JPH08232118A - 染色特性に優れたナイロン6繊維及びその製造方法 - Google Patents

染色特性に優れたナイロン6繊維及びその製造方法

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JPH08232118A
JPH08232118A JP4025695A JP4025695A JPH08232118A JP H08232118 A JPH08232118 A JP H08232118A JP 4025695 A JP4025695 A JP 4025695A JP 4025695 A JP4025695 A JP 4025695A JP H08232118 A JPH08232118 A JP H08232118A
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JP
Japan
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nylon
fiber
polymer
dyeing
spinning
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JP4025695A
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English (en)
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Tetsuya Kato
哲也 加藤
Naoyuki Kinoshita
直之 木下
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 立体障害されたアミノ基を有する特定の化
合物を0.1〜3.0重量%含有させたナイロン6系重
合体からなり、γ結晶含有率が10〜50重量%であ
り、かつ、非晶部配向度が0.3〜0.7であるナイロ
ン6繊維とする。 【効果】 製糸性や繊維特性等の悪化を招くことな
く、深色性、染色堅牢性、均染性等の染色特性が総合的
に優れたナイロン6繊維とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた染色特性を有
し、衣料用布帛として好適なナイロン6繊維及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1000m/分以下の低速で紡糸された
未延伸糸を一旦巻取り後3.0倍以上のような高倍率で
延伸することによってナイロン6延伸糸を製造する製糸
方法が、従来から一般に行われてきている。この製糸方
法によって得られるナイロン6繊維は、染色堅牢性に優
れるものの深色性(色の深み)や均染性が劣るという問
題があった。
【0003】また、3500〜6000m/分程度の高
速紡糸により製造されるナイロン6繊維は、染色時の深
色性や均染性に優れるものの染色堅牢性に劣るという問
題があった。
【0004】そこで、これらの問題を改善するための方
法が種々提案されてきている。例えば、高速紡糸ナイロ
ン6繊維の染色堅牢性を高めるために、ポリマの染着座
席であるアミノ末端基の量を増やして化学結合力を強く
する方法(特公昭58−30407号公報)や、強い熱
処理を行うことによって繊維構造を緻密化する方法が提
案されている。
【0005】また、特定の染色性向上剤を配合すること
によって染色特性を総合的に改善する方法が、特開平2
−265966号公報で提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高速紡糸ナイ
ロン6繊維においてアミノ末端基の量を増やすと次に述
べるような大きな問題が生じてくるので、この方法での
十分な染色堅牢性の改善は困難であった。第1の問題
は、溶融紡糸時における紡糸性が悪くなることである。
これはアミノ末端基が溶融中に反応しポリマの熱分解や
ゲル化を促進するためと考えられる。第2の問題は、得
られる繊維が光や熱によって変性し易くなり糸質が悪化
することである。ナイロンは本来過酷な環境で変性し易
いが高速製糸されかつアミノ末端基が多い繊維ではその
傾向が著しく大きい。
【0007】また、強い熱処理による染色堅牢性向上の
方法は、染色堅牢性は向上するものの逆に染色性が大幅
に低下するという実用上大きな問題がある。
【0008】さらにまた、前記した染色性向上剤による
方法は、その効果がナイロン6繊維の繊維構造に大きく
左右され、染色特性が総合的に優れた繊維とすることは
容易ではなかった。
【0009】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の欠点を解消し、即ち、上記した溶融紡糸性悪化や繊維
特性悪化のような問題を生じることなく、深色性、染色
堅牢性、均染性等の染色特性が総合的に優れたナイロン
6繊維及びその製造方法を提供することを主たる目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の染色特性に優れたナイロン6繊維は、下記
の式1、式2及び式3で示される化合物の少なくとも一
種をポリマに対し0.1〜3.0重量%含有するナイロ
ン6系重合体からなり、γ結晶含有率が10〜50重量
%であり、かつ、非晶部配向度が0.3〜0.7である
ことを特徴とする。
【0011】
【化4】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
ジル−4である。)
【0012】また、本発明の染色特性に優れたナイロン
6繊維の製造方法は、上記の式1、式2及び式3で示さ
れる化合物の少なくとも一種をポリマに対し0.1〜
3.0重量%含有するナイロン6系重合体を溶融紡糸し
冷却固化した後、3000〜6000m/分の紡糸速度
で引取り、実質的に延伸することなく巻取ることによ
り、γ結晶含有率が25〜50重量%、かつ、非晶部配
向度が0.3〜0.7であるナイロン6繊維を製造する
こと、あるいは、上記同様に溶融紡糸し冷却固化した
後、2000〜5000m/分の紡糸速度で引取り、引
続いて2.5倍以下で延伸し熱処理して巻取ることによ
り、γ結晶含有率が10〜25重量%、かつ、非晶部配
向度が0.3〜0.7であるナイロン6繊維を製造する
ことを特徴とする。
【0013】本発明のナイロン6繊維は、高速紡糸によ
り製造されるγ結晶混在率が10〜50重量%かつ非晶
部配向度が0.3〜0.7のナイロン6繊維であること
が必要であり、その重合度は98%硫酸相対粘度にして
2.4〜3.5の範囲が適当である。
【0014】また、そのアミノ末端基量は2.0〜6.
0モル/105 gが適当である。アミノ末端基量が多過
ぎれば高速製糸時の紡糸性が損なわれるし、逆に少な過
ぎると本発明によっても十分な濃色染めが難しくなる。
ただ、本発明によると濃色化効果が得られるので、従来
のナイロン6繊維の場合よりもアミノ末端基量を低減さ
せることも可能である。即ち、[7.5−1.5・de
1/2 ]モル/105 g以下の水準でも十分な濃色性、染
色堅牢性を得ることができ、この結果、溶融紡糸性を改
善することもできる。
【0015】ナイロン6ポリマ中には、酸化チタンなど
の艶消し剤が含まれていてもよいが、含まれていなくて
もよい。また、繊維物性に大きな影響を及ぼさない範囲
内、例えば10重量%以下程度であれば、他のポリアミ
ド形成性モノマが共重合されていても良い。
【0016】本発明においては、ナイロン6繊維中に、
改質剤として、前記した式1、式2及び式3で示される
化合物の少なくとも一種を所定量含有させることが必要
である。この化合物は立体障害されたアミノ基を有し、
例えば、2,4,6−トリクロロトリアジンと2,2,
6,6−テトラアルキルピペリジル−4−アミノピペリ
ジンとを反応させることにより合成することができる。
【0017】この改質剤のナイロン6に対する配合量は
ポリマに対し0.1〜3.0重量%が必要であり、好ま
しくは0.2〜2.0重量%である。
【0018】0.1重量%未満と少な過ぎる場合は本発
明の所期の目的を充分に達成することができない。逆に
3.0重量%を越える程に多過ぎると製糸時の糸切れが
大幅に増加し生産性が低下するので実用化困難である。
【0019】その添加時期は溶融紡糸する前の段階であ
ればいつでもよく、例えば、紡糸機中の溶融ポリマに添
加混合する方法、ナイロン6ペレットと混合する方法、
ナイロン6の重合時に添加する方法等をとればよい。
【0020】本発明のナイロン6の製糸は、高速製糸に
よる次の方法で行えばよい。
【0021】一つは、上記化合物を含有するナイロン6
を、通常の方法で溶融紡糸し冷却固化した後、3000
〜6000m/分の紡糸速度で引取り、実質的に延伸す
ることなく巻上げる方法である。この方法で得られる糸
は、伸度が80〜45%程度の半延伸糸(POY)であ
り、その伸度水準は紡糸速度と巻上げ時の僅かな引張り
の程度とによって変化する。
【0022】その繊維微細構造は、低速紡糸−後延伸に
よる延伸繊維とは大きく異なる。即ち、X線回折によっ
て測定した結晶構造が、低速紡糸−後延伸による延伸繊
維はα結晶でありγ結晶は含まれない(γ結晶含有率は
ほぼ0%)が、POYではγ結晶含有率が25〜50重
量%と多く含まれている。そして、非晶領域の乱れがや
や大きく非晶部配向度は0.3〜0.7と低い。この繊
維構造が染色堅牢性に大きく影響している。好ましい原
糸伸度は50〜70%であり、また、好ましいγ結晶含
有率は35〜45%である。
【0023】他の方法は、2000〜5000m/分で
引き取った後、連続して2.5倍以下で延伸し熱処理し
た後巻き上げる方法である。この方法により得られるナ
イロン6繊維ではγ結晶含有率が10〜25重量%であ
り、非晶部配向度は0.3〜0.7と低い。そのため染
色堅牢性はPOYほど悪くはないがやはり不十分な水準
にあり、特に単糸繊度の小さいマイクロファイバーでは
実用上問題となるほど悪い。このγ結晶含有率の水準
は、主として熱固定温度と延伸倍率とに左右されるの
で、熱固定温度は160〜190℃とすることが好まし
く、また、延伸倍率は紡糸速度により最適値が変わるが
一般には1.1〜2.5倍の範囲が好ましい。
【0024】本発明は、単糸繊度が2.0デニール以下
と細繊度であるナイロン6繊維の場合に有効であり、特
に単糸繊度が1デニール以下のマイクロファイバーに効
果的である。
【0025】本発明のナイロン6繊維は、酸性染料や金
属錯塩酸性染料などの通常のナイロン用染料で染色した
場合に優れた染色特性を発揮する。
【0026】本発明で特定した繊維物性は次の方法によ
って測定される値である。
【0027】[γ結晶含有率] CuKα線(Niフ
ィルター使用を線源とした広角X線回折装置(出力35
kv,15mA)を用い、試料回転法によって回折チャー
トを得る。2θ=9゜と14゜をバックグランドとして
直線上部の積分強度をγ型結晶成分(A)とし、また、
14゜と30゜をバックグランドとして直線上部の積分
強度をα型結晶成分(B)とし、A/(A+B)の値を
求める。スチーム処理する事で結晶を全てα型に転移さ
せたα型結晶標準試料とヨウ化カリ処理する事で結晶を
全てγ型結晶に転移させたγ型結晶標準試料とから予め
作成された検量線を用いて、A/(A+B)の値からγ
結晶含有率(重量%)を求める。
【0028】[非晶部配向度] 試料を蛍光剤("Whi
tex"RP)の0.2wt%水溶液中に3時間侵漬した後風
乾する。蛍光偏向分光計により、繊維軸方向(A)と繊
維軸と直角方向(B)の相対蛍光強度を測定し、[1−
B/A]の式により非晶配向パラメータ(F)の値を求
める。これを非晶部配向度とする。
【0029】[98%硫酸相対粘度] 試料を98%
硫酸に溶解させて濃度1重量%の溶液とし、オストワル
ド粘度計により25℃の恒温下で流下時間を測定する。
硫酸の流下時間に対する試料溶液の流下時間の比を標準
試料により比粘度に換算し、これを98%硫酸相対粘度
とする。
【0030】[アミノ末端基量] 試料をフェノール
・エタノール混合溶液で溶解し、N/50塩酸水溶液
で、チモールブルーを指示薬として中和滴定する。この
際の塩酸消費量から、105 gあたりのアミノ末端基量
を求める。
【0031】
【作用】高速製糸によるナイロン6繊維は、γ結晶含有
率が10〜50重量%、非晶部配向度が0.3〜0.7
という構造物性で表されるように、繊維構造中の非晶部
における緻密性が良くないため、染色された染料が繊維
中で移動し易い。特に高速紡糸後に熱固定する事なく巻
き上げた繊維(以下POYと略称する)ではその傾向が
顕著である。このため、洗濯時に染料が脱落して退色す
ると共に他の繊維を汚染する傾向が強い。また、光照射
時の染料退色も大きい。従って、この高速製糸繊維では
比較的温和な条件でも実用に支障が生じる水準の染色堅
牢性しか得られない。
【0032】この染色堅牢性の低さは、その繊維構造に
起因するのでアミノ末端基量を増加させるような従来の
改善方法では実用上満足のいくナイロン6繊維は得られ
難いが、本発明を適用することによって、ナイロン6繊
維の優れた特性や製糸性等を悪化することなく、実用上
満足できる水準の染色耐光堅牢性及び染色洗濯堅牢性を
得ることができる。さらに、深色性(色の深み)を一層
向上させることもできる。
【0033】これに対し、低速紡糸−後延伸によるナイ
ロン6繊維は、γ結晶含有率がほぼ0重量%と低く、非
晶部配向度が0.75以上と高いという構造物性で表さ
れるように、染料が染着する非晶部の構造が緻密であ
り、微細な結晶が多いという繊維構造を有しているの
で、染色堅牢性は比較的良好であるものの深色性が劣る
という問題がある。この低速紡糸−後延伸による繊維の
場合でも、本発明で特定した改質剤を配合すればそれら
染色特性は若干向上するものの、その向上の程度は極め
て小さく、依然として不十分な水準の深色性しか得られ
ない。従って、この繊維構造の場合は、本発明で特定し
た改質剤を配合させても、染色特性を総合的に満足でき
る水準とすることはできない。
【0034】また、本発明で特定した改質剤は、高速製
糸による繊維におけるγ結晶部や非晶部の不安定な内部
構造を強化して染色堅牢性や耐光性の改善を図ることが
できる。その改質剤化合物中の第3級および第2級アミ
ンは染料の吸着活性部位となると共に、ポリアミドの活
性基(アミノ基、カルボキシル基、アミド基)との相互
作用によって、ポリアミドの化学的安定化を達成する。
このため、繊維構造の安定化とともに染料染着性が向上
し、繊維の熱固定による易染性や深色性の低下を防ぐこ
とができる。また、染料との相互作用によって染料自身
の安定性を増し、熱や光による退色を抑制する。特に金
属錯塩染料においてその効果が著しい。
【0035】
【実施例】以下の実施例における繊維特性は次の方法に
よった。
【0036】{染色洗濯堅牢度} JIS・L084
4「洗濯に対する染色堅ろう度試験方法」の方法で測定
した。ラウンジメータ形洗濯試験機を用い、石鹸濃度
0.5%、温度40℃、時間30分間で処理した後、グ
レースケールにより洗濯前後の褪色を等級判定した。
【0037】{染色耐光堅牢度} JIS・L084
2「カーボンアーク灯光による染色堅ろう度試験方法」
の方法で測定した。10時間照射を3級、20時間照射
を4級、40時間照射を5級とし、グレースケールで等
級判定した。
【0038】{深色度} 市販のカラーメーター(日
本電色工業(株)製“シグマ80”)により明度(L)
を測定し、(1/L)×100により深色度を求める。
【0039】[実施例1]98%硫酸相対粘度2.7
0、アミノ末端基量4.8モル/105 gを有するナイ
ロン6のペレットに、改質剤として、粉末状の前記した
式1の化合物(サンド(株)製の“Sandfil Anchor DW
L”)を、ポリマに対し0.1、0.5、1.0、3.
0、5.0重量%のそれぞれの量でドライブレンドした
後、乾燥した。
【0040】得られた改質剤添加ナイロン6ペレットを
それぞれエクストルーダ型溶融紡糸機に供給し、270
℃で溶融紡糸し冷却固化した後、5000m/分の速度
で引取るという製糸方法(POY)によって70デニー
ル34フィラメントのナイロン6繊維を得た( No.2〜
5)。
【0041】なお、改質剤を5.0重量%含有する場合
は溶融紡糸時に糸切れが頻発し繊維をサンプリングでき
なかった( No.6)。
【0042】また、比較のため、式1の化合物をブレン
ドしないナイロン6ペレットから同様の方法で高速紡糸
してナイロン6繊維を得た( No.1)。
【0043】得られたナイロン6繊維は、γ結晶含有率
が40〜42%、非晶部配向度が0.38〜0.42で
あった。
【0044】これらナイロン6繊維を、通常の方法でト
リコット編み機を用いてハーフトリコットに編成した。
このハーフトリコットを常法にしたがって金属錯塩染料
で染色した。染料には、“Isolan grey ZPGL”、“Isol
an yellow KRLS”及び“Isolan BORDEUX KRLS ”の混合
を用い、濃度をそれぞれ0.25、0.3、0.5%ow
f. とし、浴比1対20、昇温速度2℃/分、最終温度
98℃30分の条件で染色した。
【0045】染色された布帛について深色性、染色堅牢
性を評価して表1に示した。
【0046】本発明で特定した改質剤を所定量配合した
No.2〜5の場合は、深色度が4以上と充分な深みを有
するとともに、洗濯堅牢度及び耐光堅牢度がともに4級
以上と良好であり、染色特性が総合的に優れていた。
【0047】これに対し、本発明で特定した改質剤を添
加しなかった No.1の場合は、深色度は良好であるもの
の、洗濯堅牢度も耐光堅牢度も3級以下と悪く実用上必
要な水準を満足できなかった。
【0048】また、改質剤の配合量が多過ぎた No.6の
場合は糸切れ多発のために製糸困難であった。
【0049】[実施例2]実施例1で用いたと同じ改質
剤添加ナイロン6ペレット及び無添加ナイロン6ペレッ
トを用い、次の方法で高速製糸した。
【0050】それぞれのペレットをエクストルーダ型溶
融紡糸機に供給し、270℃で溶融紡糸し冷却固化した
後、3500m/分の速度で引取り連続して1.3倍に
延伸し185℃で熱固定してから巻き取るという製糸方
法(DSD)によって、70デニール98フィラメント
のナイロン6マイクロファイバー糸を得た( No.11〜
15)。
【0051】なお、改質剤を5.0重量%含有する場合
は、溶融紡糸時に糸切れが頻発し繊維をサンプリングで
きなかった( No.16)。
【0052】得られたナイロン6マイクロファイバー糸
は、γ結晶含有率が16〜18%、非晶部配向度が0.
64〜0.66であった。
【0053】得られたナイロン6マイクロファイバー糸
を実施例1と同様にハーフトリコットに編成した後、同
様に染色して、染色後の布帛の深色度および染色堅牢度
を測定し表1に示した。
【0054】本発明で特定した改質剤を所定量配合した
No.12〜15の場合は、深色度が4以上と充分な深み
を有するとともに、洗濯堅牢度及び耐光堅牢度がともに
4級以上と良好であり、染色特性が総合的に優れてい
た。
【0055】これに対し、本発明で特定した改質剤を添
加しなかった No.11の場合は、深色度がやや劣り、洗
濯堅牢度も耐光堅牢度も3級以下と悪く実用上必要な水
準を満足できなかった。
【0056】また、改質剤の配合量が多過ぎた No.16
の場合は糸切れ多発のために製糸困難であった。
【0057】[比較例1]実施例1で用いたと同じ改質
剤添加ナイロン6ペレット及び無添加ナイロン6ペレッ
トを用い、次の方法で低速紡糸−後延伸による製紙を行
った。
【0058】それぞれのペレットをエクストルーダ型溶
融紡糸機に供給し、270℃で溶融紡糸し冷却固化した
後、1000m/分の低速で未延伸糸として一旦巻き取
った後、3.4倍に延伸して巻取るという2ステップ方
式の製糸方法(UY−DT)によって、70デニール3
4フィラメントのナイロン6繊維を得た( No.21〜2
6)。
【0059】得られたナイロン6繊維は、γ結晶含有率
が0%、非晶部配向度が0.78〜0.79であり、本
発明で特定した繊維構造物性を有していなかった。
【0060】得られたナイロン6繊維を実施例1と同様
にハーフトリコットに編成した後、同様に染色して、染
色後の布帛の深色度および染色堅牢度を測定し表1に示
した。 本発明で特定した改質剤を添加することにより
深色度、染色堅牢度とも若干向上し染色堅牢度は4級以
上と良好であったが、深色度は4以下と依然不十分な水
準であり、染色特性は劣っていた。
【0061】
【表1】
【0062】[実施例3及び比較例2]糸条単糸数を6
8本に変えた以外は実施例1の No.3又は No.13と同
じ方法により、添加率0.5重量%で、紡糸速度500
0m/分の高速紡糸法(POY)、又は、3500m/
分で引取り後1.3倍に延伸し185℃で熱固定する直
接紡糸延伸法(DSD)により、70デニール68フィ
ラメントのナイロン6フィラメント糸を製造した( No.
31、32)。
【0063】また、糸条単糸数を68本に変えた以外は
比較例1の No.23と同じ方法により、添加率0.5重
量%で、1000m/分で引取り後一旦巻取り3.4倍
に延伸する2ステップ方式(UY−DT)により、70
デニール68フィラメントのナイロン6フィラメント糸
を製造した( No.33)。
【0064】得られたそれぞれのナイロン6フィラメン
ト糸を用いて、常法により、整経、製織し、経130本
/インチ×緯90本/インチの織密度のタフタを製造し
た。得られたタフタを常法により精練後、98℃30分
間液流染色機中で、染料として "Nylosan Blue N-GL"を
用い、濃度0.5% owf. により染色した。
【0065】得られた染色タフタの筋斑、染斑、品位を
評価した結果は、表2のとおりであった。
【0066】本発明による No.31、32の場合は、筋
斑も染斑もなく均染性良好であり、品位の優れた布帛で
あった。これに対し、本発明外の No.33の場合は、筋
斑があり染斑も多く均染性が劣り、品位が劣る布帛であ
った。
【0067】
【表2】
【0068】[実施例4]改質剤として前記した式2の
化合物を用いた以外は、実施例1の No.3と同様の高速
紡糸法(POY)により70デニール34フィラメント
のナイロン6繊維を製糸した( No.34)。
【0069】また、改質剤として、前記した式3の化合
物を用いた以外は、実施例2の No.13と同様の高速製
糸法(POY)により70デニール98フィラメントの
ナイロン6マイクロファイバー糸を製糸した( No.3
5)。
【0070】得られたナイロン6繊維をそれぞれ実施例
1と同様の方法によりハーフトリコットに編成して染色
し染色特性を評価したところ、表3に示すとおり深色度
及び染色堅牢度がともに優れていた。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明によると、深色性、染色堅牢性、
均染性等の染色特性が総合的に優れたナイロン6繊維が
製糸性や繊維特性等の悪化を招くことなく得られる。
【0073】また、本発明によると、特に染色特性が悪
いマイクロファイバーでも染色特性が総合的に優れたナ
イロン6繊維が得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式1、式2及び式3で示される
    化合物の少なくとも一種をポリマに対し0.1〜3.0
    重量%含有するナイロン6系重合体からなり、γ結晶含
    有率が10〜50重量%であり、かつ、非晶部配向度が
    0.3〜0.7であることを特徴とする染色特性に優れ
    たナイロン6繊維。 【化1】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
    ジル−4である。)
  2. 【請求項2】 アミノ末端基量が2.0〜6.0モル
    /105 gであることを特徴とする請求項1記載の染色
    特性に優れたナイロン6繊維。
  3. 【請求項3】 98%硫酸相対粘度が2.4〜3.5
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の染色特性
    に優れたナイロン6繊維。
  4. 【請求項4】 単糸繊度が2.0デニール以下のナイ
    ロン6フィラメントからなるマルチフィラメント糸であ
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の染色特性
    に優れたナイロン6繊維。
  5. 【請求項5】 酸性染料及び/又は金属錯塩酸性染料
    で染色されていることを特徴とする請求項1、2、3又
    は4記載の染色特性に優れたナイロン6繊維。
  6. 【請求項6】 下記の式1、式2及び式3で示される
    化合物の少なくとも一種をポリマに対し0.1〜3.0
    重量%含有するナイロン6系重合体を溶融紡糸し、冷却
    固化した後、3000〜6000m/分の紡糸速度で引
    取り、実質的に延伸することなく巻取ることにより、γ
    結晶含有率が25〜50重量%、かつ、非晶部配向度が
    0.3〜0.7であるナイロン6繊維を製造することを
    特徴とする染色特性に優れたナイロン6繊維の製造方
    法。 【化2】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
    ジル−4である。)
  7. 【請求項7】 下記の式1、式2及び式3で示される
    化合物の少なくとも一種をポリマに対し0.1〜3.0
    重量%含有するナイロン6系重合体を溶融紡糸し、冷却
    固化した後、2000〜5000m/分の紡糸速度で引
    取り、引続いて2.5倍以下で延伸し熱処理して巻取る
    ことにより、γ結晶含有率が10〜25重量%、かつ、
    非晶部配向度が0.3〜0.7であるナイロン6繊維を
    製造することを特徴とする染色特性に優れたナイロン6
    繊維の製造方法。 【化3】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
    ジル−4である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012531537A (ja) * 2009-06-30 2012-12-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 着色可能な粒子を有するポリアミド繊維及びその製法
KR20210004950A (ko) * 2018-04-25 2021-01-13 도레이 카부시키가이샤 폴리아미드 섬유 및 직편물, 및 폴리아미드 섬유의 제조 방법

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