JPH08232111A - ヘルメットのシールド板支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールド板の薄肉化を図りつゝ、所望開度位
置での保持を確実にする。 【構成】 帽体１の左右両側面に接合されるベース板７
に薄肉の合成樹脂板からなるシールド板４の左右両端部
を枢軸部材２１を介して支承し、この枢軸部材２１に隣
接してシールド板４に設けられる弧状長孔２６の、枢軸
部材２１に近い側の内側面にカム２８を形成してカム２
８の剛性を確保し、このカム２８に係合してシールド板
４を所望開度位置に保持する弾性ストップ腕２９をベー
ス板７に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として自動二輪車や
競技用自動車の乗員がその頭部の保護のために装着する
ヘルメットに関し、特に、帽体の左右両側面に接合され
るベース板に枢軸部材を設け、この枢軸部材に全体が合
成樹脂製薄板からなるシールド板の両端部を回動可能に
支承させ、このシールド板に枢軸部材と同心の弧状長孔
を設けると共に、該長孔の内側面に複数のノッチを有す
るカムを形成し、このカムに係合してシールド板を所望
の開度位置に保持する弾性ストップ腕をベース板に連設
した、ヘルメットのシールド板支持装置の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】かゝるシールド板支持装置は、例えば米
国特許第４，３０５，１６０号明細書に開示されている
ように、既に知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】自動二輪車や自動車の
乗員用ヘルメットでは、走行中の振動によるもシールド
板が所望の開度位置を保っていなければならず、そうす
るために従来ではシールド板のカムとベース板のストッ
プ腕との係合力を強めているが、その係合力が強過ぎる
と、シールド板の回動抵抗が過大となって、開閉フィー
リングを損うことになる。

【０００４】そこで、シールド板を極力薄く形成してそ
の軽量化を図れば、カムとストップ腕との係合力を特に
増強させずとも、振動に対するシールド板の保持性は確
保されるであろう。

【０００５】ところが、前記米国特許明細書に開示され
ているヘルメットでは、シールド板に設けられた弧状長
孔の、枢軸部材から遠く離れた側の内側面にカムを形成
しているので、シールド板の薄肉化はカムの剛性低下を
招き、ストップ腕との係合力が低下するという不具合を
生じる。

【０００６】本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたも
ので、シールド板に対する適当な保持力を確保しつゝシ
ールド板の薄肉化を可能にする、ヘルメットのシールド
板支持装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、帽体の左右両側面に接合されるベース板
に枢軸部材を設け、この枢軸部材に全体が合成樹脂製薄
板からなるシールド板の両端部を回動可能に支承させ、
このシールド板に枢軸部材と同心の弧状長孔を設けると
共に、該長孔の内側面に複数のノッチを有するカムを形
成し、このカムに係合してシールド板を所望の開度位置
に保持する弾性ストップ腕をベース板に連設した、ヘル
メットのシールド板支持装置において、前記弧状長孔
の、枢軸部材に近い側の内側面にカムを形成したことを
第１の特徴とする。

【０００８】また、本発明は、上記特徴に加えて、ベー
ス板の外面に形成された円形凹部に、シールド板の端部
を回転可能に支承しつゝ、その外側面を押える枢軸部材
を嵌合し、この枢軸部材の端面と円形凹部の底面とを互
いに凹凸係合させ、枢軸部材及びベース板を、これらを
貫通するビスにより帽体に固着したことを第２の特徴と
する。

【０００９】

【作用】上記第１の特徴によれば、シールド板の、枢軸
部材に近くて剛性の高い部分にカムが形成されることに
なるから、そのカムの剛性も高いものとなる。したがっ
て、シールド板の薄肉化によるも、ストップ腕は剛性の
高いカムと係合してシールド板に対する適当な保持力を
発揮することができ、シールド板の薄肉、軽量化と相俟
って、外部からの振動によるシールド板の妄動を防ぐこ
とができる。またストップ腕及びカムの係合による保持
力が適当であることから、シールド板の開閉フィーリン
グも良好である。

【００１０】また、上記第２の特徴によれば、ベース板
と枢軸部材の凹凸係合により、枢軸部材のシールド板と
の共回りを阻止し、ビスの緩みを防ぐことができる。し
かもシールド板を支承する軸部材は、ベース板の円形凹
部に嵌合しているので、万一、ビスが緩んでも、シール
ド板の枢軸部材からの脱落を防ぐことができる。

【００１１】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明する。

【００１２】先ず、図１において、ヘルメットの帽体１
は、その前面に窓孔２を開口させたフルフェイス型に構
成される。この帽体１にバイザ３と、その直下で窓孔２
を開閉するシールド板４が設けられる。このシールド板
４は、全体が薄肉の合成樹脂板からなっている。

【００１３】シールド板４は窓孔２を開閉すべく、その
左右両端部が帽体１の左右両側壁に回動可能に支承され
るもので、その支持装置について以下に説明する。

【００１４】図２ないし図５に示すように、帽体１はＦ
ＲＰ製のシェル５と、その内面に嵌装される発泡スチレ
ン製の緩衝ライナ６とからなっており、そのシェル５の
左右両側面に合成樹脂製のベース板７がシェル５に埋込
まれた上下一対のナット８，９と、これらに螺合するビ
ス１０，１１とにより接合される。その際、これらビス
１０，１１が挿通されるベース板７の透孔１２，１３
は、ベース板７の固定位置を調節し得る程度にビス１
０，１１よりも大径に形成されており、またベース板７
がその固定位置でずれないようにシェル５との間にビス
１０，１１をそれぞれ囲繞するゴムワッシャ１４，１５
が介装される。

【００１５】ベース板７の外側面には、上方の透孔１２
より大径の円形凹部１６が該透孔１２と同軸に設けら
れ、この凹部１６は底面に直径線上に延びる回止め溝１
７を有する。

【００１６】一方、シールド板４の左右各端部には、前
記凹部１６よりも僅かに大径の軸孔２０が設けられてお
り、この軸孔２０を回転可能に支承する枢軸部材２１が
前記凹部１６に嵌合される。このとき、枢軸部材２１の
内端に形成された回止め突起１８が前記回止め溝１７に
係合し、また枢軸部材２１の外端に形成されたフランジ
２２がシールド板４の外側面に当接する。

【００１７】枢軸部材２１は中心孔２３を有し、上方の
前記ビス１０は、この中心孔２３に挿通されて枢軸部材
２１のベース板７への固着にも供される。そして、この
ビス１０の頭部１０ａは、枢軸部材２１外端面の円形凹
部２４に格納される。

【００１８】こうして、シールド板４は、その左右両端
部を左右の枢軸部材２１により支持されるので、枢軸部
材２１周りにシールド板４を上下に回動することによ
り、帽体１の窓孔２を開閉することができる。その際、
枢軸部材２１は、その回止め突起１８をベース板７の回
止め溝１７に係合させているので、シールド板４との共
回りが阻止され、ビス１０の緩みを防ぐことができる。
また万一、このビス１０が緩んだとしても、シールド板
４の軸孔２０を支承する枢軸部材２１がベース板７の円
形凹部１６に嵌合している限り、シールド板４の枢軸部
材２１からの脱落は生じない。

【００１９】シールド板４がその全閉位置で内面を窓孔
２周縁のシール部材２５に密着させるよう、ベース板７
及び枢軸部材２１の位置調節を行うには、先ずシールド
板４の全閉位置で上下のビス１０，１１を弛めて、シー
ルド板４をシール部材２５に押つける。すると、シール
ド板４の左右両端部は、円形凹部１６で互いに嵌合する
枢軸部材２１及びベース板７を伴って後方へ変位するの
で、シールド板４の内面がシール部材２５に密着したこ
とを確認してからビス１０，１１を締め直せば、ベース
板７及び枢軸部材２１を適正位置に固定することができ
る。

【００２０】上記シールド板４の左右各端部には、軸孔
２０と同心の弧状長孔２６が軸孔２０の前側に隣接して
設けられ、この長孔２６の軸孔２０側、即ち枢軸部材２
１に近い内側面に、複数のノッチ２７，２７…を扇形歯
車状に配列してなるカム２８が形成される。

【００２１】一方、前記ベース板７には、下方のビス１
１で固定される透孔１３周縁部から延出する弾性ストッ
プ腕が一体に形成され、このストップ腕２９は、前記長
孔２６に臨んでカム２８と協働する爪３０と、該カム２
８の外側面に隣接対向する押え片３１とを先端部に有す
る。

【００２２】而して、ストップ腕２９は、その弾性力を
もって爪３０をカム２８の、シールド板４の回動位置に
対応したノッチ２７に順次係合させることにより、シー
ルド板４を全閉、全開位置及び複数の中間開度位置に保
持することができる。その際、カム２８は、シールド板
４の弧状長孔２６の、枢軸部材２１に近い側の内側面に
形成されるので、シールド板７の薄肉化によるも、カム
２８の剛性を充分に確保することができる。したがっ
て、爪３０が係合位置を変えるときでもカム２８の側方
への曲りを防止して、爪３０のノッチ２７との適度な係
合力を得てシールド板４を所望位置に確実に保持すると
共に、シールド板４の良好な開閉フィーリングを得るこ
とができる。しかも、シールド板４の薄肉、軽量化によ
りシールド板４の振動に対する保持性が向上する。

【００２３】本発明は、前記実施例に限定されるもので
はなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸
脱することなく、種々の設計変更を行うことが可能であ
る。例えば、帽体１をジェット型に構成することもで
き、また、回止め溝１７は枢軸部材２１側に、回止め突
起１８はベース板７側にそれぞれ設けることもできる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明の第１の特徴によれ
ば、帽体の左右両側面に接合されるベース板に枢軸部材
を設け、この枢軸部材に全体が合成樹脂製薄板からなる
シールド板の両端部を回動可能に支承させ、このシール
ド板に枢軸部材と同心の弧状長孔を設けると共に、該長
孔の内側面に複数のノッチを有するカムを形成し、この
カムに係合してシールド板を所望の開度位置に保持する
弾性ストップ腕をベース板に連設した、ヘルメットのシ
ールド板支持装置において、前記弧状長孔の、枢軸部材
に近い側の内側面にカムを形成したので、カムの剛性を
確保しつゝシールド板の薄肉、軽量化を図ることができ
る。したがって、カム及びストップ腕の係合力によるシ
ールド板の保持性と開閉操作性の両方を満足させること
ができる。

【００２５】また、本発明の第２の特徴によれば、ベー
ス板の外面に形成された円形凹部に、シールド板の端部
を回転可能に支承しつゝ、その外側面を押える枢軸部材
を嵌合し、この枢軸部材の端面と円形凹部の底面とを互
いに凹凸係合させ、枢軸部材及びベース板を、これらを
貫通するビスにより帽体に固着したので、枢軸部材の回
止めを確実にしてビスの緩みを防止し、シールド板の支
持を常に安定させることができ、また万一、ビスが緩ん
でも、シールド板の枢軸部材からの脱落を防ぐことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るヘルメットの側面図。

【図２】図１におけるシールド板支持装置部の拡大図。

【図３】図２の３−３線断面図。

【図４】図３の４−４線断面図。

【図５】シールド板支持装置の分解斜視図。

【符号の説明】

１・・・・・帽体 ４・・・・・シールド板 ７・・・・・ベース板 １０・・・・ビス １６・・・・円形凹部 １７・・・・回止め溝 １８・・・・回止め突起 ２１・・・・枢軸部材 ２６・・・・弧状長孔 ２７・・・・ノッチ ２８・・・・カム ２９・・・・ストップ腕

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 帽体（１）の左右両側面に接合されるベ
   ース板（７）に枢軸部材（２１）を設け、この枢軸部材
   （２１）に全体が合成樹脂製薄板からなるシールド板
   （４）の両端部を回動可能に支承させ、このシールド板
   （４）に枢軸部材（２１）と同心の弧状長孔（２６）を
   設けると共に、該長孔（２６）の内側面に複数のノッチ
   （２７）を有するカム（２８）を形成し、このカム（２
   ８）に係合してシールド板（４）を所望の開度位置に保
   持する弾性ストップ腕（２９）をベース板（７）に連設
   した、ヘルメットのシールド板支持装置において、 前記弧状長孔（２６）の、枢軸部材（２１）に近い側の
   内側面にカム（２８）を形成したことを特徴とする、ヘ
   ルメットのシールド板支持装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載のものにおいて、 ベース板（７）の外面に形成された円形凹部（１６）
   に、シールド板（４）の端部を回転可能に支承しつゝ、
   その外側面を押える枢軸部材（２１）を嵌合し、この枢
   軸部材（２１）の端面と円形凹部（１６）の底面とを互
   いに凹凸係合させ、枢軸部材（２１）及びベース板
   （４）を、これらを貫通するビス（１０）により帽体
   （１）に固着したことを特徴とする、ヘルメットのシー
   ルド板支持装置。