JPH08245242A - コーティング方法及びコーティング用溶液 - Google Patents

コーティング方法及びコーティング用溶液

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JPH08245242A
JPH08245242A JP19115695A JP19115695A JPH08245242A JP H08245242 A JPH08245242 A JP H08245242A JP 19115695 A JP19115695 A JP 19115695A JP 19115695 A JP19115695 A JP 19115695A JP H08245242 A JPH08245242 A JP H08245242A
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titanium
boron
film
soln
solution
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JP19115695A
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Satoru Yamamoto
哲 山本
Tatsuaki Oda
達明 小田
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Ishizuka Glass Co Ltd
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Ishizuka Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温で基材と原料物質とを接触させることを
可能にし、更に均一な温度雰囲気で焼成することで耐ア
ルカリ膜を容易に得ることを可能にするものである。 【構成】 有機溶液中にチタン化合物と硼素化合物を
0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<1となるように調整
し、その溶液を基材に塗布し、その後、200℃〜60
0℃の温度で5分〜60分焼成することを特徴とするコ
ーティング方法及びそのためのコーティング用溶液、ま
たそれによって生成された膜に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス、陶器等の耐熱
性基材の表面に塗布するためのコーティング方法及びそ
の溶液に関するものであって、特には耐アルカリ性を向
上させたコーティング膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ガラス、陶器等の耐熱性基材
の製品本来の強度を更に向上させるため、あるいは前記
製品の表面に直接傷が付くのを防止するために、表面に
コーティング処理を施すことが広く行われている。それ
に加えて、耐熱性基材は様々な分野で利用されているた
め、その表面処理技術は重要であって、種々の膜特性が
求められており、特に耐アルカリ性を向上させることが
重要視されるようになってきた。
【0003】一番多く行われている方法として第一に挙
げられるのが、四塩化スズ、有機スズ、四塩化チタン、
有機チタンを主成分とする溶液を、成形直後のまだ高温
状態にあるガラス、陶器等の耐熱性基材に吹き付け、前
記溶液成分を加熱蒸発させて得られる蒸気を表面に接触
させ、加熱分解反応により耐加傷性、耐アルカリ性を有
する物質としては優れた酸化スズ、酸化チタン膜を形成
するCVD法と呼ばれるものであった。
【0004】その例として、特開平3−131547号
公報には外表面温度が550℃〜700℃の基材にSn
2 又はTiO2 を主成分とする膜を形成しうる原料
(例えば、SnCl4 、SnCl2 (CH32 等)を
接触させて、耐アルカリ性コーティング膜を得るものが
開示されている。
【0005】しかし、この方法では、膜の厚みが工程時
の基材温度に左右されやすく不安定であり、また、工程
が高温での反応であるために、気体の原料しか利用でき
ず、その上、成形直後にしか工程を組み込めないという
欠点を有していた。基材がガラスの場合には、表面温度
を上げれば、一般には膜厚が厚くなることが知られてお
り、これにより耐アルカリ性、耐擦傷性を向上させると
いう目的はより達成することができるが、その一方であ
まり高くなりすぎると徐冷工程を終えるまでに製品自体
が自重や外的要因により変形しやすくなるという問題を
有していた。加えて、コーティング工程における副生成
物として、HCl等の発生があり、そのために装置等の
腐食が起こりやすいという欠点を有していた。一方で、
SnO2又はTiO2 の単体では、膜としてのSF値
(スクラッチフォースの値の略でスベリ値ともいい、以
下も同様とする)が低く、傷が発生しやすい等種々の問
題を有していた。
【0006】この他に蒸着法としては、PVD法も行わ
れ、また、組成物を塗布し、これを焼成すると塗布式製
膜法も知られているが、これらのコーティング膜は、い
ずれも硬度が不十分であったり、膜が剥離しやすかった
り、またあるいは均一塗布が困難であったりして、これ
らを解決するより優れたコーティング膜の開発が望まれ
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記問題点を解決し、耐アルカリ性、耐加傷性、撥水性に
優れた膜であって且つ、低温で基材と原料物質とを接触
させることを可能にし、更に均一な温度雰囲気で焼成す
ることで膜厚制御が容易に行うことができ、また、製品
の成形工程とは別にコーティングの工程を組み込むこと
ができるため、市販に出回った製品に対しても、耐アル
カリ膜を形成することも可能にしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のコーティング方
法は、有機溶液中にチタン化合物と硼素化合物を0.0
1<〔硼素〕/〔チタン〕<1となるように調整し、そ
の溶液を基材に塗布し、その後、200℃〜600℃の
温度で5分〜60分焼成することを特徴とするものであ
り、好ましくは基材がガラスであることを特徴とするも
のである。
【0009】さらに第二の発明としてのコーティング用
溶液は、有機溶液中にチタン化合物と硼素化合物を0.
01<〔硼素〕/〔チタン〕<1であり、溶液全体の
〔チタン〕濃度が0.1M〜1.0Mであることを特徴
とするものである。
【0010】そして、第三の発明としてコーティング膜
は、チタン及び硼素の酸化物であり、その比が0.01
<〔硼素〕/〔チタン〕<1であり、膜厚が80Å〜2
500Åであることを特徴とし、80℃における4重量
%苛性ソーダ水溶液に浸漬した際の剥離時間が、4時間
以上であることを特徴とするものである。
【0011】ここで、〔硼素〕、〔チタン〕とは、それ
ぞれ硼素、チタン原子のモル数を表したものであり、
〔硼素〕/〔チタン〕は、そのモル比を表している。そ
して、膜は硼素酸化物がチタン酸化物の間を埋めたよう
な構造を形成するため、この比が特定のものである必要
があるのである。即ち、この比が0.01以下である
と、チタン酸化物の結晶化が進行し、基材との密着性が
小さくなるためであり、逆に1以上であると、膜の緻密
性の低下を招き、その上、生成膜表面に硼素酸化物が析
出し、これがアルカリ成分によって溶出するため、耐ア
ルカリ性を低下させることになるからである。そしてよ
り好ましくは、0.2<〔硼素〕/〔チタン〕<0.4
がよい。
【0012】本発明で用いられるチタン化合物として挙
げられるのは、TTIP(チタンテトライソプロポキシ
ド;Ti(O−CH(CH324 ),Ti(O−C
374 (チタンテトラプロポキシド),Ti(O−
254 (チタンテトラエトキシド),Ti(O−
474 (チタンテトラブトキシド)等のアルコキ
シド、酢酸チタン,チタンアセチルアセトナート,シュ
ウ酸チタン等の有機チタン化合物、硫酸チタン,硝酸チ
タン,硫化チタン等の無機チタンである。一方で、硼素
化合物として挙げられるのは、H3 BO3 ,B23
HBO2 等の硼素酸化水和物、硼素エトキシド,硼素メ
トキシド等の硼素アルコキシド、(CH33 CNH2
・BH3 ,C65 N(C252 ・BH3 ,(CH
32 NH・BH3 ,(CH32 S・BH3 ,C5
5 N・BH3 ,C45 O・BH3 ,(C253
・BH3 ,(CH33 N・BH3 等のボランアミン錯
体である。また、溶媒は、メタノール、エタノール、プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、2−メトキシエタノール、アセチルアセトン
等を用いることができる。
【0013】本発明で用いられる塗布法は、ディップ
法、スプレー法、スピンナー法、筆塗り等いずれの方法
でも行うことができるが、より均一に塗布できるという
点では、ディップ法が好ましい。
【0014】そして、塗布された基材を焼成することに
より、硬い透光性薄膜を得ることができる。この時の焼
成温度は、コーティングされる基材の材料及びコーティ
ング溶液の組成によっても異なるが、200℃以上が適
しており、200℃〜600℃がよい。600℃以上で
あると、基材と膜との反応により膜質が低下し、チタン
酸化物の結晶化の進行及び硼素酸化物成分の表面析出が
起こってしまい、基材と膜の密着性が低下し、その結果
として耐アルカリ性の低下及びSF値の低下が起こるた
めである。反対に200℃以下であると、有機成分が消
失しにくくなり、これがコーティング膜中に残り、耐ア
ルカリ性の向上が見られないからである。より好ましく
は、350℃〜500℃がよい。
【0015】また、焼成時間は、5分〜60分がよい。
これは、焼成時間が5分より短いと焼成温度が低い場合
の理由と同様に有機成分が消失しにくくなるためであ
り、60分より長い場合には、焼成温度が600℃以上
と高くした場合と同様の不都合を生じるためである。よ
り好ましくは、10分〜20分行うのが適している。
【0016】基材は、ガラスが一番好ましく、ガラス以
外にも陶器、磁器、その他金属酸化物であるセラミック
ス等の無機材料に応用可能である。また、無機材料以外
にも焼成温度で熱分解や溶液と反応を起こさない材料な
らば全てに適用できるものである。
【0017】コーティング用溶液の〔チタン〕濃度は
0.1M〜1.0Mである必要がある。0.1M以下で
あると、1回のコーティング操作では膜厚が薄く、所定
の耐アルカリ性が得られないからであり、1.0M以上
であると、膜の厚みが必要以上に大きくなり、熱膨張係
数の差により膜にクラックが入り、SF値の低下を招く
とともに、焼成後に有機成分が残り、透明性も悪くなる
からである。より好ましくは0.3M〜0.7Mがよ
い。
【0018】コーティング膜における膜厚は80Å〜2
500Åである必要がある。80Å以下であると、所定
の耐アルカリ性を得ることができないからであり、逆に
2500Å以上であると、膜にクラックが入りやすく、
また透明性が損なわれるとともに、これ以上の耐アルカ
リ性の向上が期待できないからである。望ましくは、4
00Å〜1000Åがよい。
【0019】耐アルカリ性の標準的な試験方法として、
80℃における4重量%苛性ソーダ水溶液に浸漬した際
の剥離時間によって表す方法がある。本願発明では、こ
の剥離時間が4時間以上である。更に膜厚が400Å〜
1000Åで〔硼素〕/〔チタン〕が0.2〜0.4の
場合には、30時間以上に延びる。
【0020】
【作用】本願発明では、コーティング方法としてゾルゲ
ル法を用いている。即ち、溶液を基材に塗布した後、空
気中で加水分解させ、特定温度まで加熱して無機酸化物
に変えているため、低温で工程を行うことができ、原料
は溶液を用いることができる。
【0021】そして、化学作用を特定することは難しい
ことであるが、本発明では、耐加傷性向上の大きな要素
として、硼素の関与を挙げることができる。耐加傷性に
対しては、硼素が含有されることにより、チタンの一様
な非晶質化を招き、SF値を向上させ、耐アルカリ性に
対しては、硼素を添加することで、基材とチタンとの密
着性を向上させて、アルカリ浸漬によるチタン酸化物膜
の剥離を防止するためである。即ち、硼素酸化物がチタ
ンの酸化物の間を埋めるために表面を均一に、また滑ら
かにし、耐加傷性が向上すると考えている。そして、活
性化がアップし、その結果コーティング膜の硬化に作用
しているのである。それに加えて膜がアモルファス構造
であるため、撥水性を示すこととなる。
【0022】また、膜厚は濃度によってほぼ比例するた
め、それによって、また塗布の方法によってその制御が
容易に可能となる。その上、低温で、かつ溶液から成膜
することで、市販に出回った製品に対しても成膜が可能
である。
【0023】
【実施例】以下に本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。 (実施例1)任意の濃度のTTIP溶液(溶媒:エタノ
ール+Tiに対してアセチルアセトン2倍モル)及びこ
の液にモル比で〔硼素〕/〔チタン〕=1/3となるよ
うにH3 BO3 を添加した溶液に、ガラス基材を浸漬
し、150mm/minで引き上げたのち、450℃で
15分間焼成した時の膜厚を測定し、チタンのみの溶液
と比較した。なお、膜厚測定は、表面粗さ計タリサーフ
5型(テーラーホブソン社製)のもので実施した。表1
にその結果を示す。
【0024】
【表1】
【0025】1回のコートによる膜厚は、濃度に比例し
ていることが示された。それによって、膜厚の制御が容
易である。また、硼素添加の影響も受けていないことが
判る。
【0026】(実施例2)TTIP溶液(溶媒:エタノ
ール+Tiに対してアセチルアセトン2倍モル)を任意
の濃度に調整し、モル比で〔硼素〕/〔チタン〕=1/
4となるようにHBO2 を添加した溶液に、ガラス基材
を浸漬し、引き上げスピードを任意に設定したのち、実
施例1と同様の方法で膜厚測定を実施した。その結果を
表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】引き上げスピードでも膜厚は左右され、制
御が可能である。但し、高速では、濃度に対する比例関
係が失われやすくなる。引き上げスピードの好ましい範
囲は、100〜300mm/minであることが確認で
きた。
【0029】(実施例3)TTIP1.0M溶液(溶
媒:エタノール溶媒,Tiに対してアセチルアセトン2
倍モル)にH3 BO3 を任意の割合で添加し、DTAを
用いてチタン酸化物の結晶化温度を測定した。その結果
を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】これにより硼素の添加で結晶化温度が上昇
し、生成物のアモルファス化が進むことが確認できる。
【0032】(実施例4)TTIP1.0M溶液(溶
媒:エタノール溶媒,Tiに対してアセチルアセトン2
倍モル)にH3 BO3 を加え、この液にモル比で〔硼
素〕/〔チタン〕=1/3となるように調整した。この
溶液を5℃/minで昇温し、それぞれの温度で取り出
し、20μmの粒径にしたのち、X線回折を取った。そ
のデータを図1に示す。Bの添加による結晶化の遅れを
見ることができる。
【0033】また、実施例3、4の結果から、硼素の添
加でチタン酸化物の非晶質化(アモルファス化)が進ん
でいることが判る。これは、チタン酸化物の中に硼素酸
化物が入り込み、結晶化を抑制したためである。更に、
硼素酸化物がチタン酸化物の中に入り込むことで表面の
平滑化を招き、SF値が向上すると考えることができ
る。
【0034】(実施例5)TTIP溶液(溶媒:アセチ
ルアセトン)0.5Mにモル比で〔硼素〕/〔チタン〕
が任意の割合になるようにH3 BO3 を添加した溶液
に、ガラス壜を浸漬し、150mm/minで引き上げ
たのち、450℃で15分間焼成した時のSF値を、以
下のように測定した。なお、膜厚は、約750Åのもの
を用いた。図2に示すような擦傷抵抗試験装置を用意
し、下方の試料壜1bを平滑な保持台2上に、ストッパ
ー3により固定し、上方の試料びん1aを直角に重ね、
上方より指定された荷重を加えながら、それぞれの壜1
a、1bの軸に対して45度の方向で水平に毎分8cm
を越えない速度で上方の試料壜1aを移動させたとき、
傷がつくか否かを試験する。複数段階の荷重を台ばかり
4により指定し、水準ごとに上下の試料壜1a、1bの
接触面を変え、順次水準を上げて同様に傷がつくか否か
を試験する。なお、表示は、3回以上の測定値を平均し
て、荷重値として表示した。その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】硼素の添加によりSF値は、向上し、その
結果、耐加傷性も向上することとなった。また、従来の
化学蒸着法(CVD)で作成されたSnO2 膜よりも高
いSF値を得ることができた。
【0037】(実施例6)TTIP溶液(溶媒:イソプ
ロピルアルコール)0.5M溶液にTiに対して2−メ
トキシエタノール2倍モル加え、更にモル比で〔硼素〕
/〔チタン〕=0.25となるようにH3 BO3 を添加
した溶液をガラス壜にコーティングし、450℃で焼成
した。その後にAGR社製のラインシミュレーターを使
用し、湿式で0〜5分間加傷し、耐内圧強度の測定を行
った。その結果を表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】SF値の上昇により、未コート壜に比較
し、ラインシミュレータの加傷による耐内圧強度の劣化
を防止することができる。又、SnO2 コートよりもそ
の劣化防止性能がすぐれる。すなわち、耐加傷性にすぐ
れる。
【0040】(実施例7)TTIP溶液(溶媒:エタノ
ール+Tiに対しアセチルアセトン1倍モル)0.35
M溶液にモル比で〔硼素〕/〔チタン〕=0.25とな
るようにH3 BO3 を添加した後、ガラスタンブラーの
口天部に塗布し、470℃で15分間焼成工程を行っ
た。このタンブラーの強度を比較するために図3に示す
ように口部の径が最大径の形状の2個のタンブラー10
を口天を上向きにして振動試験機の振動盤11上に固定
された鉄製の枠12の内側に並べて載せ、カム方式で振
幅20mmで毎分375サイクルの振動を加え、互いに
ぶつかりあって一方のタンブラーが破損(口部の小さな
カケ等を含む)するまでの時間を測定した。その結果を
表6に示す。尚、測定は10回行った平均値を取った。
【0041】
【表6】
【0042】コーティングによりSF値が向上し、振動
によりタンブラー外面傷を少なくし、又、スベリにより
衝撃力を緩和させ、破壊に至る時間を遅らせたものであ
る。Ti−Bコートで約6倍の強度が向上することがわ
かる。
【0043】(実施例8)TTIP溶液(溶媒:2−メ
トキシエタノール)0.5M溶液にモル比で〔硼素〕/
〔チタン〕=0.4となるようにH3 BO3 を添加した
後、スライドガラスに150mm/minでディップコ
ートした後、任意の温度で焼成を実施した。その後、こ
の基材をNaOH4%、80℃溶液に4時間浸漬し、そ
の時の膜の様子を観察した。そして、その結果を◎が3
0時間の浸漬でも膜に変化なし、○が膜に変化なし、△
がわずかに剥離(白化)、×が完全に剥離(白化)の4
段階で表7に表した。
【0044】
【表7】
【0045】硼素の添加により膜の密着性の向上が認め
られ、高温500℃での耐アルカリ性を向上させること
が可能となった。また、合わせてアモルファス化の推進
による膜の均一化も確認できたこととなる。高温域で
は、チタン酸化物の結晶化が起こり、耐アルカリ性が低
下し、低温域では、有機成分が残留し、膜質の低下が確
認された。
【0046】(実施例9)TTIP溶液(溶媒:イソプ
ロピルアルコール+Tiに対してアセチルアセトン1〜
2倍モル)0.5M溶液にモル比で〔硼素〕/〔チタ
ン〕=0〜1.0となるようにH3 BO3 を添加した
後、ガラス基材上に150mm/minで引き上げ、4
50℃で15分間焼成し、この基材をNaOH4%、8
0℃溶液に4時間浸漬し、その時の膜の様子を観察し
た。その結果を、実施例8と同様の表示方法で表8に表
した。
【0047】
【表8】
【0048】硼素の添加により耐アルカリ性が向上して
いることが確認でき、とくに〔硼素〕/〔チタン〕=
0.33、0.4では、30時間浸漬でもコーティング
膜に変化は見られなかった。
【0049】(実施例10)TTIP溶液(溶媒:エタ
ノール+Tiに対してアセチルアセトン1倍モル)0.
35M溶液にモル比で〔硼素〕/〔チタン〕=0.3と
なるようにH3 BO3 を添加した後、スライドガラスに
100mm/minでディップコートした後任意の温度
で焼成を実施した。コーティングした基材を水に浸漬
し、引き上げ、撥水性を目視により観察した。その結果
を、表9に表した。
【0050】
【表9】
【0051】焼成温度が400℃、500℃のものは、
膜がアモルファスであるため撥水性があり、620℃で
は結晶化(アナターゼ)のために撥水性がなくなってし
まうと思われる。コーティング膜を例えば、自動車の窓
ガラスに施した場合、視確性の面からも撥水性は有利で
あり、また、汚れも落ちやすいという利点がある。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコーティ
ング溶液ならびにその溶液によって形成された膜は、ガ
ラス、陶器等の耐熱性製品の表面に均一に塗布すること
ができるものであり、耐アルカリ性の高いコーティング
膜を形成することができることの他に製品の強度アッ
プ、撥水性の向上も図ることができる。また、膜厚の制
御も容易であり、コーティング工程を製品の成形工程と
は別にコーティング工程を組み込むことができるため、
市販に出回った製品に対しても成膜することができるよ
うになった。加えて、従来のCVD法による膜と比較し
て低温でコーティングを行うことができるので、液体の
原料を使用することができ、保存及び扱いやすさの面で
も非常に有利である。よって、従来の問題点を解決した
コーティング膜として産業の発達に寄与するところは極
めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4におけるX線回折を取ったものであ
る。
【図2】実施例5において用いた擦傷抵抗試験装置を示
したものである。
【図3】実施例7において用いた振動試験機である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶液中にチタン化合物と硼素化合物
    を0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<1となるように調
    整し、その溶液を基材に塗布し、その後、200℃〜6
    00℃の温度で5分〜60分焼成することを特徴とする
    コーティング方法。
  2. 【請求項2】 基材がガラスであることを特徴とする請
    求項1に記載のコーティング方法。
  3. 【請求項3】 有機溶液中にチタン化合物と硼素化合物
    を0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<1であり、溶液全
    体の〔チタン〕濃度が0.1M〜1.0Mであることを
    特徴とするコーティング用溶液。
  4. 【請求項4】 チタン及び硼素の酸化物であり、その比
    が0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<1であり、膜厚が
    80Å〜2500Åであることを特徴とするコーティン
    グ膜。
  5. 【請求項5】 80℃における4重量%苛性ソーダ水溶
    液に浸漬した際の剥離時間が、4時間以上であることを
    特徴とする請求項4に記載のコーティング膜。
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