上下方向長さよりも短い位置に於て終
    端していることを特徴とする請求項9に記載の車両用ガ
    ラスアンテナ。
  12. 【請求項12】 前記接続線はAV線であることを特徴
    とする請求項1乃至11のいずれかに記載の車両用ガラ
    スアンテナ。
  13. 【請求項13】 第1の周波数帯の電波と前記第1の周
    波数帯よりも低い第2の周は数帯の電波を受けるため
    に、アンテナ線を車両の第1ガラス面と第2のガラス面
    上における延設位置を設計する方法であって、 前記第1の周波数帯の電波を受信するための、前記第1
    のガラス上に置いて略上下方向に延設される第1のアン
    テナ線の長さと給電点の位置とを決定し、 前記給電点位置から前記第1のガラス面の上方の周縁に
    沿って延設される第2のアンテナ線の長さ及び終端位置
    を決定し、 前記第2のガラス面上に延設され、前記第2のアンテナ
    線の前記終端位置から介設された接続線により前記第2
    のアンテナ線と電気的に接続された第3のアンテナ線の
    長さを、前記第2のアンテナ線と前記第3のアンテナ線
    とのインピーダンスが前記第1の周は数帯域について高
    い値を示すように決定することを特徴とする車両用ガラ
    スアンテナの設計方法。
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