JPH08247909A - X線顕微鏡用試料カプセルおよびその温度制御装置 - Google Patents

X線顕微鏡用試料カプセルおよびその温度制御装置

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JPH08247909A
JPH08247909A JP7055753A JP5575395A JPH08247909A JP H08247909 A JPH08247909 A JP H08247909A JP 7055753 A JP7055753 A JP 7055753A JP 5575395 A JP5575395 A JP 5575395A JP H08247909 A JPH08247909 A JP H08247909A
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ray
chip
space
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Hisao Ozeki
尚夫 大関
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 観察試料を封入したまま、観察試料あるいは
試料空間の温度を測定できるX線顕微鏡用試料カプセル
を提供する。 【構成】 2枚のチップ1、2の間に形成された試料空
間Sと有するX線顕微鏡用試料カプセルにおいて、試料
空間Sに温度センサ30を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線顕微鏡での観察に
用いられ、とくに試料の温度依存性を調べる際に好適な
X線顕微鏡用試料カプセルおよびその温度制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】医学や生物工学等における生体の高倍率
観察に対する要求の高まりに対応して、波長2〜5nm
程度の軟X線を用いるX線顕微鏡が注目されており、こ
の軟X線顕微鏡を用いて生体観察を行うための試料カプ
セルとしては特開昭63−263500号公報、特開昭
63−298200号公報および特願平4−33202
4に示されるものが知られている。
【0003】図11は、軟X線を用いるX線顕微鏡の概
要を示し、図12(a)、(b)は、種々の材料におけ
る軟X線の波長と線吸収係数の関係を示す。
【0004】軟X線は、X線と呼ばれる波長1pm〜1
0nmの領域の電磁波のうち、通常は、200pm以上
の波長を有するものとされ、波長400〜800nmの
可視光線よりも2桁以上も短い波長の電磁波である。こ
の軟X線は通過する物質に良く吸収される。また、種々
の物質内における光路単位長さ当りの吸収率、即ち線吸
収係数は物質の密度に比例する。また、この線吸収係数
は一般的には波長が長くなる程高くなるが、図12
(a)、(b)に示されるように各物質の分子構造に応
じた波長の、低い線吸収係数を示す領域がいくつか存在
する。図12(a)において、O端、N端、C端とは、
それぞれ酸素の吸収端、窒素の吸収端、および炭素の吸
収端を示し、この吸収端とは、X線の波長を変化させた
場合に、X線の吸収率が極端に変化する箇所でのX線の
波長をいう。
【0005】図11のX線顕微鏡において、コンデンサ
ー光学系101、試料ホルダー(試料容器)102、結
像光学系103、および撮像装置104は、X線発生器
105の出力光軸上に直列に配置され、この光学系全体
は、排気系106を有する真空槽107内に納められて
いる。なお、X線発生器105から撮像装置104まで
のX線光学系の光路長は約2mである。
【0006】観察試料を装填した試料カプセル108を
試料ホルダー(試料容器)102内にセットした後、排
気系106を動作して真空槽107内を真空排気し、真
空度を4.8×10-2Pa以下に維持した状態で観察を
行う。X線発生器105から射出された軟X線ビーム
は、コンデンサー光学系101により収束され、試料容
器102にセットされた試料カプセル108を通過す
る。通過した軟X線は、結像光学系103により撮像装
置104上に結像して真空槽107外のモニタ装置10
9に観察像を与える。
【0007】大気は1気圧下で2×10-3μm-1程度の
軟X線の吸収率を有するので、軟X線を用いたX線顕微
鏡にあってはその大気による吸収を避けるため、光学系
全体をその光路長に応じた高い真空度に保つ必要があ
り、軟X線を収束させるレンズ素子の性能に良いものが
得にくい。しかしながら、可視光線より格段に短い波長
のX線を用いるため、従来の光学顕微鏡よりも高い解像
度を期待できる。また、生体の直接観察を透過材料越し
に行うことが可能で、組織培養液と共に生体を液封した
試料カプセルを用いれば、生体試料を損傷することなく
長時間にわたるその生理観察を実行できる。従って、電
子顕微鏡の場合のような、試料の乾燥や金属蒸着等、観
察物にダメージを与える前処理が不要となる。
【0008】また、図12(a)に示すように、水に対
する線吸収係数がV字状に低下している領域がある。こ
の水の窓と呼ばれる、水に対し同係数が低い波長領域
(2.3〜4.4nm)においては、図12(a)に示
されるように、軟X線の水に対する吸収率と、生体を構
成するタンパク質等に対する吸収率との差が大きい。従
って、この波長領域の軟X線を使用すれば、例えば細胞
内に浮遊する小気管等を観察する場合にその観察画像の
コントラストが良いという利点もある。
【0009】ところで、上述したように軟X線は、種々
の物質により簡単に吸収されてしまうから、観察試料を
気密封入して軟X線光路中に挿入される試料カプセル
は、その試料層の厚さが薄くなるような形状にするとと
もに、気密を兼ねた観察窓材の軟X線の吸収量を極力小
さくする必要がある。従って、この窓材には、軟X線に
対する線吸収係数が低くて膜強度も高い材料、例えば図
12(b)の窒化シリコンSi34等を薄膜形成したも
のが一般的に採用されている。
【0010】図13(a)は、このような試料カプセル
の試料封入部分の平面構造を、また、図13(b)はこ
の試料カプセルの断面構造をその試料容器とともに示
す。
【0011】この試料カプセルは、X線透過窓110
c、111cを形成した2枚のチップ110、111の
間にリング状のスペーサ112を挟み込み、その内側の
密閉空間に観察試料を封入するものである。図13
(a)、(b)に示すように、チップ110、111
は、シリコン板110a、111a上に窒化シリコン
(Si34)薄膜110b、111bを形成した後に、
X線透過窓110c、111cに対応する部分のシリコ
ン板をエッチングにより除去したものである。ここで、
薄膜110b、111bの張られたX線透過窓110
c、111cは200μm角の正方形であり、その膜厚
は、0.05〜0.1μmである。また、チップ11
0、111の対向する薄膜面の間に挿入されている円環
上のスペーサ112は、試料層の厚さを確保するもの
で、用途に応じて1〜15μmの範囲で適切な厚さのも
のが選択される。例えば、軟X線の波長を2.36nm
に選択して、窒化シリコン(Si34)薄膜110b、
111bの膜厚をそれぞれ0.1μm、試料層(水)の
厚さを10μmとすれば、それぞれの軟X線透過率は4
3.2%、34.2%となり、全体では約14.8%の
透過率が確保される。
【0012】一方、スペーサ112は、表裏両面にシー
ル面を有し、2枚のチップ110、111と密着して円
環の内側の試料空間の密閉を行う機能を兼ね備えてい
る。また、試料容器113、114は、ねじ115によ
り相互に固定されるとともに、Oリング116を介し
て、その内部に納めたチップ110、111を対向方向
に押圧するもので、この押圧力によりスペーサ112と
チップ110、111の接触面に、試料カプセルを真空
中で保持するために必要な密着力が付与される。
【0013】また、スペーサ112の外側に試料液が漏
れるような場合や、図13(a)のようにスペーサ11
2を用いるのではなく、図14(a)に示すように、矩
形形状のスペーサ112A自身では試料空間の密閉を行
えない場合は、その試料容器は、図14(b)に示すよ
うに、Oリング116を用いてシールを行う。
【0014】従来のX線顕微鏡用カプセルでは、チップ
110の上にスペーサ112を載置して、その内側に液
状の試料観察、例えば培養液中に浮遊させた細胞を針の
内径が0.2〜0.3mmの注射器で滴定した後、チッ
プ111をかぶせ、この試料カプセルを試料容器11
3、114に納めてねじ115を固定する手順で試料を
装填している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
X線顕微鏡用試料カプセルにおいては、試料装填後およ
び観察時において、観察試料あるいは試料空間の温度を
正確に測定できない。また、試料あるいは試料空間の温
度を所望の温度に制御することができず、観察試料の温
度依存性等を調べることができない。
【0016】本発明の目的は、観察試料を装填後に観察
試料をカプセル内に封入したまま、観察試料あるいは試
料空間の温度を測定できるようにしたX線顕微鏡用試料
カプセルおよび試料あるいはカプセル内の温度を調整で
きるようにした温度調節装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1〜
4、9および10に対応付けて説明すると、本発明は、
2枚のチップ1、2の間に試料空間Sが形成されるX線
顕微鏡用試料カプセルに適用される。そして、試料空間
Sに温度センサ30を設けることにより上述の目的が達
成される。請求項2に記載のX線顕微鏡用試料カプセル
は、請求項1のX線顕微鏡用試料カプセルにおいて、温
度センサ30を熱電対としたものである。請求項3に記
載のX線顕微鏡用試料カプセルは、請求項1または2の
X線顕微鏡用試料カプセルにおいて、加熱器27または
冷却器28を試料空間Sに設けたものである。請求項4
に記載のX線顕微鏡用試料カプセルは、請求項3に記載
のX線顕微鏡用試料カプセルにおいて、冷却器28とし
てペルチェ素子を用いたものである。請求項5の発明に
よる温度制御装置Cは、2枚のチップ1、2の間に試料
空間Sが形成されるX線顕微鏡用試料カプセルと、試料
空間Sに設けられた温度センサ30と、試料空間Sに設
けられた温調素子TCと、温度センサ30の測定値を受
けてその測定値に応じた信号を温調素子TCに出力する
制御演算装置29とを備えたものである。
【0018】
【作用】試料空間に設けられた温度センサ30は試料カ
プセル内の温度に対応した測定値を出力する(請求項
1)。試料空間の内部に設けられた加熱器27は試料空
間内部および試料を加熱する。また、試料空間の内部に
設けられた冷却器28は試料空間内部および試料を冷却
する(請求項3)。温度センサ30は試料カプセル内の
温度に対応した測定値を出力し、制御演算装置29はこ
の測定値に応じた出力を温調素子TCに与える。温調素
子TCにより試料カプセル内部の温度が調整される。
(請求項4)。
【0019】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
−第1の実施例− 図1は本発明による試料カプセルの第1の実施例を示す
断面図である。同図に示すように、この試料カプセルは
互いに重ね合わされた2つのチップ1および2から構成
されている。図2はチップ1を図1の上側から見た平面
図である。
【0021】図1に示すように、チップ1の上面とチッ
プ2の下面との間隙には試料空間Sが形成され、試料空
間Sの内部に充填された試料12がX線顕微鏡により観
察される。
【0022】チップ1は矩形のシリコン板3を基材と
し、このシリコン板3の中央部にはテーパー状の貫通孔
3aが形成され、また、図1においてシリコン板3の上
面には図2において上下に延在された2つの突起部3b
が設けられている。シリコン板3の上面には窒化シリコ
ン薄膜4が設けられている。窒化シリコン薄膜4は貫通
孔3aの上部の開口部を塞ぎ、この部分でX線透過窓4
aを構成している。また、窒化シリコン薄膜4は突起部
3bの形状に沿ってシリコン板3の表面を覆い、この部
分でスペーサー部1aが形成されている。シリコン板3
の下面には窒化シリコン薄膜5が設けられ、貫通孔3a
の開口部において開口している。窒化シリコン薄膜5は
チップ1の製造工程でエッチングマスクとして設けられ
たものであり、完成した試料カプセルの機能には直接関
与しない。
【0023】窒化シリコン薄膜4の上面には、ニクロム
膜6が下層に、アルミ膜7が上層にそれぞれ領域8で重
ね合わされて設けられ、両者は熱電対30を構成してい
る。図2に示すように、X線透過窓4aを取り囲むよう
に配置された領域8からはニクロム膜6およびアルミ膜
7がそれぞれ左右に分れて上方向に延びて設けられ、上
端部にはそれぞれ端子6aおよび端子7aが取付けられ
ている。
【0024】チップ2はシリコン板3よりもやや小さい
矩形のシリコン板9を基材とし、このシリコン板9の中
央部にはテーパー状の貫通孔9aが形成されている。シ
リコン板9の上面には窒化シリコン薄膜10が設けられ
貫通孔9aの開口部において開口している。シリコン板
9の下面には窒化シリコン薄膜11が設けられている。
窒化シリコン薄膜11は貫通孔9aの下部の開口部を塞
ぎ、この部分でX線透過窓11aを構成している。
【0025】図2のB−B線はチップ1とチップ2とを
組合せた際のチップ2の端部の位置を示しており、図2
においてB−B線よりも下部ではチップ1とチップ2と
が重なり合っている。また、図2においてB−B線より
も上部ではチップ1の上面にチップ2が重ならない。両
チップ1、2のX線透過窓4aと、X線透過窓11aと
は互いに対向して配置されている。
【0026】試料12はX線透過窓4aとX線透過窓1
1aの中間に配置され、図1において上部からX線透過
窓11aを通過した軟X線が試料に照射される。この軟
X線は、さらにX線透過窓4aを通過して結像する。
【0027】図3および図4は本実施例の試料カプセル
を試料容器に封入した状態を示し、図3は図1と同じ方
向から見た断面図、図4は図3のIV−IV方向から見た断
面図である。試料容器は第1部材21と第2部材22と
からなり、試料カプセルを気密状態に収納するものであ
る。
【0028】第1部材21は断面形状が上向きに開口し
た「コ」の字型の部材で、底部中央部には上下に貫通し
た貫通孔21aが形成され、側部には上下に貫通する螺
合孔21cが形成されている。また、底部上面には貫通
孔21の全周を取り囲んでOリング21bが取付けられ
ている。
【0029】第2部材22は中央部に上下に貫通する貫
通孔22aが形成された矩形の板状部材であり、その下
面には貫通孔22aを取り囲んでOリング22bが、さ
らに外側に周状にOリング22cが取付けられている。
【0030】図4に示すように、第2部材22に形成さ
れた貫通孔22eを貫通して、導電性を有する円柱状の
2つの(1つのみ図示)コンタクトプローブ23が上下
方向に摺動可能に取付けられている。このコンタクトプ
ローブ23は図示しないばねにより下向きに付勢され、
貫通孔22eとコンタクトプローブ23の間隙はシール
材24により気密状態に封止されている。
【0031】上述の第1部材と第2部材とはねじ25に
より固定される。ねじ25は取付け孔22dを貫通する
とともに螺合孔21cに螺合して第1部材21と第2部
材22とを上下に締め付ける。ねじ25を締結するとO
リング22cは第1部材21の側部上面と第2部材22
の下面との間に、Oリング22bは試料カプセルのチッ
プ2の上面と第2部材22の下面との間に、またOリン
グ21bは第1部材21の底部の上面とチップ1の下面
との間に、それぞれ挟まれて試料カプセルの内部を気密
状態にする。
【0032】第1部材21の貫通孔21aはチップ1の
X線透過窓4aと、第2部材22の貫通孔22aはチッ
プ2のX線透過窓11aと、それぞれ対向して固定され
る。したがって、図3および図4の上方から照射さられ
た軟X線は貫通孔22a、X線透過窓11a、X線透過
窓4aおよび貫通孔21aを経由して下方に向う。
【0033】第1部材21と第2部材22とが互いに締
結された状態ではコンタクトプローブ23は図示しない
ばねにより下向きに付勢され、コンタクトプローブの先
端23aはチップ1の上面に設けられた端子6aおよび
端子7aと接触する。上述のように、図2においてB−
B線よりも上部ではチップ2がチップ1に重ならないの
で、コンタクトプローブ23の接触をチップ1が妨害す
ることはない(図4)。
【0034】コンタクトプローブ23は外部の装置に電
気的に接続される。したがって、試料カプセルを密閉し
たまま、すなわちX線顕微鏡により試料12の観察を継
続したままリアルタイムで試料カプセルの試料空間Sの
気温、あるいは、試料空間Sに満たされた試料溶液の温
度を熱電対30を用いて測定することができる。
【0035】以下、図5〜図8を用いて、本発明のX線
用試料カプセルの第1の実施例におけるチップ1の製造
工程を説明する。
【0036】まず、図5(a)に示すように、シリコン
板3の上面にスパッタリング、CVD法などにより酸化
シリコン膜31を形成し、同様にシリコン板3の下面に
酸化シリコン膜32を形成する。
【0037】次に、図5(b)に示すように、シリコン
板3の上面にレジスト33を塗布したのち、上面のレジ
スト33を光学マスク35を介して露光し、さらに現像
する。また、酸化シリコン膜32の下面にはレジスト3
4を形成する。次に、図5(c)に示すように、レジス
ト33をマスクとしてCHF3などのガスにより酸化シ
リコン膜31をエッチングして酸化シリコン膜パターン
31aを得る。
【0038】次に、レジスト33およびレジスト34を
剥離した後、図5(d)に示すように、酸化シリコン膜
パターン31aをマスクとしてシリコン板3の上面をド
ライエッチングして突起部3bを形成する。さらに、図
5(e)に示すように酸化シリコン膜パターン31aお
よび酸化シリコン膜32を全面エッチングにより取り除
く。
【0039】次に、図6(a)に示すように、CVD法
等によりシリコン板3の上面および下面に窒化シリコン
膜4および窒化シリコン膜5をそれぞれ形成して、さら
に、窒化シリコン膜4の上面にレジスト36を塗布す
る。次に、図6(b)に示すように、シリコン板3を個
々の試料カプセルごとにカットするための基準となるス
クライブライン部に対応するパターンのマスク37を介
し、レジスト36を露光し、さらに現像する。次に、図
6(c)に示すように、CF4などのガスにより窒化シ
リコン膜4をドライエッチングし、レジスト36を剥離
する。
【0040】次に、基板上面にレジスト膜38を形成
し、さらに、窒化シリコン膜5の下面にレジスト39を
塗布した後、貫通孔3aに対応したパターンのマスク4
0を介してレジスト39を露光する(図6(d))。レ
ジスト39を現像した後、CF4などのガスにより窒化
シリコン膜5をドライエッチングし、さらにレジスト膜
38およびレジスト39を除去する(6図(e))。
【0041】続いて、熱電対30を作製する。まず、窒
化シリコン膜4の上面にニクロム膜6を蒸着等により形
成し(図7(a))、レジスト41を塗布した後、マス
ク42を介して露光、現像する。また、基板の下面には
レジスト層43を形成する(図7(b)。次に、ニクロ
ム膜6をエッチング液によりウエットエッチングし、レ
ジスト41およびレジスト層43を剥離する(図7
(c))。その後、基板の上面にアルミ膜7を蒸着等に
より形成し(図7(d))、レジスト44を塗布した
後、マスク45を介して露光、現像する。また、基板の
下面にはレジスト層46を形成する(図7(e))。さ
らに、アルミ膜7をArなどのガスによりドライエッチ
ングし、レジスト44およびレジスト層46を剥離する
(図8(a))。
【0042】次に、窒化シリコン膜5をマスクとして、
水酸化カリウム水溶液によりシリコン板3をウエットエ
ッチングし、貫通孔3aを形成する(図8(b))。次
に、スクライブラインSLに従って基板を個々の試料カ
プセルごとにカットする(図8(c))。このようにし
て試料カプセルのチップ1が作製される。チップ2につ
いてもチップ1と同様の方法で作製することができる。
【0043】−第2の実施例− 図9は本発明のX線顕微鏡用試料カプセルの第2の実施
例のチップ1を示す。第2の実施例は第1の実施例に対
して、さらに、ニクロム材料で形成された加熱器27お
よびペルチェ素子を利用した冷却器28から成る温調素
子TCを追加形成したものである。図9において、加熱
器27は熱電対30を取り囲むように延在して設けら
れ、上部の両端には2つの端子27aが形成されてい
る。冷却器28は加熱器27を取り囲むように延在して
設けられ、上部の両端には2つの端子28aが形成され
ている。端子27aおよび28aは外部の装置と電気的
に接続するためのものである。また、試料容器の第2部
材22の各端子27a、28aに対応した位置には、第
1の実施例で説明したコンタクトプローブ23と同様な
4つのプローブが摺動可能に取付けられ、カプセル収納
時にはコンタクトプローブの先端が各端子27a、28
aと接触する。このように、第2の実施例の第2部材2
2には温度センサ30の端子6a、7aと接続されるも
のを含めて、全部で6本のコンタクトプローブが取付け
られる。
【0044】加熱器27はニクロム膜を蒸着等により成
膜した後、フォトリソグラフィーにより所定形状にパタ
ーニングして形成される。ペルチェ素子は2種の物質の
絶対ペルチェ係数の違いを利用したものである。チップ
1の下面には図示しない放熱器が取付けられ、端子28
aを介して電流を特定方向に流すとカプセル内が冷却さ
れる。材料としては、主として、V−VI族化合物半導
体すなわちBi2Te3、Sb2Se3、Bi2Se3および
これらの固溶体で、これに不純物を添付して最適化した
材料が用いられる。
【0045】図10は試料空間Sの温度制御装置Cの構
成を示す。制御演算装置29は端子6a、7a、27a
および28aに電気的に接続されている。制御演算装置
29に入力された設定温度A゜Cと温度計30で測定さ
れた試料空間Sの温度B゜Cとが比較される。そして、
A<Bを満たす場合には冷却器28を作動させて試料空
間を冷却し、A>Bを満たす場合には加熱器27を作動
させて試料空間を加熱する。このようにして試料空間S
をほぼA゜Cに維持することができる。試料の観察中、
Aの値を一定値に保ってもよいし、手動で、あるいは自
動的にAの値を変化させてもよい。
【0046】設定温度としてA1およびA2(>A1)
の2つの温度を入力し、B<A1を満たす場合には加熱
器27を作動させ、A2<Bを満たす場合には冷却器2
8を作動させ、その他の場合には加熱器27および冷却
器28をともに作動させないようにしてもよい。このよ
うにして試料空間Sを一定の温度範囲に保つことができ
る。
【0047】制御演算装置による制御の方式としては、
PD制御(比例微分制御)、PI制御(比例積分制
御)、PDI制御(比例積分微分制御)、ファジー制御
などが適宜選択できる。
【0048】第1の実施例および第2の実施例において
は、スペーサ1a、熱電対30、加熱器27および冷却
器28をチップ1に設けた場合について説明したが、ス
ペーサをチップ2に設けてもよいし、別の部材をスペー
サとしてチップ1、2相互間に挟み込んでもよい。ま
た、熱電対30、加熱器27および冷却器28の全部ま
たは一部をチップ2に設けてもよい。
【0049】熱電対の材料はニクロム−アルミニウムに
限定されない。また、温度センサとしては熱電対に限定
されず半導体センサ等が使用できる。さらに、加熱器2
7はニクロムを材料とする場合に限定されず、導体、半
導体の性質を有する各種の材料が使用できる。
【0050】第1の実施例および第2の実施例において
示した熱電対30、加熱器27および冷却器28の大き
さや、形状および配置などは例示したものにすぎず、そ
れぞれの機能を損わない範囲で大きさ、形状、配置など
が適宜選択できる。また、熱電対30、加熱器27また
は冷却器28が試料と直接接触しないようにチップ1の
上面に保護膜を設けてもよい。酸化シリコン膜等を成膜
した後、フォトリソグラフィー等で所望の形状に形成す
ることができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料カプセルの内部に温度センサを設けたので、試料を
封入したまま試料空間の温度あるいは試料溶液の温度を
測定することができる。したがって、顕微鏡により測定
しながらリアルタイムで試料の温度をほぼ正確に把握す
ることができる(請求項1)。試料カプセルの内部に温
調素子を設けたので、試料を封入したまま、したがっ
て、観察を続けながら試料を加熱あるいは冷却すること
ができる。また、同時に温度センサにより試料カプセル
の内部の温度がモニターできる(請求項3)。温度セン
サの測定値に応じて温度調整されるので、観察を続けた
まま、所望の温度あるいは温度範囲になるように試料を
加熱、冷却することができる。したがって、試料の温度
依存性を精密に調べることができる(請求項4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線顕微鏡用試料カプセルの第1の実
施例を示す断面図である。
【図2】図1に示す第1の実施例のチップ1を示す平面
図である。
【図3】図2のA−A線における断面での第1の実施例
による試料カプセルと試料容器を示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】第1の実施例のチップ1の製造工程を示す断面
図である。
【図6】図5に続く製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続く製造工程を示す断面図である。
【図8】図7に続く製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明のX線顕微鏡用試料カプセルの第2の実
施例のチップ1を示す平面図である。
【図10】第2の実施例のカプセル内部の温度を制御す
るシステムを示す構成図である。
【図11】X線顕微鏡を示す概要図である。
【図12】各種物質の軟X線に対する線吸収係数を示す
図である。
【図13】従来の試料カプセルおよび試料容器を示す図
である。
【図14】従来の別の試料カプセルおよび試料容器を示
す図である。
【符号の説明】
1 チップ 2 チップ 27 加熱器 28 冷却器 29 制御演算装置 30 温度センサ S 試料空間 C 温度制御装置 TC 温調素子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚のチップの間に試料空間が形成され
    るX線顕微鏡用試料カプセルにおいて、 前記試料空間に温度センサを設けたことを特徴とするX
    線顕微鏡用試料カプセル。
  2. 【請求項2】 前記温度センサが熱電対であることを特
    徴とする請求項1に記載のX線顕微鏡用試料カプセル。
  3. 【請求項3】 加熱器または冷却器が前記試料空間の内
    部に設けられていることを特徴とする請求項1または2
    に記載のX線顕微鏡用試料カプセル。
  4. 【請求項4】 冷却器としてペルチェ素子を用いたこと
    を特徴とする請求項3に記載のX線顕微鏡用試料カプセ
    ル。
  5. 【請求項5】 2枚のチップの間に試料空間が形成され
    るX線顕微鏡用試料カプセルと、 前記試料空間に設けられた温度センサと、 前記試料空間に設けられた温調素子と、 前記温度センサの測定値を受けてその測定値に応じた信
    号を温調素子に出力する制御演算装置とを有することを
    特徴とする温度制御装置。
JP7055753A 1995-03-15 1995-03-15 X線顕微鏡用試料カプセルおよびその温度制御装置 Pending JPH08247909A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000513135A (ja) * 1997-03-12 2000-10-03 ガタン・インコーポレーテッド 電子顕微鏡のための超高傾斜試験片低温移送ホルダ
JP2006187799A (ja) * 2005-01-07 2006-07-20 Sodick Co Ltd 電子ビーム照射表面改質加工装置
CN105092326A (zh) * 2015-07-21 2015-11-25 中国工程物理研究院计量测试中心 倒装芯片封装器件开封方法
JP2017044664A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 国立大学法人金沢大学 液中原子間力顕微鏡

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