JPH08247939A - ガス濃度測定装置 - Google Patents

ガス濃度測定装置

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JPH08247939A
JPH08247939A JP5545595A JP5545595A JPH08247939A JP H08247939 A JPH08247939 A JP H08247939A JP 5545595 A JP5545595 A JP 5545595A JP 5545595 A JP5545595 A JP 5545595A JP H08247939 A JPH08247939 A JP H08247939A
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JP
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semiconductor laser
light
signal
gas
laser
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Application number
JP5545595A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Kimura
潔 木村
Kazuki Kondo
一樹 近藤
Hideo Tai
秀男 田井
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Anritsu Corp
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Anritsu Corp
Tokyo Gas Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2倍波位相敏感検波信号を用いた場合でも、
半導体レーザへの戻り光の影響を十分に取り除き、常に
安定した高精度なガス濃度測定を行う。 【構成】 半導体レーザ3から前方に発光したレーザ光
を集光するレンズには非球面レンズ2aを用い、半導体
レーザ3から後方に発光したレーザ光を入射する波長安
定化用ガスを封入した参照ガスセル5の両端面5a,5
bを射光軸に対して斜めに形成する。非球面レンズ2a
と半導体レーザ3との間、半導体レーザ3と参照ガスセ
ル5との間のそれぞれの光路上には光アイソレータ2
3,24を配置する。これにより、半導体レーザ3が出
射するレーザ光を安定化する。安定化されたレーザ光は
測定対象ガスの雰囲気を通って光半導体モジュールと対
向配置された受光部に検出され、この受光信号により得
られる基本波信号と2倍波信号の比からガス濃度を計測
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザを光源と
し、光の吸収を利用して光学的にガス濃度を測定して例
えば都市ガス、化学プラント等のガス漏洩を検出するガ
ス濃度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタン、二酸化炭素、アセチレン、アン
モニア等の気体には、分子の回転や構成原子間の振動等
に応じて特定波長の光を吸収する吸収帯があることは既
に知られている。例えば、メタンの場合には、1.6μ
m、1.66μm、3μm、7μm帯に吸収帯を有して
いる。この吸収帯を利用したガス濃度測定装置では、所
定距離(この距離によって測定光路長が確定される)隔
てて光源部と受光部を配置し、光源部の半導体レーザ
(LD)より周波数変調されたレーザ光を測定対象ガス
の雰囲気に通し、その透過光を受光部のフォト検出器で
受けたときの出力信号から測定対象ガスのガス濃度を測
定している。
【0003】ここで、受光部の出力信号から検出される
変調周波数の基本波位相敏感検波信号(1f信号)に
は、強度変調に起因する大きなオフセットが生じるた
め、特に微少なガス濃度を高感度で測定するには、f信
号に比べてオフセットのかなり小さい2倍波位相敏感検
波信号(2f信号)が用いられる。
【0004】ところが、半導体レーザの発振波長は半導
体レーザの動作温度により変化する性質があり、また半
導体レーザに流す電流値によっても変化する性質があ
る。従って、最大の2f信号を得るには、半導体レーザ
の発振周波数を吸収線の中心と一致させて安定化する必
要がある。
【0005】一般に、半導体レーザモジュールを使用し
ている半導体レーザ発振波長安定化装置は、波長安定化
用ガスとしての測定対象ガスを封入した参照ガスセルに
周波数Fmで変調したレーザ光を通す。その測定対象ガ
スのレーザ光吸収帯のうちの一つの吸収線を利用してそ
の最大吸収点を見つけてそこに位置するように半導体レ
ーザの動作温度、または電流を変えている。すなわち、
周波数Fmの成分を抽出増幅し、それを微分してその微
分波形出力値が零になるように半導体レーザの動作温
度、または半導体レーザの電流をフィードバックしてい
る(信号位相微分検波)。
【0006】ここで、信号位相微分検波した波形を図1
1(b)の破線で示す。図11(b)のA点が目的の半
導体レーザの発振波長である。このA点の波長で発振す
るように半導体レーザの動作温度、または半導体レーザ
の電流をマニュアルで設定する。A点に設定されたらフ
ィードバック手段により、A点で安定するように半導体
レーザの動作温度、または半導体レーザの電流安定化回
路を動作させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の半導
体レーザモジュールを使用したガス濃度測定装置では、
光路上に配設されたレンズ等の光学部品で光の反射が生
じ、このときの光は半導体レーザに戻り光として反射す
る。この戻り光は半導体レーザにおける誘導放出とは位
相が異なり、半導体レーザの発振に乱れが生じる。この
結果、図13(b)に示すように、上記の戻り光の影響
によりフィードバック信号が変動し、この変動が図11
のA点の変動要因になる(図13中黒丸が、図11のA
点に対応する)。この変動幅が大きくなればなるほど半
導体レーザの発振波長が目的の波長からずれ、半導体レ
ーザの発振波長の安定化が成されないことになる。
【0008】そして、2f信号を用いてガス濃度の測定
を行う構成では、この安定化されないレーザ光が測定対
象ガスの雰囲気に向けて出射されると、発振状態が不安
定で位相のずれた光が透過光として受光部に受光される
ので、例えば光路中に光アイソレータを挿入した程度で
は、上述した戻り光の影響を十分に取り除くことができ
ず、測定誤差を招いて常に安定した高精度なガス濃度の
測定を行うことができなかった。
【0009】そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなさ
れたものであって、2f信号を用いた場合でも、半導体
レーザの戻り光の影響を十分に取り除くことができ、常
に安定した高精度なガス濃度測定が行えるガス濃度測定
装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によるガス濃度測定装置は、周波数変調され
たレーザ光を前方および後方の両面より出射する半導体
レーザ3と、該半導体レーザの前方からのレーザ光を集
光する非球面レンズ2aと、該非球面レンズと該非球面
レンズの前方の光路上に配置された第1の光アイソレー
タ23と、前記半導体レーザの後方からのレーザ光を集
光する非球面レンズ2bと、前記半導体レーザの後方か
らのレーザ光を通す面が射光軸に対して所定の角度傾斜
し、内部に波長安定化用ガスを封入した参照ガスセル5
と、該参照ガスセルと前記非球面レンズ2bとの間の光
路上に配置された第2の光アイソレータ24と、前記参
照ガスセルを通ったレーザ光を検出するフォト検出器6
と、該第1のフォト検出器の出力に対応して前記半導体
レーザの温度を安定化する温度制御素子4と、前記半導
体レーザの前方から測定対象ガスの雰囲気を通ったレー
ザ光を受光検出する受光部31と、該受光部の出力信号
から前記半導体レーザの変調周波数の1f信号および2
f信号を検出し、両者の信号の比に基いて前記測定対象
ガスのガス濃度を計測する計測部32とを備えたことを
特徴としている。
【0011】
【作用】本発明のガス濃度測定装置では、半導体レーザ
3から前方に発光したレーザ光を集光する集光レンズと
して非球面レンズ2aを用い、半導体レーザ3から後方
に発光したレーザ光を通す波長安定化用ガスを封入した
参照ガスセル5の両端面5a,5bを射光軸に対して斜
めに形成する。そして、非球面レンズ2aの前方、半導
体レーザ3と参照ガスセル5との間のそれぞれの光路上
に光アイソレータ23,24を挿入して配置する。これ
により、半導体レーザ3が出射するレーザ光が安定化さ
れ、大幅に戻り光の影響を抑えることができた。従来技
術と比較して、より精密に波長安定化用ガスの吸収線に
半導体レーザの発振波長を制御安定化でき、2f信号を
用いた場合でも、測定対象ガスのガス濃度を安定して高
精度に測定することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。
【0013】〔第1の実施例〕図1は本発明のガス濃度
測定装置に適用される半導体レーザモジュールの外観図
であり、構成部品の形状、および配置概略を示す。傾斜
した前面に保護ガラス1が固着された円筒型ケース17
の中心軸線上には半導体レーザ3が配設されている。半
導体レーザ3は温度コントロールを可能とするため、円
筒型ケース17内の基板19上の基台20表面に取り付
けられたペルチェ素子4の上に搭載され、温度により波
長を制御される。半導体レーザ3の前後両側の光軸上に
は、平な面を持たない非球面レンズ2(2a,2b)が
配設されている。これら非球面レンズ2は半導体レーザ
3の出射光を集光するために位置を調整後、半導体レー
ザ3と共にペルチェ素子(温度制御素子)4上の取付台
21に固定される。このとき非球面レンズ2を集光用レ
ンズとして使用することにより、非球面レンズ2は、平
な面を持たないため半導体レーザ3に光が反射し戻るこ
とを防止できる。
【0014】半導体レーザ3の前側の光軸上で、保護ガ
ラス1と非球面レンズ2aとの間には光アイソレータ2
3が配設されている。光アイソレータ23は90°の偏
波面の光のみを通す偏光子と、45°の偏波面の光のみ
を通す検光子との間に配置された結晶に磁力を印加する
ことで、結晶中を透過する光の偏波面を回転させて偏光
子での反射光の通過を阻止し、半導体レーザ3に反射光
が戻るのを防止している。
【0015】半導体レーザ3の後ろ側の光路上には参照
ガスセル5が配設されている。参照ガスセル5は、半導
体レーザ3への戻り光を低減するために両端面5a、5
bが斜めに(例えば射光軸に対して約6度)形成されて
いる。そして、参照ガスセル5は、非球面レンズ2bの
後ろ側に、後方出射光が入射しやすい位置に固定され、
参照ガスセル5の後ろ側に置かれたフォト検出器6に光
が入射する構造とされている。また、半導体レーザ3の
後ろ側の光路上で、非球面レンズ2bと参照ガスセル5
との間には、半導体レーザ3に反射光が戻るのを阻止す
るための光アイソレータ24が配設されている。
【0016】〔第2の実施例〕第2の実施例の半導体レ
ーザモジュールは、第1の実施例のフォト検出器6を、
射光軸に対して約10度角度を付けたものである。図2
は、半導体レーザモジュールの具体的数値を示したもの
であり、(a)は平面図、(b)は側面図を示す。非球
面レンズ2aは、焦点距離が約0.7mmであり、外周
には外径2.5mmの金属性の円筒が取りつけてある。
この非球面レンズ2aは、半導体レーザ3の発光点より
0.2mm離れた位置で出射光が平行光になるように位
置調整され、金属性の円筒部分でペルチェ素子4上の取
付台21にYAGレーザ溶接で固定する。また、非球面
レンズ2bは、焦点距離が約3mmであり、半導体レー
ザ3の発光点より3mm離れた位置で出射光が平行光に
なるように位置調整されて取付台21にYAGレーザ溶
接で固定する。
【0017】光アイソレータ23は、その中心が半導体
レーザ3の光軸と一致するように基板19上の取付台2
5に固定し、保護ガラス1と非球面レンズ2aとの間の
光路上に配置する。また、光アイソレータ24は、その
中心が半導体レーザ3の光軸と一致するように基台20
上の取付台26に固定し、非球面レンズ2bと参照ガス
セル5との間の光路上に配置する。
【0018】参照ガスセル5は、直径10mm、長さ2
0mmの円筒型で、材質ガラスで構成されている。両端
面5a、5bのガラス窓は、反射した戻り光を少なくす
るために約6度傾けてあり、半導体レーザ3の後方出力
光が効率よく内部を透過するように非球面レンズ2bの
すぐ後方に参照ガスセル5の中心と光軸が一致するよう
に配置する。また、フォト検出器6を、光軸面に対して
約10度角度を付けて円筒型ケース17に取りつけてあ
るため、半導体レーザ3への戻り光を少なくできる。
【0019】また、参照ガスセル5には予めガスを封入
してある。ガスは固有の波長の光を吸収する性質がある
ため、本半導体レーザモジュールでは参照ガスセル5内
のガスの吸収線をフォト検出器6で検出し、半導体レー
ザ3の波長を安定化できる構成となっている。また、保
護ガラス1と円筒型ケース17は、半導体レーザ3、非
球面レンズ2、参照ガスセル5、およびペルチェ素子4
をほこり等から守るために、これらの部品を外気から遮
断している。
【0020】〔第3の実施例〕第3の実施例の半導体レ
ーザモジュールは、図14に示すように、上面側が開口
した箱型形状のケース本体16の内部に、各部品(基台
20に設けられた非球面レンズ2、半導体レーザ3、ペ
ルチェ素子4をはじめ、取付台25,26に設けられた
光アイソレータ23,24や参照ガスセル5、フォト検
出器6)を収容したものである。開口したケース本体1
6の上面はカバー部材18が溶接封止されており、光ア
イソレータ23の前方の光路上に位置してケース本体1
6の側面に形成されたレーザ出射窓22の結露を防ぐこ
とができる。なお、ケース本体16に収容される内部構
成については、前述した第1及び第2の実施例の半導体
レーザモジュールと同一なので、その構成部品には同一
番号を付し、詳細な説明については省略している。
【0021】ところで、第1の実施例、および第2の実
施例として半導体レーザモジュールは円筒型をしている
が、用途に応じて角型にすることも可能である。
【0022】〔波長安定化装置への応用〕戻り光の影響
を受けないで状態で、基本波、2倍波を検出し、発振波
長を精度よく安定化する手段を説明する。図3は本発明
のガス濃度測定装置における半導体レーザ発振波長安定
化装置のブロック図、図4は同装置における2倍波信号
増幅器および信号同期検出器のブロック図、図5は同装
置における基本波信号増幅器および信号微分検出器のブ
ロック図、図6は同装置における温度安定化PID(Pr
oportional Integration and Differential )回路のブ
ロック図、図7は同装置における電流安定化回路のブロ
ック図である。
【0023】(構成)上述した半導体レーザモジュール
を備えた半導体レーザ発振波長安定化装置の構成を図3
で説明する。電流安定化回路14は、半導体レーザバイ
アス電流と、半導体レーザ変調電流を設定する。これら
の電流設定値を加算して半導体レーザ電流として半導体
レーザ3に流す。半導体レーザ3に電流が流れると半導
体レーザ3の前方、後方にレーザ光を出射する。前方に
出射したレーザ光は非球面レンズ2aにより集光され光
アイソレータ23を通過し保護ガラス1を通して放射す
る。この際、光アイソレータ23によって半導体レーザ
3への戻り光を低減している。後方に出射したレーザ光
は非球面レンズ2bにより集光され光アイソレータ24
を通過し参照ガスセル5に導かれる。この際、光アイソ
レータ24によって半導体レーザ3への戻り光を低減し
ている。参照ガスセル5を通過したレーザ光はフォト検
出器6で検出され電流電圧変換プリアンプ7により増幅
される。参照ガスセル5内部には測定対象ガスが封入さ
れており、その吸収線によりレーザ光が吸収され2倍波
が生成される。電流電圧変換プリアンプ7により増幅さ
れた信号(S1)は、基本波信号増幅器8で増幅され
(S2)、信号微分検出器9により位相微分検波され
(S3)、図11(b)破線に示す出力波形になる。ま
た、2倍波は2倍波信号増幅器10で増幅され(S
5)、信号同期検出器11によりレベル検出され(S
6)、図11(b)実線に示す出力波形になる。温度安
定化PID回路13は、温度センサ4aの誤差入力をP
ID演算し、その演算結果をペルチェ素子4に出力し、
半導体レーザの動作温度を所定の温度に設定する。波長
安定化制御回路15は、マイクロプロセッサ、メモリ等
を使用し、以下に説明する図12等の処理を実行する。
【0024】(設定温度の検索)まず、温度を設定する
処理を説明する。温度安定化PID回路13は、半導体
レーザの温度設定値を、吸収線の中心波長に一致する温
度、例えば26℃に設定する。この際、波長安定化制御
回路15から入力したデジタル信号をD/A変換器(D
AC)13dでアナログ信号に変換する。また、電流安
定化回路14により半導体レーザ3のバイアス電流を、
例えば100mAに、半導体レーザ3の変調電流を、例
えば25mAに設定する。次に、温度安定化PID回路
13で、動作温度バイアス値を徐々に高くし、そのとき
の信号微分検出器9の信号強度を測定し、図11(b)
破線に示す出力波形を得る。なお、本設定温度の検索
は、半導体レーザの動作条件、例えばバイアス電流を変
更した際に、行えばよい。
【0025】(初期設定の説明)次に、半導体レーザ発
振波長初期設定処理を図12のフローチャートを用いて
説明する。半導体レーザ動作温度をB点の温度に設定す
る(a)。つぎにC点の温度まで徐々に変えていく
(b)。B点の動作温度からC点の動作温度まで変える
(e)間に信号微分検出器9の出力を監視し(c)、出
力が最大値および最小値となる半導体レーザ3の動作温
度を記憶する(d)。最小値の動作温度と最大値の動作
温度とのちょうど中間の動作温度を算出し(f)、その
動作温度を温度安定化PID回路13に設定する
(g)。動作温度を設定した後、信号微分検出器9の出
力がほぼ零であることを確認する(h)。つぎに動作温
度を少し高く設定し、信号微分検出器9の出力が下がり
マイナス方向に変動することを確認し、反対に温度を低
く設定すると出力が上がりプラス方向に変動することを
確認する(i)。この確認が終了した後、スイッチ12
をオンにして温度安定化PID回路13にフィードバッ
クする(j)。その後、半導体レーザの温度が安定して
いることを確認する(k)。温度が安定していればフィ
ードバックが正しく動作していることになる。
【0026】このとき、図13(b)のようにフィード
バック信号が変動していると、半導体レーザの発振波長
は変動する。それに対し本発明の半導体レーザモジュー
ルを用いると、図13(a)のようにフィードバック信
号が滑らかなため、半導体レーザの発振波長は安定す
る。
【0027】(2倍波ピーク安定化の説明)続いて処理
する、半導体レーザ3の発振波長の2倍波ピーク安定化
処理を説明する。温度安定化PID回路13の動作温度
バイアス値を増減する(l)。信号同期検出器11の出
力を監視し、出力が最大値になる動作温度バイアス値を
温度安定化PID回路13に設定する(m)。その後、
信号ピーク検出出力値を常に監視し(n)、常に極大値
になるように動作温度バイアス値を変化させ温度安定化
PID回路13に設定する。この処理を短い間隔で繰り
返すことにより測定対象ガスの最大吸収点(波長λ0
に半導体レーザ3の発振波長を維持し安定にすることが
できる。設定温度の検索、および初期設定をした後、2
倍波ピーク安定化の処理をするため、半導体レーザ3の
発振波長を、所定の吸収線の最大吸収点に安定化するこ
とができる。
【0028】(信号同期検出器の説明)信号同期検出器
11の詳細を、図4に基づいて説明する。フォト検出器
7で受けた信号を増幅器10aで増幅する。混合器10
cは、その信号と、電圧制御発振器(VCO)10iで
発振させた周波数信号と混合し、中間周波数を生成す
る。本実施例は、局部発振器11aの周波数を455k
Hz−2Fmとし、中間周波数を455kHzとした。
これを狭帯域フィルタ10dに通し、位相同期検波器1
1gで同期検波する。同期検波した信号を低域フィルタ
11hを経て直流アンプ11iで増幅する。この増幅さ
れた信号の最大値が2倍波のピークとなる。ここで、位
相シフト器11bで、光学系等で遅延した信号の位相
と、発振器11aの2Fmの位相とを調整する。
【0029】(2倍波歪抑圧動作の説明)電流安定化回
路14の2倍波歪抑圧動作を図7で説明する。電流安定
化回路14は、波長安定化制御回路15からの制御信号
(S9)により、半導体レーザ3に駆動電流(S12)
を発生する。LDバイアス電流値により、半導体レーザ
3のバイアス電流を設定する。基本波変調電流値によ
り、変調周波数の基本波であるFmのレベル(電流値)
を設定する。LD抑圧電流値により、変調周波数の2倍
波(2Fm)のレベル(電流値)を設定する。これらの
電流が加算器14nで重畳され、バッファ14oを介し
て半導体レーザ3に供給される。戻り光の影響を無くし
ても、半導体レーザにより変調波2倍波歪が出る場合に
は、2倍波歪抑圧電流を設定して、基本波に重畳し、2
倍波歪が最小になるようにする。具体的には、発振器1
4gの2Fmの位相を、位相シフト器14hで逆相にし
て、基本波に重畳する。その際、重畳するレベルを、基
本波から発生する2倍波の歪をキャンセルするように、
減衰器(ATT)14mを調整する。
【0030】次に、上記のように安定化されたレーザ光
を測定対象ガスの雰囲気に通してガス濃度を測定する構
成および動作を説明する。図8は本発明のガス濃度測定
装置における受光系のブロック図である。
【0031】受光系は受光部31と計測部32を有し、
計測部32は電流電圧変換器33、LD変調基本波増幅
回路34、LD変調2倍波増幅回路35、除算器36を
備えて構成されている。この受光系では、測定対象ガス
の雰囲気を通って受光部31が受光したレーザ光の出力
信号から1f信号と2f信号を検波し、1f信号と2f
信号の比から測定対象ガスのガス濃度を計測している。
【0032】受光部31は半導体レーザモジュールの半
導体レーザ3の光軸上に所定距離(この距離によって測
定光路長を確定している)隔てて対向配置されるケース
内部に測定対象ガスの雰囲気を通ったレーザ光を受光す
るフォト検出器31aが収容されている。
【0033】LD変調基本波増幅回路34はバンドパス
フィルタ34a、増幅器34b、基本波ローカル信号発
生器34c、位相敏感検波器34d、増幅器34eを備
えて構成されており、電流電圧変換器33からの電圧信
号をバンドパスフィルタ34aに通して増幅した後、基
本波信号を位相敏感検波し増幅して除算器36に出力し
ている。
【0034】LD変調2倍波増幅回路35はバンドパス
フィルタ35a、増幅器35b、2倍波ローカル信号発
生器35c、位相敏感検波器35d、増幅器35eを備
えて構成されており、電流電圧変換器33からの電圧信
号をバンドパスフィルタ35aに通して増幅した後、2
f信号を位相敏感検波し増幅して除算器36に出力して
いる。
【0035】除算器36はLD変調2倍波増幅回路35
からの2f信号の振幅を、LD変調基本波増幅回路34
からの基本波信号の振幅で除算してガス濃度に比例した
信号検出出力を得ている。
【0036】ところで、戻り光の影響は周囲温度の変動
に大きく影響される。図9および図10は周囲温度が変
動したときの出力波形を示している。図9は基本波の入
力受光レベルが−8.9dBmのときの従来のガス濃度
測定装置による参考出力波形図、図10は基本波の入力
受光レベルが−25.0dBmのときの本発明のガス濃
度測定装置による参考出力波形図である。
【0037】また、下記の表1は、半導体レーザモジュ
ールと受光部とを3.5m離して除振台上に対向配置
し、基本波の入力受光レベルを同一値(−25.0dB
m)に設定したときに、戻り光が2f信号に与える歪み
の影響の度合いを本発明と従来のそれぞれのガス濃度測
定装置で比較したものである。
【0038】なお、表1において、1fはLD変調基本
波受光レベル、2fは測定対象ガス検出による2倍波受
光レベル、ΔTは周囲温度変化、Δ1fは周囲温度変化
に対する1f信号のレベル変動、Δ2fは周囲温度変化
に対する2f信号のレベル変動、Δ1f/℃は周囲温度
変化1℃に対する1f信号のレベル変動、Δ2f/℃は
周囲温度変化1℃に対する2f信号のレベル変動をそれ
ぞれ示している。
【0039】
【表1】
【0040】ここで、ガス濃度は2f/1fに比例する
ので、この2f/1fの温度変動を光アイソレータを挿
入した場合と挿入しない場合の半導体レーザモジュール
で比較すれば、温度変動に対する改善度を知ることがで
きる。
【0041】まず、本発明の2f/1fの温度変動は、
Δ2f/℃=33μV、Δ1f/℃=3.1mVから、
33μV/3.1mV=1.0645×10-2…(1)
となる。
【0042】また、従来の2f/1fの温度変動は、2
f信号の変動がマイナス側に変動しているので、その変
動値は2倍となり、Δ2f/℃=1.08mV×2、Δ
1f/℃=24mVから、2.16mV/24mV=9
×10-2…(2)となる。
【0043】そして、(1)、(2)の値を比較する
と、本発明による温度変動に対する改善度は、1.06
45×10-2/9×10-2=1/8.5となり、本発明
によれば、従来に比べて変動が1/8.5まで小さくす
ることができる。従って、本発明のガス濃度測定装置に
よれば、半導体レーザへの戻り光が大幅に低減し、測定
対象ガスの吸収線への発振波長安定化が精密に行え、戻
り光による影響を受けずに常に安定した状態でガス濃度
を高精度に測定することができる。
【0044】ところで、上述したガス濃度測定装置で
は、半導体レーザ3の発振波長をその他のガスの吸収帶
に適合したものを使用すれば、二酸化炭素ガス、アセチ
レンガス等にも応用でき、半導体レーザ3をセンサにし
た大気汚染測定装置を実現できる。その他、共同溝、都
市ガス配管のガス漏れ検出装置、化学プラント等のガス
モニタリングシステムにも応用できる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明のガス濃度測
定装置によれば、集光レンズとして非球面レンズを使用
し、参照ガスセルのレーザ光を通す面を射光軸に対して
所定の角度を持たせ、半導体レーザと非球面レンズとの
間および半導体レーザと参照ガスセルとの間のそれぞれ
の光路上に光アイソレータを挿入する構成とした。その
ため、2f信号を用いた場合でも、半導体レーザへの戻
り光を大幅に低減でき、測定対象ガスの吸収線への発振
波長安定化が精密に行え、戻り光による影響を受けずに
常に安定した状態でガス濃度を高精度に測定することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス濃度測定装置に適用される第1の
実施例の半導体レーザモジュールの外観図である。
【図2】本発明のガス濃度測定装置に適用される第2の
実施例の半導体レーザモジュールの外観図であり、
(a)は平面図、(b)は側面図を示す。
【図3】同装置の半導体レーザ発振波長安定化装置の一
実施例を示すブロック図である。
【図4】同装置の2倍波信号増幅器および信号同期検出
器の一実施例を示すブロック図である。
【図5】同装置の基本波信号増幅器および信号微分検出
器の一実施例を示すブロック図である。
【図6】同装置の温度安定化PID回路の一実施例を示
すブロック図である。
【図7】同装置の電流安定化回路の一実施例を示すブロ
ック図である。
【図8】同装置の受光系の一実施例を示すブロック図で
ある。
【図9】基本波の入力受光レベルが−25.0dBmの
ときの本発明のガス濃度測定装置による参考出力波形図
である。
【図10】基本波の入力受光レベルが−8.9dBmの
ときの従来のガス濃度測定装置による参考出力波形図で
ある。
【図11】(a)は、参照ガスセル内の測定対象ガスの
レーザ光吸収波形を示し、(b)破線は信号微分波形を
示し、(b)実線は2f信号のピーク検出波形を示す。
【図12】本発明に係わる半導体レーザ発振波長安定化
の処理を示すフローチャートである。
【図13】(a)は本発明の半導体レーザモジュールを
用いた電流電圧変換プリアンプ7の出力波形、(b)は
従来の半導体レーザモジュールを用いた電流電圧変換プ
リアンプ7の出力波形である。
【図14】本発明のガス濃度測定装置に適用される第3
の実施例の半導体レーザモジュールの外観図であり、
(a)は平面図、(b)は側面図を示す。
【符号の説明】
2(2a,2b)…非球面レンズ、3…半導体レーザ、
4…温度制御素子、5…参照ガスセル、6…フォト検出
器、7…電流電圧変換プリアンプ、8…基本波信号増幅
器、9…信号微分検出器、10…2倍波信号増幅器、1
1…信号同期検出器、12…スイッチ、13…温度安定
化PID回路、14…電流安定化回路、15…波長安定
化制御回路、31…受光部、32…計測部、33…電流
電圧変換器、34…LD変調基本波増幅回路、35…L
D変調2倍波増幅回路、36…除算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 21/35 G01N 21/35 Z (72)発明者 田井 秀男 千葉県習志野市東習志野1丁目10番5号 ライオンズマンション東習志野107号室

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数変調されたレーザ光を前方および
    後方の両面より出射する半導体レーザ(3)と、 該半導体レーザの前方からのレーザ光を集光する非球面
    レンズ(2a)と、 該非球面レンズと該非球面レンズの前方の光路上に配置
    された第1の光アイソレータ(23)と、 前記半導体レーザの後方からのレーザ光を集光する非球
    面レンズ(2b)と、 前記半導体レーザの後方からのレーザ光を通す面が射光
    軸に対して所定の角度傾斜し、内部に波長安定化用ガス
    を封入した参照ガスセル(5)と、 該参照ガスセルと前記非球面レンズ(2b)との間の光路
    上に配置された第2の光アイソレータ(24)と、 前記参照ガスセルを通ったレーザ光を検出するフォト検
    出器(6)と、 該第1のフォト検出器の出力に対応して前記半導体レー
    ザの温度を安定化する温度制御素子(4)と、 前記半導体レーザの前方から測定対象ガスの雰囲気を通
    ったレーザ光を受光検出する受光部(31)と、 該受光部の出力信号から前記半導体レーザの変調周波数
    の基本波位相敏感検波信号および2倍波位相敏感検波信
    号を検出し、両者の信号の比に基いて前記測定対象ガス
    のガス濃度を計測する計測部(32)とを備えたことを
    特徴とするガス濃度測定装置。
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