JP3677691B2 - 光熱変換分光分析装置 - Google Patents

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強 牧野
雅彦 平野
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株式会社分子バイオホトニクス研究所
北森 武彦
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起光を試料に照射することにより生じる光熱効果を利用し、検出光を試料に照射して生じた信号光を検出して、これにより試料を分析する光熱変換分光分析技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料に光を集光照射すると、その試料は、光吸収により局所的に温度上昇し、この温度上昇に応じて屈折率が変化し、熱レンズが形成される。これを光熱効果という。多くの物質では、温度上昇に伴い屈折率は小さくなるので、熱レンズとして凹レンズが形成される。したがって、この凹レンズの中央およびその周辺に光を入射させると、その光は発散する。また、この凹レンズの中央以外の部分に光を入射させると、その光は偏向する。
【0003】
従来より、この光熱効果を利用して試料を分光分析することが行われており、この分析方法を光熱変換分光法という。従来の入射光と透過光との比に基づいて試料分析する吸光法とは異なり、この光熱変換分光法は、熱の拡散すなわち屈折率変化を観察するものであるので、吸光法に比べて極微量な試料濃度を検出することができる。それ故、光熱変換分光分析技術は、キャピラリー電気泳動装置用の高感度分析装置としての利用や、従来の吸光法の適用が困難な細胞等の生体試料への応用が提案されている。
【0004】
図4は、従来の光熱変換分光分析装置の構成図である。この光熱変換分光分析装置では、励起光源110から出力された励起光は、チョッパ111により変調され、ダイクロイックミラー112を透過し、レンズ113により集光される。集光された励起光は、試料130に照射され吸収されて、その照射位置を中心として熱レンズが形成される。試料130に照射された励起光のうち試料130により吸収されなかった光は、試料130を透過するが、フィルタ141により吸収され、検出器142には入射しない。
【0005】
一方、検出光源120から出力された検出光は、反射鏡121およびダイクロイックミラー112それぞれにより順次反射され、レンズ113により集光される。集光された励起光は、励起光により試料130に形成された熱レンズに集光照射され、試料130を透過して発散する。この試料130から発散して出射された信号光のうち、ピンホール140の開口部を通過した光はフィルタ141を通過して、検出器142により検出される。この検出器142により検出された信号光の強度は、試料130において形成された熱レンズに応じたものであり、また、チョッパ111による励起光変調周期に同期して変化するものである。そこで、この検出器142からの出力信号は、ロックインアンプ150により、チョッパ111による励起光変調周期に同期して検波され、そのロックインアンプ150からの出力信号に基づいて試料130の分析がなされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように光熱変換分光法は、従来の吸光法に比べれば検出感度が優れている。しかしながら、上記従来例では、励起光が試料130に到るまでの光学系において信号光と同種のバックグラウンドノイズ光が発生する。例えば、図4に示した従来の光熱変換分光分析装置の光学系では、集光レンズ113においても、励起光の照射による温度上昇に伴い屈折率変化や膨張が起こるので、検出光がこれらを経る際にバックグラウンドノイズ光が生じる。そして、このようなバックグラウンドノイズ光は、検出器142により検出されるため、信号光の検出感度が低下するという問題点がある。
【0007】
また、励起光および検出光それぞれが試料130に照射される位置および照射径は固定されており、その為に、試料130に依って、或いは、試料130を容れる試料セルの形状や材質に依っては、検出光がこの熱レンズにより発散されて出射された信号光の信号強度は弱く、したがって、検出感度が充分ではない場合があるという問題点がある。
【0008】
特に、試料130が生体試料である場合等においては、従来の光熱変換分光分析装置では検出感度が充分ではなく、検出感度の更なる向上が望まれているところである。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、更なる高感度検出が可能な光熱変換分光分析装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光熱変換分光分析装置は、励起光が試料に照射されて形成される熱レンズに検出光を入射させ、検出光が熱レンズにより発散または偏向されて出力された信号光に基づいて、試料の分光分析を行う光熱変換分光分析装置であって、(1) 互いに平行な第1平板部および第2平板部を壁面に有する試料セルと、(2) 励起光を出力する励起光源と、(3) 検出光を出力する検出光源と、(4) 励起光源から出力された励起光を試料セルの第1平板部に垂直入射させて、該励起光を試料セル内の試料に入射させる励起光照射光学系と、(5) 励起光の試料への入射光路と略対向する入射光路で、検出光源から出力された検出光を試料セルの第2平板部に垂直入射させて、該検出光を試料セル内の試料に入射させる検出光照射光学系と、(6) 検出光の試料への入射に伴って発生する信号光を検出する検出器と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この光熱変換分光分析装置によれば、励起光源から出力された励起光は、励起光照射光学系により、試料セルの第1平板部に垂直入射され、試料セル内の試料に入射されて、試料に熱レンズを生じせしめる。一方、検出光源から出力された検出光は、検出光照射光学系により、励起光の試料への入射光路と略対向する入射光路で、試料セルの第2平板部に垂直入射され、試料セル内の試料に入射される。そして、検出光の試料への入射に伴って発生する信号光は、検出器により検出される。したがって、励起光照射光学系において信号光と同種のバックグラウンドノイズ光が発生したとしても、そのバックグラウンドノイズ光は検出器により検出されることはないので、信号光は高感度に検出される。
【0012】
また、励起光および検出光それぞれの試料への入射方向は互いに略対向するので、光学系の調整が容易となる。さらに、試料を容れる試料セルの壁面の一部である第1平板部および第2平板部が互いに平行であって、第1平板部に励起光が垂直入射されるとともに、第2平板部に検出光が垂直入射されるので、励起光または検出光の入射位置が変更されたとしても、その入射位置に依らず同一条件で光熱変換分光分析を行うことができる。
また、試料セル内に試料を導入または排出するための試料口が試料セルに設けられているのが好適であり、この場合には、試料セル内で電気泳動されている試料を分析すること等が可能となる。
【0013】
また、励起光が試料に照射される位置および径の双方または何れか一方を調整する励起光照射調整手段を更に備えてもよいし、検出光が試料に照射される位置および径の双方または何れか一方を調整する検出光照射調整手段を更に備えてもよい。これらの場合には、信号光の検出感度が最大となるように、励起光および照射光それぞれの試料への照射位置または照射径を調整することができる。
【0014】
また、励起光および検出光それぞれが試料に照射される位置および集光状態を観察する観察手段を更に備えるのが好適である。この場合には、励起光および検出光それぞれの試料への照射位置および集光状態を確認しながら、光熱変換分光分析を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、本発明に係る光熱変換分光分析装置の構成図である。
【0016】
励起光源10は、試料30に熱レンズを形成するための励起光Aを出力するものである。励起光源10として、指向性に優れるレーザ光源が好適に用いられる。そして、チョッパ11、集光レンズ12およびダイクロイックミラー13からなる励起光照射光学系は、この励起光源10から出力された励起光Aを試料30に照射する。すなわち、チョッパ11は、励起光源10から出力された励起光Aを周期的に透過/遮断の変調をし、集光レンズ12は、チョッパ11により変調された励起光Aを集光し、そして、ダイクロイックミラー13は、その集光された励起光Aを透過させる。
【0017】
その集光された励起光Aが試料30に照射されると、その一部は試料30により吸収され、残部は透過する。試料30では、励起光吸収に伴い、励起光Aが照射された位置を中心に温度上昇し熱レンズが形成される。励起光Aがチョッパ11により変調されているので、この熱レンズも励起光Aの変調周期と同一周期で変調されたものとなる。また、試料30により吸収されることなく試料30を透過した励起光Aは、ダイクロイックミラー22を透過し、ライトトラップ24に入射する。ライトトラップ24は、その入射した励起光Aを吸収するものである。
【0018】
一方、検出光源20は、試料30に形成された熱レンズに照射すべき検出光Bを出力するものである。検出光源20として、同様にレーザ光源が好適に用いられる。そして、ビームスプリッタ21、集光レンズ23およびダイクロイックミラー22からなる検出光照射光学系は、この検出光源20から出力された検出光Bを試料30に照射する。すなわち、ビームスプリッタ21は、検出光源20から出力された検出光Bの殆どを透過させ、集光レンズ23は、その検出光Bを、ダイクロイックミラー22で反射させ試料30に集光照射する。そして、その集光された検出光Bは、試料30に形成された熱レンズに入射する。このように、検出光Bの試料30への入射光路を、励起光Aの試料30への入射光路と異なるものとする。また、この図に示すように、励起光Aおよび検出光Bそれぞれの試料30への入射方向を互いに対向させてもよい。
【0019】
検出光Bが試料30に入射すると、試料30に形成された熱レンズにより検出光Bは発散または偏向し信号光Cとして出射する。この信号光Cの強度は、その発散または偏向の度合い、即ち、熱レンズの形成度合いを示すものであり、更には試料30の濃度等を示すものである。ダイクロイックミラー13はその信号光Cを反射させ、集光レンズ40は信号光Cを集光し、フィルタ41は信号光Cを透過させ、そして、検出器42は、信号光Cを検出して信号光強度に応じた電流信号を出力する。なお、検出器42の受光面の前面にピンホールを設けてもよい。
【0020】
ここで、ダイクロイックミラー13および22それぞれは、励起光Aを透過させるが、検出光Bおよび信号光Cを反射させるものである。また、フィルタ41は、信号光Cの波長成分を透過させるが、励起光Aの波長成分を遮断するものである。
【0021】
検出器42から出力された電流信号を入力するアンプ43は、その電流信号を電圧信号に変換し増幅して出力する。そして、ロックインアンプ50は、アンプ43から出力された電圧信号を入力するとともに、チョッパ11による励起光変調の同期信号を入力して、アンプ43からの電圧信号を同期検波する。ロックインアンプ50からの出力信号を入力するコンピュータ60は、その出力信号に基づいて試料30の分析を行う。
【0022】
また、集光レンズステージ(励起光照射調整手段)71は、その上に集光レンズ12を固定配置するものであり、試料ステージ(検出光照射調整手段)72は、その上に試料30を固定配置するものである。これら集光レンズステージ71および試料ステージ72それぞれは、ステージ70の上に置かれており、ステージ70に対して互いに直交する3軸方向の何れの方向にも相対的に移動可能である。また、ステージ70は、その他の光学系(励起光源10、チョッパ11、ダイクロイックミラー13、検出光源20からダイクロイックミラー22に到るまでの光学系、ならびに、ダイクロイックミラー13から検出器42に到るまでの光学系)に対して、互いに直交する3軸方向の何れの方向にも移動可能である。
【0023】
これらのうち、ステージ70は、集光レンズ12および試料30の概略位置を決めるものである。集光レンズステージ71は、集光レンズ12を微動させることにより励起光Aの試料30への照射位置を変更するものである。また、試料ステージ72は、試料30を微動させることにより、励起光Aおよび検出光Bそれぞれの照射位置を変更するものである。
【0024】
なお、励起光Aおよび検出光Bそれぞれの試料30上の照射径の変更は、集光レンズ12および集光レンズ23それぞれを焦点距離の異なるものに交換するか、あるいは、これらに替えて励起光源10と集光レンズ12との間または検出光源20と集光レンズ23との間にビームエクスパンダを設けることにより、行ってもよい。
【0025】
また、励起光Aおよび検出光Bそれぞれの試料30上の照射位置および集光状態は、カメラ(観察手段)26により確認することができる。すなわち、カメラ26は、励起光Aおよび検出光Bそれぞれが照射された試料30を、ダイクロイックミラー22、集光レンズ23、ビームスプリッタ21および結像レンズ25を介して撮像し、励起光Aおよび検出光Bそれぞれが試料30に照射された位置および集光状態を観察する。ここで、励起光Aは、ダイクロイックミラー22を透過するため、カメラ26に殆ど到達しないので、観察時(調整時)にはダイクロイックミラー22を反射鏡に交換することとしてもよい。励起光Aの試料30への照射位置や集光状態の観察・調整は、実際の分光分析を行う前に行われればよいからである。
【0026】
以上のように、本発明に係る光熱変換分光分析装置では、励起光Aおよび検出光Bそれぞれの試料30への入射光路を互いに異なるものとしたので、励起光Aが試料30に到るまでの光学系において信号光Cと同種のバックグラウンドノイズ光が発生したとしても、そのバックグラウンドノイズ光は、検出器42により検出されることはなく、したがって、信号光Cを高感度に検出することができる。特に、励起光Aおよび検出光Bそれぞれの試料30への入射方向を互いに対向させたので、光学系の調整が容易である。また、励起光Aおよび検出光Bそれぞれが試料30に照射される位置および照射径を調整できる構成としたので、信号光Cの検出感度が最大となるように励起光Aおよび検出光Bそれぞれを試料30に照射することができ、この点でも信号光Cの検出感度を向上させることができる。さらに、励起光Aおよび検出光Bそれぞれが試料30に照射される位置および照射径を観察するためのカメラ26を設けたので、照射位置および照射径を確認しながら光熱変換分光分析を行うことができる。
【0027】
次に、本発明に係る光熱変換分光分析装置の使用方法の1例について説明する。初めに、分析しようとする試料30を試料ステージ72の上に載置し、ステージ70を移動させて分光分析に好適な位置に試料30を概略配置する。そして、検出光源20から出射された検出光Bを、ビームスプリッタ21、集光レンズ23およびダイクロイックミラー22を経て試料30に照射させるとともに、カメラ26により試料30上の検出光の照射位置および照射径を観察しながら、試料30上の分析すべき位置に検出光Bが適切な照射径で照射されるように、試料ステージ72を移動させて試料30の配置を決める。
【0028】
その後、励起光源10から出射された励起光Aを、チョッパ11、集光レンズ12およびダイクロイックミラー13を経て試料30に照射させるとともに、カメラ26により試料30上の励起光の照射位置および照射径を観察する。また、検出光Bの試料30への照射に伴って生じた信号光Cを、ダイクロイックミラー13、集光レンズ40およびフィルタ41を経て、検出器42により検出し、その検出器42から出力された電流信号をアンプ43により電圧信号に変換し、その電圧信号をロックインアンプ50によりチョッパ11の変調周期に同期して検波し、そのロックインアンプ50からの出力信号をモニタする。そして、ロックインアンプ50からの出力信号が最大になるように、集光レンズステージ71を移動させて集光レンズ12の配置を決め、これにより、励起光Aが試料30に照射される位置および照射径を決定する。
【0029】
以上のようにして試料30に照射される励起光Aおよび検出光Bの相対的位置関係および照射径が決まると、例えば、検出光Bの入射方向と垂直な方向に試料ステージ72により試料30を2次元走査しながら、試料30の位置とともにロックインアンプ50からの出力信号をコンピュータ60に取り込んで、コンピュータ60における演算により試料30の2次元分析を行う。また、例えば、試料30が電気泳動しているものであれば、各時刻におけるロックインアンプ50からの出力信号をコンピュータ60に取り込んで、コンピュータ60における演算により試料30の分析を行う。
【0030】
次に、本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いるのに好適な試料セルについて説明する。
【0031】
試料30を容れる試料セルとしてキャピラリー管を用い、このキャピラリー管内で試料30を電気泳動させながら光熱変換分光分析することも考えられるが、キャピラリー管は、細いために折れ易く取り扱いが困難であり、また、管形状であるために励起光および検出光が散乱し易く照射位置が少しでも動くと信号光検出への影響が大きいという問題点がある。したがって、本発明に係る光熱変換分光分析装置においては、集光レンズステージ71により試料30への励起光照射位置を移動させるだけでなく、試料ステージ72により試料30を移動させるので、このような問題点のあるキャピラリー管を用いるのは適当ではない。そこで、以下に示すようなキャピラリー基板(図2)や試料チャンバ(図3)を用いるのが好適である。
【0032】
図2は、本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いるのに好適なキャピラリー基板の斜視図である。このキャピラリー基板80は、直方体の石英ガラス等の透明材料からなる2枚の透明平板81および82からなる。一方の透明平板81の1面には、断面形状が50μm角程度の細溝81Aがリソグラフィ技術により形成されており、その上に他方の透明平板82が貼り合わされている。また、透明平板82には、試料導入口82Aおよび82Bが適当な距離を隔てて設けられており、透明平板81および82が貼り合わされたときには、これら試料導入口82Aおよび82Bは、細溝81Aへ試料30を導入するための口となる。
【0033】
このキャピラリー基板80が、本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いられるときには、このキャピラリー基板80が試料ステージ72に載置された後、試料30は、試料導入口82Aまたは82Bから細溝81Aに導入され、細溝81A内で電気泳動され、そして、励起光Aはキャピラリー基板80の或る一面に垂直に入射し、検出光Bはその反対側の面に垂直に入射する。したがって、集光レンズステージ71および試料ステージ72それぞれの移動により、励起光Aおよび検出光Bそれぞれがキャピラリー基板80に入射する位置が移動したとしても、励起光Aおよび検出光Bそれぞれは細溝81Aに垂直に入射するので、入射位置に依らず同一条件で光熱変換分光分析を行うことができる。
【0034】
図3は、本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いるのに好適な試料チャンバの説明図であり、図3(a)は、その試料チャンバの斜視図であり、図3(b)は、その試料チャンバの一部品であるスペーサの斜視図である。この試料チャンバ90は、スライドガラス91と、中央部に孔93Aが設けられ且つ適当な距離を隔てて試料口93Bおよび93Cが設けられた上板93とが、スペーサ92を挟んで貼り合わされていて、この上板93の上には孔93Aを覆うようにカバーガラス94が貼られている。スペーサ92は、中央部に円形状の孔92Aが設けられ、さらに、その孔92Aにつながって帯形状の孔92Bおよび92Cが設けられている。そして、スライドガラス91、スペーサ92、上板93、およびカバーガラス94が貼り合わされたときには、上板93の試料口93B、スペーサ92の孔92B,92Aおよび92C、ならびに、上板93の試料口93Cは、この順につながって試料環流経路となる。
【0035】
この試料チャンバ90が、本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いられるときには、試料チャンバ90が試料ステージ72に載置された後、試料30は、試料口93Bまたは93Cから試料環流経路中に導入され、そして、例えば、励起光Aは試料チャンバ90のスライドガラス91の側から垂直に入射し、検出光Bはカバーガラス94の側から垂直に入射する。したがって、集光レンズステージ71および試料ステージ72それぞれの移動により、励起光Aおよび検出光Bそれぞれが試料チャンバ90に入射する位置が移動したとしても、励起光Aおよび検出光Bそれぞれは試料チャンバ90の孔93Aの領域にある観察窓に垂直に入射するので、同一条件で光熱変換分光分析を行うことができる。また、この試料チャンバ90に導入される試料30が細胞等の生体試料である場合には、その試料30はカバーガラス94の内面に付着するので、試料30をその付近で培養しながら光熱変換分光分析を行うこともできる。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、励起光および検出光それぞれの試料への入射方向を互いに対向させるのが光学系調整の観点からは好適ではあるが、本発明は、これに限られるものではなく、励起光および検出光を互いに任意の角度で試料に入射してもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり本発明によれば、励起光源から出力された励起光は、励起光照射光学系により試料に入射されて、試料に熱レンズを生じせしめ、一方、検出光源から出力された検出光は、検出光照射光学系により、励起光の試料への入射光路と略対向する入射光路で試料に入射される。そして、検出光の試料への入射に伴って発生する信号光は、検出器により検出される。したがって、励起光照射光学系において信号光と同種のバックグラウンドノイズ光が発生したとしても、そのバックグラウンドノイズ光は検出器により検出されることはないので、信号光は高感度に検出される。
【0038】
また、励起光および検出光それぞれの試料への入射方向を互いに略対向させたことにより、光学系の調整が容易となる。さらに、試料を容れる試料セルの壁面の一部である第1平板部および第2平板部が互いに平行であって、第1平板部に励起光が垂直入射されるとともに、第2平板部に検出光が垂直入射されるので、励起光または検出光の入射位置が変更されたとしても、その入射位置に依らず同一条件で光熱変換分光分析を行うことができる。また、試料セル内に試料を導入または排出するための試料口が試料セルに設けられている場合には、試料セル内で電気泳動されている試料を分析すること等が可能となる。
【0039】
また、励起光が試料に照射される位置および径の双方または何れか一方を調整する励起光照射調整手段を更に備え、また、検出光が試料に照射される位置および径の双方または何れか一方を調整する検出光照射調整手段を更に備える場合には、励起光および照射光それぞれの試料への照射位置または照射径を調整することができるので、信号光の検出感度が最大となるように光学系を容易に調整することができる。
【0040】
また、励起光および検出光それぞれが試料に照射される位置および径を観察する観察手段を更に備える場合には、実際の分光分析に先立って励起光の試料への照射位置および照射径を調整することができ、また、検出光の試料への照射位置および照射径を確認しながら光熱変換分光分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光熱変換分光分析装置の構成図である。
【図2】本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いるのに好適なキャピラリー基板の斜視図である。
【図3】本発明に係る光熱変換分光分析装置とともに用いるのに好適な試料チャンバの説明図である。
【図4】従来の光熱変換分光分析装置の構成図である。
【符号の説明】
10…励起光源、11…チョッパ、12…集光レンズ、13…ダイクロイックミラー、20…検出光源、21…ビームスプリッタ、22…ダイクロイックミラー、23…集光レンズ、24…ライトトラップ、25…結像レンズ、26…カメラ、30…試料、40…集光レンズ、41…フィルタ、42…検出器、43…アンプ、50…ロックインアンプ、60…コンピュータ、70…ステージ、71…集光レンズステージ、72…試料ステージ、80…キャピラリー基板、90…試料チャンバ、A…励起光、B…検出光、C…信号光。

Claims (5)

  1. 励起光が試料に照射されて形成される熱レンズに検出光を入射させ、前記検出光が前記熱レンズにより発散または偏向されて出力された信号光に基づいて、前記試料の分光分析を行う光熱変換分光分析装置であって、
    互いに平行な第1平板部および第2平板部を壁面に有する試料セルと、
    前記励起光を出力する励起光源と、
    前記検出光を出力する検出光源と、
    前記励起光源から出力された前記励起光を前記試料セルの前記第1平板部に垂直入射させて、該励起光を前記試料セル内の前記試料に入射させる励起光照射光学系と、
    前記励起光の前記試料への入射光路と略対向する入射光路で、前記検出光源から出力された前記検出光を前記試料セルの前記第2平板部に垂直入射させて、該検出光を前記試料セル内の前記試料に入射させる検出光照射光学系と、
    前記検出光の前記試料への入射に伴って発生する前記信号光を検出する検出器と、
    を備えることを特徴とする光熱変換分光分析装置。
  2. 前記試料セル内に前記試料を導入または排出するための試料口が前記試料セルに設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光熱変換分光分析装置。
  3. 前記励起光が前記試料に照射される位置および径の双方または何れか一方を調整する励起光照射調整手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1記載の光熱変換分光分析装置。
  4. 前記検出光が前記試料に照射される位置および径の双方または何れか一方を調整する検出光照射調整手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1記載の光熱変換分光分析装置。
  5. 前記励起光および前記検出光それぞれが前記試料に照射される位置および集光状態を観察する観察手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1記載の光熱変換分光分析装置。
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