JPH08234125A - 光走査装置 - Google Patents

光走査装置

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JPH08234125A
JPH08234125A JP7059894A JP5989495A JPH08234125A JP H08234125 A JPH08234125 A JP H08234125A JP 7059894 A JP7059894 A JP 7059894A JP 5989495 A JP5989495 A JP 5989495A JP H08234125 A JPH08234125 A JP H08234125A
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JP
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optical
section
scanning
lens
image plane
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JP7059894A
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English (en)
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Nozomi Inoue
望 井上
高志 ▲はま▼
Takashi Hama
Yujiro Nomura
雄二郎 野村
Kiyuu Takada
球 高田
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Priority to FR9602237A priority patent/FR2731083B1/fr
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B7/00Mountings, adjusting means, or light-tight connections, for optical elements
    • G02B7/008Mountings, adjusting means, or light-tight connections, for optical elements with means for compensating for changes in temperature or for controlling the temperature; thermal stabilisation
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B26/00Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements
    • G02B26/08Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements for controlling the direction of light
    • G02B26/10Scanning systems
    • G02B26/12Scanning systems using multifaceted mirrors

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡素な構成で、温度変化によらず良好な結像性
能を発揮する光走査装置を得ることを目的とする。 【構成】走査光学系の主走査断面、副走査断面につい
て、温度変動に伴う光学特性の変化(光源の波長変動、
レンズ材料の屈折率変動、レンズ自身の熱膨張等)によ
る像面の移動量の大きい方の断面と、光源からコリメー
タレンズまでの距離の変化による像面の移動量の変化の
大きい方の断面を同一とする。さらに、この補正を行っ
た後の温度による像面の移動量が大きい方の断面と、光
学的な像面湾曲の大きい断面を異なるようにして補正す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はレーザビームプリンタ
等に用いられる光走査装置に関するもので、特に温度変
動による光学特性の劣化を補償する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の光走査装置の一例を図10に示
す。半導体レーザー211から射出されたレーザービー
ム(光束)はコリメータレンズ221によって平行光に
コリメートされ、さらにシリンドリカルレンズ222に
より一方向に集束するビームに整形される。整形された
ビームは回転多面鏡走査器230により回転偏向され
る。偏向されたビームは走査レンズ251を経由し、被
走査面240上にスポットとして結像する。この結像点
は、ガウシアンビームのビームウエストにほぼ一致して
いる。走査レンズ251は被走査面250上にビームを
平面結像させるために非点収差,像面湾曲を一定量に抑
えてあり、かつ、負の歪曲収差を持たせることにより回
転多面鏡走査器230で等角速度で偏向されたビームを
被走査面上で等線速走査を行わせる。
【0003】このように画角θで入射する光線に対して
像高yが比例するように変換するとき、走査レンズ25
1の焦点距離をfとするとy=f・θなる関係が成り立
つ。一般にこのようなレンズをfθレンズという。
【0004】また、シリンドリカルレンズ222で集束
されるビームは、回転多面鏡走査器230の偏向面上に
走査方向に平行な線像を結ぶ。この線像は被走査面24
0上で一定のスポットに結像するので、この光学系を副
走査断面でみると回転多面鏡走査器230の偏向面と被
走査面240とは光学的に共役関係になる。従って、回
転多面鏡走査器230の各偏向面の回転軸に対する平行
度が不同であって、偏向されたビームの副走査方向の角
度が偏向面によってばらつくときも共役関係に従って被
走査面240上では副走査方向には同じ位置に結像す
る。このような光学系を回転多面鏡230の偏向面の倒
れを補正する働きにより「面倒れ補正光学系」と称され
ている。
【0005】このように、偏向面上の線像を被走査面2
40では所定の円形あるいは楕円形のスポットとして被
走査面240に結像させるためには、走査レンズ251
は主走査方向と副走査方向で異なる光学特性を有するこ
とになる。このような光学系を「アナモフイック光学
系」と称されている。
【0006】一方、走査レンズ251は、以前は精度の
点から全てガラスレンズで構成されるものが多かった。
しかし近年では、成形による形状の自由度とコストの面
からプラスチックの射出成形品が用いられつつある。特
に、上記のようなアナモフイック光学系を構成するため
にトーリック面を用いたり、さらにその断面が円弧でな
く非球面(あるいは非円弧)状の形状を使用しようとす
る場合、ガラスを加工して現実的なコストでこのような
レンズを得ることは難しく、プラスチックを用いること
で初めて実用できるようになった。
【0007】また、光走査装置の主要な用途の一つであ
るレーザービームプリンタでは、解像度の向上が図られ
ている。そのためには、被走査面240上に結像される
スポットの大きさもそれに応じて小さくする必要が生じ
る。従って、結像性能の高い光学系を設計することは勿
論のこと、光走査装置の組立時には主走査および副走査
の両断面において、被走査面上に光束を結像させるよう
に各レンズの位置などを精密に調整する必要がある。
【0008】さらに、このような高解像度の光学系で
は、初期的には所期の結像性能を有していても、温度変
化などの環境変動によって光束の結像位置が光軸方向に
ずれる、即ちデフォーカスにより結像性能が劣化するこ
とがあり、そのため補正・補償を行うようなさまざまな
機構がこれまで提案されてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術によれば、この環境変動、特に温度変動に
よる結像性能の劣化を防止する方法はいずれも不十分な
ものであった。以下、公表されている特許公開公報に基
づき各々の技術が抱えている課題を説明する。
【0010】まず、特開昭55−43577号公報の発
明では、コリメータレンズの周辺の部材の線膨張率を適
切に選び、コリメータレンズと半導体レーザーの距離の
温度による変動量をコリメータレンズの焦点深度内に収
め、コリメータレンズから射出されるビームの特性が温
度により変動しないようにしたものである。この技術で
は、コリメータレンズ周辺を構成する部材の熱膨張のみ
を考慮しており、光源の波長変動と各レンズの分散によ
る屈折率の変化や、各レンズ材質による屈折率の変動,
レンズ自身の熱膨張などが考慮されておらず、実際の光
学系ではこれらの温度変動によって被走査面から結像点
が離れてしまう場合もあるという問題点を有していた。
【0011】また、コリメータレンズの開口数が小さい
場合には、焦点深度はコリメータレンズ周辺の部材の線
膨張率を特に注意して選択しなくとも十分に問題がない
ほど大きな値(例えば数10μm)になる。しかし実際
には、光源とコリメータレンズの距離の変動が光源から
被走査面に至る全光学系の縦倍率によって拡大され、像
面に対して結像位置が大きく前後に変動してしまうとい
う課題を有していた。さらに、この技術では交換可能な
レーザーユニットを出る光束の特性を一定に保持するこ
とを課題としており、後で説明するようにコリメータレ
ンズより射出される光束の性質を温度によって積極的に
変化させて走査光学系の温度による結像性能の変化を補
償しようとするものではない。
【0012】次に、特開昭63−7530号公報の発明
では、上記の発明で開示されてない温度による半導体レ
ーザーの波長変動に対してコリメータレンズにガラスの
分散を用いて所定の色収差を持たせ、それによる屈折率
の変動の伴うコリメータレンズの焦点距離の変動をレン
ズと半導体レーザーを結合する部材の熱膨張によって相
殺する方法が開示されている。しかし、この技術におい
ても依然としてレンズの温度による屈折率の変動や膨張
は考慮されていないという問題点が存在する。
【0013】この発明で開示されている技術も、先に述
べた特開昭55−43557号公報記載の発明のものと
同様にコリメータレンズから射出される光束が温度によ
らず一定の状態(例えば平行光束)を保つように構成さ
れている。ところが、コリメータレンズ以外のレンズの
温度による特性変動を補償するためには、温度に応じて
コリメータレンズを射出する光束の状態(特に拡がり
角)を変化させる方が望ましい。特に、走査レンズにプ
ラスチックを用いた場合、プラスチック材料の温度によ
る屈折率変動はガラスに比べて約1桁大きく、コリメー
タレンズを射出する光束を温度によらず一定の状態に保
った場合、他のレンズで補償を行うことが難しいという
問題点を有していた。
【0014】このように、プラスチックレンズの温度に
よる屈折率の変動をコリメータレンズと半導体レーザー
の距離の変化その他を用いて補正する方法は、特開平3
−3411号公報で開示されている。この方法によれば
走査レンズにプラスチックを用い、その温度による屈折
率の変動やレンズ自身の熱膨張による焦点距離の変動を
半導体レーザーとコリメータレンズの距離や半導体レー
ザーの波長変動を考慮して最適な補正を行うことができ
る。
【0015】ところが、この方法においてもコリメータ
レンズの温度による屈折率の変動や熱膨張は考慮されて
おらず、温度変化に対して十分な補正が達成できるとは
言い難い。また、既に述べたような面倒れ補正光学系を
備えた走査光学系のように、主走査方向と副走査方向と
で温度による結像特性の変化の割合が異なる光学系に対
する補正方法に対しては、上記三つの公報に記載された
発明のどれをとっても何一つ解決策を与えないという問
題点を有していた。また、像面湾曲や非点収差による被
走査面からの像面のずれと、上記の温度による像面のず
れの両方を同時に考慮したものはなかった。
【0016】この発明はこのような点に鑑みてなされた
もので、次に列挙するような様々な要因を全て考慮し、
それら要因による像面の移動量を相互に相殺するか、あ
るいは各要因による移動量の総和を加算して最小値とな
すか、または実用上問題のない範囲まで小さくなるよう
に光学系を最適化することで、環境温度の変動によらず
一定の結像性能を発揮する光走査装置を提供することを
目的とする。 a.各レンズの温度による膨張(あるいは収縮)に伴う
レンズの形状変化。 b.各レンズの温度による位置の変動、特にコリメータ
レンズと光源の距離の変動。 c.光軸に関して、主走査方向と副走査方向で光学特性
が異なる場合の各方向における温度に対する上記の特
性。 d.走査光学系の特性である非点収差と像面湾曲に伴う
偏向角による像面の移動。 なお、これらの要因は必ずしも全てを計算する必要はな
いが、影響度の評価により適宜考慮に入れるものとす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明の第一発明の光走査装置は、光源と、前
記光源から射出される光束を所要の特性に変換する第1
の光学系と、前記第1の光学系より射出された光束を偏
向する偏向器と、前記偏向器によって偏向された光束を
所定の被走査面上に結像させる第2の光学系を有する光
走査装置において、前記偏向器により偏向された光束が
掃引してできる面を主走査断面とし、前記主走査断面と
直交し前記第1,第2の光学系の光軸を含む面を副走査
断面としたときに、前記主走査断面と副走査断面につい
て、前記光源から前記第1の光学系を構成する最初の光
学素子までの距離の変化による像面の光軸方向の移動量
の絶対値が大きい方の断面と、前記第1,第2の光学系
の光学特性の温度変化による像面の光軸方向の移動量の
絶対値が大きい方の断面が同一であることを特徴とする
光走査装置である。また、この発明の第一発明の光走査
装置は、前記第2の光学系を構成する光学素子の少なく
とも一つはプラスチックよりなることを特徴とする。
【0018】また、この発明の第二発明の光走査装置
は、光源と、前記光源から射出される光束を所要の特性
に変換する第1の光学系と、前記第1の光学系より射出
された光束を偏向する偏向器と、前記偏向器によって偏
向された光束を所定の被走査面上に結像させる第2の光
学系を有する光走査装置において、前記偏向器により偏
向された光束が掃引してできる面を主走査断面とし、前
記主走査断面と直交し前記第1,第2の光学系の光軸を
含む面を副走査断面としたときに、前記主走査断面と副
走査断面について、温度変化による像面の光軸方向の移
動量の絶対値が大きい方の断面と、前記第2の光学系の
像面湾曲量の大きい方の断面が互いに異なることを特徴
とする光走査装置である。また、前記第2の光学系を構
成する光学素子の少なくとも一つはプラスチックよりな
ることを特徴とし、さらに、前記第2の光学系の主走査
断面の像面湾曲の光軸方向の中心位置と副走査断面の像
面湾曲の光軸方向の中心位置がほぼ一致することを特徴
とする光走査装置である。
【0019】
【作用】この発明の第一発明においては、主走査断面あ
るいは副走査断面のいずれかにおいて、光学特性の温度
変化により像面の移動量の絶対値は一方の断面が他方の
断面より大きい。これを補償するため、光源からコリメ
ータレンズの距離の温度による変化によって生じる像面
の移動量の絶対値が大きい方の断面を前記の光学特性の
温度変化による像面の移動量の大きい方の断面と一致さ
せ、かつ、移動の方向を逆方向とすることで温度変化に
よる像面の移動を最少に抑えることができる。
【0020】また、この発明の第二発明においては、そ
の上で上記第一発明による補償された後に残った像面の
移動量の残余の大きい方の断面が、走査光学系の像面湾
曲量の小さい断面に一致させることで温度変化を含めて
考えた被走査面に対する像面の変位量を最少に抑えるこ
とができる。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は第一発明の第1実施例の光走査装置の構成を示す
斜視図、図2はその光学系の主走査断面図、図3は光軸
を含み主走査断面に直交する副走査断面図を示してい
る。即ち、半導体レーザー11より射出されたレーザー
ビームはコリメータレンズ21により略平行なビーム断
面形状に整形される。この整形されたビームはシリンド
リカルレンズ22によって回転多面鏡31の偏向面32
上に走査方向に平行な線像を結ぶように結像する。回転
多面鏡31により偏向された光束は走査レンズ51によ
って集束ビームとなる。この偏向された集束ビームは折
り返しミラー61で反射され、方向を変えて被走査面8
1上に所定のスポット形状に結像する。この走査レンズ
51は従来技術で述べたようにfθ特性を有している。
【0022】また、偏向されたビームは被走査面の走査
に先立ち、同期検出用ミラー72で反射され、同期検出
器71に入射して走査毎の信号処理に必要な同期信号を
発生する。これらの構成要素は光学ベース91に固定さ
れている。この光学ベース91はプラスチックで一体に
成形されている。上記走査レンズ51は2枚のレンズ5
1a,51bで構成されており、レンズ51aは光学ガ
ラス,レンズ51bはプラスチックを材料として形成さ
れている。これはレンズ51bの光束を射出する面にト
ーリック面S9を有しており、プラスチックを用いて成
形した方が製作が容易であるからである。
【0023】次に、表1に各レンズの各面S1〜S9の
軸上面間隔d,近軸半径R,屈折率nとしたときの具体
的な光学系の構成を示す。なお、(x)は副走査断面内
での近軸半径を示し、(y)は主走査断面内での近軸半
径を示す。
【0024】
【表1】
【0025】半導体レーザー11から放射されるレーザ
ービームの拡がり角は、半導体素子の接合面に平行な面
内で10°前後、同じく垂直な面内で30°〜40°も
あるため、このビームを有効径の小さなレンズで効率よ
く取り込むためにはコリメータレンズ21の焦点距離が
数mmから20mm程度までのものが一般的である。な
お、上記レーザービームの拡がり角の表示は半値全角で
ある。このようにコリメータレンズ21は光走査装置に
用いられるレンズの中では光学パワーが一番大きくなっ
ている。従って、レンズの曲率半径をあまり小さくしな
いために屈折率の大きな光学材料を選んで形成されてい
る。
【0026】また、半導体レーザー11との結合効率を
高めるためにコリメータレンズ21の開口数を大きくす
る場合には、コリメータレンズ21の球面収差が結像性
能に影響を及ぼすことになる。そこで、面形状を単純な
球面でなく非球面形状とすることがある。非球面形状を
ガラス材料を研磨することで製作することはコスト的に
不利であるので、ガラスモールドレンズがよく用いられ
る。その場合も屈折率とモールドでの成形性(軟らか
さ)のため高屈折率のガラス材料が用いられる。この実
施例では硝種としてSF8(以下、ガラスの材料名はド
イツSHOTT社の商標による)を用いている。非球面
形状を与える非球面係数の定義を下記数1に示す。ただ
し、光学特性の温度による変化を検討するためには近軸
半径を用いて計算すればよい。
【0027】
【数1】
【0028】シリンドリカルレンズ22は通常の光学ガ
ラスで十分特性を満足することができるので、最も一般
的な光学ガラスであるBK7を用いる。走査レンズ51
aもBK7を用いる。走査レンズ51bは先に説明した
ように、プラスチック製レンズであり、アクリル樹脂
(PMMA)で形成されている。
【0029】次に、上記で説明した半導体レーザーや各
レンズへの温度の影響について説明する。まず最初に、
半導体レーザーの温度による発振波長の変化について説
明する。半導体レーザー11は温度によって共振器の長
さが変化するため発振波長が変化する。一般的なGaA
lAsの半導体レーザーでは温度が1℃上昇すると波長
は0.23nm〜0.26nm増加する。この数値を
「dλ/dT」と表す。本実施例では代表的な値として
dλ/dT=0.25(nm/℃)を採用して以下の計
算を行う。
【0030】一方、レンズに用いられる材質の屈折率は
波長に依存する。上記の半導体レーザーの発振波長の中
心値として780nmを用いる。波長による屈折率の変
化(分散)はアッベ数νで表されるが、波長780nm
付近を表示するには適当でない。従って正確には多項式
で表される分散式に波長を代入して屈折率および波長に
よる屈折率変動(以下、「dn/dλ」と表示する)を
求める。一般には波長が長くなるに従い屈折率は低下す
る。
【0031】従って、半導体レーザーの波長変動の影響
は、
【数2】 dn´/dT=(dn/dλ)・(dλ/dT) と表され、温度1℃当りの屈折率の変化で表すことがで
きる。この値を下記に説明する材料自身の温度による屈
折率変動と区別するため、「dn´/dT」と表示す
る。
【0032】次に、レンズ材料の屈折率と温度の関係に
ついて説明する。一般に光学材料の屈折率は温度によっ
て変動する。レンズ材料の屈折率も変化するが、周囲の
空気自身の屈折率も変化する。従って、屈折率の温度に
よる変動率(以下、「dn/dT」と表示する)は同じ
温度の空気を基準にした値を用いる。また、レンズ材料
が温度上昇により膨張し密度が変化することによる屈折
率の変動を含んで表示されている。
【0033】屈折率が温度の上昇に伴って上昇するか低
下するかはレンズ材料によって異なる。例えば、SFL
6のガラスでは他のガラス材料(例えばBK7)に比べ
て温度による屈折率変動は1桁小さい。逆に走査レンズ
51bに用いているアクリル樹脂(PMMA)ではBK
7等に比べて1桁以上も大きい。これらのガラス材料は
温度が上昇すれば屈折率が大きくなる。これに対して、
一般にプラスチック材料では温度が上がれば屈折率が低
下する方向にある。
【0034】最後に、レンズ材料の温度による体積の変
化について説明する。レンズ材料も通常の工業材料と同
様に温度によって体積が膨張する。この比率を1次元の
量とし、温度1℃当りの寸法の変動率として表したもの
が線膨張率βである。本発明では、レンズ以外の例えば
光学ベース等の部材の熱膨張も考慮している。線膨張率
はガラスでは大差はないが、プラスチック材料はガラス
に比べて1桁近く大きい。これらの波長による屈折率変
化dn´/dλ,材料の屈折率変動dn/dT,線膨張
率βの値を代表的な材料について表2に纏めて示す。
【0035】
【表2】
【0036】さて、ここで、図2,図3に示したこの第
一発明の第1実施例で、全体の温度が1℃上昇したとき
の像面の移動量を検討してみる。各レンズ材料の屈折率
変動(dn/dT),分散と波長変動から生じる屈折率
変動(dn´/dT),レンズの膨張(β)による像面
の移動量への寄与の割合と、それら全てを加えたときの
像面の移動量を主走査断面および副走査断面の各々にお
いて計算すると、次の表3のようになる。
【0037】
【表3】
【0038】この表において、温度が変化しても各レン
ズおよび光源(半導体レーザー),被走査面の位置は変
化しないものとして計算してある。符号は像面が光源か
ら遠ざかる方向を正としている。表3に示されるように
走査レンズ51bの光学材料の屈折率変動による像面の
移動量が他の要因によるものと比べて大きくなってい
る。また、他の要因もおおむね像面を遠ざける方向に向
かっていることが分かる。
【0039】さらに詳細に見ると、コリメータレンズ2
1において、波長変動と分散による屈折率の変動に伴う
像面の移動量に比べて、レンズ自身の温度による屈折率
の変動による像面の移動量は約半分で移動方向は逆であ
る。
【0040】また、コリメータレンズ21はガラス製で
あるが、レンズ自身の膨張による像面の移動はプラスチ
ック製である走査レンズ51bのレンズ自身の膨張によ
る像面の移動量とほぼ同等であり、ガラスレンズの場合
でも光学パワーが大きい場合には温度による膨張も考慮
しなければいけないことが分かる。
【0041】これら温度による波長変動,材料の屈折率
変動,レンズ自身の熱膨張による像面の移動を総称して
「光学特性の温度変化による像面の移動」と呼ぶ。上述
した従来の技術で説明したように、いままでガラスレン
ズの熱膨張までを考慮に入れて補正した光走査装置はな
かったが、この発明ではこのように像面の移動に影響を
及ぼす各要因を正当に評価した上で補正の方法を提案し
ている。
【0042】表3に見るように、このまま何らかの補正
手段を設けない場合、像面は副走査断面内では温度1℃
当たり約0.56mm移動する。また、光走査装置の使
用温度範囲15℃での温度差では約8.5mm移動して
しまう。波面の揃ったレーザービームはガウシアンビー
ムとしての特性を有しており、ビームの直径が一番小さ
くなるビームウエストから光軸方向に沿った距離zにお
けるビーム直径dは以下の式で表される。また、ビーム
直径はビームの断面の強度がピーク強度の1/e2 とな
るような直径と定義している。
【0043】
【数3】
【0044】ここで、λは波長,d0 はビームウエスト
でのビーム直径である。この第1実施例のような光学系
ではビームウエストの位置はほぼ幾何学上の結像点に一
致する。
【0045】上記式によれば、レーザービームのスポッ
トサイズがビームウエストで100μmのとき、温度変
動による像面が8.5mm移動すればビーム直径は13
1μmまで大きくなってしまうことになる。例えば、ス
ポットサイズの変動を+20%、即ち120μmまで抑
えようとすれば、像面の移動の許容量は6.7mmとな
る。
【0046】同様に主走査断面内でも、15℃の温度差
のとき像面は約3.2mmだけ移動するが、この量は副
走査断面に比べて小さい。これは先に述べたように、本
実施例の光学系において、温度変動に対して支配的な走
査レンズ51bが主走査断面内より副走査断面内におい
てパワーが強いためである。このように一般にアナモフ
ィックな光学系では、温度変動に対する光学特性の変化
も光軸を含む直交する断面内で異なる場合が多い。言い
換えれば、非点収差量が温度によって変化することにな
る。
【0047】このように、光学特性の温度変動によって
生じる像面の移動を補正するためには、像面の位置を何
らかの方法で検出し、レンズの位置などを微小に変化さ
せて制御する方法も考えられる。このような制御を行え
ば、非常に精密に像面の位置を望ましい被走査面に一致
させることが可能となるが、その構造が複雑で高価なも
のとならざるを得ない。
【0048】そこで、光源やレンズの保持部材の熱膨張
を利用してレンズ間隔を変化させ、前記の光学特性の温
度変化による像面の移動量を相殺するように像面を移動
させればよい。ところが、温度による部材の線膨張率
は、通常の機械材料では大まかに言って1×10-4程度
の数値であるので、像面の移動量そのものに相当する大
きな変位だけ走査レンズを動かすような部材の膨張を得
ることは難しい。勿論、機械的な拡大機構を設ければ可
能であるが、コストが増大するとともに摩擦や変形によ
る変位量の誤差などで信頼性も低下してしまう。そこ
で、レンズの僅かな移動が大きな像面の移動を生じさせ
るような位置にあるレンズを選んで温度による移動量を
設定することが望ましいことになる。
【0049】この第1実施例に挙げた光学系では、他の
部分に比べて光源(半導体レーザー11)とコリメータ
レンズ21の間隔の変化が最も像面の移動に影響を与え
ている。よって、この二つを結合している部分の材質を
適切に選択するだけで特別な機構あるいは制御装置を設
けなくとも光学特性の温度変化による像面の移動を許容
値以下に収めることができる。
【0050】なお、この半導体レーザー11とコリメー
タレンズ21の間隔の変化を除いた他のレンズの光学ベ
ースの熱膨張による温度1℃当りの像面の移動量は、主
走査断面内で約0.001mm,副走査断面内で0.0
15mmとなる。これは前記の表3に記載された各要因
による移動量の和に比べて遥かに小さく、実質的には考
慮しなくてもよい。
【0051】上記の温度変化によるレンズの移動の計算
においては、各レンズは入射側の面で光学ベース91に
取り付けられているとし、半導体レーザー11は発光点
位置で光学ベース91に固定されているとした。
【0052】この第1実施例のコリメータレンズ周辺の
構成の詳細を図4に示す。即ち、半導体レーザー11は
LDホルダ12に挿入されており、コリメータレンズ2
1はコリメータ鏡筒23に取り付けられている。光学ベ
ース91に対してLDホルダ12はねじ止めで、コリメ
ータ鏡筒23は接着剤で固定されている。
【0053】前記の温度の変化による各断面内での像面
の移動の第1の補正の例として、副走査断面内での像面
の移動量がほぼ相殺されるような半導体レーザー11と
コリメータレンズ21の距離の変化量を求めると、温度
1℃当り約0.35μmとなる。なお、符号は半導体レ
ーザー11がコリメータレンズ21から遠ざかる方向を
正としている。このとき主走査断面内では像面は−0.
15mmだけ移動する。即ち、この0.35μmの移動
量に対しては、主走査断面内では0.36mm,副走査
断面内では0.56mm像面が移動している。この光学
系では、光学特性の温度変化による像面の移動量が副走
査断面の方が主走査断面より大きく、半導体レーザー1
1とコリメータレンズ21の距離の変化による像面の移
動も副走査断面の方が大きい。
【0054】つまり、各レンズの光学特性の温度変化に
よる像面の移動量の大きい方の断面が、光源(半導体レ
ーザー11)とコリメータレンズ21の相対距離変動に
よる補正効果も高い。このように温度によって半導体レ
ーザー11とコリメータレンズ21の距離が所定の変化
をするように機構部の構造,材質を選定することで光走
査装置としての温度による像面の移動を最小限に留める
ことができる。
【0055】上記第1の補正の例では、副走査断面内に
おいて温度による像面の移動がほぼ相殺されるように半
導体レーザー11とコリメータレンズ21の距離を変化
させたが、第2の補正の例として、主走査断面で像面の
移動が相殺されるようにすることも可能である。その場
合、半導体レーザー11とコリメータレンズ21の温度
1℃当りの膨張量を0.21μmとすると、主走査断面
では温度変動による像面の移動がほぼ相殺され、逆に副
走査断面内では0.22mmの像面移動が補正されずに
残る。
【0056】さらに、第3の補正の例として、主走査断
面,副走査断面とも像面の移動を若干量残し、その絶対
量を小さくするように設定することが可能である。例え
ば、上記の実施例において、半導体レーザー11とコリ
メータレンズ21の温度による距離の変化(膨張)を温
度1℃当り0.29μmとすると、主走査断面内では
0.09mm光源側に移動し、副走査断面では0.10
mm遠ざかる方に移動する。
【0057】このように、上記第1〜第3の補正の例の
いずれの補正方法を採っても、補正を行わない場合に比
べて主走査断面,副走査断面とも温度1℃当りの像面の
移動量は小さくなっている。上述のように、主走査断
面,副走査断面いずれの断面で像面の移動量を幾つ以下
にするかは、主走査断面,副走査断面のいずれの方向の
解像度が要求されるかによって決まる。
【0058】次に、この第1実施例に対して具体的に補
正方法を検討してみると、光源(半導体レーザー11)
からコリメータレンズ21までの距離は約4.76mm
であるので、例えば上記の第3の補正方法の条件を満た
すためには0.00029/4.76で約61×10-6
となる。従って、光源からコリメータレンズ21までが
全て同一の線膨張係数の部材で構成される場合、この値
の材料を用いればよい。この線膨張率の値は金属材料で
は困難であるが、プラスチック材料で補強材を用いない
か、ガラス入りのプラスチック材料で繊維の流れ方向と
直角に用いれば実現可能な値である。あるいはまた、コ
リメータ鏡筒23の線膨張率をLDホルダ12,光学ベ
ース91に比べて小さくしてもよい。さらに、コリメー
タ鏡筒23の長さを大きくとったり、他の部材を介在さ
せることでも上記のような半導体レーザー11とコリメ
ータレンズ21との距離の変動を得ることができる。
【0059】いままで説明した第1実施例とは逆に、も
し光源とコリメータレンズの距離の変化による像面の移
動が副走査断面より主走査断面の方が大きい場合に、光
学特性の温度変化による副走査断面での像面の移動が生
じないように前記の構造,材料を選択しても、今度は逆
に主走査断面の像面位置が大きくずれて、そのずれ量は
補正を行わない場合の副走査断面の像面の移動量より大
きくなってしまう。
【0060】この発明ではこのような問題点を解決する
ために、光源とコリメータレンズの距離の変動により主
走査断面より副走査断面においてより大きく像面が移動
するように光学系を設定することで、温度による像面の
移動に対する補正効果を高めている。そしてこのこと
は、光軸を含んだ直交断面内での光源から結像点(被走
査面)までの縦倍率の比が、温度によるレンズ特性(波
長変動を含む)の変化による像面の移動量の比により近
い方が補正効果が高くなることを意味している。
【0061】また、光学系の構成においては、光源の像
の結像点が被走査面にはないがビームウエストが被走査
面に一致するような場合もある。このような場合には、
必ずしも光源とコリメータレンズの距離の変化に縦倍率
を掛けた値だけ像面が移動するわけではない。この場合
には、ガウシアンビームの性質を考慮して光源とコリメ
ータレンズの距離の変化に対する像面の移動量を主走査
断面および副走査断面の両方について求める必要があ
る。
【0062】この第1実施例では、コリメータレンズ2
1の後にシリンドリカルレンズ22が配置されている。
このシリンドリカルレンズ22を光軸方向に微小移動さ
せても主走査断面内では像面の移動は殆どないが、副走
査断面内では像面の位置を移動させることができる。従
って、このシリンドリカルレンズ22を単独で温度によ
って光軸方向に移動させるようにしても、主走査断面に
ついて補償を行えば主走査断面および副走査断面いずれ
についても温度による像面の移動をほぼ完全に相殺する
ことができる。
【0063】例えば、この第1実施例では、上記第2の
補正の例のように半導体レーザー11とコリメータレン
ズ21との温度1℃当り相対移動量を0.21μmと
し、シリンドリカルレンズ22を温度1℃当り27μm
光源側に移動する機構にすれば上記の条件に合致し、主
走査断面および副走査断面とも常に被走査面に像面を一
致させることができる。
【0064】このような機構は非常に精度の高い光走査
装置には必要であるが、主として個人ユーザー用のレー
ザービームプリンターなどさほど解像度が要求されない
装置に用いるには構造が複雑で高価である。この発明で
は既に述べたように光源とコリメータレンズの距離の変
化のみを管理するという低価格で簡素な構造にもかかわ
らず、温度変動が生じても比較的に良好な結像性能を得
ることを目標としている。
【0065】図4に示した半導体レーザー11およびコ
リメータレンズ21周辺の構成は、この発明を説明する
ための一例であって、上記のように半導体レーザー11
およびコリメータレンズ21との距離が温度変動によっ
て所要の変化をするものであればどのような構成のもの
であっても適用することが可能である。
【0066】また、この第1実施例では、温度変動によ
る像面の移動が主走査断面内より副走査断面内の方が大
きい場合であったが、光学系の構成によっては主走査断
面の方が副走査断面より像面の移動が大きい場合もあり
得る。そのような場合には、光源とコリメータレンズの
距離の変化により副走査断面内より主走査断面内の方が
像面の移動が大きくなるようにすればよい。また、第1
実施例では、主走査断面および副走査断面とも温度によ
る波長の変動,屈折率の変動,レンズ膨張による像面の
移動方向は同じであったが、これは異なる方向であって
も同様の観点から補正をすることが可能である。
【0067】以上で述べたように、この発明の第一発明
によれば、光源とコリメータレンズ間に介在する機構部
品の線膨張率を適切に選ぶことのみで、温度による像面
の移動量を主走査方向および副走査方向の両断面におい
て実用上十分な範囲に納めることができる。この「実用
上十分な範囲」とは、製品の使用される温度範囲や製品
の解像度にもよるよるが、この第1実施例で既に述べた
とおり約6.7mmとしている。
【0068】次に、この第一発明の第2実施例を図面に
基づいて説明する。図5は光走査装置の構成を示す斜視
図、図6はその光学系の主走査断面図、図7は光軸を含
み主走査断面に直交する副走査断面図である。即ち、光
源である半導体レーザー11より射出されたレーザービ
ームはコリメータレンズ12によりやや集束光となるよ
うなビーム形状に整形される。この整形されたビームは
シリンドリカルレンズ22によってレンズミラー41の
反射面S6上に走査方向に平行な線像を結ぶように結像
する。
【0069】この第2実施例では、コリメータレンズ1
2の開口数を比較的小さく設定することが可能のためコ
リメータレンズ12を光学ガラスであるSFL6を用い
た球面の平凸レンズである。また、シリンドリカルレン
ズ22にはBK7を用いている。偏向ユニットには、本
件特許出願人の先に出願した特開平6−75162号で
提案したレンズミラースキャナを用いている。図5に示
したスキャナモータ35の回転部に取り付けられたレン
ズミラー41は、図6に示すように入射面S5,反射面
S6,射出面S7の三つの光学面を有し、内面反射で偏
向を行う。この入射面S5,射出面S7は後で述べる結
像レンズ81と共に被走査面でのスポットの等線速走査
機能,平面結像(光学特性では像面湾曲,非点収差の補
正)機能を担っている。
【0070】レンズミラースキャナは反射面内に回転軸
Oを位置させたとき、最も良い光学特性を得ることがで
きる場合が多い。従って、スキャナモータ35にはレン
ズミラー41を反射面S6で背中合わせに二つ取り付け
ることができる。このようなレンズミラー41は通常の
回転多面鏡に比べれば外形を小さくすることが可能とな
るので慣性モーメントも小さく、回転による空気抵抗
(風損)の影響も受けにくい。また、慣性2次モーメン
トが小さいため短い時間に高速な回転数まで達すること
ができ、スキャナモータ35が回転を始めてから走査が
可能になるまでの時間が短くてすむことになる。
【0071】レンズミラー41のような形状の光学素子
はプラスチックで一体成形することが可能でありコスト
的にも好ましい。また、プラスチックの密度は小さいた
めレンズミラー41の質量は小さくなり、レンズミラー
の取り付け位置誤差などによるアンバランスを受けにく
くなる。さらに、慣性2次モーメントも少なくてすむ。
その上、プラスチックの射出成形で製作する場合、入射
面S5,射出面S7の形状は球面や円筒面以外に複雑な
形状を安価に形成することができるため容易に結像性能
を改善することが可能になる。あるいはレンズミラー4
1の入射面S5,射出面S7をシリンドリカル面で構成
することにより、通常のシリンドリカルレンズと同様な
方法で加工が可能となり、ガラスを材料として用いる場
合でも比較的に安価に製作することができ、かつ、高度
の表面精度を得ることが容易である。さらに、光学ガラ
スはプラスチックに比べて屈折率の高い材料を得ること
ができる。このため、これらの円筒面の曲率半径を大き
くすることが可能となり、一度の工程でより多くのレン
ズミラーを研磨することで一層のコストダウンが可能で
ある。また、射出面S7を平面としたり、入射面S5を
凸面とすることも可能である。この場合には一層製作が
容易となり、さらに部品単価を削減することができる。
この第2実施例においても、レンズミラー41にはSF
L6を円筒面に研磨したものを用いている。
【0072】一般の回転多面鏡では1回転に反射面の面
数(通常2〜6面)分だけ走査が可能であるに比べて、
既に述べたようにレンズミラースキャナではレンズミラ
ーを二つきり使用しないため1回転の走査数が少ない。
そのため、その分だけスキャナーモータ35を高速に回
転させる必要がある。しかし、レンズミラースキャナで
は、上記のように慣性モーメントが小さく、風損,アン
バランスも少ないのでこのような走査数の少ない欠点を
十分に補うことができる。このレンズミラー41は反射
面S6の手前に負の光学パワーの要素を持つため、射出
面S7より射出される光束の偏向角速度は走査中央付近
では速く、周辺では遅い特性を持っている。これに対し
て、回転多面鏡では偏向される光束の偏向角速度は一定
である。従って、最終的に被走査面上において結像した
スポットが等線速で移動するためには好ましいものとな
る。
【0073】レンズミラー41で偏向されたビームは、
次に図6に示す結像レンズ81に入射する。上記のよう
にレンズミラー41で偏向される光束の角速度は、等角
速度ではなく走査両端に行くにしたがって角速度が小さ
くなる特性を有している。従って、結像レンズ81の特
性も通常の回転多面鏡を偏向器として用いた走査装置と
異なり、いわゆるfθ作用は持たない。このため、従来
の走査レンズのようにfθ特性と平面結像特性の両方を
満たす必要がなくなり、それだけレンズ設計の自由度が
向上したものとなる。
【0074】一般に複数の偏向面を回転させて光束を走
査する場合には、各偏向面の回転軸に対する傾きが加工
誤差などにより相互に僅かづつ異なる。従って、偏向さ
れた光束が被走査面上に描く走査線も使用される偏向面
によって副走査方向に変位を生じる。この状態で画像の
記録,読取りを行うと、走査線ピッチの誤差を生じ画像
の記録,読取りに好ましくない。そこで、副走査断面で
光学系を見たときに、偏向面と被走査面が光学的共役関
係かあるいはそれに近い状態となるように設計すること
で、偏向面の面倒れ誤差による光束の副走査方向の角度
変位を補正することができる。
【0075】この第2実施例においては、結像レンズ8
1の入射面S8は主走査断面内では高次の非球面係数を
もつ非球面(非円弧)であり、副走査断面内では直線と
なる。また、射出面S9も主走査断面内では高次の非球
面係数をもつ非球面(非円弧)であり、副走査断面内で
は光軸からの距離により曲率が連続的に変化する凸円弧
である。この副走査断面の曲率の定義式は下記の数4に
示してある。即ち、副走査断面内では像面側に凸面を向
けた平凸断面になっている。
【数4】
【0076】先に説明したとおり、このような形状の結
像レンズ81をガラスで作ることは困難であるのでプラ
スチックを用いて製作される。この例では、例えば日本
ゼオン社の商標である「ZEONEX」などのアモルフ
ァス・ポリオレフィン樹脂を用いている。この樹脂は先
の第1実施例に用いたアクリル樹脂(PMMA)に比較
して湿度(吸湿)による屈折率あるいは形状の変動を殆
ど生じないため、高精度な光学系に適している。また、
次の表4に各レンズの軸上面間隔d,近軸半径R,屈折
率nの値を示す。なお、(x)は副走査断面内での近軸
半径を示し、(y)は主走査断面内での近軸半径を示し
ている。結像レンズ81の射出面の副走査断面での曲率
の変化式は上記数4で示す式で与えられる。
【0077】
【表4】
【0078】ここで、図6,図7に示したこの第一発明
の第2実施例において、全体の温度が1℃上昇したとき
の像面の移動量を検討してみる。まず、各レンズの材料
の屈折率変化(dn/dT),分散と波長変動から生じ
る屈折率変動(dn´/dT),レンズでの膨張(β)
による像面の移動量への寄与の割合と、それらを全てを
加えたときの像面の移動量を主走査断面および副走査断
面の各々において計算すると、次の表5に示すようにな
る。
【0079】
【表5】
【0080】この表において、温度が変化しても各レン
ズおよび光源,被走査面の位置は変化しないものとして
計算してある。符号は像面が光源から遠ざかる方向を正
としている。この表に示されるように、副走査断面内で
は結像レンズ81の材料の屈折率変動による像面の移動
量が他の要因によるものに比べて大きい。また、他の要
因もおおむね像面を遠ざける方向に向かっている。
【0081】さらにこれを詳細に見ると、コリメータレ
ンズ21においてガラスSFL6を用いているため波長
変動と分散による屈折率の変動に伴う像面の移動量に比
べて、レンズ自身の温度による屈折率の変動による像面
の移動量は非常に小さい。また、レンズの膨張による像
面の移動も、波長変動による移動量に比べて約半分程で
移動方向は同じである。このまま何らかの補正手段を設
けない場合、像面は副走査断面内では温度1℃当たり約
0.22mm移動する。また、光走査装置の使用温度範
囲15℃の温度差では約3.3mm移動することにな
る。
【0082】同様に主走査断面内でも、温度差15℃の
とき像面は約0.8mm移動するが、この量は副走査断
面に比べて小さい。これは先に説明したように、この第
2実施例の光学系において温度変動に対して支配的な結
像レンズ81が主走査断面内より副走査断面内において
パワーが強いためである。
【0083】この第2実施例に挙げた光学系でも、他の
部分に比べて光源(半導体レーザー11)とコリメータ
レンズ21の間隔の変化が最も像面の移動に影響を与え
ている。従って、この二つを結合している部材の材質を
適切に選択するだけで特別な機構あるいは制御装置を設
けなくとも光学特性の温度変化による像面の移動を許容
値以下に収めることができる。なお、この半導体レーザ
ー11とコリメータレンズ21の間隔の変化を除いた他
のレンズの光学ベースの熱膨張による温度1℃当たりの
像面の移動量は、前記の表5に記載された各要因による
移動量の和に比べて遥かに小さく、実質的には考慮しな
くてよい。
【0084】この数値を前提に、第1の補正例として、
副走査断面内での像面の移動量がほぼ相殺されるような
半導体レーザー11とコリメータレンズ21の距離の変
化量を求めると、温度1℃当たり約1.53μmとな
る。なお、符号は半導体レーザー11がコリメータレン
ズ21から遠ざかる方向を正としている。このとき主走
査断面内では像面は−0.1mmだけ移動する。即ち、
この1.53μmの移動量に対しては主走査断面内では
0.15mm,副走査断面内では0.22mm像面が移
動している。この光学系では、光学特性の温度変化によ
る像面の移動量が副走査断面より大きく、光源とコリメ
ータレンズの距離の変化による像面の移動も副走査断面
の方が大きい。つまり、各レンズの光学特性の温度変化
による像面の移動量の大きい方の断面が、光源とコリメ
ータレンズの相対距離変動による像面の補正効果も高
い。このように、温度によって光源とコリメータレンズ
の距離が所定の変化をするように機構部,材質を選定す
ることで光走査装置としての温度による像面の移動を最
小限に留めることができる。
【0085】上記第1の補正の例では、副走査断面内に
おいて温度による像面の移動がほぼ相殺されるように光
源とコリメータレンズの距離を変化させたが、第2の補
正の例として主走査断面で像面の移動が相殺されるよう
にすることもできる。その場合、光源とコリメータレン
ズの温度1℃当たりの膨張量を0.56μmとすると、
主走査断面では温度変動による像面の移動がほぼ相殺さ
れ、逆に副走査断面内では0.14mmの像面移動が補
正されずに残る。
【0086】さらに、第3の補正の例として、主走査断
面,副走査断面とも像面の移動を若干量残し、その絶対
量を小さくするように設定することも可能である。例え
ば、上記第2実施例において、光源とコリメータレンズ
の温度による距離の変化(膨張)を温度1℃当たり1.
13μmとすると、主走査断面内では像面は0.057
mm光源側に移動し、副走査断面では0.057mm遠
ざかる方に移動する。この第2実施例においては、半導
体レーザー11とコリメータレンズ21の間に介在する
部材が全て前記のガラス50%入りポリカーボネイド樹
脂であり、その線膨張率を約1.65×10-5とする
と、その距離は温度1℃当たり約0.19μm変化す
る。これは前記の第1〜第3のいずれの補正の例よりも
小さい値である。この場合、温度変化1℃当たりの像面
の移動は主走査断面では0.037mm,副走査断面で
は0.193mmとなり、光走査装置の使用温度範囲±
15℃では各々約0.6mmと約2.9mmとなる。
【0087】一方、この第2実施例においては、レーザ
ービームのスポットサイズが主走査断面においてビーム
ウエストで70μmのとき、温度変動による像面の移動
によるビーム径の拡大を+30%までを許容するとすれ
ば、像面の移動の許容量は4.1mmとなる。従って、
いずれの断面でも許容値内であるので、先の第1から第
3の補正の例のように大きな補正を加える必要がなく、
コリメータレンズ21の周辺の構造が大変簡素になる。
また、全て同一の材料で構成することができるため、部
品相互の結合において線膨張率の差による歪みや結合部
のずれが生じることがなく、信頼性の高い光走査装置を
得ることができる。その上、上記に示した1.65×1
-5という線膨張率は金属の線膨張率とも比較的に近い
値にあるので、半導体レーザー11あるいはコリメータ
レンズ21を保持する部材に金属を用いることもでき
る。これは、放熱や加工精度の点でも有利なものとな
る。
【0088】このように、この発明の第一発明によれば
温度による主走査,副走査両断面の像面の移動量を最少
にすることも可能であるし、像面の許容の移動量が比較
的に大きい場合には補正量を小さめにして機構部の構造
を簡素化することも可能である。即ち、どのように補正
を行うかは、光走査装置の応用分野や要求される解像度
によって変わってくる。しかし、既に説明したとおり、
この発明の第一発明によれば温度変化による像面の移動
の補正を任意に設定することができ、かつ、この発明の
第一発明によらない場合に比べれば、主走査断面および
副走査断面の補正を高い次元で両立させることができ
る。
【0089】さらに付け加えるならば、この実施例の実
際の結像特性においては、主走査断面内では走査両端
(周辺部)では光軸付近より許容の像面の移動量が小さ
くなる傾向にあり、上記のように許容値に対して主走査
断面の余裕を副走査断面の余裕より大きくする方が好ま
しい。
【0090】以上説明した第1,第2の二つの実施例で
は、走査光学系に温度による屈折率の変化や大気の変化
での大きいプラスチックレンズを含んでいたが、ガラス
レンズのみで構成されている場合においてもプラスチッ
クレンズを用いた場合に比べれば影響は少ないものの温
度変化により光学特性が変化するので、特に高解像度が
要求される光走査装置には同様の方法により温度変化に
対する像面の移動を少なくすることができる。
【0091】以上説明したとおり、この発明の第一発明
によれば、偏向器に入射するレーザービーム,あるいは
コリメータレンズから射出されるレーザービームの特性
(拡がり角)を温度により変化させることで最終的な像
面の移動を小さく抑えるものであり、従来技術に示され
たコリメータレンズ(あるいはレーザーユニット)から
射出されるレーザービームの特性を温度変化によらず一
定に保つことを目的とする技術とは根本的に異なるもの
である。また、半導体レーザーの波長変動による屈折率
の変化,レンズ材料の屈折率変化,レンズの膨張,レン
ズあるいは光源の間隔の温度による変化を全て考慮に入
れた補正を行っているこの第一発明は、従来のもののよ
うにこれらの特性のうちある部分にのみ着目した技術と
も相違している。なお、この発明の第一発明の光走査装
置は、小型のレーザービームプリンターに好適である
が、それに限らず画像読取り用,あるいは物体の検出セ
ンサー,バーコードスキャナなどにも応用することが可
能であることは勿論である。
【0092】次に、この発明の第二発明の第3実施例を
説明する。先の第一発明の第1実施例の光学系の主走査
断面図である図2および光軸を含み主走査断面に直交す
る副走査断面図である図3において、像面湾曲量と温度
による像面移動の関係を説明する。一般に光走査装置で
は、その走査幅の全てに亘って像面を被走査面81に一
致させることは難しい。いわゆるザイデルの5収差のう
ち、像面湾曲と非点収差が像面の移動を表し、歪曲収差
が線速誤差(fθ誤差)となるからである。
【0093】これらを完全に両立させて補正することは
難しく、設計上なにがしかの像面湾曲あるいは非点収差
が残存することになる。また、設計上において完全に取
り除けたとしても、レンズ製造上の誤差や光学系の組立
誤差によって像面湾曲あるいは非点収差が生じてしま
う。従って、被走査面と像面のずれは前記第一発明の温
度変動による像面の移動に、上記の像面湾曲あるいは非
点収差を加えたものになる。先に説明したとおり、この
発明の第一発明による温度による像面の移動の補正方法
では、必ずしも主走査断面および副走査断面の像面の移
動を同時に完全には補正することができるようにはなっ
ていない。そこで、各断面における像面移動の許容量を
温度変動によるものと像面湾曲あるいは非点収差による
ものに配分しなければならない。
【0094】前記の第1実施例における光学系全体の像
面湾曲と非点収差の収差曲線図を図8に示す。この図か
ら明らかなように、像面湾曲量は破線で示す主走査断面
の方が実線で示す副走査断面より大きくなっている。ま
た、走査中心(光軸付近)では主走査断面と副走査断面
の像面は一致していない。これは先に説明したとおりシ
リンドリカルレンズ22の位置を調整することで一致さ
せることもできるが、装置が使用される中心的な温度に
おいて、主走査断面の像面湾曲範囲のほぼ中心に副走査
断面の像面湾曲範囲の中心をもってくることで平均的な
像面の誤差を小さくするためにこのような設定になって
いる。
【0095】主走査断面の像面湾曲量は約8.1mm,
副走査断面の像面湾曲量は約2mmあるので、副走査断
面の像面湾曲量が約6.1mm少ないことになる。つま
り、その分を余分に副走査断面内で温度による像面の移
動に振り向けることができる。
【0096】この第3実施例では、主走査断面と副走査
断面の像面の許容ずれ量がほぼ同じとすれば、半導体レ
ーザー11とコリメータレンズ21の距離の温度による
変化を温度1℃当たり0.23μmとすると、温度変化
による像面の移動は主走査断面では0.05mm,副走
査断面では0.19mmとなり、光走査装置の使用温度
範囲±15℃での像面の移動量を上記の像面湾曲量と足
し合わせると像面の位置は主走査断面,副走査断面とも
ほぼ同じ範囲に入ることになる。
【0097】次に、この発明の第二発明の第4実施例を
説明する。先の第一発明の第2実施例の光学系の主走査
断面図である図6および光軸を含み主走査断面に直交す
る副走査断面図である図7において、像面湾曲量と温度
による像面移動の関係を説明する。
【0098】前記の第2実施例における光学系全体の像
面湾曲と非点収差の収差曲線図を図9に示す。即ち、破
線で示される主走査断面の像面湾曲量は約3.8mm,
実線で示される副走査断面の像面湾曲量は約0.2mm
である。この図から明らかなように、上記第3実施例と
同じく像面湾曲量は主走査断面の方が副走査断面より大
きくなっている。また、上記第3実施例と同様な理由で
走査中心(光軸付近)では主走査断面と副走査断面の像
面は一致していない。
【0099】この第4実施例では、半導体レーザー11
とコリメータレンズ21の間に介在する部材が全て前記
のガラス50%入りポリカーボネイト樹脂であり、その
線膨張率を約1.65×10-5とすると、その距離は温
度1℃当たり約0.19μm変化する。これは前記の第
2実施例における第1〜第3のいずれの補正の例よりも
小さい値である。この場合、温度変化1℃当たりの像面
の移動は主走査断面では0.037mm,副走査断面で
は0.193mmとなり、光走査装置の使用温度範囲±
15℃では各々約0.6mmと約2.9mmとなる。
【0100】この像面の移動量を上記の像面湾曲量と足
し合わせると、主走査断面では3.8/2+0.6で約
2.5mm,副走査断面では0.2/2+2.9で約3
mmとなる。一方、この第4実施例においては、レーザ
ービームのスポットサイズが主走査断面においてビーム
ウエストで70μmのとき、温度変動による像面の移動
によるビーム径の拡大を+30%まで許容するとすれ
ば、像面の移動の許容量は4.1mmとなる。従って、
いずれの断面においても許容値内であるので、先の第2
実施例の第1〜第3の補正の例のように大きな補正を加
える必要がなく、コリメータレンズ周辺の構造が大変簡
素になる。また、全て同一の材料で構成することができ
るため、部品相互の結合において線膨張率の差による歪
みや結合部のずれが生じることがなく、信頼性の高い光
走査装置を得ることができる。
【0101】その上、上記に示した1.65×10-5
いう線膨張率は金属の線膨張率とも比較的近い値にある
ので、半導体レーザー11あるいはコリメータレンズ2
1を保持する部材に金属を用いることができ、放熱や加
工精度の点でさらに有利なものとなる。
【0102】このようにこの発明の第二発明によれば、
温度による主走査断面および副走査断面の像面の移動量
を最少にすることも可能であるし、像面の許容の移動量
が比較的大きい場合には補正量を小さめにして機構部の
構造を簡素化することも可能である。即ち、どちらの補
正を行うのかは、光走査装置の応用分野や要求される解
像度によって変わってくることになる。しかし、既に説
明したようにこの発明の第二発明によれば、温度変化に
よる像面の移動の補正を任意に設定でき、かつ、この発
明によらない場合に比べれば、主走査断面,副走査断面
両断面の補正を高い次元で両立させることができる。さ
らに、この第4実施例の実際の結像特性においては、主
走査断面内では走査両端(周辺部)では光軸付近より許
容の像面の移動量が小さくなる傾向にあり、上記のよう
に許容値に対して主走査断面の余裕を副走査断面の余裕
がより大きくする方が好ましい。
【0103】以上説明した第3実施例および第4実施例
の二つは、走査光学系の温度による屈折率の変化や大気
での変化の大きいプラスチックレンズを含んでいたが、
ガラスレンズのみで構成される場合においてもプラスチ
ックレンズを用いた場合に比べれば影響は少ないもの
の、温度変化による光学特性が変化するので、特に高い
解像度が要求される光走査装置には同様の手法により温
度変化に対する像面の移動を少なくすることが可能とな
る。
【0104】このように、この発明の第二発明では、主
走査断面および副走査断面の各々の断面において、光走
査装置の光学系の設計による、あるいは組立・加工誤差
に起因する像面湾曲、非点収差による像面の誤差の小さ
い方の断面について、温度変動による像面の移動量を多
く許容することが出来る。言い換えれば、温度変動によ
る像面の移動量の小さい方の断面については、走査光学
系の許容の像面湾曲量を大きくでき、より廉価で生産性
の高い方法でレンズを製作することができる。このよう
に、両断面について、像面と被走査面のずれの量の許容
値を有効に活用することで、いたずらに各光学部品の精
度を上げたり、高精度な組立,調整を行うことなく、走
査範囲の全ての幅にわたって、かつ、全ての温度領域で
良好な結像特性を得ることができる。
【0105】さらに、この発明の第二発明の方法は、偏
向器に入射するレーザービーム、あるいはコリメータレ
ンズから射出されるレーザービームの特性(拡がり角)
を温度により変化させることで、最終的な像面の移動を
小さく抑えるものであり、従来技術に示されたコリメー
タレンズ(あるいはレーザーユニット)から射出される
レーザービームの特性を温度変化によらず一定に保つこ
とを目的とする技術とは、根本的に異なるものである。
【0106】また、この発明の第二発明では、半導体レ
ーザーの波長変動による屈折率の変化、レンズ材料の屈
折率の変化,レンズの熱膨張,レンズあるいは光源の間
隔の温度による変化を全て考慮にいれた補正を行ってお
り、従来もののようにこれらの特性のうちのある部分に
のみ着目した技術とも相違している。なお、この発明の
光走査装置は小型のレーザービームプリンターに好適で
あるが、画像読み取り用,あるいは物体の検出センサ,
バーコードスキャナ等にも応用可能である。
【0107】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の第一の
発明の光走査装置は、走査光学系の主走査断面,副走査
断面について、温度変動に伴う光学特性の変化による像
面の移動量の大きい方の断面と光源からコリメータレン
ズまでの距離の変化による像面の移動量の変化の大きい
方の断面を同一とし、この光源とコリメータレンズの距
離が温度により適切に変化するように設定することで、
両方の断面ともに温度の変化に対して像面の移動が少な
くなり、温度変化に対しても結像性能の少ない光走査装
置を簡素な構造と安価な製作費で得ることができる。こ
の効果は、走査光学系のレンズにプラスチックを用いた
場合には、温度による光学特性、特に屈折率の変動がガ
ラスに比べて大きいためにより顕著な効果を有してい
る。
【0108】また、この発明の第二の発明においても、
走査光学系の主走査断面,副走査断面について、温度変
動に伴う光学特性の変化による像面の移動量の大きい方
の断面と光源からコリメータレンズまでの距離の変化に
よる像面の移動量の変化の大きい方の断面を同一とし、
この光源とコリメータレンズの距離が温度により適切に
変化するように設定することで、両方の断面ともに温度
の変化に対して像面の移動が少なくなり、温度変化に対
しても結像性能の少ない光走査装置を簡素な構造と安価
な製作費で得ることができる。そして、走査光学系の主
走査断面,副走査断面について、補償を行った後の総合
的な温度による像面の移動量が大きい方の断面と光学的
な像面湾曲の大きい断面を異なるようにすることで、総
合的に結像性能の良好な光走査装置を容易に得ることが
可能となる。この効果は、主走査,副走査両断面の像面
湾曲量の中心を一致させることにより、中心温度に対す
る上下の温度変化に対して均等に像面の移動量の余裕を
按分することができ、より温度変化に対して安定な光走
査装置を得ることができる。このことは、上記第一発明
と同様に走査光学系のレンズにプラスチックを用いた場
合には、温度による光学特性、特に屈折率の変動がガラ
スに比べて大きいためにより顕著な効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光走査装置の構成を示す第1実施
例,第3実施例の斜視図、
【図2】第1実施例,第3実施例の光学系の主走査断面
図、
【図3】第1実施例,第3実施例の光学系の副走査断面
図、
【図4】第1実施例,第3実施例のコリメータレンズ部
分の詳細図、
【図5】本発明による光走査装置の構成を示す第2実施
例,第4実施例の斜視図、
【図6】第2実施例,第4実施例の光学系の主走査断面
図、
【図7】第2実施例,第4実施例の光学系の副走査断面
図、
【図8】第3実施例の収差曲線図
【図9】第4実施例の収差曲線図
【図10】従来の光走査装置の構成を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
11 半導体レーザー 12 LDホルダー 21 コリメータレンズ 22 シリンドリカルレンズ 23 コリメータ鏡筒 31 回転多面鏡 32 反射面 35 スキャナモータ 41 レンズミラー 51 走査レンズ 61 折り返しミラー 71 同期検出器 72 同期検出ミラー 81 被走査面 91 光学ベース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 球 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、前記光源から射出される光束を
    所要の特性に変換する第1の光学系と、前記第1の光学
    系より射出された光束を偏向する偏向器と、前記偏向器
    によって偏向された光束を所定の被走査面上に結像させ
    る第2の光学系を有する光走査装置において、 前記偏向器により偏向された光束が掃引してできる面を
    主走査断面とし、前記主走査断面と直交し前記第1,第
    2の光学系の光軸を含む面を副走査断面としたときに、
    前記主走査断面と副走査断面について、前記光源から前
    記第1の光学系を構成する最初の光学素子までの距離の
    変化による像面の光軸方向の移動量の絶対値が大きい方
    の断面と、前記第1,第2の光学系の光学特性の温度変
    化による像面の光軸方向の移動量の絶対値が大きい方の
    断面が同一であることを特徴とする光走査装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の光学系を構成する光学素子の
    少なくとも一つはプラスチックよりなることを特徴とす
    る請求項1記載の光走査装置。
  3. 【請求項3】 光源と、前記光源から射出される光束を
    所要の特性に変換する第1の光学系と、前記第1の光学
    系より射出された光束を偏向する偏向器と、前記偏向器
    によって偏向された光束を所定の被走査面上に結像させ
    る第2の光学系を有する光走査装置において、 前記偏向器により偏向された光束が掃引してできる面を
    主走査断面とし、前記主走査断面と直交し前記第1,第
    2の光学系の光軸を含む面を副走査断面としたときに、
    前記主走査断面と副走査断面について、温度変化による
    像面の光軸方向の移動量の絶対値が大きい方の断面と、
    前記第2の光学系の像面湾曲量の大きい方の断面が互い
    に異なることを特徴とする光走査装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の光学系を構成する光学素子の
    少なくとも一つはプラスチックよりなることを特徴とす
    る請求項3記載の光走査装置。
  5. 【請求項5】 前記第2の光学系の主走査断面の像面湾
    曲の光軸方向の中心位置と副走査断面の像面湾曲の光軸
    方向の中心位置がほぼ一致することを特徴とする請求項
    3記載の光走査装置。
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