JPH08260241A - 染色特性の改善されたナイロン66繊維及びその製造方法 - Google Patents

染色特性の改善されたナイロン66繊維及びその製造方法

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JPH08260241A
JPH08260241A JP7026395A JP7026395A JPH08260241A JP H08260241 A JPH08260241 A JP H08260241A JP 7026395 A JP7026395 A JP 7026395A JP 7026395 A JP7026395 A JP 7026395A JP H08260241 A JPH08260241 A JP H08260241A
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JP
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nylon
fiber
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dyeing
weight
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JP7026395A
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Inventor
Naoyuki Kinoshita
直之 木下
Tetsuya Kato
哲也 加藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 立体障害されたアミノ基を有する特定の化
合物をポリマに対し0.1〜3.0重量%含有し、か
つ、0.5〜15重量%の共重合成分を共重合したナイ
ロン66系重合体から紡糸速度2500/分以上で高速
製糸によってナイロン66繊維を製造する。 【効果】 均染性、染色堅牢性、深色性等の染色特性
が総合的に優れたナイロン66繊維とすることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた染色特性を有
し、衣料製品用として好適なナイロン66繊維に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】3500m/分以上のような高速で紡糸
されたポリアミド繊維、特にナイロン66繊維は、溶融
紡糸過程において結晶化が急速に進行することによって
糸斑が発生し易い。そして、この糸斑が紡糸糸切れを誘
発するという大きな問題があった。
【0003】即ち、ナイロン66は、他のナイロンに比
べて特に結晶化速度が速い。それ故、紡糸時配向が大き
い高速製糸においては、配向結晶化の進行が著しく大き
くなる。紡糸過程における配向結晶化の急速な進行は、
繊維内部と表面との結晶化の差を大きくし、さらに大型
の集合結晶である球晶の生成を促進する。この球晶は、
繊維軸方向の糸斑の原因となり、太さ斑の発生や糸切れ
の増大を招くこととなる。
【0004】そこで、この問題を改善するために、特公
平2−62135号公報や特公昭61−32333号公
報に記載されているように、他のアミド単位を少量共重
合することが提案されている。しかし、この共重合法
は、球晶の抑制には有効であったが、ポリマの繊維構造
を乱すことから繊維物性の低下を引き起こした。特に、
染色特性においては、染料の吸着領域である非結晶部に
おける繊維構造の乱れが洗濯堅牢度の低下を招くという
大きな問題があり、さらなる改善が望まれていた。
【0005】ところで、染色堅牢性を改善する方法とし
て、ポリマのアミノ末端基量を増やす方法が特公昭58
−30408号公報で提案されている。また、強い熱処
理を行うことによって繊維構造を緻密化する方法も知ら
れている。さらにまた、立体障害を有するアミノ基を有
する化合物をポリアミドに添加する方法が特開平2−2
65966号公報で提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】染色堅牢度の改善の為
にアミノ末端基を増させるという前者の方法は、染色堅
牢性向上には有効であるが、種々のマイナス効果を生じ
実用的な解決手段とはなり難い。
【0007】第1に、溶融紡糸時における紡糸性が悪く
なることである。特に高速紡糸する際の紡糸性は著しく
悪くなる。これは、アミノ末端基がナイロンの溶融紡糸
中に反応しポリマの熱分解とゲル化が促進されるためで
ある。
【0008】第2は、得られた繊維が光や熱によってさ
らに変性し易くなることである。ナイロンは本来過酷な
環境では変性し易いが、高速製糸されかつアミノ末端基
の多い繊維ではその傾向が著しく大きい。
【0009】また、強い熱処理を行うことによって高速
製糸されたナイロン繊維の繊維構造を緻密化し染色堅牢
性を向上させるという方法は、結晶化の増大に伴い染色
が困難となり、深色性の大幅な低下を招くという大きな
問題点がある。
【0010】さらにまた、特開平2−265966号公
報で提案されている化合物の配合による方法は、その改
善効果がナイロン繊維の繊維構造に大きく左右され、染
色特性が総合的に優れたナイロン66繊維とすることは
容易ではなかった。
【0011】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の欠点を解消し、溶融紡糸特性の悪化や繊維特性の悪化
のような問題を生じることなく、均染性、染色堅牢性、
深色性等の染色特性が総合的に優れたナイロン66繊維
及びその製造方法を提供することを主な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の染色特性の改善されたナイロン66繊維
は、紡糸速度2500/分以上で高速製糸されたナイロ
ン66繊維であって、下記の式1、式2又は式3で示さ
れる化合物のいずれか1種以上をポリマに対し0.1〜
3.0重量%含有し、かつ、0.5〜15重量%の共重
合成分を共重合したナイロン66系重合体から構成され
ることを特徴とする。
【化4】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
ジル−4である。)
【0013】また、本発明の染色特性の改善されたナイ
ロン66繊維の製造方法は、上記の式1、式2又は式3
で示される化合物のいずれか1種以上をポリマに対し
0.1〜3.0重量%含有し、かつ、0.5〜15重量
%の共重合成分を共重合したナイロン66系共重合体
を、3500〜6000m/分の紡糸速度で引取った
後、巻取る方法により、又は、2500〜5000m/
分の紡糸速度で引取った後、引続き延伸及び熱処理して
巻取る方法によりナイロン66繊維を製造することを特
徴とする。
【0014】このように、本発明のナイロン66繊維
は、特定紡糸速度での高速製糸による繊維であること、
上記した式1、式2又は式3で示される化合物のいずれ
か1種以上を特定量含有すること、及び、0.5〜15
重量%の共重合成分を共重合したナイロン66系共重合
体からなることを特徴とする。
【0015】このナイロン66系共重合体中に、共重合
されている化合物は、ポリアミド形成能力のある反応性
モノマであれば特に限定されないが、次のような化合物
が適当である。例えば、ε−カプロラクタムやラウロラ
クタムなどの環状ラクラム類、セバチン酸、ドデカン2
酸、イソフタル酸などの2塩基酸、メタキシレンジアミ
ン、パラアミノシクロヘキサンなどの2酸塩基などであ
る。特に、ε−カプロラクタムは、球晶抑制能力に優れ
安定して製糸できることから好ましいものである。
【0016】その共重合比率は、共重合するモノマの種
類によってやや変わるが、0.5〜15重量%が必要で
あり、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0017】この共重合ナイロン66の重合度は、98
%硫酸相対粘度にして2.4〜3.5の範囲が適当であ
る。そのアミノ末端基量は特に限定されないが、2.0
〜8.0モル/105 gが適当である。アミノ末端基が
多過ぎれば高速製糸性が損なわれ易く、逆に少な過ぎる
と濃色染めが困難となり易い。ただ、本発明は、濃色化
効果が得られるため、従来のナイロン66のアミノ末端
基量よりも低濃度のアミノ末端基量でも十分に実用性の
ある染色物とすることができる。
【0018】このナイロン66ポリマ中には、酸化チタ
ンなどの艶消し剤が含まれてもよいし、含まれていなく
てもよい。
【0019】本発明では、この共重合ナイロン66に、
前記した式1、式2又は式3で示される化合物の少なく
とも1種をポリマに対し0.1〜3.0重量%配合させ
ることが必要である。
【0020】この化合物は、立体障害されたアミノ基を
有し、例えば、2,4,6−トリクロロトリアジンと
2,2,6,6−テトラアルキルピペリジル−4−アミ
ノピペリジンを反応させることにより合成することがで
きる。
【0021】その化合物の配合量は、ポリマに対し0.
1〜3.0重量%必要であり、好ましくは0.2〜2.
0重量%である。
【0022】0.1重量%未満と少な過ぎる場合は本発
明の所期の目的を充分に達成することができない。逆に
3.0重量%を越える程に多過ぎると製糸時の糸切れが
大幅に増加し生産性が低下するので実用化困難である。
【0023】その添加時期は溶融紡糸する前の段階であ
ればいつでもよく、例えば、紡糸機中の溶融ポリマに添
加混合する方法、ナイロン66ペレットと混合する方
法、ナイロン66の重合時に添加する方法等をとればよ
い。
【0024】本発明のナイロン66の製糸は、高速製糸
による次の方法で行えばよい。
【0025】一つは、上記化合物を含有する共重合ナイ
ロン66を、通常の方法で溶融紡糸し冷却固化した後、
3500〜6000m/分の紡糸速度で引取り、実質的
に延伸することなく巻上げる方法である。この方法で得
られる糸は、伸度が80〜50%程度の半延伸糸(PO
Y)であり、その伸度水準は紡糸速度と巻上げ時の僅か
な引張りの程度とによって変化する。得られた繊維は、
非結晶領域の乱れがやや大きく配向が低いという繊維構
造を有する。この繊維構造のために、従来のナイロン6
6繊維では染色堅牢性が劣っていたのである。
【0026】他の方法は、2500〜5000m/分で
引き取った後、連続して延伸及び熱処理した後に巻き上
げる方法である。この方法により得られるナイロン66
繊維は、2ステップ方式に近い繊維構造を有するが非結
晶部分の配向は低い。そのため、従来のナイロン66繊
維の染色堅牢性がPOYほど悪くはないがやはり不十分
な水準にあり、特に単糸繊度が1デニール以下のように
細いマイクロファイバーでは実用上問題となるほど悪く
なっていた。
【0027】他の方式は、2500〜5000m/分で
引き取ったのち、連続して熱固定と延伸を行った後巻き
上げる方式である。この方式では、繊維構造は2ステッ
プ方式に近いが非結晶部分の配向は低い。そのため染色
堅牢性がPOYほどでないが、単糸繊度の小さいマイク
ロファイバーでは、実用上問題になるほど悪くなる。本
発明が特に有効である繊維の繊度は、単糸繊度が1デニ
ール以下のマイクロファイバーであるが、これに限定さ
れるものでない。
【0028】この際の延伸倍率は2.5倍以下のような
低倍率であればよく、また、その熱固定温度は110〜
180℃程度であればよい。
【0029】本発明のナイロン66繊維の単糸繊度は、
2デニール以下のような細繊度である場合に有効であ
り、特に単糸繊度が1デニール以下のマイクロファイバ
ーに効果的である。
【0030】さらに、本発明のナイロン66繊維は、酸
性染料や金属錯塩酸性染料などの通常のナイロン用染料
で染色した場合に優れた染色特性を発揮する。
【0031】本発明で用いた繊維物性は次の方法によっ
て測定される値である。
【0032】[98%硫酸相対粘度] 試料を98%
硫酸に溶解させて濃度1重量%の溶液とし、オストワル
ド粘度計により25℃の恒温下で流下時間を測定する。
硫酸の流下時間に対する試料溶液の流下時間の比を標準
試料により比粘度に換算し、これを98%硫酸相対粘度
とする。
【0033】[アミノ末端基量] 試料をフェノール
・エタノール混合溶液で溶解し、N/50塩酸水溶液
で、チモールブルーを指示薬として中和滴定する。この
際の塩酸消費量から、105 gあたりのアミノ末端基量
を求める。
【0034】
【作用】従来の低速紡糸−延伸によるナイロン66繊維
では、酸性染料による染色堅牢性は実用上一応満足でき
る水準が得られている。しかし、従来の高速紡糸された
ナイロン66繊維では染色堅牢性が悪く、比較的温和な
条件下であっても実用上満足できる染色堅牢性水準は得
られてなかった。これは繊維構造中の非晶部における緻
密性が良くないため、染色された染料が繊維中で移動し
易いからである。特に、ナイロン66の結晶化を抑制
し、高速製糸性を改善するために共重合ナイロン66を
用いる場合にはその低下が大きく、染色堅牢性の悪さは
大きな問題となっていた。例えば、洗濯時に染料が脱落
して褪色すると共に他の繊維を汚染する傾向が強い。ま
た、光照射時の染料退色も大きい。従って、従来の高速
製糸繊維では比較的温和な条件でも実用に支障が生じる
水準の染色堅牢性しか得られなかった。
【0035】この染色堅牢性の低さは、その繊維構造に
起因するのでアミノ末端基量を増加させるような従来の
改善方法では実用上満足のいくナイロン66繊維は得ら
れ難いが、本発明を適用することによって、ナイロン6
6繊維の優れた特性や製糸性等を悪化することなく、実
用上満足できる水準の染色耐光堅牢性及び染色洗濯堅牢
性を得ることができる。さらに、深色性(色の深み)を
一層向上させることができ、しかも、均染性にも優れて
いる。
【0036】即ち、前記した式1、式2又は式3で示さ
れる化合物は、この高速紡糸された共重合ナイロン66
繊維の非結晶部の不安定な内部構造を強化して染色堅牢
性や耐光堅牢性等を改善するものである。
【0037】そして、その化合物中の第3級および第2
級アミンは染料の吸着活性部位となると共に、ポリアミ
ドの活性基(アミノ基、カルボキシル基、アミド基)と
の相互作用によって、ポリアミドの化学的安定化を達成
する。このため、繊維構造の安定化とともに染料染着性
が向上し、繊維の熱固定による染着性の低下を防ぐこと
ができる。
【0038】また、一般的な酸性染料は光照射を受けた
ときの染料自身の褪色が大きく耐光堅牢性が劣る。金属
錯塩酸性染料は耐光堅牢性はやや良好であるが、鮮明さ
が劣るので用途の制約をうける。特に高速製糸された共
重合ナイロン66繊維においては、このような耐光性の
悪化の傾向が大きいが、本発明によると、この様な酸性
染料の光褪色も改善できる。即ち、前記した化合物は、
酸性染料との相互作用によって染料自身の安定性を増
し、熱や光による褪色を抑制することができる。特に金
属錯塩染料においてその効果が著しい。
【0039】
【実施例】以下の実施例における染色特性は次の測定法
と条件によった。
【0040】{染色耐光堅牢度} JIS L084
2「カーボンアーク灯光による染色堅ろう度試験方法」
に従った。10時間照射を3級、20時間を4級、40
時間を5級とし、ブルースケールの退色を規準として、
グレースケールによりサンプルの退色を等級判定した。
【0041】{染色洗濯堅牢度} JIS L084
4「洗濯に対する染色堅ろう度試験方法」に従った。ラ
ウンダメータ型洗濯試験機を用い、石鹸濃度0.5%、
温度40℃、時間30分で処理した後、グレースケール
により、洗濯前後の退色を等級判定した。
【0042】{深色度} 市販のカラーメーター(日
本電色工業(株)製“シグマ80”)により明度(L)
を測定し、(1/L)×100により深色度を求めた。
【0043】[実施例1]ヘキサメチレンジアミンとア
ジピン酸との塩(AH塩)に対して、ε−カプロラクタ
ムをそれぞれ1.0,5.0,10.0,15.0重量
%添加し、常法に従って重合し、98%硫酸相対粘度が
それぞれ、2.77、2.79、2.77、2.76で
あり、表1に示す特性を有する共重合ナイロン66を得
た。
【0044】これらの共重合ナイロン66のペレットに
対して、1.0重量%の前記した式1の化合物を添加し
乾燥した。得られた乾燥ペレットを、それぞれエクスト
ルーダ型溶融紡糸機に供給し、295℃で溶融押し出し
た後、5200m/分の速度で引き取って、70デニー
ル48フィラメントの繊維を得た( No.1、2、4、
5)。
【0045】また比較のため、共重合比率5.0重合%
のペレットを、前記した式1の化合物を添加することな
く紡糸に供し同様に製糸した( No.3)。
【0046】得られたそれぞれの繊維について、通常の
トリコット編み機を用いてハーフトリコットを編成し
た。このハーフトリコットを常法に従って酸性染料で染
色した。染料は "Nylosan Bordeaux N-BL"(サンド株式
会社製)を用い、1%owfの濃度にて染色した。染色
された布帛について染色堅牢性を評価した。
【0047】本発明の繊維は、高速紡糸性が良好であ
り、しかも、共重合による染色堅牢性の低下が抑制さ
れ、優れた染色堅牢性が得られた。
【0048】しかし、共重合比率が15%を越える場合
( No.5)は、本発明の改質剤を配合しても、染色堅牢
性の低下が大きく実用上満足できる染色堅牢性は得られ
なかった。
【0049】
【表1】
【0050】[実施例2]実施例1と同様の方法で、ε
−カプロラクタムを5重量%共重合し、硫酸相対粘度が
2.76、アミノ末端基が3.9モル/105 gの共重
合ナイロン66ポリマを得た。
【0051】この共重合ナイロン66のペレットに、改
質剤として粉末状の前記した式1の化合物を0.5重量
%、1.0重量%又は3.0重量%、それぞれドライブ
レンドした後、乾燥した。得られた乾燥ペレットを、そ
れぞれエクストルーダ型溶融紡糸機に供給し、295℃
で溶融押し出した後、5000m/分の速度で引き取っ
て、70デニール52フィラメントの繊維を得た( No.
7〜9)。
【0052】また比較のため、前記した式1の化合物を
添加しなかった共重合ナイロン66からも同様にフィラ
メントを製糸した( No.6)。
【0053】得られた繊維について、実施例1と同様に
ハーフトリコットを編成し、酸性染料で染色した。染料
は "Nylosan Blue NFL" (サンド株式会社製)を用い、
1%owfの濃度で染色した。染色された布帛につい
て、染色堅牢性及び深色性を評価し、表2に示した。
【0054】本発明の繊維は、染色堅牢性も深色性もと
もに優れていたが、前記した式1の化合物を添加しなか
った場合( No.6)は、染色堅牢性も深色性もともに劣
っていた。
【0055】
【表2】
【0056】[実施例3]染色堅牢性を改善するための
従来技術と同様にしてナイロン66中のアミノ末端基を
増量させて、本発明の技術と比較した。
【0057】重合時に、末端封鎖剤としてのヘキサメチ
レンジアミンの配合量を増やしてアミノ末端基量が通常
のナイロン66の約2倍にあたる8.1モル/105
となるようにした以外は、実施例2と同様にしてε−カ
プロラクタムを5.0重量%共重合させたナイロン66
を製造した。
【0058】得られた高アミノ末端基量ナイロン66の
ペレット、及び、実施例2の No.6、 No.8のペレット
を用い、実施例2と同じ紡糸条件で製糸した。
【0059】得られた繊維を経糸と緯糸に用いてタフタ
織物を製織した。織物は、 "IsolanYellow KRLS" ,"Is
olan Bordeuaux KRLS" 及び "Isaolan Grey ZPGL"の混
合染料を用いて濃茶色と灰色に染色し、その染色堅牢性
を測定した。
【0060】表4に示すように、本発明のナイロン66
繊維( No.12)の場合は、アミノ末端基を増量させた
従来技術による繊維( No.11)よりも、はるかに染色
耐光堅牢性が優れていた。
【0061】さらに、アミノ末端基の多い共重合ナイロ
ン66は高速製糸性に劣り紡糸中の糸切れが3倍と多く
操業性に大きな問題があったが、本発明のナイロン66
繊維の場合はそのような問題もなく製糸性良好であっ
た。
【0062】
【表3】
【0063】[実施例4]前記した式1の改質剤を1.
0重量%配合した以外は実施例2と同様にして共重合ナ
イロン66を製造し、これを用いて295℃で溶融紡糸
し、4000m/分で引き取った後、連続して1.2倍
に延伸しつつ190℃で熱固定してから巻き取って、7
0デニール98フィラメントのマイクロファイバーを製
糸した( No.14)。
【0064】また、比較のため、前記した式1の改質剤
を添加しない共重合ナイロン66ポリマから同じ条件で
マイクロファイバーを製糸した( No.13)。
【0065】これらの繊維について実施例1と同様に、
ハーフトリコットを編成した後、 "Nylosan Orange E-G
L"(サンド株式会社製)で染色して、染色後の布帛の染
色堅牢度を測定し、表4に示した。なお、本発明の繊維
は、染着性に優れているため、染色した布帛の明度が同
じとなるように、染浴濃度で染色条件を調整した。
【0066】前記した式1の化合物を配合した場合( N
o.14)は、マイクロファイバー製トリコットでありな
がら、洗濯堅牢度及び耐光堅牢度がともに4級以上と優
れていた。これに対し、比較例の場合( No.13)は、
紡糸の時に熱固定をしたために、染色時の染料の染色速
度が遅く、同一染色条件では濃色染めが困難であった。
本発明の No.14は、染料濃度を20%落としても十分
な発色が得られた。
【0067】
【表4】
【0068】[実施例5]実施例1の No.2と同様の手
法により、ε−カプロラクタムを5.0重量%共重合
し、硫酸相対粘度が2.79、式1の化合物の添加量が
1.0重量%の共重合ナイロン66ペレットを製造し
た。
【0069】得られたペレットを、紡糸温度295℃で
溶融紡糸し、紡糸速度5200m/分で引き取る高速紡
糸法(POY)によって、70デニール68フィラメン
トのナイロン66フィラメント糸を得た( No.15)。
【0070】また、上記と同じペレットを用い、実施例
4と同様の製糸方法(高速DSD)によって、紡糸速度
4000m/分、延伸倍率1.2倍、熱処理温度190
℃で製糸し、70デニール68フィラメントのナイロン
66フィラメントを得た( No.16)。
【0071】さらに比較として、上記と同じペレットを
用い、紡糸温度295℃で溶融紡糸し、紡糸速度100
0m/分で未延伸糸を一旦巻取った後、3.2倍に延伸
して(UY−DT)、70デニール68フィラメントの
ナイロン66フィラメント糸を得た( No.17)。
【0072】これら3水準の原糸を整経、製織し、織り
密度90本/インチ×55本/インチのタフタを得た。
【0073】このタフタを常法にしたがって精練後、9
8℃、30分間、液流染色機中で、酸性染料で染色し
た。染料は "Nylosan Blue N-GL" (サンド株式会社
製)を用い、98℃30分間、1%owfの濃度にて染
色した。
【0074】高速製糸による本発明の場合( No.15,
16)は、均染性が良好で、経筋も染め斑もなく布帛の
品位が優れたものであったが、低速紡糸後に延伸する製
糸方法の場合( No.17)は経筋があり、全般的に染め
斑が多かった。
【0075】
【表5】
【0076】
【発明の効果】本発明によると、高速紡糸特性や繊維特
性を損なうこと無く、高速紡糸された共重合ナイロン6
6繊維に特有の染色堅牢性の悪さを改善することがで
き、深色性をさらに向上させることができ、均染性、染
色堅牢性、深色性等の染色特性が総合的に優れたナイロ
ン66繊維とすることができる。
【0077】この様な効果は、特に高速製糸した後に実
質的に延伸することなく巻き上げるPOY、および単糸
デニールが1デニール前後或いはそれ以下のマイクロフ
ァイバーに有効である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡糸速度2500/分以上で高速製糸
    されたナイロン66繊維であって、下記の式1、式2又
    は式3で示される化合物のいずれか1種以上をポリマに
    対し0.1〜3.0重量%含有し、かつ、0.5〜15
    重量%の共重合成分を共重合したナイロン66系重合体
    から構成されることを特徴とする染色特性の改善された
    ナイロン66繊維。 【化1】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
    ジル−4である。)
  2. 【請求項2】 共重合成分がε−カプロラクタムであ
    ることを特徴とする請求項1記載の染色特性の改善され
    たナイロン66繊維。
  3. 【請求項3】 アミノ末端基量が、2.0〜8.0モ
    ル/105 gであることを特徴とする請求項1記載の染
    色特性の改善されたナイロン66繊維。
  4. 【請求項4】 酸性染料及び/又は金属錯塩酸性染料
    で染色されていることを特徴とする請求項1記載の染色
    特性の改善されたナイロン66繊維。
  5. 【請求項5】 衣料製品用の繊維であることを特徴と
    する請求項1記載の染色特性の改善されたナイロン66
    繊維。
  6. 【請求項6】 下記の式1、式2又は式3で示される
    化合物のいずれか1種以上をポリマに対し0.1〜3.
    0重量%含有し、かつ、0.5〜15重量%の共重合成
    分を共重合したナイロン66系共重合体を、3500〜
    6000m/分の紡糸速度で引取った後、巻取ることを
    特徴とする染色特性の改善されたナイロン66繊維の製
    造方法。 【化2】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
    ジル−4である。)
  7. 【請求項7】 下記の式1、式2又は式3で示される
    化合物のいずれか1種以上をポリマに対し0.1〜3.
    0重量%含有し、かつ、0.5〜15重量%の共重合成
    分を共重合したナイロン66系共重合体を、2500〜
    5000m/分の紡糸速度で引取った後、引続き延伸及
    び熱処理して巻取ることを特徴とする染色特性の改善さ
    れたナイロン66繊維の製造方法。 【化3】 (式中、R4 は2,2,6,6−テトラアルキルピペリ
    ジル−4である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001011308A (ja) * 1999-06-29 2001-01-16 Tsutsumi Yotaro 酸素吸収性樹脂組成物及び包装材料並びに包装容器
JP2012531537A (ja) * 2009-06-30 2012-12-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 着色可能な粒子を有するポリアミド繊維及びその製法
KR20210004950A (ko) * 2018-04-25 2021-01-13 도레이 카부시키가이샤 폴리아미드 섬유 및 직편물, 및 폴리아미드 섬유의 제조 방법

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