JP2703835B2 - ガス濃度測定方法及びその測定装置 - Google Patents

ガス濃度測定方法及びその測定装置

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JP2703835B2
JP2703835B2 JP9682591A JP9682591A JP2703835B2 JP 2703835 B2 JP2703835 B2 JP 2703835B2 JP 9682591 A JP9682591 A JP 9682591A JP 9682591 A JP9682591 A JP 9682591A JP 2703835 B2 JP2703835 B2 JP 2703835B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガス濃度の定量測定に適
した方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタンガスは都市ガスの主成分であり、
メタンガスの検知により都市ガスの漏洩を検出できる。
このため、地下街・高層ビル等の特定地域では、メタン
ガスの有無を安全かつ確実に、しかも迅速に検出するこ
とが必要となっている。ところが、従来の半導体式・燃
焼式などのガスセンサは信頼性に劣り、そのため近年、
光式ガスセンサが開発されるに至っている。
【0003】光式ガスセンサは、メタンガスが特定波長
の光を吸収しやすいことを利用したもので、その原理を
応用した従来例を図6に示す (特公平 2-20056号公報)
【0004】図中、21は発光ダイオード (LED) よ
りなる光源で、メタンガスの吸収波長域即ち 1.6μm 帯
の光を発する。この光源21からの光は、光結合器22
を経て低損失の石英系光ファイバ23a中を送られ、光
結合器24aを経て測定セル4内に送り込まれる。この
セル4内には未知濃度のメタンガスが含まれており、光
結合器24aからの光がその雰囲気中を透過する間に、
特定波長の光が吸収される。測定セル4から出た光は、
光結合器24bを経て石英系光ファイバ23b中を送ら
れ、ハーフミラーで構成されたビームスプリッタ25に
より2つの光束26a,26bに分けられる。第1の光
束26aはメタンガスの吸収波長帯域の光を透過する帯
域透過フィルタ27に送られ、第2の光束26bはメタ
ンガスの吸収波長帯域以外の帯域透過フィルタ28に送
られる。そして、それぞれのフィルタ27,28を透過
した光は、光検出器29a,29bにより電気信号に変
換され、増幅器30a,30bにて増幅された後、信号
処理装置31に送られる。信号処理装置31では、両増
幅器30a,30bからの電気信号の強度比が求めら
れ、これに基づきガス濃度が定量検出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たメタンガス測定法および装置では、次のような問題が
あった。
【0006】(1) 光学系として石英系光ファイバ23
a,23b、光結合器22,24a,24bの他に、ハ
ーフミラー25や帯域透過フィルタ27,28を用いて
いる。そのため、光学系が複雑になり、光の結合損失が
大きくなる。また、光源21として発光ダイオードを用
いているため、発光出力の上限に制約があり、高感度の
検出が難しい。
【0007】(2) メタンガス中の透過光の減衰比から濃
度を求めているため、メタンガスが低濃度の場合、SN
比の関係から測定が困難となる。今、メタンガスの吸収
スペクトル線の1つとして波長μ= 1.665μm 帯のうち
メタン吸収の大きいQ(6) 線を測定用光源として用いた
ときの透過係数Tを求めてみる。透過係数Tは、
【0008】
【数1】
【0009】で与えられる。ここで、αは吸収係数を示
し、大気圧1atm 中でのQ(6) 線においては、α= 0.1
/cmである。また、cはメタンガス濃度、lは光路長で
ある。吸収係数α= 0.1 /cm、光路長l=10 cm とした
とき、濃度 c= 100%, 10%,1% における透過係数T
は、それぞれT=0.36, 0.60, 0.9 となる。この結果が
示すように、メタンガスが低濃度になるに従い、光の変
化率が小さくなることがわかる。
【0010】(3) メタンガスの1つの吸収スペクトル線
に着目すると、吸収係数αは大気の全圧に依存した値を
もつ。そのため、炭坑やプラントなど気圧変化の激しい
箇所で濃度測定を行う場合、別に圧力センサを設けて圧
力監視を行い、その値に基づいて補正を行わないと、正
確な濃度測定が行えない。
【0011】ここで、メタンガスの吸収係数αの圧力変
化について考えてみる。
【0012】今、メタンガスの吸収線に一致する共鳴角
周波数が全てω0 であるとき (均一広がり) 、各分子同
志の衝突に起因して吸収線は広がりを呈し、その吸収線
の形状αL (ω, ω0 ) はローレンツ型にあり、次式の
ように表される。
【0013】
【数2】
【0014】ここに、α0Lは吸収線の中心での吸収係数
(=0.1 /cm) である。また、γL は吸収線の半値幅であ
り、大気中のメタンガスの分圧をpm [torr] 、バイア
スガスの分圧をp0 [torr]とすると、
【0015】
【数3】
【0016】が成立する。
【0017】一方、気体の各分子の速度の向きを考慮す
ると、ドプラー効果により共鳴角周波数ω0 がずれて、
スペクトル線の幅が広くなる (ドプラー広がり) 。通
常、気体分子の速度分布はマクスウェル・ボルツマン分
布をしており、そのスペクトル線の分布 g (ω0 ) は、
ドプラー効果によりシフトした角周波数をωm0とする
と、
【0018】
【数4】
【0019】ただし、
【0020】
【数5】
【0021】で与えられる。
【0022】実際のスペクトル線は、上述の均一な広が
りとドプラー広がりとが共存し、その形 α (ω) は、
数2および数4の両者のたたみ込み積となる。
【0023】
【数6】
【0024】この数6に実際に数値を入れて計算を行
い、吸収線中心 (ω=ω0 ) での吸収係数α (ω0 ) を
求めた結果を図5に示す。ただし、温度は一定とした。
また、このα (ω0 ) を最大値としたときに、吸収係数
が半分の値になるときの周波数ωの幅 (ここで、ω−ω
0 =±γ) を半値幅といい、この半値幅2γを上記数6
により求めた結果も図5にあわせて示す。
【0025】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、SN比特性を改善して低濃度で
もガス検出を行うことができ、しかも、新たに圧力セン
サを設けることなく、圧力補正が行えるガス濃度測定方
法およびその装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のガス濃度測定方法は、駆動電流および温度に
応じた波長および強度のレーザ光を発振するレーザを用
い、このレーザの駆動電流あるいは温度を変化させて、
波長および強度が変調されたレーザ光を発振させると共
にそのレーザ光の中心波長を掃引させ、そのレーザ光を
測定対象とする一定温度に保ったガス雰囲気に通した後
の透過光の強度を検出し、この検出信号中の特定成分を
位相敏感検波し、このレーザ光の中心波長を掃引させた
ことによる検波信号の極大値及び極小値から吸収係数の
半値幅を求め、その半値幅とガス雰囲気の圧力と吸収係
数との関係を用いて雰囲気圧力及び吸収係数を求め、そ
の吸収係数と上記半値幅とにより検波信号とガス濃度と
の比例式から上記雰囲気圧力下での特定ガスの濃度を測
定するものである。
【0027】また、本発明のガス濃度測定装置は、駆動
電流および温度に応じた波長および強度のレーザ光を発
振するレーザと、所定の電流値を中心として所定の振幅
で上記レーザの駆動電流を変調すると共に、その中心と
なる電流あるいは温度を徐々に変化させるレーザ駆動回
路と、上記レーザ光を測定対象とするガス雰囲気に通過
させた後の強度を検出する光検出器と、この光検出器の
出力中の特定成分を位相敏感検波し、このレーザ光の中
心波長を掃引させたことによる検波信号の極大値及び極
小値から吸収係数の半値幅を求め、その半値幅とガス雰
囲気の圧力と吸収係数との関係を用いて雰囲気圧力及び
吸収係数を求め、その吸収係数と上記半値幅とにより検
波信号とガス濃度との比例式から上記雰囲気圧力下での
特定ガスの濃度を測定する測定手段とからなるものであ
る。
【0028】
【作用】分光測定において測定感度を向上させる方法に
周波数変調法という手法がある。光の周波数を何等かの
手段で変調し、その光を対象とするガスを含む雰囲気中
に透過させると、その透過光の検出信号は、直流分のほ
か、変調周波数と同じ周波数の基本波成分およびその高
調波成分をもつ。このうち、基本波成分と2倍波成分と
を位相敏感検波すると、それぞれ吸収線の一次微分、二
次微分に対応する。ここで、位相敏感検波とは、特定の
周波数および位相をもつ成分だけを抽出して、その振幅
を測定することである。
【0029】以上の知見に基づいて、レーザの駆動電流
を変調して、発振周波数が変調されたレーザ光を特定の
ガスを含む雰囲気に透過させ、その透過光の検出信号中
の特定成分を位相敏感検波すると、その検波信号から
は、ガス濃度に関する情報を得ることができる。このよ
うに、濃度測定を周波数変調法を応用して行うことで、
SN比を従来に比べて2桁近く向上することができ、測
定雰囲気中の特定ガスの濃度を高感度に検出できる。
【0030】また、レーザ光の中心波長を特定ガスの吸
収スペクトル線上で掃引すると、上記検波信号の出力波
形からは、さらにガス雰囲気の圧力に関する情報を得る
ことができる。そのため、この検波信号に基づいて上記
ガス濃度の圧力補正が行え、雰囲気圧力下での正確なガ
ス濃度を測定できる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。ここでは、半導体レーザを光源として、メタ
ンガスを測定する例について述べる。
【0032】半導体レーザの駆動電流を変調してレーザ
光の発振周波数Ωを変調させると、実際には発振強度も
変調を受ける。今、このように周波数および強度が変調
されたレーザ光をメタンガスを含む雰囲気に透過させる
と、その透過光の検出信号Pは、
【0033】
【数7】
【0034】ただし、
【0035】
【数8】
【0036】となり、直流分のほか、cos ωt 成分、co
s 2ωt 成分からなる。ここで、Aは反射条件などに依
存する定数、I0 はレーザ出力の中心強度、ΔIは強度
振幅変調、ωは駆動電流の変調周波数、φはωとΩとの
間の位相差、ΔΩは周波数変調振幅である。また、T,
01,T02はそれぞれ透過率、その一次微分dT/d
Ω,二次微分d2 T/dΩ2 のΩ=Ω0 (ここで、Ω0
はレーザの中心周波数) の値であり、その形状を図4に
示す。
【0037】上記数7のうち、cos 2ωt の周波数、位
相成分を位相敏感検波すると、
【0038】
【数9】
【0039】が得られ、T01およびT02に基づき変化す
ることがわかる。
【0040】そのため、検波信号P (2ω) によりガス
吸収を検知する場合には、さらに図4からわかるよう
に、レーザの中心周波数Ω0 がメタンガスの吸収線の中
心ω 0 に一致したとき、最大感度が得られる。また、
このときには、T01が0、T 02が最大となるため、数
9の第2項は消去されて、第1項のみが残る。即ち、Ω
0 =ω0 のときのT02は、
【0041】
【数10】
【0042】となる。そのため、これを数9の第1項に
代入すると、
【0043】
【数11】
【0044】となる。ここで、K1 は定数、α (ω0 )
はΩ0 =ω0 のときのメタンガスの吸収係数、γはα
0 ) の半値幅2γの半分の値、c・lはガス濃度と
光路長の積である。
【0045】このように、検波信号P (2ω) はガス濃
度cと光路長lの積に比例し、これよりメタンガスの濃
度cを極めて高い感度で検出できる。
【0046】ところで、数11中のα (ω0 ) およびγ
2 は、図5に示したように、ガス雰囲気の圧力により変
化する。そのため、数11により正確にガス濃度を測定
するには、雰囲気圧力下でのα (ω0 ) およびγ2 の値
を求めなければならない。これらの正確な値は、レーザ
光の中心周波数Ω0 をメタンガス吸収線の前後で掃引し
たときの、検波信号P (2ω) の出力波形から得ること
ができる。
【0047】今、レーザ光の中心周波数Ω0 を変化させ
ると、数9の第1項はT02に、第2項はT01にそれぞれ
ある係数を積算した形の波形となる。その係数は、
0 、ΔI、ΔΩ等であり、半導体の条件を設定してお
けば、定数として取り扱って支障がない。したがって、
検波信号P (2ω) の波形は、図4の (ロ) と (ハ) を
それぞれある係数でもって積算して、これらを互いに加
算した形状となる。しかし実際には、数9の第1項は第
2項よりも優位であるため、図4(ハ) に示す低波長側
の極小値と高波長側の極小値との間の中心周波数Ω0
幅が、ガス雰囲気圧力における半値幅2γに相当する。
こうして半値幅2γが求まれば、図5に基づいて圧力を
得ることができ、さらにその圧力下での吸収係数α (ω
0 ) を得ることができる。なお、図5に示したP (2
ω) は、数11中のα (ω0 ) / γ2 の圧力による変化
であり、全圧 100torr近傍で最大値を示している。
【0048】図1には、メタンガスの定量測定を目的と
したガス濃度測定装置の一実施例が示されている。
【0049】図において、1は半導体レーザで、単一波
長のレーザ光を発振させる必要から分布帰還形レーザを
用いている。2は半導体レーザ1からのレーザ光を石英
系光ファイバ3aにカップリングするための光学系で、
集光レンズと戻り光をカットするための光アイソレータ
とからなる。光学系2の端面には、さらに無反射コーテ
ィング処理が施され、半導体レーザ1への戻り光を極力
小さくしてある。また、7は半導体レーザ1をマウント
してその温度を制御するためのペルチェ素子であり、以
上によりレーザモジュール100 が構成されている。
【0050】3aはレーザ1からの光を導く往路用の石
英系光ファイバ、4は光ファイバ3aからの光が通過す
るガスセルで、未知濃度のメタンガスが含まれている。
3bはガスセル4からのレーザ光を伝搬する復路用の石
英系光ファイバ、6は光ファイバ3bからのレーザ光の
強度を検出する pinフォトダイオード等からなる光検出
器である。ここで、光ファイバ3a,3bの端面は、斜
めカット、無反射コーティング等により内部で干渉系が
発生しないように処理されている。また、ガスセル4内
には、光ファイバ3aから出射されたレーザ光を平行光
とするためのコリメートレンズ5aと、セル4内を透過
してきた平行光を光ファイバ3bに集光するためのコリ
メートレンズ5bとが設けられている。
【0051】一方、8は周波数ωの正弦波信号を出力す
る発振器、9はこの周波数ωの信号により周波数2ωの
2倍波信号を作る倍周器、10は半導体レーザ1にバイ
アス電流を付加するための定電流電源、11はペルチェ
素子7に正極性または負極性の定電流を出力する両極性
定電流電源であり、以上によりレーザ駆動回路110 が構
成されている。この駆動回路110 では、発振器8からの
周波数ωの正弦波信号が、定電流電源10からの出力に
重畳されて、半導体レーザ1が駆動される。この例で
は、変調周波数ωとしてω=50kHZ とした。また、定電
流電源10の出力側には、発振器8の出力による影響を
防ぐためにインダクタンスLが接続されており、逆に、
発振器8の出力側にはコンデンサCが接続されている。
【0052】12は上記正弦波信号の周波数ωに同期し
て光検出器6の出力値から位相敏感検波を行うロックイ
ンアンプ、13は上記2倍波信号の周波数2ωに同期し
て光検出器6の出力値から位相敏感検波を行うロックイ
ンアンプ、14は両ロックインアンプ13,14の出力
比を求める割算器である。また、16は半導体レーザ1
の両端電圧の直流分を測定するための電圧計、15は電
圧計16での測定にあたり変調周波数ω成分をカットす
るローパスフィルタ、18は所定電圧を発生する基準電
源、17は半導体レーザ1の順方向電圧の直流分の変化
を得るべく、電圧計16の値と基準電源18の基準値と
の差を求める減算器、19は減算器17からの出力を増
幅するアンプである。さらに、20はアンプ19の出力
をX軸に、上記割算器14の出力をY軸にそれぞれ入力
して記録するXYレコーダであり、以上により測定手段
120 が構成されている。なお、この測定手段120 には、
さらに、図示しない信号処理装置がXYレコーダ20に
接続されて設けられている。
【0053】次に、上記装置の動作について述べる。
【0054】図2は 1.6μm 帯でのメタン吸収を示した
スペクトル線図である。この測定では、半導体レーザ1
の発振波長域としてQ技線、なかでもメタン吸収の大き
いQ(6) 線を測定用波長として用いる。
【0055】測定は、まず半導体レーザ1の発振周波数
がQ(6) 線に一致するときの駆動電流と温度とを測定し
ておき、その値になるように定電流電源10と両極性定
電流電源11を調整する。次に、定電流電源10からの
バイアス電流に変調周波数ωの正弦波電流を重畳して、
レーザ光の周波数および強度を変調する。そして、定電
流電源10を調整してバイアス電流の大きさを変えるこ
とにより、半導体レーザ1の中心周波数を変化させてい
く。
【0056】このとき、半導体レーザ1の中心周波数の
モニタが、減算器17の出力を増幅したアンプ19の値
によりなされる。すなわち、個々の半導体レーザの発振
周波数と順方向抵抗成分の変化量とは、再現性のある関
係にある。そのため、あらかじめ半導体の順方向抵抗値
とそのときの光の周波数とを把握しておけば、半導体の
順方向抵抗値をモニタすることにより、中心周波数のモ
ニタが可能となる。このレーザ1の中心周波数相当の電
圧値即ちアンプ19の出力は、XYレコーダ20のX軸
成分に入力される。
【0057】一方、半導体レーザ1から発振されたレー
ザ光は、光ファイバ3aを介してガスセル4に導かれ
る。そして、セル4内のメタンガス雰囲気を透過した
後、光ファイバ3bを介して光検出器6に導かれ、そこ
で強度検出される。この検出信号はロックインアンプ1
2,13に入力され、そこで位相敏感検波されて基本波
検波信号P (ω)max および2倍波波検波信号P(2ω)
が得られる。これら検波信号は、さらに割算器14に入
力され、P(2ω)/P (ω)max がXYレコーダ20のY
軸成分に入力される。
【0058】図3は、以上のようにしてXYレコーダ2
0より得られた出力波形を示す図である。今、光の中心
周波数Ω0 が吸収線の中心ω0 に一致したとき、P(2
ω)/P(ω)max はピーク値Rを示し、
【0059】
【数12】
【0060】と表される。このうち、K2 は半導体レー
ザ1の温度、バイアス電流および変調振幅によって決ま
る比例定数、α (ω0 ) はメタン吸収線の中心ω0 での
吸収係数、γ2 は吸収係数α (ω0 ) の半値幅2γの半
分の値を2乗したもの、c・lはメタンガス濃度cと光
路長lとの積を示す。数12においては、α(ω0 )/γ
2 が圧力により変化するため、これを求めればセル4中
のメタンガスの濃度cを得ることができる。ただし、セ
ル内ガスの温度変化による圧力変化をここでは考えてい
ないので温度は一定である必要がある。そのため、ガス
セル4を断熱構造等とする必要がある。
【0061】そこで、信号処理装置(図示せず)では、
図3のデータが極大値を示す中心周波数と、これより低
波長側にて極小値を示す中心周波数との差からγが求ま
り、これを2倍して半値幅2γを求める。そして、図5
の関係を用いて半値幅2γからメタンガスを含む雰囲気
の全圧を求め、さらにその圧力での吸収係数α (ω
0 ) を求める。こうして、α (ω0 ) およびγ2 を得
ると、これらによりα (ω0 )/γ2 を求めて、数12か
らメタンガス濃度cを得る。ここで、数12を用いてい
るのは、数11と異なり反射条件に依存する定数Aを含
まず、測定環境の影響を受けることなく濃度測定が行え
るからである。
【0062】上述したように、半導体レーザ1の駆動電
流を所定のバイアス電流を中心として特定の周波数ωで
変調して、波長および出力が変調されたレーザ光を発振
させ、そのレーザ光を未知濃度メタンガスを含むガスセ
ル4に通過させて、その透過光の強度を光検出器6で検
出し、その検出器6の出力信号からロックインアンプ1
2,13により2倍波検波信号P (2ω) と基本波検波
信号P (ω)maxとを求め、これらの比P (2ω) /P
(ω)maxからセル4内のメタンガス濃度を求めたので、
SN比を改善して、高感度にガス濃度を測定することが
できる。
【0063】しかも、半導体レーザ1へのバイアス電流
を変化させて、レーザ光の中心周波数をメタンの吸収線
上で掃引させ、このときのP (2ω) / P (ω)maxの波
形からγを検出したので、このγの値からメタンガスを
含む雰囲気圧力、ひいてはその圧力下での吸収係数α
0 ) を検出でき、この圧力補正された吸収係数α
0 ) を用いてメタンガスの濃度を算出することがで
きる。したがって、従来方式では圧力センサを用いない
と不可能であった炭坑やプラントなど気圧変化の激しい
場所あるいは環境下においても、何等新たに圧力センサ
を設けることなく、正確にメタンガス濃度を測定でき
る。
【0064】また、半導体レーザ1からセル4への伝送
路、またセル4から光検出器6への伝送路としてそれぞ
れ石英系光ファイバ3a,3bを用いているので、メタ
ンガスを遠隔地において監視ないし定量測定できると共
に、電磁誘導、サージ等の影響を受けることなく耐環境
性にも優れる。さらに、単色光を出力する半導体レーザ
1を用いているので、光源の高出力化はもとより、信号
の長距離化を図ることもできる。
【0065】なお、上記実施例では、半導体レーザ1の
中心周波数を変化させる方法として、定電流電源10か
ら供給されるバイアス電流を変化させたが、両極性定電
流電源11によりペルチェ素子7への電流を加減するこ
とによりレーザ1の温度を変化させてもよい。また、吸
収係数α (ω0 ) の半値幅2γを測定する方法として、
2倍波検波信号と基本波検波信号との比を求め、この値
の極大、極小を示すレーザの中心周波数の差から見出し
たが、基本波検波信号の極大と極小における周波数の差
を31/2 倍することにより見出してもよい。さらにま
た、上記実施例で対象としているガスはメタンガスであ
るが、ある一定の吸収帯を保有し且つその吸収帯が半導
体レーザ1の発振周波数内に存在するものであれば、他
のガスでも適用可能である。このガスとしては、例えば
アセチレンやエチレン等がある。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、レ
ーザの駆動電流あるいは温度を変化させて、周波数およ
び出力が変調されたレーザ光を発振させ、このレーザ光
を未知濃度の特定ガスを含む雰囲気に通過させ、その透
過光の検出信号中の特定成分を位相敏感検波したので、
上記雰囲気内に存在する特定ガスの濃度を高感度に検出
することができる。
【0067】また、上記レーザ光の中心周波数を特定ガ
スの吸収線上で掃引し、このときの中心周波数と上記検
波信号との関係から、上記雰囲気圧力下でのガス濃度を
求めたので、新たに圧力センサを設けることなく、圧力
補正された正確なガス濃度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス濃度測定装置の一実施例を示す図
である。
【図2】メタンガス1.6 μm 帯赤外吸収スペクトル線図
である。
【図3】一実施例の濃度測定装置においてXYプロッタ
から得られる波形の一部を示す図である。
【図4】メタン吸収に基づく透過率、その一次微分信号
および二次微分信号を示す図である。
【図5】メタン吸収線の吸収係数、その半値幅および2
倍波検波信号の圧力による変化を示す図である。
【図6】従来のメタンガス測定装置の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 半導体レーザ 3a,3b 石英系光ファイバ 4 ガスセル 6 光検出器 7 ペルチェ素子 100 レーザモジュール 110 レーザ駆動回路 120 測定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−9342(JP,A) 特開 平1−196541(JP,A) 特開 平4−501767(JP,A) 特開 昭62−175648(JP,A) 特開 平4−501007(JP,A) 特開 昭57−29933(JP,A) 実開 昭63−23642(JP,U) 国際公開90/732(WO,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動電流および温度に応じた波長および
    強度のレーザ光を発振するレーザを用い、このレーザの
    駆動電流あるいは温度を変化させて、波長および強度が
    変調されたレーザ光を発振させると共にそのレーザ光の
    中心波長を掃引させ、そのレーザ光を測定対象とする一
    定温度に保ったガス雰囲気に通した後の透過光の強度を
    検出し、この検出信号中の特定成分を位相敏感検波し、
    このレーザ光の中心波長を掃引させたことによる検波信
    の極大値及び極小値から吸収係数の半値幅を求め、そ
    の半値幅とガス雰囲気の圧力と吸収係数との関係を用い
    て雰囲気圧力及び吸収係数を求め、その吸収係数と上記
    半値幅とにより検波信号とガス濃度との比例式から上記
    雰囲気圧力下での特定ガスの濃度を測定することを特徴
    とするガス濃度測定方法。
  2. 【請求項2】 駆動電流および温度に応じた波長および
    強度のレーザ光を発振するレーザと、所定の電流値を中
    心として所定の振幅で上記レーザの駆動電流を変調する
    と共に、その中心となる電流あるいは温度を徐々に変化
    させるレーザ駆動回路と、上記レーザ光を測定対象とす
    るガス雰囲気に通過させた後の強度を検出する光検出器
    と、この光検出器の出力中の特定成分を位相敏感検波
    し、このレーザ光の中心波長を掃引させたことによる検
    波信号の極大値及び極小値から吸収係数の半値幅を求
    め、その半値幅とガス雰囲気の圧力と吸収係数との関係
    を用いて雰囲気圧力及び吸収係数を求め、その吸収係数
    と上記半値幅とにより検波信号とガス濃度との比例式か
    上記雰囲気圧力下での特定ガスの濃度を測定する測定
    手段とからなることを特徴とするガス濃度測定装置。
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