JP3410597B2 - 抗菌機能を付与したコーティング方法とその溶液 - Google Patents

抗菌機能を付与したコーティング方法とその溶液

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶器、ガラス、セラミ
ックス等のガラス質基材の表面に、抗菌効果を有し、基
材との密着性に優れることにより、耐アルカリ性、耐酸
性の化学的耐久性能と耐傷性の機械的耐久性能を有する
コーティング被膜を形成するためのコーティング方法及
びその溶液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】陶器、ガラス、セラミックス等のガラス
質基材からなる製品は、現在日用品を初めとして多岐に
わたって利用されている。特に最近では日用品において
重要な機能として抗菌性能が重要視されてきており、陶
器等の基材の製品本来の性能を維持しつつ、前記製品の
表面に抗菌性能を付与するにコーティング処理を施すこ
とが広く行われるようになっている。
【0003】中でも陶器製品が広く利用されている洗面
所のタイルや便器等の製品においては抗菌性能を付与す
ることが強く求められており、例えば特開平6−340
513号公報で開示されているような陶磁器やホウロウ
製品の表面部分に抗菌性能を有する銀含有物質と釉薬と
からなる抗菌・抗カビ組成物をコーティングした釉薬層
を形成したり、特開平6−205977号公報に開示さ
れているようにアナターゼ型TiO2 ゾル中に触媒機能
を有する金属化合物を溶解あるいは分散させた溶液の被
膜を焼成して光触媒組成物層を形成し、脱臭、抗菌等の
機能を付与したものが挙げられる。
【0004】しかし、この方法であると前者の場合、抗
菌効果を発揮する金属イオンの溶出が制御されないため
に抗菌効果が発揮される期間が短かったり、抗菌効果が
十分に発揮されないと言う問題があり、後者の場合では
形成されるコーティング被膜がアナターゼ型TiO2
あるために基材との密着性が悪く、アルカリ性や酸性の
洗浄に耐えられず短期間で剥離する問題や、また光触媒
効果を応用した方法であるために十分な抗菌効果が期待
できず、いづれの方法も消費者が求める抗菌性能という
点において満足が得られていないというのが現状であ
り、これらを解決するより優れた抗菌性能が付与された
コーティング被膜の開発が望まれていた。
【0005】また、ガラスコップ等の食卓用ガラス製品
においては、抗菌性能に加えて、使用時のハンドリング
等で発生する擦り傷や当たり傷の発生を防止して使用寿
命の延長を図ることができる耐傷性能に優れたコーティ
ング被膜も併せて要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記問題点を解決し、優れた抗菌効果を有し、基材との密
着性が良く、優れた耐化学性能を有するとともに、コー
ティング被膜の滑り特性を向上させることで耐傷性にも
優れたコーティング被膜を形成することができるコーテ
ィング方法及びその溶液を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のコーティング方
法は、有機溶液中にチタン化合物と銅または/および銅
化合物を0.005<〔銅〕/〔チタン〕<1.0およ
び酸を添加して0.001<〔H〕/〔チタン〕<3と
なるように調製し、あるいは更に硼素化合物を溶解させ
る場合にはチタン化合物と銅または/および銅化合物を
0.005<〔銅〕/〔チタン〕<1.0、酸を添加し
て0.001<〔H〕/〔チタン〕<3およびチタン化
合物と硼素化合物を0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<
1となるように調製し、該溶液を基材に塗布し、その
後、300℃〜650℃の温度で5分〜60分焼成し
て、該基材表面にアモルファス構造のコーティング被膜
を形成することをすることを特徴とするものである。
【0008】さらには、基材がガラス質材料であること
を特徴とするものである。
【0009】そして第二の発明としてコーティング用の
溶液は、有機溶液中にチタン化合物と銅化合物を0.0
05<〔銅〕/〔チタン〕<1.0および酸を添加して
0.001<〔H〕/〔チタン〕<3、あるいは更に硼
素化合物を溶解させる場合にはチタン化合物と硼素化合
物を0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<1であり、溶液
全体の〔チタン〕濃度が0.1M〜1.0Mであること
を特徴とするものである。
【0010】そして、第三の発明としてコーティング被
膜は、チタンおよび銅の酸化物であり、あるいはチタ
ン、銅及び硼素の酸化物であり、チタンと銅の比が0.
005<〔銅〕/〔チタン〕<1.0、あるいは更に硼
素を含む場合には硼素とチタンの比が0.01<〔硼
素〕/〔チタン〕<1であり、膜厚が80Å〜2500
Åであることを特徴とするもので、80℃における4重
量%苛性ソーダ水溶液に浸漬した時の剥離時間が5時間
以上であり、併せて室温(20℃)における4重量%酢
酸水溶液に24時間浸漬した時、剥離の発生がないこと
を特徴とするものである。
【0011】ここで、本願明細書で〔チタン〕、
〔銅〕、〔硼素〕、〔H〕とは、それぞれチタン、銅、
硼素、水素原子のモル数を表す意味で便宜的に記載した
ものであり、〔銅〕/〔チタン〕、〔硼素〕/〔チタ
ン〕、〔H〕/〔チタン〕は、そのモル比を表してい
る。
【0012】そして、被膜は銅酸化物、あるいは銅酸化
物と硼素酸化物がチタン酸化物の間を埋めたような構造
を形成するため、この比が特定のものである必要がある
のである。即ち、〔銅〕/〔チタン〕の比が0.005
以下であると抗菌性能が十分に発揮されないためであ
り、1.0以上であっても抗菌性能の著しい向上が認め
られず、僅かに耐化学性能が低下する懸念があるためで
ある。そしてより好ましくは0.1<〔銅〕/〔チタ
ン〕<0.7がよい。
【0013】また、〔硼素〕/〔チタン〕の比が0.0
1以下であると、チタン酸化物の結晶化が進行し、基材
との密着性が小さくなるためであり、逆に1以上である
と、膜の緻密性の低下を招き、その上、製成された被膜
表面に硼素酸化物が析出し、これがアルカリ成分によっ
て溶出するため、耐アルカリ性を低下させることになる
からである。そしてより好ましくは0.05<〔硼素〕
/〔チタン〕<0.5がよい。
【0014】本発明で用いられるチタン化合物として挙
げられるのは、TTIP(チタンテトライソプロポキシ
ド;Ti(O−CH(CH3 2 4 ),Ti(O−C
3 7 4 (チタンテトラプロポキシド),Ti(O−
2 5 4 (チタンテトラエトキシド),Ti(O−
4 7 4 (チタンテトラブトキシド)等のアルコキ
シド、酢酸チタン,チタンアセチルアセトナート,シュ
ウ酸チタン等の有機チタン化合物、硫酸チタン,硝酸チ
タン,硫化チタン等の無機チタンである。
【0015】また、銅化合物としては、酢酸銅、硝酸
銅、臭化銅、炭酸銅、塩化銅、クエン酸銅、塩化アンモ
ニウム銅、フッ化銅、蟻酸銅、酸化銅、臭酸銅等および
それらの水和物等が挙げられる。
【0016】一方で、硼素化合物として挙げられるの
は、H3 BO3 ,B2 3 ,HBO2等の硼素酸化水和
物、硼素エトキシド,硼素メトキシド等の硼素アルコキ
シド、(CH3 3 CNH2 ・BH3 ,C6 5 N(C
2 5 2 ・BH3 ,(CH32 NH・BH3 ,(C
3 2 S・BH3 ,C5 5 N・BH3 ,C4 5
・BH3 ,(C2 5 3 N・BH3 ,(CH3 3
・BH3 等のボランアミン錯体である。
【0017】酸として挙げられるものは、硝酸、塩酸、
シュウ酸、酢酸、蟻酸、フッ酸等がある。
【0018】また、溶媒は、メタノール、エタノール、
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチル
アルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール、2−メトキシエタノール等を用いることが
できる。
【0019】本発明で用いられる塗布法は、ディップ
法、スプレー法、スピンナー法、筆塗り等いずれの方法
でも行うことができるが、より均一に塗布できるという
点では、ディップ法が好ましい。
【0020】そして、塗布されたガラス質基材を焼成す
ることにより、基材との密着性がすぐれた透光性薄膜を
得ることができる。この時の焼成温度は、コーティング
される基材の材料及びコーティング溶液の組成によって
も異なるが、300℃以上が適しており、300℃〜6
50℃がよい。650℃以上であると、基材中への成分
拡散が起こり、表面金属の溶出が抑止されて抗菌性能が
低下するためである。反対に300℃以下であると、有
機成分が消失しにくくなり、これがコーティング膜中に
残り、耐アルカリ性の向上が見られないからである。よ
り好ましくは、350℃〜600℃がよい。
【0021】また、焼成時間は、5分〜60分がよい。
これは、焼成時間が5分より短いと焼成温度が低い場合
の理由と同様に有機成分が消失しにくくなるためであ
り、60分より長い場合には、焼成温度が650℃以上
と高くした場合と同様の不都合を生じるためである。よ
り好ましくは、10分〜20分行うのが適している。
【0022】基材は、陶器、ガラス、セラミックス等の
ガラス質基材が一番好ましく、ガラス質以外にも無機材
料に応用可能である。また、無機材料以外にも焼成温度
で熱分解や溶液と反応を起こさない材料ならば全てに適
用できるものである。
【0023】コーティング用溶液全体の〔チタン〕濃度
は0.1M〜1.0Mである必要がある。0.1M以下
であると、1回のコーティング操作では膜厚が薄く、所
定の耐アルカリ性が得られないからであり、1.0M以
上であると、膜の厚みが必要以上に大きくなり、熱膨張
係数の差により膜にクラックが入ったり、焼成後に有機
成分が残り、透明性も悪くなるからである。より好まし
くは0.2M〜0.7Mがよい。
【0024】コーティング被膜における膜厚は80Å〜
2500Åである必要がある。80Å以下であると、所
定の耐アルカリ性や耐酸性を得ることができないからで
あり、逆に2500Å以上であると、膜にクラックが入
りやすく、また透明性が損なわれるとともに、これ以上
の耐アルカリ性の向上が期待できないからである。望ま
しくは、400Å〜1500Åがよい。
【0025】耐アルカリ性の標準的な試験方法として、
80℃における4重量%苛性ソーダ水溶液に浸漬した際
の剥離時間によって表す方法がある。本願発明では、こ
の剥離時間が5時間以上である。
【0026】また、耐酸性の標準的な試験方法として、
室温(20℃)における4重量%酢酸水溶液に24時間
浸漬した時のコーティング被膜の状態の変化(剥離発生
の有無)によって表す方法がある。本願発明では24時
間で剥離の発生がないことである。
【0027】
【作用】本願発明では、コーティング方法としてゾルゲ
ル法を用いている。即ち、溶液を基材に塗布した後、空
気中で加水分解させ、特定温度まで加熱して無機酸化物
に変えているため、低温で工程を行うことができ、原料
は溶液を用いることができる。
【0028】そして、本発明では銅あるいは、銅と硼素
を添加することにより、TiO2中に銅あるいは、銅と硼素
が入り込み、被膜の結晶化を遅らせて、耐アルカリ性、
耐酸性の耐久性能を向上させるとともに滑り特性を向上
させる。そして、硼素が含有されることにより、チタン
の一様なアモルファス(非晶質)化を招き、コーティン
グ被膜の緻密化を向上させ、特に耐アルカリ性に対して
は、硼素を添加することで、基材とチタンとの密着性を
向上させて、アルカリ浸漬によるチタン酸化物膜の剥離
を防止するためである。即ち、硼素酸化物がチタンの酸
化物の間を埋めるために表面を均一に、また滑らかに
し、耐化学性能が向上し、併せて滑り特性の向上によっ
て擦り傷等の耐傷性能を向上させる。更に加えて、コー
ティング被膜中の銅が長期間にわたって徐々に溶出する
ことにより抗菌性能を発揮する。
【0029】また、銅は抗菌性を有する金属の中でも拡
散が遅いので、高温度域までコーティング被膜中に銅が
存在し、アモルファス化による耐化学性と抗菌性が安定
して両立する。
【0030】また、膜厚はチタンの濃度によってほぼ比
例するため、それによって、また塗布の方法によってそ
の制御が容易に可能となる。その上、低温で、かつ溶液
から成膜することで、市販に出回った製品に対しても製
品の生産工程とは全く別の工程で成膜が可能である。
【0031】
【実施例】以下に本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。 (実施例1)エタノール溶媒中にTTIP(チタンテト
ライソプロチシド)を溶解して0.3M濃度とした溶液
に、酢酸銅を〔銅〕/〔チタン〕=0.5、HNO3
〔H〕/〔チタン〕=0.1、H3BO3 を〔硼素〕/〔チ
タン〕=0.3となるように液を調製した。そしてディ
ップ法によりガラス製コップに成膜を行い、焼成条件を
調査した。その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】上記結果より、焼成条件として焼成温度は
300〜600℃、焼成時間は5〜60分において耐化
学性、抗菌効果を有するコーティング被膜が得られるこ
とが確認できた。
【0034】(実施例2)エタノール溶媒中にTTIP
を溶解して0.3M濃度とした溶液に、H3BO3 を〔硼
素〕/〔チタン〕=0.3、HNO3を〔H〕/〔チタン〕
=0.1とし、酢酸銅の濃度を任意に変更した液を調製
した。そしてディップ法によりガラス製コップにコーテ
ィングを行い、550℃で20分焼成して成膜して実施
例1と同様の耐アルカリ性と抗菌効果(銅の溶出量)に
ついて確認を行った。その結果を表2に示す。評価は実
施例1と同様の評価とした。
【0035】
【表2】
【0036】この結果から、特に0.1<〔銅〕/〔チ
タン〕<0.7のモル比の溶液において、耐アルカリ性
と抗菌効果が優れていることが確認できた。
【0037】(実施例3)任意の濃度のTTIP溶液
(溶媒:エタノール)及びこの液にモル比で〔硼素〕/
〔チタン〕=1/3となるようにH3 BO3 を添加した
溶液を作成し、次に硝酸銅水和物をモル比で〔銅〕/
〔チタン〕=0.1、0.5、および0.7となるよう
に加え、コーティング液を調製した。そしてこの溶液に
タイル基材を浸漬し、150mm/minで引き上げた
のち5分間乾燥し、その後550℃で15分間焼成した
時の膜厚を測定し、チタンのみの溶液および該溶液に硼
素を添加した溶液(前記の硝酸銅水和物を加える前の溶
液)と比較した。なお、膜厚測定は表面粗さ計タリサー
フ5型(テーラーホブソン社製)のもので実施した。表
3にその結果を示す。
【0038】
【表3】
【0039】1回のコートによる膜厚は、濃度に比例し
ていることが示された。それによって、膜厚の制御が容
易である。また、銅及び硼素添加の影響も受けていない
ことが判る。
【0040】(実施例4)TTIP溶液(溶媒:エタノ
ール)を0.3Mの濃度の溶液に、モル比で〔銅〕/
〔チタン〕=0.5となるよう酢酸銅水和物を、モル比
で〔硼素〕/〔チタン〕=0.3となるようにH3 BO
3 を、モル比で〔H〕/〔チタン〕=0.1となるよう
にHNO3 を該溶液に添加してコーティング液を調製し
た。そしてこの溶液にタイル基材を浸漬し、150mm
/minで引き上げたのち5分間乾燥し、500℃、5
50℃および600℃で焼成しコーティング被膜を形成
したサンプルを作成して抗菌試験を行った。抗菌試験
は、サンプルの4.5cm2 上に黄色ブドウ球菌8×1
4 個を滴下し、35℃で24時間放置した。その後、
菌液を10mlのSCDLP培地で洗い出し、そのうち
の0.1mlをSCD培地に滴下し、35℃で2日間恒
温器で培養後、菌数を測定した。比較例として銅を含ま
ないサンプルについても同時に行った。表4にその結果
を示す。
【0041】
【表4】
【0042】この結果から、本願発明のコーティング膜
は十分な抗菌効果を有する被膜であることが判る。ま
た、チタンの濃度に影響されることなく、銅の抗菌効果
が発揮されていると言える。
【0043】(実施例5)濃度0.3MのTTIP溶液
(溶媒:エタノール)に任意のH3 BO3 と任意の硝酸
銅を加え、DTAおよびX線回析を用いてチタン酸化物
の結晶化温度を測定した。その結果を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】この結果から、一定の温度範囲で銅及び/
又は硼素の添加でチタン酸化物の非晶質化(アモルファ
ス化)が進んでいることが判る。これはチタン酸化物の
中に銅酸化物又は/及び硼素酸化物が入り込み、結晶化
を抑制したためである。したがって銅及び/又は硼素の
添加量に応じた焼成温度を制御することによりアモルフ
ァス構造のTi−B−Cu−Oのコーティング被膜を形
成することが可能であることが判る。
【0046】(実施例6)任意の濃度のTTIP溶液
(溶媒:エタノール)に〔硼素〕/〔チタン〕=0.3
となるようにH3 BO3 を、〔銅〕/〔チタン〕=0.
5となるように硝酸銅を添加した後、、〔H〕/〔チタ
ン〕=0.1となるようHNO3 加えてコーティング液
を調製した。この溶液にスライドガラスを浸漬し、15
0mm/minで引き上げて乾燥させ、550℃で15
分間焼成し、このスライドガラスを4%酢酸水溶液に室
温(20℃)で24時間浸漬し、その時の膜の様子を観
察した。その結果を、実施例1と同様の評価方法で表6
に表した。
【0047】
【表6】
【0048】更に、0.3Mの濃度のTTIP溶液(溶
媒:エタノール)に実施例6と同様のコーティング液を
調整し、この溶液にスライドガラスを浸漬し、550、
600、650℃で15分間焼成し、このスライドガラ
スを2規定の硝酸に80℃で7時間浸漬させたときの膜
の様子を観察した。その結果を、実施例1と同様の評価
方法で表7に表した。
【0049】
【0050】上述の実施例6及び7の結果から、本願発
明のコーティング被膜は耐酸性にも優れ、更に焼成温度
が高くすることで強い耐酸性を示すことが判り、実施例
2の結果で示した耐アルカリ性とともに優れた耐化学性
を有するコーティング被膜であると言える。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコーティ
ング方法ならびにその溶液によって形成されたコーティ
ング被膜は、陶器、ガラス等のガラス質製品の表面に任
意の膜厚に塗布することができるものであり、抗菌性能
を十分に発揮しつつ、ガラス質と密着性に優れるアモル
ファス構造で形成されるので耐アルカリ性や耐酸性の耐
化学性能にすぐれた被膜を形成することができ、更にコ
ーティングによって滑り性能が向上して擦り傷や当たり
傷の発生を減少させるので製品の外観を損なうこともな
い。また、膜厚の制御も容易であり、コーティング工程
を製品の成形工程とは別に組み込むことができるため、
市販に出回った製品に対しても成膜することができるよ
うになった。そしてコーティング工程は低温でコーティ
ングを行うことができるので、液体の原料を使用するこ
とができ、保存及び扱いやすさの面でも非常に有利であ
る。よって、従来の問題点を解決したコーティング被膜
として多岐にわたって利用でき、産業の発達に寄与する
ところは極めて大である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02C 15/00 - 23/00 A01N 59/00 - 59/26 B32B 1/00 - 35/00 C01B 35/00 - 35/18 C04B 41/80 - 41/91 C09D 1/00 - 10/00 WPI CAS

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶液中にチタン化合物と銅または/
    および銅化合物を0.005<〔銅〕/〔チタン〕<
    1.0、更に酸を添加して0.001<〔H〕/〔チタ
    ン〕<3となるように調製し、該溶液を基材表面に塗布
    し、その後、300℃〜650℃の温度で5分〜60分
    焼成して、該基材表面にアモルファス構造のコーティン
    グ被膜を形成することを特徴とするコーティング方法。
  2. 【請求項2】 有機溶液中にチタン化合物と銅または/
    および銅化合物を0.005<〔銅〕/〔チタン〕<
    1.0、チタン化合物と硼素化合物を0.01<〔硼
    素〕/〔チタン〕<1および、更に酸を添加して0.0
    01<〔H〕/〔チタン〕<3となるように調製し、該
    溶液を基材表面に塗布し、その後、300℃〜650℃
    の温度で5分〜60分焼成して、該基材表面にアモルフ
    ァス構造のコーティング被膜を形成することを特徴とす
    るコーティング方法。
  3. 【請求項3】 基材がガラス質材料であることを特徴と
    する請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のコーティ
    ング方法。
  4. 【請求項4】 有機溶液中にチタン化合物と銅または/
    および銅化合物が0.005<〔銅〕/〔チタン〕<
    1.0の割合で、更に酸が0.001<〔H〕/〔チタ
    ン〕<3の割合で溶解しており、且つ溶液全体の〔チタ
    ン〕濃度が0.1M〜1.0Mであることを特徴とする
    コーティング用溶液。
  5. 【請求項5】 有機溶液中にチタン化合物と銅または/
    および銅化合物と硼素化合物が0.005<〔銅〕/
    〔チタン〕<1.0、0.01<〔硼素〕/〔チタン〕
    <1の割合で溶解しており、更に酸を添加して0.00
    1<〔H〕/〔チタン〕<3となるように調製して溶液
    全体の〔チタン〕濃度が0.1M〜1.0Mであること
    を特徴とするコーティング用溶液。
  6. 【請求項6】 チタン及び銅の酸化物で、チタンと銅の
    比が.005<〔銅〕/〔チタン〕<1.0であり、膜
    厚が80Å〜2500Åであることを特徴とするコーテ
    ィング被膜。
  7. 【請求項7】 チタン、銅及び硼素の酸化物で、チタン
    と銅の比が.005<〔銅〕/〔チタン〕<1.0、硼
    素とチタンの比が0.01<〔硼素〕/〔チタン〕<1
    であり、膜厚が80Å〜2500Åであることを特徴と
    するコーティング被膜。
  8. 【請求項8】 80℃における4重量%苛性ソーダ水溶
    液に浸漬した時の剥離時間が5時間以上であることを特
    徴とする請求項6乃至請求項7のいずれかに記載のコー
    ティング被膜。
  9. 【請求項9】 室温(20℃)における4重量%酢酸水
    溶液に24時間浸漬した時、剥離の発生がないことを特
    徴とする請求項6乃至請求項7のいずれかに記載のコー
    ティング被膜。
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