JPH08245457A - アルキルフェノール異性体の分離方法 - Google Patents

アルキルフェノール異性体の分離方法

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JPH08245457A
JPH08245457A JP5624395A JP5624395A JPH08245457A JP H08245457 A JPH08245457 A JP H08245457A JP 5624395 A JP5624395 A JP 5624395A JP 5624395 A JP5624395 A JP 5624395A JP H08245457 A JPH08245457 A JP H08245457A
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JP
Japan
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alkylphenol
isomer
ethylphenol
adsorbent
separating
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JP5624395A
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English (en)
Inventor
Miyo Suzuki
美代 鈴木
Masao Morimoto
正雄 森本
Mamoru Ishikawa
守 石川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルキルフェノール異性体混合物中から特定
の異性体を吸着分離する方法において、吸着剤として鉛
を含むフォージャサイト型ゼオライト吸着剤を用いるこ
とを特徴とするアルキルフェノール異性体の分離方法。 【効果】 アルキルフェノール異性体混合物中から、特
定の異性体を、高純度に収率よく分離回収することが可
能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルキルフェノール異性
体混合物中から特定のアルキルフェノール異性体を分離
回収する方法に関する。
【0002】アルキルフェノール異性体は、医薬中間体
や、カラーカップラー、高分子改質剤として、産業界各
方面で利用されている有用な物質である。
【0003】
【従来の技術】アルキルフェノールは、通常、アルキル
ベンゼンをスルフォン化しアルカリ溶融する反応により
合成される。この反応は通常はp−選択的であり、m−
アルキルフェノールを得るには、高温で反応を行い、さ
らにp−アルキルフェノールを選択的に加水分解後アル
カリ溶融する(特公昭58−109435号公報)等、
複雑な工程を要する。またフェノールのアルキル化によ
っても、アルキルフェノールを得ることができるが、こ
の場合は異性体の混合物となる。これらのアルキルフェ
ノール異性体のうち、o−アルキルフェノールは一般的
に蒸留による分離が可能であるが、p−アルキルフェノ
ールとm−アルキルフェノールは沸点が非常にちかいた
め、蒸留により分離することは極めて困難である。
【0004】また、アルキルフェノールはタール酸由来
の天然原料から得ることもできるが、この場合も原料中
には異性体を含む様々な不純物が存在し、特定の異性体
を高純度で得るには、分離工程が不可欠であるが、これ
らの不純物の多くは目的物と沸点が近く、通常の蒸留に
よる分離は困難である。
【0005】特公昭64−3135号公報には、p−お
よびm−エチルフェノールの混合物からp−体を選択的
に脱アルキル化することにより、m−体を得る方法が開
示されている。一方、特公昭61−52129号公報に
はカリウムでイオン交換されたY型ゼオライト(K−
Y)吸着剤を用い、脱着剤としてケトンと脂肪族アルコ
ールとの混合物を用いて、クレゾール、エチルフェノー
ル、キシレノール等のアルキルフェノールを分離する方
法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特公昭61−5212
9号公報には、K−Y吸着剤を用い、脱着剤としてケト
ンと脂肪族アルコールとの混合物を用いるアルキルフェ
ノール類の吸着分離方法が開示されているが、ケトンは
吸着操作中に自己縮合等の反応を起こし、脱着剤の損失
及び分離能の低下の原因となる場合があり、好ましい脱
着剤とはいえない。 一方、K−Y吸着剤による分離に
おいて、脱着剤として脂肪族アルコールを使用する場合
は、炭素数4以上のノルマルアルコールでは脱着力が弱
すぎるため、アルキルフェノール異性体が吸着剤中に残
留し生産性が上がらない。このため、プロパノール等、
より脱着力の強い脱着剤を使用する必要があるが、これ
らは沸点が低いため、拡散速度が小さく、分離効率が上
がらないという問題点がある。 また、特公昭64−3
135号公報の方法では、p−体は脱アルキル化されて
なくなってしまうが、エチルフェノールはp−体,m−
体ともに需要があるため、これは経済的に見て不利であ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルキル
フェノール異性体混合物中から特定の異性体を分離する
方法について鋭意研究し、吸着剤として鉛を含むフォー
ジャサイト型ゼオライト吸着剤を用いて吸着分離するこ
とによってこの分離が可能であることを見出し、本発明
に至った。
【0008】すなわち、本発明は、アルキルフェノール
異性体混合物中から、特定の異性体を吸着分離する方法
において、吸着剤として鉛を含むフォージャサイト型ゼ
オライト吸着剤を用いることを特徴とするアルキルフェ
ノール異性体の分離方法である。
【0009】本発明におけるアルキルフェノール異性体
混合物とは、p−アルキルフェノール、m−アルキルフ
ェノールなどの混合物が用いられ、置換アルキル基とし
てはC1〜C5が好ましく、具体的には、たとえばクレ
ゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチ
ルフェノールなどが挙げられる。アルキルフェノール異
性体混合物中には、本発明の吸着分離の効果を阻害しな
い範囲の少量の副生物、不純物、たとえばキシレノール
などが混入していてもよい。
【0010】本発明方法において使用されるフォージャ
サイト型ゼオライトとは、次式で示される結晶性アルミ
ノシリケートである。
【0011】0.9±0.2M2/n 0:Al2 3 :x
SiO2 :yH2 O ここで、Mはカチオンを示し、nはその原子価を表す。
上式のフォージャサイト型ゼオライトはX型とY型に分
類され、X型はx=2.5±0.5であり、Y型はx=
3〜6で表される。また、yは水和の程度により異な
る。
【0012】本発明で使用する吸着剤は鉛を含むフォー
ジャサイト型ゼオライトである。特に鉛およびカリウム
を含むY型ゼオライトが好ましい。鉛やカリウムなどの
金属は通常、イオン交換されたカチオンの形で存在する
が、これらのカチオンは本発明の効果を阻害しない範囲
でその一部が他のカチオンによって置換されていてもよ
い。
【0013】これらのカチオンはイオン交換法により容
易にゼオライト中に取込まれる。
【0014】カチオンのイオン交換法は結晶性アルミノ
シリケートの製造に関する知識を有する当業者には広く
知られており、通常はゼオライトに加えようとする1種
またはそれ以上のカチオンの可溶性塩の水溶液にそのゼ
オライトを接触させることによって実施されうる。この
接触は必要に応じて数回繰返して行ってもよい。
【0015】本発明の方法を用いたアルキルフェノール
異性体混合物を吸着分離するための技術は、いわゆるク
ロマト分取法であってもよいし、また、これを連続化し
た疑似移動床による吸着分離方法でもよい。
【0016】疑似移動床による連続的吸着分離技術は基
本的操作としては次に示す吸着操作、濃縮操作、脱着操
作を連続的に循環して実施される。
【0017】(1) 吸着操作:アルキルフェノール異性体
混合物がフォージャサイト型ゼオライトの吸着剤と接触
し、弱吸着成分を選択的に残して強吸着成分が吸着され
る。強吸着成分はエクストラクト成分としてあとで述べ
る脱着剤とともに回収される。 (2) 濃縮操作:弱吸着成分を多く含むラフィネートはさ
らに吸着剤と接触させられ強吸着成分が選択的に吸着さ
れて、ラフィネート中の弱吸着成分が高純化される。
【0018】(3) 脱着操作:高純化された弱吸着成分は
ラフィネートとして回収され、一方、強吸着成分は脱着
剤によって吸着剤から追い出され、脱着剤をともなって
エクストラクト成分として回収される。
【0019】このように、本発明によれば、一方の異性
体を破壊することなく、強吸着成分、弱吸着成分の両方
を回収することができる。
【0020】本発明の吸着分離方法に使用する脱着剤あ
るいはクロマト分取に使用する展開剤はアルキルフェノ
ールと容易に蒸留分離できる化合物が使用できるが、水
酸基を有するアルキルフェノールを吸着剤から脱離させ
るためには、脂肪族アルコール、たとえば、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどが好
ましい。
【0021】特に、ブタノール、ペンタノール、ヘキサ
ノール等の炭素数4以上を有する脂肪族アルコ−ルは、
沸点以下の温度で十分な操作温度を得ることができ、好
ましい脱着剤である。
【0022】本発明に関る鉛を含むフォージャサイト型
ゼオライトを吸着剤として用いることにより、脱着剤と
して4以上の炭素数を有する脂肪族アルコールが使用で
きるようになった。
【0023】吸着分離をするための操作条件としては、
温度は室温から350℃、好ましくは50〜250℃で
あり、圧力は大気圧から50kg/cm2 ・G、好ましくは
大気圧から40kg/cm2 ・Gである。本発明による吸着
分離は気相でも液相でもよいが、操作温度を低くして原
料供給物あるいは脱着剤の好ましくない副反応を抑える
ために液相で実施するのが好ましい。
【0024】
【実施例】次に本発明の方法を実施例を挙げて説明す
る。
【0025】実施例では、吸着剤の吸着特性を次式(1)
の吸着選択率(α)をもって表す。
【数1】 ここで、A、Bはアルキルフェノ−ル異性体のどれか1
つを示し、Sは吸着相、Lは吸着相と平衡状態にある液
相を示す。
【0026】吸着選択率(α)が1より大のときA成分
が選択的に吸着され、1より小のときはB成分が選択的
に吸着される。また、上式のαが1より大なる吸着剤
(あるいは1より小さく0に近い吸着剤)ほどAとBの
吸着分離が容易となる。
【0027】実施例1 カチオンサイトにナトリウムを有するY型ゼオライト
(Na−Y)の造粒品を500℃で約1時間焼成した
後、KNO3 の10重量%水溶液に接触させることを7
回繰り返し、カリウムでイオン交換されたY型ゼオライ
トを調製した。これをさらに、0.3当量の鉛を含む、
Pb(NO3 ) 2 水溶液に接触させ、鉛及びカリウムで
イオン交換されたY型ゼオライト吸着剤(PbK−Yと
略記)を得た。この吸着剤約1.6gを、500℃で約
1時間焼成した後、デシケーター中で冷却し、液相混合
物約2.5mlと共に5mlオートクレーブ内に充填し、1
50℃で1時間接触させ放置した。仕込んだ液相混合物
の組成比は、p−エチルフェノール:m−エチルフェノ
ール:1−ブタノール:デカリン=30:70:10
0:10(重量比)であった。デカリンはガスクロマト
グラフィー分析での内標物質として添加したもので、上
記実験条件下では実質的に吸着剤に対し不活性な物質で
ある。吸着剤と接触させた後の液相混合物の組成を分析
し、上記式(1) を用いて吸着選択率αを求めたところ、
α=2.56なる結果を得た。
【0028】実施例2 実施例1で用いた吸着剤、PbK−Yを長さ1m、内径
4.75mmのステンレスカラムに充填し、150℃のオ
イルバス中において脱着剤1−ブタノールを約1.8ml
/min の流量で流した。1−ブタノールを流している状
態で分離原料であるp−エチルフェノール:m−エチル
フェノール:1−ブタノール:デカリン=30:70:
100:10(重量比)からなるエチルフェノール異性
体混合物、約1.6mlをカラム入口に導入した。デカリ
ンは流出時間の基準として使用するものであり、他の成
分と比較してその吸着は事実上無視できる。
【0029】カラム出口から流出してくる液をガスクロ
マトグラフにより分析したところ、導入後約5分後にm
−エチルフェノールが流出しはじめた。さらに定期的に
流出液を分析し、図1に示す流出曲線を得た。
【0030】比較例 吸着剤をカリウムを含むY型ゼオライトとして実施例2
と同様の実験を行ったところ、図2に示す流出曲線を得
た。
【0031】実施例3 p−エチルフェノール76.3%、m−エチルフェノー
ル22.9%、o−エチルフェノール0.53%を含む
エチルフェノ−ル異性体混合物を、PbK−Yを吸着剤
とし1−ブタノールを脱着剤として、図3に示す疑似移
動床吸着分離装置で分離した。脱着剤流量332ml/h
r、フィード流量3.1ml/hr、エクストラクト流量1
65ml/hr、ラフィネート流量35.6ml/hrで、p−
エチルフェノール純度99.4%、m−エチルフェノー
ル純度96%、エチルフェノール回収率99.2%を得
た。
【0032】
【発明の効果】本発明により、アルキルフェノール異性
体混合物中から特定の異性体のみを高純度に収率よく分
離回収することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例2における各成分の流出量の
時間変化を示す図である。
【図2】 本発明の比較例における各成分の流出量の時
間変化を示す図である。
【図3】 本発明の実施例3における疑似移動床吸着分
離装置の概念図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキルフェノール異性体混合物中から
    特定の異性体を吸着分離する方法において、吸着剤とし
    て鉛を含むフォージャサイト型ゼオライト吸着剤を用い
    ることを特徴とするアルキルフェノール異性体の分離方
    法。
  2. 【請求項2】 吸着剤として鉛およびカリウムを含むフ
    ォージャサイト型ゼオライト吸着剤を用いることを特徴
    とするアルキルフェノール異性体の分離方法。
  3. 【請求項3】 フォージャサイト型ゼオライトがY型ゼ
    オライトであることを特徴とする請求項1または2記載
    のアルキルフェノール異性体の分離方法。
  4. 【請求項4】 吸着分離する際に、脱着剤として脂肪族
    アルコールを用いることを特徴とする請求項1、2また
    は3記載のアルキルフェノール異性体の分離方法。
  5. 【請求項5】 炭素数4以上の脂肪族アルコールを用い
    ることを特徴とする請求項4記載のアルキルフェノール
    異性体の分離方法。
  6. 【請求項6】 アルキルフェノール異性体がエチルフェ
    ノール異性体であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項記載のアルキルフェノール異性体の分離方
    法。
  7. 【請求項7】 アルキルフェノール異性体混合物がm−
    エチルフェノールおよびp−エチルフェノールを含むこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のアル
    キルフェノール異性体の分離方法。
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Effective date: 20031224

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