JP4492278B2 - ビーム整形素子、光源装置及び光ピックアップ装置 - Google Patents

ビーム整形素子、光源装置及び光ピックアップ装置 Download PDF

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Description

本発明は、ビーム整形素子、光源装置及び光ピックアップ装置に関する。
一般的に光ピックアップ装置には光源としてLD(laser diode)等の半導体レーザが用いられる。半導体レーザから出射される発散光束は断面形状が楕円形(つまり発光強度分布が楕円状)であるため半導体レーザからの楕円光束を円形光束に変換し、光利用効率を高める必要がある。
光束の断面形状を楕円形から円形に整形するビーム整形素子(ビームシェイパー)として、その光学面がアナモフィック面やシリンドリカル面からなるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
また、ビーム整形素子等の光ピックアップ装置用の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材質として適用することが好ましい。光学素子に適用可能なプラスチックとしては、脂環式炭化水素系共重合体(例えば、特許文献3)等が知られている。
また、近年では、青紫色レーザ光源を使用することで記録密度を高めた高密度光ディスク、DVD(デジタルバーサタイルディスク、赤色レーザ光源を使用)、CD(コンパクトディスク、赤外レーザ光源を使用)などの光ディスクのうち、少なくとも2種類の光ディスク間で互換性を有する光情報記録再生装置に対する開発が進められている。
尚、本明細書においては、NA0.85の対物レンズを使用し保護層厚さが0.0875mmであるブルーレイディスク(以下、「BD」と略記する)や、NA0.65乃至0.67の対物レンズを使用し保護層厚さが0.6mmであるHD DVD(以下、「HD」と略記する)の如き、青紫色レーザ光源を使用する光ディスクを総称して「高密度光ディスク」という。上述したブルーレイディスクやHD DVD以外にも、光磁気ディスクや、情報記録面上に数〜数十nm程度の厚さの保護膜を有する光ディスクや、保護層或いは保護膜の厚さがゼロの光ディスクも高密度光ディスクに含むものとする。
特開2003−178480号公報 特開2003−188452号公報 特開2001−48924号公報
近年、光ピックアップ装置においては短波長の光束や大パワーの光束を用いることが多いため環境温度が変化し、これにより光学系を構成する光学素子の性能(屈折率や形状)の変化や半導体レーザからの出射光束の波長の変化を招き、結果として非点収差が発生するという問題がある。従って、このような環境温度の変化に伴うレンズ特性の変化を抑制する観点からガラス製の光学素子を使用する場合が多く、上記特許文献1及び2に開示されたビーム整形素子もガラス製にすることが好ましいと記載されている。
ところが、光ピックアップ装置の低コスト化・小型化・軽量化等の観点からは、プラスチック製の光学素子を用いることが好ましい。しかし、一般的にプラスチックはガラスに比べて温度変化による性能変化が大きいので、プラスチック製のビーム整形素子では、上述したような環境温度変化による非点収差の発生を抑えることが困難である。
また、上記高密度光ディスクでは、情報の記録、再生に波長405nmの光を用いるが、特許文献3の技術を用いてビーム整形素子を製造した場合には、光学素子がこのような短波長の光の照射を受けるにつれて白濁したり屈折率が変動したりして劣化するために寿命が短くなり、ビーム整形素子の交換が必要になる場合があった。
また、複数の媒体に適用可能な情報機器では、ビーム整形素子等の光学素子を、個々の媒体に対応できるよう、光学機能面に溝や段差(回折格子)を設けて焦点距離や球面収差を調節できる構成としているが、従来のプラスチックは十分な熱可塑性を有さないため、例えば射出成形で成形する際、金型に形成された溝や段差の対応部分の先端まで溶融したプラスチックが行き渡らず、光学素子の溝や段差が設計通りの形状とならなかった。そのため、光学素子が所要の光学特性を具備せず、この光学素子を適用した光ピックアップ素子においても所要のピックアップ特性が得られないという問題があった。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、環境温度の変化に伴う非点収差の発生を抑えながら断面形状が略円形の発散光束を射出することができ、且つ、高い精度の光学特性を長時間維持可能なプラスチック製のビーム整形素子、光源装置及び光ピックアップ装置を提供することにある。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光源から出射される水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を断面形状が略円形の光束に変換して出射する単玉のビーム整形素子において、前記ビーム整形素子は、脂環式構造を有する重合体を含有する樹脂からなり、且つ線膨張係数αnが以下の条件式を満たし、環境温度変化による非点収差の発生量を抑えることを特徴とする。
5.0×10-5<αn<8.0×10-5
ここで、線膨張係数αnは常温域(約−30℃〜70℃)における平均線膨張係数を指す。
また、「非点収差の発生量を抑える」とは、非点収差をゼロにするものだけでなく、実質、情報の記録及び/又は再生に影響を及ぼさない程度に非点収差が抑制されているものも含むものとする。
請求項1記載の発明によれば、線膨張係数αnを上記条件式の範囲内とすることにより、環境温度の変化に伴うビーム整形素子の特性変化を利用して、環境温度の変化に伴う非点収差の発生を抑えることができるプラスチック製のビーム整形レンズを得られる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のビーム整形素子において、前記脂環式構造を有する重合体は、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000である重合体全繰り返し単位中に、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記一般式(2)及び/又は下記一般式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90重量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1重量%以上10重量%未満である脂環式炭化水素系共重合体であることを特徴とする。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
〔式(1)中、Xは脂環式炭化水素基であり、式(1)、式(2)、及び式(3)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基である。〕
請求項2記載の発明によれば、溶融した樹脂組成物が適度な流動性を有するので、射出成形等の方法でビーム整形素子を作製するとき、樹脂が金型の先端まで到達でき、成形性が良好となる。したがって、複数種の光情報記録媒体に対して再生、記録を行う光ピックアップ装置にこのビーム整形素子を用いる場合、それぞれの光情報記録媒体に対応した波長の光束を反射面で収束させたり、上記反射面で反射した光を集光して受光素子に導いたりする動作を高い信頼性で行うことができる。また、このことにより、複数の光情報記録媒体に対して良好なピックアップ特性で情報の再生、記録を行える光ピックアップ装置を作製できる。
また、例えば、上記樹脂組成物に、酸化防止剤を添加することにより、例えば400nmといった短波長の光の照射を継続的に受けても、白濁や屈折率の変動が抑えられる。よって、HDやBDといった高い情報密度を有する光情報記録媒体に対して、長期間にわたって良好なピックアップ特性で情報の読み書きを行うことができる。したがって、光ピックアップ装置として信頼性の高いものを得ることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載のビーム整形素子において、前記脂環式構造を有する重合体は、ノルボルネン系開環重合体であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、当該ビーム整形素子は、光軸方向における出射面の位置が前記光源に対して相対的に変化しないように固定されるものであり、環境温度変化による前記ビーム整形素子の屈折率変化と線膨張による形状変化に伴う屈折力変化と線膨張による前記光源から前記ビーム整形素子の入射面までの距離の変化とを利用して前記非点収差の発生量を抑えることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、入射面と出射面のうち少なくとも一方の光学面の水平方向又は垂直方向の断面形状が非円弧であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、入射面の面形状が、以下の数1式又は数2式で規定されることを特徴とする。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
但し、Zは光軸方向(Z軸方向)の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX軸方向(水平方向)、Y軸方向(垂直方向)の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数である。
請求項6に記載の発明によれば、ビーム整形素子の入射面を、数1式又は数2式に規定される面で構成することになるので、ビーム整形素子の光学面をシリンドリカル面で構成する場合と比較して、温度変化時の非点収差のみならず、残留収差(4thAS(四葉収差))の抑制も可能となり、より良好な光学特性を得られる。
請求項7記載の発明は、請求項6に記載のビーム整形素子において、出射面の面形状が、以下の数3式又は数4式で規定されることを特徴とする。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
請求項7に記載の発明によれば、ビーム整形素子の出射面を、数3式又は数4式に規定される面で構成することになるので、請求項6の構成よりも更に良好な光学特性を得られる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、出射面の面形状が、以下の数1式又は数2式で規定されることを特徴とする。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
但し、Zは光軸方向(Z軸方向)の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX軸方向(水平方向)、Y軸方向(垂直方向)の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数である。
請求項8に記載の発明によれば、ビーム整形素子の出射面を、数1式又は数2式に規定される面で構成することになるので、ビーム整形素子の光学面をシリンドリカル面で構成する場合と比較して、温度変化時の非点収差のみならず、残留収差(4thAS(四葉収差))の抑制も可能となり、より良好な光学特性を得られる。
請求項9記載の発明は、請求項8に記載のビーム整形素子において、入射面の面形状が、以下の数3式又は数4式で規定されることを特徴とする。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
請求項9に記載の発明によれば、ビーム整形素子の入射面を、数3式又は数4式に規定される面で構成することになるので、請求項8の構成よりも更に良好な光学特性を得られる。
請求項10記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、入射面の面形状と、出射面の面形状とが共に以下の数1式又は数2式で規定されることを特徴とする。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
但し、Zは光軸方向(Z軸方向)の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX軸方向(水平方向)、Y軸方向(垂直方向)の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数である。
請求項10に記載の発明によれば、ビーム整形素子の入射面と出射面を、数1式又は数2式に規定される面で構成することになるので、ビーム整形素子の光学面をシリンドリカル面で構成する場合と比較して、温度変化時の非点収差のみならず、残留収差(4thAS(四葉収差))の抑制も可能となり、より良好な光学特性を得られる。
請求項11記載の発明は、水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を出射する光源と、請求項1〜10のいずれか一項に記載のビーム整形素子と、前記光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子とを備え、前記光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項11に記載の光ピックアップ装置において、前記ビーム整形素子の出射面から出射された光束の発散角を変換する発散角変換素子を有し、次の関係式
0.5<(L/S)×fc<1.0
を満たすように構成されることを特徴とする。
なお、L:ビーム整形素子の軸上厚(mm)
S:光源とビーム整形素子の入射面との光軸上の距離(mm)
fc:発散角変換素子の焦点距離(mm)
表1(a)及び表8(a)に示すように、上記式の下限以下であると、温度変化により屈折率が変化することによって発生する非点収差は、温度変化によって軸上厚及び光源とビーム整形素子間の間隔が変化することによって変化するが、変化する非点収差量が小さく、非点収差が残ってしまう。
また、上記式の上限以上であると、温度変化により屈折率が変化することによって発生する非点収差は、温度変化によって軸上厚及び光源とビーム整形素子間の間隔が変化することによって変化するが、変化する非点収差量が過剰であるため、やはり非点収差が残ってしまう。そのため、請求項12に記載の式の範囲にすることで、温度変化時に発生する非点収差を適切に抑えることができる。
請求項13記載の発明は、水平方向と垂直方向とで異なる放射角を有する光束を出射する光源と、請求項1〜10のいずれか一項に記載のビーム整形素子と、を有し、前記ビーム整形素子の一部を、前記光源に対して、温度変化により生ずる前記ビーム整形素子の屈折率変化に伴って発生する非点収差を前記ビーム整形素子の線膨張により生ずる前記光源と前記ビーム整形素子の入射面との間隔変化で抑制するように固定配置したことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項13に記載の光源装置において、前記ビーム整形素子は、その出射面を前記光源に対して光軸方向に実質変化しない様に固定したことを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項14に記載の光源装置において、前記ビーム整形素子は、温度変化により発生する非点収差を、前記ビーム整形素子の温度変化による形状変化に伴って発生する非点収差を利用して抑制するように構成されることを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項15に記載の光源装置において、前記ビーム整形素子の出射面を固定する固定部材は、線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料からなることを特徴とする。
請求項14〜16に記載の発明によれば、環境温度の変化に伴う非点収差の発生を、プラスチック製のビーム整形素子自身が線膨張して光源と素子入射面との間隔変化により生ずる非点収差によって抑制するため、ビーム整形素子が取り付けられる部材の材料や寸法等の自由度が広がる。また、ビーム整形素子を固定する固定部材を線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料で構成した場合には、光源装置、光ピックアップ装置全体として低コスト・小型・軽量なものを提供できる。
請求項17記載の発明は、請求項13〜16のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子とを備え、前記光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことを特徴とする。
本発明によれば、環境温度の変化に伴う非点収差の発生を抑えながら断面形状が略円形の発散光束を射出することができ、且つ、高い精度の光学特性を長時間維持可能なプラスチック製のビーム整形素子、光源装置及び光ピックアップ装置を得られる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本実施の形態においては、図1に示すように、本発明に係るビーム整形素子20(以下、ビームシェイパーともいう。)を、特定波長のレーザ光(光束)を用いて光情報記録媒体の情報記録面31に対して情報の記録及び/又は読取を行う光ピックアップ装置10に適用している。
光ピックアップ装置10は、レーザ発振器11(光源)、ビームシェイパー20、カップリングレンズ12、ビームスプリッタ13、ビームエキスパンダー14(第1ビームエキスパンダー14a及び第2ビームエキスパンダー14b)、絞り15、対物レンズ16(第1対物レンズ16a及び第2対物レンズ16b)、シリンドリカルレンズ17、凹レンズ18、光センサ19等により概略構成されている。
光源11から出射される光束は、光軸Lに対して直交する方向であって、かつ互いに直交するXY方向(水平方向及び垂直方向)へ異なる広がり角を有している。そして、この光束のXY断面はX方向を短径、Y方向を長径とする略楕円形状となっている。
以上のように構成された光ピックアップ装置10の動作について説明する。
光源11から出射された光束は、まずビームシェイパー20により断面形状が整形されて出射される。この際のビームシェイパー20による光束に対する作用については後述する。
次に、この光束はカップリングレンズ12を通過して平行光となり、ビームスプリッタ13を経て、ビームエキスパンダー14により拡径された状態、即ち、ビームエキスパンダー14への入射時点よりも光束径を大きくされた状態で出射される。そして第1対物レンズ16aを通過して絞り15によって絞られ、第2対物レンズ16bにより光情報記録媒体の保護基板30を介して情報記録面31上に集光スポットを形成する。
そして、情報記録面31で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1対物レンズ16a、絞り15、第2対物レンズ16b、ビームエキスパンダー14を通過して、ビームスプリッタ13で分岐される。そして、シリンドリカルレンズ17により非点収差が与えられ、凹レンズ18を経て、光センサ19上ヘ入射し、光センサ19から出力される信号を用いて、光情報記録媒体に記録された情報の読取信号が得られるようになっている。
図1に示すように、本実施の形態におけるビームシェイパー20はプラスチック製で単玉の回転非対称レンズである。
具体的に説明すると、ビームシェイパーは、脂環式構造を有する重合体を含有する樹脂からなる。
脂環式構造を有する重合体としては、重合体全繰り返し単位中に、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記一般式(2)及び/又は下記一般式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90重量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1重量%以上10重量%未満である脂環式炭化水素系共重合体が好ましい。
Figure 0004492278
式(1)中、Xは脂環式炭化水素基であり、式(1)、式(2)、及び式(3)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基である。その中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基の場合が、耐熱性、低吸水性に優れるので好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができる。極性基で置換された鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキル基;炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルケニル基が挙げられる。
一般式(1)中のXは脂環式炭化水素基を表し、それを構成する炭素数は、通常4個〜20個、好ましくは4個〜10個、より好ましくは5個〜7個である。脂環式構造を構成する炭素数をこの範囲にすることで複屈折を低減することができる。また脂環式構造は単環構造に限らず、例えばノルボルナン環やジシクロヘキサン環などの多環構造のものでもよい。
脂環式炭化水素基は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよいが、その含有量は、全炭素−炭素結合の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。脂環式炭化水素基の炭素−炭素不飽和結合をこの範囲とすることで、透明性、耐熱性が向上する。また、脂環式炭化水素基を構成する炭素には、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等が結合していてもよく、中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基が耐熱性、低吸水性の点で好ましい。
また、一般式(3)中の……は、主鎖中の炭素−炭素飽和、又は炭素−炭素不飽和結合を示すが、透明性、耐熱性を強く要求される場合、不飽和結合の含有率は、主鎖を構成する全炭素−炭素間結合の、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
一般式(1)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(4)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 0004492278
一般式(2)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(5)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 0004492278
一般式(3)で表される繰り返し単位の中でも、下記一般式(6)で表される繰り返し単位が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
Figure 0004492278
一般式(4)、一般式(5)、及び一般式(6)中の、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rnはそれぞれ独立に水素原子または低級鎖状炭化水素基を示し、水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基が、耐熱性、低吸水性の点で優れている。
一般式(2)及び一般式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位の中では、一般式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位の方が、得られる炭化水素系重合体の強度特性に優れている。
本発明においては、炭化水素共重合体中の、一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、一般式(2)及び/又は一般式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)との合計含有量は、重量基準で、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。合計含有量を上記範囲にすることで、低複屈折性、耐熱性、低吸水性、機械強度が高度にバランスされる。
脂環式炭化水素系共重合体における鎖状構造の繰り返し単位(b)の含有量は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常、重量基準で1%以上10%未満、好ましくは1%以上8%以下、より好ましくは2%以上6%以下の範囲である。繰り返し単位(b)の含有量が上記範囲にあると、低複屈折性、耐熱性、低吸水性が高度にバランスされる。
また、繰り返し単位(a)の連鎖長は、脂環式炭化水素系共重合体の分子鎖長に対して十分に短く、具体的には、A=(脂環式構造を有する繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、B=(脂環式炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(脂環式構造を有する繰り返し単位数/脂環式炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))とした時、AがBの30%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下の範囲である。Aがこの範囲外では、低複屈折性に劣る。
さらに、繰り返し単位(a)の連鎖長が特定の分布を有しているもの好ましい。具体的には、A=(脂環式構造を有する繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、C=(脂環式構造を有する繰り返し単位連鎖の数平均分子量)としたとき、A/Cが、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3〜8、最も好ましくは1.7〜6の範囲である。A/Cが過度に小さいとブロック程度が増加し、過度に大きいとランダムの程度が増加して、いずれの場合にも低複屈折性に劣る。
本発明の脂環式炭化水素系共重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは50,000〜250,000の範囲である。脂環式炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと成形物の複屈折が大きくなる。
かかる共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常2.5以下、好ましくは2.3以下、より好ましくは2以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械強度と耐熱性が高度にバランスされる。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50℃〜250℃、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは90℃〜180℃である。
[脂環式炭化水素系共重合体の製造方法]
本発明の脂環式炭化水素系共重合体の製造方法は、(1)芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法、(2)脂環式ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、必要に応じて水素化する方法等が挙げられる。
上記の方法で本発明の脂環式炭化水素系共重合体を製造する場合には、芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物(a’)と共重合可能なその他のモノマー(b’)との共重合体で、共重合体中の化合物(a’)由来の繰り返し単位が、D=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、E=(炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位数/炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))、とした時、DがEの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である連鎖構造を有する共重合体の、主鎖、及び芳香環やシクロアルケン環等の不飽和環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法により効率的に得ることができる。 Dが上記範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
本発明では(1)の方法がより効率的に脂環式炭化水素系共重合体を得ることができるので好ましい。
上記水素化前の共重合体は、さらに、F=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位の連鎖の数平均分子量)、としたときの、D/Fが一定の範囲であるのが好ましい。具体的には、D/Fが、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3以上、8以下、最も好ましくは1.7以上、6以下の範囲である。D/Fがこの範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
上記化合物(a’)由来の繰り返し単位の連鎖の重量平均分子量および数平均分子量は、例えば、文献Macromorecules 1983, 16,1925−1928記載の、芳香族ビニル系共重合体の主鎖中不飽和二重結合をオゾン付加した後還元分解し、取り出した芳香族ビニル連鎖の分子量を測定する方法等により確認できる。
水素化前の共重合体の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、それから得られる脂環式炭化水素系共重合体の成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
上記(1)の方法において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(2)の方法において使用する脂環式ビニル系化合物の具体例としては、例えば、シクロブチルエチレン、シクロペンチルエチレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘプチルエチレン、シクロオクチルエチレン、ノルボルニルエチレン、ジシクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレン、α−t−ブチルシクロヘキシルエチレン、シクロペンテニルエチレン、シクロヘキセニルエチレン、シクロヘプテニルエチレン、シクロオクテニルエチレン、シクロデケニルエチレン、ノルボルネニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、及びα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル系化合物及び脂環式ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性に優れる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー;1−シアノエチレン(アクリロニトリル)、1−シアノ−1−メチルエチレン(メタアクリロニトリル)、1−シアノ−1−クロロエチレン(α−クロロアクリロニトリル)等のニトリル系モノマー;1−(メトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸メチルエステル)、1−(エトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸エチルエステル)、1−(プロポキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸プロピルエステル)、1−(ブトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、1−メトキシカルボニルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、1−エトキシカルボニルエチレン(アクリル酸エチルエステル)、1−プロポキシカルボニルエチレン(アクリル酸プロピルエステル)、1−ブトキシカルボニルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、1−カルボキシエチレン(アクリル酸)、1−カルボキシ−1−メチルエチレン(メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの鎖状ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
化合物(a’)を重合する方法は、格別制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー逐次添加法(モノマー全使用量の内の一部を用いて重合を開始した後、残りのモノマーを逐次添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー逐次添加法を用いると、好ましい連鎖構造を有する炭化水素系共重合体が得られる。水素化前の共重合体は、前述のDの値がより小さい程、及び/又は、D/Fが大きな値を示す程、よりランダムな連鎖構造を有する。共重合体がどの程度のランダム性を有しているかは、芳香族ビニル系化合物の重合速度と共重合可能なその他のモノマーの重合速度との速度比で決まり、この速度比が小さい程、よりランダムな連鎖構造を有していることになる。
前記モノマー逐次添加法によれば、均一に混合された混合モノマーが重合系内に逐次的に添加されるため、バッチ法とは異なり、ポリマーの重合による成長過程においてモノマーの重合選択性をより下げることができるので、得られる共重合体がよりランダムな連鎖構造になる。また、重合系内での重合反応熱の蓄積が小さくてすむので重合温度を低く安定に保つことがでる。
モノマー逐次添加法の場合、まずモノマーの全使用量のうち、通常0.01重量%〜60重量%、好ましくは0.02重量%〜20重量%、より好ましくは0.05重量%〜10重量%のモノマーを初期モノマーとして予め重合反応器内に存在させた状態で開始剤を添加して重合を開始する。初期モノマー量をこのような範囲にすると、重合開始後の初期反応において発生する反応熱除去を容易にすることができ、得られる共重合体をよりランダムな連鎖構造にすることができる。
上記初期モノマーの重合転化率を70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上になるまで反応を継続すると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。その後、前記モノマーの残部を継続的に添加するが、添加の速度は重合系内のモノマーの消費速度を考慮して決定される。
通常は、初期モノマーの重合添加率が90%に達するまでの所要時間をT、初期モノマーの全使用モノマーに対する比率(%)をIとしたとき、関係式[(100−I)×T/I]で与えられる時間の0.5〜3倍、好ましくは0.8〜2倍、より好ましくは1〜1.5倍となる範囲内で残部モノマーの添加が終了するように決定される。具体的には通常0.1〜30時間、好ましくは0.5時間〜5時間、より好ましくは1時間〜3時間の範囲となるように、初期モノマー量と残りモノマーの添加速度を決定する。また、モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率を上記の範囲とすると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。
重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等、特別な制約はないが、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系共重合体の機械的強度を考えると、アニオン重合法が好ましい。
ラジカル重合の場合は、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用可能である。
アニオン重合の場合には、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えばn−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100重量部に対して200〜10,000重量部となるような割合で用いられる。
上記アニオン重合の開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
重合反応においては、また、重合促進剤や、ランダマイザー(或る1成分の連鎖が長くなるのを防止する機能を有する添加剤)などを使用できる。アニオン重合の場合には、例えばルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記のラジカル重合やアニオン重合により得られた重合体は、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法で回収できる。また、重合時に、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素添加工程に使用することができる。
[不飽和結合の水素化方法]
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、通常0.01〜80重量%、好ましくは0.05〜60重量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体に対して、重量基準にて、通常、0.01〜100部、好ましくは0.05〜50部、より好ましくは0.1〜30部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環の炭素−炭素二重結合、不飽和環の炭素−炭素二重結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
脂環式構造を有する重合体としては、重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有するブロック共重合体が更に好ましい。重合体ブロック〔A〕は、下記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕を含有する。重合体ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
Figure 0004492278
(式中、R1 は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R2−R12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはハロゲン基である。尚、前記R2 −R12は、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11およびR12である。以降同様。)
上記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕の好ましい構造は、R1 が水素またはメチル基で、R2 −R12がすべて水素のものである。重合体ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。重合体ブロック〔A〕における、前記繰り返し単位〔1〕以外の残部は、鎖状共役ジエンや鎖状ビニル化合物由来の繰り返し単位を水素化したものである。
重合体ブロック〔B〕は、前記繰り返し単位〔1〕ならびに下記式(2)で表される繰り返し単位〔2〕または/および下記式(3)で表される繰り返し単位〔3〕を含有する。重合体ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量は、好ましくは40〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%である。繰り返し単位〔1〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔2〕のモル分率をm2(モル%)および、繰り返し単位〔3〕のモル分率をm3(モル%)としたときに、2×m2+m3が、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5〜60モル%、最も好ましくは10〜50モル%である。
Figure 0004492278
(式中、R13は、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
上記式(2)で表される繰り返し単位〔2〕の好ましい構造は、R13が水素またはメチル基のものである。
Figure 0004492278
(式中、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
上記式(3)で表される繰り返し単位〔3〕の好ましい構造は、R14が水素で、R15がメチル基またはエチル基のものである。
重合体ブロック〔B〕中の、前記繰り返し単位〔2〕または繰り返し単位〔3〕の含有量が少なすぎると、機械的強度が低下する。したがって、繰り返し単位〔2〕および繰り返し単位〔3〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。重合体ブロック〔B〕は、さらに、下記式(X)で表される繰り返し単位〔X〕を含有していてもよい。繰り返し単位〔X〕の含有量は、本発明のブロック共重合体の特性を損なわない範囲の量であり、好ましくはブロック共重合体全体に対し、30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
Figure 0004492278
(式中、R25は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R26はニトリル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、もしくはハロゲン基を表し、R27は水素原子を表す。または、R26とR27とは相互に結合して、酸無水物基、もしくはイミド基を形成してもよい。)
また、本発明に用いるブロック共重合体は、重合体ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率をa、重合体ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率をbとした場合に、a>bの関係があることが好ましい。これにより、透明性、および機械的強度に優れる。
さらに、本発明に用いるブロック共重合体は、ブロック〔A〕を構成する全繰り返し単位のモル数をma 、ブロック〔B〕を構成する全繰り返し単位のモル数をmb とした場合に、その比(ma :mb )が、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは30:70〜95:5、特に好ましくは40:60〜90:10である。(ma :mb )が上記範囲にある場合に、機械的強度および耐熱性に優れる。
本発明に用いるブロック共重合体の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(以下、Mwと記す。)で、好ましくは10,000〜300,000、より好ましくは15,000〜250,000、特に好ましくは20,000〜200,000の範囲である。ブロック共重合体のMwが上記範囲にあると、機械的強度、耐熱性、成形性のバランスに優れる。
ブロック共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算のMwと数平均分子量(以下、Mnと記す。)との比(Mw/Mn)で、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械的強度や耐熱性に優れる。
ブロック共重合体のガラス転移温度(以下、Tgと記す。)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、示差走査型熱量計(以下、DSCと記す。)による、高温側の測定値で、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃、特に好ましくは90℃〜160℃である。
本発明に用いる上記ブロック共重合体は、重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有し、(〔A〕−〔B〕)型のジブロック共重合体であっても、(〔A〕−〔B〕−〔A〕)型や(〔B〕−〔A〕−〔B〕)型のトリブロック共重合体であっても、重合体ブロック〔A〕と重合体ブロック〔B〕とが、交互に合計4個以上つながったブロック共重合体であってもよい。また、これらのブロックがラジアル型に結合したブロック共重合体であってもよい。
本発明に用いるブロック共重合体は、以下の方法により得ることができる。その方法としては、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物を含有するモノマー混合物、および、ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を含有するモノマー混合物を重合して、芳香族ビニル化合物または/および脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック、および、ビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロックを有するブロック共重合体を得る。そして該ブロック共重合体の芳香環または/および脂肪族環を水素化する方法や、飽和脂環族ビニル化合物を含有するモノマー混合物、および、ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を含有するモノマー混合物を重合して、脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック、および、ビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロックを有するブロック共重合体を得る方法などが挙げられる。中でも、本発明に用いるブロック共重合体としてより好ましいものは、例えば、以下の方法により得ることができる。
(1)第一の方法としては、まず、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物を50モル%以上含有するモノマー混合物〔a’〕を重合して、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔A’〕を得る。ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を2モル%以上含有し、且つ、芳香族ビニル化合物または/および環に不飽和結合を有する脂環族ビニル化合物をモノマー混合物〔a’〕中の割合よりも少ない割合の量で含有するモノマー混合物〔b’〕を重合して、芳香族ビニル化合物または/および前記脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位とビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔B’〕を得る。これらの工程を少なくとも経て、前記重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有するブロック共重合体を得た後、該ブロック共重合体の芳香環または/および脂肪族環を水素化する。
(2)第二の方法としては、まず、飽和脂環族ビニル化合物を50モル%以上含有するモノマー混合物〔a〕を重合して、飽和脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔A〕を得る。ビニル系モノマー(芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル化合物を除く)を2モル%以上含有し、且つ、飽和脂環族ビニル化合物をモノマー混合物〔a〕中の割合よりも少ない割合の量で含有するモノマー混合物〔b〕を重合して、飽和脂環族ビニル化合物由来の繰り返し単位とビニル系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック〔B〕を得る。これらの工程を少なくとも経て、前記重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有するブロック共重合体を得る。
上記方法の中で、モノマーの入手容易性、重合収率、重合体ブロック〔B’〕への繰り返し単位〔1〕の導入のし易さ等の観点から、上記(1)の方法がより好ましい。
上記(1)の方法における芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等や、これらにヒドロキシル基、アルコキシ基などの置換基を有するもの等が挙げられる。中でもスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(1)方法における不飽和脂環族ビニル系化合物の具体例としては、シクロヘキセニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、およびα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等や、これらにハロゲン基、アルコキシ基、またはヒドロキシル基等の置換基を有するもの等が挙げられる。
これらの芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできるが、本発明においては、モノマー混合物〔a’〕および〔b’〕のいずれにも、芳香族ビニル化合物を用いるのが好ましく、中でも、スチレンまたはα−メチルスチレンを用いるのがより好ましい。
上記方法で使用するビニル系モノマーには、鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエン化合物が含まれる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のモノマーを含有するモノマー混合物を重合する場合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれの方法で重合反応を行ってもよいが、アニオン重合によるのが好ましく、不活性溶媒の存在下にリビングアニオン重合を行うのが最も好ましい。
アニオン重合は、重合開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において行う。開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
使用する不活性溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100重量部に対して200〜10,000重量部となるような割合で用いられる。
それぞれの重合体ブロックを重合する際には、各ブロック内で、或る1成分の連鎖が長くなるのを防止するために、重合促進剤やランダマイザーなどを使用することができる。特に重合反応をアニオン重合により行う場合には、ルイス塩基化合物などをランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
リビングアニオン重合によりブロック共重合体を得る方法は、従来公知の、逐次付加重合反応法およびカップリング法などが挙げられるが、本発明においては、逐次付加重合反応法を用いるのが好ましい。
逐次付加重合反応法により、重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有する上記ブロック共重合体を得る場合には、重合体ブロック〔A’〕を得る工程と、重合体ブロック〔B’〕を得る工程は、順次連続して行われる。具体的には、不活性溶媒中で、上記リビングアニオン重合触媒存在下、モノマー混合物〔a’〕を重合して重合体ブロック〔A’〕を得、引き続きその反応系にモノマー混合物〔b’〕を添加して重合を続け、重合体ブロック〔A’〕とつながった重合体ブロック〔B’〕を得る。さらに所望に応じて、再びモノマー混合物〔a’〕を添加して重合し、重合体ブロック〔A’〕をつなげてトリブロック体とし、さらには再びモノマー混合物〔b’〕を添加して重合し、重合体ブロック〔B’〕をつなげたテトラブロック体を得る。
得られたブロック共重合体は、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法によって回収する。重合反応において、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液そのままを水素化反応工程にも使用することができるので、重合溶液からブロック共重合体を回収しなくてもよい。
上記(1)の方法において得られる、重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有するブロック共重合体(以下、水素化前ブロック共重合体という。)のうち下記の構造の繰り返し単位を有するものが好ましい。
好ましい水素化前ブロック共重合体を構成する重合体ブロック〔A’〕は、下記式(4)で表される繰り返し単位〔4〕を50モル%以上含有する重合体ブロックである。
Figure 0004492278
(式中、R16は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R17−R21は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基またはハロゲン基である。尚、上記〔R17−R21〕は、R17、R18、・・およびR21を表す。)
また、好ましい重合体ブロック〔B’〕は、前記繰り返し単位〔4〕を必ず含み、下記式(5)で表される繰り返し単位〔5〕および下記式(6)で表される繰り返し単位〔6〕のいずれかを少なくとも1つ含む重合体ブロックである。また、重合体ブロック〔A’〕中の繰り返し単位〔4〕のモル分率をa’、ブロック〔B’〕中の繰り返し単位〔4〕のモル分率をb’とした場合、a’>b’である。
Figure 0004492278
(式中、R22は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
Figure 0004492278
(式中、R23は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R24は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
さらに、ブロック〔B’〕中には、下記式(Y)で示される繰り返し単位〔Y〕を含有していてもよい。
Figure 0004492278
(式中、R28は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R29はニトリル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、またはハロゲン基を表し、R30は水素原子を表す。または、R29とR30とは相互に結合して、酸無水物基、またはイミド基を形成してもよい。)
さらに、好ましい水素化前ブロック共重合体は、ブロック〔A’〕を構成する全繰り返し単位のモル数をma ’、ブロック〔B’〕を構成する全繰り返し単位のモル数をmb ’とした場合に、その比(ma’:mb’)が、5:95〜95:5、より好ましくは30:70〜95:5、特に好ましくは40:60〜90:10である。(ma’:mb’)が上記範囲にある場合に、機械的強度や耐熱性に優れる。
好ましい水素化前ブロック共重合体の分子量は、THFを溶媒としてGPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算Mwで、12,000〜400,000、より好ましくは19,000〜350,000、特に好ましくは25,000〜300,000の範囲である。ブロック共重合体のMwが過度に小さいと、機械的強度が低下し、過度に大きいと、水素添加率が低下する。
好ましい水素化前のブロック共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算のMwとMnとの比(Mw/Mn)で、5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、水素添加率が向上する。
好ましい水素化前のブロック共重合体のTgは、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、DSCによる高温側の測定値で、70℃〜150℃、より好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃である。
上記の、水素化前のブロック共重合体の、芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素不飽和結合、および主鎖や側鎖の不飽和結合等を水素化する方法および反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、およびレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、または適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、好ましくは0.01〜80重量%、より好ましくは0.05〜60重量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.05〜50重量部、特に好ましくは0.1〜30重量部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、好ましくは0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、より好ましくは1MPa〜20MPa、特に好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、ブロック共重合体の水素化率は、 1H−NMRによる測定において、主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環やシクロアルケン環の炭素−炭素不飽和結合のいずれも、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後、ブロック共重合体は、例えば濾過、遠心分離等の方法により反応溶液から水素化触媒を除去した後、溶媒を直接乾燥により除去する方法、反応溶液を、ブロック共重合体にとっての貧溶媒中に注ぎ、凝固させる方法等によって回収できる。
上記の本発明に係る重合体には、必要に応じて各種配合剤を配合することができる。ブロック共重合体に配合することができる配合剤は格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
本発明においては、重合体に、上記配合剤の中でも、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および耐光安定剤を配合するのが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成形時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100重量部に対して好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三−ブチル−5’−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中でも、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどが耐熱性、低揮発性などの観点から好ましい。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSと記す。)の中でも、THFを溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSを重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成形等の加熱溶融成形時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
このようなHALSの具体例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−〔4,6−ビス− {ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALSなどが挙げられる。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
本発明に係るブロック共重合体に対する上記紫外線吸収剤およびHALSの配合量は、重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.02〜15重量部、特に好ましくは0.05〜10重量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
また、本発明に係る重合体に、最も低いガラス転移温度が30℃以下である軟質重合体を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
上記軟質重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのオレフィン系軟質重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンゴム、イソブチレン−スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、イソプレン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体;
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル系軟質重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素系軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
上記軟質重合体の中でもジエン系軟質重合体が好ましく、特に該軟質重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械的強度、柔軟性、および分散性の点で優れる。軟質重合体の配合量は、化合物の種類に応じて異なるが、一般に、配合量が多すぎれば、重合体のガラス転移温度や透明性が大きく低下し、レンズとして使用することができない。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下において成形物の白濁を生じる場合がある。配合量は、ブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.02〜5重量部、特に好ましくは0.05〜2重量部である。
本発明で用いる重合体に上記配合剤を配合して重合体組成物を形成する方法は、例えば、ミキサー、二軸混錬機、ロール、ブラベンダー、押出機などでブロック共重合体を溶融状態にして配合剤と混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させ凝固する方法などが挙げられる。二軸混練機を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態でストランド状に押し出し、ペレタイザーにてペレット状にカットして用いられることが多い。
また、本発明に係るビームシェイパーの成形方法としては、格別な制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた光学素子を得る為には溶融成形が好ましい。溶融成形法としては、例えばプレス成形、押し出し成形、射出成形等が挙げられるが、射出成形が成形性、生産性の観点から好ましい。成形条件は使用目的、又は成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形品にヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、光学素子が黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。
また、ビームシェイパー20の線膨張係数αnは5.0×10-5<αn<8.0×10-5の範囲内となっている。
ビームシェイパー20の入射面21は、光軸Lに対して回転非対称面に形成されている。
図2は非円弧トロイダル面の形状を表す断面図であり、図中の点線はビームシェイパー20内を通過する光束の光路を示す。なお、非円弧トロイダル面を表す式(形状関数)については後述する。
ビームシェイパー20の入射面は、YZ面内における非円形の線分L1(非円弧)を、この非円弧と直交する平面内にある半径R=R1の円弧L2の中心点をY方向に通過する軸(回転軸A1)で回転させた面で構成されている。
ビームシェイパー20の出射面22は、XZ面での曲率半径とYZ面での曲率半径とが異なるトロイダル面となっている。
また、ビームシェイパー20の出射面22側は図示しない取付部材により光ピックアップ装置10本体に固定されており、出射面22の光軸方向の位置が光源11に対して相対的に実質変化しない構成となっている。
また、図5はビームシェイパー20の光ピックアップへの固定方法を表す図であり、図5(a)及び(b)のようにビームシェイパー20の出射面22側は固定部材40を介して光ピックアップ装置10本体に固定されており、出射面22の光軸方向の位置が光源11に対して相対的に実質変化しない構成となっている。また、図示は省略するが、ビームシェイパー20の出射面22側を直接的に光ピックアップ装置10本体に固定し、出射面22の光軸方向の位置が光源11に対して相対的に実質変化しない構成としてもよい。なお、図5(a)及び(b)ではビームシェイパー20の出射面22側を光ピックアップ装置10本体に固定しているが、ビームシェイパーの入射面21側を光ピックアップ装置10本体に固定してもよい。
そして、ビームシェイパー20はXZ断面とYZ断面との屈折力の差によって断面が楕円形の入射光束を略円形の光束に変換して出射するようになっている。
さらに、従来より用いられているビームシェイパー20では、主にXZ断面とYZ断面とで屈折力が異なることに起因して環境温度の変化時に非点収差が発生する。しかし本発明のビームシェイパー20を備えた光ピックアップ装置10では、ビームシェーパー20の出射面22の光軸方向の位置が光源11に対して実質移動しないように固定されており、温度変化によるビームシェーパー20自身の線膨張により生ずる光源11から入射面21までの距離変化が、上記非点収差が発生しても逆にキャンセルする方向に働くため、結果として上記非点収差が抑制される形となっている。勿論、温度変化によりビームシェーパー20自身の線膨張により形状も変化するため、更に効果的に上記非点収差を抑制できる。
具体的に説明すると、環境温度変化により、ビームシェイパー20の屈折率が変化し、これによるXZ面及びYZ面における光束の出射角(出射光束の進行方向と光軸Lとが成す角)の変化と、線膨張により入射面21と出射面22の形状が変化することで入射面21及び出射面22の屈折率が変化することによる出射角の変化と、さらに、上述のようにビームシェイパー20を出射面位置が変化しないように固定することにより、線膨張により入射面21の位置が光源11に対して相対的に変化することによる出射角の変化とを組み合わせることにより、XZ面及びYZ面における焦線の向き(方向)を調節し、環境温度変化後においても非点収差の発生を抑えるようになっている。
また、上記実施の形態ではビームシェーパー20の出射面22が光源11に対して光軸方向に実質的に変化しない様な固定の形態を示している。しかしながらビームシェーパーの厚みや光ピックアップ装置の仕様によっては入射面側を固定する形態でも良く、温度変化によって生ずる非点収差をビームシェーパー20の線膨張を利用してキャンセルする方向に生ずるよう固定する構成で有ればよい。
なお、ビームシェーパー20を光ピックアップ装置10に対して固定する固定部材40は、環境温度の変化によっても実質的に線膨張が生じないような材料、即ち線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料を用いる事ができ、例えばアルミニウムでも良い。
アルミニウムの場合、樹脂と比べて加工性と強度が高く固定させる本体側の部材として適切である。
なお、環境温度の変化により出射光束の波長変動が生じる場合には、この波長変動に起因した出射角変化も考慮してビームシェイパー20の設計を行うものとする。
以上のように、本発明によれば、環境温度の変化に伴う非点収差の発生を抑えながら断面形状が略円形の発散ビームを射出することができるプラスチック製のビームシェイパー20及び光ピックアップ装置10を得られる。
なお、ビームシェイパー20及び光ピックアップ装置10の構成は上記実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上記実施の形態においては、ビームエキスパンダー14と対物レンズ16がそれぞれ2つの光学素子(第1ビームエキスパンダー14a及び第2ビームエキスパンダー14b、第1対物レンズ16a及び第2対物レンズ16b)を組み合わせて構成されるものとしたが、これに限らず、それぞれ単玉のレンズ構成としてもよい。また、波長が異なる複数の光束を用いて複数種類の光情報記録媒体に対する情報の記録及び/又は再生が可能な、いわゆる互換性を有する光ピックアップ装置の構成としてもよい。
また、光ピックアップ装置10を構成する光学素子の光学面に回折構造を設けてもよい。これにより、回折光を用いた環境温度変化時や光束の波長変動(モードホップ)時における波面収差及び/又は非点収差の劣化を補償することができる。また、特定波長の入射光束に対してのみ光路差を付与する波長選択性を持たせることが可能となり、例えば、光源11から波長が異なる複数種類の光束が出射される場合でも、各光束毎に断面形状を整形することができる。
また、ビームシェイパー20の光学面の形状も、例えばシリンドリカル面やアナモフィック面等適宜変更可能である。
図3は、ビームシェイパー20の入射面と出射面の両面をシリンドリカル面で構成した場合における、設計軸上厚(横軸)の変化に対する、残留収差(4thAS(四葉収差))及び温度変化時の非点収差(縦軸)の変化の一例を示すグラフである。
プラスチック製のビームシェイパーの両面をシリンドリカル面で構成することにより、温度変化に対する非点収差を実用上支障が無い程度に抑えることができるが、グラフに示すように、温度変化時の非点収差と残留収差(4thAS(四葉収差))とを両立させることができるビームシェイパーを、両面シリンドリカル面で構成することは容易ではない。
そこで、このような温度変化時の非点収差と残留収差(4thAS(四葉収差))とを両立させるには、ビームシェイパーの入射面と出射面のうち少なくとも一方をトロイダル面で構成することが好ましい。
なお、本実施の形態においては、ビームシェイパー20が光源11からの断面楕円形状の入射光束を円形状に整形するものとしたが、これに限らず、入射の際とは長径及び/又は短径が異なる楕円形状に整形するものとしてもよい。
また、本実施の形態においては、ビームシェイパー20が光源11付近に配置されるものとしたが、これに限らず、出射光束の光路中に配置すればよい。
また、上記実施の形態では、光源11とビームシェイパー20とを別体の構成としたが、ビームシェイパー20を光源11に近接して配置し、同一の筐体内に格納する構成としてもよく、これにより、環境温度変化時においても非点収差の発生を抑える機能を有した光源装置を得られる。
また、ビームシェイパー20を光ピックアップ装置10に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、レーザービームプリンタや複写機等、光束の断面形状を円形に整形して使用する全ての装置に適用可能である。
次に、実施例1〜6について説明する。
各実施例における光ピックアップ装置は図1に示したものと同様の構成となっている。
表1に示すように、実施例1〜3はビームシェイパーの整形倍率mを一定にして、S(光源からビームシェイパーの入射面までの光軸上の距離)とL(ビームシェイパーの軸上厚)を変化させたものであり、実施例4〜6はSを一定にしてmとLを変化させたものである。
Figure 0004492278
実施例1〜6における各光ピックアップ装置を構成する光学素子のレンズデータを表2〜7に示す。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
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Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
ビームシェイパーの入射面は、数1式に表2〜7に示す係数を代入した数式で規定される、非円弧トロイダル面で構成されている。
Figure 0004492278
ここで、Zは光軸L方向の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX、Y方向の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、ky及びAyiは非円弧係数である。
なお、表2〜7において例えば「−1.3672×E−1」は、「−1.3672×10-1」を意味する。
ビームシェイパーの出射面は、数3式に表2〜7に示す係数を代入した数式で規定されるトロイダル面で構成されている。
Figure 0004492278
また、カップリングレンズ(カップリング光学素子)の入射面及び第2対物レンズの出射面は、それぞれ光軸を中心とした曲率半径Rの球面に形成されている。
また、カップリングレンズの出射面、第1ビームエキスパンダーの入射面及び出射面、第1対物レンズの入射面及び出射面、第2対物レンズの入射面は、それぞれ数5式に表2〜7に示す係数を代入した数式で規定される光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
Figure 0004492278
ここで、κは円錐係数、A2iは非球面係数、hは光軸からの距離である。
また、第2ビームエキスパンダーの入射面及び出射面には光軸を中心とした回折輪帯が形成されており、回折輪帯のピッチは数6の光路差関数に、表2〜7に示す係数を代入した数式で規定される。
Figure 0004492278
ここで、C2iは光路差関数の係数である。
なお、表2〜7中、「基準波長」とあるのは、いわゆるブレーズ波長を指し、その波長の光束が入射した場合に回折構造により生じるある次数の回折光の回折効率が最大(例えば100%)となる波長のことである。
表1(a)及び(b)のAS3(total))は、温度を30℃上昇させた場合における、4つの非点収差(AS3(△n)、AS3(△λ)、AS3(△L)、AS3(△S))の合計を示すものである。
表1から、本実施例におけるビームシェイパー及び光ピックアップ装置によれば、環境温度が変化した場合でも非点収差の発生を抑えることができることが分かる。
Figure 0004492278
表8(a)は、実施例1〜3の構成において、S=1、1.5、2.0と変化させた場合の環境温度変化時の非点収差AS3の変化量とLとの関係を表すグラフである。
表8(b)は、実施例4〜6の構成において、L/Sとビームシェイパーの整形倍率mとの関係を表すグラフである。
表8(a)より、光ピックアップ装置及びビームシェイパーを、SとLとの間に比例関係が成立することに着目して設計することにより、温度変化時の非点収差の変化量をほぼゼロに抑えることができることが分かる。
表8(b)より、光ピックアップ装置及びビームシェイパーを、L/Sとmとの関係に着目して設計することにより、温度変化時の非点収差の変化量をほぼゼロに抑えることができることが分かる。
次に、実施例7〜11について説明する。
各実施例における光ピックアップ装置は図4に示したものと同様の構成となっており、詳しい説明は省略するが、図1に示した光ピックアップ装置10の構成から、ビームエキスパンダー14を取り除くと共に対物レンズ16を単玉の構成としている。
実施例7のビームシェイパーは、入射面(第3面)と出射面(第4面)が共にシリンドリカル面で構成されており、入射面の面形状は数3式に表9に示す係数を代入した数式で規定されており、出射面の面形状は数1式に表9に示す係数を代入した数式で規定されている。
なお、実施例7のように、シリンドリカル面が数1式、数3式を用いて規定される場合には、数1式、数3式においてRx=∞を代入し、シリンドリカル面が数2式、数4式を用いて規定される場合には、数2式、数4式においてRy=∞を代入することになる。
実施例8のビームシェイパーは入射面が以下の数4式に示すトロイダル面、出射面が以下の数2式に示す非円弧トロイダル面で構成されており、入射面及び出射面の面形状は、各式に表10に示す係数を代入した数式で規定される。
実施例9のビームシェイパーは、入射面が数4式に示すトロイダル面、出射面が数1式に示す非円弧トロイダル面で構成されており、入射面及び出射面の面形状は、各式に表11に示す係数を代入した数式で規定される。
実施例10のビームシェイパーは、入射面が上記数3式に示すトロイダル面、出射面が数2式に示す非円弧トロイダル面で構成されており、入射面及び出射面の面形状は、各式に表12に示す係数を代入した数式で規定される。
実施例11のビームシェイパーは、入射面が数3式に示すトロイダル面、出射面が数1式に示す非円弧トロイダル面で構成されており、入射面及び出射面の面形状は、各式に表13に示す係数を代入した数式で規定される。
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
Figure 0004492278
ここで、Zは光軸L方向の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX、Y方向の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx及びAxiは非円弧係数である。
また、各実施例において、カップリングレンズの出射面(第8面)、対物レンズの入射面(第10面)及び出射面(第11面)は、上記数5式に表9〜13の係数を代入した数式で規定される光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
また、対物レンズの入射面(第10面)には、更に、光軸を中心とした回折輪帯が形成されており、回折輪帯のピッチは数6の光路差関数に、表9〜13に示す係数を代入した数式で規定される。
表9〜13に示すように、実施例7〜13の構成では、温度特性(30度上昇時に発生する非点収差量)は、−0.002λrmsから0.000λrmsの範囲内であり、温度変化時の非点収差は十分抑えられていることが分かるが、実施例7のように、ビームシェイパーの入射面と出射面を共にシリンドリカル面で構成した場合の四葉収差(4thAS)の値は0.009λrmsであるのに対し、実施例8〜11のように、入射面と出射面を共にトロイダル面で構成した場合の四葉収差(4thAS)の値は0.007λrms以下となる。
以上より、実施例7のように、プラスチック製のビームシェイパーの両面をシリンドリカル面で構成することにより、温度変化時の非点収差を実用上支障が無い程度に抑えることができるが、実施例8〜11のように、ビームシェイパーの光学面をトロイダル面で構成することにより、温度変化時の非点収差のみならず、残留収差(4thAS(四葉収差))の抑制も可能となり、より良好な光学特性を得られることが分かる。
光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 ビームシェイパーの形状を示す斜視図である。 設計軸上厚に対する残留収差と温度変化時の非点収差との関係を示すグラフである。 光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 ビームシェイパーの光ピックアップ装置への固定方法を示す平面図(a)及び(b)である。
符号の説明
10 光ピックアップ装置
11 光源
16 集光素子
20 ビーム整形素子
21 入射面
22 出射面
31 情報記録面

Claims (17)

  1. 光源から出射される水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を断面形状が略円形の光束に変換して出射する単玉のビーム整形素子において、
    前記ビーム整形素子は、脂環式構造を有する重合体を含有する樹脂からなり、且つ線膨張係数αnが以下の条件式を満たし、
    環境温度変化による非点収差の発生量を抑えることを特徴とするビーム整形素子。
    5.0×10-5<αn<8.0×10-5
  2. 請求項1に記載のビーム整形素子において、
    前記脂環式構造を有する重合体は、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000である重合体全繰り返し単位中に、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記一般式(2)及び/又は下記一般式(3)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90重量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1重量%以上10重量%未満である脂環式炭化水素系共重合体であることを特徴とするビーム整形素子。
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
    〔式(1)中、Xは脂環式炭化水素基であり、式(1)、式(2)、及び式(3)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基である。〕
  3. 請求項1に記載のビーム整形素子において、
    前記脂環式構造を有する重合体は、ノルボルネン系開環重合体であることを特徴とするビーム整形素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
    当該ビーム整形素子は、光軸方向における出射面の位置が前記光源に対して相対的に変化しないように固定されるものであり、
    環境温度変化による前記ビーム整形素子の屈折率変化と線膨張による形状変化に伴う屈折力変化と線膨張による前記光源から前記ビーム整形素子の入射面までの距離の変化とを利用して前記非点収差の発生量を抑えることを特徴とするビーム整形素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
    入射面と出射面のうち少なくとも一方の光学面の水平方向又は垂直方向の断面形状が非円弧であることを特徴とするビーム整形素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
    入射面の面形状が、以下の数1式又は数2式で規定されることを特徴とするビーム整形素子。
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
    但し、Zは光軸方向(Z軸方向)の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX軸方向(水平方向)、Y軸方向(垂直方向)の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数である。
  7. 請求項6に記載のビーム整形素子において、
    出射面の面形状が、以下の数3式又は数4式で規定されることを特徴とするビーム整形素子。
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
    出射面の面形状が、以下の数1式又は数2式で規定されることを特徴とするビーム整形素子。
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
    但し、Zは光軸方向(Z軸方向)の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX軸方向(水平方向)、Y軸方向(垂直方向)の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数である。
  9. 請求項8に記載のビーム整形素子において、
    入射面の面形状が、以下の数3式又は数4式で規定されることを特徴とするビーム整形素子。
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
    入射面の面形状と、出射面の面形状とが共に以下の数1式又は数2式で規定されることを特徴とするビーム整形素子。
    Figure 0004492278
    Figure 0004492278
    但し、Zは光軸方向(Z軸方向)の距離(光の進行方向を正とする)、X、YはX軸方向(水平方向)、Y軸方向(垂直方向)の距離(光軸からの高さ)、RxはXZ面での近軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数である。
  11. 水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を出射する光源と、請求項1〜10のいずれか一項に記載のビーム整形素子と、前記光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子とを備え、前記光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
  12. 請求項11に記載の光ピックアップ装置において、
    前記ビーム整形素子の出射面から出射された光束の発散角を変換する発散角変換素子を有し、次の関係式
    0.5<(L/S)×fc<1.0
    を満たすように構成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
    なお、L:ビーム整形素子の軸上厚(mm)
    S:光源とビーム整形素子の入射面との光軸上の距離(mm)
    fc:発散角変換素子の焦点距離(mm)
  13. 水平方向と垂直方向とで異なる放射角を有する光束を出射する光源と、請求項1〜10のいずれか一項に記載のビーム整形素子と、を有し、
    前記ビーム整形素子の一部を、前記光源に対して、温度変化により生ずる前記ビーム整形素子の屈折率変化に伴って発生する非点収差を前記ビーム整形素子の線膨張により生ずる前記光源と前記ビーム整形素子の入射面との間隔変化で抑制するように固定配置したことを特徴とする光源装置。
  14. 請求項13に記載の光源装置において、
    前記ビーム整形素子は、その出射面を前記光源に対して光軸方向に実質変化しない様に固定したことを特徴とする光源装置。
  15. 請求項14に記載の光源装置において、
    前記ビーム整形素子は、温度変化により発生する非点収差を、前記ビーム整形素子の温度変化による形状変化に伴って発生する非点収差を利用して抑制するように構成されることを特徴とする光源装置。
  16. 請求項15に記載の光源装置において、
    前記ビーム整形素子の出射面を固定する固定部材は、線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料からなることを特徴とする光源装置。
  17. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子とを備え、前記光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
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