JP3059661B2 - ガス濃度測定装置 - Google Patents

ガス濃度測定装置

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JP3059661B2
JP3059661B2 JP5545395A JP5545395A JP3059661B2 JP 3059661 B2 JP3059661 B2 JP 3059661B2 JP 5545395 A JP5545395 A JP 5545395A JP 5545395 A JP5545395 A JP 5545395A JP 3059661 B2 JP3059661 B2 JP 3059661B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザを光源と
し、光の吸収を利用して光学的にガス濃度を測定して例
えば都市ガス、化学プラント等のガス漏洩を検出するに
あたり、測定系を乱すことなくガス濃度測定時や測定シ
ステム構築時等の定期的なガス濃度の校正が行えるガス
濃度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタン、二酸化炭素、アセチレン、アン
モニア等の気体には、分子の回転や構成原子間の振動等
に応じて特定波長の光を吸収する吸収帯があることは既
に知られている。例えば、メタンの場合には、1.6μ
m、1.66μm、3μm、7μm帯に吸収帯を有して
いる。この吸収帯を利用したガス濃度測定装置として
は、差分吸収レーザレーダ法を応用したものが種々発表
されている(特開昭62ー290190号公報)。
【0003】ところで、この種のガス濃度測定装置にお
いては、測定システム構築時や測定開始前等のように定
期的にガスの検出濃度を校正する手段が必要となる。さ
らに説明すると、ガス濃度測定装置によって測定される
ガス濃度検出値は、測定システム構築時や測定開始前の
光源部と受光部との設定距離光路長の長さにより変化す
る性質がある。また、光源部の半導体レーザが発光する
光量の大きさによっても変化する性質がある。そして、
上記ガス濃度測定装置では、これらの性質を利用してガ
ス濃度の検出感度を設定しているため、ガス濃度を算出
するには、測定開始時に必ずガス濃度検出値の校正をし
なければならない。一般に使用されているガス濃度校正
方法としては、複数の既知の濃度ガスを封入したガスセ
ルを測定光路上に挿入するガス濃度校正方法がある。
【0004】具体的には、光源部と受光部を例えば10
mの距離を隔てて設置し、まず、0ppm濃度のメタン
ガスを封入した長さ100mmのガスセル、すなわちメ
タンガスを封入していない窒素ガスセルを光源部と受光
部との間の光路上に挿入し、そのときのガス濃度の出力
値を記録する。次に、100ppm濃度のメタンガスを
封入したガスセルを光路上に挿入し、そのときのガス濃
度の出力値を記録する。さらに、200ppm濃度のメ
タンガスを封入したガスセルを光路上に挿入し、そのと
きのガス濃度の出力値を記録する。このように、既知の
濃度ガスが封入されたガスセルを光源部と受光部との間
の光路上に順次交換して挿入し、測定システムを起動さ
せてガス濃度を校正している。
【0005】ここで、100ppm濃度のメタンガスを
封入したガスセルは、セル長が100mmなので、セル
長1m当たりの換算値で10ppm・mとなる。同様に
200ppm濃度のガスセルは20ppm・mとなる。
そして、このガス濃度測定装置では、光路長(光源部と
受光部との間の距離)が10mに設定されているので、
10m当たりではそれぞれ1ppmと2ppmのメタン
ガス濃度に相当する。従って、上記のように3個のガス
セルを光路上に挿入してそれぞれ測定することにより、
0ppm,1ppm,2ppmのガス濃度間隔で各検出
値の校正を行ったことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術では、光源部と受光部との間の光路上に校
正用ガスセルを挿入してガス濃度の校正を行う構成なの
で、光源部の半導体レーザからのレーザ光がガスセルの
ガラス端面で反射し、測定系を乱して誤差の一要因とな
る。しかも、反射光が半導体レーザに戻ると、半導体レ
ーザの発振に歪みが生じ、安定して発振できないことに
なる。
【0007】また、受光部の出力信号から検出される変
調周波数の基本位相敏感検波信号(以下、1f信号とい
う)には、強度変調に起因する大きなオフセットが生じ
るため、特に微少なガス濃度を高感度で測定するには、
1f信号に比べてオフセットのかなり小さい2倍波位相
敏感検波信号(以下、2f信号という)が用いられる。
【0008】ところが、半導体レーザの発振波長は半導
体レーザの動作温度により変化する性質があり、また半
導体レーザに流す電流値によっても変化する性質があ
る。従って、最大の2f信号を得るには、半導体レーザ
の発振周波数を吸収線の中心に一致させて安定化する必
要があるが、従来のように、光源部と受光部との間の光
路上に反射面を有する校正用セルが存在するので、反射
面での反射光の影響により、実際の測定時と校正時とで
は半導体レーザの発振波長が異なるおそれがある。この
ため、常に精密なガス濃度の測定を行うことが困難であ
り、信頼性に欠けていた。
【0009】そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなさ
れたものであって、通常、集光レンズは2cmから20
cm程度の焦点距離を持っており、受光器モジュールは
必ず集光レンズの焦点距離の位置に設定されることか
ら、その際に生ずる集光レンズと受光器との間の空間を
利用することに着目し、ガス濃度測定システムにおける
レーザ光の測定光路の性質を乱さないようにガス濃度を
校正することができるガス濃度測定装置を提供すること
を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によるガス濃度測定装置は、半導体レーザ1
4を有する光源部1と、該光源部より所定距離L隔てて
前記半導体レーザの光路上に配置され、該半導体レーザ
からの光を集光レンズ22で集光して受光器モジュール
25で受光する受光部2と、該受光部が受光した光によ
る電気信号に基づいて前記光源部と前記受光部との間に
おけるガス濃度を計測する計測部3とを備えたガス濃度
測定装置において、前記受光部内の少なくとも前記集光
レンズと前記受光器モジュールとの間に気密保持された
校正用ガス室33と、該校正用ガス室に連通して校正用
ガスが注入・排出されるガス注入・排出口53とを備
え、該ガス注入・排出口より前記校正用ガス室に校正用
ガスを注入して前記計測部が計測するガス濃度を校正す
ることを特徴としている。
【0011】
【作用】受光部2内の集光レンズ22と受光器モジュー
ル25との間には、気密保持された空間による校正用ガ
ス室33が形成される。この校正用ガス室33には、校
正対象となる濃度のガスがガス注入・排出口53より注
入され、ガス濃度検出値の校正が行われる。新たに異な
る濃度のガスによる校正を行う場合には、気密空間に注
入されているガスをガス注入・排出口53より排出して
次の校正対象となる濃度のガスを注入してガス濃度を測
定する。このように、測定光路中に測定誤差の要因とな
る校正用セルを挿入しないので、ガス濃度測定システム
の測定系を乱すことなく校正が可能で、測定時と校正時
の半導体レーザの発振波長が同一となり、より少ない誤
差でのガス濃度の測定が実現できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図1は本発明によるガス濃度測定装置の主要部を
構成する受光部の一実施例を示す側断面図、図2は同受
光部の一部に断面を施した平面図、図3は同受光部の正
面図、図4は同受光部における濃度校正用セル筐体と非
球面レンズとの間の連結構造を示す部分断面図、図5は
同受光部における濃度校正用セル筐体と受光器モジュー
ルとの間の連結構造を示す部分断面図、図6は光源部の
側断面図、図7は同光源部の平面図、図8は同光源部の
上蓋を外した状態の正面図、図9は同光源部におけるL
Dモジュールの内部構成を示す断面図、図10は同光源
部より出射されるレーザ光の発振波長を安定化する半導
体レーザ発振波長安定化装置の一実施例を示すブロック
図、図11はガス濃度測定システムの全体構成を示す図
である。
【0013】ガス濃度測定装置は、光の吸収を利用して
光学的にガス濃度を測定して例えば都市ガス、化学プラ
ント等のガス漏洩を検出しており、光源部1、受光部
2、計測部3、データ収録部4を備えて構成されてい
る。光源部1および受光部2はそれぞれ別々の三脚5,
6に着脱可能に取り付けられている。図11に示すよう
に、光源部1および受光部2はガス濃度の測定時に各々
三脚5,6に取り付いた状態で一定間隔Lをおいて配置
され、そのときの間隔Lによって測定光路長を確定して
いる。また、受光部2における受光レベルが最大になる
ように三脚5,6の高さや角度を操作して光源部1と受
光部2との間の光軸調整が行われている。
【0014】光源部1は本体が直方体形状の例えばアル
ミニウム等の金属性の筐体7で構成されている。光源部
1は筐体7の底面が三脚5に着脱可能に取り付けられ
る。筐体7内には、LDモジュール8、後方レーザ光検
出増幅用のプリアンプ9、LDドライバ10、ペルチェ
素子11、放熱用のヒートシンク12、温度コントロー
ラ13が収容されている。矩形状のLDモジュール8に
は半導体レーザ14が内蔵されている。半導体レーザ1
4は発光面が筐体7の一端側に設けられた筒状のレーザ
出射口15に面し、周波数変調されたコヒーレントなレ
ーザ光を前方および後方の両面から出射している。
【0015】ここで、図9に従ってLDモジュール8の
内部構成について説明する。レーザ出射口15が位置す
る半導体レーザ14の前側の光路上には、平な面を持た
ない非球面レンズ16が配設されている。この非球面レ
ンズ16を集光用レンズとして使用することにより、半
導体レーザ14に光が反射し戻るのを防止している。半
導体レーザ14の後ろ側の光路上には、参照ガスセル1
7が配設されている。参照ガスセル17は、半導体レー
ザ14への戻り光を低減するために両端面17a,17
bが斜めに(例えば射光軸に対して約6度)形成されて
いる。参照ガスセル17は、半導体レーザ14の後ろ側
に、後方出射光が入射しやすい位置に固定され、参照ガ
スセル17の後ろ側に置かれたフォト検出器18に光が
入射する構造とされている。フォト検出器18は、射光
軸に対して約10度傾斜しており、フォト検出器18の
前面にはあらかじめ平凸レンズ(半球レンズ)19が取
付けられ、受光量が十分にとれるようになっている。
【0016】半導体レーザ14は温度コントロールを可
能とするためのペルチェ素子11の上面に搭載されてい
る。ペルチェ素子11は上面がLDモジュール8の底面
に接触し、底面がヒートシンク12の上面に接触して配
置されている。ペルチェ素子11は熱電流の印加が温度
コントローラ13によって制御され、LDモジュール8
から吸収した熱をヒートシンク12に発熱している。そ
して、半導体レーザ14は、測定対象ガスのレーザ吸収
帯のうちの一つの吸収線を利用したときの最大吸収点に
位置するように、その動作温度を変えて発振波長の制御
がなされている。
【0017】具体的には、図10に示す半導体レーザ発
振波長安定化装置によって発振波長の安定化を行ってい
る。図において、電流安定化回路81は、半導体レーザ
バイアス電流と、半導体レーザ変調電流を設定する。こ
れらの電流設定値を加算して半導体レーザ電流として半
導体レーザ14に流す。半導体レーザ14に電流が流れ
ると半導体レーザ14の前方、後方にレーザ光を出射す
る。前方に出射したレーザ光は非球面レンズ16により
集光され保護ガラス8aを通りレーザ出射口15より放
射する。後方に出射したレーザ光は参照ガスセル17を
通りフォト検出器18で検出され電流電圧変換プリアン
プ82により増幅される。
【0018】参照ガスセル17内部には測定対象ガスが
封入されており、測定対象ガスの吸収線によりレーザ光
が吸収され2倍波が生成される。電流電圧変換プリアン
プ82により増幅された信号は、基本波信号増幅器83
で増幅され、信号微分検出器84により位相微分検波さ
れる。また、2倍波は2倍波信号増幅器85で増幅さ
れ、信号同期検出器86によりレベル検出される。温度
安定化PID回路87は、温度センサ88の誤差入力を
PID演算し、その演算結果をペルチェ素子11に出力
し、半導体レーザ14の動作温度を所定の温度に設定す
る。
【0019】波長安定化制御回路89は、信号微分検出
器84の出力を監視し、その出力が最小値及び最大値と
なる半導体レーザ14の動作温度の中間の動作温度を温
度安定化PID回路87に設定し、信号微分検出器84
の出力がほぼ零であることが確認された状態で、動作温
度を増減してその出力の変動を確認し、スイッチ90を
オンして信号微分検出器84の出力を温度安定化PID
回路87にフィードバックしている。この際、温度が安
定していればフィードバックが正しく動作していること
になる。また、波長安定化制御回路89は、信号同期検
出器86の出力を監視し、出力が2倍波信号のピークを
示す最大値になる動作温度バイアス値を温度安定化PI
D回路87に設定し、信号ピーク検出出力値が常に極大
値になるように動作温度バイアス値を変化させている。
この処理を短い間隔で繰り返すことにより測定対象ガス
の最大吸収点に半導体レーザ14の発振波長を維持し安
定化することができる。
【0020】受光部2は光源部1と同様に、本体が直方
体形状の例えばアルミニウム等の金属性の筐体21で構
成されている。受光部2は筐体21の底面が三脚6に着
脱可能に取り付けられる。筐体21の一端側には、非球
面レンズ22を保持したレンズ保持部材23が取り付け
られている。非球面レンズ22は例えば直径150mm
で焦点距離180mmであり、半導体レーザ14からの
レーザ光を集光している。レンズ保持部材23は外径が
筐体21の外径とほぼ同一寸法の筒状に形成され、非球
面レンズ22の外周縁部を例えば接着剤により固着保持
している。非球面レンズ22の曲面と相反するレンズ保
持部材23の端面側には、レンズ保持部材23の外径よ
り小さく、筐体21の内径とほぼ同一寸法の段付嵌合部
24が形成されている。レンズ保持部材23は非球面レ
ンズ22の曲面側が外方に向くように段付嵌合部24を
筐体21の開口部21aに嵌合した状態でネジ等の固定
手段によって固定されている。
【0021】筐体21内の他端側には、非球面レンズ2
2の中心軸線上に矩形状の受光器モジュール25が配設
されている。受光器モジュール25は非球面レンズ22
側の端面中央に貫通穴26が形成され、貫通穴26には
受光窓を構成する例えばガラス等の透光性部材27が、
その端面を例えば金属蒸着しハンダ付けすることにより
固着されている。筐体21内における非球面レンズ22
の中心軸線上には、受光面28aが非球面レンズ22の
焦点距離に位置するようにフォトデテクタ28が内蔵さ
れている。フォトデテクタ28は非球面レンズ22で集
光された測定レーザ光を透光性部材27を介して受光面
28aより効率よく受光し、受光された測定レーザ光を
電気信号に変換する機能を有している。
【0022】筐体21の内壁面と受光器モジュール25
の上面との間には、紙面に対して垂直な平面(光軸に対
して垂直な平面)上で受光器モジュール25の位置調整
を行うための微動台29が設けられている。微動台29
の上面側には、微動台29を図1の矢印A方向に移動さ
せるための移動調整部材30が取り付けられている。ま
た、微動台29の側面側にも、微動台29を図2の矢印
B方向に移動させるための同様の移動調整部材30が取
り付けられている。移動調整部材30は微動台29に螺
合されるネジ溝が先端部に形成された駆動軸31と、筐
体21の壁面より外方に突出して駆動軸31の基端部に
固定された焦点調整ツマミ32とを備えている。移動調
整部材30では、焦点調整ツマミ32が回転操作される
と、その回転が駆動軸31を介して微動台29に伝達さ
れ、ネジ溝のピッチに従った分だけ微動台29が移動す
るようになっている。そして、二つの焦点調整用ツマミ
32を適宜操作することにより、非球面レンズ22の焦
点位置に対する受光器モジュール25のフォトデテクタ
28の位置調整を精密に行うことができる。
【0023】また、微動台29の上面側には、微動台2
9を図1の矢印C方向に移動させて非球面レンズ22と
の間の集光距離を調整するための集光距離調整部材35
が取り付けられている。集光距離調整部材35は移動調
整部材30と同様に、微動台29に螺合されるネジ溝が
先端部に形成された駆動軸36と、筐体21の壁面より
外方に突出して駆動軸36の基端部に固定された調整ツ
マミ37とを備えている。集光距離調整部材35では、
調整ツマミ37の回転操作によりネジ溝のピッチに従っ
た分だけ微動台29が図1の矢印C方向に移動して集光
距離の調整を行うことができる。
【0024】非球面レンズ22と受光器モジュール25
との間には、内部の空間が気密保持された校正用ガス室
33を形成する濃度校正用セル筐体(以下、セル筐体と
いう)34が収容されている。セル筐体34は例えばア
ルミニウム等の金属性で構成されており、非球面レンズ
22側の端面全体が開口して開口部41を形成してい
る。
【0025】図4に示すように、開口部41の端面は樹
脂性のリング状ガスケット42を挟んでネジ等の固定手
段43によってレンズ保持部材23に固定されている。
セル筐体34における開口部41と相反する壁面34a
の中央には、貫通穴44が形成されている。貫通穴44
が形成された壁面34aの外側には、貫通穴44とほぼ
同径の内径を有する中空筒型形状の連結部材45が取り
付けられている。連結部材45はセル筐体34と対面す
る側にフランジ部46が形成されている。
【0026】図5に示すように、フランジ部46は樹脂
性のリング状ガスケット47を挟んでセル筐体34の壁
面34aにネジ等の固定手段48により固定されてい
る。連結部材45におけるフランジ部46と相反する受
光側壁面45aは、樹脂性のリング状ガスケット49を
挟んで受光器モジュール25の筐体壁面25aにネジ等
の固定手段50により固定されている。受光側壁面45
aの中央には、受光器モジュール25の受光窓(透光性
部材27)とほぼ同径の貫通穴51が形成されており、
校正用ガス室33を通過した測定レーザ光が受光器モジ
ュール25側に導かれるようになっている。連結部材4
5における軸方向の中途部分には、伸縮自在な蛇腹状の
弾性体(例えばゴム)52が介在し、連結部材45の外
周に接着固定されている。弾性体52は光軸に対する調
整時の受光器モジュール25の移動に伴って変形するこ
とでセル筐体34内の気密性を保証している。
【0027】セル筐体34には、校正用ガス室33に対
する校正用ガスの注入・排出を行うためのガス注入・排
出口53が設けられている。ガス注入・排出口53は校
正用ガス室33内に校正用ガスを注入するための校正用
ガス取入パイプ53aと、校正用ガス室33内の校正用
ガスを排出するための校正用ガス排出パイプ53bとか
ら構成され、これらのパイプ53a,53bはセル筐体
34の上面より突出して並設されている。
【0028】計測部3は校正時に校正用ガス室33内の
ガス雰囲気中、又は測定時に光源部1と受光部2との間
のガス雰囲気中を透過して受光部2のフォトデテクタ2
8が受光したときの出力信号から1f信号と2f信号を
検出し、この1f信号と2f信号の比からガス濃度を計
測している。
【0029】データ収録部4は、計測部3とGP−IB
等の通信用インターフェイスを介して接続される例えば
ノート型のパーソナルコンピュータで構成されており、
計測部3で計測されたガス濃度を収録して、所定時間毎
のガス濃度の変化、複数種類のガスの占める割合の比較
等、必要に応じてガス濃度の情報が表示や印字により得
られるようになっている。
【0030】上記のように構成された装置では、ガス濃
度測定システム設定時、又は測定開始時において、従来
のガスセルを取り替える代わりに、校正用ガス取入パイ
プ53より校正用ガス室33内に校正用ガスを注入す
る。この状態で、従来技術と同様に、所定のガス濃度間
隔、例えば1ppm間隔の濃度で計測してガス濃度検出
値の校正を行う。また、ガスの種類を変えて校正を行う
場合には、校正用ガス室33内のガスを校正用ガス排出
パイプ54より排出した後、新たな校正用ガスを校正用
ガス取入パイプ53より注入する。そして、上記のガス
濃度の校正が終了すると、光源部1の半導体レーザ14
よりレーザ光が出射される。このレーザ光は測定対象ガ
スの雰囲気を通って受光部2に受光される。計測部3で
は、受光部2が受光したレーザ光の出力信号から1f信
号と2f信号を検波し、1f信号と2f信号の比から光
源部1と受光部2との間に存在する測定対象ガスのガス
濃度が測定される。
【0031】従って、上記実施例のガス濃度測定装置で
は、非球面レンズ22と受光器モジュール25との間の
空間を気密保持して校正用のセル筐体34を構成し、受
光部2の筐体21と一体型にすることにより、ガス濃度
校正時に、新たに校正用ガスセルを測定光路中に挿入し
ない構造にした。このため、測定光路上に測定誤差の要
因となる校正用セルのガラス端面によるレーザ光の反射
等がなくなり、半導体レーザへの戻り光が軽減でき、よ
り少ない誤差でガス濃度を測定することができる。しか
も、光源部1と受光部2との間の測定光路上での構成部
品を減らすことで、光学的にも安定したガス濃度測定装
置を小型、安価に実現できる。
【0032】次に、図12(a)は光路長可変型のガス
濃度測定装置を示す平面図、図12(b)は同側面図で
ある。なお、光源部の内部構成は図6〜図8と同一なの
で、その説明を省略し、また、上記実施例と同一の構成
要素には同一番号を付して説明する。
【0033】この実施例では、受光部2の筐体21自体
がセル筐体34を構成しており、セル筐体34の上面に
は、校正用ガス取入パイプ53aと校正用ガス排出パイ
プ53bとが上面より突出して並設されている。受光部
2における非球面レンズ22は、受光部2全体の小型化
を図るために、例えば直径30mmで焦点距離40mm
に設計されている。光源部1と受光部2とはレール71
が形成された保持部材72に移動可能に保持されてい
る。光源部1及び受光部2の筐体7,21の底面両側部
には、レール71を挟持するように取付片73が取り付
けられている。取付片73には筐体7,21をレール7
1に対して固定するための固定ネジ74が取り付けられ
ている。光源部1及び受光部2は固定ネジ74を緩めた
状態で半導体レーザ14の光軸に沿った方向(図中の矢
印D方向)にレール71上を移動する。これにより、光
源部1と受光部2との間の測定光路長を任意に可変でき
る。なお、光源部1と受光部2とは、測定光路長が一度
調整設定されると、その後は固定して使用される。
【0034】この構成によれば、受光部2の筐体21自
体がセル筐体34を構成しているので、前述した実施例
の効果に加え、受光部2の本体をなす筐体21とは別に
セル筐体を設ける必要がなく構成の簡素化が図れ、一つ
の筐体21で光学部品や電子部品等の収容と校正用ガス
室33とを共用することができる。また、保持部材72
を例えば車両や飛行機等の移動体に搭載すれば、移動し
ながらガス濃度の測定を行うことも可能である。
【0035】次に、図13は上記ガス濃度測定装置を多
重反射セルに適用した場合の応用例を示す図である。多
重反射セル61は基部が気密構造の直方体形状の管62
で構成されている。管62の内壁面両端部には、複数の
反射ミラー(図示の例では管62の両端部に一つずつ)
63(63a,63b)が配置されている。管62の一
端側の上部には図12の構成による光源部1が着脱可能
に取り付けられ、また、下部には図12の構成による受
光部2が着脱可能に取り付けられている。管62の上部
には、測定対象ガスの注入、排出を行うためのガス取入
パイプ64とガス排出パイプ65とが並設されている。
この多重反射セル61では、光源部1からの光が管62
内の反射ミラー63a,63bにより多重反射されて受
光部2に導かれる。
【0036】この構成によれば、装置全体の小型化が図
れ、しかも、小さいスペースで測定光路長を長く設定し
て測定感度を向上できるので、特に低濃度のガスを測定
する場合に最適である。また、レーザ光の投受光には図
12の構成の光源部1と受光部2が使用されるので、校
正用ガス室33を含めて筐体自体の体積を小さくでき、
校正用ガスの消費が少なく、校正も迅速に行うことがで
きる。
【0037】ところで、上述した各実施例では、光源部
1及び受光部2の本体を構成する筐体7,21を角型形
状としているが、用途に応じて円筒型にすることも可能
である。
【0038】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のガス濃
度測定装置によれば、測定光路中に従来のような校正用
のセルがないため、反射による半導体レーザへの戻り光
を軽減でき、ガス濃度測定システムの測定系を乱すこと
なくガス濃度の校正が可能となり、測定時と校正時にお
いて半導体レーザが同一の発振波長で安定化され、より
誤差を少なくして精密なガス濃度の測定を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス濃度測定装置の主要部を構成
する受光部の一実施例を示す側断面図
【図2】同受光部の一部に断面を施した平面図
【図3】同受光部の正面図
【図4】同受光部における濃度校正用セル筐体と非球面
レンズとの間の連結構造を示す部分断面図
【図5】同受光部における濃度校正用セル筐体と受光器
モジュールとの間の連結構造を示す部分断面図
【図6】光源部の側断面図
【図7】同光源部の上蓋を外した状態の平面図
【図8】同光源部の正面図
【図9】同光源部におけるLDモジュールの内部構成を
示す断面図
【図10】同光源部より出射されるレーザ光の発振波長
を安定化する半導体レーザ発振波長安定化装置の一実施
例を示すブロック図
【図11】ガス濃度測定システムの全体構成を示す図
【図12】(a)光路長可変型のガス濃度測定装置を示
す平面図 (b)同側面図
【図13】多重反射セルに適用した場合の応用例を示す
【符号の説明】
1…光源部、2…受光部、3…計測部、14…半導体レ
ーザ、22…非球面レンズ、25…受光器モジュール、
28…フォトデテクタ、33…校正用ガス室、34…セ
ル筐体、53…ガス注入・排出口、L…間隔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 21/39 G01N 21/39 (72)発明者 田井 秀男 千葉県習志野市東習志野1丁目10番5号 ライオンズマンション東習志野107号 室 (56)参考文献 特開 平5−52745(JP,A) 特開 昭62−290190(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/38 G01M 3/02 G01M 3/04 G01N 21/37 G01N 21/39

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体レーザ(14)を有する光源部
    (1)と、該光源部より所定距離(L)隔てて前記半導
    体レーザの光路上に配置され、該半導体レーザからの光
    を集光レンズ(22)で集光して受光器モジュール(2
    5)で受光する受光部(2)と、該受光部が受光した光
    による電気信号に基づいて前記光源部と前記受光部との
    間におけるガス濃度を計測する計測部(3)とを備えた
    ガス濃度測定装置において、 前記受光部内の少なくとも前記集光レンズと前記受光器
    モジュールとの間に気密保持された校正用ガス室(3
    3)と、該校正用ガス室に連通して校正用ガスが注入・
    排出されるガス注入・排出口(53)とを備え、 該ガス注入・排出口より前記校正用ガス室に校正用ガス
    を注入して前記計測部が計測するガス濃度を校正するこ
    とを特徴とするガス濃度測定装置。
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