JPH08239921A - 不燃性成形体 - Google Patents

不燃性成形体

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JPH08239921A
JPH08239921A JP6878395A JP6878395A JPH08239921A JP H08239921 A JPH08239921 A JP H08239921A JP 6878395 A JP6878395 A JP 6878395A JP 6878395 A JP6878395 A JP 6878395A JP H08239921 A JPH08239921 A JP H08239921A
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recesses
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、高度の不燃性を有し、かつ
意匠性に優れた不燃成形体、もしくは、高度の不燃性と
優れた意匠性を有し、かつ曲面下地に対する良好な施工
性を有する不燃性成形体を提供することにある。 【構成】 本発明に係る不燃性成形体は、含水無機化合
物が固型分で75〜95重量%で、その他にセルロ−ス
繊維及び熱硬化性樹脂を含有する不燃性基材の少なくと
も片面に深さ0.5mm以上、最大開口幅1mm以上、最小
長さ5mm以上の複数の凹部を有し、該凹部を有する面に
おいて前記した不燃性基材表面に占める該凹部の最大投
影面積が5%以上で、かつ少なくとも該凹部の表層部及
びその近傍に難燃剤を含有し、かつ上記不燃性基材中の
難燃剤の含有率を固形分で0.2〜8重量%としたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不燃性成形体に関し、更
に詳しくは、高度の不燃性を有し、かつ意匠性に優れた
不燃性形成体、もしくは高度の不燃性と優れた意匠性を
有し、かつ曲面下地に対して良好な施工性を有する不燃
性形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ケイカル板等の不燃材の表面
に切削加工を施して溝を設けるなどして立体的形状を形
成せしめて意匠性を高めたり、柔軟性を有し屈曲自在な
不燃性裏打材上にケイカル板等の不燃性基材を接着し、
該不燃性基材の表面に溝を所定間隔で、かつ溝底が該裏
打材に至るように施すことにより曲面下地への施工性を
向上せしめるなどの方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、ケイカル板
等の不燃性基材に切削処理で溝加工を施す場合、木材等
を切削するのに比べ数倍も切削刃の摩耗が激しいととも
に、切削加工時あるいは施工時等にケイカル板が割れや
すいなどの難点があった。そこで、本発明者は斯かる用
途に、多量の含水無機化合物もしくは多量の含水無機化
合物と炭酸塩を含有し、他にセルロ−ス繊維と熱硬化性
樹脂を含有する不燃性基材を適用すべく検討したとこ
ろ、該不燃性基材の適用で切削刃の摩耗がほぼ木材を切
削する場面並みに減少し、切削加工時あるいは施工時の
不燃性基材の割れもきわめて発生しにくくなり、切削工
程あるいは施工時の材料歩留が向上するなど有利性を発
揮することがわかった。
【0004】また、斯かる不燃性基材を適用した場合、
必ずしも切削によらずとも、所定の金型による熱圧プレ
ス成形によっても溝等の形状を付与することができ、さ
らに付与し得る形状も金型の調整次第で多様に変化させ
ることができ、加えて切削処理では実用上困難であった
凸形状の付与も可能であり、より意匠性に富む加工が可
能である。
【0005】しかし、斯かる不燃性基材に前記したよう
な凹部あるいは凸部を形成せしめた場合、不燃性能が悪
化することが判明した。すなわち昭和45年建設省告示
1828号の基材試験(以下において、この意味で単に
基材試験と言うことがある。)において、炉内温度上昇
が大きくなることが判明した。また、一般に上記した凹
形状あるいは凸形状を付与した素材に化粧紙貼合、突板
貼合、もしくは表面塗装等の後加工を施したり、あるい
は斯かる後加工を施した後に、前記した切削加工を施す
などして、さらに意匠性を高めることも多く、斯かる加
工により不燃性能は劣化することが多い。従って、最終
加工製品の不燃性能を所定レベルに保つために、素材単
体に対しては、さらに高度な不燃性能が要求される。
【0006】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたもので、高度の不燃性を有し、かつ意匠性に優れた
不燃成形体、もしくは、高度の不燃性と優れた意匠性を
有し、かつ曲面下地に対する良好な施工性を有する不燃
性成形体を提案することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る不燃性成形
体は、含水無機化合物が固型分で75〜95重量%で、
その他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含有する不
燃性基材の少なくとも片面に深さ0.5mm以上、最大開
口幅1mm以上、最小長さ5mm以上の複数の凹部を有し、
該凹部を有する面において前記した不燃性基材表面に占
める該凹部の最大投影面積が5%以上で、かつ少なくと
も該凹部の表層部及びその近傍に難燃剤を含有し、かつ
上記不燃性基材中の難燃剤の含有率を固形分で0.2〜
8重量%としたものである。
【0008】また、本発明に係る不燃性成形体は、含水
無機化合物と炭酸塩の合計が固形分で75〜95重量%
で、その他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含有
し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で60
/40より含水無機化合物過多側である不燃性基材の少
なくとも片面に深さ0.5mm以上、最大開口幅1mm以
上、最小長さ5mm以上の複数の凹部を有し、該凹部を有
する面において前記した不燃性基材表面に占める該凹部
の最大投影面積が5%以上で、かつ少なくとも該凹部の
表層部及びその近傍に難燃剤を含有し、かつ上記不燃性
基材中の難燃剤の含有率を固形分で0.2〜8重量%と
したものである。
【0009】また、本発明に係る不燃性成形体は、含水
無機化合物が固形分で75〜95重量%で、その他にセ
ルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含有する不燃性基材の
少なくとも片面に、高さ0.5mm以上の複数の凸部を有
し、該凸部を有する面において前記した不燃性基材表面
に占める該凸部の最大投影面積が5%以上で、かつ少な
くとも全表層部及びその近傍に難燃剤を含有し、かつ上
記不燃性基材中の難燃剤の含有率を固形分で0.2〜8
重量%としたものである。
【0010】また、本発明に係る不燃性成形体は、含水
無機化合物と炭酸塩の合計が固形分で75〜95重量%
で、この他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含有
し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で60
/40より含水無機化合物過多側である不燃性基材の少
なくとも片面に高さ0.5mm以上の複数の凸部を有し、
該凸部を有する面において前記した不燃性基材表面に占
める該凸部の最大投影面積が5%以上で、かつ少なくと
も全表層部及びその近傍に難燃剤を含有し、かつ上記不
燃性基材中の難燃剤の含有率を0.2〜8重量%とした
ものである。
【0011】また、本発明に係る不燃性成形体は、柔軟
性を有し屈曲自在な不燃性裏打材上に含水無機化合物が
固形分で75〜95重量%で、その他にセルロ−ス繊維
及び熱硬化性樹脂を含有する不燃性基材が接着され、該
不燃性基材の表面に最大開口幅1mm以上で互いに平行な
複数の凹部を有し、該凹部の底が前記した不燃性裏打材
に至っており、該凹部を有する面において前記した不燃
性基材表面に占める該凹部の最大投影面積が5%以上
で、かつ少なくとも該凹部の表層部及びその近傍に難燃
剤を含有し、かつ上記不燃性基材中の難燃剤の含有率を
固形分で0.2〜8重量%としたものである。
【0012】また、本発明に係る不燃性成形体は、柔軟
性を有し屈曲自在な不燃性裏打材上に含水無機化合物と
炭酸塩の合計が固形分で75〜95重量%で、その他に
セルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含有し、かつ含水無
機化合物/炭酸塩が固形分重量比で60/40より含水
無機化合物過多側である不燃性基材が接着され、該不燃
性基材の表面に最大開口幅1mm以上で互いに平行な複数
の凹部を有し、該凹部の底が前記した不燃性裏打材に至
っており、該凹部を有する面において前記した不燃性基
材表面に占める該凹部の最大投影面積が5%以上で、か
つ少なくとも該凹部の表層部及びその近傍に難燃剤を有
し、かつ上記不燃性基材中の難燃剤の含有率を固形分で
0.2〜8重量%としたものである。
【0013】上記した含水無機化合物としては水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
2水和石こう及びアルミン酸化カルシウム等を挙げるこ
とができる。これらの化合物は何れも分子内に結晶水を
持ち化学的に類似した構造を有する。また、含水無機化
合物は、その種類によって分解温度及び吸熱量に幾分差
があるが、高温加熱時に分解して吸熱作用により不燃化
効果を示すという点では全く共通している。従って基本
的に前記した含水無機化合物のいずれを用いてもよいが
入手価格等の経済性をも考慮すると水酸化アルミニウム
が最適である。
【0014】本発明で使用する炭酸塩としては、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸スト
ロンチウム、炭酸ベリリウム、炭酸亜鉛等の中から少な
くとも1種類を選択して使用する。これらの炭酸塩はそ
の種類により分解温度等に幾分差があるが高温加熱時に
分解して吸熱作用により難燃効果を示すという点では全
く共通している。従って、基本的に前記した炭酸塩のい
ずれを用いてもよいが、価格の面から炭酸カルシウムが
最適である。なお炭酸塩配合によるもう1つの重要な効
果として本発明者が特開平5−112659号公報等で
指摘したところの発煙量低減効果を挙げることができ
る。
【0015】本発明に係る不燃性基材中の含水無機化合
物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の合計の含有率範囲
は固形分で75〜95重量%好ましくは80〜95重量
%である。その含有率が75重量%未満では十分な不燃
性が得られない。反対に95重量%を超えた場合は含水
無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の合計量の
過多により十分な機械的強度が得られず不適である。ま
た、含水無機化合物/炭酸塩の含有重量比率は固形分で
60/40よりも含水無機化合物過多側としなければな
らない。60/40よりも含水無機化合物過少側とした
場合、不燃性が低下することがあり不適である。
【0016】上記したセルロ−ス繊維としては、針葉樹
系あるいは広葉樹系の化学パルプ、機械パルプ、セミケ
ミカルパルプ等の木材パルプあるいは木綿パルプ、麻パ
ルプ、各種古紙などの中から選ばれる1種類あるいは2
種類以上を併用して使用すればよい。木材パルプは供給
量及び品質が安定しており価格も比較的安価であること
から最も使いやすいセルロ−ス繊維原料である。木綿パ
ルプ及び麻パルプは供給量が不安定であり価格も高価で
あるが、本発明におけるような含水無機化合物あるいは
含水無機化合物と炭酸塩を多量に含有する不燃性基材に
おいては、必要に応じて該木綿パルプあるいは麻パルプ
を使用することにより該不燃性基材の機械的強度の低下
を最小限にとどめることができる。
【0017】本発明の不燃性シ−トまたは不燃性成形体
中のセルロ−ス繊維の含有率範囲は固形分で2〜10重
量%が好ましい。その含有率が2重量%未満ではセルロ
−ス繊維の過少により十分な抄紙性あるいは機械的強度
が得られないことがあり、また10重量%を超えた場合
は有機物質の過多により十分な不燃性を得ることができ
ない場合がある。
【0018】上記した熱硬化性樹脂としては、フェノ−
ル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、尿素
メラミン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂など(繊維状
のものも含む)の中から少なくとも1種類を選択して使
用する。これらの熱硬化性樹脂はその種類により硬化温
度に幾分差があるが、加熱処理に伴う流動硬化作用によ
り不燃性素材に各種成形賦形効果もしくは諸強度の発現
効果または含水無機化合物あるいは炭酸塩の脱落防止効
果、表面強度の向上効果等を与えるという点では全く共
通している。従って、基本的には前記した熱硬化性樹脂
のいずれを用いてもよいが好ましくは使用する熱硬化性
樹脂の硬化温度が併用する含水無機化合物あるいは炭酸
塩の分解温度よりも低くなるようにすべきである。更に
入手価格等の経済性をも考慮するとフェノ−ル樹脂、メ
ラミン樹脂、尿素メラミン樹脂が最適である。
【0019】本発明の不燃性シ−トまたは不燃性成形体
中の熱硬化性樹脂の含有率範囲は固形分で1〜12重量
%が好ましい。その含有率が1重量%未満では十分な機
械的強度が得られないことがあり、また12重量%を超
えた場合は有機物質の過多により十分な不燃性を得るこ
とができない場合がある。
【0020】本発明で使用する難燃剤としては、有機リ
ン化合物、含リン含窒素有機化合物、スルファミン酸
塩、無機リン酸塩、含ハロゲン化合物及びアンチモン系
化合物等の中から少なくとも1種類を選択して使用すれ
ばよい。また、本発明に係る不燃性基材中の必須有機物
質であるセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂に対して、よ
り効果的な難燃化作用を発揮せしめるという観点から、
炭化促進作用を有する難燃剤を使用するのが一層効果的
である。
【0021】本発明に係る不燃性基材中の難燃剤の含有
率はごく少量にすべきであり、含有率範囲は固形分で
0.2〜8重量%である。本発明に係る不燃性基材は含
水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩を75〜
95重量%含有するため、不燃性基材単体では難燃剤を
全く含有せずとも優れた不燃性を有する。本発明におい
て、あえて難燃剤を含有せしめるのは後述するように、
該不燃性基材に所定の凹部もしくは凸部を形成せしめた
時に発生する不燃性能の低下を回避するための手段とし
てである。難燃剤含有率が8重量%を超えた場合、高温
加熱時に難燃剤の分解に伴う発煙や有害ガスの発生等を
伴うことがあり防火上好ましくない。また、難燃剤含有
率が0.2重量%未満の場合、難燃剤の過少により、十
分な不燃性能低下回避効果が得られない。
【0022】本発明に係る不燃性基材は、上記配合のも
とに含水無機化合物/セルロ−ス繊維/熱硬化性樹脂/
難燃剤あるいは含水無機化合物/炭酸塩/セルロ−ス繊
維/熱硬化性樹脂/難燃剤という構成であればよく、そ
の製造法としては、湿式抄造法、乾式成形法など任意の
方法が適用可能であり、特定の製造法に限定するもので
はないが、以下において本発明の当該分野である湿式抄
造法を適用した場合を例にとって製造方法にも言及しな
がらさらに詳述する。
【0023】本発明に係る不燃性基材は、含水無機化合
物または炭酸塩等の歩留を向上するための各種歩留向上
剤あるいは必要に応じてガラス繊維、ロックウ−ル繊
維、炭素繊維などの無機繊維、合成繊維、または着色の
ための合成染料等を含有していてもよい。また、用途に
よっては機械的強度もしくは後加工適性の改善を図るべ
く乾燥または湿潤紙力増強剤、サイズ剤、耐水化剤、撥
水剤等を含有せしめるべきことは言うまでもない。
【0024】本発明に係る不燃性基材に熱硬化性樹脂を
含有せしめる方法としては、熱硬化性樹脂の液状物、繊
維状物あるいは粒状物等を原料スラリ−中に内添した
り、紙層形成後に塗布または含浸するなどすればよい。
含水無機化合物または炭酸塩を含有せしめる方法として
は、含水無機化合物または炭酸塩を含有する塗料を基材
に塗布あるいは含浸するなどの方法も考えられるが、所
定の含有量を確保し、あるいは厚さ方向での品質の均一
化を図るためには原料スラリ−中に含水無機化合物また
は炭酸塩を粉体状あるいはスラリ−状にて内添する方法
が最も好ましい。
【0025】難燃剤を含有せしめるには、難燃剤の液状
物あるいは粒状物等を原料スラリ−中に内添せしめる
か、抄造工程中もしくは抄造後または成形後に塗布また
は含浸するなどすればよい。この場合、含水無機化合
物、炭酸塩、セルロ−ス繊維、熱硬化性樹脂及び難燃剤
の添加方法及び添加順序等は任意であり、必要に応じて
叩解処理等を施してもよい。
【0026】こうして得た原料スラリ−を用いて、本発
明に係る不燃性基材を製造するには、通常の抄造法によ
ればよい。すなわち、通常の長網、円網あるいは傾斜網
等の抄造網上に前記スラリ−を供給し、濾過、脱水した
後、圧搾、乾燥すればよい。また、必要により各種コン
ビネ−ション網や、多層円網及び各種ラミネ−タ−など
により紙層を2層以上重ね合わせてもよい。
【0027】こうして得た不燃性基材を用いて本発明の
不燃性成形体を製造するには、不燃性基材に熱圧プレス
成形、高周波加熱成形などの従来慣用の熱成形を単独で
あるいは2種以上組み合わせて適用し不燃性基材中の熱
硬化性樹脂を硬化せしめた後、切削加工等により所定の
凹部を形成せしめるか、不燃性基材を所定の金型等を用
いて熱圧成形することにより、不燃性基材中の熱硬化性
樹脂の硬化と所定の凹部あるいは凸部の形成を同時に行
うか、あるいは熱成形後の不燃性基材をガラスクロス、
各種無機繊維製不織布、アラミド繊維シ−トなどの柔軟
性を有し屈曲自在な不燃性裏打材上に、エポキシ系、フ
ェノ−ル系、メラミン系、尿素−メラミン系、酢酸ビニ
ル系、エチレン酢酸ビニル系、ウレタン系、クロロプレ
ン系等の従来慣用の接着剤を用いて接着せしめた後、切
削加工等により所定の凹部を形成せしめるなどすればよ
い。ただし、接着剤の選択に際しては、被着体の特性を
考慮して選択すべきこと、及び接着剤の使用量は不燃性
能を低下させないようできるだけ少量にすべきことは言
うまでもない。
【0028】また、必要に応じて、熱成形後あるいは切
削加工前もしくは切削加工後などにおいて、化粧紙、突
板、レザ−、合成樹脂膜の貼合、各種塗料の吹付け、塗
布、印刷などしてもよい。場合によっては、不燃性基材
と不燃性裏打材あるいは化粧紙の接着もしくは貼合と所
定の凹部あるいは凸部の形成を金型等による一体熱圧成
形等により同時に行うことも可能である。また、前記し
た通り、熱成形後あるいは所定の凹部もしくは凸部を形
成せしめた後に、難燃剤を成形体に塗布もしくは含浸せ
しめてもよい。このとき、該成形体が凹部を有する場
合、少なくとも該凹部の表層部及びその近傍に難燃剤が
含有され、該成形体が凸部を有する場合、少なくとも該
成形体の全表層部及びその近傍に難燃剤が含有され、か
つ、いずれの場合も該成形体中の難燃剤含有率を0.2
〜8重量%としなければならない。
【0029】本発明に係る不燃性成形体の有する凹部
は、深さが0.5mm以上、最大開口幅が1mm以上、
最小長さが5mm以上でなければならない。深さが0.
5mm未満あるいは最大開口幅が1mm未満もしくは、
最小長さが5mm未満の場合、後述する基材試験時の凹
部への高温雰囲気の侵入あるいは流通を生じにくくあえ
て難燃剤を含有しなくとも十分な不燃性能を確保でき
る。また、優れた意匠性を確保するためにも深さが0.
5mm以上、最大開口幅が1mm以上、最小長さ5mm
以上とする必要がある。
【0030】本発明に係る不燃性成形体の有する凸部
は、高さが0.5mm以上でなければならない。高さが
0.5mm未満では意匠性が不十分となる。また、凸部
について、該凸部の幅及び長さを限定しなかったのは、
凸部を有する場合、試料を所要枚数重ねて基材試験体を
構成する際に凸部によって生ずる各試料間の間隙の大き
さが凸部の高さによりほぼ決定され、凸部の幅が1mm
未満あるいは長さが5mm未満であっても高さが0.5
mm以上であれば基材試験時にこの間隙に高温雰囲気が
侵入し流通するため、難燃剤を含有せしめて不燃性能低
下を回避する必要があるためである
【0031】本発明に係る不燃性成形体の有する凹部ま
たは凸部は、該凹部または凸部を有する面において、当
該表面に占める該凹部もしくは凸部の最大投影面積が5
%以上となるものでなければならない。最大投影面積が
5%未満では意匠性が不十分となるとともに、基材試験
体を構成する際に該凹部もしくは凸部によって生ずる各
試料間の間隙が小さくなり、基材試験時の該間隙への高
温雰囲気の侵入あるいは流通による不燃性能の悪化はわ
ずかとなり、あえて難燃剤を含有しなくとも十分な不燃
性能を確保できる。
【0032】
【作用】本発明の不燃性成形体における不燃性能向上効
果の発現機構の詳細については未だ不明であるが、多量
の含水無機化合物あるいは多量の含水無機化合物と炭酸
塩を含有し、かつ少量の有機系物質を含有する不燃性基
材の表面に所定の凹部もしくは凸部を有する成形体が、
高温雰囲気に置かれた際、不燃性基材中に存在する少量
の難燃剤により、該難燃剤と含水無機化合物あるいは含
水無機化合物と炭酸塩との相互作用により難燃剤の分解
に伴う発煙等を露呈させることなく燃焼が鎮静化され、
総合的に優れた不燃性を発揮させることができるものと
考えられる。
【0033】以下に、後で実施例として示すところの基
材試験での試験結果に基づく発明内容を示す。基材試験
は約40mm角の試料を約50mmの高さになるように
重ねて試験体とし、この試験体を所定の高温炉の中に所
定時間投入し燃焼せしめる試験である。まず、多量の含
水無機化合物と炭酸塩を含有する不燃性基材(後述の比
較例2)と、該不燃性基材に図2に示す凹部を形成せし
めた成形体(後述の比較例3)について基材試験を実施
(凹部もしくは凸部を有する試料を重ねる時は1段ごと
に向きが交互となるようにした。以下において同様。)
したところ、凹部の存在により炉内温度上昇がかなり大
きくなり不燃性能が悪化した。
【0034】それぞれの基材試験終了後の試験体の中央
層に位置する試料の高温雰囲気接触面から試料内部に向
かっての燃焼進行状態の観察図を図9及び図10に示し
た。図9は凹部のない場合を、図10は凹部のある場合
を示す。図9及び図10からわかるように、凹部がない
場合は中央部に余り変化していない部分がかなり残存し
ているのに対して凹部がある場合はあまり変化していな
い部分は残存せず、中央部も薄黒く炭化しており、凹部
がない場合に比べ全体にかなり燃焼が進行していること
がわかる。
【0035】さらに、多数次の試行と試験前後での重量
変化及び燃焼状態の観察により、これは凹部もしくは凸
部を有する試料を重ねて基材試験体を構成した時に形成
される各試料間の間隙に燃焼炉内の高温雰囲気が侵入し
流通することにより試験体内部にまで熱が伝わりやすく
なり凹部もしくは凸部をがなければ燃焼せずに残る部分
をも燃焼せしめるに至るためと考えられる。また、凹部
もしくは凸部がある場合、基材試験中に赤熱する面積が
増大し、該赤熱部分からのふく射熱が増加することも炉
内温度上昇が大きくなる要因の1つと考えられる。そこ
で、この凹部もしくは凸部による不燃性能の低下を回避
すべく鋭意検討した結果、不燃性基材に少量の難燃剤を
含有せしめることにより、凹部もしくは凸部を有してい
ても基材試験における性能低下を回避できることをつき
とめた。
【0036】次に具体例を基に説明する。多量の含水無
機化合物と炭酸塩および難燃剤を本発明で特定する含有
率範囲内で含有する不燃性基材(後述の比較例1)と該
不燃性基材に図2に示す凹部を形成せしめた本発明にか
かる成形体(後述の実施例1)について、基材試験を実
施したところ、炉内温度上昇はほぼ同程度であり、凹部
の存在による炉内温度の増大は認められず不燃性能は悪
化しなかった。それぞれの基材試験終了後の試験体の中
央層に位置する試料の高温雰囲気接触面から試料内部に
向かっての燃焼進行状態の観察図を図11および図8に
示した。図11は凹部のない場合を、図8は凹部のある
場合を示す。
【0037】図8及び図11並びに前述の図9及び図1
0から次のように判断される。すなわち、凹部がない場
合の難燃剤の有無による基材試験への影響を図9と図1
1で比較すると、難燃剤含有により、難燃剤の分解によ
る炭化促進作用によると思われるかなり黒っぽくなった
部分が認められるものの、図9と図11とは概略同様な
形態を呈しており、実際、炉内温度上昇も図9(比較例
2)の場合と図11(比較例1)の場合とでほとんど差
がない。このことは凹部がない場合、難燃剤が含有され
なくとも十分な不燃性があるためあえて難燃剤を含有せ
しめても該難燃剤がさほど機能していないためと考えら
れる。
【0038】これに対して、凹部がある場合の難燃剤の
有無による基材試験への影響を図8と図10で比較する
と、難燃剤なしの場合、凹部からの高温雰囲気の侵入の
ためか中央部にまで燃焼が進行しあまり変化していない
部分は残存せず中央部まで薄黒く炭化しているが、難燃
剤含有の場合、中央部で難燃剤の分解による炭化促進作
用によると思われるかなり黒っぽくなった部分が広がっ
ているのが認められ、図8と図10とは形態に大きな違
いが認められる。
【0039】実際、炉内温度が図10(比較例3)の場
合に比べ図8(実施例1)の場合かなり低く押えられる
ことから、図8の場合、凹部からの高温雰囲気の侵入に
より成形体中に含有される難燃剤が効果的に機能し、そ
の炭化促進作用等により成形体中の有機物質の燃焼を実
質的に抑制し、結果的に優れた不燃性能が得られたもの
と考えられる。なお、不燃性基材中の含水無機化合物あ
るいは含水無機化合物と炭酸塩の含有率を95重量%を
超えて、さらに高含有率にすれば凹部もしくは凸部を形
成させても基材試験での炉内温度の上昇をある程度は押
え得るが、前述した赤熱部分からのふく射熱にかかわる
要因を解消することは難しい。また、この場合、不燃性
基材中の無機質の過多により該不燃性基材の製造が難し
くなり、諸強度を著しく低下し、切削機による加工も困
難となり実用には供し得ない。
【0040】一般に、難燃剤は高温加熱時に分解し、多
量の発煙を伴うので高度の不燃性能を求める場合、難燃
剤を配合するのは好ましくない。まして、本発明に係る
不燃性基材の如く含水無機化合物あるいは含水無機化合
物と炭酸塩を75〜95重量%と多量に含有する場合、
難燃剤を全く含有しなくとも十分に優れた不燃性能を確
保できるため、あえてこのような不燃性基材に難燃剤を
含有せしめても有利性はなく難燃剤配合に伴いコストが
上昇すること及び発煙量が増大する危険を内在すること
により商品イメ−ジが低下しかねないことを併せ考えれ
ば、むしろ不利となる。
【0041】しかるに、本発明の不燃性基材に所定の凹
部もしくは凸部を有する不燃性成形体においては、今ま
でかかる高度な不燃性を有する不燃性基材に配合しても
何ら有利性がなくむしろ不利となると考えられていた難
燃剤を少量配合することにより、この少量の難燃剤がき
わめて効果的に作用し、難燃剤と不燃性基材の主成分で
ある含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩と
の物理的、化学的相互作用により、あくまで主たる不燃
性能は含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩
に依存しつつも、凹部もしくは凸部の存在に起因する不
燃性能悪化という不利条件を回避し、かつ難燃剤配合で
当然予想される発煙量の増加等を全く生じないというき
わめて好都合な結果を得ることができる。
【0042】難燃剤を含有する系においては、本来難し
いと思われる発煙回避がきわめて良好に達成されること
から、難燃剤の作用による不燃性基材中の可燃成分の燃
焼が効果的に押えられると共に、不燃性基材中の含水無
機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の熱分解によ
って生成した水蒸気あるいは水蒸気と二酸化炭素の作用
により難燃剤の熱分解に起因する発煙などがきわめて効
果的に防止され、優れた不燃性能を獲得できるものと考
えられる。
【0043】
【実施例】次に本発明を以下の実施例に基いてさらに具
体的に説明する。本実施例中の各項目の測定は次の方法
によった。 不燃性:昭和45年建設省告示第1828号の基材試
験による。 実施例1 市販の針葉樹系未晒硫酸塩パルプとガラス繊維(繊維径
3μmである。以下、同じ)を離解機にて離解して得た
セルロ−ス繊維とガラス繊維の混合分散液の所定量を取
り、これに水酸化アルミニウム粉体(平均粒子径5.7
μmである。以下、同じ)、炭酸カルシウム粉体(平均
粒子径1.5μmである。以下、同じ)及び粉末状フェ
ノ−ル樹脂(平均粒子径30μmである。以下、同じ)
を添加し、撹拌機にて十分に分散混合後、角型テスト抄
紙機にて抄紙し、圧搾、乾燥して得たシ−トに市販の液
状スルファミン酸グアニジン系難燃剤を含浸せしめ、乾
燥し、さらに熱プレスにて加熱処理(温度175℃、圧
力20kg/cm2 、時間20分)して厚さ約4mmの
不燃性基材を得た。次に該不燃性基材の片面を切削機に
て切削処理し、図2に示すような凹部(20mm間隔で
互いに平行する深さ2mm、最大開口幅4mmのV溝)
を有する成形体Aを得た。成形体Aについて不燃性を測
定し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示し
た。
【0044】実施例2 実施例1で得た熱プレス後の不燃性基材の片面を切削機
にて切削処理し、図3に示すような凹部(10mm間隔
で互いに平行する深さ2mm、最大開口幅4mmのV
溝)を有する成形体Bを得た。成形体Bについて不燃性
を測定し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示
した。
【0045】実施例3 実施例1で得た熱プレス前の不燃性基材を用いて金型に
よる成形(金型温度175℃、圧力20kg/cm2
時間20分)を行い、図4に示すような凸部(20mm
間隔で互いに平行する高さ1mm、最大幅2mmのリブ
形状)を有する成形体Cを得た。成形体Cについて不燃
性を測定し、その結果を各成分の含有率とともに表1に
示した。
【0046】実施例4 実施例1で得た熱プレス後の不燃性基材の片面にウレタ
ン系接着剤を用いて厚さ0.2mmの天然木突板を接着
し、次に該突板面を切削機にて切削処理し、図5に示す
凹部(10mm間隔で互いに平行する深さ2mm、最大
開口幅4mmのV溝)を有する成形体Dを得た。成形体
Dについて不燃性を測定し、その結果を各成分の含有率
とともに表1に示した。
【0046】実施例5 市販の針葉樹系未晒硫酸塩パルプを離解機にて離解して
得たセルロ−ス繊維分散液の所定量を取り、これに水酸
化アルミニウム粉体及び粉末状フェノ−ル樹脂を添加
し、撹拌機にて十分に分散混合後、角型テスト抄紙機に
て抄紙し、圧搾、乾燥して得たシ−トを熱プレスにて加
熱処理(温度175℃、圧力20kg/cm2 、時間2
0分)して厚さ約4mmの不燃性基材を得た。次に該不
燃性基材の片面を切削機にて切削処理し、図3と同様の
形状の凹部(10mm間隔で互いに平行する深さ2m
m、最大開口幅4mmのV溝)を形成せしめた後、市販
の液状スルファミン酸グアニジン系難燃剤を含浸せし
め、乾燥し、成形体Eを得た。成形体Eについて不燃性
を測定し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示
した。
【0047】実施例6 実施例5において水酸化アルミニウム粉体に代えて水酸
化マグネシウム粉体(平均粒子径10μmである。以
下、同じ)を用いた以外は実施例5と同様にして熱プレ
ス前の不燃性基材を得た。該不燃性基材を用いて金型に
よる成形(金型温度175℃、圧力20kg/cm2
時間20分)を行い、図1に示すような凹部(深さ2m
m、最大開口幅4mm、長さ20mmのV溝が互いに平
行に10mm間隔で千鳥配列をとる。)を形成せしめた
後、市販の液状スルファミン酸グアニジン系難燃剤を含
浸せしめ、乾燥し、成形体Fを得た。成形体Fについて
不燃性を測定し、その結果を各成分の含有率とともに表
1に示した。
【0048】実施例7 厚さ0.5mmの柔軟で屈曲自在なガラスクロスに、実
施例1で得た熱プレス後の不燃性基材をウレタン系接着
剤で接着し、次に該不燃性基材表面を切削機にて切削処
理し、図6に示す凹部(20mm間隔で互いに平行する
最大開口幅5mmのV溝で、深さは4mmでガラスクロ
スに至る。)を有する成形体Gを得た。成形体Gについ
て不燃性を測定し、その結果を各成分の含有率とともに
表1に示した。成形体Gは曲率半径100mmの曲面下
地に良好に施工することができた。
【0049】比較例1 実施例1で得た熱プレス後のまだ切削処理を施していな
い不燃性基材について不燃性を測定し、その結果を各成
分の含有率とともに表1に示した。
【0050】比較例2 比較例1において液状スルファミン酸グアニジン系難燃
剤を含浸せしめない以外は比較例1と同様にして得た熱
プレス後の不燃性基材について不燃性を測定し、その結
果を各成分の含有率とともに表1に示した。
【0051】比較例3 実施例1において液状スルファミン酸グアニジン系難燃
剤を含浸せしめない以外は実施例1と同様にして凹部を
有する成形体Hを得た。成形体Hについて不燃性を測定
し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示した。
【0052】比較例4 実施例2において液状スルファミン酸グアニジン系難燃
剤を含浸せしめない以外は実施例2と同様にして凹部を
有する成形体Iを得た。成形体Iについて不燃性を測定
し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示した。
【0053】比較例5 実施例3において液状スルファミン酸グアニジン系難燃
剤を含浸せしめない以外は実施例3と同様にして凸部を
有する成形体Jを得た。成形体Jについて不燃性を測定
し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示した。
【0054】比較例6 実施例4において液状スルファミン酸グアニジン系難燃
剤を含浸せしめない以外は実施例4と同様にして凹部を
有する成形体Kを得た。成形体Kについて不燃性を測定
し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示した。
【0055】比較例7 実施例5において各成分の配合量を変化させた以外は実
施例5と同様にして熱プレス後の不燃性基材(厚さ約4
mm)を得た。この不燃性基材について不燃性を測定
し、その結果を各成分の含有率とともに表1に示した。
ただし、この不燃性基材はきわめて強度が弱く、実用に
は供し得ない。また切削機による切削処理したところ切
削部より破断してしまった。
【0056】実施例8 実施例1で得た熱プレス前の不燃性基材に、メラミン樹
脂含浸紙(120g/m2 )を積層し金型による一体成
形(金型温度175℃、圧力20kg/cm2、時間2
0分)を行い、図7に示すような湾曲面の内側に凹部
(10mm間隔で互いに平行する深さ1.5mm、最大
開口幅5mmのV溝)を有し、全体として湾曲形状を有
する良好な成形体Lを得た。図7に示すような成形体を
さらに長手方向に2分割して凹部を有する内側が表面に
現れるように室内のコ−ナ−部の化粧材として用いるこ
とができた。
【0057】比較例8 実施例8において、実施例1で得た熱プレス前の不燃性
基材に代えて粉末状フェノ−ル樹脂を配合しない以外は
実施例1と同様にして得た熱プレス前の不燃性基材を用
いた以外は実施例8と同様にしてメラミン樹脂含浸紙と
の一体成形を行ったが、不燃性基材に割れが生じ、良好
な成形体を得ることができなかった。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】上記実施例1〜8、比較例1〜8、表1
及び図1〜図11からわかるように、本発明に係る不燃
性成形体は、含水無機化合物あるいは含水無機化合物と
炭酸塩の合計が75〜95重量%で、その他にセルロ−
ス繊維と熱硬化性樹脂を含有する不燃性基材の表面に所
定形状の凹部もしくは凸部を有し、かつ所定部位に所定
量の難燃剤を含有したものか、柔軟性を有し屈曲自在な
不燃性裏打材上に前記した不燃性基材が接着され所定形
状の凹部を有しかつ所定部位に所定量の難燃剤を含有し
たものであるので、高度の不燃性を有し、かつ意匠性に
優れる不燃性成形体もしくは高度の不燃性と優れた意匠
性を有しかつ曲面地下に対する良好な施工性を有する不
燃性成形体が得られる。
【0060】実施例1と比較例3、実施例2と比較例
4、実施例3と比較例5、実施例4と比較例6をそれぞ
れ比較すればわかるように、本発明で特定した凹部もし
くは凸部を有する成形体の場合、本発明で特定した部位
に所定量の難燃剤を含有することにより、基材試験の炉
内温度上昇を低く押えることができる。その結果、難燃
剤なしの場合、凸部を有するとき(比較例5)及び突板
接着したとき(比較例6)共に炉内温度上昇が50℃を
越え昭和45年建設省告示第1828号に規定される不
燃材料に不合格となったのに対して、本発明によればこ
れらに対応する実施例3及び実施例4共に炉内温度上昇
を50℃未満に低減することができ不燃材料合格となっ
た。
【0061】また、難燃剤含有時に生じやすい発煙も全
くない。さらに、成形体が所定の凹部を有しないとき
は、たとえ難燃剤を含有せしめてもそれによる効果はほ
とんど発揮されない(比較例1、2参照)ことから、係
る難燃剤含有による効果は成形体が本発明で特定した凹
部もしくは凸部を有する場合に特有のものであるといえ
る。
【0062】また、本発明に係る不燃性基材は切削加工
性が良好で耐割裂性の点でもケイカル板に比して優位性
を有するとともに、不燃性基材中に熱硬化性樹脂を少量
ではあるが含有せしめることとしたので、必ずしも切削
によらずとも、熱圧成形などによっても各種形状付与が
でき特に切削処理では実用上困難な凸形状の付与も容易
に行え、かつ必要に応じて2層以上の不燃性基材を互い
に強固に熱圧着せしめたり、湾曲形状、L字形状の各種
形状とすることもでき、きわめて意匠性に富み、同時に
高度の不燃性を有する不燃成形体を容易に得ることがで
きる。加えて、表面に各種形状の凹部もしくは凸部を有
する本発明の不燃性成形体を内壁の化粧材等に用いるこ
とにより吸音特性等の音響性能面にも効果的な作用を期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られたV溝が千鳥配列した形状
の凹部を有する成形体の斜視図である。
【図2】本発明により得られたV溝形状の凹部を有する
成形体の断面図である。
【図3】本発明により得られたV溝形状の凹部を有する
成形体の断面図である。
【図4】本発明により得られたリブ形状の凸部を有する
成形体の断面図である。
【図5】本発明により得られたV溝形状の凹部を有する
成形体の断面図であり、突板を接着した場合を示す。
【図6】本発明により得られたV溝形状の凹部を有する
成形体の断面図であり、ガラスクロス製裏打ち材を接着
した場合を示す。
【図7】本発明により得られたV溝形状の凹部を有する
成形体の斜視図であり、湾曲形状を有する場合を示す。
【図8】基材試験終了後の試験体の中央層に位置する試
料の燃焼状態の観察図であり、表面に凹部を有する成形
体で、難燃剤を含有する場合を示す。
【図9】基材試験終了後の試験体の中央層に位置する試
料の燃焼状態の観察図であり、表面に凹部を有しない不
燃性基材で、難燃剤を含有しない場合を示す。
【図10】基材試験終了後の試験体の中央層に位置する
試料の燃焼状態の観察図であり、表面に凹部を有する成
形体で、難燃剤を含有しない場合を示す。
【図11】基材試験終了後の試験体の中央層に位置する
試料の燃焼状態の観察図であり、表面に凹部を有しない
不燃性基材で、難燃剤を含有する場合を示す。
【符号の説明】
1 基材試験終了後の試験体の中央層に位置する試料 2 白く灰化した部分 3 黒く炭化した部分 4 薄黒く炭化した部分 5 黒っぽく変色した部分 6 あまり変化していない部分 7 凹部 8 成形体 9 凸部 10 表面化粧材 11 接着剤 12 裏打ち材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/22 KAE C08K 3/22 KAE 3/26 KAF 3/26 KAF C08L 1/02 LAL C08L 1/02 LAL 101/00 LSY 101/00 LSY C09K 21/14 C09K 21/14 E04B 1/86 E04B 1/86 E

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水無機化合物が固型分で75〜95重
    量%で、その他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含
    有する不燃性基材の少なくとも片面に深さ0.5mm以
    上、最大開口幅1mm以上、最小長さ5mm以上の複数の凹
    部を有し、該凹部を有する面において前記した不燃性基
    材表面に占める該凹部の最大投影面積が5%以上で、か
    つ少なくとも該凹部の表層部及びその近傍に難燃剤を含
    有し、かつ上記不燃性基材中の難燃剤の含有率が固形分
    で0.2〜8重量%であることを特徴とする不燃性成形
    体。
  2. 【請求項2】 含水無機化合物と炭酸塩の合計が固形分
    で75〜95重量%で、その他にセルロ−ス繊維及び熱
    硬化性樹脂を含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固
    形分重量比で60/40より含水無機化合物過多側であ
    る不燃性基材の少なくとも片面に深さ0.5mm以上、最
    大開口幅1mm以上、最小長さ5mm以上の複数の凹部を有
    し、該凹部を有する面において前記した不燃性基材表面
    に占める該凹部の最大投影面積が5%以上で、かつ少な
    くとも該凹部の表層部及びその近傍に難燃剤を含有し、
    かつ上記不燃性基材中の難燃剤の含有率が固形分で0.
    2〜8重量%であることを特徴とする不燃性成形体。
  3. 【請求項3】 含水無機化合物が固形分で75〜95重
    量%で、その他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含
    有する不燃性基材の少なくとも片面に、高さ0.5mm以
    上の複数の凸部を有し、該凸部を有する面において前記
    した不燃性基材表面に占める該凸部の最大投影面積が5
    %以上で、かつ少なくとも全表層部及びその近傍に難燃
    剤を含有し、かつ上記不燃性基材中の難燃剤の含有率が
    固形分で0.2〜8重量%であることを特徴とする不燃
    性成形体。
  4. 【請求項4】 含水無機化合物と炭酸塩の合計が固形分
    で75〜95重量%で、この他にセルロ−ス繊維及び熱
    硬化性樹脂を含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固
    形分重量比で60/40より含水無機化合物過多側であ
    る不燃性基材の少なくとも片面に高さ0.5mm以上の複
    数の凸部を有し、該凸部を有する面において前記した不
    燃性基材表面に占める該凸部の最大投影面積が5%以上
    で、かつ少なくとも全表層部及びその近傍に難燃剤を含
    有し、かつ上記不燃性基材中の難燃剤の含有率が0.2
    〜8重量%であることを特徴とする不燃性成形体。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載の不燃性
    成形体が曲面を形成することを特徴とする不燃性成形
    体。
  6. 【請求項6】 柔軟性を有し屈曲自在な不燃性裏打材上
    に含水無機化合物が固形分で75〜95重量%で、その
    他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を含有する不燃性
    基材が接着され、該不燃性基材の表面に最大開口幅1mm
    以上で互いに平行な複数の凹部を有し、該凹部の底が前
    記した不燃性裏打材に至っており、該凹部を有する面に
    おいて前記した不燃性基材表面に占める該凹部の最大投
    影面積が5%以上で、かつ少なくとも該凹部の表層部及
    びその近傍に難燃剤を含有し、かつ上記不燃性基材中の
    難燃剤の含有率が固形分で0.2〜8重量%であること
    を特徴とする不燃性成形体。
  7. 【請求項7】 柔軟性を有し屈曲自在な不燃性裏打材上
    に含水無機化合物と炭酸塩の合計が固形分で75〜95
    重量%で、その他にセルロ−ス繊維及び熱硬化性樹脂を
    含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で
    60/40より含水無機化合物過多側である不燃性基材
    が接着され、該不燃性基材の表面に最大開口幅1mm以上
    で互いに平行な複数の凹部を有し、該凹部の底が前記し
    た不燃性裏打材に至っており、該凹部を有する面におい
    て前記した不燃性基材表面に占める該凹部の最大投影面
    積が5%以上で、かつ少なくとも該凹部の表層部及びそ
    の近傍に難燃剤を有し、かつ上記不燃性基材中の難燃剤
    の含有率が固形分で0.2〜8重量%であることを特徴
    とする不燃性成形体。
  8. 【請求項8】 含水無機化合物は水酸化アルミニウム、
    水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、2水和石こう
    及びアルミン酸化カルシウムの中から選ばれた少なくと
    も1種類からなる請求項1、2、3、4、5、6または
    7記載の不燃性成形体。
  9. 【請求項9】 炭酸塩は炭酸カルシウムである請求項
    1、2、3、4、5、6、7または8記載の不燃性成形
    体。
  10. 【請求項10】 熱硬化性樹脂はフェノ−ル樹脂、メラ
    ミン樹脂、ニポキシ樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン樹脂
    及び不飽和ポリエステル樹脂の中から選ばれた少なくと
    も1種類からなる請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8または9記載の不燃性成形体。
  11. 【請求項11】 不燃性基材は2層以上のシ−ト層の積
    層体からなる請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9または10記載の不燃性成形体。
  12. 【請求項12】 不燃性基材は2枚以上の不燃性基材の
    積層成形体からなる請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9、10または11記載の不燃性成形体。
  13. 【請求項13】 難燃剤は炭化促進作用を有する難燃剤
    である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
    0、11または12記載の不燃性成形体。
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JP2007177147A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Asahi Organic Chem Ind Co Ltd フェノール樹脂成形材料
JP2008047460A (ja) * 2006-08-18 2008-02-28 Hokuetsu Paper Mills Ltd 照明調整具用シート及びそのシートを用いた照明調整具

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