JP3411779B2 - ガス濃度測定装置 - Google Patents
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Description
源とし、光の吸収を利用して光学的にガス濃度を測定し
て例えば大気中のガス濃度の測定、都市ガス、科学プラ
ント等のガス漏洩を検出するにあたり、測定ガス濃度の
安定した取得が行えるガス濃度測定装置に関するもので
ある。
モニア等の気体には、分子の回転や構成原子間の振動等
に応じて特定波長の光を吸収する吸収帯があることは既
に知られている。例えば、メタンの場合には、1.6μ
m、3μm、7μm帯に吸収帯を有している。
は、所定距離(この距離によって測定光路長が確定され
る)隔てて光源部と受光部を配置し、光源部の半導体レ
ーザ(LD)より周波数変調されたレーザ光を測定対象
ガスの雰囲気に通し、その透過光を受光部のフォト検出
部で受けたときの出力信号から測定対象ガスのガス濃度
を測定している。
調周波数の基本波位相敏感検波信号(1f信号)には、
強度変調に起因する大きなオフセットが生じるため、特
に微少なガス濃度を高感度で測定するには、1f信号に
比べてオフセットのかなり小さい2倍波位相敏感検波信
号(2f信号)が用いられる。
導体レーザの動作温度により変化する性質があり、また
半導体レーザに流す電流値によっても変化する性質があ
る。従って、最大の2f信号を得るには、半導体レーザ
の発振周波数を吸収線の中心と一致させて安定化する必
要がある。
ている半導体レーザ発振波長安定化装置は、波長安定化
用ガスとしての測定対象ガスを封入した参照ガスセルに
周波数Fmで変調したレーザ光を通す。その測定対象ガ
スのレーザ光吸収帯のうちの一つの吸収線を利用してそ
の最大吸収点を見つけてそこに位置するように半導体レ
ーザの動作温度、または電流を変えている。すなわち、
周波数Fmの成分を抽出増幅し、それを微分してその微
分波形出力値が零になるように半導体レーザの動作温
度、または半導体レーザの電流をフィードバックしてい
る(信号位相微分検波)。
レーザ光吸収波形を図20(a)の実線で示し、信号位
相微分検波した波形を図20(b)の破線で示す。図2
0(b)のA点が目的の半導体レーザの発振波長であ
る。このA点の波長で発振するように半導体レーザの動
作温度、または半導体レーザの電流をマニュアルで設定
する。A点に設定されたらフィードバック手段により、
A点で安定するように半導体レーザの動作温度、または
半導体レーザの電流安定化回路を動作させる。
体レーザモジュールを使用したガス濃度測定装置では、
光路上に配置されたレンズ等の光学部品で光の反射が生
じ、このときの光は半導体レーザに戻り光として反射す
る。この戻り光は半導体レーザにおける誘導放出とは位
相が異なり、半導体レーザの発振に乱れが生じる。ま
た、半導体レーザが発振するレーザ光はコヒーレント性
が優れているので発光部と受光部との光路上鵜に配置さ
れたレンズ等の光学部品で光の干渉を起こし、周囲温度
の変動を原因とする受光レベルの変動がどうしてもおき
てしまう。この結果、図21に示すように2f信号の受
光レベル変動が生じ、測定誤差を招いて常に安定した高
精度なガス濃度の測定を行うことができなかった。
イズを重畳し、線幅を広げてコヒーレントをやわらげる
方法が知られている。しかしながら、この方法では、ガ
ス濃度によってその深さが変化するガスの吸収線幅が2
〜3GHzであるのに対し、ノイズを重畳したレーザ光
の線幅が1GHz以上となるため、ガス濃度の測定感度
が低下し、測定精度に悪影響を及ぼすという問題があっ
た。
れたものであって、2f信号を用いても半導体レーザの
戻り光、光学測定系の影響を十分に取り除くことがで
き、受光部が受光した光による電気信号の変動を抑え、
ガス濃度の測定分解能、安定度を高めて常に安定した高
精度なガス濃度測定が行えるガス濃度測定装置を提供す
ることを目的としている。
め、請求項1の発明は、所定周波数Fmで変調したレー
ザ光を発射する半導体レーザ3を有する光源部51と、
該光源部より所定の距離隔てて前記半導体レーザの光路
上に配置され、該半導体レーザからの光を集光して受光
する受光部31と、該受光部が受光した光による電気信
号に基づいて前記光源部と前記受光部との間におけるガ
ス濃度を計測する計測部32とを備えたガス濃度測定装
置において、前記周波数で変調したレーザ光を発射する
半導体レーザにさらに前記周波数より50倍から500
倍高い倍率nの周波数nFmで変調を重畳する信号重畳
手段14と、前記光源部から前記受光部への出射光と戻
り光の位相がずれて互いに打ち消しあうように、前記光
源部又は前記受光部の少なくとも一方における光路上の
光学部品を光軸方向に振動させ、前記光源部と前記受光
部との間の光路長を変更させるための光路長可変手段6
1,62を備えたことを特徴としている。
濃度測定装置において、前記半導体レーザ3は、周波数
変調されたレーザ光を前方および後方の両面より出射
し、該半導体レーザの前方からのレーザ光を集光する第
1の非球面レンズ2aと、該第1の非球面レンズと該第
1の非球面レンズの前方の光路上に配置された第1の光
アイソレータ23と、前記半導体レーザの後方からのレ
ーザ光を集光する第2の非球面レンズ2bと、内部に波
長安定化用ガスを封入した参照ガスセル5と、該参照ガ
スセルと前記第2の非球面レンズとの間の光路上に配置
された第2の光アイソレータ24と、前記参照ガスセル
を通ったレーザ光を検出するフォト検出器6と、該フォ
ト検出器の出力に対応して前記半導体レーザの温度を安
定化する温度制御素子4,44とを備えたことを特徴と
している。
体レーザを基本波変調周波数Fmで変調することに加え
て基本変調周波数Fmより50倍〜500倍高い倍率n
の周波数nFmで変調することにより、レーザモジュー
ルおよび受光部までの光学系に起因する戻り光、レーザ
光の干渉等の影響を大幅に抑え、受光信号の変動を小さ
くすることができる。従来技術と比較してより精密に半
導体レーザの発振レベルを安定化でき、2f信号を用い
た場合でも、測定対象ガスのガス濃度を安定して高精度
に測定することができる。しかも、動作中において光源
部と受光部との間の光路長を変更できるので、光源部か
ら受光部への出射光と戻り光の位相がずれて互いに打ち
消しあい、戻り光による異常発振も抑圧することができ
る。
を用いて説明する。
度測定装置に適用される第1実施の形態の半導体レーザ
モジュール(光源部)の外観図であり、構成部品の形
状、および配置概略を示す。傾斜した前面に保護ガラス
1が固着された円筒型ケース17の中心軸線上には半導
体レーザ3が配設されている。半導体レーザ3は温度コ
ントロールを可能とするため、円筒型ケース17内の基
板19上の基台20表面に取り付けられたペルチェ素子
4の上に搭載され、温度により波長を制御される。半導
体レーザ3の前後両側の光軸上には、平な面を持たない
非球面レンズ2(2a,2b)が配設されている。これ
ら非球面レンズ2は半導体レーザ3の出射光を集光する
ために位置を調整後、半導体レーザ3と共にペルチェ素
子(温度制御素子)4上の取付台21に固定される。こ
のとき非球面レンズ2を集光用レンズとして使用するこ
とにより、非球面レンズ2は、平な面を持たないため半
導体レーザ3に光が反射し戻ることを防止できる。
ラス1と非球面レンズ2aとの間には光アイソレータ2
3が配設されている。光アイソレータ23は90°の偏
波面の光のみを通す偏光子と、45°の偏波面の光のみ
を通す検光子との間に配置された結晶に磁力を印加する
ことで、結晶中を透過する光の偏波面を回転させて偏光
子での反射光の通過を阻止し、半導体レーザ3に反射光
が戻るのを防止している。
ガスセル5が配設されている。参照ガスセル5は、半導
体レーザ3への戻り光を低減するために両端面5a、5
bが斜めに(例えば射光軸に対して約6度)形成されて
いる。そして、参照ガスセル5は、非球面レンズ2bの
後ろ側に、後方出射光が入射しやすい位置に固定され、
参照ガスセル5の後ろ側に置かれたフォト検出器6に光
が入射する構造とされている。また、半導体レーザ3の
後ろ側の光路上で、非球面レンズ2bと参照ガスセル5
との間には、半導体レーザ3に反射光が戻るのを阻止す
るための光アイソレータ24が配設されている。
体レーザモジュール(光源部)は、第1実施の形態のフ
ォト検出器6を、射光軸に対して約10度角度を付けた
ものである。図2は半導体レーザモジュールの具体的数
値を示したものであり、(a)は平面図、(b)は側面
図を示す。非球面レンズ2aは、焦点距離が約0.7m
mであり、外周には外径2.5mmの金属性の円筒が取
りつけてある。この非球面レンズ2aは、半導体レーザ
3の発光点より0.2mm離れた位置で出射光が平行光
になるように位置調整され、金属性の円筒部分でペルチ
ェ素子4上の取付台21にYAGレーザ溶接で固定す
る。また、非球面レンズ2bは、焦点距離が約3mmで
あり、半導体レーザ3の発光点より3mm離れた位置で
出射光が平行光になるように位置調整されて取付台21
にYAGレーザ溶接で固定する。
レーザ3の光軸と一致するように基板19上の取付台2
5に固定し、保護ガラス1と非球面レンズ2aとの間の
光路上に配置する。また、光アイソレータ24は、その
中心が半導体レーザ3の光軸と一致するように基台20
上の取付台26に固定し、非球面レンズ2bと参照ガス
セル5との間の光路上に配置する。
0mmの円筒型で、材質ガラスで構成されている。両端
面5a、5bのガラス窓は、反射した戻り光を少なくす
るために約6度傾けてあり、半導体レーザ3の後方出力
光が効率よく内部を透過するように非球面レンズ2bの
すぐ後方に参照ガスセル5の中心と光軸が一致するよう
に配置する。また、フォト検出器6を、光軸面に対して
約10度角度を付けて円筒型ケース17に取りつけてあ
るため、半導体レーザ3への戻り光を少なくできる。
してある。ガスは固有の波長の光を吸収する性質がある
ため、本半導体レーザモジュールでは参照ガスセル5内
のガスの吸収線をフォト検出器6で検出し、半導体レー
ザ3の波長を安定化できる構成となっている。また、保
護ガラス1と円筒型ケース17は、半導体レーザ3、非
球面レンズ2、参照ガスセル5、およびペルチェ素子4
をほこり等から守るために、これらの部品を外気から遮
断している。
体レーザモジュール(光源部)は、図3に示すように、
上面側が開口した箱型形状のケース本体16の内部に、
各部品(基台20に設けられた非球面レンズ2、半導体
レーザ3、ペルチェ素子4をはじめ、取付台25,26
に設けられた光アイソレータ23,24や参照ガスセル
5、フォト検出器6)を収容したものである。開口した
ケース本体16の上面はカバー部材18が溶接封止され
ており、光アイソレータ23の前方の光路上に位置して
ケース本体16の側面に形成されたレーザ出射窓22の
結露を防ぐことができる。
成については、前述した第1および第2実施の形態の半
導体レーザモジュールと同一なので、その構成部品には
同一番号を付し、詳細な説明については省略している。
体レーザモジュールは、図4および図5に示すように、
箱型形状のケース本体41の内部に、半導体ユニット4
2、参照ガスセル5、フォト検出器6が収容されてい
る。ケース本体41の底面には、冷却用フィン43が取
り付けられたペルチェ素子44が配設されている。な
お、図示はしないが、半導体ユニット42には、前述し
た第1乃至第3実施の形態の半導体レーザモジュールと
同様に、半導体レーザを中心として、その前後両側の光
軸上に非球面レンズ、光アイソレータが対称に配設され
ている。
ールは、例えば図6(a),(b)に示す光路可変型の
ガス濃度測定装置に接続して使用される。このガス濃度
測定装置の光学計測部45は、レール46が形成された
保持部材47に対して移動可能に保持された2つの筐体
48,49を備えている。一方の筐体48は、延長コネ
クタ50を介して半導体ユニット42との間に接続する
ことにより光源部51を構成している。他方の筐体49
は、受光部31を構成している。
体48には、アダプタを備えたL字状の支持部材52が
固定されている。この支持部材52のアダプタには、延
長コネクタ50が着脱可能に取り付けられる。また、延
長コネクタ50の出射端面50aの光軸上には、平な面
を持たない非球面レンズ53が取り付けられたホルダ5
4が配設されている。
体49には、光源部51側の非球面レンズ53と対向す
る光軸上に、同様の平な面を持たない非球面レンズ55
が配設されている。この非球面レンズ55後方の筐体4
9内には、光軸上にフォト検出器31aが取り付けられ
たL字状の支持部材56が配設されている。
は、レール46の側面に対して取付片57が取り付けら
れている。取付片57には筐体48,49をレール46
に対して固定するための固定ネジ58が取り付けられて
いる。各筐体48,49は、固定ネジ58を緩めた状態
で光軸に沿った方向(図6(b)の矢印X方向)にレー
ル46上を移動する。これにより、光源部51と受光部
31との間の測定光路長を任意に可変できる。そして、
光源部51と受光部31とは、測定光路長が一度調整設
定されると、その後は固定して使用される。
は、前述した第1乃至第3実施の形態の半導体レーザモ
ジュールを用いることもできる。
31は、図7(a),(b)に示す光路長可変手段とし
ての振動機構61,62を備えている。
の構成を示しており、延長コネクタ50の端部は、L字
状の支持部材52を介して筐体48に固定される。非球
面レンズ53が配設されたホルダ54は、例えばゴム材
やゲル材等からなる振動吸収材63を介して支持部材5
2、筐体48のそれぞれに取り付けられる。また、ホル
ダ54上には、例えばモータ等の振動源64が設けられ
る。このように構成される振動機構61では、ホルダ5
4上の振動源64が駆動されると、ホルダ54が振動す
る。これにより、ホルダ54に取り付けられた非球面レ
ンズ53が光軸方向に微振動する(例えば50Hz程度
の周波数で10μm程度)。その際、振動吸収材63
は、ホルダ54の振動を他の部材に伝達することなく、
ホルダ54のみを安定した周期で振動する役割もする。
の構成を示しており、L字状の支持部材56には、フォ
ト検出器31aが取り付けられる。支持部材56は、例
えばゴム材やゲル材等からなる振動吸収材65を介して
筐体49に取り付けられる。また、支持部材56上に
は、例えばモータ等の振動源66が設けられる。このよ
うに構成される振動機構62では、支持部材56上の振
動源66が駆動されると、支持部材56が振動する。こ
れにより、支持部材56に取り付けられたフォト検出器
31aが光軸方向に微振動する(例えば50Hz程度の
周波数で10μm程度)。その際、振動吸収材65は、
支持部材56の振動を他の部材に伝達することなく、支
持部材56のみを安定した周期で振動する役割もする。
と受光部31の両方の光学系に採用することにより、延
長コネクタ50の出射端面と非球面レンズ53の入射端
面との間、非球面レンズ53の出射端面とフォト検出器
31aの受光端面との間の距離、すなわち、測定光路長
を変更することができる。その結果、フォト検出器31
aへの出射光と戻り光の位相がずれ、互いに打ち消しあ
うので、戻り光による異常発振が抑圧される。
又は受光部31の一方の光学系のみに設けても効果があ
り、半導体ユニット42内の半導体レーザを光軸方向に
振動させる構成としてもよい。また、振動機構61,6
2としては、上記振動吸収材63,65と振動源64,
66を用いて構成する他、例えば携帯電話やPHS等の
振動呼び出し装置として使用されるバイブレータ、ボイ
スコイルモータ、ピエゾ効果を利用したPZT素子等の
リニアアクチュエータを用いて構成し、光学系を例えば
50Hz程度の周波数で10μm程度の幅をもって光軸
方向に振動させてもよい。
施の形態の半導体レーザモジュールは円筒型をしている
が、用途に応じて角型等の他の形状にすることも可能で
ある。
の一実施の形態を示している。この多重セル型ガス濃度
測定装置は、多重セル67と光学系(光源部51および
受光部31)が筐体68内に配設されて一つのユニット
を構成している。なお、光学系である光源部51および
受光部31は、図6に示すものと同一構成なので、同一
の構成要素には同一番号を付し、その説明については省
略する。
形状の管69で構成されている。管69の内壁面両端部
には、複数の反射ミラー(図示の例では、管69の左側
部に一つ、右側部に二つ)70(70a,70b,70
c)が配置されている。管69の左側部の上部には光源
部51が着脱可能に取り付けられている。また、管69
の左側部の下部には、光源部51と光軸が平行となるよ
うに受光部31が着脱可能に取り付けられている。管6
9の上部には、測定対象ガスの注入、排出を行うための
ガス取入パイプ71とガス排出パイプ72とが並設され
ている。この多重セル67では、光源部51からの光が
管69内の複数の反射ミラー70により多重反射されて
受光部31に導かれる。
ば、多重セル67と光学系51,31が同一箇所に配置
されるので、単一の振動機構を用いて筐体68を光軸方
向に振動させることにより、光源部51と受光部31と
の間の測定光路長を変更することができる。しかも、装
置全体の小型化が図れ、小さいスペースで測定光路長を
長く設定して測定感度を向上させることができ、特に低
濃度のガスを測定する場合に最適である。
を受けない状態で、基本波、2倍波を検出し、発振波長
を精度よく安定化する手段を説明する。図9は本発明の
ガス濃度測定装置の半導体レーザ発振波長安定化装置の
一実施の形態を示すブロック図、図10は同装置の2倍
波信号増幅器および信号同期検出器の一実施の形態を示
すブロック図、図11は同装置の基本波信号増幅器およ
び信号微分検出器の一実施の形態を示すブロック図、図
12は同装置の温度安定化PID(Proportional Integ
ration and Differential )回路の一実施の形態を示す
ブロック図、図13は同装置の電流安定化回路の一実施
の形態を示すブロック図である。
を備えた半導体レーザ発振波長安定化装置の構成を図9
および図13で説明する。信号重畳手段としての電流安
定化回路14は、LDバイアス電流を設定するバイアス
電流生成回路14a,14b,14cと、変調周波数の
基本波であるFmのレベルを設定する基本波変調電流生
成回路14d,14e,14fと、変調周波数の2倍波
(2Fm)のレベルを設定する抑圧電流生成回路14
g,14h,14i,14j,14k,14l,14m
と、基本波変調周波数のn倍(例えばn=50〜500
倍程度)の変調周波数(nFm)のレベルを設定する受
光レベル変動抑圧電流生成回路14p,14qと、これ
ら各回路で設定された電流を加算する加算回路14n
と、加算された電流を増幅し、この増幅された電流によ
り半導体レーザを駆動する半導体レーザ駆動アンプ14
oとを備えて構成される。
イアス電流、半導体レーザ変調電流(基本波変調電
流)、LD抑圧電流、LD受光レベル変動抑圧電流をそ
れぞれ設定し、これらの電流設定値を加算して半導体レ
ーザ電流として半導体レーザ3に流す。図1の半導体レ
ーザモジュールを例にとって説明すれば、半導体レーザ
3に電流が流れると、半導体レーザ3の前方、後方にレ
ーザ光を出射する。前方に出射したレーザ光は非球面レ
ンズ2aにより集光され光アイソレータ23を通過し保
護ガラス1を通して放射する。この際、光アイソレータ
23によって半導体レーザ3への戻り光を低減してい
る。後方に出射したレーザ光は非球面レンズ2bにより
集光され光アイソレータ24を通過し参照ガスセル5に
導かれる。この際、光アイソレータ24によって半導体
レーザ3への戻り光を低減している。参照ガスセル5を
通過したレーザ光はフォト検出器6で検出され電流電圧
変換プリアンプ7により増幅される。参照ガスセル5内
部には測定対象ガスが封入されており、その吸収線によ
りレーザ光が吸収され2倍波が生成される。電流電圧変
換プリアンプ7により増幅された信号(S1)は、基本
波信号増幅器8で増幅され(S2)、信号微分検出器9
により位相微分検波され(S3)、図20(b)破線に
示す出力波形になる。また、2倍波は2倍波信号増幅器
10で増幅され(S5)、信号同期検出器11によりレ
ベル検出され(S6)、図20(b)実線に示す出力波
形になる。温度安定化PID回路13は、温度センサ4
aの誤差入力をPID演算し、その演算結果をペルチェ
素子4に出力し、半導体レーザの動作温度を所定の温度
に設定する。波長安定化制御回路15は、マイクロプロ
セッサ、メモリ等を使用し、以下に説明する図15等の
処理を実行する。
処理を説明する。温度安定化PID回路13は、半導体
レーザの温度設定値を、吸収線の中心波長に一致する温
度、例えば26℃に設定する。この際、波長安定化制御
回路15から入力したデジタル信号をD/A変換器(D
AC)13dでアナログ信号に変換する。また、電流安
定化回路14により半導体レーザ3のバイアス電流を、
例えば100mAに、半導体レーザ3の変調電流を、例
えば25mAに設定する。次に、温度安定化PID回路
13で、動作温度バイアス値を徐々に高くし、そのとき
の信号微分検出器9の信号強度を測定し、図20(b)
破線に示す出力波形を得る。なお、本設定温度の検索
は、半導体レーザの動作条件、例えばバイアス電流を変
更した際に、行えばよい。
振波長初期設定処理を図15のフローチャートを用いて
説明する。半導体レーザ動作温度をB点の温度に設定す
る(a)。つぎにC点の温度まで徐々に変えていく
(b)。B点の動作温度からC点の動作温度まで変える
(e)間に信号微分検出器9の出力を監視し(c)、出
力が最大値および最小値となる半導体レーザ3の動作温
度を記憶する(d)。最小値の動作温度と最大値の動作
温度とのちょうど中間の動作温度を算出し(f)、その
動作温度を温度安定化PID回路13に設定する
(g)。動作温度を設定した後、信号微分検出器9の出
力がほぼ零であることを確認する(h)。つぎに動作温
度を少し高く設定し、信号微分検出器9の出力が下がり
マイナス方向に変動することを確認し、反対に温度を低
く設定すると出力が上がりプラス方向に変動することを
確認する(i)。この確認が終了した後、スイッチ12
をオンにして温度安定化PID回路13にフィードバッ
クする(j)。その後、半導体レーザの温度が安定して
いることを確認する(k)。温度が安定していればフィ
ードバックが正しく動作していることになる。
信号が変動していると、半導体レーザの発振波長は変動
する。それに対し、本発明の半導体レーザモジュールを
用いると、フィードバック信号が滑らかなため、半導体
レーザの発振波長は安定する。
する、半導体レーザ3の発振波長の2倍波ピーク安定化
処理を説明する。温度安定化PID回路13の動作温度
バイアス値を増減する(l)。信号同期検出器11の出
力を監視し、出力が最大値になる動作温度バイアス値を
温度安定化PID回路13に設定する(m)。その後、
信号ピーク検出出力値を常に監視し(n)、常に極大値
になるように動作温度バイアス値を変化させ温度安定化
PID回路13に設定する。この処理を短い間隔で繰り
返すことにより測定対象ガスの最大吸収点(波長λ0 )
に半導体レーザ3の発振波長を維持し安定にすることが
できる。設定温度の検索、および初期設定をした後、2
倍波ピーク安定化の処理をするため、半導体レーザ3の
発振波長を、所定の吸収線の最大吸収点に安定化するこ
とができる。
11の詳細を、図10に基づいて説明する。フォト検出
器7で受けた信号を増幅器10aで増幅する。混合器1
0cは、その信号と、電圧制御発振器(VCO)10i
で発振させた周波数信号と混合し、中間周波数を生成す
る。本実施の形態では、局部発振器11aの周波数を4
55kHz−2Fmとし、中間周波数を455kHzと
した。これを狭帯域フィルタ10dに通し、位相同期検
波器11gで同期検波する。同期検波した信号を低域フ
ィルタ11hを経て直流アンプ11iで増幅する。この
増幅された信号の最大値が2倍波のピークとなる。ここ
で、位相シフト器11bで、光学系等で遅延した信号の
位相と、発振器11aの2Fmの位相とを調整する。
路14の2倍波歪抑圧動作を図13で説明する。電流安
定化回路14は、波長安定化制御回路15からの制御信
号(S9)により、半導体レーザ3に駆動電流(S1
2)を発生する。LDバイアス電流値により、半導体レ
ーザ3のバイアス電流を設定する。基本波変調電流値に
より、変調周波数の基本波であるFmのレベル(電流
値)を設定する。LD抑圧電流値により、変調周波数の
2倍波(2Fm)のレベル(電流値)を設定する。LD
受光レベル変動抑圧電流値により、基本波変調周波数の
n倍波(nFm、n=50〜500)のレベル(電流
値)を設定する。
電流値、受光レベル変動抑圧電流生成回路における発振
器14pの倍率nおよびアッテネータ14qの出力電流
値は、使用される半導体レーザによって周波数特性が異
なるため、ある程度の可変範囲を持っており、使用され
る半導体レーザに応じて最適な値に設定される。具体的
な可変範囲は、基本波変調電流値を20mAppとしたと
き、LD抑圧電流値0.1〜0.5mA、n=50〜5
00、出力電流値5〜20mAppである。
nで重畳され、バッファ14oを介して半導体レーザ3
に供給される。戻り光の影響を無くしても、半導体レー
ザにより変調波2倍波歪が出る場合には、2倍波歪抑圧
電流を設定して、基本波に重畳し、2倍波歪が最小にな
るようにする。具体的には、発振器14gの2Fmの位
相を、位相シフト器14hで逆相にして、基本波に重畳
する。その際、重畳するレベルを、基本波から発生する
2倍波の歪をキャンセルするように、減衰器(ATT)
14mを調整する。
を測定対象ガスの雰囲気に通してガス濃度を測定する構
成および動作を説明する。図14は本発明のガス濃度測
定装置における受光系のブロック図である。
計測部32は電流電圧変換器33、LD変調基本波増幅
回路34、LD変調2倍波増幅回路35、除算器36を
備えて構成されている。この受光系では、測定対象ガス
の雰囲気を通って受光部31が受光したレーザ光の出力
信号から1f信号と2f信号を検波し、1f信号と2f
信号の比から測定対象ガスのガス濃度を計測している。
導体レーザ3の光軸上に所定距離(この距離によって測
定光路長を確定している)隔てて対向配置されるケース
内部に測定対象ガスの雰囲気を通ったレーザ光を受光す
るフォト検出器31aが収容されている。
フィルタ34a、増幅器34b、基本波ローカル信号発
生器34c、位相敏感検波器34d、増幅器34eを備
えて構成されており、電流電圧変換器33からの電圧信
号をバンドパスフィルタ34aに通して増幅した後、基
本波信号を位相敏感検波し増幅して除算器36に出力し
ている。
フィルタ35a、増幅器35b、2倍波ローカル信号発
生器35c、位相敏感検波器35d、増幅器35eを備
えて構成されており、電流電圧変換器33からの電圧信
号をバンドパスフィルタ35aに通して増幅した後、2
f信号を位相敏感検波し増幅して除算器36に出力して
いる。
からの2f信号の振幅を、LD変調基本波増幅回路34
からの基本波信号の振幅で除算してガス濃度に比例した
信号検出出力を得ている。
周波数の50〜500倍の周波数を重畳する。その値
は、半導体レーザの周波数特性に応じて決定される。本
実施例では、基本周波数10KHzに対して、1MHz
の周波数を重畳した。その際、電流値は、LDバイアス
電流値100mApp、基本波変調電流値20mApp、L
D抑圧電流値0.1〜0.5mApp、LD受光レベル変
動抑圧電流値5〜20mAppとした。上記条件において
4つの実施例の波形図を図16〜図19に示す。
非球面レンズを使用した構成(図16:実施例1)で
は、分解能4ppmが得られる。光学系に非球面レンズ
を使用し、フォト検出器31aを振動させた構成(図1
7:実施例2)では、分解能0.2ppmが得られる。
光学系に非球面レンズを使用し、受光レベル変動抑圧電
流生成回路により高周波数重畳を行なった構成(図1
8:実施例3)では、分解能0.3ppmが得られる。
光学系に非球面レンズを使用し、フォト検出器31aを
振動させ、受光レベル変動抑圧電流生成回路により高周
波数重畳を行なった構成(図19:実施例4)では、分
解能0.1ppmが得られる。
て、抑圧電流を重畳して半導体レーザを駆動しても、半
導体レーザのレーザ光の線幅は2MHz程度と変化がな
く、ガスの吸収線幅は2GHzあるので、レーザ光の線
幅によりガス濃度の測定感度を低下させず測定を行なう
ことができる。
よれば、半導体レーザへの戻り光が大幅に低減し、測定
対象ガスの吸収線への発振波長安定化が精密に行え、戻
り光による影響を受けずに常に安定した状態でガス濃度
を高精度に測定することができる。
は、半導体レーザ3の発振波長をその他のガスの吸収帶
に適合したものを使用すれば、二酸化炭素ガス、アセチ
レンガス等にも応用でき、半導体レーザ3をセンサにし
た大気汚染測定装置を実現できる。その他、共同溝、都
市ガス配管のガス漏れ検出装置、化学プラント等のガス
モニタリングシステムにも応用できる。
測定装置によれば、半導体レーザを基本波変調周波数で
変調することに加えて基本波変調周波数より50倍〜5
00倍高い倍率の周波数で変調し、両者の合成周波数で
半導体レーザを変調駆動する構成なので、光源部および
受光部までの光学系に起因する戻り光、レーザ光の干渉
等の影響を大幅に抑え、受光信号の変動を小さくするこ
とができ、2f信号を用いた場合でも、分解能を向上さ
せて測定対象ガスのガス濃度を安定して高精度に測定す
ることができる。しかも、動作中において光源部と受光
部との間の光路長を変更できるので、光源部から受光部
への出射光と戻り光の位相がずれて互いに打ち消しあ
い、戻り光による異常発振も抑圧することができる。
施の形態の半導体レーザモジュールの外観図である。
ーザモジュールの外観図であり、(a)は平面図、
(b)は側面図を示す。
ーザモジュールの外観図であり、(a)は平面図、
(b)は側面図を示す。
ーザモジュールの外観を示す平面図
ーザモジュールの外観を示す側面図
が接続される本発明の光路長可変型のガス濃度測定装置
を示す平面図、(b)は同側面図である。
光学系に適用される光路長変更手段の構成図を示す図で
ある。
示す側面図である。
波長安定化装置の一実施の形態を示すブロック図であ
る。
出器の一実施の形態を示すブロック図である。
出器の一実施の形態を示すブロック図である。
態を示すブロック図である。
すブロック図である。
ク図である。
の処理を示すフローチャートである。
ジュールに非球面レンズを使用したときの波形図であ
る。
ンズを使用し、フォト検出器を振動させたときの波形図
である。
ンズを使用して高周波数重畳を行なったときの波形図で
ある。
ンズを使用し、フォト検出器を振動させ、高周波数重畳
を行なったときの波形図である。
ーザ光吸収波形を示し、(b)破線は信号微分波形を示
し、(b)実線は2f信号のピーク検出波形を示す。
電圧変換プリアンプの出力波形である。
4…温度制御素子、5…参照ガスセル、6…フォト検出
器、7…電流電圧変換プリアンプ、8…基本波信号増幅
器、9…信号微分検出器、10…2倍波信号増幅器、1
1…信号同期検出器、12…スイッチ、13…温度安定
化PID回路、14…電流安定化回路、14p,14q
…受光レベル変動抑圧電流生成回路、15…波長安定化
制御回路、31…受光部、32…計測部、33…電流電
圧変換器、34…LD変調基本波増幅回路、35…LD
変調2倍波増幅回路、36…除算器、51…光源部、5
3,55…非球面レンズ、61,62…振動機構、6
3,65…振動吸収材、64,66…振動源。
Claims (2)
- 【請求項1】 所定周波数(Fm)で変調したレーザ光
を発射する半導体レーザ(3)を有する光源部(51)
と、該光源部より所定の距離隔てて前記半導体レーザの
光路上に配置され、該半導体レーザからの光を集光して
受光する受光部(31)と、該受光部が受光した光によ
る電気信号に基づいて前記光源部と前記受光部との間に
おけるガス濃度を計測する計測部(32)とを備えたガ
ス濃度測定装置において、 前記周波数で変調したレーザ光を発射する半導体レーザ
にさらに前記周波数より50倍から500倍高い倍率
(n)の周波数(nFm)で変調を重畳する信号重畳手
段(14)と、前記光源部から前記受光部への出射光と戻り光の位相が
ずれて互いに打ち消しあうように、 前記光源部又は前記
受光部の少なくとも一方における光路上の光学部品を光
軸方向に振動させ、前記光源部と前記受光部との間の光
路長を変更させるための光路長可変手段(61,62)
を備えたことを特徴とするガス濃度測定装置。 - 【請求項2】 前記半導体レーザ(3)は、周波数変調
されたレーザ光を前方および後方の両面より出射し、 該半導体レーザの前方からのレーザ光を集光する第1の
非球面レンズ(2a)と、 該第1の非球面レンズと該第1の非球面レンズの前方の
光路上に配置された第1の光アイソレータ(23)と、 前記半導体レーザの後方からのレーザ光を集光する第2
の非球面レンズ(2b)と、 内部に波長安定化用ガスを封入した参照ガスセル(5)
と、 該参照ガスセルと前記第2の非球面レンズとの間の光路
上に配置された第2の光アイソレータ(24)と、 前記参照ガスセルを通ったレーザ光を検出するフォト検
出器(6)と、 該フォト検出器の出力に対応して前記半導体レーザの温
度を安定化する温度制御素子(4,44)とを備えた請
求項1記載のガス濃度測定装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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