JPH05172738A - 音響セル - Google Patents

音響セル

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Publication number
JPH05172738A
JPH05172738A JP3355657A JP35565791A JPH05172738A JP H05172738 A JPH05172738 A JP H05172738A JP 3355657 A JP3355657 A JP 3355657A JP 35565791 A JP35565791 A JP 35565791A JP H05172738 A JPH05172738 A JP H05172738A
Authority
JP
Japan
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flexible film
light
acoustic cell
probe
container
Prior art date
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Pending
Application number
JP3355657A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeyuki Kimura
茂行 木村
Sunao Miyazaki
直 宮崎
Tsutomu Masujima
努 升島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jasco Corp
Original Assignee
Jasco Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Jasco Corp filed Critical Jasco Corp
Priority to JP3355657A priority Critical patent/JPH05172738A/ja
Publication of JPH05172738A publication Critical patent/JPH05172738A/ja
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  • Length Measuring Devices Characterised By Use Of Acoustic Means (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定精度の高い音響セルを提供すること。 【構成】 試料11を収納可能な密閉空間9を構成する
音響セル本体1は、容器本体3の所定位置に蓋体5,底
体6を、電磁波を透過可能な板部材で構成される透過窓
7a,7bを介して装着する。下側の透過窓上には試料
ホルダ10が配置され、その上に試料が載置される。ま
た、容器本体の密閉空間は、第2の連通管13を介して
開口されるが、その開口部に可撓性膜16が装着され閉
塞される。この可撓性膜の膨出量を測定する測定装置部
2は、可撓性膜に光を照射する光源26と、その光源と
前記可撓性膜との間に配置されたマイケルソン干渉計2
5と、そのマイケルソン干渉計から出射される干渉鏡を
検出する光電検出器32とからなり、このマイケルソン
干渉計が、ビームスプリッタ28、固定鏡29、可撓性
膜の外面に設けられた反射鏡16aとからなり、この反
射鏡が移動鏡となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音響セルに関するもの
で、より具体的には電磁波が照射されてエネルギー吸収
した試料が、基底状態に戻る過程で生じる無放射遷移を
利用して物質(試料)の性質を知る方法である光音響分
光法を実施するために用いられる音響セルに関する。
【0002】
【従来の技術】光音響分光法は、まず電磁波を物質に照
射させることにより、その電磁波のエネルギーを物質に
吸収させる。すると、その物質は、吸収されたエネルギ
ーを熱として放出しながら元の基底状態に戻ろうとし
(無放射遷移)、係る熱が拡散し、周辺気体に疎密波を
生じる。そして、この疎密波は照射した電磁波の変調周
波数に同期するため、使用する電磁波の周波数帯を可聴
周波数領域にすれば、かかる疎密波に基づいて音が発生
する。さらに、その音の大きさは、電磁波の周波数や試
料に吸収されたエネルギー量(放熱量)等により一義的
に決まる。従って、係る音を検知することにより、試料
の性質を検出することができる。
【0003】そして、このような光音響分光法を実施す
るための装置として、従来例えば図8に示すような音響
セルがあった。すなわち、同図に示すように、上部開口
された容器本体Aの開口部を蓋部Bで覆うことにより密
閉容器Cを構成している。そして、この密閉容器C内に
は試料ホルダDが配設されており、この試料ホルダD上
に所定の試料Eが載置されるようになっている。また、
蓋部Bの所定位置には透過窓Gが形成されており、この
透過窓Gを介して電磁波が入射され前記試料Eに照射さ
れるようになっている。さらに、容器本体Aには、マイ
クロホンHが装着されており、そのマイクロホンHの受
音面H′が、密閉容器C内の空間H内に対向位置してい
る。
【0004】これにより、試料Eより発する熱拡散は周
囲に伝播し、周辺気体に疎密波を発生、すなわち、圧力
変化を生じさせるが、試料Eが密閉された空間内に位置
するため、係る圧力変化が密閉容器Cの内壁面に圧力変
動を伝える。よって、この圧力変動を密閉容器C内に位
置(連通)するマイクロホンHにより、音としてとらえ
ることができる。
【0005】なお、上記密閉容器Cの気密度を向上させ
るため、容器本体Aと蓋部Bとの接合部位及び容器本体
AとマイクロホンHとの接合部位には、OリングJが介
在されている。また、上記マイクロホンHとしては、一
般に圧電素子を用い圧電効果を利用した圧電型マイクロ
ホンが用いられるが、これに変えて静電容量変化を利用
して音圧を測定する静電容量型マイクロホンが用いられ
ることもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の音響セルでは、以下に示す問題を有している。
すなわち、エネルギー吸収した試料Eから生じる熱拡散
に伴う気体の圧力変動(音)を検出するために用いられ
たマイクロホンH(圧力−電気量変換素子)の感度が低
いため、音響セルの測定精度も低下してしまう。その結
果、入射させる電磁波の強度を強くしなければならなく
なる。
【0007】また、密閉容器Cを構成する容器本体Aと
蓋部材Bとの接合面にOリングJを介在させることによ
り気密性を保持していたが、本発明者らが研究により知
得したところによると、OリングJはエラスチックな材
質からなるため、上記粗密波が通過しやすいことがわか
った。したがって、係るOリングJを用いた従来の音響
セルの場合には、内部で発生した疎密波(測定対象)の
一部が外部へ漏れたり、或るいは外部の疎密波(雑音)
が音響セル内に侵入してしまい、信号対雑音比(S/N
比)が低下してしまう。
【0008】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、測定精度並びに感度
の高い音響セルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に係る音響セルでは、被測定物を密封収
納可能な中空の容器と、その容器の一端面に形成され電
磁波を前記容器内に入射させる透過窓と、前記容器の端
面に形成された開口部を覆うようにして装着された可撓
性膜と、前記電磁波が照射された前記試料から発する疎
密波による前記容器内の圧力変動に応じて変動する前記
可撓性膜の膨出量を検出する膨出量測定装置とから構成
した。
【0010】
【作用】電磁波が容器に形成された透過窓を介して容器
内に入射され、試料に照射される。すると、その電磁波
のエネルギーが試料にて吸収され、その後、試料から熱
拡散し、周辺の空間に疎密波を生じる。するとその疎密
波により、容器内部の気体圧力が変動(上昇)し、その
圧力変動に対応して可撓性膜が所定量だけ膨出する。そ
して、この膨出量は熱拡散されるエネルギー量が大きい
ほど大きくなる。よって、この可撓性膜の膨出量を膨出
量測定装置で検出することにより、熱拡散の量、すなわ
ち試料の特性(性質)が測定される。
【0011】
【実施例】以下本発明に係る音響セルについて添付図面
を参照にして詳述する。図1は、本発明の好適な実施例
を示している。同図に示すように、まず被測定物たる試
料を収納可能な密閉空間を構成する音響セル本体1と、
その試料から発せられる疎密波に伴う気体の圧力変動を
測定する膨出量測定装置たる測定装置部2とから構成さ
れている。
【0012】そして上記の音響セル本体1の具体的な構
成は以下のようになっている。すなわち、まず、横方向
に伸びる容器本体3の中心部位に上下方向に貫通する空
洞部4が形成され、その空洞部4の上下両開口部4a,
4bは、ともに肩部4cを経て拡径され、その内壁面に
ネジ部が形成されている。そして、それら両開口部4
a,4bに、蓋体5並びに底体6がそれぞれ着脱自在に
螺合されている。
【0013】それら蓋体5並びに底体6は、ともにその
中心軸上に上下に貫通する貫通孔5a,6aが形成され
ている。さらに蓋体5,底体6の先端には、各貫通孔5
a,6aを覆うようにして入射電磁波を透過可能な板部
材が貼着されて透過窓7a,7bとなっており、また、
蓋体5,底体6の基端側は拡径されて把持部5b,6b
となっている。これにより、係る把持部5b,6bを把
持するとともに所定方向に回転させることにより、蓋体
5並びに底体6を容器本体3に対して着脱できるように
なり、両者5,6を取り付けた状態では、両者5,6の
先端に取り付けられた透過窓7a,7bを構成する板部
材と肩部4cとの間でシール材8が挟圧支持されて気密
性が保持されている。そして、係る容器本体3,蓋体
5,底体6等にて容器が構成されている。
【0014】そして、本例では、シール材8として、テ
フロン(登録商標)等の高分子材料や、金属等の非エラ
スチックで耐久性の強い材質を用い、それを無端の平帯
状に形成することにより構成されている。また、その様
に蓋体5並びに底体6を装着した状態では、両透過窓7
a,7b間に所定容積からなる密閉空間9が形成され
る。また、上記底体6に取り付けられた透過窓7bを構
成する板部材の上面には、試料ホルダ10が設置されて
おり、上記蓋体5を取り外すことにより、その試料ホル
ダ10上に被測定物たる試料11を載置できるようにな
っている。
【0015】さらに、容器本体3内には、上記密閉空間
9に連通するようにして、左右両側に向けて延びる第
1,第2の連通管12,13が形成されている。そし
て、図中左側に延びる第1の連通管12の先端は容器本
体3の外壁面に開口され、その開口部には、シール材1
4(材質は上記シール材8と同じか均等のもの)を介し
てリーク弁15が装着されている。一方、図中右側に延
びる第2の連通管13は、断面略T字状となっており、
その先端が容器本体3の他の外壁面に開口されており、
その開口面を被覆するようにして、可撓性膜16が容器
本体3の外壁面に密着固定されている。そして、この可
撓性膜16は、極めて薄い高分子膜からなり、その直径
は3〜5mm程度となっている。また、この可撓性膜1
6の外側面には、蒸着などにて金属薄膜を付着させて反
射鏡16aが形成されている。
【0016】一方、測定装置部2の構成は以下のように
なっている。すなわち、この測定装置部2では、上記可
撓性膜16の膨出量を測定することにより、試料11か
ら発せられる疎密波に伴う気体の圧力変動を測定するも
ので、まず、可撓性膜16が取り付けられた側の容器本
体3の外壁の周縁に、さらに外方に向けて突出する筒状
の側壁部20が一体に延出形成されており、その側壁部
20の先端開口部20aに平板状のガラス板21が固着
されている。そして、これら容器本体3の可撓性膜16
が取付けられた外壁面,側壁部20並びにガラス板21
にて空間22が画成されている。
【0017】また、ガラス板21の外側には、二光束干
渉計たるマイケルソン干渉計25を配置している。すな
わち、光源26から出射される光束が、可撓性膜16の
中央部に対し直交状態で照射されるような位置に係る光
源26を配設し、さらに係る光束上にコリメータレンズ
27並びにビームスプリッタ28を配置している。な
お、本例では光源26として、単色光を発するレーザダ
イオードを用いている。
【0018】また、ビームスプリッタ28を基準として
上記光源26から出射された光束に直交する一方側に
は、固定鏡29が配設され、また、他方側には、集光レ
ンズ30並びに光電検出器32が略同一線上に配設され
ている。
【0019】係る構成をとることにより、本例における
光学系では、光源26から出射した単色光がコリメータ
レンズ27を介して平行光線にされた後、マイケルソン
干渉計25を構成するビームスプリッタ28に入射され
る。すると、入射された光が分割されその一部はビーム
スプリッタ28にて反射され、その光路が90度変更さ
れ固定鏡29に至り、そこにおいて再度反射され、同一
光路を経てビームスプリッタ28に戻る。
【0020】また、上記入射された光の内の残部はビー
ムスプリッタ28を透過してそのまま直進し、可撓性膜
16の外側表面に形成された反射鏡16aに当接した
後、反射されてビームスプリッタ28に戻る。そして、
上記固定鏡29並びに可撓性膜16の反射鏡16aにて
反射されて戻ってきた両光がビームスプリッタ28にて
干渉し、その干渉光33がビームスプリッタ28より出
射され、その出射された干渉光33を集光レンズ30を
介して光電検出器32に集光させ、干渉光33の強度を
測定するようになっている。
【0021】さらに本例では、測定精度の向上並びに安
定化を図るために、上述した側壁部20の先端に有底筒
状の断熱材35を嵌入固定しており、この断熱材35内
に、上記測定計(光学系)のうちビームスプリッタ2
8,固定鏡29,集光レンズ30並びに光電検出器32
が収納配置される。また、この断熱材35の底部中央部
には、内周面にネジが形成されている透孔35aが形成
され、この透孔35aに放熱フィン36を螺着してい
る。そして、この放熱フィン36内に設けた孔36a内
に上記光源26並びにコリメータレンズ27が挿入配置
されている。
【0022】さらに、それら断熱材35,放熱フィン3
6の一部並びに上述した音響セル本体1等の周囲を断熱
吸音材37にて囲繞している。そして、係る断熱吸音材
37(実際には所定形状の筐体内に充填されている)の
対向する一組の側面にそれぞれ除振材を介してベースプ
レー38が取り付けられている。換言すれば、所定の間
隔に起立配置された一対のベースプレート38間に、上
記した音響セル本体1や測定装置部2等が支持されるこ
とになる。
【0023】これにより、たとえ光源26が発熱したと
しても放熱フィン36を介して放熱でき、音響セル内の
温度上昇が抑制され、密閉空間9や空間22内に存在す
る気体(空気)の分子が活性化することがない。また、
測定装置外の温度変化に対しても上記断熱材35並びに
断熱吸音材37により確実に断熱されるため、温度変化
による気体に対する影響を生じさせない。また、従来の
測定装置では、外来の気圧の変動や、機械的振動並びに
音波(疎密波)等の外乱によって密閉空間9内に存在す
る気体の分子の擾乱を生じるが、本例では、上記した断
熱吸音材37並びに除振材を設けたことにより、上記外
乱の影響を抑制し安定作動を行えるようになっている。
【0024】さらにまた、上気断熱吸音材37(それを
充填するための筐体を含む)の所定位置には、透孔37
aが形成され、その透孔37a内に電磁波を透過可能な
板部材39a,39bが装着されている。そして、この
板部材39aを介して入射された電磁波が、上気透過窓
7aを介して密閉容器9内に入射され、試料11に照射
可能となっている。
【0025】次ぎに、上記した実施例の作用にいて説明
する。まず、蓋体5を取り外して密閉空間9を開放し、
試料ホルダ10上に試料11を所定量載置し、その後蓋
体5を容器本体3に取り付けることにより密閉空間9内
に試料11を位置させる。そして、この蓋体5の着脱の
際に生じる密閉空間9の内圧の変化を防止するために、
予めリーク弁15を開いて密閉空間9を外気と連通状態
にした後に蓋体5を外し、蓋体5を取付けた後でリーク
弁15を閉じるようにしている。
【0026】次いで、上述した従来例と同様に、電磁波
を透過窓39a及び7aを介して密閉空間9内に入射
し、試料11に照射させる。すると、その電磁波のエネ
ルギーが試料11にて吸収され、その後、熱拡散し、密
閉空間9内に疎密波を生じる。するとその疎密波によ
り、内部の気体圧力が変動(上昇)し、その圧力変動に
対応して可撓性膜16が所定量だけ膨出する。そして、
この膨出量は熱拡散されるエネルギー量が大きいほど大
きくなる。
【0027】なお、本例では、電磁波が入射される透過
窓7aの試料11を隔てて反対側にも透過窓7bを設け
ているが、これは、例えば電磁波としてX線のような短
波長で試料11内に透過して内部(深さ方向)の情報を
得ることのできる場合に、従来のごとく容器本体Aの底
面があると、その底面自身も試料と認識してしまうた
め、かかるX線をそのまま透過窓7b,板部材39bを
介して外部に透過(通過)させることにより、試料11
のみを計測できるようにしている。したがって、透過窓
7b(好ましくは板部材39bも)としては、電磁波
(X線)をそのまま通過させることのできる材質、例え
ばBe等で構成する必要があり、さらに、係る場合には
試料ホルダ10を設置せずに透過窓7bの上に直接試料
11を載置したり、或るいは試料ホルダ10もBe等を
用いて構成することである。
【0028】そして、本発明では、上記した可撓性膜1
6の膨出量を測定装置部2を用いて検出するのである
が、まず、図2に基づいて測定装置部2の要部をなすマ
イケルソン干渉計25の動作原理を説明する。上述した
ごとく光源26から出射された光束は、ビームスプリッ
タ28にて二光束に分割され、それぞれが固定鏡29並
びに反射鏡(移動鏡)16aにて反射された後ビームス
プリッタ28に戻り、そこにおいて両光が合成されて干
渉波形を生じる。
【0029】そして、得られる干渉波形は、ビームスプ
リッタ28の中心Oから固定鏡29までの光学的距離a
と、中心Oから反射鏡16aまでの光学的距離bとが等
しい場合に最も明るい干渉状態となり、係る時に光電検
出器32の出力も最大となる。そして、反射鏡(移動
鏡)16aが移動すると、上記両者の光学的距離が異な
り、本例のごとく干渉しあう光の波長、すなわち、光源
26から出射される光の波長が1つ(単色光)の場合に
は、かかる等距離の位置を原点として左右に波長に応じ
た周期を持つ余弦関数となる(同図(B)参照)。そし
て、波長が大きいほど周期も大きくなる。
【0030】ところで、試料11からの熱拡散にともな
い可撓性膜16が膨出すると、図中想像線で示すように
その可撓性膜16の外側表面に設けられた反射鏡16a
がビームスプリッター28側に近付くことになり、ビー
ムスプリッタ28からの距離aが短くなる。これによ
り、固定鏡29までの距離bとの相対関係から、干渉状
態が変動し、光電検出器32の出力電圧が変動する。す
なわち、仮に、電磁波の入射がないとき(可撓性膜16
が平坦)にビームスプリッタ28から両鏡16a,29
までの距離a,bを等しく設定しておけば、光電検出器
32から得られる出力電圧は、入射がないときに最大値
となり、電磁波のエネルギーが大きくなるにつれて出力
電圧値が減少する。また、逆に最大エネルギーの時の可
撓性膜16の膨出位置のときに上記両距離を等しした
り、あるいは、入射がないときに出力が零となるような
位置に設定することにより、試料11の熱拡散にともな
う疎密波(密閉空間9内の圧力変動)が大きくなるにつ
れて出力電圧値も大きくすることができる。その結果、
光電検出器32の出力電圧を検出することにより、可撓
性膜16の膨出量、すなわち、試料11の特性(性質)
を測定することができる。
【0031】なお、可撓性膜16の膨出量(変位量)が
大きい場合には、図2(B)に示す波形の示す最大と最
小を複数回繰り返した箇所となることがある。しかし、
光電検出器32の出力電圧値を見ただけでは何回繰り返
したものかを判別することができない。よって、測定可
能なレンジは、図2(C)に示す0−Aまたは0−Bの
間となり、係る範囲内で可撓性膜16(反射鏡16a)
が変動するように調整する必要がある。すなわち、波長
を短くすると可撓性膜16の変位に対する出力電圧の変
動量が大きくなりため測定精度が高くなり、一方、波長
を長くすると上記0−A(0−B)間の距離が長くな
り、測定可能な範囲が拡大する。したがって、両者の調
和を図りつつ使用する波長を決定するのが好ましい。
【0032】なお、上記した実施例では、光源26とし
てレーザーダイオード(単色光)を用いたものについて
説明したが、本発明はこれに限ることなく複数の波長を
合成した光や、従来用いている白色光(連続光)を用い
ることも可能である。但し、係る場合にはビームスプリ
ッタから出射される干渉波形は、光源26から出射され
る光成分が有する各波長に応じた周期を持つ余弦関数を
重ねあわせた波形を呈する。その結果、基準位置ではす
べての波長の波形が重ね合わされることになり、基準位
置で最大強度(センターバースト)となり、その両側に
行くにしたがって減衰するようになる。したがって、光
が含有する波長成分が多いほど、より干渉波形は急峻と
なるため、測定精度が向上するが、その分測定可能な範
囲は減少することに気を付ける必要がある。また、白色
光の場合には、発熱量が大きいため熱による悪影響をな
くすため、上記した実施例における放熱フィン29を設
置したりする他、各種の放熱手段を設置するのが好まし
い。
【0033】図3は、本発明に係る音響セルの第2実施
例の要部を示している(尚、同一部材については、上記
した実施例と同一符合を示している(以下、同じ))。
同図に示すように、本例では、測定装置部2aの構成が
上記した第1実施例のものと相違している。すなわち、
上記可撓性膜16の膨出量(変位量)を測定するための
手段(光学系)として、偏光干渉計40を用いている。
すなわち、光源26から出射される光束が、可撓性膜1
6に対し直交状態で照射されるような所定位置に係る光
源26を配設し、さらに係る光束上に第1のコリメータ
レンズ27,偏光子42,ビームスプリッタ43,第1
のウォラストンプリズム44並びに第2のコリメータレ
ンズ45の順に配置している。そして、第1のウォラス
トンプリズム44で分割された常光線Oと異常光線Eと
が、それぞれ可撓性膜16の外側表面に形成された反射
鏡16a上の所定位置、すなわち、両光線のうち一方
(本例では常光線O)が膨出する中央部に、また他方
(本例では異常光線E)が電磁波が試料11に照射し、
疎密波が生じても移動しない容器本体3の外壁面との密
着部位にそれぞれ照射するように、上記各部品26,2
7,42〜45を配置している。そして、上記偏光子4
2と第1のウォラストンプリズム44の結晶軸は、45
度異ならせている。
【0034】また、ビームスプリッタ43を基準として
上記光源26から出射された光束に直交する所定の片側
(光源26から出射された光の反射方向・透過方向のい
ずれでもない側)には、検光子46並びに光電検出器4
7が略同一線上に配設されている。そして、この検光子
46は、可撓性膜16が膨出していない時にビームスプ
リッタ43から出射される光(直線偏光)の偏光角(こ
れを基準偏光角とする)と直交するような角度位置に配
置され、係る時に光が検光子46で遮光されて光電検出
器47に光が入射しないように設定されている。
【0035】次ぎに、上記した第2実施例の作用につい
て、その特徴点のみ(測定装置部2aの作用)説明す
る。まず、光源26から出射した単色光が、第1のコリ
メータレンズ27にて平行光線にされた後、偏光子42
を通過することにより直線偏光が出射され、係る光がビ
ームスプリッタ43を透過し、第1のウォラストンプリ
ズム44に入射される。すると、係る直線偏光は、常光
線Oと異常光線Eとに分割され、それぞれ出射される。
この時、上述したごとく偏光子42を第1のウォラスト
ンプリズム44の結晶軸に対して45度の角度に設定し
たため、各常光線Oと異常光線Eの強度は、等しくなっ
ている。
【0036】そして、これら両光線O,Eが第2のコリ
メータレンズ45により平行光束とされ、常光線Oは可
撓性膜16の外側表面に形成された反射鏡16aの中央
部(膨出する部分)に照射され、また、異常光線Eは反
射鏡16aのうち移動しない容器本体3に固定されてい
る部分に照射される。
【0037】このように反射鏡16aの各部位に照射さ
れた両光線O,Eは、そこにおいて反射され、同一経路
を通ってビームスプリッタ43に戻る。この時、両光線
O,Eは第1のウォラストンプリズム44を通過するこ
とにより、重ね合わされて一本の光束(直線偏光)とな
っている。そして、係る合成された光束がビームスプリ
ッタ43にて反射されて検光子46側に向けて出射され
るようになっている。しかし、上述したごとく、この検
光子46は、可撓性膜16が膨出していない時にビーム
スプリッタ43から出射される直線偏光の偏光角(基準
偏光角)に対し90度回転させた状態に配置されている
ため、光電検出器47側へは光が出射されず、光電検出
器47の出力は零となる。
【0038】一方、可撓性膜16が膨出すると、可撓性
膜16の中央部に照射される異常光線Eの光路長が短く
なり、両光線O,Eの光路差の相違から位相差が生じ第
1のウォラストンプリズム44における両光束の干渉状
態が変化し、合成され出射された直線偏光の偏光角が、
上記基準偏光角から所定角度だけ回転した状態となる。
そして、係る状態の直線偏光がビームスプリッタ43を
介して検光子46に入射されるが、係る入射された直線
偏光の偏光角と、検光子46の結晶軸との角度が90度
でなくなるため、検光子46から所定の強度の光が出射
され、その光の強度を光電検出器47で検出し、所定の
出力電圧値が出力される。そして、可撓性膜16の膨出
量、すなわち試料11の熱拡散にともなう疎密波(密閉
空間9内の圧力変動)が大きくなるにつれて出力電圧値
も大きくすることができる。その結果、光電検出器32
の出力電圧を検出することにより、可撓性膜16の膨出
量、すなわち、試料11の特性(性質)を測定すること
ができる。なお、その他の構成並びに作用・効果は上記
した第1実施例と同様であるため、その説明を省略す
る。
【0039】また、上記した第2実施例の変形例とし
て、例えば検光子46の結晶軸を上記基準偏光角と等し
くするようにしても良い。係る場合には、電磁波が入射
されていない時に光電検出器47から出力される電圧値
が最大となり、試料11の熱拡散にともなう疎密波(密
閉空間9内の圧力変動)が大きくなるほど出力電圧が減
少することになる。
【0040】図4は本発明の第3実施例の要部である可
撓性膜16の膨出量を測定する手段(光学系)である測
定装置部2bの概略構成を示している。同図に示すよう
に、本例では可撓性膜16に対して光を照射する手段
(機構)は、上記第2実施例と同様にしている。すなわ
ち、レーザーダイオードからなる光源26,第1のコリ
メータレンズ27,偏光子42,ビームスプリッタ4
3,第1のウォラストンプリズム44並びに第2のコリ
メータレンズ45を略一直線状に配置している。
【0041】ここで本例では、上記第2実施例と相違し
て、ビームスプリッタ43から出射される反射後の常光
線Oと異常光線Eとを合成して形成された所定の偏光角
からなる直線偏光の状態を検出するための装置(第1実
施例では検光子46と光電検出器47から構成されてい
る)として、ビームスプリッタ43の出射側に第2のウ
ォラストンプリズム50並びに第3のコリメータレンズ
51を配置し、上記ビームスプリッタ43から出射され
た直線偏光の光束を再度常光線O′と異常光線E′とに
分離した後、第3のコリメータレンズ51にて両光線
O′,E′を平行光線にするようにしている。
【0042】さらに、係る平行光線となった両光線O,
Eの光束上には第1,第2の光電検出器52,53が配
置され、それら両光電検出器52,53の出力が差動増
幅器54の反転入力端子並びに非反転入力端子に接続さ
れている。
【0043】係る構成にすることにより、可撓性膜16
が膨出していない時には、上記第1実施例に示したごと
く可撓性膜16の反射鏡16aで反射され第1のウォラ
ストンプリズム44に戻ってくる常光線O並びに異常光
線Eの強度が等しいため、その後ビームスプリッタ43
で反射された後第2のウォラストンプリズム50で分割
されて出射された常光線O′と異常光線E′の強度も等
しくなる。よって、両光線O′,E′をそれぞれ検出す
る第1,第2の光電検出器52,53の出力電圧は等し
くなり、差動増幅器54の出力は零となる。
【0044】一方、可撓性膜16が膨出すると、上記第
2実施例で示したように、膨出量に応じて反射される常
光線Oと異常光線Eの光の位相に差が生じる。このため
第1のウォラストンプリズム44で合成されて1つにな
った直線偏光の方位が変化することになる。第2のウォ
ラストンプリズム50への入射直線偏光は45から上
記方位だけ変位した角度で入射するために、出射光の常
光線O′と異常光線E′との光の強さが異なる。したが
って、係る光の強さの差に応じて第1,第2の光電検出
器52,53の出力電圧にも所定の差が生じ、かかる差
に応じた電圧が差動増幅器54より出力される。したが
って、上記第2実施例と同様に、係る差動増幅器54の
出力電圧を検出することにより、可撓性膜16の膨出
量、すなわち、試料11の特性(性質)を測定すること
ができる。
【0045】図5(A),(B)は、本発明に係る音響
セルの第4実施例の要部を示している。同図に示すよう
に、本例では、上記可撓性膜16の膨出量(変位量)を
測定するための測定装置部2cが上記した各実施例のも
のと相違して、まず、可撓性膜16の外側表面に探針6
0を直交状態で対向配置している。この探針60は、タ
ングステン或いは白金等の良導電体から構成され、その
先端60aは、機械的または電気的に研磨されて50〜
100nm程度の近似的な球状となっている。また、こ
の探針60の基端側には、取付台61を介して駆動手段
たるピエゾ素子62に固定されており、これら探針6
0,取付台61並びにピエゾ素子62が、空間22内に
位置されている。
【0046】また、このピエゾ素子62は、例えばチタ
ン酸ジルコン酸鉛系(PZT)のセラミックスなどから
構成され、このピエゾ素子62に電圧が印加されること
により軸方向に伸縮するもので、nm単位の高精度で制
御される。具体的には、PZTが30mmの長さとする
と、1V(直流)の印加電圧に対して約1nm伸縮す
る。
【0047】そして、図示省略するが上記可撓性膜16
の金属薄膜16a′と、探針60との間に所定の電圧を
印加する電圧印加手段が配置されている。したがって、
上記ピエゾ素子62を駆動させて探針60の先端60a
と金属薄膜16a′との間隙を所定の距離(例えば1n
m程度)に設定すると、量子力学効果により上記間隙を
通過して双方の金属の電子が行き来しだす。係る状態で
上記電圧印加手段を作動させて両者16a′,60a間
にトンネル電流が流れる。そして、仮に上記印加する電
圧が数mVとすると、トンネル電流は1nA程度とな
る。
【0048】そして、上記のピエゾ素子62を駆動する
ための能動素子並びに上記トンネル電流を測定するため
の初段の増幅回路を構成する能動素子等を有する電子回
路63は、ガラス板21の外側に配置され、空間22内
に配置されたピエゾ素子62等と上記電子回路63との
電気的な接続は、ガラス板21を貫通するようにして配
設された貫通電極65を介して行われている。さらに本
例では、探針60の先端60aと金属薄膜16a′との
間隙の距離を一定に保つべく、両者間に流れるトンネル
電流を検出しそれが一定になるようにフィードバック制
御を行いピエゾ素子62を伸縮するようになっている。
係る制御を行う手段としては、本例では、上記電子回路
63に配置された能動素子にて検出したトンネル電流を
所定の係数で増幅し、それを直接逆位相でピエゾ素子6
2にバイアスするようになっている。
【0049】すなわち、両者16a′,60a間の距離
が短くなると、トンネル電流が大きくなるため、増幅回
路から出力される大きな逆バイアスをピエゾ素子62に
印加することによりピエゾ素子62が収縮する。これに
より、探針60の先端60aと金属薄膜16a′との間
隙の距離が長くなる。一方、それとは逆に両者16
a′,60a間の距離が長くなると、トンネル電流が小
さくなるため、増幅回路から出力される小さな逆バイア
スをピエゾ素子62に印加することによりピエゾ素子6
2が伸長し、両者16a′,60aの距離が長くなる。
また、両者16a′,60a間が所望の距離の場合に
は、そのときに流れるトンネル電流に基づいてフィード
バックされるピエゾ素子62へのバイアス電圧は、その
ときのピエゾ素子62の長さを維持する(伸縮しない)
値となっている。これにより、探針60の先端60aと
金属薄膜16a′との間が常時一定の距離に維持される
ようになっている。すなわち、本例では探針60の移動
量をフィードバック量を検出することにより間接的に検
出したが、他の手段を用いて間接的或いは直接的に検出
するようにしても良い。
【0050】次ぎに、上記した実施例の作用にいて、そ
の特徴点のみ(測定装置部2aの作用)説明する。ま
ず、電磁波が入射されず、試料11から熱拡散が生じて
いない可撓性膜16が平坦な状態において、トンネル電
流が所定値になるべくフィードバック制御によりピエゾ
素子62を伸縮させて探針60と可撓性膜16に設けた
金属薄膜16a′との間隙の距離を所定の値(1nm)
にセット(基準位置)する。
【0051】この状態で、試料11に電磁波が照射され
生じる熱拡散により、可撓性膜16が膨出すると、金属
薄膜16a′と探針60の先端60aとの間隙の距離が
短くなる。すると、上記した原理に基づきフィードバッ
ク制御によりピエゾ素子62が所定量収縮し両者16
a′,60a間の距離を一定に保つ。そして、そのとき
のフィードバック量、すなわち、バイアス電圧と上記基
準位置における基準バイアス電圧との差が可撓性膜16
の膨出量に比例する。
【0052】その結果、電子回路63等により係るフィ
ードバック量(電圧)を検出することにより、可撓性膜
16の膨出量、すなわち、入射された電磁波のエネルギ
ー強度を測定することができる。なお、その他の構成並
びに作用・効果は上記した第1実施例と同様であるた
め、その説明を省略する。
【0053】また、上記した第4実施例では、可撓性膜
16の膨出(変動)に応じて探針60を前後進移動させ
たが、本発明はこれに限ること無く、係る実施例の変形
例として、例えば計測時(可撓性膜16の膨出時)に探
針60を移動させないようにすることもできる。係る場
合には、可撓性膜16の膨出量が多くなるほど発生する
トンネル電流も大きくなるため、係るトンネル電流を検
出することにより上記膨出量、すなわち、電磁波のエネ
ルギーを測定することができる。そして、具体的な探針
60の設置位置の一例を示すと、電磁波が入射していな
いときにはトンネル電流が流れないような所定距離だけ
離反させた位置に設置し、電磁波が入射されることによ
りトンネル電流が流れ始め、その電磁波のエネルギーが
大きくなるにつれて流れるトンネル電流が大きくなるよ
うにすることが好ましいが、最初からトンネル電流が流
れるようにしておいても構わない。
【0054】また、係る場合の探針の保持機構として
は、上記した実施例におけるガラス板21その他の移動
しない部位に直接或いは間接的に取付けても良く、或い
は、上記した実施例のようにピエゾ素子62に取付けて
移動可能としても良い(この場合には測定時には移動さ
せない)。すなわち、探針60の先端60aと可撓性膜
16の金属薄膜16a′との離反距離は、非常に高精度
に位置決めしなければならないため、上記した実施例に
おける基準位置にセットするまでは、トンネル電流を利
用してピエゾ素子を作動させて探針60を所定位置に、
簡単に精度良く位置させることができる。
【0055】また、上記した第4実施例並びにその変形
例ともに探針60と可撓性膜16の金属薄膜16a′と
が直接接触するとトンネル電流が流れなくなるため、測
定中に両者15,16a′が当接しあうことがないよう
に両者の位置を保たなければならない。したがって、エ
ネルギーが大きく可撓性膜16が瞬時に大きく膨出する
ような測定対象には好まず、係る場合には、時定数を調
整することにより可撓性膜16の膨出する時間を遅らせ
る等して、可撓性膜16の金属薄膜16a′が探針60
に接触する前に、探針60を後退移動させることが必要
となる。
【0056】さらにまた、両者16a′,60a間の距
離が0.1nm増減した場合には流れるトンネル電流は
1桁のオーダーで増減することになる。すなわち、表面
に存在する電子の存在確立が、距離にしたがって指数関
数的に変化しているためである。したがって、本発明
は、可撓性膜16が微少変動するような微少エネルギー
の測定に適している。
【0057】図6は本発明の第5実施例の要部を示して
いる。同図に示すように、本例では、上記した各実施例
と相違して、可撓性膜16の膨出量を測定する手段(光
学系)である測定装置部2dが、以下に示す構成からな
っている。すなわちまず、光源26から出射される光束
が、可撓性膜16の中央部に対し所定角度で斜めに照射
されるような位置に係る光源26を配設している。そし
て、この光束上にコリメータレンズ27を配置すること
により、出射された光束を平行光線にしている。
【0058】また、上記光源26から出射され、可撓性
膜16の外側表面に形成された反射鏡16aに照射さ
れ、そこにおいて反射された反射光束の光路上の所定位
置に、その光路に対し傾斜状に平面反射鏡70が配設さ
れており、その平面反射鏡70の下方には2分割光電検
出装置71が配置されいる。この2分割光電検出装置7
1は、同図(B)に示すように、2個の光電検出素子7
1a,71bを有しており、上記反射光束がそれら第
1,第2の光電検出素子71a,71bの両方に照射す
るように位置調整がされている。そして、本例では、小
室2内に電磁波が入射されていない時、すなわち、可撓
性膜16が平坦状の時における反射光束が、2分割光電
検出装置71の中央部に照射され、両光電検出素子71
a,71bに等量づつ光が照射されるようになってい
る。
【0059】さらに、上記第1,第2の光電検出素子7
1a,71bの各出力が差動増幅器72の両入力端子に
接続されている。これにより、第1,第2の光電検出素
子71a,71bの出力電圧の差が差動増幅器72から
出力される。
【0060】次ぎに、上記した実施例の作用にいて説明
する。まず、図7に基づいて本例における基本的な動作
原理を説明すると、同図(A)に示すように光源26か
ら出射された光束は、可撓性膜16(反射鏡16a)に
て反射され、その反射光束が2分割光電検出装置71に
入射される。次いで、電磁波が入射されて可撓性膜16
が膨出すると、図中想像線で示すように反射部位もΔX
だけ前進移動する。したがって、2分割光電検出装置7
1に入射される反射光束も、図中想像線で示すように所
定方向(上方)に位置ずれする。よって、両光電検出素
子71a,71bに入射される光量が変動する。そし
て、それら両光電検出素子71a,71bに入射される
光量の差が差動増幅器72から出力されるため、この出
力を検出することにより上記の可撓性膜16の膨出量
(移動量)ΔXを測定することができる。
【0061】具体的な本装置における作用は、以下の通
りである。すなわち、まず電磁波が試料11に照射され
ずに可撓性膜16が平坦の時には、光源26から出射さ
れた光束はコリメータレンズ27で平行光線にされた
後、可撓性膜16の反射鏡16aの中央部に対して所定
の角度で照射される。すると、その反射鏡16aで反射
された反射光束が平面反射鏡70にてその光路を変更さ
れて下方に位置する2分割光電検出装置71に入射され
る。この時、上述したごとく反射光束は第1,第2の光
電検出素子71a,71bに対して等しい光量で照射さ
れるため(同図(B)中ハッチングで示す)、両素子7
1a,71bから出力される出力電圧も等しくなる。し
たがって、差動増幅器72の出力も零となる。
【0062】一方、電磁波が試料11に照射され、熱拡
散が生じて可撓性膜16が膨出すると、同図(C)に示
すように、その膨出量に応じて反射光束の反射角度(方
向)が変動する。すると、その変動にともない2分割光
電検出装置71に入射される反射光束の位置も異なる。
すなわち、同図(B)に想像線で示すように片側にず
れ、一方の光電検出素子(例えば第1の光電検出素子7
1a)に入射される光量の方が多くなる。すると、両光
電検出素子71a,71bの出力電圧が異なる(第1の
光電検出素子71a側の方が大きな出力電圧となる)た
め、差動増幅器72から所定の出力電圧が生じる。そし
て、その出力電圧が大きいほど、可撓性膜16の膨出
量、すなわち、試料11の熱拡散にともなう疎密波(密
閉空間9内の圧力変動)が大きくなるにつれて出力電圧
値も大きくすることができる。その結果、光電検出器3
2の出力電圧を検出することにより、可撓性膜16の膨
出量、すなわち、試料11の特性(性質)を測定するこ
とができる。
【0063】また、本例では上述したごとく可撓性膜1
6が湾曲状に膨出するため、その膨出に対する反射光束
の角度(方向)変位の偏差が大きくなる。よって、微細
なエネルギーの差でも判別・検知することができ、より
高精度(約1nm程度以下の分解能となる)なものとな
る。なお、その他の構成並びに作用・効果は上記した第
1実施例と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】また、上記した第5実施例の変形例とし
て、光束を可撓性膜16に対して直交状に照射すること
もできる。但し、係る場合には、可撓性膜16の膨出に
より反射光束の角度(光路)が変動させなければならな
いため、その照射位置は、可撓性膜16の中心からずら
した位置にする必要がある。
【0065】さらにまた、上記した実施例では、2つの
光電検出素子を用いて検出する構成について示したが、
その個数は任意で3個以上でも構わない。
【0066】なおまた、上記した第5実施例では、反射
光束の変位を検出する手段として複数の光電検出器(2
個の光電検出素子71a,71b)並びに差動増幅器7
2を用いた例について説明したが、本発明はこれに限る
ことなく、例えば半導体位置センサー(Positio
n Sensing Detector:PSD)を用
いることもできる。
【0067】すなわち、このPSDは、比較的広面積な
受光面を有し、その受光面のどの位置に光が照射したか
を検出できるようになっている。従って、上記実施例に
おける2分割光電検出装置71の設置位置に、このPS
Dを設置する(差動増幅器72は不要となる)ことによ
り、可撓性膜16の膨出に伴い反射光束の光路が変動し
たら、その変位をPSD上の照射位置の変位として検出
することができる。よって、係る位置変位を検出するこ
とにより可撓性膜16の膨出量、すなわち、試料11の
特性(性質)を測定することができる。
【0068】さらに、上記した第5実施例並びにその各
変形例では、光源26としてレーザーダイオード(単色
光)を用いたものについて説明したが、本例においても
上記した各実施例と同様に、複数の波長を合成した光
や、白色光(連続光)を用いることも可能である。但
し、係る場合においても、反射光束の変位の検出をより
高精度に行う必要から、アパーチャーやその他の光学機
器等を用いることによりその光束の径はできるだけ細く
することである。
【0069】尚、上記した各実施例では、音響セル本体
1としては、第1実施例に示したものを適用した例につ
いて説明したが、本発明はこれに限ることなく、例えば
図8に示すような従来から一般に用いられている音響セ
ル(入射された電磁波を逃がすための透過窓等がないも
ので、図示した構造のものに限定はされずに、いかなる
構成の音響セルも可)に適用することももちろんでき
る。係る場合には、図示省略するが、マイクロホンを設
けることなく容器本体の壁面の一部に開口部を設けると
共に、その開口部を覆うようにして所定の可撓性膜を取
付け、さらに、その可撓性膜の膨出量を測定する測定装
置部を装着すれば良い。
【0070】尚また、可撓性膜16の膨出量を測定する
ための測定装置本体部としては、上記した各実施例に限
ることなく、種々の構成のものを用いることができる。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る音響セルで
は、電磁波が照射された試料から生じる熱拡散に伴う疎
密波の状態を、可撓性膜の膨出量を検出することにより
測定するようにしたため、非常に高精度に測定すること
が可能となる。すなわち、可撓性膜は、非常に小さな圧
力変動があっても、それに反応しその量に応じて膨出す
るからである。その結果、使用する電磁波の強度も小さ
くすることができる。
【0072】また、前記透過窓と対向する前記容器の所
定位置に、前記電磁波が透過する透過窓を配設した場合
には、X線のような試料内部に透過可能な電磁波を使用
することができ、試料の深さ方向(内部)の情報を測定
することが可能となる。
【0073】さらに、前記容器内の前記試料が収納され
る密閉空間と、前記開口部とが、細径の連通管を介して
接続するようにした場合には、容器内に入射された電磁
波や、試料に照射されて散乱された電磁波が可撓性膜に
当接することにより生じる測定誤差が可及的に減少す
る。
【0074】さらにまた、前記容器が複数の部品を接合
することにより密閉空間を構成するもので、その接合部
位に金属または高分子材料からなるシート状のシール材
を介在させるようにしたばあいには、内部で生じた疎密
波の一部が外部に漏れ出たり、また、外部から雑音等が
内部に侵入することがなく、測定精度がより向上する。
【0075】また、膨出量測定装置として、二束干渉計
や偏向干渉計を用いた場合には、分解能は使用する光源
から出射される光の波長の1/2以下になり、しかも、
それを分割することによりさらに1/100程度の分解
能にすることができるので、検出精度がより向上する。
また、上記各干渉計は高精度で製造することができ、し
かも、各構成部品の設置も容易に行うことができる。
【0076】また、膨出量測定装置として、探針と可撓
性膜との間に流れるトンネル電流を利用して可撓性膜の
膨出量を測定する構成とした場合にも、可撓性膜が0.
1nm程度変動したとしてもトンネル電流が大きく変化
するため、上記と同様に高精度な測定が可能となる。
【0077】さらに、膨出量測定装置として、可撓性膜
の膨出にともない反射光束の光路の変位を生じるように
可撓性膜の所定位置に光束を照射する光源と、反射光束
の光路の変位を検出する検出装置とにより、可撓性膜の
膨出量を測定するようにした場合には、係る可撓性膜の
微細な変化も反射光束の光路の変化により確実に検出す
ることができ、高い検出精度がから得られる。
【0078】また、光源としてレーザーを用いた場合に
は、発熱が少く(消費エネルギーが少い)、指向性並び
にエネルギー密度の高い光束を用いて干渉を生じさせる
ため、干渉性の高い明瞭な干渉縞を得ることができ、高
いS/N比が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る音響セルの第1実施例を示す断面
図である。
【図2】(A)はマイケルソン干渉計の構成を示す図で
ある。(B)はマイケルソン干渉計から出射される干渉
波形の一例を示す図である。(C)はその中心部を拡大
して示す図である。
【図3】本発明に係る音響セルの第2実施例を示す断面
図である。
【図4】本発明に係る音響セルの第3実施例を示す図で
ある。
【図5】(A)は本発明に係る音響セルの第4実施例を
示す断面図である。(B)はその要部を示す拡大構成図
である。
【図6】(A)は本発明に係る音響セルの第5実施例を
示す断面図である。(B)は2分割光電検出装置の回路
図である。
【図7】(A)はその動作原理を説明する図である。
(B)は2分割光電検出装置を示す平面図である。
(C)は可撓性膜の膨出に伴う反射光束の光路の変化を
示す図である。
【図8】従来の音響セルの原理図を示す図である。
【符号の説明】
1 音響セル本体 2,2a,2b,2c,2d 測定装置部 3 容器本体 7a,7b 透過窓 8 シール材 9 密閉空間 11 試料 13 第2の連通管 16 可撓性膜 25 マイケルソン干渉計(二光束干渉計) 26 光 源 40 偏光干渉計 46 検光子 47 光電検出器 50 第2のウォラストンプリズム(複屈折発生部材) 52 第1の光電検出器 53 第2の光電検出器 54 差動増幅器 60 探 針 62 ピエゾ素子(駆動手段) 71 2分割光電検出装置 71a 第1の光電検出素子(光電検出部) 71b 第2の光電検出素子(光電検出部) 72 差動増幅器(光電検出部の出力値を求める装置)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物を密封収納可能な中空の容器
    と、その容器の一端面に形成され電磁波を前記容器内に
    入射させる透過窓と、前記容器の端面に形成された開口
    部を覆うようにして装着された可撓性膜と、前記電磁波
    が照射された前記試料から発する疎密波による前記容器
    内の圧力変動に応じて変動する前記可撓性膜の膨出量を
    検出する膨出量測定装置とを備えたことを特徴とする音
    響セル。
  2. 【請求項2】 前記透過窓と対向する前記容器の所定位
    置に、前記電磁波が透過する透過窓を配設したことを特
    徴とする請求項1に記載の音響セル。
  3. 【請求項3】 前記容器内の前記試料が収納される密閉
    空間と、前記開口部とが、細径の連通管を介して接続さ
    れてなることを特徴とする請求項1または2に記載の音
    響セル。
  4. 【請求項4】 前記容器が複数の部品を接合することに
    より密閉空間を構成するもので、その接合部位に金属ま
    たは高分子材料からなるシート状のシール材を介在させ
    てなることを特徴とする請求項1〜3項のいずれか1項
    に記載の音響セル。
  5. 【請求項5】 前記膨出量測定装置が、前記可撓性膜に
    光を照射する光源と、その光源と前記可撓性膜との間に
    配置された二光束干渉計と、前記二光束干渉計から出射
    される干渉光を検出する検出手段とを備え、かつ前記可
    撓性膜の外側面を前記二光束干渉計の有する移動鏡とし
    て使用するようにしたことを特徴とする請求項1〜4項
    のいずれか1項に記載の音響セル。
  6. 【請求項6】 前記膨出量測定装置が、前記可撓性膜に
    光を照射する光源と、その光源と前記可撓性膜との間に
    配置された偏光干渉計と、前記偏光干渉計から出射され
    る光を検出する検出手段とを備え、かつ前記光を前記偏
    光干渉計に入射させることにより生じる常光線と異常光
    線のうち一方の光線を前記可撓性膜の膨出する部位に照
    射させ、他方の構成を前記可撓性膜の膨出しない固定部
    位に照射させ、それら照射して反射された両光線を干渉
    させて得られる前記光を前記偏光干渉計より出射させる
    ようにしたことを特徴とする請求項1〜4項のいずれか
    1項に記載の音響セル。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光を検出する検出手段
    が、前記偏光干渉計の出射側に配置された検光子と光電
    検出手段とから構成されたことを特徴とする音響セル。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の前記光を検出する検出
    手段が、前記偏光干渉計の出射側に配置されたウォラス
    ントンプリズム等の複屈折発生部材と、その複屈折発生
    部材から出射される常光線並びに異常光線の光束上に配
    置された一組の光電検出手段と、それの一組の光電検出
    手段に接続され前記一組の光電検出手段の出力差を検出
    する手段とから構成されたことを特徴とする音響セル。
  9. 【請求項9】 前記膨出量測定装置が、前記可撓性膜に
    対し所定距離隔てて対向配置された探針と、その探針と
    前記可撓性膜との間に電圧を印加する手段と、前記電圧
    により前記探針と前記可撓性膜との間に生じるトンネル
    電流を測定する手段とからなることを特徴とする請求項
    1〜4項のいずれか1項に記載の音響セル。
  10. 【請求項10】 前記膨出量測定装置が、前記可撓性膜
    に対して対向配置された探針と、その探針を前記可撓性
    膜に対して前後進移動させる駆動手段と、前記探針と前
    記可撓性膜との間に電圧を印加する手段と、前記電圧に
    より前記探針と前記可撓性膜との間に生じるトンネル電
    流を測定するとともに、そのトンネル電流を一定にすべ
    く前記駆動手段を作動させるとともに、その探針の移動
    量を検出する制御手段とからなることを特徴とする請求
    項1〜4項のいずれか1項に記載の音響セル。
  11. 【請求項11】 前記膨出量測定装置が、前記可撓性膜
    の膨出にともないそこにおける反射光束の光路の変位を
    生じるように前記可撓性膜の所定位置に光束を照射する
    光源と、前記反射光束の光路の変位を検出する検出装置
    とから構成されてなることを特徴とする請求項1〜4項
    のいずれか1項に記載の音響セル。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の検出装置が、前記
    反射光束を受光するようにして近接配置された複数の光
    電検出部と、その光電検出部の出力値の差を求める装置
    とから構成されたことを特徴とする音響セル。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の検出装置が、半導
    体位置センサーであることを特徴とする音響セル。
  14. 【請求項14】 前記光源がレーザから構成されている
    ことを特徴とする請求項5〜8,11〜13項のうちい
    ずれか1項に記載の音響セル。
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