JPH08228590A - コケ植物を用いた保水性緑化用部材及び当該保水性緑化用部材を用いた緑化方法並びにコケ植物を用いた緑化用物品、当該緑化用物品の作成用キット及び当該緑化用物品の緑化方法 - Google Patents

コケ植物を用いた保水性緑化用部材及び当該保水性緑化用部材を用いた緑化方法並びにコケ植物を用いた緑化用物品、当該緑化用物品の作成用キット及び当該緑化用物品の緑化方法

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JPH08228590A
JPH08228590A JP7061987A JP6198795A JPH08228590A JP H08228590 A JPH08228590 A JP H08228590A JP 7061987 A JP7061987 A JP 7061987A JP 6198795 A JP6198795 A JP 6198795A JP H08228590 A JPH08228590 A JP H08228590A
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plant
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Minoru Takeda
実 武田
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TOSHI KEIKAKU KENKYUSHO KK
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  • Hydroponics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】コケ植物配偶体と保水性部材とを組み合わせて
なる保水性緑化用部材及び当該保水性部材を用いた緑化
方法並びにコケ植物配偶体と保水性部材を用いた緑化用
物品、当該緑化用物品の作成用キット及び当該緑化用物
品の緑化方法の提供。 【構成】コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可
能な状態を維持可能な固定手段により固定した緑化用固
定物と保水性部材とを、当該保水性部材から当該緑化用
固定物への水の移動が可能な態様で組み合わせてなるこ
とを特徴とする保水性緑化用部材及び当該部材を用いた
緑化方法、並びに吸水フォームに上記緑化用固定物を被
覆してなることを特徴とする緑化用物品、当該物品を含
むキット及び当該物品の緑化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コケ植物を用いた保水
性緑化用部材及び当該保水性緑化用部材を用いた緑化方
法並びにコケ植物を用いた緑化用物品、当該緑化用物品
の作成用キット及び当該緑化用物品の緑化方法に関す
る。より詳細には、コケ植物配偶体と保水性部材とを組
み合わせてなる保水性緑化用部材及び当該保水性部材を
用いた緑化方法並びにコケ植物配偶体と保水性部材を用
いた緑化用物品、当該緑化用物品の作成用キット及び当
該緑化用物品の緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、農山村における道路林道の無計画
な開発や観光施設の乱立によって自然環境の破壊が目立
っている。また、都市では殆ど既存の緑が壊滅し、また
都市周辺地では緑を蝕むスプロールが拡大して田園風景
が消滅しつつある。積極的な自然保護が必要であるとい
う声は、上記のような開発による自然環境の被害が顕在
化するにつれて急激に世論を沸騰させている。しかしな
がら、人口の増大や文化の発展向上に従って、自然資源
の開発行為はあらゆる分野で拡大されざるを得ないのも
現実である。
【0003】すなわち、経済機構の変化、技術革新、急
激な都市化及びレクリェーションの増大等による自然開
発の大圧力と自然を存続させ生活環境を良好にする土地
保全との調和を如何になすべきかが、今後の大きな問題
であると言わざるを得ない。そこで、例えば、植林、保
護植林又は公共緑地の確保等の人為的な環境改善の試み
が積極的に行われている。そして、現在さらに新しい環
境改善手段が造園又は土木的視点から模索されている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】コケ植物の生理活性的側面を
検討した結果、他の植物、例えば芝草等では緑化不可能
な場所の緑化も可能である場合が多く、かつ緑化に際し
て肥料や農薬の使用も殆ど必要がない。すなわち、緑化
により環境に悪影響を及ぼすおそれが殆どないという点
において、コケ植物は極めて有用であり、かかる有用性
に鑑みれば、現在のコケ植物の環境への応用状況は決し
て十分とはいえない。そこで、本発明の解決すべき課題
は、このコケ植物の優れた性質を最大限生かすことが可
能な、画期的な緑化手段を提供することにある。
【0005】また、上記の生理活性的側面を有するコケ
植物の美的側面に着目すると、鑑賞用途の物品にコケ植
物を活用することも有用である。そこで、さらに本発明
の解決すべき課題は、主に鑑賞用途の物品に対するコケ
植物の応用手段を提供することにもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、コケ植物
配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可
能な固定手段により固定した緑化用固定物と保水性部材
とを組み合わせて用いることにより、上記課題を解決し
得ることが可能であることを見出した。
【0007】すなわち本発明者は、以下に列挙する通り
の保水性緑化用部材及びこれを用いた緑化方法並びに緑
化用物品、当該物品作成用キット及び当該物品の緑化方
法を提供する。請求項1において、コケ植物配偶体を当
該コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手
段により固定した緑化用固定物と保水性部材とを、当該
保水性部材から当該緑化用固定物への水の移動が可能な
態様で組み合わせてなることを特徴とする保水性緑化用
部材を提供する。
【0008】請求項2において、コケ植物配偶体を当該
コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
が、縫製及び/又は紙繊維の絡みつけであることを特徴
とする前記請求項1記載の保水性緑化用部材を提供す
る。
【0009】請求項3において、保水性部材が、フェノ
ール樹脂を用いた吸水フォームを含む部材であることを
特徴とする前記請求項1又は請求項2記載の保水性緑化
用部材を提供する。
【0010】請求項4において、前記請求項1乃至請求
項3記載の保水性緑化用部材に水を含ませ、次いで当該
保水性緑化用部材におけるコケ植物配偶体を養生するこ
とを特徴とする緑化方法を提供する。
【0011】請求項5において、少なくともその表面の
全部又は一部がフェノール樹脂を用いた吸水フォームで
ある物品に、コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生
育可能な状態を維持可能な固定手段により固定した緑化
用固定物を被覆してなることを特徴とする緑化用物品を
提供する。
【0012】請求項6において、フェノール樹脂を用い
た吸水フォーム及びコケ植物配偶体を当該コケ植物配偶
体が生育可能な状態を維持可能な固定手段により固定し
た緑化用固定物を含むことを特徴とする、請求項5記載
の緑化物品の作成用キットを提供する。
【0013】請求項7において、フェノール樹脂を用い
た吸水フォームを水に継続的又は断続的に吸水させ、コ
ケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を
維持可能な固定手段により固定した緑化用固定物中のコ
ケ植物を養生することを特徴とする、請求項5記載の緑
化用物品の緑化方法を提供する。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。 A.本発明の保水性緑化用部材及び緑化用物品(以下、
本発明緑化用部材等と記載する)を構成する、「コケ植
物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持
可能な固定手段により固定した緑化用固定物」(以下、
緑化用固定物と記載する)は、本発明においてはコケ植
物の植物体及び仮根又はコケ植物の植物体を意味するコ
ケ植物の配偶体(以下、単に配偶体と記載した場合に
は、このコケ植物の配偶体を意味する)を含んでなる。
【0015】これらの配偶体を提供するコケ植物の種類
は特に限定されない。ただし、本発明緑化用部材等を使
用すると、コケ植物の成長に伴う配偶体同士の絡まりが
本発明緑化用部材等による緑化に際して、コケ植物の定
着性を向上させる点、さらに緑化用固定物の一態様にお
いては本質的な固定手段としての役割を担う点に鑑みれ
ば、配偶体が植物体の成長に伴い互いに絡まり合うこと
が容易な茎葉体の形態を有するコケ植物を採用するのが
好ましい。これらの点において、セン類においては、ス
ナゴケ、ハイスナゴケ、シモフリゴケ、クロカワキゴ
ケ、キスナゴケ、ヒメスナゴケ、ミヤマスナゴケ、ナガ
エノスナゴケ、チョウセンスナゴケ、マルバナスナゴケ
等のシモフリゴケ属(Racomitrium Bird.);カモジゴ
ケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、チャシッポゴケ、チ
シマシッポゴケ、アオシッポゴケ、ナミシッポゴケ、ナ
ガシッポゴケ、ヒメカモジゴケ、コカモジゴケ、タカネ
カモジゴケ、フジシッポゴケ、カギカモジゴケ、ナスシ
ッポゴケ等のシッポゴケ属(Dicranum Hedw.);ハイゴ
ケ、オオベニハイゴケ、ヒメハイゴケ、チチブハイゴ
ケ、フジハイゴケ、ハイヒバゴケ、イトハイゴケ、キノ
ウエノコハイゴケ、キノウエノハイゴケ、ミヤマチリメ
ンゴケ、ハイサワラゴケモドキ、タチヒラゴケモドキ、
エゾハイゴケ等のハイゴケ属(Hypnum Hedw.);トヤマ
シノブゴケ、ヒメシノブゴケ、オオシノブゴケ、コバノ
エゾシノブゴケ、エゾシノブゴケ、アオシノブゴケ、チ
ャボシノブゴケ等のシノブゴケ属(Thuidium B.S.G);
コウヤノマンネングサ、フロウソウ等のコウヤノマンネ
ングサ属(Climacium Web.et Mohr);ヒノキゴケ、ヒ
ロハヒノキゴケ、ハリヒノキゴケ等のヒノキゴケ属(Rh
izogonium Brid.)等を;タイ類においては、ツクシウ
ロコゴケ、ウロコゴケ、オオウロコゴケ、トサカゴケモ
ドキ、マルバソコマメゴケ、アマノウロコゴケ等のウロ
コゴケ属(Heteroscyphus Schiffn. );ヤマトムチゴ
ケ、ヨシナガムチゴケ、フォウリィムチゴケ、エゾムチ
ゴケ、タマゴバムチゴケ、フタバムチゴケ、サケバムチ
ゴケ、ヤマムチゴケ、ムチゴケ、コムチゴケ、マエバラ
ムチゴケ等のムチゴケ属(Bazzania S.Gray );クラマ
ゴケモドキ、カハルクラマゴケモドキ、トサクラマゴケ
モドキ、ヒメクラマゴケモドキ、ヤマトクラマゴケモド
キ、ナガバクラマゴケモドキ、オオクラマゴケモドキ、
ニスビキカヤゴケ、ケクラマゴケモドキ、ホソクラマゴ
ケモドキ等のクラマゴケモドキ属(Porella.L )等に属
するコケ植物を本発明緑化用基板に用いることが好まし
い。ツノゴケ類も本発明に適用することは可能である
が、その配偶体は葉状体である。
【0016】上記のなかでも、セン類は視覚的に美しい
という点において一般的であり、かつ1〜2か月程度の
比較的長期の乾燥状態にさらしても、かかる乾燥状態に
耐えるための機能を有していることが多い。それ故に、
製品としての本発明緑化用部材等の品質が劣化しにくい
という点において本発明に適用するのに好ましい。当該
セン類の中でもスナゴケ、オオシッポゴケ、シッポゴ
ケ、トヤマシノブゴケ、ハイゴケ又はヒノキゴケは、栽
培種の入手が容易であり、再生能力が高い等の生体的特
性が本発明における取扱いに有利であるという点におい
て特に好ましい。さらに、これらの中でもスナゴケ又は
トヤマシノブゴケは特に高度な再生能力及び耐乾燥性を
有し、極めて好ましい。
【0017】なお、本発明者は、上記列挙したコケ植物
以外であっても、特に、そのコケ植物を用いた本発明
緑化用部材等による効果が例示したコケ植物を用いた場
合の所望の効果と同等で置換が可能であり、そのよう
に置換すること自体が本出願時における当業者ならば、
上記記載から当然に想到し得るものである範囲に属する
コケ植物に対して本発明を適用することが可能であり、
かつかかる範囲に属するコケ植物を本発明の構成要件で
ある「コケ植物」としたものも本発明の技術的範囲に属
することを認識する。
【0018】本発明緑化用部材等を構成する緑化用固定
物を製造する前提として、上記コケ植物を栽培又は培養
してその配偶体を得る。以下、この栽培又は培養につい
て説明する。まず、コケ植物のサンプルを収集すること
が必要である。このコケ植物のサンプルは、野山等に自
生する群落体である自生種を見出すことにより確保され
る。次いで当該自生種から、個々の配偶体、つまり植物
体と仮根からなる元種苗体を採取して、栽培床に当該元
種苗体を水平配列して、植物体中の休眠芽又は細胞の分
裂を誘導覚醒することにより一次栽培体を調製する。次
いでかかる一次栽培体を解体して、再び栽培床に水平配
列を行い、その一次栽培体を養生することにより、二次
栽培体群落体を前記栽培床上に調製する。なお、二次栽
培体をさらに継代した多次栽培体を本発明に用いること
も可能である。自然界に存在する天然資源としてのコケ
植物の保全の必要性を考慮すると当該多次栽培体を本発
明に適用するのが好ましい。なお、上記の栽培床の形状
は通常平板状であり、予めコケ植物養生用の土砂を当該
栽培床上に積層せしめてなる。
【0019】また、本発明に適用するコケ植物は上記の
栽培方法の他、公知の培養増殖法(小野莞爾,植物バイ
オテクノロジーII(現代化学増刊20),p39 〜49(1991)
参照) を用いて調製することが可能である。
【0020】例えば、必要に応じてオーキシンやサイト
カイニン等の植物成長ホルモンを添加したムラシゲ−ス
クーグ培地等のコケ植物の細胞を増殖させることが可能
な培地においてコケ植物の外植片として、胞子、無性
芽、配偶体の成長点等を用いて静置培養法、又は回転培
養若しくは振盪培養等の懸濁培養法でコケ植物のカルス
を誘導し、かかるカルスからプロトプラストを調製し
て、当該プロトプラストからコケ植物の植物体等を再生
することができる。
【0021】なお、通常公知の培養手段、例えば通常の
フラスコ内における培養の他、ジャーファーメンターや
リアクターによる大量培養可能な手段により上記静置培
養又は懸濁培養を行うことも可能である。しかしなが
ら、現状では上記培養は手間がかかる上に、培養によっ
て得られたコケ植物は、自然界への順化自体が難しいと
いう欠点を有する。さらに、培養によって得られた配偶
体自体の形状が極めて小さいために前記培養による利点
が少ない。そのために上記の栽培方法によって得た多次
栽培体を配偶体として、本発明緑化用部材等を構成する
緑化用固定物の製造に付することが好ましい。
【0022】B.本発明緑化用部材等を構成する緑化用
固定物は、コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育
可能な状態を維持可能な固定手段により固定してなる。
ここでにいう「固定手段」は、文字通りコケ植物配偶体
が生育可能な状態を維持できる固定手段であれば特に限
定されない。
【0023】しかしながら、コケ植物の生育に有害な有
機溶媒等の揮発性物質等を多量に含む接着剤等をコケ植
物に直接接触させることを伴う固定手段やコケ植物の生
育に悪影響を及ぼす程の加熱工程を伴う固定手段は、本
発明における上記の固定手段からは除外される。
【0024】上記の固定手段としては、例えば紙繊維に
よる固定;縫製による固定;コケ植物の仮根の絡まりに
よる固定等を挙げることができる。また、これらの「固
定手段」を組み合わせて用いることもできる。
【0025】C.先ず、その形状が基板状であり、当該
基板上に縫製部を設けることのみを固定手段として選択
した緑化用固定物(以下、緑化用基板Aという。)の一
製造方法について記載する。
【0026】1.洗浄工程 既述のコケ植物の栽培の終了後、上記栽培床上のコケ植
物の多次栽培体を分離し、おおまかに砂を落とす。かか
る砂落としの手段としては、振り落とし等の通常公知の
方法を採ることができる。また、この際に上記栽培床上
の雑草を除去しておくことが好ましい。さらに当該多次
栽培体から余計な土砂を除去するために洗浄する。かか
る洗浄手段としては、水道水による洗浄等の通常公知の
方法を用いることができる。当該洗浄工程は機械化して
行うのが特に能率的であり好ましい。
【0027】2.乾燥工程 上記により洗浄したコケ植物の多次栽培体を乾燥する。
当該乾燥手段としては、自然乾燥、温風乾燥、通風乾
燥、吸水紙による乾燥等の通常公知の手段を用いること
ができるが、乾燥による当該コケ植物の損失を可能な限
り防ぐことが緑化用基板Aの生産能率上、また当該基板
の品質管理上好ましい。かかる観点から、通常の自然環
境下では特に自然乾燥を行うのが好ましい。ただし、コ
ケ植物の種類毎に本来固有である耐乾燥性に応じて当該
自然環境の程度を選択する必要がある。すなわち、本来
日向でも生育可能な配偶体を有するコケ植物は天日乾
燥、日陰乾燥の双方可能であり、乾燥の効率を考慮する
と天日乾燥が好ましい。しかしながら、日陰でしか生育
できない配偶体を有するコケ植物においては日陰乾燥を
選択するのが好ましい。すなわち、天日乾燥ではコケ植
物配偶体自体が過度の乾燥のために衰弱又は死滅する危
険性がある。
【0028】具体的には、前述のセン類においてはスナ
ゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウ、コウヤノ
マンネングサが、天日日陰双方で乾燥することが可能で
あるが、シッポゴケ、オオシッポゴケ、カモジゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、ヒノキゴケは日陰乾燥する必要があ
る。また、前述のタイ類は全て日陰乾燥するのが好まし
い。
【0029】なお、自然乾燥以外の乾燥手段を用いる場
合にも、温度管理及び湿度管理を上記のコケの耐乾燥性
に応じて行う必要がある。すなわち、天日乾燥が好まし
くないコケ植物においては、過度に高温の通風等は避け
る必要がある。
【0030】3.解体工程 上記により乾燥したコケ植物の多次栽培体を、基板紙上
に配列するために解体する。この解体は、上記多次栽培
体を粗解体後、更に配列が容易な程度にまで細く解体
し、これをさらに個々の配偶体にまで解体する。
【0031】4.配列工程 上記のごとく解体整理した配偶体を基板紙上に配列す
る。好ましくは当該基板紙上に縁止め線を設け、上記配
偶体を当該基板紙の上に水平に配列する。かかる基板紙
は、コケ植物配偶体の固定化処理、特に縫製部の作出に
おいて、当該コケ植物配偶体の崩壊や滑落をその性質自
体により積極的に引き起こすことがないという性質を有
する限りその種類は限定されない。代表的な基板紙とし
て、例えば水溶性紙や半紙等を例示することができる
が、繊維質の水に対する溶解性が良好であり、かつ適切
な強度の基板紙を選択することが容易であるという点に
おいて、水溶性紙を特に好ましい基板紙用素材として挙
げることができる。なお、上記水溶性紙としては一般的
に水溶性紙として市販されているもの、例えばディゾル
ボシリーズ(三島製紙株式会社製)等を挙げることがで
きる(以下、本発明に係わる水溶性紙についても同
様。)。
【0032】5.積層工程 基板紙上の配列したコケ植物配偶体に上紙を積層する。
この上紙は下記の縫製部作出工程において、配列したコ
ケ植物配偶体が当該工程における振動等により脱落する
のを防止する目的で積層する。上記上紙の素材は、後述
する固定紙の除去工程において容易に除去することがで
きる限りにおいて特に限定されない。具体的には上記基
板紙と同様の素材を例示することができる。また、水溶
性紙が除去の容易性に鑑み特に好ましいことも上記と同
様である。
【0033】この積層の後、上紙と上記基板紙を縁止め
して積層体を作出する。当該縁止め手段は、前記上紙と
基板紙の性質に応じて特に限定されずに選択することが
できる。例えば、縫製による縁止め、接着剤による縁止
め、ホチキスによる縁止め等を典型的な縁止め手段とし
て例示することができる。また、ペーパーステッチロッ
ク(商標)によって当該縁止めを行うことも可能であ
る。かかるペーパーステッチロックによる縁止め手段が
その簡便性及び有効性に鑑みれば特に好ましい縁止め手
段である。
【0034】6.圧縮工程 前工程で製造した積層体を、当該積層体の平面に垂直方
向に圧縮する。かかる圧縮手段は、上記積層体をコケ植
物配偶体の存在による膨らみやはね上がりを除去するこ
とが可能である限り特に限定されない。例えば、上記積
層体個々にプレス処理等の圧縮手段を施すことも可能で
あり、上記積層体を仮積みすることも可能である。コス
ト面を含めた工程全体の効率を考慮すると前記仮積みが
本工程における好ましい圧縮手段である。
【0035】7.縫製部作出工程 この縫製部作出工程においては、上記により圧縮した積
層体の平面上を、配偶体が緑化用基板A内で移動して偏
ることのないように縫製する。配偶体の連結手段として
は、縫製の他にプラスチックによる熱融着等を挙げるこ
とが可能であるが、当該手段の簡便性、確実性及び最終
製品の強度を考慮すると、縫製を好ましい配偶体の固定
手段として挙げることができる。
【0036】次に、上記縫製部作出手段について説明す
る。縫製は、手縫い、ミシン縫いのいずれをも用いるこ
とができるが、通常は上糸及び下糸を用いて縫製する故
に積層体内の配偶体を効果的に固定することが可能で、
かつ高速処理が可能なミシン縫いを採用する。但し、手
縫いであっても、ブランケットステッチ、アウトライン
ステッチ、直線縫い、折り返し縫い、ボタンホール、反
返し縫い等の縫製手段により上記縫製部作出が可能にな
る。
【0037】また、縫製部の態様も、配偶体を効果的に
積層体内に固定することが可能である限りにおいて特に
限定されず、例えば碁盤の目状、渦巻き状等の態様を挙
げることができるが、より効率的に配偶体を固定するこ
とが可能であるという面において、碁盤の目状に縫製部
を緑化用基板A上に設けるのが好ましい。
【0038】なお、碁盤の目状に縫製する場合には、そ
の碁盤の目の大きさは、最小コケ植物体のくきの太さよ
りも大きく、最大コケ植物体を横に寝かせたときに当該
植物体一つが固定され得る程度の大きさであることが好
ましい。具体的には、一辺1cm〜2cm程度の正方形であ
ることが好ましい。
【0039】用いる糸の材質は、緑化用固定物が用いら
れる本発明緑化用部材等の使用目的に応じて選択するこ
とができる。具体的には、緑化用固定物が、例えば、主
に造園資材又は建築資材等として使用され得る本発明緑
化用部材を構成する場合には、合成繊維等の耐久度の高
い素材を用いた糸を用いるのが好ましい。また、緑化用
固定物が、例えば、主に鑑賞用に用いられる本発明緑化
用物品を構成する場合には、天然繊維製の糸をも好まし
く用いることができる。
【0040】また、糸の太さも適宜選択することが可能
である。具体的には、ポリエステル100%のジーンズ
ステッチ、綿100%の30〜60番糸、絹100%の
50番糸、レース糸等を広く用いることができる。ま
た、ここに例示した糸に緑化用固定物Aに適用可能な糸
が限定されるものではないのは勿論である。
【0041】8.固定紙の除去工程 次に、積層体における固定紙、すなわち上紙及び基板紙
を除去する。当該除去手段は、基板紙の種類に応じて適
宜選択することが可能である。例えば、水洗いによる除
去、ブラシによるブラッシングによる除去、また水洗い
及びブラッシングの組み合わせによる除去等を挙げるこ
とが可能であるが、効果的に基板紙を除去することが可
能であるという点において水洗いとブラッシングによる
除去方法を採るのが一般的には好ましい。
【0042】なお、この基板紙の除去は、基板紙が可能
な限り完全に積層体上から除去されるまで行うのが好ま
しい。当該除去工程中に水洗い工程が組み込まれている
場合には、本除去工程の最後に乾燥工程を組み込むこと
が必要である。かかる乾燥手段としては、前記乾燥工程
と同様に自然乾燥を行うのが好ましい。最後に当該固定
紙を除去した積層体から縁止めを除去して緑化用基板A
を製造する。
【0043】D.さらに、固定手段が紙繊維による固定
である緑化用固定物(以下、緑化用固定物Aという)の
一製造方法について記載する。 1.コケ植物配偶体及び紙繊維の水溶物を混合する第一
工程 すなわち、上述のコケ植物の栽培の終了後、上記栽培床
上の配偶体を分離し、おおまかな砂落としを行う。この
砂落としの手段としては、振り落とし等通常公知の方法
を採ることができる。また、この砂落としの際に上記栽
培床上の雑草を除去しておくことが好ましい。そして、
さらに配偶体を余計な土砂を除去するために洗浄するこ
とが、より高品質の緑化用固定物Aを製造し得るという
点において好ましい。かかる洗浄手段としては、水道水
による洗浄等の通常公知の方法を用いることができる。
この洗浄工程は機械化して行うのが特に能率的であり好
ましい。
【0044】さらに、この配偶体を解体することが、配
偶体の偏りが可能な限り防止された緑化用固定物Aの製
造を図るという点において好ましい。この配偶体の解体
は、配偶体の粗解体から始めて解体を繰り返し、最終的
には群落体を個々の配偶体にまで解体することにより完
了する。
【0045】紙繊維の水溶物を構成する紙繊維の由来は
特に限定されない。すなわち、水溶性であれば一般紙で
あっても、特に水に溶解しやすい水溶性紙であっても用
いることができる。工程全体における作業の効率化を考
慮すると、水溶性紙を紙繊維の由来物とすることが好ま
しい。しかしながら、一般紙由来の紙繊維であっても当
該一般紙が紙繊維単位で水溶性である限りにおいて、紙
繊維の由来物として用いることができる。当該一般紙を
用いる場合、例えばデンプン糊等のコケ植物の生育に悪
影響を与えない水溶性糊を固定化補助剤として紙繊維と
配偶体との混合物に添加することができる。
【0046】上記を好ましい態様として準備した配偶体
と紙繊維の水溶物を混合するに際しては、紙繊維の水溶
物は少なくとも配偶体の生存及び生育に悪影響を与えな
い温度であることが必要である。具体的には、30℃以
下であることが必要で、コケ植物の生育速度等を考慮す
ると20〜25℃程度であることが好ましい。30℃を
超えると、配偶体にダメージを与えることになり、その
結果配偶体の生育状況に対して悪影響を及ぼす故に好ま
しくない。なお、この至適温度範囲は、本発明における
コケ植物の固定化手段一般を考慮する上で、共通の基本
的な考慮事項でもある。
【0047】また、配偶体と紙繊維水溶物の混合比は、
概ね乾燥重量比で、配偶体20に対して水1乃至配偶体
5に対して水1であり、好ましくは10対1である。配
偶体と紙繊維水溶物の混合比における紙繊維の量が5対
1を超えると施工部材の緑化が遅くなり好ましくなく、
同じく紙繊維の量が20対1未満の場合には所望する程
度の紙繊維による固定を行うことが困難になる故に好ま
しくない。ただし、紙繊維による固定を縫製による固定
の補助手段として用いる場合には、紙繊維の量が上記2
0対1未満であっても許容される。
【0048】なお、固定手段として紙繊維のみ用い、他
の固定手段を組み合わせて用いない緑化用固定物(緑化
用固定物A及び後述する緑化用基板B)が本発明緑化用
部材を構成する場合には、施工する部材の施工面は、比
較的平坦であること、具体的には傾斜度が15°以下で
あることが必要である。すなわち、傾斜度が15°を越
える傾斜地においては、コケ植物が所望する施工部位か
ら脱落するおそれがある。故に、傾斜度が15°以上の
傾斜地においては、固定手段として紙繊維のみを用い、
他の固定手段を用いない緑化用固定物で構成される本発
明緑化用部材を施工するのは好ましくない。
【0049】そして、配偶体と紙繊維水溶物の混合方法
は両者が可能な限り均一に混ざり合う限り特に限定され
ない。例えば、手で混練することも可能であり、ミキサ
ー等により混練することも可能である。なお、この混練
は配偶体が破壊されない程度の強度及び時間で行われる
べきであるのは勿論である。
【0050】具体的には、手による混練は、均等に配偶
体が紙繊維と混合されたと判断する時点で打切り、ミキ
サーによる場合は、弱めにミキサーの回転数を設定し、
可能な限り短く混練を終了することが好ましい。以上示
した第一工程は、統一的に機械化して行うことも可能で
ある。
【0051】固定化手段である紙繊維のキャリアである
水はコケ植物にとって無害であり、紙繊維はコケ植物が
生育可能な温度範囲で水溶状態を維持することが可能な
素材である。なお、ここでいう水は、コケ植物の生育に
とって有害な物質を現実にコケ植物の生育に悪影響を顕
著に与える程に含まなければ特に限定されない。具体的
には、蒸留水及び水道水の両者を用いることが可能であ
る。
【0052】2.第一工程で得たコケ植物配偶体及び紙
繊維の水溶物の混合物を型に流し込み、乾燥し、当該乾
燥物を取り出す第二工程 この工程では、先ず所望の形状の型に前記配偶体と紙繊
維の水溶液の混合物を流し込む。型の素材は特に限定さ
れず、金型、木型、プラスチック型等を広く用いること
ができる。また、型の形状は製造を行う緑化用固定物A
の形状に応じて選択することが可能である。例えば、棒
状、基板状等の緑化用固定物Aに対応した型を用いるこ
とが可能である。
【0053】次に、型に流し込んだ前記配偶体と紙繊維
の水溶液の混合物を乾燥する。当該乾燥手段としては、
自然乾燥、温風乾燥、通風乾燥、吸水紙による乾燥等の
通常公知の手段を用いることができるが、乾燥によるコ
ケ植物の損失を可能な限り防ぐことが緑化用固定物Aの
生産能率上、また当該固定物の品質管理上好ましい。か
かる観点から、通常の自然環境下では特に自然乾燥を行
うのが好ましい。ただし、コケ植物の種類毎に本来固有
である耐乾燥性に応じて当該自然環境の程度を選択する
必要がある。すなわち、本来日向でも生育可能な配偶体
を有するコケ植物は天日乾燥、日陰乾燥の双方可能であ
り、乾燥の効率を考慮すると天日乾燥が好ましい。しか
しながら、日陰でしか生育できない配偶体を有するコケ
植物においては日陰乾燥を選択するのが好ましい。すな
わち、天日乾燥ではコケ植物配偶体自体が過度の乾燥の
ために衰弱又は死滅する危険性がある。
【0054】具体的には、前述のセン類においてはスナ
ゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウが天日日陰
双方で乾燥することが可能であるが、シッポゴケ、オオ
シッポゴケ、カモジゴケ、トヤマシノブゴケ、コウヤノ
マンネングサ、ヒノキゴケは日陰乾燥する必要がある。
また、前述のタイ類は全て日陰乾燥するのが好ましい。
なお、自然乾燥以外の乾燥手段を用いる場合にも、温
度管理及び湿度管理を上記のコケの耐乾燥性に応じて行
う必要がある。すなわち、天日乾燥が好ましくないコケ
植物においては、過度に高温の通風等は避ける必要があ
る。
【0055】最後に、上記乾燥物を用いた型から外して
所望の緑化用固定物Aを得る。なお、当該乾燥物を型か
ら外す場合には、完全に乾燥をしたことを確認してから
外すことが、固定物の破壊を防ぐために必要である。完
全に乾燥した場合には固定物は、型を傾斜等させること
のみにより、当該型から脱落する傾向にある。
【0056】以上、示した第二工程は、統一的に機械化
して行うことも可能である。さらに、上記第一工程及び
第二工程の一連の工程を全て統一的に機械化することも
可能である。
【0057】E.紙繊維による固定を固定手段として用
いる緑化用固定物の形状が基板状である場合(以下、緑
化用基板Bという)は、例えば、以下の工程を経て製造
するのが好ましい。
【0058】1.コケ植物配偶体を配列し、当該配列面
に対して垂直方向に圧縮する第一工程 この配偶体の配列に先立ち、配偶体を洗浄してから解体
することが高品質の緑化用基板を製造する上で好ましい
のは、上記の緑化用固定物A製造の第一工程において記
載したと同様である。
【0059】かかる工程においては、例えば配偶体をコ
ケ植物の栽培に用いた上記のパレット上で配列するの
が、余分な水分を除去することが可能であるという点に
おいて好ましい。
【0060】縫製のみを固定手段としたコケ植物を用い
た上記緑化用基板Aでは、この配列工程に入る前提とし
て、配偶体の乾燥工程が必要であったが、この緑化用基
板Bにおいてはこのような乾燥工程を必要とせず、省力
化を図ることができる。配偶体の配列面に対して垂直方
向への圧縮手段としては、例えばローラーによる圧縮、
重石による圧縮等の通常公知の圧縮手段を挙げることが
できる。かかる圧縮はコケ植物配偶体の存在による膨ら
みやはね上がりを除去して、品質の安定した緑化用基板
Bを製造する目的で行われる。
【0061】2.第一工程でコケ植物配偶体を圧縮した
圧縮面に水溶性紙を積層して、当該水溶性紙に水を接触
させて溶解した紙繊維をコケ植物配偶体同士の隙間に絡
ませる第二工程 圧縮面に積層する水溶性紙としては、一般的に水溶性紙
として市販されているもの、例えば前述のディゾルボシ
リーズ(三島製紙株式会社製)等を挙げることができ
る。当該水溶性紙がコケ植物配偶体上で水と接触して溶
解することによってできる紙繊維によりなる糊状物が、
コケ植物配偶体同士の隙間に充填され、当該配偶体同士
の位置が固定される。その結果、所望の緑化用基板Bを
製造することができる。
【0062】なお、配偶体に対する紙繊維の量の調整
は、例えば積層する水溶性紙の枚数や厚さを調整するこ
とにより、さらに異なる厚さの水溶性紙を用いることに
より行うことができる。具体的には、より配偶体間にお
ける紙繊維の充填度を向上させる場合や、固定すべき配
偶体層が比較的厚い場合に、上記のような紙繊維の量を
調整することが必要になる。
【0063】さらに、水との接触方法は特に限定されな
いが、紙繊維を配偶体間に効率的に絡ませるためにある
程度の水圧を伴う接触方法を採ることが好ましい。例え
ば、ジェットノズル付きホースを用いて水を接触させる
態様を、好ましい接触態様として挙げることができる。
また、水溶性紙を効率良く基板面に密着させるために、
水溶性紙を積層する前に、予め配偶体面に水をなじませ
ておくことができる。この場合は配列したコケ植物面に
積極的に水圧を加える必要はなく、むしろ配列面の崩壊
を可能な限り防止するという観点からは、可能な限り静
的態様、例えば噴霧ノズル付きホースを用いて配偶体面
と水とをなじませるのが好ましい。
【0064】この水溶性紙を用いる固定化方法は、前述
の緑化用固定物Aの製造方法と同様に紙繊維及び水がコ
ケ植物の生育に悪影響を与えないばかりではなく、固定
する前提として加熱工程を経る必要もなく極めて優れた
方法である。また、この緑化用基板Bの製造工程の機械
化も容易である。
【0065】3.第二工程で得たコケ植物配偶体と紙繊
維の複合体を乾燥して、紙繊維によって当該コケ植物配
偶体を固定する第三工程 この乾燥工程によって、配偶体の固定が原則として完了
する。この乾燥工程は、前記した配偶体と紙繊維の水溶
物の混合物を乾燥する工程と同様に行うことができる。
【0066】すなわち、自然乾燥、温風乾燥、通風乾
燥、吸水紙による乾燥等の通常公知の手段を用いること
ができるが、乾燥による当該コケ植物の損失を可能な限
り防ぐことが緑化用基板Bの生産能率上、また当該基板
の品質管理上好ましい。かかる観点から、通常の自然環
境下では特に自然乾燥を行うのが好ましい。ただし、コ
ケ植物の種類毎に本来固有である耐乾燥性に応じて当該
自然環境の程度を選択する必要がある。すなわち、本来
日向でも生育可能な配偶体を有するコケ植物は天日乾
燥、日陰乾燥の双方可能であり、乾燥の効率を考慮する
と天日乾燥が好ましい。しかしながら、日陰でしか生育
できない配偶体を有するコケ植物においては日陰乾燥を
選択するのが好ましい。すなわち、天日乾燥ではコケ植
物配偶体自体が過度の乾燥のために衰弱又は死滅する危
険性がある。
【0067】具体的には、前述のセン類においてはスナ
ゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウが天日日陰
双方で乾燥することが可能であるが、シッポゴケ、オオ
シッポゴケ、カモジゴケ、トヤマシノブゴケ、コウヤノ
マンネングサ、ヒノキゴケは日陰乾燥する必要がある。
また、前述のタイ類は全て日陰乾燥するのが好ましい。
【0068】なお、自然乾燥以外の乾燥手段を用いる場
合にも、温度管理及び湿度管理を上記のコケの耐乾燥性
に応じて行う必要がある。すなわち、天日乾燥が好まし
くないコケ植物においては、過度に高温の通風等は避け
る必要がある。
【0069】このようにして製造した緑化用基板Bは、
そのまま用いることが可能である。そして、後述するご
とく、縫製部を設けることによっても、さらに網状体を
被覆することによっても、配偶体の基板における固定度
の向上を図ることができる。
【0070】緑化用基板Bは、この段階でカッターやハ
サミによる切断等の簡便な手段で容易に任意の形状に加
工することが可能である。この点で緑化用基板Bは、用
途に応じた当該基板の加工の自由度を向上させた。
【0071】F.上記により製造した紙繊維のみで配偶
体を固定した緑化用固定物(緑化用固定物A及び緑化用
基板B)に、配偶体の固定度を向上させる目的でさらに
縫製部を設けることができる。かかる縫製部の付与は、
例えば本発明緑化用部材を屋外の傾斜地等、紙繊維によ
る固定のみでは当該部材としての形状を継続的に維持す
ることが困難な場所で施工する場合に対応することがで
きる。
【0072】なお、すでに紙繊維で配偶体が固定されて
いるため、必ずしも配偶体の縫製時の脱落を防止を目的
とした基板紙の積層をする必要がなく、省力化を図り得
るという点は極めて有用である。
【0073】縫製部製造手段は、上記の緑化用基板Aに
おける手段と同様である。
【0074】G.上記の種々の緑化用固定物に、本発明
緑化用部材の施工時に又は本発明緑化用物品の後述する
吸水性部材とは接触しない面である「上面」に網状体を
被覆することが可能である。
【0075】かかる被覆は、上記の縫製と同様に紙繊維
による固定を補助して、縫製部における縫製密度を減じ
るか、又は縫製部の付加を省略するために行われる。な
お、ここで「被覆」とは、前記積層及び対象物の被包の
両者を意味する。
【0076】被覆する網状体の網密度は、少なくとも配
偶体が生育する過程でコケ植物体が貫通することが可能
な密度であることが必要である。具体的には当該網状体
の被覆により、本発明緑化用固定物等に、より積極的な
強度付与を企図する場合、例えば当該網状体の被覆によ
り完全に縫製部の付加を省略する場合には、穴径が3mm
〜4mm程度の網を被覆するのが好ましいが、縫製部の縫
製密度を減じることのみを企図する場合には、一辺1cm
〜2cmの網状体を被覆することで足る。
【0077】網状体の素材は、コケ植物の生育に悪影響
を与えず水濡れ等により溶解する素材でない限りは特に
限定されない。具体的には、ポリアミド系樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、変形ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート
系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、PS系樹脂等の熱可塑
性又は熱硬化性プラスチック;脂肪族ポリエステル、変
成デンプン等の生分解性プラスチック;天然又は合成ゴ
ム;ガラス繊維、金属繊維、石綿、溶融シリカ繊維、セ
ラミックファイバー等の無機繊維;織布又は不織布であ
る有機質繊維;セルロース;木材パルプ、綿リンターパ
ルプ、タケパルプ、わらパルプ等の素材を当該網状体の
素材として挙げることができる。
【0078】当該網状体の緑化用固定物上面おける接着
方法は、コケ植物植物体の生育に悪影響を与えない限り
において特に限定されず、例えば、縫製、接着剤による
接着、ホチキスによる縁止め等を挙げることができる。
【0079】縫製により接着する場合、特に縫製による
緑化用固定物等自体の積極的な強度向上を考慮しない場
合には、縫製を基板上に密に施す必要はなく、少なくと
も網状体の周辺が本発明緑化用固定物等上に固定される
ように縁止め縫製をすれば足る。具体的には、例えば固
定物等の面の対角線上や網状体の網の交点に簡単な縫製
を施す程度の縫製密度で足り、すなわち、網状体の被覆
により所望する緑化用固定物の製造の手間を大いに省く
ことが可能になる。
【0080】また、接着剤による接着を行う場合には、
接着剤自体がコケ植物の生育に悪影響を及ぼさない素材
のものを用いることが好ましい。特に、シリコン系の接
着剤はコケ植物の生育に悪影響を及ばさずに接着効果を
長期間安定して維持することが可能であるという点にお
いて特に好ましい。
【0081】H.また、全く縫製を省略する場合には、
単に網状体を緑化用固定物の上面に被覆することに加え
て、一旦予備的にコケ植物を養生し、この被覆済の網状
体上で植物体同士を絡ませることによって固定度を向上
させることが好ましい。
【0082】この予備的なコケ植物の養生過程を経て製
造する、網状体を被覆したコケ植物を用いた緑化用固定
物は、最終的には「網状体上にコケ植物の配偶体が絡ん
でなるコケ植物を用いた緑化用固定物」として扱われる
(緑化用固定物B)。
【0083】この予備的なコケ植物の養生は、コケ植物
の植物体が1〜2cmまで伸びるマット状態になるまで行
うのが好ましい。このような状態になるまでのコケ植物
を養生する期間はコケ植物の種類により異なるが、概ね
2〜3か月程度である。
【0084】なお、このコケ植物の養生方法は、コケ植
物の一般的な養生方法に準ずる。具体的態様について
は、後述する。緑化用固定物Bは、即コケ植物が有する
本来の姿に近い形で施工部材の緑化を図ることが可能で
ある。
【0085】しかしながら、乾燥した配偶体を用いて
おらず、未だ枯化プロセスを経ていないため、施工前の
環境と施工後の環境の僅かな差で一旦コケ植物が枯化を
起こして茶褐色に変色してしまう可能性が高い;急傾
斜している部分では、コケ植物自体の重みで基板が変形
したり、脱落するおそれがある;コケ植物が枯化して
乾燥すると、風等の物理的な要因により網状体内のコケ
植物が脱落しやすい;という欠点がある。
【0086】そこで、この緑化用固定物Bは、極めて短
期的にコケ植物本来の姿を必要とする場合には特に有用
であるが、長期的な緑化を図る場合には却って不都合な
点が存在することは否めない。
【0087】I.本発明保水性緑化用部材等は、上記緑
化用固定物(A.〜H.)と保水性部材とを、当該保水
性部材から当該緑化用固定物への水の移動が可能な態様
で組み合わせてなることを特徴とする。
【0088】本発明において、用いることのできる保水
性部材は、水を滞留することが可能であり、かつ当該滞
留水を外部に供給することが可能であり、そして当該滞
留水がコケ植物の生育に悪影響を及ぼさない限り、特に
限定されるものではない。
【0089】具体的には、先ず、例えば、綿,パルプ,
スポンジ等の毛細管現象によって部材の間隙に水を吸収
する素材を、本発明における保水性部材として用いるこ
とができる。また、フェノール樹脂を用いた吸水フォー
ム(例えば、フローラルフォーム(株式会社 日本デキ
シー社製:登録商標)等)を用いることもできる。この
フェノール樹脂を用いた吸水フォームは、吸水力が強
く、安定した水分供給が可能であり、本発明における保
水性部材として用いることに特に適している。特に、そ
の剛性の高さ故に所望の形状に加工することが容易であ
り、本発明緑化用物品に適用するに好ましい。
【0090】さらに、ポリアクリル酸系高吸水性ポリマ
ー,デンプン系高吸水性ポリマー,カルボキシメチルセ
ルロース系高吸水性ポリマー等の各種の高吸水性ポリマ
ーをも本発明における保水性部材として用いることがで
きる。これらの吸水性素材は、所望する本発明保水性緑
化用部材の形態に応じた形態で用いることができる。
【0091】すなわち、例えば、本発明保水性緑化用部
材においては、上記素材をシート状に加工した上記素材
を用いることができる。なお、この加工形態は、上記素
材のみを加工して用いることのみを意味するのではな
く、必要に応じて他の素材と組み合わせて用いることを
も意味する。例えば、上記の吸水性素材を、透水性に優
れた不織布等にシート状に被包して用いる等の手段を講
ずることができる。特に、上記のフェノール樹脂を用い
た吸水フォームは、一旦吸水すると、その後の乾燥に対
しては脆くなる性質を有しており、当該吸水フォームを
断続的な水補給をすることが想定される本発明保水性緑
化用部材の保水性部材として用いる場合には、例えば、
前記したように、透水性不織布等により被包して用いる
のが好ましい。
【0092】また、本発明緑化用物品においては、当該
物品を構成する緑化用固定物以外の部分は、全て上記保
水性部材で構成させる必要はなく、例えば、所望する形
状の物品の表面にのみ、上記保水性部材を固定して、そ
の上から緑化用固定物を被覆することもできる。さら
に、上記保水性部材は、十分に当該保水性部材から緑化
用固定物への水の供給が行われる態様であれば、必ずし
も、緑化用固定物の「下面」全面に対して接触させる必
要はない。
【0093】次に、上記の保水性部材を、上記緑化用固
定物への水移動が可能な態様で組み合わせて、本発明保
水性緑化用部材を製造する。この「緑化用固定物への水
移動が可能な態様」は、文字通り、水移動が可能な態様
の組み合わせ方法であれば、特に限定されない。例え
ば、シリコン性接着剤等のコケ植物の生育に悪影響を与
えない素材の接着剤で、上記保水性部材と緑化用固定物
との、当該接着剤の塗布部を碁盤の目状等の粗な態様で
の接着;上記保水性部材と緑化用固定物との間の縫製;
上記緑化用固定物の保水性部材に対する緊縛若しくは両
面テープによる接着(主に、本発明緑化用物品に適す
る)等を挙げることができる。
【0094】先ず、本発明保水性緑化用部材を施工する
対象は特に限定されず、例えばコンクリート、石、ガラ
ス、発泡スチロール、鉄、ステンレス、アルミニウム、
プラスチックス、タイル、レンガ、セラミックス、合成
皮革、合成ゴム、天然ゴム、アスファルト等の建設用等
の目的で用いられている部材等に対して広く用いること
ができる。また、緑化を企図する各種の法面上に施工す
ることができる。また、いわゆるグラウンドカバー用に
土壌に本発明緑化用部材を適用することが可能であるこ
とは勿論であり、さらに樹木等の植物保護材として用い
ることができる。
【0095】本発明保水性緑化用部材の施工の際の、施
工の対象となる部材や法面等との接着手段は、例えば両
面テープによる接着、プラスチック製のクギによる接
着、ホールアンカ等の固定金具による接着等を挙げるこ
とができる。これらの接着手段の中で、コケ植物の生育
に悪影響を及ぼす揮発性物質が極めて少なく、効果的か
つ効率的に接着することが可能であるという面におい
て、上記接着手段のうち両面テープによる接着手段が特
に好ましい。さらに、シリコン系の接着剤による接着は
コケ植物の生育に悪影響を及ぼさずに接着効果を長期間
安定して維持することが可能であるという点において好
ましい。
【0096】なお、接着を企図する施工する部材に本発
明保水性緑化用部材が固着されている限りにおいて、当
該接着手段を当該緑化用部材全体に施す必要はない。
【0097】本発明保水性緑化用部材(予備的養生を行
って製造した緑化用固定物を用いた当該保水性緑化用部
材は除く)を上記のように施工した後、施工初期に当該
緑化用部材中の保水性部材に灌水することにより、当該
保水性部材中の水が安定して、緑化用固定物に向かって
移動し、配偶体に安定した水分の供給が可能であるり、
本発明保水性緑化用部材中の配偶体における、再生芽の
発芽を促進する。かかる保水性緑化用部材は、保水性部
材を組み合わせていない緑化用固定物に比べて、安定し
て再生芽を発芽させることができる。特に、自然降雨が
少ない地域で施工する場合や、降雨量が少ない時期に施
工する場合、さらに自然降雨の際にも余り水が回らない
箇所に施工した場合においても、再生芽の発芽率を安定
させることができる。
【0098】なお、予備的な養生を行って製造する緑化
用固定物を用いて製造する本発明保水性緑化用部材の場
合においては、必要において灌水をすることにより、施
工そのものによるコケ植物の環境の変化による枯化から
再生のプロセスを容易にすることが可能である。
【0099】一旦、再生芽が発芽することにより、それ
以降は、自然降雨のみで、本発明保水性緑化用部材中の
コケ植物は、半永久的にその生命活動を継続することが
できる。なお、再生芽発芽後も、コケ植物は乾燥時には
巻縮する傾向にあるので、この巻縮状態を避けるため
に、再生芽の発芽後も追加して灌水を行うことも可能で
ある。本発明保水性緑化用部材により、この際の灌水の
頻度を大幅に減少させることが可能である。また、再生
芽の発芽後のコケ植物の成長速度の促進を図る場合に
も、上記の追加灌水は有効な手段である。
【0100】本発明保水性緑化用部材を施工するべき環
境は、対応する緑化用固定物の製造に用いたコケ植物配
偶体の性質に応じて選択するのが好ましい。すなわち、
スナゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウ等の日
向でも日陰でも生育することが可能なコケ植物の配偶体
を用いた本発明保水性緑化用部材の場合には、上記の施
工箇所の環境は日向であっても日陰であってもよいが、
シッポゴケ、オオシッポゴケ、カモジゴケ、トヤマシノ
ブゴケ、コウヤノマンネングサ、ヒノキゴケ等のセン類
コケ植物やタイ類コケ植物については直射日光に過度に
さらされる環境に置くのは好ましくない。なお、本発明
保水性緑化用部材におけるコケ植物の成長速度は、人工
的に温度、照度、水供給等を養生するコケ植物の性質に
応じて適宜調節することにより、人為的にコントロール
をすることも可能である。
【0101】本発明保水性緑化用部材は、上記のような
利点を有することはもちろん、緑化用固定物が本来有す
る、従来技術には見られなかった画期的な利点をそのま
ま維持するものである。例えば、本発明保水性緑化用部
材(予備的養生を行って製造した緑化用固定物を用いた
当該保水性緑化用部材は除く)を緑化を図る部材に使用
した場合には、個々のコケ植物が本来有している環境に
対する適応力を最大限生かして、その部材の存在する環
境に応じたコケ植物の再生芽が直接形成される。
【0102】すなわち、本来コケ植物は環境の僅かな変
化に対して極めて敏感である。例えば自生種であれば当
該自生地の環境以外、栽培種であれば当該栽培地の環境
以外の環境において、当該自生種や当該栽培種(どちら
も群落体)を置いた場合には、一定期間それら自生種や
栽培種が茶褐色に変色したり弱体化して枯化した状態が
続く傾向にある。そして、かかる枯化プロセスを経た後
に始めて部分的にコケ植物の再生芽の形成が認められる
ことが多い。すなわち、野山に自生するコケ植物をその
まま他の環境に植生した場合には、枯化というプロセス
を経ることが通常であり、当該自生種をそのまま用いて
本格的な緑化を図るまでにはかなりの時間を要するとい
う問題がある。
【0103】しかしながら、本発明保水性緑化用部材
(予備的養生を行って製造した緑化用固定物を用いた当
該保水性緑化用部材は除く)では、上記枯化というプロ
セスを既に上記の一連の緑化用固定物(予備的養生を行
って製造した緑化用固定物は除く)製造工程の中で済ま
せており、当該枯化プロセスを経ることなしに直接環境
に応じた再生芽の形成を、そのコケ植物が本来有してい
る環境に対する適応力の範囲内で最大限図ることが可能
である。すなわち、本格的に緑化が実現されるまでの時
間を大幅に節約することが可能であるという点において
特に有用である。
【0104】さらに後述するごとく、6か月以上という
長期間、本発明保水性緑化用固定物(予備的養生を行っ
て製造した緑化用固定物を用いた当該保水性緑化用部材
は除く)を保管する場合でも、通常人間生活に支障を来
さない程度の温度である限り、特にスナゴケ、トヤマシ
ノブゴケ及びハイゴケにおいては特別な温度管理を行う
必要もないという利点も認められる。
【0105】そして、軽量であるために輸送コストを軽
減することが可能であり、施工が簡単であり、補修も楽
であるという大きな利点も認められる。
【0106】K.次に、本発明緑化用物品について説明
する。本発明緑化用物品の形状等は、特に限定されず、
当該物品使用者の所望する形態を選択することが可能で
ある。なお、保水性部材と他の部材を組み合わせて本発
明緑化用物品を製造する場合の他の部材の素材は特に限
定されず、例えばコンクリート、石、ガラス、発泡スチ
ロール、鉄、ステンレス、アルミニウム、プラスチック
ス、タイル、レンガ、セラミックス、合成皮革、合成ゴ
ム、天然ゴム等の部材を広く用いることができる。
【0107】本発明緑化用物品は、灌水による緑化を開
始して、再生芽の発芽が確認された後は、常にコケ植物
の巻縮状態が解除されていることを、当該物品の使用者
が企図しない限りは、特に積極的に灌水を行う必要はな
く、使用者が巻縮状態を解除することを所望する時点に
おいて、灌水を行うことで足る。また、予備的な養生を
行って製造した緑化用固定物を用いた本発明緑化用物品
は、当該物品中のコケ植物の枯化を遅延させる目的の範
囲において、灌水を行うことで足る。
【0108】しかしながら、乾燥状態と灌水状態を複数
回繰り返すことにより、保水性部材の性能が劣るに至る
素材や、当該保水性部材の当所の形状を保つことのでき
ない素材である場合には、用いる保水性部材の種類に応
じて個別具体的に当該保水性部材の性能保持に配慮し
て、本発明緑化用物品を管理すべきである。
【0109】例えば、上記のフェノール樹脂を用いた吸
水フォームは、毛細管現象により、非常に優れた保水性
能を有し、また任意の形状に加工をすることが可能な保
水性素材であるが、一旦水と接触させると、その後の乾
燥状態を経ることにより、脆くなり、当初の形状を保持
することが困難になる。故に、かかる吸水フォームを保
水性部材として用いる本発明緑化用物品は、緑化開始後
は、例えば当該物品を水で満たした容器中に置き、常に
当該物品における吸水フォームと水とを接触させる手段
を採る必要がある。
【0110】このようにして、緑化を開始した、本発明
緑化用物品は、視覚的に非常に美しく、インテリア製品
等に応用することが非常に好ましい。また、本発明緑化
用物品は、その製造自体を家庭内で行うことも容易であ
り、当該家庭内製造を企図した、本発明緑化用物品製造
用キットも、本発明の範囲に含むものである。
【0111】
【実施例】以下、本発明の実施例等を説明するが、本実
施例等により本発明の技術的範囲が制限的に解釈される
ものではない。まず、実施例の開示に先立ち、参考例と
して、主なコケ植物の栽培法を記載する。
【0112】〔参考例1〕スナゴケのコケ植物配偶体の
栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的高照度下で
生育していたスナゴケ( Racomitrium canescens)を、
600cm2 (30×20cm) にわたって採取した。この
採取したスナゴケに一度簡単な清掃(スナゴケ群落中の
枯草他植物落ち葉等の除去)を行った。清掃されたスナ
ゴケの群落体は、手作業で仮根で連結された群落を解体
し、個々のコケ植物配偶体へと分解した。この個体の配
偶体を、育苗用パレットに水平配列した。なお、この水
平配列を行うに際して、予めパレット上に新聞紙を砂止
め用下敷き紙として積層し、次いで当該下敷き紙の上に
無機質である砂質土をコケ植物養生用砂として置床し
た。
【0113】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる日照制限をせずに、水分は常
時補給)スナゴケ配偶体上面より、27日後以降に、植
物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞か
ら再生芽が現れ、120日後にはほぼ完全な育苗用パレ
ット中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一
次栽培体と呼び、以下かかる一次栽培体を基に継代的な
栽培を行った。この一次栽培体中には、他種のコケ植物
や草本類も混在していた。そのため、選択的に一次栽培
体を育苗用パレットから抜き取り行う種苗解体処理中
に、これらの不必要種を取り除いた。改めてこの一次栽
培体を、砂盛された育苗用パレットに水平配列し、配偶
体の再生を促した。その結果、前記の一次栽培体の作出
時とほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生
させた一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二
次栽培体が確保された。
【0114】〔参考例2〕ハイゴケのコケ植物配偶体の
栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的高照度下で
生育していたハイゴケ(Hypnum plumaeforme Wils.
)を、600cm 2 (30×20cm) にわたって採取し
た。この採取したハイゴケに一度簡単な清掃(ハイゴケ
群落中の枯草他植物落ち葉等の除去)を行った。清掃さ
れたハイゴケの群落体は、手作業で仮根及び植物体で連
結された群落を解体し、個々のコケ植物配偶体へと分解
した。この個体の配偶体を、育苗用パレット(600cm
2 (30×20cm) )に水平配列した。なお、この水平
配列を行うに際して、予めパレット上に新聞紙を砂止め
用下敷き紙として積層し、次いで当該下敷き紙の上に無
機質である砂質土をコケ植物養生用砂として置床した。
【0115】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる50%日照制限、水分は常時
補給)ハイゴケ配偶体上面より、20日後以降に、植物
体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞から
再生芽が現れ、90日後にはほぼ完全な育苗用パレット
中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一次栽
培体と呼び、以下かかる一次栽培体を基に継代的な栽培
を行った。この一次栽培体中には、他種のコケ植物や草
本類も混在していた。そのため、選択的に一次栽培体を
育苗用パレットから抜き取り行う種苗解体処理中に、こ
れらの不必要種を取り除いた。改めてこの一次栽培体
を、砂盛された育苗用パレットに水平配列し、配偶体の
再生を促した。その結果、前記の一次栽培体の作出時と
ほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生させ
た一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二次栽
培体が確保された。
【0116】〔参考例3〕オオシッポゴケのコケ植物配
偶体の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたオオシッポゴケ(Dicranum nipponense
Besch. )を、600cm2 (30×20cm) にわたって
採取した。この採取したオオシッポゴケに一度簡単な清
掃(オオシッポゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除
去)を行った。清掃されたオオシッポゴケの群落体は、
手作業で仮根及び植物体で連結された群落を解体し、個
々のコケ植物配偶体へと分解した。この個体の配偶体
を、育苗用パレット(600cm2 (30×20cm) )に
水平配列した。なお、この水平配列を行うに際して、予
めパレット上に新聞紙を砂止め用下敷き紙として積層
し、次いで当該下敷き紙の上に無機質である砂質土をコ
ケ植物養生用砂として置床した。
【0117】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる80%日照制限、水分は常時
補給)オオシッポゴケ配偶体上面より、30日後以降
に、植物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮
細胞から再生芽が現れ、300日後にはほぼ完全な育苗
用パレット中に群落体が形成された。ここで現れた群落
体を一次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的
な栽培を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ
植物の存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本
類も多数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレッ
トから抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を
取り除いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗
用パレットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時と
ほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生させ
た一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二次栽
培体が確保された。
【0118】〔参考例4〕トヤマシノブゴケのコケ植物
配偶体の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたトヤマシノブゴケ(Thuidium kanedae Sa
k.)を、600cm2 (30×20cm) にわたって採取し
た。この採取したトヤマシノブゴケに一度簡単な清掃
(トヤマシノブゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除
去)を行った。清掃されたトヤマシノブゴケの群落体
は、手作業で仮根及び植物体で連結された群落を解体
し、個々のコケ植物配偶体へと分解した。この個体の配
偶体を、育苗用パレット(600cm2 (30×20cm)
)に水平配列した。なお、この水平配列を行うに際し
て、予めパレット上に新聞紙を砂止め用下敷き紙として
積層し、次いで当該下敷き紙の上に無機質である砂質土
をコケ植物養生用砂として置床した。
【0119】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる80%日照制限、水分は常時
補給)トヤマシノブゴケ配偶体上面より、30日後以降
に、植物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮
細胞から再生芽が現れ、250日後にはほぼ完全な育苗
用パレット中に群落体が形成された。ここで現れた群落
体を一次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的
な栽培を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ
植物の存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本
類も多数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレッ
トから抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を
取り除いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗
用パレットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時と
ほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生させ
た一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二次栽
培体が確保された。
【0120】〔参考例5〕ウロコゴケのコケ植物配偶体
の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたウロコゴケ(Heteroscyphus argutus Sc
hiffn. )を、600cm2 (30×20cm) にわたって
採取した。この採取したウロコゴケに一度簡単な清掃
(ウロコゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除去)を行
った。清掃されたウロコゴケの群落体は、手作業で仮根
及び植物体で連結された群落を解体し、個々のコケ植物
配偶体へと分解した。この個体の配偶体を、育苗用パレ
ット(600cm2 (30×20cm) )に水平配列した。
なお、この水平配列を行うに際して、予めパレット上に
新聞紙を砂止め用下敷き紙として積層し、次いで当該下
敷き紙の上に無機質である砂質土をコケ植物養生用砂と
して置床した。
【0121】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる90%日照制限、水分は常時
補給)ウロコゴケ配偶体上面より、30日後以降に、植
物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞か
ら再生芽が現れ、400日後にはほぼ完全な育苗用パレ
ット中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一
次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的な栽培
を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ植物の
存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本類も多
数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレットから
抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を取り除
いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗用パレ
ットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時とほぼ同
程度の配偶体の再生が確認された。この再生させた一次
栽培体を整備種苗とした結果、2倍程度の二次栽培体が
確保された。
【0122】〔参考例6〕ヒノキゴケのコケ植物配偶体
の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたヒノキゴケ(Rhizogoniumus dozyannum
Lac. )を、600cm2 (30×20cm) にわたって採
取した。この採取したヒノキゴケに一度簡単な清掃(ヒ
ノキゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除去)を行っ
た。清掃されたヒノキゴケの群落体は、手作業で仮根及
び植物体で連結された群落を解体し、個々のコケ植物配
偶体へと分解した。この個体の配偶体を、育苗用パレッ
ト(600cm2 (30×20cm) )に水平配列した。な
お、この水平配列を行うに際して、予めパレット上に新
聞紙を砂止め用下敷き紙として積層し、次いで当該下敷
き紙の上に無機質である砂質土をコケ植物養生用砂とし
て置床した。
【0123】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる80%日照制限、水分は常時
補給)ヒノキゴケ配偶体上面より、30日後以降に、植
物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞か
ら再生芽が現れ、300日後にはほぼ完全な育苗用パレ
ット中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一
次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的な栽培
を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ植物の
存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本類も多
数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレットから
抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を取り除
いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗用パレ
ットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時とほぼ同
程度の配偶体の再生が確認された。この再生させた一次
栽培体を整備種苗とした結果、2倍程度の二次栽培体が
確保された。
【0124】次に、参考製造例1〜参考製造例6におい
て、上記のように栽培したコケ植物配偶体を固定した、
主な緑化用固定物の製造例を示す。
【0125】〔参考製造例1〕緑化用固定物の製造
(1) 前記参考例1〜6によって栽培されたスナゴケ、ハイゴ
ケ、トヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及
びウロコゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水
道水で洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去し
た。このようにして調製したコケ植物配偶体を、それぞ
れの配偶体に巻縮が認められるまで自然乾燥を行った。
すなわち、スナゴケについては、屋外で遮光ネットで日
照を制限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイゴケ
については、屋外で遮光ネットにより50%の日照制限
を行って、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマシノ
ブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネットに
より80%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を行
った。そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光ネッ
トにより90%の日照制限を行って、48時間自然乾燥
を行った。
【0126】なお、かかる自然乾燥処理を施す前に、ペ
ーパータオルでコケ植物配偶体に付着した水分を吸い取
った。前記の自然乾燥を施した配偶体の形状は、群落体
状のままではなく、ある程度群落が保護された状態であ
った。
【0127】次に、これらのある程度群落が保護された
コケ植物配偶体を、当該配偶体単体にまで解体、分散し
た。そして、整理した個々のコケ植物配偶体を水溶性の
基板紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙株式会社
製))上に、乾燥重量で0.04〜0.06g/cm2 で水
平にかつ均一に配列した。A4版の大きさの基板紙上に
水平配列せしめたコケ植物上に、当該基板紙と同じく水
溶性紙である上紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙
株式会社製))を積層し、4隅をホチキスで止めた。
【0128】この結果得られた積層体を、平板状の物体
で0.2g/cm2 の荷重をかけて、5時間圧縮した。この
圧縮処理の結果上記積層体は、約1/2程度の厚さにま
で圧縮された。次いで、当該積層体に縫製を施した。当
該縫製は工業用ミシンを用いることにより、当該積層体
を一辺が約1cmの碁盤の目状の形状に、ナイロン糸を用
いておこなった。当該縫製後、上記上紙と基板紙を水洗
いしてブラッシングすることにより除去した。このよう
にして、コケ植物配偶体は上記縫製によってシート状に
連結された。
【0129】次いで、かかるコケ植物配偶体連結物の水
を一旦切り、スナゴケについては、屋外で遮光ネットで
日照を制限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイゴ
ケについては、屋外で遮光ネットにより50%の日照制
限を行って、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマシ
ノブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネット
により80%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を
行った。そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光ネ
ットにより90%の日照制限を行って、48時間自然乾
燥を行った。シートのホチキスによる縁止め部はカッタ
ーで切断して、緑化用固定物aを製造した。
【0130】〔参考製造例2〕緑化用固定物の製造2 前記参考例において栽培されたスナゴケ、ハイゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水道水で
洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去し、さらに
ペーパータオルで配偶体に付着した水分を吸い取った。
このようにして調製したコケ植物配偶体を、それぞれの
配偶体に巻縮が認められるまで自然乾燥を行った。
【0131】すなわち、スナゴケについては、屋外で遮
光ネットで日照を制限せずに24時間自然乾燥した。ま
た、ハイゴケについては、屋外で遮光ネットにより50
%の日照制限を行って、36時間自然乾燥した。さら
に、トヤマシノブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外
で遮光ネットにより80%の日照制限を行って、48時
間自然乾燥を行った。そして、ウロコゴケについては、
屋外で遮光ネットにより90%の日照制限を行って、4
8時間自然乾燥を行った。前記の自然乾燥を施した配偶
体の形状は、群落体状のままではなく、ある程度群落が
保護された状態であった。
【0132】次に、これらのある程度群落が保護された
配偶体を、配偶体単体にまで解体し、分散させた。そし
て、整理した個々のコケ植物配偶体をA4版の大きさの
水溶性の基板紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙株
式会社製))上に、乾燥重量で0.04〜0.06g/cm
2 を水平にかつ均一に配列した。さらに、上記の基板紙
上に配列した配偶体上に、網目の大きさが1×1cmのナ
イロン製ネットを被覆し、四隅をホチキスで止めること
により層状に固定して、基板紙と配偶体とネットの三層
構造の積層体を作出した。
【0133】かかる積層体を、平板状の物体で0.2g/
cm2 の荷重をかけて、5時間圧縮した。この圧縮処理の
結果上記積層体は、約1/2 程度の厚さにまで圧縮さ
れた。次いで、上記積層体上に縫製を施して縫製部(5
×5cmの碁盤の目状)を設けた。この縫製部は、ナイロ
ン糸を用いた工業用ミシンによる縫製により設けられ
た。上記縫製後、上記基板紙を水洗いしてブラッシング
することにより除去した。
【0134】このようにして、コケ植物配偶体は縫製に
よってシート状に連結された。次いで、かかるコケ植物
配偶体連結物の水を一旦切った。そして、スナゴケにつ
いては、屋外で遮光ネットで日照を制限せずに24時間
自然乾燥した。また、ハイゴケについては、屋外で遮光
ネットにより50%の日照制限を行って、36時間自然
乾燥した。さらに、トヤマシノブゴケ及びヒノキゴケに
ついては、屋外で遮光ネットにより80%の日照制限を
行って、48時間自然乾燥を行った。そして、ウロコゴ
ケについては、屋外で遮光ネットにより90%の日照制
限を行って、48時間自然乾燥を行った。基板四隅のホ
チキスによる縁止め部はカッターで切断して、緑化用固
定物bを製造した。
【0135】〔参考製造例3〕緑化用固定物の製造3 前記参考例において栽培されたスナゴケ、ハイゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水道水で
洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去した。次
に、これらのある程度群落が保護された状態のコケ植物
配偶体を水道水で濡らしたままの状態で配偶体単体にま
で解体し、分散させた。そして、整理した個々の配偶体
をプラスチックス製のパレット上に水平にかつ均一に配
列し、これらの配偶体をコテでならして平坦化した。
【0136】次に、上記の水平配列したコケ植物配偶体
上に水溶性紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙株式
会社製))を積層した。そして、当該水溶性紙の上から
水道水を一面均等に浸潤させた後、水道水をシャワーノ
ズル付きホースを用いて当該水溶紙面に吹き付けて、そ
の水溶性紙を溶解しつつ、コケ植物体の隙間に水溶性紙
由来の紙繊維を絡めた。この結果、紙繊維が配列したコ
ケ植物配偶体同士の隙間に入り込んだ。
【0137】次いで、この紙繊維固定シートに縫製を施
して縫製部を設けた。なお、当該縫製部は革製品専用ミ
シンを用いて、一辺が約1cmの碁盤の目状の形状に、ポ
リエステル100%のジーンズステッチで縫製すること
により設けた。さらに、かかるコケ植物配偶体連結物の
水を一旦切り、スナゴケについては、屋外で遮光ネット
で日照を制限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイ
ゴケについては、屋外で遮光ネットにより50%の日照
制限を行って、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマ
シノブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネッ
トにより80%の日照制限を行って、48時間自然乾燥
を行った。そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光
ネットにより90%の日照制限を行って、48時間自然
乾燥を行なった。このようにして、緑化用固定物cを製
造した。
【0138】〔参考製造例4〕緑化用固定物の製造4 前記参考製造例3の緑化用固定物の製造工程において作
出される、紙繊維固定シートの上面に網の大きさが1×
1cmのナイロン製ネットを被覆して、当該基板とかかる
ナイロン製ネットを縫製によって縁止めをした。そし
て、さらに当該基板の対角線上に上記ナイロン製ネット
を一体として縫製した縫製部を設けた。なお、この縫製
は革製品専用ミシンを用いて、ポリエステル100%の
ジーンズステッチで行った。当該基板を緑化用固定物d
とした。
【0139】〔参考製造例5〕緑化用固定物の製造5 前記参考例によって栽培されたスナゴケ、ハイゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水道水で
洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去した。次
に、これらのある程度群落が保護された状態のコケ植物
配偶体を水道水に濡らしたままの状態で配偶体単体にま
で解体、分散した。
【0140】次に、A5版の大きさの水溶性紙(ディゾ
ルボ120MDP(三島製紙株式会社製))を、200
mlの水に溶解して紙繊維の水溶液を調製した。なお、か
かる水溶液は20℃であった。そして、この紙繊維の水
溶液中に、上記の配偶体単体にまで解体し、分散させた
各種のコケ植物の配偶体を10g 入れ、へらでゆっくり
混合した。このようにして調製した紙繊維の水溶液と配
偶体の混合物を、スティック状の本発明緑化用固定物の
製造を予定したプラスチック製の型(サイズ1000×
1000×5mm)に流し込み、ヘラで平坦にならした。
【0141】次いで、混合した配偶体の性質に応じた条
件下で配偶体と紙繊維の混合物の乾燥を行った。すなわ
ち、スナゴケについては、屋外で遮光ネットで日照を制
限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイゴケについ
ては、屋外で遮光ネットにより50%の日照制限を行っ
て、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマシノブゴケ
及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネットにより8
0%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を行った。
そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光ネットによ
り90%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を行っ
た。
【0142】当該乾燥により、各々の配偶体が紙繊維に
よって平板状に固定された。この紙繊維固定物を型から
外した。さらに、この紙繊維固定物の板状面に、一辺1
cmの碁盤の目状の縫製部を設け、これを緑化用固定物e
とした。この縫製部は、革製品専用ミシンを用いてポリ
エステル100%のジーンズステッチで設けた。なお、
本発明において、板状面とは、上記のごとき固定物の側
面のうち最大の面積を有する2側面のことをいう。
【0143】〔参考製造例6〕緑化用固定物6の製造 参考製造例5における、縫製部を設ける前段階の固定物
の一方の板状面に、網の大きさが1×1cmのナイロン製
ネットをを被覆して、当該板状面と当該ナイロン製ネッ
トを一体として縁取り縫製を行った。そして、さらに当
該板状面の対角線上に縫製部を設けて、これを緑化用固
定物fとした。この縫製は、革製品専用ミシンを用いて
ポリエステル100%のジーンズステッチで行った。
【0144】以上の参考例及び参考製造例を前提とし
て、以下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。 〔実施例1〕本発明保水性緑化用部材の製造1 まず、本発明保水性緑化用部材の一実施態様について説
明する。図1は、本発明保水性緑化用部材の一実施態様
の分解斜視図であり、図2は、本実施態様の全体図であ
る。
【0145】この一実施態様10は、参考製造例1〜6
において製造した、緑化用固定物(a,b,c,d,e
又はf)11の下面に、保水性部材12を、碁盤の目状
の接着手段13により積層してなる。灌水により保水性
部材12に、滞留した水が、碁盤の目状の接着手段13
の隙間を通じて、当該保水性部材12から緑化用固定物
11に移動する。次いで、この移動水が緑化用固定物中
のコケ植物配偶体に与えられ、当該配偶体の再生芽の発
芽を促進することができる。なお、緑化用固定物11
は、上記参考製造例に挙げたものの他、前記した種々の
態様の緑化用固定物、例えばその製造のために予備的養
生を伴った緑化用固定物等を用いることも可能である。
また、保水性部材12は、前記したごとく毛細管現象を
利用して水を保持する性質の保水性部材、高吸水性ポリ
マー又はこれらの組み合わせ部材であってもよい。さら
に、接着手段13としては、シリコン性接着剤等のコケ
植物の生育に悪影響を及ぼさない接着剤による接着や緑
化用固定物11及び保水性部材12を一体として縫い込
んだ縫製等を挙げることができる。
【0146】〔実施例2〕本発明保水性緑化用部材の製
造2 次に、本発明保水性緑化用部材の他実施態様について説
明する。図3は、当該他実施態様の全体図である。この
他実施態様20は、大型シート状の保水性部材22の上
面に、参考製造例1〜6において製造した、緑化用固定
物(a,b,c,d,e又はf)11を複数枚隣接させ
て積層してなる。なお、保水性部材22と緑化用固定物
11との間の接着手段は、上記接着手段13と同様に、
各種の接着手段を用いることができる(図示せず)。灌
水から、再生芽発芽までの過程は、上記一実施態様と同
様であるが、この他実施態様は、例えば各種の法面等の
大規模な緑化を企図する場合に適している。
【0147】〔実施例3〕本発明緑化用物品の製造 さらに、本発明緑化用物品の一実施態様について説明す
る。図4は、当該一実施態様の分解斜視図である。この
実施態様30は、円柱状の保水性部材32の側面に、緑
化用固定物11を被覆及び接着してなる。この保水性部
材32の側面と緑化用固定物11との間の接着手段は、
上記実施例1又は実施例2に記載したと同様である。
【0148】上記本発明保水性緑化用固定物と同様に、
保水性部材32に、滞留した水が、施した接着手段の隙
間を通じて、当該保水性部材32から緑化用固定物11
に移動する。次いで、この移動水が緑化用固定物中のコ
ケ植物配偶体に与えられ、当該配偶体の再生芽の発芽を
促進することができる。
【0149】ただし、この本発明緑化用物品において
は、コケ植物が乾燥して巻縮状態になることは、意匠上
余り好ましくない点、当該物品を用いる場所として屋内
が多い点及び保水性部材32として用いる素材として、
特に、前記した再度の乾燥に脆い性質を有するフェノー
ル樹脂を用いた吸水フォームを含む部材であることが好
ましい点から、緑化開始後は、保水性部材32の湿潤状
態を保つために、当該保水性部材32を水に接触させる
ことを目的とした手段、例えば皿状の容器中の水(図示
せず)に、保水性部材32を接触させることが好まし
い。
【0150】なお、本発明緑化用物品の他実施態様3
0’として、任意の形状の剛体34の表面全体に一定間
隔で、上記保水性部材片32' を均等に貼り付け、さら
にその上から緑化用固定物11を被包することも可能で
ある(図5)。
【0151】〔実施例4〕本発明保水性緑化用固定物を
用いた緑化方法 実施例1で製造した本発明保水性緑化用部材(保水性部
材として、フェノール樹脂を用いた吸水フォームの破砕
物とパルプ破砕物をおよそ等重量混合して、これを透水
性のある不織布で被包したもの:本発明群)及び参考製
造例1〜6で製造した緑化用固定物(a,b,c,d,
e及びf:比較群)をコンクリート壁の側面に貼り付け
た。
【0152】このコンクリート壁は、作出から3年程度
が経過しており、半暗部には、多少のコケ植物の原糸
体、初期発生的な配偶体及び緑藻類が生育していた。従
って、下面に遮断物が積層されていない緑化用固定物に
おけるコケ植物配偶体を接触させても、上記コンクリー
ト壁中のアルカリ成分等の当該コケ植物配偶体に対する
生理的影響は極めて少ないことが推測された。
【0153】当該コンクリート壁側面10m2 を洗浄
し、埃等を除去した。次いで乾燥機を用い、当該側面を
乾燥させた。乾燥後、さらに乾いた布で壁面を擦り、洗
浄(水洗い)では、除去することができなかった汚れを
除去した。清掃及び乾燥した当該コンクリート壁面に両
面テープ(コクヨ幅1cm巻) を、碁盤の目状(一辺7cm
程度) に貼り付けた。密着確認後、当該両面テープの上
面シールを剥がし、その上から本発明群及び比較群の基
板を貼り付けた。
【0154】上記貼り付けは4月上旬に行い、自然の環
境(スナゴケ及びハイゴケにおいては、日当たりの良い
場所、トヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ
及びウロコゴケについては日陰)で放置した。
【0155】各群とも、貼り付け直後にホースで3日置
きに3度、灌水を行い、その後は自然降雨のみを利用
し、人為的に水は与えなかった。スナゴケを用いた群に
おいては、本発明群及び比較群共に、5月上旬には、上
記緑化用基板上より再生芽があらわれた。しかしなが
ら、本発明群は全体的に均等に密度濃く再生芽が発芽し
たが、比較群は、再生芽の発芽箇所にムラがあり、ほと
んど、再生芽の見られない箇所も散見された。
【0156】ハイゴケを用いた群においては、4月下旬
には、本発明群及び比較群共に、本体頂部が伸長し、さ
らに新植物体が基板面を這うように形成された。しかし
ながら、本発明群は全体的に均等に密度濃く新植物体が
現れたが、比較群は、新植物体の発生箇所にムラがあ
り、ほとんど、新植物体の見られない箇所も散見され
た。
【0157】トヤマシノブゴケを用いた群においては、
5月中旬には、本発明群及び比較群共に、本体頂部が伸
長し、さらに新植物体が基板面を這うように形成され
た。しかしながら、本発明群は全体的に均等に密度濃く
新植物体が現れたが、比較群は、新植物体の発生箇所に
ムラがあり、ほとんど、新植物体の見られない箇所も散
見された。
【0158】オオシッポゴケを用いた群においては、4
月下旬には、本発明群及び比較群共に、新植物体が形成
された。しかしながら、本発明群は全体的に均等に密度
濃く新植物体が現れたが、比較群は、新植物体の発生箇
所にムラがあり、ほとんど、新植物体の見られない箇所
も散見された。
【0159】ヒノキゴケを用いた群においては、4月下
旬には、本発明群及び比較群共に、新植物体が形成され
た。しかしながら、本発明群は全体的に均等に密度濃く
新植物体が現れたが、比較群は、新植物体の発生箇所に
ムラがあり、ほとんど、新植物体の見られない箇所も散
見された。
【0160】ウロコゴケを用いた群においては、5月下
旬には、本発明群及び比較群共に、新植物体が形成され
た。しかしながら、本発明群は全体的に均等に密度濃く
新植物体が現れたが、比較群は、新植物体の発生箇所に
ムラがあり、ほとんど、新植物体の見られない箇所も散
見された。
【0161】本実施例により、本発明保水性緑化用部材
は、保水部材を伴わないコケ植物を用いた緑化用固定物
と比べて、初期の灌水をするだけで、安定したかつ確実
な緑化を実現することが可能であり、施工後の管理が容
易で、より使用しやすいことが判明した。
【0162】なお、上記実施例2における、本発明保水
性緑化用部材の他実施態様についても、同様の緑化試験
を行った。その結果、上記実施例1の結果と同様に、初
期の灌水をするだけで、安定したかつ確実な緑化を実現
することが可能であり、施工後の管理が容易で、より使
用しやすいことが判明した。
【0163】〔実施例5〕本発明緑化用物品を用いた緑
化方法 実施例4において製造した本発明緑化用物品(一実施態
様)を、室内で、水を満たしたプレート上に静置し、緑
化試験を行った。水は、足りなくなったら随時注ぎ足し
た。
【0164】その結果、スナゴケを用いた緑化用物品で
は5月上旬には、上記緑化用物品上より再生芽があらわ
れ、6月中旬には茶褐色であった上記緑化用物品は黄緑
色となった。8月末には、新植物体の成長高が1cmまで
伸び、縫製糸は完全に被覆され、群落体が形成された。
この時期の植物体は仮根で覆われ、互いの植物体も仮根
で絡み合っており、栽培し生体化したスナゴケ植物群落
体とほぼ同じ形態となった。
【0165】ハイゴケを用いた緑化用物品では、4月下
旬には、上記緑化用物品上より本体頂部が伸長し、さら
に新植物体が物品面を這うように形成された。その後、
6月末には新植物体が成体化して、通常の栽培により成
体化したハイゴケ群落体とほぼ同じ形態となった。
【0166】トヤマシノブゴケを用いた緑化用物品で
は、5月中旬には、上記緑化用物品上より本体頂部が伸
長し、さらに新植物体が物品面を這うように形成され
た。その後、9月末には新植物体が成体化して、通常の
栽培により成体化したトヤマシノブゴケとほぼ同じ形態
となった。
【0167】オオシッポゴケを用いた緑化用物品では、
4月下旬には、上記緑化用物品上より新植物体が形成さ
れた。その後、10月中旬には新植物体が成体化して、
通常の栽培により成体化したオオシッポゴケとほぼ同じ
形態となった。
【0168】ヒノキゴケを用いた緑化用物品では、4月
下旬には、上記緑化用物品上より新植物体が形成され
た。その後、10月上旬には新植物体が成体化して、通
常の栽培により成体化したヒノキゴケとほぼ同じ形態と
なった。そして、その後、当該新植物体は冬の到来と共
に弱体化した。しかしながら、翌年の4月には再び新植
物体が発生し、前年に成体化した植物体とかみ合いつつ
さらに新植物体は成体化した。
【0169】ウロコゴケを用いた緑化用物品では、5月
下旬には、上記緑化用物品上より新植物体が形成され
た。その後、10月下旬には新植物体が成体化して、通
常の栽培により成体化したウロコゴケとほぼ同じ形態と
なった。
【0170】本実施例により、本発明緑化用物品によ
る、当該物品の緑化が容易であることが明らかになっ
た。
【0171】
【発明の効果】本発明により、コケ植物配偶体と保水性
部材とを組み合わせてなる保水性緑化用部材及び当該保
水性部材を用いた緑化方法並びにコケ植物配偶体と保水
性部材を用いた緑化用物品、当該緑化用物品の作成用キ
ット及び当該緑化用物品の緑化方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明保水性緑化用部材の一実施態様の分解斜
視図である。
【図2】本発明保水性緑化用部材の一実施態様の全体図
である。
【図3】本発明保水性緑化用部材の他実施態様の全体図
である。
【図4】本発明緑化用物品の一実施態様の分解斜視図で
ある。
【図5】本発明緑化用物品の他実施態様の全体図であ
る。
【符号の説明】
10 本発明保水性緑化用部材一実施態様 11 緑化用固定物 12、22、32、32’ 保水性部材 13 接着手段 20 本発明保水性緑化用部材他実施態様 30 本発明緑化用物品一実施態様 30’本発明緑化用物品他実施態様

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生
    育可能な状態を維持可能な固定手段により固定した緑化
    用固定物と保水性部材とを、当該保水性部材から当該緑
    化用固定物への水の移動が可能な態様で組み合わせてな
    ることを特徴とする保水性緑化用部材。
  2. 【請求項2】コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生
    育可能な状態を維持可能な固定手段が、縫製及び/又は
    紙繊維の絡みつけであることを特徴とする請求項1記載
    の保水性緑化用部材。
  3. 【請求項3】保水性部材が、フェノール樹脂を用いた吸
    水フォームを含む部材であることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載の保水性緑化用部材。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3記載の保水性緑化用
    部材に水を含ませ、次いで当該保水性緑化用部材におけ
    るコケ植物配偶体を養生することを特徴とする緑化方
    法。
  5. 【請求項5】少なくともその表面の全部又は一部がフェ
    ノール樹脂を用いた吸水フォームである物品に、コケ植
    物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持
    可能な固定手段により固定した緑化用固定物を被覆して
    なることを特徴とする緑化用物品。
  6. 【請求項6】フェノール樹脂を用いた吸水フォーム及び
    コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態
    を維持可能な固定手段により固定した緑化用固定物を含
    むことを特徴とする、請求項5記載の緑化物品の作成用
    キット。
  7. 【請求項7】フェノール樹脂を用いた吸水フォームを水
    に継続的又は断続的に吸水させ、コケ植物配偶体を当該
    コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
    により固定した緑化用固定物中のコケ植物を養生するこ
    とを特徴とする、請求項5記載の緑化用物品の緑化方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998002031A1 (fr) * 1996-07-15 1998-01-22 Shimura, Mitsuharu Modeles d'arbres cubiques realises a l'aide de plantes a base de mousse, et articles comprimes et fixes en mousse utilises pour produire ces modeles
WO1998036634A1 (fr) * 1997-02-19 1998-08-27 Shimura, Mitsuharu Element de verdure prepare au moyen de plants de bryophyte
EP0951819A1 (en) * 1998-04-24 1999-10-27 Createrra Inc. Cased planting ground material
JP2005168370A (ja) * 2003-12-10 2005-06-30 Moss Catch System Yamagata:Kk コケ緑化用マットおよびパネル

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