JPH0825075B2 - 空き缶圧縮処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、空き缶投入口より投
入された空き缶を内部で圧縮処理して回収するための空
き缶圧縮処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、空き缶の回収を促すために、空き
缶の投入により所定のゲームを実施できるようにしたゲ
ーム機能付き空き缶回収機や、金券や賞品交換券などを
発行するようにした発券機能付き空き缶回収機などが提
案されている。この種の空き缶回収機は、内部に空き缶
圧縮処理装置を内蔵しており、空き缶投入口より投入さ
れた空き缶を空き缶処理部へ導き、そこで圧縮処理を施
して空き缶の体積を小さくした上で空き缶の回収を行っ
ている。

【０００３】図８は、典型的な空き缶圧縮処理部の構造
を示す。この空き缶圧縮処理部は、空き缶処理室３０に
空き缶Ａの周面を下方より支持する支持板３１が設けて
あり、この支持板３１上に固定板３２に対して往復動す
る加圧板３３を配備して、固定板３２と加圧板３３との
間で空き缶を圧縮処理するものである。前記支持板３１
の固定板３２の近傍位置には放出口３４が設けてあり、
圧縮処理終了後に加圧板３３が後退したとき、圧縮処理
後の扁平な空き缶Ａが前記放出口３４より落下して回収
経路へ導かれる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な構成の空き缶圧縮処理部では、加圧板３３が空き缶Ａ
に当接した後は、空き缶Ａは固定板３２と加圧板３３と
の間で動きが拘束されると共に、支持板３１の存在によ
り下方への逃げ場がないため、空き缶Ａは複雑に圧縮変
形してフラットな板状体にならないばかりでなく、大き
な圧縮反力が加圧板３３に作用して負荷が増大するとい
う問題がある。

【０００５】また空き缶Ａが前記放出口３４の幅に相当
する厚みにまで圧縮変形したとき、図９に示すように、
その後に加圧力の作用を受けても、下方への張出部が前
記放出口３４へ逃げ込むため、その張出部ａにその後の
加圧力が作用せず、全体が均一厚みの板状体に圧縮変形
できない。

【０００６】この発明は、上記問題に着目してなされた
ものであって、小さな加圧力で空き缶をフラットかつ均
一厚の板状体に圧縮変形できる空き缶圧縮処理装置を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、空き缶処理
部に空き缶を下方より支持する支持板を設け、この支持
板上に固定板に対して往復動する加圧板を配備して、固
定板と加圧板との間で空き缶を圧縮処理する空き缶圧縮
処理装置において、前記支持板は、前記固定板側の端縁
に加圧板の下端縁に対し圧縮変形時の空き缶の下方への
張出分だけ上方に突出した突出部が設けられると共に、
この固定板側の端縁が下方に変位可能になるよう支持さ
れており、この端縁と固定板との間には圧縮処理後の空
き缶の厚みに相応する幅の空き缶放出口が形成されてい
る。

【０００８】また請求項２の発明は、請求項１に記載さ
れた空き缶圧縮処理装置であって、前記支持板は、開閉
駆動機構に連繋して開閉動作可能に形成されたものであ
る。

【０００９】

【作用】投入された空き缶は、支持板の突出部上に支持
され、加圧板の前進によりしだいに圧縮されて変位す
る。このとき空き缶の底部と加圧板の下端縁との間に
は、突出部により圧縮変形時の空き缶の張出分に相当す
るだけのゆとりができ、空き缶の下方への変形が許容さ
れる。また空き缶が圧縮変形するにつれ突出部側の端縁
が下方に変位するので、可動板が突出部にぶつかること
なくスムーズに圧縮処理が行われ、その結果、空き缶が
複雑に圧縮変形せずにフラットな板状体となり、また加
圧板に大きな圧縮反力が作用することもない。また空き
缶は、前記突出部により最後まで支持されるので、加圧
板による加圧力が最後まで空き缶に作用して、空き缶全
体が均一厚の板状体に圧縮変形される。

【００１０】請求項２にかかる空き缶圧縮処理装置で
は、支持板が開閉動作可能であるので、容易に変形しな
い固い異物が空き缶処理部に導かれても、支持板を開放
することにより、空き缶処理部より異物を放出すること
が可能である。

【００１１】

【実施例】図１は、この発明の空き缶圧縮処理装置が実
施されたゲーム機能付き空き缶回収機の外観を示すもの
で、箱状の機体１の前面に、リール表示窓２，空き缶投
入口３，発券口４が設けられている。

【００１２】前記リール表示窓２の内側には、図面に複
数のシンボルが描かれた５個のリール５ａ〜５ｅが位置
させてあり、このリール表示窓２より各リール５ａ〜５
ｅの回転状態および回転停止後の３駒分のシンボルが確
認できるようになっている。リール表示窓２の中央には
停止線６が表してあり、この停止線６上に停止した各リ
ール５ａ〜５ｅのシンボルの組み合わせに応じてゲーム
の当たりおよび外れが決められる。

【００１３】この空き缶回収機では、空き缶投入口３よ
り空き缶が投入されると、その空き缶を機体１の内部で
圧縮処理して回収すると共に、全てのリール５ａ〜５ｅ
が回転を開始し、一定時間経過後に各リール５ａ〜５ｅ
が停止する。そのとき前記停止線６上で停止した各リー
ル５ａ〜５ｅのシンボルの組み合わせが所定の組み合わ
せであるとき、そのゲームは当たりとなり、前記発券口
４より賞品引換券などが発行される。

【００１４】前記空き缶投入口３より投入された空き缶
は、所定の経路を経て図２および図３に示す空き缶処理
部９へ導かれる。

【００１５】同図の空き缶処理部９は、対向する前板１
１および後板１２と、両側板を構成する固定板１３およ
び加圧板１４とで囲まれた空き缶処理室１０を有し、こ
の空き缶処理室１０の上方の開口を空き缶取込口１５と
なし、下方の開口には空き缶Ａの周面を下方より支持す
る支持板１６を設けて、支持板１６の先端縁と固定板１
３との間に圧縮処理後の空き缶の厚みに相応する幅の空
き缶放出口１７が形成してある。

【００１６】前記加圧板１４の外面中央には駆動板１８
の一端を直交して連結し、この駆動板１８の他端を駆動
機構１９に連繋している。この駆動板１８は前板１１お
よび後板１２をガイドとして往復動するものであって、
駆動板１８の両側縁は前板１１および後板１２に設けた
ガイド溝２０に摺動自由に係合させてある。

【００１７】前記駆動機構１９は、駆動源であるギヤー
ドモータ２１と、このギヤードモータ２１の回転運動を
往復運動に変換して前記駆動板１８に伝達するクランク
機構２２とで構成される。

【００１８】前記クランク機構２２は、ギヤードモータ
２１の出力軸２３に一端が連結されたクランク軸２４
と、このクランク軸２４の他端に設けられたピン２５と
を備え、前記ピン２５の先端を前記駆動板１８に開設さ
れた長孔２６に摺動自由に係合させてある。なお駆動機
構１９は、モータを駆動源とするものに限らず、油圧シ
リンダやエアシリンダを駆動源とするものであってもよ
い。

【００１９】前記支持板１６は、基端部が枢軸２７にて
傾動変位可能に支持されている。この支持板１６の基端
部には屈曲片２８が一体形成され、前記屈曲片２８に連
結軸２９を介してスプリング３０およびソレノイド３１
が連繋してある。

【００２０】前記ソレノイド３１は支持板１６を傾動さ
せて空き缶処理室１０の下方を開放させる開閉駆動機構
を構成するものであって、そのロッド３２の先端に前記
連結軸２９を連結すると共に、ロッド３２の先端と固定
部材３３との間に前記スプリング３０が介装してある。

【００２１】前記ソレノイド３１は、通電により付勢さ
れると、ロッド３２が引込動作し、消勢されると、ロッ
ド３２が前記スプリング３０の引張力により突出動作す
る。このソレノイド３１は平時は消勢された状態にあ
り、このとき支持板１６は図２に示すように水平姿勢と
なる。前記スプリング３０は空き缶Ａの荷重に対し支持
板１６がほぼ水平姿勢を維持できるような引張強さをも
つ。

【００２２】前記支持板１６の上面の先端縁には、全幅
にわたる突出部３４が形成されている。この実施例で
は、前記突出部３４は表面が滑らかに湾曲する金属帯板
を一体接合して形成されているが、これに限らず、支持
板１６の先端部に板金加工を施して突出部３４を形成し
てもよい。

【００２３】この突出部３４は、空き缶Ａが加圧板１４
と固定板１３とで狭持された状態のとき、その頂点Ｐが
空き缶Ａの中心Ｃに対応位置しかつ加圧板１４の下端縁
より上方へ適当な距離ｄだけ突出するよう位置決めされ
ている。この距離ｄは空き缶Ａを圧縮変形したときの下
方への張出長さに応じて適宜設定される。また突出部３
４は、空き缶Ａが加圧板１４と固定板１３とで挟持され
た状態のとき、その基端Ｑが加圧板１４に対して固定板
１３寄りに位置するよう幅が設定してある。

【００２４】なお図中、３５はリミットスイッチであ
り、加圧板１４が最も後退したとき、これを検知して、
ギャードモータ２１の駆動を停止させるための停止信号
を発生させる。

【００２５】図４〜図７は、上記構成の空き缶処理部９
の動作を示す。いま空き缶Ａが空き缶処理室１０に取り
込まれると、空き缶Ａは支持板１６の突出部３４上に支
持され、空き缶Ａの中心Ｃは加圧板１４の中心線Ｌ上に
位置する（図２）。つぎに駆動機構２０のギヤードモー
タ２１が回転を開始すると、この回転運動はクランク機
構２２により直線運動に変換され、加圧板１４が固定板
１３に向かって前進することになる。

【００２６】図４は、加圧板１４と固定板１３との間で
空き缶Ａが挟持された時点を示すもので、この状態で空
き缶Ａは自由な動きが拘束されることになる。

【００２７】さらに加圧板１４が前進すると、空き缶Ａ
は加圧力により圧縮変形を受け、上方および下方へ張り
出してゆく（図５）。この張出力は支持板１６に作用
し、スプリング３０の引張力より大きくなったとき、支
持板１６は下方へ傾動変位して空き缶Ａの張出を許容す
る。

【００２８】加圧板１４の前進に応じて空き缶Ａの圧縮
変形および支持板１６の変位は一層進むが、遂には加圧
板１４の下端縁が支持板１６の突出部３４に当たり、そ
れ以後は加圧板１４の加圧力により支持板１６がさらに
下方へ傾動変位することになる（図６）。この状態では
空き缶Ａの下方への張出部は加圧板１４の下端縁を越え
ていない。

【００２９】さらに加圧板１４が前進すると、圧縮変形
を受けた空き缶Ａの厚みは放出口１７の開口幅より小さ
くなる（図７）。このようにして空き缶Ａは、下方へ張
り出す上での拘束を受けることなく、最後まで加圧板１
４により加圧力を受け、空き缶Ａはフラットかつ均一幅
の板状体に圧縮変形される。加圧板１４の前進が最終地
点まで到達した後、加圧板１４が後退を始めると、空き
缶Ａは加圧板１４と固定板１３との間の拘束から解放さ
れて放出口１７より下方へ落下し、図示しない回収経路
へ導かれる。

【００３０】なお空き缶処理室１０に容易に圧縮変形し
ない異物が取り込まれたとき、加圧板１４に対する負荷
が著しく増大してギャードモータ２１の負荷電流が増大
することになる。この負荷電流の増大を電流検出器（図
示せず）により検出したとき、直ちに駆動機構２２の駆
動を停止させかつ逆転させて異物の拘束を解き、さらに
ソレノイド３１を付勢して支持板１６を開動作させるこ
とにより空き缶処理室１０の下方を開放して異物を下方
へ放出させる。

【００３１】

【発明の効果】この発明は上記の如く、空き缶と加圧板
の下端縁との間に圧縮変形時の空き缶の下方への張出分
に相当するだけのゆとりが形成されるように、支持板の
固定板側の端縁に突出部を設けるともに、この突出部側
の端縁が下方へ変位可能となるように支持板を支持した
から、空き缶の下方への変位が許容されてフラットな板
状体に圧縮することができる。また加圧板に大きな圧縮
反力が作用することもない。

【００３２】また空き缶は、支持板の先端縁の突出部に
より最後まで支持されるので、加圧板による加圧力を最
後まで空き缶に作用させて、空き缶全体を均一厚の板状
体に圧縮変形することができる。

【００３３】また請求項２の発明では、前記支持板を駆
動機構に連繋して開閉動作可能に形成したから、固い異
物が空き缶処理部に導かれても、支持板を開放すること
により、空き缶処理部より異物を取り除くことが可能で
あるなど、幾多の顕著を効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明が実施されたゲーム機能付き空き缶回
収機の外観を示す正面図である。

【図２】空き缶処理部の構成例を示す一部を破断した正
面図である。

【図３】図２の空き缶処理部の平面図である。

【図４】空き缶処理部の動作を示す説明図である。

【図５】空き缶処理部の動作を示す説明図である。

【図６】空き缶処理部の動作を示す説明図である。

【図７】空き缶処理部の動作を示す説明図である。

【図８】従来例の構成を示す断面図である。

【図９】従来例の動作を示す断面図である。

【符号の説明】

９ 空き缶処理部 １０ 空き缶処理室 １３ 固定板 １４ 加圧板 １６ 支持板 １７ 空き缶放出口 ２０ 駆動機構 ３０ スプリング ３１ ソレノイド

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空き缶処理部に空き缶を下方より支持する
   支持板を設け、この支持板上に固定板に対して往復動す
   る加圧板を配備して、固定板と加圧板との間で空き缶を
   圧縮処理する空き缶圧縮処理装置において、 前記支持板は、固定板側の端縁に加圧板の下端縁に対し
   圧縮変形時の空き缶の下方への張出分だけ上方に突出し
   た突出部が設けられると共に、この固定板側の端縁が下
   方に変位可能になるよう支持されており、この端縁と固
   定板との間には圧縮処理後の空き缶の厚みに相応する幅
   の空き缶放出口が形成されて成る空き缶圧縮処理装置。
2. 【請求項２】前記支持板は、開閉駆動機構に連繋して開
   閉動作可能に形成されて成る請求項１に記載された空き
   缶圧縮処理装置。