JPH082343B2 - 手術用顕微鏡 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は観察光学系を有する眼科装置、殊に被検眼
（患者眼も含む）の角膜形状や屈折力を測定又は検査す
ることができる手術顕微鏡に関するものである。

［従来技術］ 近年、IOL移植手術等眼の透光体部分の手術が広く行
われるに至ったが、手術に伴う形状や機能の変化殊に角
膜乱視の発生の問題が指摘されている。このため手術中
においても角膜形状の変化を正確に把握し、縫合の際糸
の引張り加減を調節する等適切な措置を講ずることが必
要になってきた。

従来、手術中においても角膜形状を測定できる手術顕
微鏡としては、手術顕微鏡に角膜形状測定装置を固定し
たものがあった。

第５図は特開昭59-155232号公報に記載されている１
従来装置の断面図である。

光源101を点灯して、投影視標102を被検眼103の角膜
上に投影すると、角膜反射像102′が形成される。この
角膜反射像102′を手術顕微鏡の対物レンズ104の近傍の
顕微鏡筐体105に固定されている光路変更部材106で反射
し、検出光学系に導く。検出素子107による検出結果に
基づいて、角膜反射像の形状、即ち、角膜反射像の楕円
の長径、短径、楕円軸を求め、この楕円形状を換算して
角膜の曲率半径、乱視度、乱視軸角度を求めるものであ
る。

しかしながら、角膜形状測定装置を固定している手術
顕微鏡には次のような問題がある。

例えば、IOL移植手術をとってみても理解できるよう
に、手術中角膜形状は常時測定ないし視察する必要があ
るわけではない。これを測定する時間が手術全体に要す
る時間に対して占める割合は極めて小さい。反面、角膜
形状測定装置が付属されていることによる不都合は大き
い。即ち、術者は被検眼を顕微鏡を介してのみ観察する
のではなく、直接これを確認しつつ手術を進めるのが一
般であるが、角膜形状測定装置が術者の視野を狭めてし
まうので、術者は大きく顔を動かさざるを得なくなる。
また、縫合の際の手の移動や補助者が介添えするときに
角膜形状測定装置に触れる等の問題が生じる。

［発明の目的］ 本発明は上記問題点に鑑みて、手術顕微鏡等の眼科装
置に被検眼の角膜形状等の情報を得ることのできる装置
を取付けても、装置を取付ける以前の状態で、術者が手
術等を行うことができる眼科装置を提供することを目的
とする。

［発明の概要］ 本発明は、上記目的を達成するために顕微鏡光学系を
備え、手術眼に手術を施す際に手術眼を観察するための
手術用顕微鏡において、手術眼に角膜形状を測定するた
めの指標を手術眼に投影する指標投影手段と被検眼から
の該指標の反射光を前記観察光学系から分岐する分岐手
段と該分岐手段を介して前記指標を検出する検出手段を
持つ測定ユニットと、該測定ユニットを一体として保持
しかつ前記指標投影手段を前記分岐手段を介さずに被検
眼に直接投影する位置に配置する保持筐体と、該保持筐
体を所定の測定位置と術眼の視野を妨げずかつ顕微鏡光
学系から遠ざかった退避位置との間を案内手段にしたが
って移動する移動手段と、該移動手段を前記手術用顕微
鏡に取付けるする取付け手段と、を備えることを特徴と
する。

［発明の実施例］ 以下、本発明の実施例である手術顕微鏡に取付けて角
膜形状を測定する装置を図面に基づいて説明する。

まず、角膜形状測定装置部の概要を説明する。第４図
は角膜形状測定装置部の光学系の概略図である。

発光ダイオード等の点光源11a、11bより出射したコリ
メーティングレンズ12a,12bにより平行光束となり被検
眼10の角膜上に所定の角度をもって投影され、虚像であ
る点光源像11a′,11b′ができる。同様に点光源11aを光
軸Ｏに対し90°回転させた位置にある図示なき点光源11
cより出射した光束は図示なきコリメーティングレンズ1
2cにより平行光束となり、被検眼10の角膜上に所定の角
度をもって投影され、点光源像11c′ができる。

角膜によって鏡面反射された光束はダイクロイックミ
ラー13によって反射され、方向を変える。ダイクロイッ
クミラー13は手術顕微鏡の観察系光束を透過し、角膜形
状の測定系の光束を反射するようにしてある。本実施例
では光軸Ｏを視軸と重なるように構成してあるが、測定
精度に実質的に影響を与えない一定の範囲内では、特に
補正を加えることなくこれをずらすことができる。手術
顕微鏡の観察系に影響を与えない位置に光軸を移動させ
れば、ダイクロイックミラー13の代りに単まるミラーを
使用することができる。

ダイクロイックミラー13によって反射された光束は二
次元イメージセンサ16の検出面と点光源像11a′,11b′,
11c′が共役となる位置に配置されている結像レンズ、
その像側焦点位置に配置されているテレセントリック絞
り15を通り二次元イメージセンサ16の検出面上に結像す
る。二次元イメージセンサ16の代りに光路をビームスプ
リッタ等で二分して一次元検出素子２個を使うことは既
に公知事項である。。

このようにして得られた点光源像の位置座標から角膜
の曲率半径、乱視度、乱視軸角度を求める方法は本願出
願人による特願昭59-207539号等で公知となっているの
で省略する。

第１図は、本発明の１実施例である角膜形状測定装置
を付加した手術顕微鏡の付加部分の外観図である。第２
図は移動機構に関するＡ−Ａ方向の断面図である。

１は手術顕微鏡本体であり、手術顕微鏡本体１にはマ
ウント２が形成されている。このマウント２は例えば市
販されているカール・ツアイス製の手術顕微鏡にはスリ
ットランプ用マウントがあるのでこれを利用することが
できる。マウント２にはアタッチメント３を介して角膜
形状測定装置部の移動を案内するためのレール部４が固
定されている。５はスライド部であり、角膜形状測定装
置部を一体としてレール部４に沿って移動させる。８は
モータであり、角膜形状測定装置の受光部、測定部等を
内蔵している筐体９に固定されている。モータ８とピニ
オン７の軸とは連結されており、ピニオン７はモータの
運動を伝達する。ピニオン７はレール部４に固着された
ラック６の歯と噛み合っている。

10は被検眼であり、11a,11bは測定用赤外線光源であ
る。

以上のような構成の実施例における動作を説明する。

被検眼10の角膜形状を測定するとき、角膜形状測定装
置部は第１図の状態にある。

角膜形状を測定する必要がないときは、図示なきスイ
ッチでモータ８を作動させる。手術顕微鏡の場合、手は
できるだけ自由にしておくことが望ましいので、そのス
イッチはフットスイッチがよい。モータ８によりピニオ
ン７が回転すると、レール部４に固着されたラック６の
歯と噛み合いピニオンが第１図の右方向に回転移動する
ことによって、角膜形状測定装置部を一体としてレール
部４に沿って移動させる。その移動位置は予めストッパ
ー等で設定しておき、ストッパーに当るとスイッチが切
れるようにしておけば、術者は余分な神経を使わずにす
み、便利である。第３図は角膜形状測定装置部が右方向
に移動した状態を示す。この状態では手術顕微鏡１と被
検眼10との間には何も存在しない状態となり、測定装置
を取付けないのと同じ状態での手術等が可能となる。

第３図の状態から第１図の状態に角膜形状測定装置部
を移動させるときは、フットスイッチによりモータ８を
回転させる。その回転方向は右方向に移動させるときの
反対方向である。ピニオン７は第１図の左方向に回転移
動する。その移動位置は予めストッパー等で設定してお
けば、角膜形状測定の際、その位置合せは容易になる。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明によれば、手術用顕微鏡
に角膜形状の測定装置を取付けても、測定装置が不要な
時はこれを遠ざけることによって測定装置を取付けない
のと同様な状態で使用することができる。

また、指標投影手段は被検眼に直接投影する位置に配
置されるので、ミラー等を介して投影する場合に比べて
投影光路を短くすることができ、装置を小型にすること
ができる。

さらに、測定装置を遠ざけることによって退避させる
ので、装置等と干渉する危険を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の１実施例である角膜形状測定装置を
付加した手術顕微鏡の付加部分の外観図、第２図は移動
機構に関する第１図のＡ−Ａ方向の断面図、第３図は角
膜形状測定装置部が右方向に移動した状態を説明する
図、第４図は角膜形状測定装置部の光学系の概略図、第
５図は特開昭59-155232号公報に記載されている１従来
装置の断面図である。 1:手術顕微鏡本体、2:マウント 4:レール部、5:スライド部 6:ラック、7:ピニオン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】顕微鏡光学系を備え、手術眼に手術を施す
   際に手術眼を観察するための手術用顕微鏡において、手
   術眼に角膜形状を測定するための指標を手術眼に投影す
   る指標投影手段と被検眼からの該指標の反射光を前記観
   察光学系から分岐する分岐手段と該分岐手段を介して前
   記指標を検出する検出手段を持つ測定ユニットと、該測
   定ユニットを一体として保持しかつ前記指標投影手段を
   前記分岐手段を介さずに被検眼に直接投影する位置に配
   置する保持筐体と、該保持筐体を所定の測定位置と術眼
   の視野を妨げずかつ顕微鏡光学系から遠ざかった退避位
   置との間を案内手段にしたがって移動する移動手段と、
   該移動手段を前記手術用顕微鏡に取付けるする取付け手
   段と、を備えることを特徴とする手術用顕微鏡。
2. 【請求項２】請求項１の移動手段は、移動指令を発する
   スイッチと、該スイッチ手段による移動指令に基づいて
   前記保持筐体を駆動するための駆動手段と、を備えるこ
   とを特徴とする手術用顕微鏡。
3. 【請求項３】請求項２のスイッチは、フットスイッチで
   あることを特徴とする手術用顕微鏡。