JPH08245264A - 窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス及びその製造方法 - Google Patents
窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス及びその製造方法Info
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- JPH08245264A JPH08245264A JP7048098A JP4809895A JPH08245264A JP H08245264 A JPH08245264 A JP H08245264A JP 7048098 A JP7048098 A JP 7048098A JP 4809895 A JP4809895 A JP 4809895A JP H08245264 A JPH08245264 A JP H08245264A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】窒化珪素をマトリックスとし、この窒化珪素粒
子内及び粒界に窒化チタン,炭化珪素の粒子および/ま
たはウィスカが分散した構造を有する窒化珪素−窒化チ
タン系複合セラミックス。 【効果】安価な原料を用い、1300℃以上の高温でも
優れた強度を有する窒化珪素−窒化チタン系複合セラミ
ックスを提供することができる。
子内及び粒界に窒化チタン,炭化珪素の粒子および/ま
たはウィスカが分散した構造を有する窒化珪素−窒化チ
タン系複合セラミックス。 【効果】安価な原料を用い、1300℃以上の高温でも
優れた強度を有する窒化珪素−窒化チタン系複合セラミ
ックスを提供することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構造用セラミックス材料
として優れた機械的特性を有する窒化珪素セラミックス
に係り、特に、その強度と破壊靭性を共に向上させた窒
化珪素−窒化チタン系複合セラミックスおよびその製造
方法に関する。
として優れた機械的特性を有する窒化珪素セラミックス
に係り、特に、その強度と破壊靭性を共に向上させた窒
化珪素−窒化チタン系複合セラミックスおよびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素は、強度,破壊靭性,耐食性,
耐摩耗性,耐熱衝撃性等においてバランスのとれた特性
を有し、自動車用部材やガスタービン用部材等の高温構
造用部材として研究開発が進められている。しかし、ガ
スタービン用部材等高い信頼性を要求される分野で窒化
珪素セラミックスを使用するためには、強度と共に破壊
靭性の向上をはかることが必要である。
耐摩耗性,耐熱衝撃性等においてバランスのとれた特性
を有し、自動車用部材やガスタービン用部材等の高温構
造用部材として研究開発が進められている。しかし、ガ
スタービン用部材等高い信頼性を要求される分野で窒化
珪素セラミックスを使用するためには、強度と共に破壊
靭性の向上をはかることが必要である。
【0003】このために、これまで、例えば窒化珪素マ
トリックス,炭化珪素ウィスカを分散させる方法(特開
昭62−265173号公報)や窒化珪素中に炭化珪素を均一に
分散させ、窒化珪素を粒成長させて柱状粒子にする方法
(特開昭63−159256号公報)などが提案されている。ま
た、破壊靭性と強度を共に向上させる方法として、窒化
珪素中に微細な窒化チタンを均一に分散させたものがあ
る(特開平5−178668号公報)。これは、母相の窒化珪
素の粒内に熱膨張係数の大きな窒化チタンを分散するこ
とにより、母相結晶粒内に熱膨張係数のミスマッチによ
る残留圧縮応力を発生させ、破壊時の亀裂先端がこの応
力場にかかることにより亀裂の発生及び進展に対する抵
抗が増大して破壊靭性を向上させるとともに、窒化チタ
ン自体はナノメータサイズの微粒子として均一に分散し
ているため欠陥サイズの増大につながらず、破壊靭性と
ともに強度の向上を図ることができる。
トリックス,炭化珪素ウィスカを分散させる方法(特開
昭62−265173号公報)や窒化珪素中に炭化珪素を均一に
分散させ、窒化珪素を粒成長させて柱状粒子にする方法
(特開昭63−159256号公報)などが提案されている。ま
た、破壊靭性と強度を共に向上させる方法として、窒化
珪素中に微細な窒化チタンを均一に分散させたものがあ
る(特開平5−178668号公報)。これは、母相の窒化珪
素の粒内に熱膨張係数の大きな窒化チタンを分散するこ
とにより、母相結晶粒内に熱膨張係数のミスマッチによ
る残留圧縮応力を発生させ、破壊時の亀裂先端がこの応
力場にかかることにより亀裂の発生及び進展に対する抵
抗が増大して破壊靭性を向上させるとともに、窒化チタ
ン自体はナノメータサイズの微粒子として均一に分散し
ているため欠陥サイズの増大につながらず、破壊靭性と
ともに強度の向上を図ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のうち、特開昭62
−265173号公報による方法では、添加するウィスカの凝
集を機械的に完全に取り除くことは困難であるため、こ
れが粗大粒として破壊の起点となり、強度低下をもたら
すという問題点がある。また、特開昭63−159256号公報
による方法では、炭化珪素の割合が少ないと窒化珪素が
柱状粒子になりやすいので破壊靭性の向上が多少見られ
るが、強度の向上は非常に少なく、炭化珪素の割合が多
いと窒化珪素の柱状粒子の生成が抑制され、強度は向上
するものの、破壊靭性値は低下するという問題点があ
る。
−265173号公報による方法では、添加するウィスカの凝
集を機械的に完全に取り除くことは困難であるため、こ
れが粗大粒として破壊の起点となり、強度低下をもたら
すという問題点がある。また、特開昭63−159256号公報
による方法では、炭化珪素の割合が少ないと窒化珪素が
柱状粒子になりやすいので破壊靭性の向上が多少見られ
るが、強度の向上は非常に少なく、炭化珪素の割合が多
いと窒化珪素の柱状粒子の生成が抑制され、強度は向上
するものの、破壊靭性値は低下するという問題点があ
る。
【0005】これに対して、特開平5−178668 号公報の
方法によれば、窒化珪素中に微細な窒化チタンを均一に
分散させることにより強度とともに破壊靭性の向上が可
能であるが、このセラミックスを得るためには、チタン
元素を含む窒化ケイ素の有機前駆体という極めて特殊か
つ高価な原料を使用することが必要であり、またこのセ
ラミックスは、前駆体を熱処理後得られた原料粉末にY
2O3,Al2O3等の焼結助剤を8vol% 添加して作成し
ているが、このように多量の焼結助剤を添加しているた
め、1300℃以上の高温では強度低下を起こすことが
考えられる。
方法によれば、窒化珪素中に微細な窒化チタンを均一に
分散させることにより強度とともに破壊靭性の向上が可
能であるが、このセラミックスを得るためには、チタン
元素を含む窒化ケイ素の有機前駆体という極めて特殊か
つ高価な原料を使用することが必要であり、またこのセ
ラミックスは、前駆体を熱処理後得られた原料粉末にY
2O3,Al2O3等の焼結助剤を8vol% 添加して作成し
ているが、このように多量の焼結助剤を添加しているた
め、1300℃以上の高温では強度低下を起こすことが
考えられる。
【0006】本発明の目的は、安価な原料を用い、13
00℃以上の高温でも優れた強度を有する窒化珪素−窒
化チタン系複合セラミックスを提供することにある。
00℃以上の高温でも優れた強度を有する窒化珪素−窒
化チタン系複合セラミックスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の、本発明の窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス
は、窒化珪素をマトリックスとし、この窒化珪素粒子内
及び粒界に窒化チタン,炭化珪素の粒子および/または
ウィスカが分散した構造を有する窒化珪素−窒化チタン
系複合セラミックスである。この複合セラミックスは、
少なくとも金属珪素粉末と炭化チタン,酸化チタンから
なる成形体を1400℃以下の温度で窒素雰囲気中で加
熱することにより、前記金属珪素粉末が雰囲気ガスと反
応して窒化珪素を生成するとともに、炭化チタン,酸化
チタンが前記金属珪素粉末および/または雰囲気ガスと
反応して窒化チタン,炭化珪素の粒子および/またはウ
ィスカを生成する窒化工程及び、さらに1600〜20
00℃、窒素雰囲気中、無加圧又は加圧下で熱処理を行
うことにより、前記窒化珪素の緻密化を行うとともに、
この緻密化に伴い、前記窒化チタン,炭化珪素の粒子お
よび/またはウィスカを窒化珪素粒子の粒内に取り込む
緻密化工程よりなることを特徴とする。
の、本発明の窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス
は、窒化珪素をマトリックスとし、この窒化珪素粒子内
及び粒界に窒化チタン,炭化珪素の粒子および/または
ウィスカが分散した構造を有する窒化珪素−窒化チタン
系複合セラミックスである。この複合セラミックスは、
少なくとも金属珪素粉末と炭化チタン,酸化チタンから
なる成形体を1400℃以下の温度で窒素雰囲気中で加
熱することにより、前記金属珪素粉末が雰囲気ガスと反
応して窒化珪素を生成するとともに、炭化チタン,酸化
チタンが前記金属珪素粉末および/または雰囲気ガスと
反応して窒化チタン,炭化珪素の粒子および/またはウ
ィスカを生成する窒化工程及び、さらに1600〜20
00℃、窒素雰囲気中、無加圧又は加圧下で熱処理を行
うことにより、前記窒化珪素の緻密化を行うとともに、
この緻密化に伴い、前記窒化チタン,炭化珪素の粒子お
よび/またはウィスカを窒化珪素粒子の粒内に取り込む
緻密化工程よりなることを特徴とする。
【0008】また、複合セラミックスは、窒化チタンの
分散量が5〜30vol% であること及び窒化珪素内に分
散した窒化チタンの平均粒径が1nm以上500nm以
下であることを特徴とする窒化珪素−窒化チタン系複合
セラミックスである。
分散量が5〜30vol% であること及び窒化珪素内に分
散した窒化チタンの平均粒径が1nm以上500nm以
下であることを特徴とする窒化珪素−窒化チタン系複合
セラミックスである。
【0009】
【作用】本発明において、窒化珪素の母相中に微細な窒
化チタン,炭化珪素を均一に分散させるために、原料粉
末として、金属珪素粉末,酸化チタン粉末,炭化チタン
粉末を用いる。これら混合粉末を窒化性雰囲気中で加熱
することにより、金属珪素粉末が雰囲気中の窒素と反応
して窒化珪素を生成するとともに、酸化チタン粉末,炭
化チタン粉末が雰囲気中の窒素と反応して微細な窒化チ
タンを生成する。また、炭化チタンより遊離した炭素の
一部が金属珪素または金属珪素から窒化珪素を生成する
過程で生じた酸化珪素ガスと反応することにより炭化珪
素を生成する。この窒化珪素と微細な窒化チタン及び炭
化珪素からなる焼結体を、更に高温で熱処理を行い窒化
珪素を緻密化することにより、この緻密化に伴い窒化珪
素の粒内外に微細な窒化チタン及び炭化珪素が均一に分
散した窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックスを得る
ことができる。
化チタン,炭化珪素を均一に分散させるために、原料粉
末として、金属珪素粉末,酸化チタン粉末,炭化チタン
粉末を用いる。これら混合粉末を窒化性雰囲気中で加熱
することにより、金属珪素粉末が雰囲気中の窒素と反応
して窒化珪素を生成するとともに、酸化チタン粉末,炭
化チタン粉末が雰囲気中の窒素と反応して微細な窒化チ
タンを生成する。また、炭化チタンより遊離した炭素の
一部が金属珪素または金属珪素から窒化珪素を生成する
過程で生じた酸化珪素ガスと反応することにより炭化珪
素を生成する。この窒化珪素と微細な窒化チタン及び炭
化珪素からなる焼結体を、更に高温で熱処理を行い窒化
珪素を緻密化することにより、この緻密化に伴い窒化珪
素の粒内外に微細な窒化チタン及び炭化珪素が均一に分
散した窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックスを得る
ことができる。
【0010】具体的には、金属珪素粉末,酸化チタン粉
末,炭化チタン粉末及び焼結助剤よりなる混合粉末を、
珪素の融点以下である1400℃まで徐々に加熱するこ
とにより、金属珪素から窒化珪素を生成すると共に、酸
化チタン粉末,炭化チタン粉末の熱分解と窒化反応によ
り微細な窒化チタン及び炭化チタンより遊離した炭素の
一部が金属珪素または金属珪素から窒化珪素を生成する
過程で生じた酸化珪素ガスと反応して炭化珪素を生成
し、窒化珪素と窒化チタン及び炭化珪素よりなる焼結体
を得る。この焼結体を、窒素雰囲気中、1600℃から
2000℃まで無加圧又は加圧下で加熱して窒化珪素の
緻密化を進行させることにより、窒化珪素の母相中に微
細な窒化チタン及び炭化珪素が均一に分散した窒化珪素
−窒化チタン系複合セラミックスを得ることができる。
末,炭化チタン粉末及び焼結助剤よりなる混合粉末を、
珪素の融点以下である1400℃まで徐々に加熱するこ
とにより、金属珪素から窒化珪素を生成すると共に、酸
化チタン粉末,炭化チタン粉末の熱分解と窒化反応によ
り微細な窒化チタン及び炭化チタンより遊離した炭素の
一部が金属珪素または金属珪素から窒化珪素を生成する
過程で生じた酸化珪素ガスと反応して炭化珪素を生成
し、窒化珪素と窒化チタン及び炭化珪素よりなる焼結体
を得る。この焼結体を、窒素雰囲気中、1600℃から
2000℃まで無加圧又は加圧下で加熱して窒化珪素の
緻密化を進行させることにより、窒化珪素の母相中に微
細な窒化チタン及び炭化珪素が均一に分散した窒化珪素
−窒化チタン系複合セラミックスを得ることができる。
【0011】生成する窒化チタンの平均粒径は出発原料
である炭化チタン,酸化チタン及び焼結条件により変化
させることができるが、特に窒化珪素粒子内に存在して
いる窒化チタンの平均粒径は1〜500nmの範囲であ
ることが好ましい。これは1nmより小さいと窒化珪素
粒子内に固溶してしまい、強度や破壊靭性等の機械的特
性の向上に寄与しないためであり、500nmより大き
くなると窒化珪素粒子の粗大化を招き、ひいては強度の
低下を招くためである。
である炭化チタン,酸化チタン及び焼結条件により変化
させることができるが、特に窒化珪素粒子内に存在して
いる窒化チタンの平均粒径は1〜500nmの範囲であ
ることが好ましい。これは1nmより小さいと窒化珪素
粒子内に固溶してしまい、強度や破壊靭性等の機械的特
性の向上に寄与しないためであり、500nmより大き
くなると窒化珪素粒子の粗大化を招き、ひいては強度の
低下を招くためである。
【0012】また、窒化珪素−窒化チタン系複合セラミ
ックス中の窒化チタンの含有量は原料粉末の配合比を変
えることにより任意に変化させることができるが、5〜
6vol%することが好ましく、5〜30vol%とすること
がさらに好ましい。これは、5vol%より少ないと機械
的特性向上に寄与しないためであり、60vol%より多
くなると窒化チタン同士の接触部が生じ、これが破壊の
起点となり強度低下をもたらすためである。
ックス中の窒化チタンの含有量は原料粉末の配合比を変
えることにより任意に変化させることができるが、5〜
6vol%することが好ましく、5〜30vol%とすること
がさらに好ましい。これは、5vol%より少ないと機械
的特性向上に寄与しないためであり、60vol%より多
くなると窒化チタン同士の接触部が生じ、これが破壊の
起点となり強度低下をもたらすためである。
【0013】本発明の窒化珪素−窒化チタン系複合セラ
ミックスは原料に金属Siに酸化チタン粉末,炭化チタ
ン粉末及び焼結助剤を混合した混合粉末を用い、これを
1400℃以下での窒化工程及び、1600〜2000℃で
の緻密化工程の二段焼結を行って作成しているため、前
駆体を熱処理した後に得られた窒化珪素と窒化チタンの
複合粉末を原料として用いた場合に較ベて、Siの窒化
に伴う体積膨張による緻密化の分だけ助剤量を低減する
ことができ、これにより、高温での強度の改善を図るこ
とができる。添加する助剤量は、Al2O3やY2O3など
添加する焼結助剤の種類や無加圧焼結やホットプレス焼
結など焼結方法により異なるため一概に述べることはで
きないが、焼結助剤や焼結条件などが同じ場合、本発明
では、Siの窒化に伴う体積膨張による緻密化を利用し
ていない場合の65%程度の助剤量で、同等の機械的特
性を有するセラミックスを得ることができる。焼結助剤
は、酸化物,炭化物,窒化物,希土類化合物などの焼結
助剤、例えば、Al2O3,Y2O3,BeO,MgO,T
iO2,SiO2,Yb2O3,HfO2,ZrO2,BeS
iN2,AlN,MgAl2O4,MgAl2Oなどを単独
又は複合して用いることができる。
ミックスは原料に金属Siに酸化チタン粉末,炭化チタ
ン粉末及び焼結助剤を混合した混合粉末を用い、これを
1400℃以下での窒化工程及び、1600〜2000℃で
の緻密化工程の二段焼結を行って作成しているため、前
駆体を熱処理した後に得られた窒化珪素と窒化チタンの
複合粉末を原料として用いた場合に較ベて、Siの窒化
に伴う体積膨張による緻密化の分だけ助剤量を低減する
ことができ、これにより、高温での強度の改善を図るこ
とができる。添加する助剤量は、Al2O3やY2O3など
添加する焼結助剤の種類や無加圧焼結やホットプレス焼
結など焼結方法により異なるため一概に述べることはで
きないが、焼結助剤や焼結条件などが同じ場合、本発明
では、Siの窒化に伴う体積膨張による緻密化を利用し
ていない場合の65%程度の助剤量で、同等の機械的特
性を有するセラミックスを得ることができる。焼結助剤
は、酸化物,炭化物,窒化物,希土類化合物などの焼結
助剤、例えば、Al2O3,Y2O3,BeO,MgO,T
iO2,SiO2,Yb2O3,HfO2,ZrO2,BeS
iN2,AlN,MgAl2O4,MgAl2Oなどを単独
又は複合して用いることができる。
【0014】本発明において、金属珪素,酸化チタン粉
末,炭化チタン粉末の窒化処理は珪素の融点以下の温度
で行うことが必要であり、望ましくは1400℃以下で
行うことが好ましい。これは珪素の融点以上まで加熱す
ると金属珪素が溶融し、窒化工程で窒化珪素の生成反応
が完全に進行しないためである。またその後に行う緻密
化工程は1600〜2000℃の温度範囲で行うことが
望ましい。これは1600℃より低い温度では窒化珪素の緻
密化が十分に行われないためであり、2000℃以上で
は窒化珪素の分解気化反応が起こり緻密化が阻害される
ためである。
末,炭化チタン粉末の窒化処理は珪素の融点以下の温度
で行うことが必要であり、望ましくは1400℃以下で
行うことが好ましい。これは珪素の融点以上まで加熱す
ると金属珪素が溶融し、窒化工程で窒化珪素の生成反応
が完全に進行しないためである。またその後に行う緻密
化工程は1600〜2000℃の温度範囲で行うことが
望ましい。これは1600℃より低い温度では窒化珪素の緻
密化が十分に行われないためであり、2000℃以上で
は窒化珪素の分解気化反応が起こり緻密化が阻害される
ためである。
【0015】本発明において、成形用バインダを、好ま
しくは5〜30重量部添加し、成形体の粒子体積充填率
を50%以上とするのが好ましい。なお、成形用バイン
ダとしてはポリビニールアルコール,ポリビニールエー
テル,ポリエチレングリコール,ポリエチレンオキサイ
ド,メチルセルロース,カルボキシルメチルセルロー
ス,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,エチルセル
ロース,ヒドロキシルエチルセルロース,ポリビニール
ピロリドン,イソブチレン−無水マレイン酸共重合体,
ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−酢酸ビニー
ル共重合体,エチレン−アクリレート共重合体,アイオ
ノマー樹脂,塩酸ビニール樹脂,塩化ビニリデン樹脂,
ポリスチレン,スチレン−メチルメタクリレート共重合
体,酢酸ビニール樹脂,ポリビニルアセタール,ポリビ
ニルホルマール,ポリビニルブチラール,ポリメタクリ
ル酸エステル,フェノール樹脂,パラフィン,マイクロ
リスタリンワックスなどの有機高分子化合物やシリコン
イミド化合物やポリシラン化合物などの有機Si高分子
化合物などを用いることができるが、これらに限定され
るものではない。また成形方法は、射出成形,プレス成
形,静水圧加圧成形,押出し成形,鋳込み成形,金型粉
末成形,スリップキャスティング成形などより形状と要
求特性に応じて成形方法を選択することができるが、こ
れらに限定されるものではない。
しくは5〜30重量部添加し、成形体の粒子体積充填率
を50%以上とするのが好ましい。なお、成形用バイン
ダとしてはポリビニールアルコール,ポリビニールエー
テル,ポリエチレングリコール,ポリエチレンオキサイ
ド,メチルセルロース,カルボキシルメチルセルロー
ス,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,エチルセル
ロース,ヒドロキシルエチルセルロース,ポリビニール
ピロリドン,イソブチレン−無水マレイン酸共重合体,
ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−酢酸ビニー
ル共重合体,エチレン−アクリレート共重合体,アイオ
ノマー樹脂,塩酸ビニール樹脂,塩化ビニリデン樹脂,
ポリスチレン,スチレン−メチルメタクリレート共重合
体,酢酸ビニール樹脂,ポリビニルアセタール,ポリビ
ニルホルマール,ポリビニルブチラール,ポリメタクリ
ル酸エステル,フェノール樹脂,パラフィン,マイクロ
リスタリンワックスなどの有機高分子化合物やシリコン
イミド化合物やポリシラン化合物などの有機Si高分子
化合物などを用いることができるが、これらに限定され
るものではない。また成形方法は、射出成形,プレス成
形,静水圧加圧成形,押出し成形,鋳込み成形,金型粉
末成形,スリップキャスティング成形などより形状と要
求特性に応じて成形方法を選択することができるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)平均粒径1.0μmの金属Si粉末と,金
属炭化物として平均粒径0.5μmのTiC粉末,金属
酸化物として平均粒径0.1μmのTiO2粉末に、焼結
助剤としてY2O3,Al2O3を2wt%ずつ加え、エタ
ノールと一緒に、ボールミルで50時間混合して混合粉
末を作製した後、この混合粉末より直径60mm,厚さ1
0mmの成形体を金型成形法により作製した。成形体より
バインダ分を除去した後、N2 ガス中で1100℃から
1400℃まで0.1℃/minで加熱し、金属Si粉末及
びTiC,TiO2 の窒化処理を行った。なお、145
0℃まで加熱して窒化処理を行った場合、Siの一部が
溶融し、Siが完全窒化しなかった。この窒化処理後、
N2 ガス中、圧力8.5ton,1800℃,1時間の条件
でホットプレス処理を行い、微細なTiN粒子,SiC
粒子が窒化珪素マトリックスの粒内および/または粒界
に均一に分散した窒化珪素−窒化チタン系複合セラミッ
クスを得た。なお、1550℃でホットプレス処理を行
った場合、処理温度が低すぎて充分に緻密化しなかっ
た。また、2050℃でホットプレス処理を行った場
合、窒化珪素の一部が分解昇華して緻密なセラミックス
が得られなかった。得られた焼結体より4mm×3mm×4
0mmの曲げ試験片を作製し、4点曲げ試験およびSEP
B法による破壊靭性値の測定を行った。その結果を表1
に示す。
属炭化物として平均粒径0.5μmのTiC粉末,金属
酸化物として平均粒径0.1μmのTiO2粉末に、焼結
助剤としてY2O3,Al2O3を2wt%ずつ加え、エタ
ノールと一緒に、ボールミルで50時間混合して混合粉
末を作製した後、この混合粉末より直径60mm,厚さ1
0mmの成形体を金型成形法により作製した。成形体より
バインダ分を除去した後、N2 ガス中で1100℃から
1400℃まで0.1℃/minで加熱し、金属Si粉末及
びTiC,TiO2 の窒化処理を行った。なお、145
0℃まで加熱して窒化処理を行った場合、Siの一部が
溶融し、Siが完全窒化しなかった。この窒化処理後、
N2 ガス中、圧力8.5ton,1800℃,1時間の条件
でホットプレス処理を行い、微細なTiN粒子,SiC
粒子が窒化珪素マトリックスの粒内および/または粒界
に均一に分散した窒化珪素−窒化チタン系複合セラミッ
クスを得た。なお、1550℃でホットプレス処理を行
った場合、処理温度が低すぎて充分に緻密化しなかっ
た。また、2050℃でホットプレス処理を行った場
合、窒化珪素の一部が分解昇華して緻密なセラミックス
が得られなかった。得られた焼結体より4mm×3mm×4
0mmの曲げ試験片を作製し、4点曲げ試験およびSEP
B法による破壊靭性値の測定を行った。その結果を表1
に示す。
【0017】
【表1】
【0018】また比較のためにSiに焼結助剤のみを添
加したTiC,TiO2 無添加材も比較のために作成し
た。これより、本発明材はTiN量が5〜60vol% 、
特に5〜30vol% で室温及び高温で比較材に比べて優
れた機械的特性を有することが判る。なお、1400℃
での窒化処理後、N2 ガス中、1750℃,5時間の条
件で無加圧焼結を行った場合にも、同等の特性を有する
複合セラミックスを得ることができた。
加したTiC,TiO2 無添加材も比較のために作成し
た。これより、本発明材はTiN量が5〜60vol% 、
特に5〜30vol% で室温及び高温で比較材に比べて優
れた機械的特性を有することが判る。なお、1400℃
での窒化処理後、N2 ガス中、1750℃,5時間の条
件で無加圧焼結を行った場合にも、同等の特性を有する
複合セラミックスを得ることができた。
【0019】(実施例2)複合セラミックス中のTiN
量が10vol%となるようにSi,TiC,TiO2を配合
した混合粉末でTiC,TiO2の粒径を変化させること
により、TiNの平均粒径を変化させた焼結体を実施例
1と同様にして作製し、室温での強度及び靭性を測定し
た。その結果を表2に示す。
量が10vol%となるようにSi,TiC,TiO2を配合
した混合粉末でTiC,TiO2の粒径を変化させること
により、TiNの平均粒径を変化させた焼結体を実施例
1と同様にして作製し、室温での強度及び靭性を測定し
た。その結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】表2に示すように、TiNの平均粒径が5
00nmより大きくなると機械的特性が著しく低下し複
合化の効果がないことが判る。
00nmより大きくなると機械的特性が著しく低下し複
合化の効果がないことが判る。
【0022】
【発明の効果】本発明により、安価な原料を用い、13
00℃以上の高温でも優れた強度を有する窒化珪素−窒
化チタン系複合セラミックスを提供することができる。
00℃以上の高温でも優れた強度を有する窒化珪素−窒
化チタン系複合セラミックスを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢井 裕一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】窒化珪素をマトリックスとし、前記窒化珪
素の粒子内及び粒界に窒化チタン,炭化珪素の粒子およ
び/またはウィスカが分散した構造を有する窒化珪素−
窒化チタン系複合セラミックス。 - 【請求項2】請求項1において、少なくとも金属珪素粉
末と炭化チタン,酸化チタンからなる成形体を1400
℃以下の温度で窒素雰囲気中で加熱することにより、前
記金属珪素粉末が雰囲気ガスと反応して窒化珪素を生成
するとともに、炭化チタン,酸化チタンが前記金属珪素
粉末および/または雰囲気ガスと反応して窒化チタン,
炭化珪素の粒子および/またはウィスカを生成する窒化
工程及び、さらに1600〜2000℃,窒素雰囲気中、無
加圧又は加圧下で熱処理を行うことにより、前記窒化珪
素の緻密化を行うとともに、この緻密化に伴い、前記窒
化チタン,炭化珪素の粒子および/またはウィスカを窒
化珪素粒子の粒内に取り込む緻密化工程よりなる窒化珪
素−窒化チタン系複合セラミックスの製造方法。 - 【請求項3】請求項1において、窒化チタンの分散量が
5〜30vol% である窒化珪素−窒化チタン系複合セラ
ミックス。 - 【請求項4】請求項1において、前記窒化珪素内に分散
した窒化チタンの平均粒径が1nm以上500nm以下
である窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7048098A JP2658944B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7048098A JP2658944B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08245264A true JPH08245264A (ja) | 1996-09-24 |
JP2658944B2 JP2658944B2 (ja) | 1997-09-30 |
Family
ID=12793850
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7048098A Expired - Fee Related JP2658944B2 (ja) | 1995-03-08 | 1995-03-08 | 窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2658944B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007290939A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-11-08 | Kyocera Corp | 装飾部品用セラミックス |
CN117263662A (zh) * | 2023-11-21 | 2023-12-22 | 山东耐材集团鲁耐窑业有限公司 | 一种低内应力干熄焦柱部砖及其制备方法 |
-
1995
- 1995-03-08 JP JP7048098A patent/JP2658944B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007290939A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-11-08 | Kyocera Corp | 装飾部品用セラミックス |
CN117263662A (zh) * | 2023-11-21 | 2023-12-22 | 山东耐材集团鲁耐窑业有限公司 | 一种低内应力干熄焦柱部砖及其制备方法 |
CN117263662B (zh) * | 2023-11-21 | 2024-02-27 | 山东耐材集团鲁耐窑业有限公司 | 一种低内应力干熄焦柱部砖及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2658944B2 (ja) | 1997-09-30 |
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