JPH082437Y2

JPH082437Y2 - エンジンのカバー構造

Info

Publication number: JPH082437Y2
Application number: JP1989147182U
Authority: JP
Inventors: 宏司戸川; 歳滋内川; 充基花田; 公雄石田
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1989-12-21
Filing date: 1989-12-21
Publication date: 1996-01-29
Anticipated expiration: 2004-12-21
Also published as: JPH0387834U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、エンジンにおけるその内部から外部に出力
軸が突出する側壁部にその一部分をそれを覆う状態で装
着されるカバーの構造に関する。

（従来の技術）車両等に装備されるエンジンにあっては、一般に、そ
の側壁部においてクランク軸及びカム軸がエンジン内か
ら外部に突出し、夫々の突出部分にギアあるいはプーリ
が取り付けられて、クランク軸及びカム軸に取り付けら
れたギアの夫々がアイドルギアを介して回転連結され、
あるいは、クランク軸及びカム軸に取り付けられたプー
リの夫々の間にベルトが装架されて、クランク軸の回転
をカム軸に伝達するタイミング回転伝達機構が設けられ
る。また、エンジンにおける斯かるタイミング回転伝達
機構が設けられる側壁部には、例えば、燃料噴射ポンプ
等の回転軸に取り付けられたクランク軸の回転が伝達さ
れるべきギアあるいはプーリも配され、そのギアあるい
はプーリとクランク軸に設けられたギアあるいはプーリ
との間にも、それらを含んで、クランク軸の回転をカム
軸に伝達する他の回転伝達機構が形成される。そして、
エンジンの側壁部に配設されるこれらの回転伝達機構
は、通常、その側壁部に固着されるカバー部材によって
覆われるものとされる。

斯かるカバー部材が設けられたエンジンにあっては、
側壁部から外部に突出したクランク軸の一端部は、さら
にカバー部材の外側にまで突出して、エンジンに付設さ
れる補機類を駆動するためのプーリ等が取り付けられる
ものとされる。それゆえ、エンジンの側壁部に固着され
るカバー部材には、プーリハブが嵌合せしめられたクラ
ンク軸が貫通する開口部が形成されることになる。

このようなクランク軸が挿通せしめられる開口部が設
けられたカバー部材においては、開口部に、例えば、実
開昭62−110528号公報にも示される如くの、環状オイル
シール部材が圧入され、それにより、カバー部材内部か
ら潤滑オイルが開口部とそれを貫通するクランク軸に嵌
合せしめられたプーリハブとの間を通じてカバー部材の
外部に漏れ出すことが防止されるようになされる。さら
に、カバー部材に形成された開口部とそれを貫通するク
ランク軸に嵌合せしめられたプーリハブとの間からカバ
ー部材の外部への潤滑オイルの漏出をより効果的に抑え
るべく、例えば、実開昭57−147121号公報にも示される
如くに、クランク軸に嵌合せしめられたプーリハブにお
ける、カバー部材の内側であってカバー部材に形成され
た開口部に圧入された環状オイルシール部材に近接する
部分に、それに嵌合せしめられた環状のバッフル板部材
を設け、そのバッフル板部材によってカバー部材内部に
おいてクランク軸に付着した潤滑オイルをクランク軸か
ら飛散せしめ、開口部に圧入された環状オイルシール部
材に到達する潤滑オイルを極力低減させるようになすこ
とも提案されている。

（考案が解決しようとする課題）上述の如くの、クランク軸が貫通する開口部が形成さ
れて、エンジンの側壁部に固着されるカバー部材にあっ
ては、開口部に環状オイルシール部材が適正な姿勢をも
って圧入されたものとなされないと、クランク軸に嵌合
せしめられたプーリハブの環状オイルシール部材に対す
る接触精度が低下して、潤滑オイルの漏出の遮断が充分
に行われない事態がまねかれる虞がある。従って、開口
部に環状オイルシール部材が圧入されるにあたっては、
環状オイルシール部材を開口部に適正な姿勢をとるもの
として圧入するための作業が要求されるが、斯かる作業
には大なる工数が必要とされることになるという不都合
が伴われる。また、クランク軸が貫通する開口部に環状
オイルシール部材が圧入されるに加えて、クランク軸に
嵌合せしめられたプーリハブに、環状オイルシール部材
に近接せしめられる環状バッフル板部材が嵌合せしめら
れる場合には、作業工数の増大とともに組付部品点数の
増大がまねかれるという問題がある。

斯かる点に鑑み、本考案は、エンジンにおける出力軸
が外部に突出する側壁部に、出力軸が貫通する開口部が
形成されたものとなされて装着され、その開口部に環状
シール部材が適正な姿勢をもって圧入されたものとされ
る状態が容易に得られるものとされて、それにより、開
口部を通じた潤滑オイルの外部への漏出を確実に防止で
きるようにされたエンジンのカバー構造を提供すること
を目的とする。

（課題を解決するための手段）上述の目的を達成すべく、本考案に係るエンジンのカ
バー構造は、エンジンにおけるその内部から外部に出力
軸が突出する側壁部に、少なくともその一部分を覆って
装着され、出力軸が貫通する開口部が形成されるととも
に、開口部の周囲部分における下方部分を除いた部分か
ら開口部における中央部分に向かい、その中央部分を所
定の角度範囲に亙って取り巻く状態で突出する板状部
が、開口部の周囲部分に沿って配される環状オイルシー
ル部材に当接すべく設けられ、開口部の周囲部分におけ
る下方部分が開口部の内部からオイルを排出するオイル
排出部を形成するものとされる。

（作用）上述の如くのものとされる本考案に係るエンジンのカ
バー構造においては、開口部の周囲部分における下方部
分を除いた部分から開口部における中央部分に向かい、
その中央部分を所定の角度範囲に亙って取り巻くように
突出するものとして設けられた板状部が、開口部に配さ
れる環状オイルシール部材に対する位置決め機能を果た
すものとされる。それにより、開口部に環状オイルシー
ル部材が適正な姿勢をもって圧入されたものとされる状
態が容易に得られ、また、エンジンの出力軸に独立した
環状バッフル板部材が設けられることなく、開口部を通
じた潤滑オイルの外部への漏出が確実に防止される。ま
た、開口部の周囲部分における下方部分が開口部の内部
からオイルを排出するオイル排出部を形成するものとさ
れるので、環状オイルシール部材に付着した潤滑オイル
等が開口部の下方に速やかに排出されて、開口部内に滞
留せしめられることが回避される。

（実施例）第１図及び第２図は、本考案に係るエンジンのカバー
構造の一例を、それが適用されたディーゼルエンジンと
共に示す。

第１図及び第２図において、エンジン１は、複数のシ
リンダが設けられたシリンダブロック3,シリンダブロッ
ク３の上部に配されたシリンダヘッド５、及び、シリン
ダヘッド５の上部に配されたヘッドカバー６を有し、シ
リンダブロック３の下方にオイルパン７が配されたもの
とされている。そして、シリンダヘッド５には、各シリ
ンダに臨むものとされた複数の燃料噴射弁８（図には１
つのみ示されている）が取り付けられるとともに、その
両側部に、夫々、吸気通路９及び、排気通路10が連結さ
れている。

斯かるエンジン１に備えられたクランク軸12及びカム
軸14は、夫々の一端部が、エンジン１の側壁部を形成す
るシリンダブロック３の端面部3aから外部に突出せしめ
られている。そして、シリンダブロック３の端面部3aか
ら突出するクランク軸12の一端部には、駆動用ギア15が
取り付けられ、さらに、駆動用ギア15の外側にクランク
プーリ16のプーリハブが嵌合せしめられている。一方、
シリンダブロック３の端面部3aから突出するカム軸14の
一端部には、タイミングギア17が取り付けられている。
また、シリンダブロック３の一方の側面部には、燃料噴
射ポンプ19が配されており、燃料噴射ポンプ19の駆動軸
は、クランク軸12に沿って伸び、その一端部をシリンダ
ブロック３の端面部3aから外部に突出させて被駆動用ギ
アが取り付けられている。

そして、クランク軸12に取り付けられた駆動用ギア15
が、図示が省略されたアイドルギアを介して、カム軸14
に取り付けられたタイミングギア17に回転連結され、そ
れにより、クランク軸12の回転がカム軸14に伝達される
ようになされ、また、駆動用ギア15が、図示が省略され
たアイドルギアを介して、燃料噴射ポンプ19の駆動軸に
取り付けられた被駆動用ギアに回転連結され、それによ
り、クランク軸12の回転が燃料噴射ポンプ19の駆動軸に
伝達されるようになされている。

また、シリンダブロック３の端面部3aから突出するク
ランク軸12の先端部に取り付けられたクランクプーリ16
と、シリンダブロック３の他方の側面部に取り付けられ
たオルタネータ22の駆動軸に取り付けられたプーリ25
と、シリンダブロック３の端面部3aにおけるクランク軸
12より上方となる位置に配されたウォータポンプ24の駆
動軸に取り付けられたプーリ27との間には、ベルト28が
装架されており、それにより、クランク軸12の回転が、
オルタネータ22の駆動軸及びウォータポンプ24の駆動軸
に伝達されるようになされている。

そして、駆動用ギア15,タイミングギア17,燃料噴射ポ
ンプ19に備えられた被駆動用ギア，駆動用ギア15をタイ
ミングギア17に回転連結するアイドルギア、及び、駆動
用ギア15を燃料噴射ポンプ19に備えられた被駆動用ギア
に回転連結するアイドルギアは、シリンダブロック３の
端面部3aに複数のボルトを介して装着されたカバー部材
30により、シリンダブロック３の端面部3aの一部分とと
もに覆われたものとされる。なお、カバー部材30には、
燃料噴射ポンプ19の駆動軸の先端部を覆うキャップ30a
が取り付けられている。

カバー部材30は、第１図及び第３図により示される如
く、タイミングギア17に対応する第１の部分31,燃料噴
射ポンプ19に備えられた被駆動用ギアに対する第２の部
分32、及び、駆動用ギア15に対する第３の部分33等が一
体成形されて構成されている。そして、第３の部分33に
は、クランクプーリ16のプーリハブが嵌合せしめられた
クランク軸12が貫通する開口部38が形成されており、開
口部38の周囲部分から開口部38における中央部分に向か
い、その中央部分を、下方部分を除く所定の角度範囲に
亙って取り巻く状態で突出する板状部40が、一体成形さ
れて設けられている。

カバー部材30における第１の部分31には、カム軸14の
先端部を覆う突出部36が設けられ、また、第２の部分32
には、燃料噴射ポンプ19の駆動軸における先端部が貫通
するものとされ、キャップ30aにより閉塞される開口部3
7が設けられている。

カバー部材30における第３の部分33に形成された開口
部38の周囲部分から突出するものとされた板状部40は、
開口部38に圧入され、開口部38に沿って配された環状オ
イルシール部材41が当接するものとされ、環状オイルシ
ール部材41は、カバー部材30の内部から開口部38を通じ
て外部に潤滑オイルが漏出することを防止する。このよ
うな環状オイルシール部材41が開口部38に圧入されるに
あたり、板状部40は、開口部38の周囲部分沿う比較的大
なる面積をもって環状オイルシール部材41に当接し、環
状オイルシール部材41に対する位置決めを行うものとさ
れており、それにより、環状オイルシール部材41が適正
な姿勢をもって開口部38に圧入されて、開口部38を貫通
するクランク軸12に嵌合したクランクプーリ16のプーリ
ハブの外面に適正に接触する状態とされる。また、板状
部40は、環状オイルシール部材41の内側に配された環状
バッフル板部材としての役割も果たし、カバー部材30内
の潤滑オイルが環状オイルシール部材41に付着し難いよ
うになしている。さらに、板状部40は、開口部38の周囲
部分における下方部分からは突出していないものとされ
ているので、環状オイルシール部材41に付着した潤滑オ
イルが、開口部38内に滞留せしめられることなく、開口
部38の下方に排出されることになる。

なお、シリンダブロック３の端面部3aから突出するク
ランク軸12の先端部には、クランクプーリ16のプーリハ
ブの内部を閉塞する座金42がボルト締結されている。

（考案の効果）以上の説明から明らかな如く、本考案に係るエンジン
のカバー構造によれば、エンジンにおけるその内部から
外部に出力軸が突出する側壁部に、少なくともその一部
分を覆って装着され、出力軸が貫通する開口部が形成さ
れるものとされるにあたり、開口部の周囲部分における
下方部分を除いた部分から開口部における中央部分に向
かい、その中央部分を所定の角度範囲に亙って取り巻く
状態で突出する板状部が、開口部の周囲部分に沿って配
される環状オイルシール部材に当接するものとされて設
けられたものとされるので、板状部が、開口部に配され
る環状オイルシール部材に対する位置決め機能を果たす
ものとされ、それにより、開口部に環状オイルシール部
材が適正な姿勢をもって圧入されたものとされる状態が
容易に得られ、また、エンジンの出力軸に独立した環状
バッフル板部材が設けられることなく、開口部を通じた
潤滑オイルの外部への漏出が確実に防止される。また、
開口部の周囲部分における下方部分が開口部の内部から
オイルを排出するオイル排出部を形成するものとされる
ので、環状オイルシール部材に付着した潤滑オイル等が
開口部の下方に速やかに排出されて、開口部内に滞留せ
しめられることが回避される。

【図面の簡単な説明】第１図は本考案に係るエンジンのカバー構造の一例の主
要部を示す概略断面図（第２図におけるＩ−Ｉ線に沿う
断面図）、第２図は本考案に係るエンジンのカバー構造
の一例をそれが適用されたディーゼルエンジンと共に示
す概略構成図、第３図は本考案に係るエンジンのカバー
構造の一例を示す正面図である。図中、１はエンジン、３はシリンダブロック、12はクラ
ンク軸、30はカバー部材、38は開口部、40は板状部、41
は環状オイルシール部材である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者石田公雄広島県安芸郡府中町新地３番１号マツダ株式会社内 (56)参考文献実開昭55−90725（ＪＰ，Ｕ) 実開昭58−153117（ＪＰ，Ｕ)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】エンジンにおけるその内部から外部に出力
軸が突出する側壁部に、少なくとも該側壁部の一部分を
覆って装着され、上記出力軸が貫通する開口部が形成さ
れるとともに、上記開口部の周囲部分における下方部分
を除く部分から、上記開口部の中央部分に向かい、該中
央部分を所定の角度範囲に亙って取り巻く状態で突出す
る板状部が、上記開口部の周囲部分に沿って配される環
状オイルシール部材に当接すべく設けられ、上記開口部
の周囲部分における下方部分が上記開口部の内部からオ
イルを排出するオイル排出部を形成することを特徴とす
るエンジンのカバー構造。