JPH08260243A - 抗ピリング性異形断面繊維の製造方法 - Google Patents
抗ピリング性異形断面繊維の製造方法Info
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- JPH08260243A JPH08260243A JP9010295A JP9010295A JPH08260243A JP H08260243 A JPH08260243 A JP H08260243A JP 9010295 A JP9010295 A JP 9010295A JP 9010295 A JP9010295 A JP 9010295A JP H08260243 A JPH08260243 A JP H08260243A
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Abstract
単位及びエチレングリコール単位を主体とするジオール
単位から主としてなり且つリン酸ジアルキルエステル
(但しアルキル基の炭素原子数3〜8)で変性されてい
て、リン酸ジアルキルエステル由来のリン原子の含有量
が全酸成分に対して0.9〜1.3モル%であるポリエステル
(A);及び5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を
全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で含むポリエス
テル(B)を、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=1/1〜
4/1の重量比で混合し溶融紡糸して異形断面ポリエステ
ル繊維を製造する方法、その繊維、該繊維よりなる布帛
等を水の存在下に110℃以上で熱処理する方法、並びに
前記の方法により得られる繊維、糸、ステープル、スラ
イバー、布帛、その他の繊維製品。 【効果】 本発明による場合は、抗ピリング性に優れ、
しかも目的とする異形断面形状を有する異形断面ポリエ
ステル繊維を円滑に製造することができる。
Description
繊維、その製造方法、該方法により得られる異形断面ポ
リエステル繊維、および該繊維を用いてなる布帛等に関
する。より詳細には、本発明は、抗ピリング性に優れる
異形断面ポリエステル繊維を、紡糸時にその所定の異形
断面形状を損なうことなく円滑に製造し得るようにした
異形断面ポリエステル繊維の製造方法、その方法により
得られる異形断面ポリエステル繊維、および該繊維を用
いてなる布帛等に関する。
代表される力学的特性に優れており、しかも耐熱性、耐
候性、耐薬品性などの特性にも優れているため、衣料や
産業資材をはじめとして多くの分野で広く用いられてい
る。しかし、ポリエステル繊維の高強度や高伸度という
特性は、反面、衣料などに用いた場合、特にニット製品
や組織のルーズな織物に用いた場合には、ピリングが発
生し易く、製品の外観を著しく損ねるという欠点を有し
ている。
グの発生を防止するために、ポリエステルにリン酸エス
テルを共重合させたり、ポリエステル中にリン化合物を
添加し、そのようなポリエステルを用いて繊維を製造し
た後、熱水中で処理してポリエステル繊維の強度を低下
させて抗ピリング性を付与する方法が従来から色々提案
されている(特開昭50−135351号公報、特公昭
58−18447号公報等)。しかし、これらの従来法
による場合は、ポリエステルの重合時に重合度の調整が
困難であったり、副生物が多く発生したり、凝集物や異
物が発生したり、着色が生ずるなどの欠点があり、また
抗ピリング性を得ることのできる繊度範囲が限られた
り、繊維製造後の熱処理条件の調整が難しいなどの問題
があった。
者らは抗ピリング性に優れるポリエステル繊維を良好な
工程性で円滑に製造することを目的として種々検討を続
けてきた。そしてその結果、エチレンテレフタレート系
ポリエステルの重合時にアルキル基の炭素原子数が3〜
8であるリン酸ジアルキルエステルを加えて該リン酸ジ
アルキルエステルで変性したポリエステルを製造し、そ
のポリエステルを用いて繊維を製造した後に水の存在下
で熱処理する方法を開発して先に出願した(特開昭61
−47818号公報)。そして、本発明者らの開発した
この方法は、目的とするポリエステルを凝集物や異物の
発生、着色などを生ずることなく極めて円滑に所定の重
合度で製造でき、しかもそのポリエステルから製造され
た繊維は抗ピリング性などの特性に極めて優れていると
いう種々の利点を有している。
た上記の方法にしたがって横断面が丸型の通常のポリエ
ステル繊維や異形断面を有するポリエステル繊維などの
種々のポリエステル繊維を製造してきたが、異形断面を
有するポリエステル繊維の製造に当たっては、前記した
リン酸ジアルキルエステルで変性したポリエステルにに
対して5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を有す
るポリエステルを混合して、両者の混合物を用いて溶融
紡糸を行うと、目的に適った良好な異形断面形状を有す
るポリエステル繊維を円滑に製造できることを見出し
て、本発明を完成した。
位およびエチレングリコール単位を主体とするジオール
単位から主としてなり、且つ下記の式(i);
8のアルキル基を表す)で表されるリン酸ジアルキルエ
ステルを用いて変性されているポリエステルであって、
リン酸ジアルキルエステルに由来するリン原子の含有量
がポリエステルを構成する全酸成分に対して0.9〜
1.3モル%であるポリエステル(A);および5−ア
ルカリ金属スルホイソフタル酸単位をポリエステルを構
成する全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で
含む繊維形成性のポリエステル(B)を、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=1/1〜4/1の重量比
で混合し溶融紡糸を行って異形断面ポリエステル繊維を
製造することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維の
製造方法である。
を製造した後、それにより得られる異形断面ポリエステ
ル繊維を更に水の存在下に110℃以上の温度で熱処理
することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維の製造
方法である。
される異形断面ポリエステル繊維および該異形断面ポリ
エステル繊維よりなる布帛(すなわち水の存在下での熱
処理を施す前の異形断面ポリエステル繊維およびそれよ
りなる布帛)、並びに前記(2)の方法で製造される異
形断面ポリエステル繊維および該異形断面ポリエステル
繊維よりなる布帛(すなわち水の存在下で熱処理を施し
た後の異形断面ポリエステル繊維およびそれよりなる布
帛)を包含する。また、本発明は、前記(1)の方法で
製造された異形断面ポリエステル繊維、該異形断面繊維
を用いて形成された布帛、または該布帛を用いて形成さ
れた製品を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理す
る方法を包含する。
と、その異形断面形状に応じて、丸型断面を有する通常
の繊維とは異なった風合、触感、軽量性、外観などの特
性を有する繊維や布帛を得ることができ、かかる点か
ら、抗ピリング性に優れる異形断面ポリエステル繊維を
円滑に製造することのできる上記した本発明の方法、そ
れにより得られる異形断面ポリエステル繊維や布帛は、
極めてその実用価値が高く、有効である。
発明で用いるポリエステル(A)は、上記の式(i)で
表されるリン酸ジアルキルエステル[以下「リン酸ジア
ルキルエステル(i)」という]を用いて変性されてい
るポリエステルである。そして、ポリエステル(A)が
リン酸ジアルキルエステル(i)によって変性されてい
ることによって、繊維の形成後、またはその繊維から布
帛を形成したり、該布帛から縫製品などの製品を製造し
た後に、それらの繊維、布帛または製品を水の存在下に
110℃以上の温度で熱処理すると、ポリエステルの部
分的な加水分解が生じてポリエステルの重合度が低下し
て良好な抗ピリング性が繊維に付与される。
る上記の式(i)で表されるリン酸ジアルキルエステル
において、上記したように基R1とR2は、それぞれ独立
して炭素原子数3〜8のアルキル基であり、したがって
基R1およびR2はプロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基から選ばれる
炭素原子数3〜8のアルキル基である。前記したアルキ
ル基は直鎖状のアルキル基であってもまたは分岐したア
ルキル基であってもよいが、直鎖状のアルキル基である
のが好ましい。また、基R1とR2は互いに同じアルキル
基であってもまたは異なるアルキル基であってもよい。
としては、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−n−ブ
チルホスフェート、ジ−t−ブチルホスフェート、ジ−
n−ペンチルホスフェート、ジ−n−ヘキシルホスフェ
ート、ジ−n−ヘプチルホスフェート、ジ−n−オクチ
ルホスフェート、(n−プロピル)(n−ブチル)ホス
フェート、(n−プロピル)(n−ペンチル)ホスフェ
ート、(n−プロピル)(n−ヘキシル)ホスフェー
ト、(n−プロピル)(n−ヘプチル)ホスフェート、
(n−プロピル)(n−オクチル)ホスフェート、(n
−ブチル)(n−ペンチル)ホスフェート、(n−ブチ
ル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−ブチル)
(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−
オクチル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘキ
シル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘプチ
ル)ホスフェート、(n−ぺンチル)(n−オクチル)
ホスフェート、(n−ヘキシル)(n−ヘプチル)ホス
フェート、(n−ヘキシル)(n−オクチル)ホスフェ
ート、(n−ヘプチル)(n−オクチル)ホスフェート
などを挙げることができる。また、前記したそれぞれの
リン酸ジアルキルエステル(i)において、リン酸エス
テルを形成しているその2つのアルキル基のうちの一方
または両方が、n−アルキル基ではなく分岐したアルキ
ル基であるリン酸ジアルキルエステルも勿論使用でき
る。そして、ポリエステル(A)は上記したリン酸ジア
ルキルエステル(i)の1種類によって変性されていて
も、または2種類以上によって変性されていてもよい。
子数3〜8のアルキル基であるリン酸ジアルキルエステ
ルを用いて変性されているポリエステル(A)を使用す
る理由は、基R1およびR2がメチル基やエチル基の場合
には、リン酸ジアルキルエステルが非常に分解し易く、
ポリエステルの変性用として有効に使用することができ
ないためである。一方、基R1およびR2が炭素原子数9
以上のアルキル基であるリン酸ジアルキルエステルを用
いてポリエステルを変性した場合には、変性により得ら
れるポリエステルが黄色味を帯びてその色調が不良にな
り、好ましくない。
ジアルキルエステル(i)に由来するリン原子の含有量
がポリエステル(A)を構成する全酸成分に対して0.
1〜1.3モル%である、すなわちポリエステル(A)
を構成する全カルボン酸成分100モル当たり0.9〜
1.3モルであることが必要である。リン酸ジアルキル
エステル(i)に由来するリン原子の含有量が、全酸成
分に対して0.1モル%未満であると、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)の混合物を溶融紡糸して得
られるポリエステル繊維や布帛等を水の存在下に110
℃以上の温度で熱処理しても抗ピリング性に優れる繊維
や布帛等が得られず、一方1.3モル%を超えると、抗
ピリング性は付与できるが、ポリエステル(A)を製造
する際の重合度の調整が困難になったり、繊維の製造工
程中における加水分解が著しくなってロット間の差が大
きくなったり、得られる繊維の力学的特性などが低下し
て、繊維を紡績したり布帛にしたりする工程での損傷が
著しくなる。
酸単位を主体とするジカルボン酸単位およびエチレング
リコール単位を主体とするジオール単位から主としてな
っていることが必要であり、ポリエステル(A)を構成
する全酸成分に対してテレフタル酸単位を70モル%以
上、好ましくは90モル%以上、そしてポリエステル
(A)を構成する全ジオール単位およびポリオール単位
の合計に対してエチレングリコール単位を70モル%以
上、好ましくは90モル%以上有しているのがよい。
およびエチレングリコール単位以外に、その全構成単位
に基づいて、30モル%未満、好ましくは10モル%未
満であれば他の2官能性化合物から誘導される構造単位
を必要に応じて含有していてもよい。そのような他の2
官能性化合物から誘導される構造単位としては、イソフ
タル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカ
ルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪
族ジカルボン酸;デカリンジカルボン酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;グリコール
酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシプロピオン酸、
アシアチン酸、キノバ酸、ヒドロキシ安息香酸、マンデ
ル酸、マトロラクチン酸などのヒドロキシカルボン酸;
ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン;トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコールなどの脂肪族ジオール;ヒドロキノン、カテ
コール、ナフタレンジオール、レゾルシン、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジオール;シク
ロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールなどの2
官能性成分から誘導される構造単位を挙げることができ
る。
とテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中、30℃でウ
ベローデ型粘度計を用いて測定したときの極限粘度
[η]が0.45〜0.55dl/gであるのが好まし
く、0.47〜0.53dl/gであるのがより好まし
い。ポリエステル(A)の極限粘度[η]が0.45d
l/g未満であるとポリエステル(A)とポリエステル
(B)を混合して溶融紡糸した際に異形断面繊維を得ら
れにくくなる。一方、ポリエステル(A)の極限粘度
[η]が0.55dl/gを超えると、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)とから形成された繊維、該
繊維より形成された布帛、該布帛より形成された縫製品
などの製品を水の存在下に110℃以上の温度で熱水処
理しても抗ピリング性が付与されにくい。
ず、上記した要件を満たすポリエステルであればいずれ
も使用することができるが、好ましくは次のようにして
製造される。すなわち、テレフタル酸またはそのエステ
ル形成性誘導体を主体とするジカルボン酸成分とエチレ
ングリコールを主体とするジオール成分から主としてな
り、必要に応じて上記したような他の2官能性化合物を
含有する原料を用いてエステル化反応またはエステル交
換反応を行ってプレポリマーを製造し(第1段目の反
応)、次いで第1段目の反応により得られたプレポリマ
ーを減圧下に加熱して重縮合反応させて最終的なポリエ
ステルを製造する(第2段目の反応)に当たって、第1
段目の反応の終了後で第2段目の反応が終了するまでの
間の任意の時点で上記したリン酸ジアルキルエステル
(i)を反応系に加えることによって、ポリエステル
(A)を円滑に製造することができる。ポリエステル
(A)の製法に関しては、本出願人の出願に係る上記し
た特開昭61−47818号公報に詳細に記載されてお
り、本発明で用いるポリエステル(A)は、それに記載
されている方法に準じて製造することができる。
形成性のポリエステルであればいずれも使用できるが、
テレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位とジオ
ール単位から主としてなるポリエステルであるのが好ま
しく、その場合のジオール単位がエチレングリコール、
トリメチレングリコールおよびテトラメチレングリコー
ルから選ばれる少なくとも1種のジオールからなる単位
であるのがより好ましい。また、前記した好ましいポリ
エステル(B)も、上記したテレフタル酸単位、エチレ
ングリコール、トリメチレングリコールおよびテトラメ
チレングリコールから選ばれる少なくとも1種のジオー
ル単位と共に、その全構成単位に基づいて、30モル%
未満、好ましくは10モル%未満の2官能性化合物から
誘導される構造単位を必要に応じて含有していることが
でき、そのような構造単位としては、ポリエステル
(A)において挙げたのと同様に、種々の芳香族ジカル
ボン酸、脂肪族ジカルボン酸;脂環式ジカルボン酸、ヒ
ドロキシカルボン酸、脂肪族ラクトン、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリ
コールなどの脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式
ジオールなどから誘導される構造単位を挙げることがで
きる。
テル(B)を構成する全酸成分に対して3.5〜7.0
モル%、すなわちポリエステル(B)を構成する全カル
ボン酸単位100モル当たり3.5〜7.0モルの5−
アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を有していること
が必要であり、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単
位を4.5〜5.5モル%の割合で有しているのが好ま
しい。
金属スルホイソフタル酸単位の割合が3.5モル%未満
であると、ポリエステル(A)とポリエステル(B)を
上記した1/1〜4/1の重量比で混合して溶融紡糸す
る場合であっても、目的とする横断面形状を有する異形
断面形状繊維が得られなくなる。そして、異形断面形状
を有する繊維を得るためにポリエステル(B)の重合度
を高くした場合には、溶融紡糸により得られた繊維、該
繊維より形成した布帛などを水の存在下に110℃以上
の温度で熱処理しても抗ピリング性が付与されない。一
方、ポリエステル(B)における5−アルカリ金属スル
ホイソフタル酸単位の割合が7.0モル%を超えると、
5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位による増粘効
果が大き過ぎてポリエステル(B)自体の重合が困難に
なり、しかもポリエステル(A)と均一に混合できなく
なる。そして、ポリエステル(B)では、その5−アル
カリ金属スルホイソフタル酸単位におけるアルカリ金属
は、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのうちの少な
くとも1種であるのが好ましく、ナトリウムであるのが
特に好ましい。
ル(A)と同様に、フェノールとテトラクロロエタンの
等重量混合溶媒中、30℃でウベローデ型粘度計を用い
て測定したときの極限粘度[η]が0.45〜0.55
dl/gであるのが好ましく、0.47〜0.53dl
/gであるのがより好ましい。ポリエステル(B)の極
限粘度[η]が0.45dl/g未満であるとポリエス
テル(A)とポリエステル(B)を混合して溶融紡糸を
行った際に異形断面形状を有する繊維を得られにくくな
り、一方ポリエステル(B)の極限粘度[η]が0.5
5dl/gを超えると、ポリエステル(A)とポリエス
テル(B)とから形成された繊維やそれから形成された
布帛などを水の存在下に110℃以上の温度で熱水処理
しても抗ピリング性が付与されにくくなる。
ず、上記した要件を満たすポリエステルであればいずれ
も使用することができるが、ポリエステル(A)と同様
に、例えば、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘
導体などからなるジカルボン酸成分とエチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ルなどから選ばれる少なくとも1種のジオール成分、更
には必要に応じて上記したような他の2官能性化合物を
含有する原料を用いてエステル化反応またはエステル交
換反応を行ってプレポリマーを製造する第1段目の反応
を行い、次いで第1段目の反応により得られたプレポリ
マーを減圧下に加熱して重縮合反応させる第2段目の反
応を行い、第2段目の反応が終了するまでの任意の時
点、好ましくは第1段目の反応が終了する以前の時点
で、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位をポリエ
ステル(B)中に導入し得る化合物を添加して反応を行
うことにより製造することができる。
−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を導入するため
に反応系に添加される化合物としては、例えば3,5−
ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、
3,5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸カリ
ウム、3,5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン
酸リチウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ
(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカ
ルボニル)ベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ
(β−ヒドロキシブトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシブトキシ
カルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ
(β−ヒドロキシブトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸リチウムなどを挙げることができる。そして、これ
らの化合物をポリエステル(B)の反応系に添加して5
−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を有するポリエ
ステル(B)を製造するに当たっては、エーテル形成抑
制剤として、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのア
ルカリ金属の弱酸塩を併用するのが好ましい。
ポリエステル(B)は、必要に応じて、無機微粒子、芳
香剤、抗菌剤、難燃剤、消臭剤、染顔料、つや消し剤、
制電剤(帯電防止剤)、酸化防止剤、光安定剤などの任
意の添加剤の1種または2種以上を含有していてもよ
い。
リエステル(B)を、ポリエステル(A)/ポリエステ
ル(B)=1/1〜4/1の重量比で混合して溶融紡糸
を行って異形断面ポリエステル繊維を製造する。その場
合に、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)の値が
1/1よりも小さい、すなわちポリエステル(A)の使
用重量がポリエステル(B)の使用重量よりも少ない
と、溶融紡糸して得られる異形断面ポリエステル繊維や
それからなる布帛などを水の存在下に110℃以上の温
度で熱処理しても抗ピリング性が優れたものにならず、
一方ポリエステル(A)/ポリエステル(B)の値が4
/1を超える、すなわちポリエステル(A)の使用重量
がポリエステル(B)の使用重量の4倍よりも多くなる
と、両者の混合物を溶融紡糸する際に溶融粘度の低下が
著しくなって、異形断面形状を有する繊維が得られるな
くなる。異形断面ポリエステル繊維の製造に当たって
は、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=2.3
〜1.5の重量比になるようにして両方のポリエステル
を混合して用いるのが好ましい。
の混合方法は、両者が均一に混合されて溶融紡糸され得
る方法であればいずれでもよく特に制限されず、例え
ば、 (1) ポリエステル(A)とポリエステル(B)の重
合完了後に両者を同時にスタティックミキサーやスルー
ザーミキサーなどの混合装置に供給して混合した後、混
合物をストランド状に押し出し、それを切断してチップ
化して両方の重合体が均一に混合しているチップを製造
してそれを溶融紡糸に用いる方法; (2) ポリエステル(A)およびポリエステル(B)
のうちの一方のポリエステルを重合完了後にチップ状に
しておき、もう一方のポリエステルを重合させ、その重
合が完了した時点でそこに前記の一方のポリエステルの
チップを加えて再溶融させ、それをスタティックミキサ
ーやスルーザーミキサーなどの混合装置で均一に混合し
た後、その混合物からチップを製造し、そのチップを溶
融紡糸に用いる方法; (3) ポリエステル(A)およびポリエステル(B)
のチップを別々に製造し、それらをブレンドして再溶融
して両方のポリエステルが均一に混合しているチップを
製造し、そのチップを溶融紡糸に用いる方法; (4) 溶融紡糸を行うにあたってポリエステル(A)
のチップとポリエステル(B)のチップをそれぞれ個別
に溶融し、各溶融物を溶融紡糸装置の上流側に設けた混
合部で均一に混合してそのまま直接溶融紡糸する方法;
などを挙げることができる。要するに、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)の混合が均一に行われるの
であれば、両者の混合をそれぞれの重合体の重合完了後
から溶融紡糸を行う間の任意の時点で適当な方法を採用
して行えばよい。
エステル系重合体から異形断面ポリエステル繊維を製造
する際に従来から知られている溶融紡糸法および溶融紡
糸装置を用いて行えばよく特に制限されない。溶融紡糸
温度、紡糸後の冷却条件、紡糸した繊維の巻取り速度な
どの各種条件も特に制限されず、異形断面ポリエステル
繊維の製造に際して従来から採用されているのと同様の
条件で行うことができる。例えば、ポリエステル(A)
およびポリエステル(B)の両方が、エチレンテレフタ
ル酸系のポリエステルである場合には、約270〜30
0℃の溶融紡糸温度を使用して、約600〜6000m
/分の引き取り速度で溶融紡糸を行うのが好ましい。
ず、非円形をなす異形断面であればいずれでもよく、目
的に応じて適宜選択することができる。限定されるもの
ではないが、本発明における異形断面ポリエステル繊維
の横断面形状としては、例えば、中空形状、Y型、T
型、十字型、偏平型、3〜8葉型、3〜8角形、ドッグ
ボーン型、楕円形などの横断面形状を挙げることができ
る。また、異形断面ポリエステル繊維の単繊維繊度、総
デニール数なども特に制限されず、任意の単繊維繊度を
有するモノフィラメントまたはマルチフィラメントを円
滑に製造することができる。
リエステル繊維が製造されるが、それによって得られる
異形断面ポリエステル繊維は、水の存在下での熱処理を
行わずに、そのまま直接流通、販売したり、延伸処理、
捲縮加工、交絡加工、タスラン加工などの加工を施して
から流通、販売することができ、しかもその際の形態も
フィラメント糸、ステープル、スライバー、紡績糸、編
布、織布、不織布などの布帛、縫製して得られる製品な
どのいずれの形態であってもよい。そして、その場合に
は、それらの繊維、糸、布帛、製品などを購入した側
で、それらを水の存在下に110℃以上の温度で熱処理
することによって、抗ピリング性を付与することができ
る。
断面ポリエステル繊維は、延伸、捲縮加工、交絡加工、
タスラン加工などの加工を施す前、布帛にする前、或い
は前記の加工を施した後、布帛にした後、布帛などから
縫製品などの最終製品を製造した後に、水の存在下に1
10℃以上の温度で熱処理して抗ピリング性を付与し、
その後に流通、販売してもよい。
よりなるステープル、スライバー、糸、布帛、製品など
を熱処理して抗ピリング性を付与するに当たっては、水
の存在下に熱処理を行うことが必要である。熱処理を水
の不存在下に行うと、抗ピリング性を付与するのに必要
なポリエステル繊維の部分加水分解、およびそれに伴う
繊維物性の低下を発現させることができない。また、熱
処理温度は110℃以上であることが必要であり、11
0℃未満であると抗ピリング性を付与するための熱処理
に極めて長い時間を要するようになる。抗ピリング性を
付与するための熱処理の効率性および異形断面ポリエス
テル繊維の著しい物性低下の防止などの点から、水の存
在下における熱処理を120〜180℃の温度で行うの
が好ましい。また、この熱処理は、熱処理後の異形断面
ポリエステル繊維の引張強さが単繊維で3.5〜5.9
gの範囲になり、且つ引張伸度が12〜18%の範囲に
なるまで行うのが抗ピリング性の付与および熱処理後の
異形断面ポリエステル繊維の力学的特性などの点から好
ましく、引張強さが単繊維で3.8〜4.2gの範囲に
なり且つ引張伸度が14〜16%の範囲になるまで行う
のがより好ましい。
ポリエステル(A)およびポリエステル(B)より得ら
れる異形断面ポリエステル繊維、それからなる糸、スラ
イバー、ステープル、布帛、縫製製品などを、110℃
以上の熱水中に所定の時間浸漬して行うとよく、通常、
圧力装置中に水を入れて水の温度を110℃以上にし、
それに浸漬して行う。上記したように、抗ピリング性を
付与するための水の存在下での熱処理は、繊維、ステー
プル、スライバー、糸、布帛、縫製製品などの最終製品
に至るまでのどの段階で行ってもよいが、特に染色工程
で受ける高温熱水処理を抗ピリング性を付与するための
熱処理として併用するのが工程的にも便利である。
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下
の例において、熱水処理後の繊維の引張強さおよび引張
伸度の測定、並びに織物のピリング性の評価および溶融
紡糸した繊維の横断面形状の評価は次のようにして行っ
た。
度の測定:JIS L 1050 7.7.1 引張強
さ及び伸び率、標準時試験の方法にしたがって測定し
た。用いた試験機は定速荷重型の試験機(容量20g)
であり、試料のつかみ間隔は20mm、引張速度は20
gf/分とした。なお、引張強さの値は、試料が切断し
た時の荷重(gf)で表した。
076 6.1A法(ICI型試験機を用いる方法)に
したがって評価した。
(切断面)を顕微鏡により観察して、目的とする異形断
面を有する繊維が得られているか否かを判定した。
フェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.2モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.51dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して5.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.50dl/g)のチップを、ポリエステル(A)/
ポリエステル(B)=9/5の重量比でブレンドし、乾
燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレ
ンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、図1の
(a)に示す紡出孔を有する紡糸口金(1個の紡出孔面
積0.25mm2)から単孔当たりの紡出量=0.5g
/分の条件下に温度280℃で溶融紡糸し、1000m
/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した
後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切
断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造し
た。このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡に
より観察したところ、図1の(b)に示すような、目的
とする十字型の異形断面形状を有していた。
度130℃の熱水中に60分間浸漬して処理した後取り
出し、乾燥してその引張強さおよび引張伸度を上記した
方法により測定したところ、それぞれ4.5gおよび1
3.1%であった。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によ
って紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用い
て常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精
練、染色(染色浴の温度120℃)を行った後に、その
ピリング性を上記した方法で評価したところ、5級であ
り、抗ピリング性に優れ、ソフト感および嵩高性を備え
る良好な織物であった。
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.0モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.53dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して4.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.54dl/g)のチップを、ポリエステル(A)/
ポリエステル(B)=3/2の重量比でブレンドし、乾
燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でその
ブレンド物を280℃で溶融した後、溶融紡糸装置に供
給し、図2の(a)に示す紡出孔を有する紡糸口金(1
個の紡出孔面積0.17mm2)から単孔当たりの紡出
量=0.5g/分の条件下に温度275℃で溶融紡糸
し、1000m/分で引き取り、70℃で2.2倍に延
伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38m
mに切断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを
製造した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕
微鏡により観察したところ、図2の(b)に示すよう
な、目的とする偏平型の異形断面形状を有していた。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ4.6gおよび15.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練、染色(染色浴の温度130℃)を行った後に、そ
のピリング性を上記した方法で評価したところ、ピリン
グ性は5級であり、抗ピリング性に優れ、ソフト感を有
する良好な織物であった。
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.1モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.47dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して6.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.52dl/g)のチップを用いて、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=3/1の重量比でブレン
ドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装
置でそのブレンド物を285℃で溶融した後、溶融紡糸
装置に供給し、図3の(a)に示す紡出孔を有する紡糸
口金(1個の紡出孔面積0.20mm2)から単孔当た
りの紡出量=0.5g/分の条件下に温度285℃で溶
融紡糸し、1000m/分で引き取り、70℃で2.5
倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長
38mmに切断して異形断面ポリエステル繊維のステー
プルを製造した。このステープルの切断面(横断面形
状)を顕微鏡により観察したところ、図3の(b)に示
すような、目的とする中空状の異形断面形状を有してい
た。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ3.7gおよび16.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練、染色(染色浴の温度110℃)を行った後に、そ
のピリング性を上記した方法で評価したところ、ピリン
グ性は5級であり、抗ピリング性に優れ、ハリコシおよ
び嵩高性を備える良好な織物であった。
フェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
0.8モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.45dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して5.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.52dl/g)のチップを用い、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=9/5の重量比でブレン
ドして溶融紡糸を行った以外は実施例1と同様にして溶
融紡糸、延伸、捲縮付与を行って、38mmに切断し、
異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造した。こ
のステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡により観
察したところ、図1の(b)に示すような、目的とする
中空状の異形断面形状を有していた。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ5.1gおよび22.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は2級であり、抗ピリ
ング性に劣っており、不良な織物であった。
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.4モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.43dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して2.5モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.50dl/g)のチップを用い、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=21/5の重量比でブレ
ンドして溶融紡糸を行った以外は実施例3と同様にして
溶融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維長38mm
に切断してポリエステル繊維のステープルを製造した。
このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡により
観察したところ、図3の(c)に示すような中実の横断
面形状を有しており、目的とする中空繊維が得られなか
った。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ3.3gおよび10.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は2級であり、抗ピリ
ング性に劣っており、不良な織物であった。
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.2モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.53dl/g)のチップと、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位を有していない
ポリエチレンテレフタレート(C)(極限粘度[η]=
0.75dl/g)のチップを用い、ポリエステル
(A)/ポリエステル(C)=9/5の重量比でブレン
ドして溶融紡糸を行った以外は実施例2と同様にして溶
融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維長38mmに
切断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造
した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡
により観察したところ、図2の(b)に示すような偏平
型の異形断面を有していた。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ6.6gおよび19.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は1級であり、抗ピリ
ング性に極めて劣っており、不良な織物であった。
換算して全酸成分に対して1.1モル%の割合で有する
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=0.5
1dl/g)からなるポリエステル(A)のチップのみ
を単独で使用して溶融紡糸を行った以外は実施例3と同
様にして、溶融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維
長38mmに切断してポリエステル繊維のステープルを
製造した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕
微鏡により観察したところ、図3の(c)に示すような
中実の丸型の横断面を有しており、目的とする中空繊維
が得られなかった。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ4.2gおよび16.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は5級であった。
成分に対して5.0モル%の割合で有するポリエチレン
テレフタレート(極限粘度[η]=0.50dl/g)
からなるポリエステル(B)のチップのみを単独で使用
して溶融紡糸を行った以外は実施例2と同様にして、溶
融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維長38mmに
切断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造
した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡
により観察したところ、図2の(c)に示すような中央
のくびれのやや大きい偏平型の異形断面形状を有してい
た。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ6.5gおよび26.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は1級であり、抗ピリ
ング性が極めて劣っていた。
の結果をまとめると以下の表1に示すとおりである。
エステル(i)に由来するリン原子の含有量がポリエス
テルを構成する全酸成分に対して0.9〜1.3モル%
の範囲にあるポリエステル(A)と、および5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸単位をポリエステルを構成する
全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で含むポ
リエステル(B)を、ポリエステル(A)/ポリエステ
ル(B)=1/1〜4/1の重量比の範囲内で混合して
溶融紡糸を行った後、水の存在下に110℃以上の温度
で熱処理している実施例1〜3の場合には、目的とする
異形断面形状を有するポリエステル繊維を得ることがで
き、しかもそれにより得られた異形断面ポリエステル繊
維のピリング性がいずれも5級であって抗ピリング性に
極めて優れていることがわかる。
(i)による変性割合が上記した本発明の範囲よりも少
ないポリエステル(A)を使用している比較例1の場合
には、得られるポリエステル繊維の抗ピリング性が不良
であり、またリン酸ジアルキルエステル(i)による変
性割合が上記した本発明の範囲よりも多いポリエステル
(A)を用い且つポリエステル(A)/ポリエステル
(B)の重量比が4.0よりも大きくなっている比較例
2の場合には、得られるポリエステル繊維の抗ピリング
性が不良であり、しかも異形断面形状を有するポリエス
テル繊維が得られないことがわかる。
ル(A)と5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を
もたないポリエステルの混合物を用いている比較例3の
場合にも、抗ピリング性のポリエステル繊維が得られな
いこと、ポリエステル(A)のみを用いて溶融紡糸を行
っている比較例4の場合は異形断面形状を有するポリエ
ステル繊維が得られないこと、そしてポリエステル
(B)のみを用いて溶融紡糸を行っている比較例5の場
合には抗ピリング性のポリエステル繊維が得られないこ
とがわかる。
れ、しかも目的とする異形断面形状を有する異形断面ポ
リエステル繊維を円滑に製造することができる。
出孔の形状、並びにこれらの例で得られた異形断面ポリ
エステル繊維の横断面形状を示す図である。
糸口金の紡出孔の形状、並びにこれらの例で得られた異
形断面ポリエステル繊維の横断面形状を示す図である。
糸口金の紡出孔の形状、並びにこれらの例で得られたポ
リエステル繊維の横断面形状を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 テレフタル酸単位を主体とするジカルボ
ン酸単位およびエチレングリコール単位を主体とするジ
オール単位から主としてなり、且つ下記の式(i); 【化1】 (式中R1およびR2はそれぞれ独立して炭素原子数3〜
8のアルキル基を表す)で表されるリン酸ジアルキルエ
ステルを用いて変性されているポリエステルであって、
リン酸ジアルキルエステルに由来するリン原子の含有量
がポリエステルを構成する全酸成分に対して0.9〜
1.3モル%であるポリエステル(A);および5−ア
ルカリ金属スルホイソフタル酸単位をポリエステルを構
成する全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で
含む繊維形成性のポリエステル(B)を、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=1/1〜4/1の重量比
で混合して溶融紡糸を行って異形断面ポリエステル繊維
を製造することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維
の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1の方法で異形断面ポリエステル
繊維を製造した後、それにより得られる異形断面ポリエ
ステル繊維を更に水の存在下に110℃以上の温度で熱
処理することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維の
製造方法。 - 【請求項3】 請求項1の方法で製造された異形断面ポ
リエステル繊維、または該異形断面ポリエステル繊維を
用いて形成された布帛。 - 【請求項4】 請求項2の方法で製造された異形断面ポ
リエステル繊維、または該異形断面ポリエステル繊維を
用いて形成された布帛。 - 【請求項5】 請求項1の方法で製造された異形断面ポ
リエステル繊維、該異形断面ポリエステル繊維を用いて
形成された布帛、または該布帛を用いて形成された製品
を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理する方法。
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JP09010295A JP3547842B2 (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 抗ピリング性異形断面繊維の製造方法 |
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JPH08260243A true JPH08260243A (ja) | 1996-10-08 |
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KR20030057773A (ko) * | 2001-12-29 | 2003-07-07 | 주식회사 휴비스 | 개질 폴리에스테르의 제조방법 |
JP2014040686A (ja) * | 2012-08-22 | 2014-03-06 | Kuraray Co Ltd | ポリエステル繊維 |
JP2015059272A (ja) * | 2013-09-17 | 2015-03-30 | 株式会社クラレ | ポリエステル繊維 |
CN105908268A (zh) * | 2016-07-05 | 2016-08-31 | 雷鸣 | 一种高抗起毛起球和高耐磨的三组份复合纤维及其制备方法 |
CN105908273A (zh) * | 2016-07-05 | 2016-08-31 | 雷鸣 | 一种高抗起毛起球和高耐磨的双组份复合纤维及其制备方法 |
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1995
- 1995-03-24 JP JP09010295A patent/JP3547842B2/ja not_active Expired - Fee Related
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