JP4225373B2 - 車両用のガラスアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの後部窓ガラス、特に開閉自在な後部ドアの窓ガラスの加熱線条の上部または下部の余白部に設けるFMラジオ放送波、TV放送波などを受信する場合に好適なガラスアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用のガラスアンテナとしては、前部窓ガラスに設けると運転者等の視界の邪魔になるので、後部窓ガラスに設けたアンテナが一般的に採用されている。
【0003】
また、車両等の後部窓ガラスには防曇用加熱線条を設けることが多く、FMラジオ放送波用のガラスアンテナ、TV放送波用のアンテナを後部窓ガラスに設ける場合は加熱線条の上部余白部や下部余白部に設けざるを得ない。
【0004】
例えば、特開平4−35506号公報には、車両用後部窓ガラスの防曇用加熱線条の上部余白部に配設されるT字形状のエレメントと、T字形状のエレメントの垂直部の一方に導電線条を介して接続され、平行2線の少なくとも一端部近傍を閉じたインピーダンス調整用エレメントと、垂直部の他方に接続される少なくとも1本の水平エレメントを具備する第1のエレメントと、インピーダンス調整用のエレメントの上方あるいはインピーダンス調整用と最上部の加熱線条の間に配設される少なくとも水平エレメントを具備する第2のアンテナを設けるとともに、インピーダンス調整用の平行2線に導電線条により接続される第1の給電点を該インピーダンス調整用エレメントの側方部に、第2の給電点を第2のアンテナの側方端部近傍に設け、それぞれ同軸ケーブルの内部導線と外部導線に接続するようにした車両用のガラスアンテナが公開されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平4−35506号公報、その他公報に記載された多くのガラスアンテナは、車両の開閉しない後部窓に設けられたものであり、それぞれ優れた性能を有するものであるが、特にハッチバック等の開閉自在なドアの窓ガラスにガラスアンテナを設けるような場合においては、該ドアを開閉させる必要があるために、ボディ本体のアースがハッチバックドア部に及ばないことがあり、ハッチバックのドア部のアースが確実にとれていないこともあり、あるいは、後部ドアが金属製では無く、非導電性の樹脂製によって作られているような場合についても、アースがとれない。
【0006】
このため、アンテナフィーダのアースをガラスアンテナ近傍であるハッチバック部に設けたような場合や、樹脂製のハッチバックドアの場合は、アンテナの受信性能や、耐ノイズ性能を充分発揮することができなかった。
【0007】
また、このような場合に、安定した受信性能や耐ノイズ性能を向上させるために、アンテナフィーダのアースをアンテナから離れていてもボディ本体と導通しているピラー部に設けて確実なアースとすると、アンテナ位置からアース位置間の非接地部が増えることによって安定した良好な受信性能が得られず、また、アンテナパターンとして同軸ケーブルの内部導線に接続するアンテナパターンに加えて、外部導線に接続するアンテナパターンを設けた非接地タイプのアンテナパターンを用いた場合においても良好な受信性能を得ることは難しく、耐ノイズ性能も悪かった。
【0008】
さらに、平衡伝送系のアンテナパターンを不平衡伝送系の同軸ケーブルに直接接続すると、それぞれの伝送系のインピーダンスが異なるので、不平衡伝送系のアース側に漏洩電流が流れて、好ましくない受信特性となる状況にあった。
【0009】
このため、インピーダンス整合用ユニットを前記異なる伝送系間に介在させて接続させるといった方法も従来行われていた。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、開閉自在な後部ドアの窓や、非導電性の樹脂製のハッチバックドア等、ガラスアンテナから離れた位置に接地せざるを得ない場合であっても、FMラジオ放送波、またはTV放送波の高い受信利得が得られ、平衡伝送系のアンテナを不平衡の同軸ケーブルに接続する場合に特に整合ユニット等の接続も不要で、耐ノイズ性能も良好なガラスアンテナを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、開閉自在な車両用後部ドアの窓ガラスに設ける非接地型平衡アンテナであって、窓ガラスの上部または下部隅部に設けた第1の給電点に接続し、少なくとも1つの水平線条を有する第1のエレメントと、第1の給電点の近傍に設けた第2の給電点に接続し、少なくとも1つの水平線条を有する第2のエレメントを配設し、各エレメントの各給電点位置近傍から延びる水平線条部分を容量結合させ、かつ第2のエレメントの長さをλ/4(λ:波長)以下とし、該第1のエレメント、第2のエレメントをそれぞれ不平衡の同軸ケーブルの内部導線、外部導線に接続し、前記車両用後部ドアが非導電性の樹脂製ハッチバックドアとし、前記第1のエレメントの水平線条を防曇用加熱線条に近接させて容量結合させるようにしたことを特徴とする車両用のガラスアンテナである。
【0013】
さらに、本発明は、前記第1のエレメントの水平線条と第2のエレメントの水平線条は、互いに近傍する位置にある各給電点より同一方向に伸ばすようにした上述の車両用のガラスアンテナである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明は、車両用の後部ドアの窓ガラス1の車内面に設けた複数本の防曇用加熱線条2、2、・・の上部または下部の余白部、または防曇用加熱線条の上部または下部のコーナー部を一部切り欠いて余白部とした部分に設けた非接地タイプで平衡伝送系パターンのアンテナである。
【0016】
本発明のアンテナは、前記余白部の片側のバスバー寄りの隅部に2つの給電点を設け、該2つの給電点よりそれぞれ直接あるいは引出線条等を介して少なくとも水平線条を有するように第1のエレメントと第2のエレメントを設け、該第1のエレメントと第2のエレメントの各給電点位置近傍から延びる水平線条部分を容量結合させたものであり、かつ第2のエレメントの長さをλ/4(λ:受信電波の周波数の波長)以下の長さとしたものである。
【0017】
前記第1のエレメントの水平線条と第2のエレメントの水平線条の間隔を調整することによって、インピーダンスを調整をすることができる。つまり、2つのエレメントを近接させて狭めることによって、インピーダンスが低下しノイズの影響を受けにくくしている。
【0018】
さらに、前記第1のエレメントの水平線条を防曇用加熱線条に近接させて容量結合させれば、第1のエレメントの長さによって有効周波数範囲が変化し、受信利得を向上させることができるので好ましい。
【0019】
これは、第1のアンテナ単独で受信する電波に加えて、さらに防曇用加熱線条が受信した電波を第1のエレメントによってピックアップされるので、受信利得の向上を図ることができるものである。
【0020】
さらにまた、前記車両の後部ドアを非導電性の樹脂製からなるドアとした場合にも有効である。
【0021】
例えば、後部ドアを非導電性の樹脂製からなるハッチバックドアとした場合には、アンテナフィーダのアースを確実なアースとするために、アンテナから離れたボディ本体に設けざるを得ないが、アンテナの給電点位置からアース位置までの非接地部分の長さが長くなるものの、これによって耐ノイズ性能を向上させることができ、安定した良好な受信性能を得ることができる。
【0022】
これは、本発明の第1のエレメントと第2のエレメントを各給電点近傍位置より延びる各水平線条部分を近接させて容量結合させるようにしたことによって、インピーダンスが低下してノイズの影響を受けにくくした構成となっているものである。
【0023】
さらに、第1のエレメントにノイズが載った場合は同軸ケーブルのアース位置から逃すことができる。
【0024】
前記第1のエレメントと、第2のエレメントとを給電点より水平方向に延ばした水平線条は、所望の受信周波数のλ/4の長さだけ容量結合させるようにしたことによって、平衡なアンテナと非平衡な同軸ケーブルを結合する場合に一般的に接続部分に用いられる整合ユニットを必要とするものではない。
【0025】
本発明のアンテナパターンは、非常にシンプルなパターンであるにもかかわらず、FMラジオ放送受信帯からTV放送受信帯まで受信が可能なものであり、所望の受信周波数帯に合わせて、前記第1のエレメントの水平線条と防曇用加熱導線との間隔調整、および同軸ケーブルの内部導線に接続された第1のエレメント、つまりプラス側のエレメントの長さ調整を行うようにして、有効周波数範囲が決定されるものである。
【0026】
また、第1のエレメントと第2のエレメントの各水平線条の間隔、および同軸ケーブルの外部導線に接続された第2のエレメント、つまりマイナス側のエレメントの長さを調整することによって、所望の受信周波数帯のインピーダンス調整を行うことができ、インピーダンス整合を行っている。
【0027】
本発明の第1のエレメントの長さは、受信周波数の波長をλとすれば、λ/8〜λ/2、第2のエレメントの長さはλ/16〜λ/4とするのが望ましい。
【0028】
具体的には、FMからTV放送波の受信周波数を76MHz〜770MHzとして、第1のエレメントの長さは、200〜800mm、第2のエレメントの長さは100〜400mmとするのが望ましい。
【0029】
また、第1のエレメントの水平線条と、第2のエレメントの水平線条との間隔は、3〜50mmの範囲内とし、第1のエレメントの水平線条と、防曇用加熱線条との間隔は、3〜30mmの範囲内とするのが望ましい。
【0030】
また、図2に示すように、前記第1のエレメントの水平線条の先端部分より第2のエレメントの先端近傍までコ字状に折返し線条を設けてもよい。
【0031】
これは、受信する電波の周波数特性を調整する作用がある。
【0032】
さらに、図3に示すように、第1のエレメントの引出線条の先端部より加熱用防曇線条と容量結合する位置に設けた水平線条と、該引出線条の途中より分岐し、前記水平線条と略同一長さで該水平線条と容量結合するように設けた補助水平線条からなる2本の水平線条を設けるようにしても良い。
【0033】
このように同軸ケーブルの内部導線側に接続した第1のエレメントに2本の水平線条を設け、該2本の水平線条の相互作用によって、受信電波の指向特性を向上させることができる。
【0034】
さらにまた、図4に示すように、第2の給電点より引出線条を介して設けた水平線条の先端よりコ字状に折返して折返し線条を設け、その先端を前記第2の給電点と接続して、ループ状のエレメントとしても良い。
【0035】
このように、第2のエレメントをループ状とすれば、同軸ケーブルの外部導線側に接続した第2のエレメントのインピーダンスを調整をすることができる。
【0036】
さらにまた、図5に示すように、第1の給電点より引出線条を介して設けた水平線条の先端より該水平線条と加熱用防曇線条間にコ字状に折返して前記第1の給電点近傍まで折返し線条を設けるようにしても良い。
【0037】
前記補助水平線条や折返し線条については、必ずしも必要なものではないが、第1のエレメントや第2のエレメントの各水平線条や防曇用加熱線条と容量結合させることにより、受信周波数帯域によって、インピーダンス調整、周波数特性の調整、指向特性の調整等に有効に作用する。
【0038】
本発明のアンテナは、単独でも使用可能であるが、本発明のアンテナを後部ドアの窓ガラスに別に設け、これらの複数個の本発明のアンテナの組み合わせや、または、本発明のアンテナと、図示しないが前部窓ガラスに設けたアンテナ、側部窓ガラスに設けたアンテナ、ホイップアンテナなどのポールアンテナなどと組み合わせてダイバーシティ受信するようにしても勿論よい。
【0039】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0040】
図1〜図5は、それぞれ本発明のガラスアンテナを自動車用後部ドアの窓ガラスに設けた実施例1〜実施例5を示す正面図である。
【0041】
実施例1
図1に示すように、車両用の樹脂製の後部ドアの窓ガラスに装着される板ガラス1の車内側表面に、略水平に設けられた加熱用導電線条2、2、・・・2、バスバー3、3’からなるデフォッガとともに、加熱用導電線条2、2、・・・の下部余白部のマイナス側のバスバー3’近傍位置に、第1の給電点4、第2の給電点5を設けた。第1の給電点4より引出線条11を設けて、その先端より水平線条12を前記加熱線条2に近接させて容量結合するように設けて第1のエレメント10とした。
【0042】
また、第1の給電点4の近傍に設けた第2の給電点5より引出線条21を設け、その先端より水平線条22を前記第1のエレメント10に近接させて容量結合するように設けて第2のエレメント20とした。
【0043】
第1のエレメント10と第2のエレメント20の容量結合部分は、それぞれの給電点4、5側からとし、第2のエレメント20の長さをFMラジオ帯/VHF放送波帯を主とした受信帯としてλ/4(λ:受信周波数波長)以下の長さとした。
【0044】
つまり、FMラジオ帯からUHF放送波帯までのすべての周波数帯について最高の受信レベルでチューニングするのは困難なので、本実施例1では、FMラジオ帯/VHF放送波帯を主とする受信周波数帯として、第2のエレメントの長さを決めたが、この長さであってもUHF放送波帯の受信性能は充分実用レベルにある。
【0045】
ガラス板1は略台形状で、その寸法は、上辺が1,100mm、下辺が1,250mm、高さが600mmである。
【0046】
また、各導電線条の長さは以下の通りである。
【0047】
さらに、第1のエレメント10と第2のエレメント20の各水平線条12、22との間隔を30mmとし、同軸ケーブル6の接地部7から第2の給電点5までの長さを2,000mmとした。
【0048】
これらの各導電線条10、20、および加熱線条2、2、・・と、給電点4、5を導電ペーストによりガラス板1面にプリントし、焼成して形成する。
【0049】
さらに前記第1の給電点4、第2の給電点5を、それぞれ同軸ケーブル6の内部導線6a、外部導線6bに接続し、同軸ケーブル6の外部導線6bをアンテナから離れたボディ本体と導通しているピラー部に設けて確実なアースとした。
【0050】
このようにして得られた板ガラスを自動車の樹脂製の後部窓ガラスに装着して、本発明のアンテナにより、76MHz〜90MHzのFM放送波、90MHz〜108MHzの1〜3チャンネルのTV放送波帯(VHF−Low帯)を給電点4、5から受信した時の水平偏波と垂直偏波のそれぞれについての周波数特性図を図6、図7に示す。
【0051】
また、170MHz〜222MHzの4〜12チャンネルのTV放送波帯(VHF−high帯)、470MHz〜770MHzのUHF放送波帯を給電点4、5からそれぞれ受信した時の水平偏波の周波数特性図をそれぞれ、図8、図9に示す。
【0052】
図6〜図9の周波数特性図から解るように、FM放送波、TV放送波帯(VHF−Low帯)、TV放送波(VHF−High帯)、TV放送波帯(UHF帯)を給電点4、5からそれぞれ受信して標準のダイポールアンテナの受信利得を0dBとしたときの利得差(以下、ダイポールアンテナ比と略称する)の平均を以下に示す。
【0053】
このようにして得られた実施例1のアンテナのパターンは、いずれの帯域においても良好な性能であることを確認できる。
【0054】
実施例2
図2に示す実施例2は、図1に示す実施例1のアンテナパターンの、第1のエレメント10の水平線条12の先端部分より第2のエレメント20の先端近傍までコ字状に折返し線条13を設けたものである。
【0055】
これは、受信する電波の周波数特性を調整する作用がある。
【0056】
これらの各導電線条10、20、および加熱線条2、2、・・と、給電点4、5を導電ペーストによりガラス板1面にプリントし、加熱焼成して形成する。
【0057】
さらに前記第1の給電点4、第2の給電点5を、それぞれ同軸ケーブルの内部導線6a、外部導線6bに接続し、同軸ケーブルの外部導線をボディ本体と導通しているピラー部に設けた。
【0058】
このようにして得られた板ガラス1を自動車の樹脂製の後部窓ガラスに装着して、本発明のアンテナにより、FM放送波、TV放送波帯(VHF−Low帯)、TV放送波(VHF−High帯)、TV放送波帯(UHF帯)を給電点4、5からそれぞれ受信したところ、実施例1とほぼ同様の受信性能が得られ、いずれの帯域においても充分良好な性能が得られた。
【0059】
実施例3
図3に示す実施例3は、図1に示す実施例1のアンテナパターンの、第1のエレメント10の引出線条11の先端部より加熱用防曇線条2と容量結合する位置に設けた水平線条12と、該引出線条11の途中より分岐し、前記水平線条12と略同一長さで該水平線条12と容量結合するように設けた補助水平線条14からなる2本の水平線条12、14を設けるようにしたものである。
【0060】
また、第2のエレメントの水平線条22を第2の給電端子5より吹き出し線条を設けず、直接接続したものである。
【0061】
このように同軸ケーブル6の内部導線6a側に接続した第1のエレメント10に2本の水平線条12、14を設け、該2本の水平線条12、14の相互作用によって、受信電波の指向特性を向上させることができる。
【0062】
これらの各導電線条10、20、および加熱線条2、2、・・と、給電点4、5を導電ペーストによりガラス板1面にプリントし、加熱焼成して形成する。
【0063】
さらに前記第1の給電点4、第2の給電点5を、それぞれ同軸ケーブル6の内部導線6a、外部導線6bに接続し、同軸ケーブル6の外部導線6bをボディ本体と導通しているピラー部に設けた。
【0064】
このようにして得られた板ガラス1を自動車の樹脂製の後部窓ガラスに装着して、本発明のアンテナにより、FM放送波、TV放送波帯(VHF−Low帯)、TV放送波(VHF−High帯)、TV放送波帯(UHF帯)を給電点4、5からそれぞれ受信したところ、実施例1とほぼ同様の受信性能が得られ、いずれの帯域においても充分良好な性能が得られた。
【0065】
実施例4
図4に示す実施例4は、図1に示す実施例1のアンテナパターンの、第2の給電点5より引出線条21を介して設けた水平線条22の先端よりコ字状に折返して折返し線条23を設け、その先端を前記第2の給電点5と接続して、ループ状のエレメントとしたものである。
【0066】
このように、第2のエレメント20をループ状とすれば、同軸ケーブル6の外部導線6b側に接続した第2のエレメント20のインピーダンスを調整をすることができる。
【0067】
これらの各導電線条10、20、および加熱線条2、2、・・と、給電点4、5を導電ペーストによりガラス板1面にプリントし、加熱焼成して形成する。
【0068】
さらに前記第1の給電点4、第2の給電点5を、それぞれ同軸ケーブル6の内部導線6a、外部導線6bに接続し、同軸ケーブル6の外部導線6bをボディ本体と導通しているピラー部に設けた。
【0069】
このようにして得られた板ガラス1を自動車の樹脂製の後部窓ガラスに装着して、本発明のアンテナにより、FM放送波、TV放送波帯(VHF−Low帯)、TV放送波(VHF−High帯)、TV放送波帯(UHF帯)を給電点4、5からそれぞれ受信したところ、実施例1とほぼ同様の受信性能が得られ、いずれの帯域においても充分良好な性能が得られた。
【0070】
実施例5
図5に示す実施例5は、図1に示す実施例1のアンテナパターンの、第1の給電点4より引出線条11を介して設けた水平線条12の先端より該水平線条12と加熱用防曇線条2間にコ字状に折返して前記第1の給電点4近傍まで折返し線条13’を設けるようにしたものである。
【0071】
また、第2のエレメントの水平線条22を第2の給電端子5より引出線条を設けず、直接接続したものである。
【0072】
これらの各導電線条10、20、および加熱線条2、2、・・と、給電点4、5を導電ペーストによりガラス板1面にプリントし、加熱焼成して形成する。
【0073】
さらに前記第1の給電点4、第2の給電点5を、それぞれ同軸ケーブル6の内部導線6a、外部導線6bに接続し、同軸ケーブル6の外部導線6bをボディ本体と導通しているピラー部に設けた。
【0074】
このようにして得られた板ガラス1を自動車の樹脂製の後部窓ガラスに装着して、本発明のアンテナにより、FM放送波、TV放送波帯(VHF−Low帯)、TV放送波(VHF−High帯)、TV放送波帯(UHF帯)を給電点4、5からそれぞれ受信したところ、実施例1とほぼ同様の受信性能が得られ、いずれの帯域においても充分良好な性能が得られた。
【0075】
【発明の効果】
自動車等の開閉自在な後部ドアの窓や、非導電性の樹脂製のハッチバックドア等のドアの窓ガラスに設けるガラスアンテナであって、ガラスアンテナに接続する同軸ケーブルのアースをアンテナの給電点から離れたボディ本体のピラー部等の位置に接地せざるを得ない場合であっても、FMラジオ放送波、またはTV放送波を受信するのに高い受信利得を得ることができ、また、平衡伝送系のアンテナを不平衡の同軸ケーブルに接続する場合であっても特に整合ユニット等の接続も不要で、耐ノイズ性能も良好であり、高感度なアンテナ利得、及び良好なVSWR特性が得られる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的なアンテナパターンを車両用後部ドアの窓ガラスに設けた実施例1を示す正面図。
【図2】本発明のアンテナパターンを車両用後部ドアの窓ガラスに設けた実施例2を示す正面図。
【図3】本発明のアンテナパターンを車両用後部ドアの窓ガラスに設けた実施例3を示す正面図。
【図4】本発明のアンテナパターンを車両用後部ドアの窓ガラスに設けた実施例4を示す正面図。
【図5】本発明のアンテナパターンを車両用後部ドアの窓ガラスに設けた実施例5の正面図。
【図6】本発明の実施例1のアンテナにより、FM、VHF−Low帯(水平偏波)の電波を受信したときの周波数特性図。
【図7】本発明の実施例1のアンテナにより、FM、VHF−Low帯(垂直偏波)の電波を受信したときの周波数特性図。
【図8】本発明の実施例1のアンテナにより、VHF−High帯(水平偏波)の電波を受信したときの周波数特性図。
【図9】本発明の実施例1のアンテナにより、UHF帯(水平偏波)の電波を受信したときの周波数特性図。
【符号の説明】
1 ガラス板
2 防曇用加熱線条
3 バスバー(+極)
3’ バスバー(−極)
4 第1の給電点
5 第2の給電点
6 同軸ケーブル
6a 内部導線
6b 外部導線
7 接地部
8 ボディフランジ
10 第1エレメント
11 引出線条
12 水平線条
13、13’折返し線条
14 補助水平線条
20 第2エレメント
21 引出線条
22 水平線条
23 折返し線条
Claims (2)
- 開閉自在な車両用後部ドアの窓ガラスに設ける非接地型平衡アンテナであって、窓ガラスの上部または下部隅部に設けた第1の給電点に接続し、少なくとも1つの水平線条を有する第1のエレメントと、第1の給電点の近傍に設けた第2の給電点に接続し、少なくとも1つの水平線条を有する第2のエレメントを配設し、各エレメントの各給電点位置近傍から延びる水平線条部分を容量結合させ、かつ第2のエレメントの長さをλ/4(λ:波長)以下とし、該第1のエレメント、第2のエレメントをそれぞれ不平衡の同軸ケーブルの内部導線、外部導線に接続し、前記車両用後部ドアを非導電性の樹脂製ハッチバックドアとし、前記第1のエレメントの水平線条を防曇用加熱線条に近接させて容量結合させるようにしたことを特徴とする車両用のガラスアンテナ。
- 前記第1のエレメントの水平線条と第2のエレメントの水平線条は、互いに近傍する位置にある各給電点より同一方向に伸ばすようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用のガラスアンテナ。
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