JPH08228620A - 臨水法面の緑化用基板、当該緑化用基板を用いた臨水法面の緑化方法及び当該緑化用基板を用いて緑化した臨水法面 - Google Patents

臨水法面の緑化用基板、当該緑化用基板を用いた臨水法面の緑化方法及び当該緑化用基板を用いて緑化した臨水法面

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JPH08228620A
JPH08228620A JP7061976A JP6197695A JPH08228620A JP H08228620 A JPH08228620 A JP H08228620A JP 7061976 A JP7061976 A JP 7061976A JP 6197695 A JP6197695 A JP 6197695A JP H08228620 A JPH08228620 A JP H08228620A
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greening
moss
water
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JP7061976A
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Takeshi Iwanaga
武士 岩永
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KOKUSAKU ZOUEN KK
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  • Hydroponics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 臨水法面の緑化用基板、当該緑化用基板を用
いた臨水法面の緑化方法及び当該緑化用基板を用いて緑
化した臨水法面の提供。 【構成】 コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育
可能な状態を維持可能な固定手段により固定した緑化用
固定物に、当該固定物全体を水に対して浮遊させること
が可能な浮遊手段を設けたことを特徴とする臨水法面緑
化用基板;当該基板を用いた臨水法面緑化方法及び当該
基板により被覆された臨水法面。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨水法面の緑化用基
板、当該緑化用基板を用いた臨水法面の緑化方法及び当
該緑化用基板で被覆した臨水法面に関する。より具体的
には、コケ植物配偶体を固定した緑化用固定物に、当該
固定物全体を水に対して浮遊させることが可能な浮遊手
段を設けたことを特徴とする臨水法面緑化用基板、当該
基板を用いた緑化方法及び当該基板で被覆した臨水法面
に関する。
【0002】
【従来の技術】ダム等の河川構造物は、治水及び利水の
両面にわたって、国民の生活や国土の均衡ある発展を支
える根幹的な社会基盤施設であるとともに、美しい水辺
環境を送出し、人々の心に潤いと安らぎを与えるという
役割も兼ね備えている。このようなダム等がつくり出す
美しい水辺環境に対する期待は、近年の国民生活の向上
や社会経済活動の高度化等に伴い、多様化しながらます
ます高まりつつある。
【0003】このような状況下において、特に近年、ダ
ム等の河川構造物は、周囲の景観及び環境に考慮して設
計されている。当然、上記水辺環境の緑化も、上記河川
構造物の設計に際して考慮すべき重要な要素である。か
かる緑化に際して、上記河川構造物の水際の緑化が重要
な課題となっている。
【0004】すなわち、通常の増水時においても冠水し
ない上記河川構造物の周辺域は、芝張りや植林によって
緑化をすることができるが、随時その水位が変化する上
記河川構造物中の水と接触する「臨水法面」の緑化は、
露出した当該臨水法面は特に衆人の目につく部分である
にもかかわらず、非常に困難である。なぜなら、この臨
水法面を緑化する手段となる植物は、上記河川構造物中
の水の減水時には乾燥環境に強く、かつ増水時には耐水
性を発揮する必要があるからである。
【0005】現在、人工的な緑化に多く用いられている
芝草等では、上記の水位の上下による環境変化に対応す
ることは不可能である。そこで、上記臨水法面を緑化す
る新たな手段の提供が待たれている。
【0006】
【発明が解決すべき課題】本発明者は、上記臨水法面の
新たな緑化手段を提供するために、環境適応性において
他の植物よりも多くの点で優れているコケ植物の特性に
着目した。
【0007】すなわち、本発明が解決すべき課題は、コ
ケ植物を用いた上記臨水法面の新たな緑化手段の提供に
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、コケ植物の特性
を最大限活用することが可能な、コケ植物配偶体を当該
コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
により固定した緑化用固定物にさらに創作を施すことに
より、上記課題を解決することが可能であることを見出
した。
【0009】すなわち本発明者は、以下に列挙する通り
の臨水法面緑化用基板を提供する。
【0010】請求項1において、コケ植物配偶体を当該
コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
により固定した緑化用固定物に、当該固定物全体を水に
対して浮遊させることが可能な浮遊手段を設けたことを
特徴とする臨水法面緑化用基板を提供する。
【0011】請求項2において、前記請求項1記載の臨
水法面緑化用基板に、当該基板の臨水法面に対する接着
手段使用部を設けたことを特徴とする、臨水法面緑化用
基板を提供する。
【0012】請求項3において、接着手段使用部が、コ
ケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を
維持可能な固定手段により固定した緑化用固定物の下面
に、板状体を積層してなることを特徴とする、前記請求
項2記載の臨水法面緑化用基板を提供する。
【0013】請求項4において、浮遊手段使用部が、コ
ケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を
維持可能な固定手段により固定した緑化用固定物の下面
に、水に対する比重が1未満の板状体を積層してなるこ
とを特徴とする、前記請求項1乃至請求項3のいずれか
の請求項記載の臨水法面緑化用基板を提供する。
【0014】請求項5において、水に対する比重が1未
満の板状体の素材が、発泡性ウレタンであることを特徴
とする、前記請求項4記載の臨水法面緑化用基板を提供
する。
【0015】請求項6において、浮遊手段使用部が、コ
ケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を
維持可能な固定手段により固定した緑化用固定物の下面
に、比重が1未満の板状体を積層してなる積層体を網状
体で被包してなる、隣接した浮遊手段使用単位を複数個
連結してなることを特徴とする、前記請求項1乃至請求
項3記載のいずれかの請求項記載の臨水法面緑化用基板
を提供する。
【0016】請求項7において、コケ植物配偶体を当該
コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
が、緑化用固定物における縫製であることを特徴とす
る、前記請求項1乃至請求項6記載の臨水法面緑化用基
板を提供する。
【0017】請求項8において、前記請求項1乃至請求
項7のいずれかの請求項記載の臨水法面緑化用基板に、
当該基板の臨水法面からの脱落防止手段を設けたことを
特徴とする、臨水法面緑化用基板。
【0018】請求項9において、脱落防止手段が、前記
請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項記載の臨水法
面緑化用基板の下面に設けた紐状部材と臨水法面との連
結であることを特徴とする、臨水法面緑化用基板を提供
する。
【0019】以下、上記本発明臨水法面緑化用基板につ
いて説明する。 A.本発明臨水法面緑化用基板は、「コケ植物配偶体を
当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定
手段により固定した緑化用固定物」(以下、緑化用固定
物と記載する)に水に対する浮遊手段を設けた基板であ
る。
【0020】この緑化用固定物は、本発明においてはコ
ケ植物の植物体及び仮根又はコケ植物の植物体を意味す
る「コケ植物の配偶体」(以下、単に配偶体と記載した
場合には、このコケ植物の配偶体を意味する)を含んで
なる。
【0021】これらの配偶体を提供するコケ植物の種類
は特に限定されない。ただし、本発明臨水法面緑化用基
板の施工後は、コケ植物の成長に伴う配偶体同士の絡ま
りが本発明臨水法面緑化用基板による臨水法面緑化に際
して、当該臨水法面接着箇所のコケ植物の定着性を向上
させる点に鑑みれば、配偶体が植物体の成長に伴い互い
に絡まり合うことが容易な茎葉体の形態を有するコケ植
物を採用するのが好ましい。これらの点において、セン
類においては、スナゴケ、ハイスナゴケ、シモフリゴ
ケ、クロカワキゴケ、キスナゴケ、ヒメスナゴケ、ミヤ
マスナゴケ、ナガエノスナゴケ、チョウセンスナゴケ、
マルバナスナゴケ等のシモフリゴケ属(Racomitrium Bi
rd.);カモジゴケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、チャ
シッポゴケ、チシマシッポゴケ、アオシッポゴケ、ナミ
シッポゴケ、ナガシッポゴケ、ヒメカモジゴケ、コカモ
ジゴケ、タカネカモジゴケ、フジシッポゴケ、カギカモ
ジゴケ、ナスシッポゴケ等のシッポゴケ属(Dicranum H
edw.);ハイゴケ、オオベニハイゴケ、ヒメハイゴケ、
チチブハイゴケ、フジハイゴケ、ハイヒバゴケ、イトハ
イゴケ、キノウエノコハイゴケ、キノウエノハイゴケ、
ミヤマチリメンゴケ、ハイサワラゴケモドキ、タチヒラ
ゴケモドキ、エゾハイゴケ等のハイゴケ属(Hypnum Hed
w.);トヤマシノブゴケ、ヒメシノブゴケ、オオシノブ
ゴケ、コバノエゾシノブゴケ、エゾシノブゴケ、アオシ
ノブゴケ、チャボシノブゴケ等のシノブゴケ属(Thuidi
um B.S.G);コウヤノマンネングサ、フロウソウ等のコ
ウヤノマンネングサ属(Climacium Web.et Mohr);ヒ
ノキゴケ、ヒロハヒノキゴケ、ハリヒノキゴケ等のヒノ
キゴケ属(Rhizogonium Brid.)等を;タイ類において
は、ツクシウロコゴケ、ウロコゴケ、オオウロコゴケ、
トサカゴケモドキ、マルバソコマメゴケ、アマノウロコ
ゴケ等のウロコゴケ属(Heteroscyphus Schiffn.);
ヤマトムチゴケ、ヨシナガムチゴケ、フォウリィムチゴ
ケ、エゾムチゴケ、タマゴバムチゴケ、フタバムチゴ
ケ、サケバムチゴケ、ヤマムチゴケ、ムチゴケ、コムチ
ゴケ、マエバラムチゴケ等のムチゴケ属(Bazzania S.G
ray );クラマゴケモドキ、カハルクラマゴケモドキ、
トサクラマゴケモドキ、ヒメクラマゴケモドキ、ヤマト
クラマゴケモドキ、ナガバクラマゴケモドキ、オオクラ
マゴケモドキ、ニスビキカヤゴケ、ケクラマゴケモド
キ、ホソクラマゴケモドキ等のクラマゴケモドキ属(Po
rella.L )等に属するコケ植物を緑化用固定物に用いる
ことが好ましい。ツノゴケ類も本発明に適用することは
可能であるが、その配偶体は葉状体である。
【0022】上記のなかでも、セン類は視覚的に美しい
という点において一般的であり、かつ1〜2か月程度の
比較的長期の乾燥状態にさらしても、かかる乾燥状態に
耐えるための機能を有していることが多い。それ故に、
製品としての本発明臨水法面緑化用基板の品質が劣化し
にくいという点において本発明に適用するのに好まし
い。当該セン類の中でもスナゴケ、オオシッポゴケ、シ
ッポゴケ、トヤマシノブゴケ、ハイゴケ又はヒノキゴケ
は、栽培種の入手が容易であり、再生能力が高い等の生
体的特性が本発明における取扱いに有利であるという点
において特に好ましい。さらに、これらの中でもスナゴ
ケ又はトヤマシノブゴケは特に高度な再生能力及び耐乾
燥性を有し、極めて好ましい。
【0023】なお、本発明者は、上記列挙したコケ植物
以外であっても、特に、そのコケ植物を用いた本発明
臨水法面緑化用基板による効果が例示したコケ植物を用
いた場合の所望の効果と同等で置換が可能であり、そ
のように置換すること自体が本出願時における当業者な
らば、上記記載から当然に想到し得るものである範囲に
属するコケ植物に対して本発明を適用することが可能で
あり、かつかかる範囲に属するコケ植物を本発明の構成
要件である「コケ植物」としたものも本発明の技術的範
囲に属することを認識する。
【0024】緑化用固定物を製造する前提として、上記
コケ植物を栽培又は培養してその配偶体を得る。以下、
この栽培又は培養について説明する。まず、コケ植物の
サンプルを収集することが必要である。このコケ植物の
サンプルは、野山等に自生する群落体である自生種を見
出すことにより確保される。次いで当該自生種から、個
々の配偶体、つまり植物体と仮根からなる元種苗体を採
取して、栽培床に当該元種苗体を水平配列して、植物体
中の休眠芽又は細胞の分裂を誘導覚醒することにより一
次栽培体を調製する。次いでかかる一次栽培体を解体し
て、再び栽培床に水平配列を行い、その一次栽培体を養
生することにより、二次栽培体群落体を前記栽培床上に
調製する。なお、二次栽培体をさらに継代した多次栽培
体を本発明に用いることも可能である。自然界に存在す
る天然資源としてのコケ植物の保全の必要性を考慮する
と当該多次栽培体を本発明に適用するのが好ましい。な
お、上記の栽培床の形状は通常平板状であり、予めコケ
植物養生用の土砂を当該栽培床上に積層せしめてなる。
【0025】また、本発明に適用するコケ植物は上記の
栽培方法の他、公知の培養増殖法(小野莞爾,植物バイ
オテクノロジーII(現代化学増刊20),p39 〜49(1991)
参照) を用いて調製することが可能である。例えば、必
要に応じてオーキシンやサイトカイニン等の植物成長ホ
ルモンを添加したムラシゲ−スクーグ培地等のコケ植物
の細胞を増殖させることが可能な培地においてコケ植物
の外植片として、胞子、無性芽、配偶体の成長点等を用
いて静置培養法、又は回転培養若しくは振盪培養等の懸
濁培養法でコケ植物のカルスを誘導し、かかるカルスか
らプロトプラストを調製して、当該プロトプラストから
コケ植物の植物体等を再生することができる。
【0026】なお、通常公知の培養手段、例えば通常の
フラスコ内における培養の他、ジャーファーメンターや
リアクターによる大量培養可能な手段により上記静置培
養又は懸濁培養を行うことも可能である。しかしなが
ら、現状では上記培養は手間がかかる上に、培養によっ
て得られたコケ植物は、自然界への順化自体が難しいと
いう欠点を有する。さらに、培養によって得られた配偶
体自体の形状が極めて小さいために前記培養による利点
が少ない。そのために上記の栽培方法によって得た多次
栽培体を配偶体として、緑化用固定物の製造に付するこ
とが好ましい。
【0027】次に、緑化用固定物は、コケ植物配偶体を
当該コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定
手段により固定してなる。ここでにいう「固定手段」
は、文字通りコケ植物配偶体が生育可能な状態を維持で
きる固定手段であれば特に限定されない。
【0028】しかしながら、コケ植物の生育に有害な有
機溶媒等の揮発性物質等を多量に含む接着剤等をコケ植
物に直接接触させることを伴う固定手段やコケ植物の生
育に悪影響を及ぼす程の加熱工程を伴う固定手段は、本
発明における上記の固定手段からは除外される。上記の
固定手段としては、例えば縫製による固定、紙繊維及び
縫製による固定等を挙げることができる。
【0029】以下に、これらの固定手段を用いた緑化用
固定物の製造方法について説明する。 1.まず、シート上に縫製することのみを固定手段とし
て選択した緑化用固定物の製造方法について記載する。 洗浄工程 既述のコケ植物の栽培の終了後、上記栽培床上のコケ植
物の多次栽培体を分離し、おおまかに砂を落とす。かか
る砂落としの手段としては、振り落とし等の通常公知の
方法を採ることができる。また、この際に上記栽培床上
の雑草を除去しておくことが好ましい。さらに当該多次
栽培体から余計な土砂を除去するために洗浄する。かか
る洗浄手段としては、水道水による洗浄等の通常公知の
方法を用いることができる。当該洗浄工程は機械化して
行うのが特に能率的であり好ましい。
【0030】乾燥工程 上記により洗浄したコケ植物の多次栽培体を乾燥する。
当該乾燥手段としては、自然乾燥、温風乾燥、通風乾
燥、吸水紙による乾燥等の通常公知の手段を用いること
ができるが、乾燥によるコケ植物の損失を可能な限り防
ぐことが、緑化用固定物の生産能率上、また当該固定物
の品質管理上好ましい。かかる観点から、通常の自然環
境下では特に自然乾燥を行うのが好ましい。ただし、コ
ケ植物の種類毎に本来固有である耐乾燥性に応じて当該
自然環境の程度を選択する必要がある。すなわち、本来
日向でも生育可能な配偶体を有するコケ植物は天日乾
燥、日陰乾燥の双方可能であり、乾燥の効率を考慮する
と天日乾燥が好ましい。しかしながら、日陰でしか生育
できない配偶体を有するコケ植物においては日陰乾燥を
選択するのが好ましい。すなわち、天日乾燥ではコケ植
物自体が過度の乾燥のために衰弱又は死滅する危険性が
ある。
【0031】具体的には、前述のセン類においてはスナ
ゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウ、コウヤノ
マンネングサが、天日日陰双方で乾燥することが可能で
あるが、シッポゴケ、オオシッポゴケ、カモジゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、ヒノキゴケは日陰乾燥する必要があ
る。また、前述のタイ類は全て日陰乾燥するのが好まし
い。なお、自然乾燥以外の乾燥手段を用いる場合にも、
温度管理及び湿度管理を上記のコケ植物の耐乾燥性に応
じて行う必要がある。すなわち、天日乾燥が好ましくな
いコケ植物においては、過度に高温の通風等は避ける必
要がある。
【0032】解体工程 上記により乾燥したコケ植物の多次栽培体を、基板紙上
に配列するために解体する。この解体は、上記多次栽培
体を粗解体後、更に配列が容易な程度にまで細く解体
し、これをさらに個々の配偶体にまで解体する。
【0033】配列工程 上記のごとく解体整理した配偶体を基板紙上に配列す
る。好ましくは当該基板紙上に縁止め線を設け、上記配
偶体を当該基板紙の上に水平に配列する。かかる基板紙
は、コケ植物配偶体の固定化処理、特に縫製部の作出に
おいて、当該コケ植物配偶体の崩壊や滑落をその性質自
体により積極的に引き起こすことがないという性質を有
する限りその種類は限定されない。代表的な基板紙とし
て、例えば水溶性紙や半紙等を例示することができる
が、繊維質の水に対する溶解性が良好であり、かつ適切
な強度の基板紙を選択することが容易であるという点に
おいて、水溶性紙を特に好ましい基板紙用素材として挙
げることができる。なお、上記水溶性紙としては一般的
に水溶性紙として市販されているもの、例えばディゾル
ボシリーズ(三島製紙株式会社製)等を挙げることがで
きる。
【0034】積層工程 基板紙上の配列したコケ植物配偶体に上紙を積層する。
この上紙は下記の縫製部作出工程において、配列したコ
ケ植物配偶体が当該工程における振動等により脱落する
のを防止する目的で積層する。ここで、本発明において
「積層」とは、単に一部材を他部材に対して積むことの
みを意味するのではなく、積んだ状態で当該一部材と他
部材とを何らかの接着手段により接着することをも意味
する。さらに、本発明において「積層体」とは、単に一
部材を他部材に対して積んだもののみを意味するのでは
なく、当該一部材と他部材とが何らかの接着手段により
積まれた状態で接着されたものをも意味する。
【0035】上記上紙の素材は、後述する固定紙の除去
工程において容易に除去することができる限りにおいて
特に限定されない。具体的には上記基板紙と同様の素材
を例示することができる。また、水溶性紙が除去の容易
性に鑑み特に好ましいことも上記と同様である。この積
層の後、上紙と上記基板紙を縁止めして積層体を作出す
る。当該縁止め手段は、前記上紙と基板紙又は支持体の
性質に応じて特に限定されずに選択することができる。
例えば、縫製による縁止め、接着剤による縁止め、ホチ
キスによる縁止め等を典型的な縁止め手段として例示す
ることができる。また、ペーパーステッチロック(商
標)によって当該縁止めを行うことも可能である。かか
るペーパーステッチロックによる縁止め手段がその簡便
性及び有効性に鑑みれば特に好ましい縁止め手段であ
る。
【0036】圧縮工程 前工程で製造した積層体を、当該積層体の平面に垂直方
向に圧縮する。かかる圧縮手段は、上記積層体をコケ植
物配偶体の存在による膨らみやはね上がりを除去するこ
とが可能である限り特に限定されない。例えば、上記積
層体個々にプレス処理等の圧縮手段を施すことも可能で
あり、上記積層体を仮積みすることも可能である。コス
ト面を含めた工程全体の効率を考慮すると前記仮積みが
本工程における好ましい圧縮手段である。
【0037】縫製部作出工程 この縫製部作出工程においては、上記により圧縮した積
層体の平面上を、配偶体が緑化用固定物内で移動して偏
ることのないように縫製する。配偶体の固定手段として
は、縫製の他にプラスチックによる熱融着等を挙げるこ
とが可能であるが、当該手段の簡便性、確実性及び最終
製品の強度を考慮すると、縫製を好ましい手段として挙
げることができる。以下に、この縫製について説明す
る。
【0038】縫製は、手縫い、ミシン縫いのいずれをも
用いることができるが、通常は上糸及び下糸を用いて縫
製する故に積層体内の配偶体を効果的に固定することが
可能で、かつ高速処理が可能なミシン縫いを採用する。
但し、手縫いであっても、ブランケットステッチ、アウ
トラインステッチ、直線縫い、折り返し縫い、ボタンホ
ール、反返し縫い等で縫製することが可能になる。ま
た、縫製部分の態様も、配偶体を効果的に積層体内に固
定することが可能である限りにおいて特に限定されず、
例えば碁盤の目状、渦巻き状等の態様を挙げることがで
きるが、より効率的に配偶体を固定することが可能であ
るという面において、碁盤の目状に縫製を緑化用固定物
上に設けるのが好ましい。
【0039】なお、碁盤の目状に縫製する場合には、そ
の碁盤の目の大きさは、最小コケ植物体のくきの太さよ
りも大きく、最大コケ植物体を横に寝かせたときに当該
植物体一つが固定され得る程度の大きさであることが好
ましい。具体的には、一辺1cm〜2cm程度の正方形であ
ることが好ましい。用いる糸の材質は、臨水法面の環境
が比較的過酷な環境であるので、植物体を長期にわたっ
て懸垂する必要がある。故に、合成繊維等の耐久度の高
い素材を用いた糸を用いるのが好ましい。
【0040】また、糸の太さも適宜選択することが可能
である。具体的には、ポリエステル100%のジーンズ
ステッチ、ナイロン糸等を広く用いることができる。ま
た、ここに例示した糸に緑化用固定物に適用可能な糸が
限定されるものではないのは勿論である。
【0041】固定紙の除去工程 次に、積層体における固定紙、すなわち上紙及び基板紙
を除去する。当該除去手段は、基板紙等の種類に応じて
適宜選択することが可能である。例えば、水洗いによる
除去、ブラシによるブラッシングによる除去、また水洗
い及びブラッシングの組み合わせによる除去等を挙げる
ことが可能であるが、効果的に基板紙等を除去すること
が可能であるという点において水洗いとブラッシングに
よる除去方法を採るのが一般的には好ましい。
【0042】なお、この基板紙等の除去は、基板紙が可
能な限り完全に積層体上から除去されるまで行うのが好
ましい。当該除去工程中に水洗い工程が組み込まれてい
る場合には、本除去工程の最後に乾燥工程を組み込むこ
とが必要である。かかる乾燥手段としては、前記乾燥工
程と同様に自然乾燥を行うのが好ましい。最後に当該固
定紙を除去した積層体から縁止めを除去して緑化用固定
物を製造する。
【0043】2.さらに、縫製の補助的固定手段として
紙繊維による固定を伴う、緑化用固定物の製造方法につ
いて記載する。 コケ植物配偶体及び紙繊維の水溶物を混合する第一工
程 すなわち、上述のコケ植物の栽培の終了後、上記栽培床
上の配偶体を分離し、おおまかな砂落としを行う。この
砂落としの手段としては、振り落とし等通常公知の方法
を採ることができる。また、この砂落としの際に上記栽
培床上の雑草を除去しておくことが好ましい。そして、
さらに配偶体を余計な土砂を除去するために洗浄するこ
とが、より高品質の緑化用固定物を製造し得るという点
において好ましい。かかる洗浄手段としては、水道水に
よる洗浄等の通常公知の方法を用いることができる。こ
の洗浄工程は機械化して行うのが特に能率的であり好ま
しい。
【0044】さらに、この配偶体を解体することが、配
偶体の偏りが可能な限り防止された緑化用固定物の製造
を図るという点において好ましい。この配偶体の解体
は、配偶体の粗解体から始めて解体を繰り返し、最終的
には群落体を個々の配偶体にまで解体することにより完
了する。紙繊維の水溶物を構成する紙繊維の由来は特に
限定されない。すなわち、水溶性であれば一般紙であっ
ても、特に水に溶解しやすい水溶性紙であっても用いる
ことができる。工程全体における作業の効率化を考慮す
ると、水溶性紙を紙繊維の由来物とすることが好まし
い。しかしながら、一般紙由来の紙繊維であっても当該
一般紙が紙繊維単位で水溶性である限りにおいて、紙繊
維の由来物として用いることができる。当該一般紙を用
いる場合、例えばデンプン糊等のコケ植物の生育に悪影
響を与えない水溶性糊を固定化補助剤として紙繊維と配
偶体との混合物に添加することができる。
【0045】上記を好ましい態様として準備した配偶体
と紙繊維の水溶物を混合するに際しては、紙繊維の水溶
物は少なくとも配偶体の生存及び生育に悪影響を与えな
い温度であることが必要である。具体的には、30℃以
下であることが必要で、コケ植物の生育速度等を考慮す
ると20〜25℃程度であることが好ましい。30℃を
超えると、配偶体にダメージを与えることになり、その
結果配偶体の生育状況に対して悪影響を及ぼす故に好ま
しくない。なお、この至適温度範囲は、本発明における
コケ植物の固定化手段一般を考慮する上で、共通の基本
的な考慮事項でもある。
【0046】また、配偶体と紙繊維水溶物の混合比は、
概ね乾燥重量比で、配偶体20に対して水1乃至配偶体
5に対して水1であり、好ましくは10対1である。配
偶体と紙繊維水溶物の混合比における紙繊維の量が5対
1を超えると施工部材の緑化が遅くなり好ましくなく、
同じく紙繊維の量が20対1未満の場合には所望する程
度の紙繊維による固定を行うことが困難になる故に好ま
しくない。ただし、紙繊維による固定を縫製による固定
の補助手段として用いる場合には、紙繊維の量が上記2
0対1未満であっても許容される。配偶体と紙繊維水溶
物の混合方法は両者が可能な限り均一に混ざり合う限り
特に限定されない。例えば、手で混練することも可能で
あり、ミキサー等により混練することも可能である。な
お、この混練は配偶体が破壊されない程度の強度及び時
間で行われるべきであるのは勿論である。具体的には、
手による混練は、均等に配偶体が紙繊維と混合されたと
判断する時点で打切り、ミキサーによる場合は、弱めに
ミキサーの回転数を設定し、可能な限り短く混練を終了
することが好ましい。以上示した第一工程は、統一的に
機械化して行うことも可能である。
【0047】本発明の固定化手段である紙繊維のキャリ
アである水はコケ植物にとって無害であり、紙繊維はコ
ケ植物が生育可能な温度範囲で水溶状態を維持すること
が可能な素材である。なお、ここでいう水は、コケ植物
の生育にとって有害な物質を現実にコケ植物の生育に悪
影響を顕著に与える程に含まなければ特に限定されな
い。具体的には、蒸留水及び水道水の両者を用いること
が可能である。
【0048】第一工程で得たコケ植物配偶体及び紙繊
維の水溶物の混合物を平板形型に流し込み、乾燥し、当
該乾燥物を取り出す第二工程 この工程では、先ず所望の形状の型に前記配偶体と紙繊
維の水溶液の混合物を流し込む。型の素材は特に限定さ
れず、金型、木型、プラスチック型等を広く用いること
ができる。また、型の形状は製造を行う緑化用固定物の
形状に応じて選択することが可能である。
【0049】次に、型に流し込んだ前記配偶体と紙繊維
の水溶液の混合物を乾燥する。当該乾燥手段としては、
自然乾燥、温風乾燥、通風乾燥、吸水紙による乾燥等の
通常公知の手段を用いることができるが、乾燥によるコ
ケ植物の損失を可能な限り防ぐことが本発明臨水法面緑
化用基板の生産能率上、また当該緑化用固定物の品質管
理上好ましい。かかる観点から、通常の自然環境下では
特に自然乾燥を行うのが好ましい。ただし、コケ植物の
種類毎に本来固有である耐乾燥性に応じて当該自然環境
の程度を選択する必要がある。すなわち、本来日向でも
生育可能な配偶体を有するコケ植物は天日乾燥、日陰乾
燥の双方可能であり、乾燥の効率を考慮すると天日乾燥
が好ましい。しかしながら、日陰でしか生育できない配
偶体を有するコケ植物においては日陰乾燥を選択するの
が好ましい。すなわち、天日乾燥ではコケ植物自体が過
度の乾燥のために衰弱又は死滅する危険性がある。
【0050】具体的には、前述のセン類においてはスナ
ゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウが天日日陰
双方で乾燥することが可能であるが、シッポゴケ、オオ
シッポゴケ、カモジゴケ、トヤマシノブゴケ、コウヤノ
マンネングサ、ヒノキゴケは日陰乾燥する必要がある。
また、前述のタイ類は全て日陰乾燥するのが好ましい。
なお、自然乾燥以外の乾燥手段を用いる場合にも、温度
管理及び湿度管理を上記のコケ植物の耐乾燥性に応じて
行う必要がある。すなわち、天日乾燥が好ましくないコ
ケ植物においては、過度に高温の通風等は避ける必要が
ある。
【0051】最後に、上記乾燥物を用いた型から外して
所望の緑化用固定物の半製品を製造することができる。
なお、当該乾燥物を型から外す場合には、完全に乾燥を
したことを確認してから外すことが、固定物の破壊を防
ぐために必要である。完全に乾燥した場合には固定物
は、型を傾斜等させることのみにより、当該型から脱落
する傾向にある。以上、示した第二工程は、統一的に機
械化して行うことも可能である。さらに、上記第一工程
及び第二工程の一連の工程を全て統一的に機械化するこ
とも可能である。
【0052】このようにして製造した緑化用固定物の
半製品のシート平面状を縫製して、配偶体を完全に固定
する。縫製の態様は、前記シート上に縫製することのみ
を固定手段として選択した緑化用固定物の縫製工程の
「縫製部作出工程」と同様である。
【0053】3.さらに、縫製の補助的固定手段として
紙繊維による固定を伴う、緑化用固定物の他の製造方法
について記載する。 コケ植物配偶体を配列し、当該配列面に対して垂直方
向に圧縮する第一工程 この配偶体の配列に先立ち、配偶体を洗浄してから解体
することが高品質の緑化用固定物を製造する上で好まし
いのは、上記の緑化用固定物製造工程において記載した
と同様である。かかる工程においては、例えば配偶体を
コケ植物の栽培に用いた上記のパレット上で配列するの
が、余分な水分を除去することが可能であるという点に
おいて好ましい。
【0054】縫製のみを固定手段としたコケ植物を用い
た緑化用固定物では、この配列工程に入る前提として、
配偶体の乾燥工程が必要であったが、この緑化用固定物
においてはこのような乾燥工程を必要とせず、省力化を
図ることができる。配偶体の配列面に対して垂直方向へ
の圧縮手段としては、例えばローラーによる圧縮、重石
による圧縮等の通常公知の圧縮手段を挙げることができ
る。かかる圧縮はコケ植物配偶体の存在による膨らみや
はね上がりを除去して、品質の安定した緑化用固定物を
製造する目的で行われる。
【0055】第一工程でコケ植物配偶体を圧縮した圧
縮面に水溶性紙を積層して、当該水溶性紙に水を接触さ
せて溶解した紙繊維をコケ植物配偶体同士の隙間に絡ま
せる第二工程 圧縮面に積層する水溶性紙としては、一般的に水溶性紙
として市販されているもの、例えば前述のディゾルボシ
リーズ(三島製紙株式会社製)等を挙げることができ
る。当該水溶性紙がコケ植物配偶体上で水と接触して溶
解することによってできる紙繊維によりなる糊状物が、
コケ植物配偶体同士の隙間に充填され、当該配偶体同士
の位置が固定される。その結果、所望の緑化用固定物の
半製品を製造することができる。
【0056】なお、配偶体に対する紙繊維の量の調整
は、例えば積層する水溶性紙の枚数や厚さを調整するこ
とにより、さらに異なる厚さの水溶性紙を用いることに
より行うことができる。具体的には、より配偶体間にお
ける紙繊維の充填度を向上させる場合や、固定すべき配
偶体層が比較的厚い場合に、上記のような紙繊維の量を
調整することが必要になる。
【0057】さらに、水との接触方法は特に限定されな
いが、紙繊維を配偶体間に効率的に絡ませるためにある
程度の水圧を伴う接触方法を採ることが好ましい。例え
ば、ジェットノズル付きホースを用いて水を接触させる
態様を、好ましい接触態様として挙げることができる。
また、水溶性紙を効率良くシート面に密着させるため
に、水溶性紙を積層する前に、予め配偶体面に水をなじ
ませておくことができる。この場合は配列したコケ植物
面に積極的に水圧を加える必要はなく、むしろ配列面の
崩壊を可能な限り防止するという観点からは、可能な限
り静的態様、例えば噴霧ノズル付きホースを用いて配偶
体面と水とをなじませるのが好ましい。この水溶性紙を
用いる固定化方法は、前述の緑化用固定物の一製造方法
と同様に紙繊維及び水がコケ植物の生育に悪影響を与え
ないばかりではなく、固定する前提として加熱工程を経
る必要もなく極めて優れた方法である。また、この緑化
用固定物の半製品の製造工程の機械化も容易である。
【0058】第二工程で得たコケ植物配偶体と紙繊維
の複合体を乾燥して、紙繊維によって当該コケ植物配偶
体を固定する第三工程 この乾燥工程は、前記した配偶体と紙繊維の水溶物の混
合物を乾燥する工程と同様に行うことができる。
【0059】すなわち、自然乾燥、温風乾燥、通風乾
燥、吸水紙による乾燥等の通常公知の手段を用いること
ができるが、乾燥による当該コケ植物の損失を可能な限
り防ぐことが本発明緑化用基板の生産能率上、また当該
基板の品質管理上好ましい。かかる観点から、通常の自
然環境下では特に自然乾燥を行うのが好ましい。ただ
し、コケ植物の種類毎に本来固有である耐乾燥性に応じ
て当該自然環境の程度を選択する必要がある。すなわ
ち、本来日向でも生育可能な配偶体を有するコケ植物は
天日乾燥、日陰乾燥の双方可能であり、乾燥の効率を考
慮すると天日乾燥が好ましい。しかしながら、日陰でし
か生育できない配偶体を有するコケ植物においては日陰
乾燥を選択するのが好ましい。すなわち、天日乾燥では
コケ植物自体が過度の乾燥のために衰弱又は死滅する危
険性がある。
【0060】具体的には、前述のセン類においてはスナ
ゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴケ、フロウソウが天日日陰
双方で乾燥することが可能であるが、シッポゴケ、オオ
シッポゴケ、カモジゴケ、トヤマシノブゴケ、コウヤノ
マンネングサ、ヒノキゴケは日陰乾燥する必要がある。
また、前述のタイ類は全て日陰乾燥するのが好ましい。
なお、自然乾燥以外の乾燥手段を用いる場合にも、温度
管理及び湿度管理を上記のコケ植物の耐乾燥性に応じて
行う必要がある。すなわち、天日乾燥が好ましくないコ
ケ植物においては、過度に高温の通風等は避ける必要が
ある。
【0061】このようにして製造した緑化用固定物の
半製品のシート平面状を縫製して、配偶体を完全に固定
する。縫製の態様は、前記シート上に縫製することのみ
を固定手段として選択した緑化用固定物の縫製工程の
「縫製部作出工程」と同様である。
【0062】B.このようにして製造した、緑化用固定
物を含む基板を水上に浮遊させることが可能な「浮遊手
段」を設ける。かかる浮遊手段は、水を含んだ状態の上
記緑化用固定物を水に対して浮遊させることが可能であ
る限りにおいて特に限定されるものではない。ただし、
本発明臨水法面緑化用基板の後述する接着手段使用部を
設けた箇所又は臨水法面に接着する当該基板の一部以外
は、河川構造物中の水の水位の上下に応じて、当該水面
上に浮遊させる必要がある。よって、本発明における浮
遊手段は可能な限り、上記緑化用固定物が本来有する曲
げ力に対する柔軟性を保つ手段であることが好ましい。
【0063】例えば、本発明臨水法面緑化用基板の施工
の際に、ダム、運河、堰等の河川構造物において、当該
構造物における水に接するべき法面である「臨水法面」
と接触する緑化用固定物の面である「下面」における発
泡性樹脂層の積層を、その浮遊力の強さ故に好ましい上
記浮遊手段として用いることができるが、これらの発泡
性樹脂においても、発泡スチロール等の曲げ力に対する
柔軟性に乏しい発泡性樹脂よりも、発泡性ウレタン等の
曲げ力に対する柔軟性に富み、かつ耐久性に優れる発泡
性樹脂が、本来、本発明臨水法面緑化用基板に用いるに
好ましい。また、浮遊手段として、浮き、浮袋等の空気
封入部材を用いることもできる。なお、上記発泡スチロ
ールや木材のように、曲げ力に対する柔軟性に欠ける傾
向のある素材を緑化用固定物の下面に浮遊手段として設
ける場合には、河川構造物中の水面の上下により、臨水
法面に施工済の本発明臨水法面緑化用基板にかかる曲げ
力に応動して当該緑化用固定物を当該水面上に浮遊させ
るために、例えば、隣接させた、上記の柔軟性に欠ける
浮遊手段を施した緑化用固定物の小単位を、水の動きに
対して応動可能な手段で連結させる等の手段を施す必要
がある。
【0064】なお、本発明臨水法面緑化用基板に設ける
浮遊手段は、上記したものに限定されるものではない。
特に本発明者は、上記列挙した浮遊手段以外であって
も、特に、その浮遊手段を設けた本発明臨水法面緑化
用基板による効果が例示した浮遊手段を設けた場合の所
望の効果と同等で置換が可能であり、そのように置換
すること自体が本出願時における当業者ならば、上記記
載から当然に想到し得るものである範囲に属する浮遊手
段に対して本発明を適用することが可能であり、かつか
かる範囲に属する浮遊手段を本発明の構成要件である
「浮遊手段」としたものも本発明の技術的範囲に属する
ことを認識する。
【0065】上記浮遊手段の本発明臨水法面緑化用基板
への付与形態は、河川構造物中の水が増水した場合に、
当該浮遊手段を施した箇所が、均等かつ十分に当該臨水
法面緑化用基板を浮上させることができれば特に限定さ
れない。すなわち、施す浮遊手段各々の単位面積当りの
水に対する浮力に応じて、適宜選択することができる。
例えば、前記発泡性ウレタンの場合には、その板状体を
本発明臨水法面緑化用基板の下面全面に積層することも
可能であり、当該臨水法面全体が均等に浮力を受けるよ
うな形態、例えば格子状に上記発泡性ウレタンの板状体
を加工して、本発明臨水法面緑化用基板の下面に積層す
ることも可能である。また、前記空気封入部材の場合に
は、一般的にその浮力が非常に高い故に、本発明臨水法
面緑化用基板の全面に当該封入部材を浮遊手段として設
ける必要はなく、本発明臨水法面緑化用基板の当該浮遊
手段を設けた部分が、均一に水に浮遊することが可能な
態様で当該基板上に設けることで足る。さらに、発泡ス
チロールや木材のように、曲げ力に対する柔軟性に欠け
る傾向のある素材を当該固定物の下面に浮遊手段として
設ける場合も同様に、必ずしも当該固定物の下面全体
に、この浮遊手段を設ける必要はないことは、他の浮遊
手段を施す場合と同様であるが、例えば、隣接させた、
上記の空気封入部材を浮遊手段として施した緑化用固定
物の小単位を、水の動きに対して応動可能な手段で連結
させる等の手段を施す必要があることも同様に前述した
通りである。
【0066】さらに、上記浮遊手段の緑化用固定物に対
する付与方法は、可能な限り永続的に上記浮遊手段が緑
化用固定物に施された状態を保つことが可能であり、か
つ緑化用固定物におけるコケ植物に対して無害な方法で
ある限りにおいて特に限定されない。例えば、緑化用固
定物における縫製部の付与時における一体縫製;シリコ
ン系接着剤等のコケ植物に対して無害である接着剤によ
る接着;網状体等による緑化用固定物及び浮遊手段の被
包等を挙げることができる。なお、緑化用固定物と上記
浮遊手段との間に、例えばゴムラバー等の柔軟性を有
し、かつ一般的な接着剤に含有されている有機溶媒等の
揮発性物質を遮断することが可能な部材を介在させるこ
とで、上記付与方法として一般接着剤による接着を採用
することができる。
【0067】C.次に、本発明臨水法面緑化用基板の臨
水法面への「接着」について説明する。かかる接着の態
様は、本発明臨水法面緑化用基板が、堅牢に臨水法面に
接着する態様であれば、特に限定されない。この接着の
態様としては、例えば両面テープによる接着、金属製若
しくはプラスチック製のクギによる接着、ホールアンカ
等の固定金具による接着等を挙げることができる。な
お、コケ植物の仮根の臨水法面への侵入のみでは施工状
態を維持するのに十分とはいえず、接着効果が可能な限
り永続的であることが、施工状態を維持する上で好まし
い。かかる見地から、上記接着態様のうち、プラスチッ
ク製のクギによる接着や、ホールアンカ等の固定金具に
よる接着が好ましい。
【0068】この接着は、本発明臨水法面緑化用基板の
浮遊手段を設けた箇所以外の箇所において行い、本発明
臨水法面緑化用基板を、当該接着部分で、当該基板が臨
水法面の下方の水面に容易に接触可能な位置において、
法肩から法尻方向に懸垂し接着部分で上記の浮遊手段を
設けた箇所を懸垂する。なお、上記は、本発明臨水法面
緑化用基板に、特に予め特定の接着手段の使用部分を設
けるものではないが、本発明の実施態様として、本発明
臨水法面緑化用基板に予め「接着手段使用部」を設け
て、施工の用に供することが可能である。
【0069】例えば、強力接着剤による施工を企図する
場合には、特になにも接着手段を設けない場合には、直
接この接着剤を本発明臨水法面緑化用基板のコケ植物に
接触させることになり、この接触部分のコケ植物を上記
接着剤の有機溶媒等により、死滅又は弱体化させること
になる。そこで、このような場合には、上記接着剤の有
機溶媒から上記固定物上のコケ植物を保護することを目
的とした接着手段を施すことが好ましい。このような接
着手段としては、例えば有機溶媒を遮断可能な素材を用
いた板状体の上記固定物の下面への積層、浮遊手段使用
部の端部の当該板状体への連結等を挙げることができ
る。かかる板状体の素材としては、合成ゴム、天然ゴ
ム、プラスチックス、ガラス、木材、金属等を挙げるこ
とが可能であるが、耐久性、経済性等を考慮すると合成
ゴム又はプラスチックスが好ましい。また、これらの板
状体の積層手段は、例えば、上記した緑化用固定物の製
造の際の、当該板状体を一体とした縫製等を挙げること
ができる。
【0070】上記の接着手段は、単独で用いることは当
然可能であるが、適宜組み合わせて用いることも可能で
ある。可能な限り堅牢な接着状態が提供されることが、
本発明においては好ましいという点に鑑みれば、上記接
着手段を組み合わせて用いることが好ましい。例えば、
本発明臨水法面緑化用基板に積層した板状体を介して強
力接着剤で、臨水法面に接着した緑化用固定物上から、
上記したプラスチックス製のクギ又はホールアンカによ
りさらに固定する接着態様が好ましい。
【0071】D.さらに、本発明臨水法面緑化用基板に
一実施態様として設けることのできる「脱落防止手段」
について説明する。本発明において、「脱落防止手段」
とは、上記の接着に加えて、施工後の風等の自然現象に
よる本発明臨水法面緑化用基板の脱落を防止するための
手段である。
【0072】例えば、臨水法面が乾燥状態にある場合に
おいては、突風による施工済本発明臨水法面緑化用基板
のまくり上げ等による脱落を可能な限り防止するため、
散水によって当該固定物の自重を増加させること等によ
り防ぐ必要があり、管理が繁雑になる点は否めない。こ
の管理を簡素化する点において、この脱落防止手段を本
発明臨水法面緑化用基板に設ける理由がある。この脱落
防止手段は、上記の目的を達成し得る手段であれば特に
限定されない。
【0073】例えば、紐状部材を介して本発明臨水法面
緑化用基板の浮遊手段使用部と臨水法面緑化用基板を連
結する手段を挙げることができる。かかる手段を脱落防
止手段として用いる場合には、この紐状部材の長さは、
河川構造物中の水量が増して当該構造物中の水位が上昇
した場合に、施工した本発明臨水法面緑化用基板の浮遊
手段を施した部分が当該水面上で浮遊可能な長さである
ことが必要である。すなわち、紐状部材の長さが短すぎ
る場合は、増水により上記水位が上昇した場合であって
も、当該紐状部材の引張力により、本発明臨水法面緑化
用基板の浮遊手段を施した部位の当該水面での浮遊を妨
げられることになり好ましくない。
【0074】さらに、この脱落防止手段として、施工し
た本発明臨水法面緑化用基板の浮遊手段を施した部位
が、乾燥状態においては緊縮した状態をとることで前記
の浮遊手段を施した部位が風等の自然現象による脱落を
防ぎ、水に十分接触した状態においては弛緩して、前記
の浮遊手段を施した部位の増水水面における浮遊を妨げ
ることのない脱落防止手段を用いることもできる。かか
る脱落防止手段を用いるのが、より有効に本発明臨水法
面緑化用基板の施工部位からの風等の自然現象による脱
落を防ぐことが可能であるという点において好ましい。
【0075】上記脱落防止手段としては、例えば、格納
された「本発明臨水法面緑化用基板と法面を連結した紐
状部材」を水感応センサーにより十分な水濡れを感知す
ることにより開放する手段;乾燥時にはその形状が、例
えばコイル状等の緊縮形状である「乾燥時に一定形状を
形成し、十分な水濡れ時には当該形状が弛緩する性質を
有する素材」製の部材で、本発明臨水法面緑化用基板と
法面を連結する手段等を挙げることができる。なお、本
発明において「十分な水濡れ」とは、少量の降雨(5mm
/時間程度)によって得られる水濡れ状態を除外する趣
旨であり、例えば水中に没した状態の水濡れを指すもの
である。
【0076】E.本発明臨水法面緑化用基板の具体的態
様については、上記の緑化用固定物に適宜浮遊手段等が
設けられた態様であれば特に限定されない。この具体的
態様については、後述の実施例において開示するが、例
えば上記の緑化用固定物を網状部材で挟み込み、かかる
網状部材同士を浮き等の浮遊手段を介在させて相互の網
状部材積層済緑化用固定物を連結する態様;緑化用固定
物を発泡性ポリウレタン等の水に対して浮遊可能な素材
の板状体上に直接張り付ける態様;発泡スチロール等の
板状体を下面に接着した緑化用固定物同士を張り合わせ
る態様;緑化用固定物と発泡スチロール等の板状体との
積層体を、耐久性に富んだ素材の網状体で被包した部材
を浮遊手段使用単位として、複数個隣接させて外力に対
して可能な限り応動可能な態様で連結する態様等を挙げ
ることができる。
【0077】F.本発明者は、上記の本発明臨水法面緑
化用基板を用いた緑化方法及び当該緑化用固定物を用い
て施工した臨水法面をも提供する。すなわち、請求項1
0において、前記請求項1記載の臨水法面緑化用基板の
一部を臨水法面に接着し、又は前記請求項2乃至請求項
7のいずれかの請求項記載の臨水法面緑化用基板を、そ
の接着手段使用部において臨水法面に接着し、これらの
接着部分で臨水法面緑化用基板を、当該基板が臨水法面
の下方の水面に容易に接触可能な位置において、法肩か
ら法尻方向に懸垂し、次いで当該基板のコケ植物配偶体
を養生することを特徴とする、臨水法面の緑化方法を提
供する。
【0078】請求項11において、前記請求項8又は請
求項9記載の臨水法面緑化用基板において、接触手段を
設けていない臨水法面緑化用基板においては、当該基板
の一部を臨水法面に接着し、それ以外の臨水法面緑化用
基板においては、当該基板の接着手段使用部を臨水法面
に接着し、これらの接着部分で臨水法面緑化用基板を、
当該基板が臨水法面の下方の水面に容易に接触可能な位
置において、法肩から法尻方向に懸垂し、さらに当該基
板が上昇した水面に対して浮遊可能な態様で、上記請求
項記載の脱落防止手段により、当該基板の当該臨水法面
における係止度を向上させ、次いで当該基板のコケ植物
配偶体を養生することを特徴とする、臨水法面の緑化方
法を提供する。
【0079】請求項12において、前記請求項1記載の
臨水法面緑化用基板の一部を臨水法面に接着し、又は前
記請求項2乃至請求項7のいずれかの請求項記載の臨水
法面緑化用基板を、その接着手段使用部において臨水法
面に接着し、これらの接着部分で臨水法面緑化用基板
を、当該基板が臨水法面の下方の水面に容易に接触可能
な位置において、法肩から法尻方向に懸垂した臨水法面
緑化用基板によって被覆された臨水法面を提供する。
【0080】請求項13において、前記請求項8又は請
求項9記載の臨水法面緑化用基板において、接触手段を
設けていない臨水法面緑化用基板においては、当該基板
の一部を臨水法面に接着し、それ以外の臨水法面緑化用
基板においては、当該基板の接着手段使用部を臨水法面
に接着し、これらの接着部分で臨水法面緑化用基板を、
当該基板が臨水法面の下方の水面に容易に接触可能な位
置において、法肩から法尻方向に懸垂し、さらに当該基
板が上昇した水面に対して浮遊可能な態様で、上記請求
項記載の脱落防止手段により、当該基板の当該臨水法面
における係止度を向上させた臨水法面緑化用基板によっ
て被覆された臨水法面を提供する。
【0081】以下、これらの臨水法面緑化方法及び臨水
法面について説明する。請求項10又は請求項12にお
いて、請求項1記載の臨水法面緑化用基板の一部を臨水
法面に接着し、又は請求項2乃至請求項7のいずれかの
請求項記載の臨水法面緑化用基板を、その接着手段使用
部において臨水法面に接着し、これらの接着部分で臨水
法面緑化用基板を、当該基板が臨水法面の下方の水面に
容易に接触可能な位置において、法肩から法尻方向に懸
垂することにより、河川構造物の臨水法面における水位
の上下に応動して、当該水面と接触する本発明臨水法面
緑化用基板の浮遊手段を施した部分が当該水面上におい
て浮遊する。通常の植物に比べて耐水性において優れる
コケ植物においても、長時間の水中における浸漬状態に
よる空気の欠乏等により、死滅あるいは弱体化すること
になる。しかしながら、本発明においては上記の水位に
応じた当該固定物の浮遊状態を保つことにより、常に空
気が供給されることになりコケ植物の継続的な生命活動
を維持することが可能になる。むしろ、浮遊手段として
当該固定物の浮遊部分の全部又は一部が河川構造物にお
ける水と接触する態様をとった場合には、当該接触部分
においてはコケ植物の生育に好適な形で水分が供給され
ることになり好ましい。また、施工した本発明臨水法面
緑化用基板の下部においては、高い頻度で水と接触し、
自重が増し、これにより風等による施工済の本発明臨水
法面緑化用基板の脱落を防ぐことが可能になる。なお、
コケ植物は、通常の植物に比べて耐水性だけではなく、
耐乾性にも優れるために長期間渇水状態が続いた場合に
おいても死滅等することが少なく。結果として、本発明
臨水法面緑化用基板を施工した臨水法面の継続的緑化が
可能になる。
【0082】また、請求項11又は請求項13において
は、本発明臨水法面緑化用基板が上昇した当該臨水法面
下方の水面に対して浮遊可能な態様で請求項8又は請求
項9記載の脱落防止手段を用いて当該緑化用固定物の当
該臨水法面に対する係止度を向上させることにより、か
なりの強風に対しても臨水法面に施工した当該緑化用固
定物の脱落を防ぐことが可能になる。
【0083】なお、本発明臨水法面緑化用基板の施工が
可能な臨水法面を有する河川構造物は特に限定されず、
例えば、ダムであれば、重力式ダム,アーチ式ダム,中
空重力式ダム,バットレス式ダム等のコンクリートダム
又はゾーン型ダム,中央心壁型ダム,傾斜心壁型ダム,
表面遮水壁型ダム,均一型ダム等のフィルダムのいずれ
にも施工可能である。また、運河壁や堰壁等にも施工可
能である。
【0084】上記請求項10乃至請求項13を通じて、
本発明臨水法面緑化用基板を臨水法面において施工した
後においては、当該固定物が比較的乾燥に対して抵抗性
があるコケ植物配偶体を含むために、定常的に適度な湿
り気が保たれている限り、特別にコケ植物を養生させる
ために肥料等を与える必要はない。また、仮に乾燥状態
が1〜2か月程の長期に渡った後であっても水分を当該
固定物に供与することによって、本発明に適用可能なコ
ケ植物は、容易にその積極的な生命活動を再開する。た
だし、当該固定物中のコケ植物の種類の選択は、施工す
べき臨水法面が置かれるであろう環境に応じて行うべき
である。すなわち、スナゴケ、ハイスナゴケ、ハイゴ
ケ、フロウソウ等の日向でも日陰でも生育することが可
能なコケ植物の配偶体を用いた当該固定物の場合には、
臨水法面の置かれるであろう環境は日向であっても日陰
であってもよいが、シッポゴケ、オオシッポゴケ、カモ
ジゴケ、トヤマシノブゴケ、コウヤノマンネングサ、ヒ
ノキゴケ等のセン類コケ植物やタイ類コケ植物について
は直射日光に過度にさらされるであろう臨水法面に置く
のは好ましくない。なお、当該固定物におけるコケ植物
の成長速度は、水供給等を養生するコケ植物の性質に応
じて適宜調節することにより、人為的にコントロールを
することも可能である。
【0085】
【実施例】以下、本発明の実施例等を説明するが、本実
施例等により本発明の技術的範囲が制限的に解釈される
ものではない。まず、実施例の開示に先立ち、参考例と
して、主なコケ植物の栽培法を記載する。 〔参考例1〕スナゴケのコケ植物配偶体の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的高照度下で
生育していたスナゴケ( Racomitrium canescens)を、
600cm2 (30×20cm) にわたって採取した。この
採取したスナゴケに一度簡単な清掃(スナゴケ群落中の
枯草他植物落ち葉等の除去)を行った。清掃されたスナ
ゴケの群落体は、手作業で仮根で連結された群落を解体
し、個々のコケ植物配偶体へと分解した。この個体の配
偶体を、育苗用パレットに水平配列した。なお、この水
平配列を行うに際して、予めパレット上に新聞紙を砂止
め用下敷き紙として積層し、次いで当該下敷き紙の上に
無機質である砂質土をコケ植物養生用砂として置床し
た。
【0086】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる日照制限をせずに、水分は常
時補給)スナゴケ配偶体上面より、27日後以降に、植
物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞か
ら再生芽が現れ、120日後にはほぼ完全な育苗用パレ
ット中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一
次栽培体と呼び、以下かかる一次栽培体を基に継代的な
栽培を行った。この一次栽培体中には、他種のコケ植物
や草本類も混在していた。そのため、選択的に一次栽培
体を育苗用パレットから抜き取り行う種苗解体処理中
に、これらの不必要種を取り除いた。改めてこの一次栽
培体を、砂盛された育苗用パレットに水平配列し、配偶
体の再生を促した。その結果、前記の一次栽培体の作出
時とほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生
させた一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二
次栽培体が確保された。
【0087】〔参考例2〕ハイゴケのコケ植物配偶体の
栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的高照度下で
生育していたハイゴケ(Hypnum plumaeforme Wils.
)を、600cm2 (30×20cm) にわたって採取し
た。この採取したハイゴケに一度簡単な清掃(ハイゴケ
群落中の枯草他植物落ち葉等の除去)を行った。清掃さ
れたハイゴケの群落体は、手作業で仮根及び植物体で連
結された群落を解体し、個々のコケ植物配偶体へと分解
した。この個体の配偶体を、育苗用パレット(600cm
2 (30×20cm) )に水平配列した。なお、この水平
配列を行うに際して、予めパレット上に新聞紙を砂止め
用下敷き紙として積層し、次いで当該下敷き紙の上に無
機質である砂質土をコケ植物養生用砂として置床した。
【0088】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる50%日照制限、水分は常時
補給)ハイゴケ配偶体上面より、20日後以降に、植物
体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞から
再生芽が現れ、90日後にはほぼ完全な育苗用パレット
中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一次栽
培体と呼び、以下かかる一次栽培体を基に継代的な栽培
を行った。この一次栽培体中には、他種のコケ植物や草
本類も混在していた。そのため、選択的に一次栽培体を
育苗用パレットから抜き取り行う種苗解体処理中に、こ
れらの不必要種を取り除いた。改めてこの一次栽培体
を、砂盛された育苗用パレットに水平配列し、配偶体の
再生を促した。その結果、前記の一次栽培体の作出時と
ほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生させ
た一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二次栽
培体が確保された。
【0089】〔参考例3〕オオシッポゴケのコケ植物配
偶体の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたオオシッポゴケ(Dicranum nipponense
Besch. )を、600cm2 (30×20cm) にわたって
採取した。この採取したオオシッポゴケに一度簡単な清
掃(オオシッポゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除
去)を行った。清掃されたオオシッポゴケの群落体は、
手作業で仮根及び植物体で連結された群落を解体し、個
々のコケ植物配偶体へと分解した。この個体の配偶体
を、育苗用パレット(600cm2 (30×20cm) )に
水平配列した。なお、この水平配列を行うに際して、予
めパレット上に新聞紙を砂止め用下敷き紙として積層
し、次いで当該下敷き紙の上に無機質である砂質土をコ
ケ植物養生用砂として置床した。
【0090】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる80%日照制限、水分は常時
補給)オオシッポゴケ配偶体上面より、30日後以降
に、植物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮
細胞から再生芽が現れ、300日後にはほぼ完全な育苗
用パレット中に群落体が形成された。ここで現れた群落
体を一次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的
な栽培を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ
植物の存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本
類も多数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレッ
トから抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を
取り除いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗
用パレットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時と
ほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生させ
た一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二次栽
培体が確保された。
【0091】〔参考例4〕トヤマシノブゴケのコケ植物
配偶体の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたトヤマシノブゴケ(Thuidium kanedae Sa
k.)を、600cm2 (30×20cm) にわたって採取し
た。この採取したトヤマシノブゴケに一度簡単な清掃
(トヤマシノブゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除
去)を行った。清掃されたトヤマシノブゴケの群落体
は、手作業で仮根及び植物体で連結された群落を解体
し、個々のコケ植物配偶体へと分解した。この個体の配
偶体を、育苗用パレット(600cm2 (30×20cm)
)に水平配列した。なお、この水平配列を行うに際し
て、予めパレット上に新聞紙を砂止め用下敷き紙として
積層し、次いで当該下敷き紙の上に無機質である砂質土
をコケ植物養生用砂として置床した。
【0092】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる80%日照制限、水分は常時
補給)トヤマシノブゴケ配偶体上面より、30日後以降
に、植物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮
細胞から再生芽が現れ、250日後にはほぼ完全な育苗
用パレット中に群落体が形成された。ここで現れた群落
体を一次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的
な栽培を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ
植物の存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本
類も多数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレッ
トから抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を
取り除いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗
用パレットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時と
ほぼ同程度の配偶体の再生が確認された。この再生させ
た一次栽培体を整備種苗とした結果、3倍程度の二次栽
培体が確保された。
【0093】〔参考例5〕ウロコゴケのコケ植物配偶体
の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたウロコゴケ(Heteroscyphus argutus Sc
hiffn. )を、600cm2 (30×20cm) にわたって
採取した。この採取したウロコゴケに一度簡単な清掃
(ウロコゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除去)を行
った。清掃されたウロコゴケの群落体は、手作業で仮根
及び植物体で連結された群落を解体し、個々のコケ植物
配偶体へと分解した。この個体の配偶体を、育苗用パレ
ット(600cm2 (30×20cm) )に水平配列した。
なお、この水平配列を行うに際して、予めパレット上に
新聞紙を砂止め用下敷き紙として積層し、次いで当該下
敷き紙の上に無機質である砂質土をコケ植物養生用砂と
して置床した。
【0094】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる90%日照制限、水分は常時
補給)ウロコゴケ配偶体上面より、30日後以降に、植
物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞か
ら再生芽が現れ、400日後にはほぼ完全な育苗用パレ
ット中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一
次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的な栽培
を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ植物の
存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本類も多
数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレットから
抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を取り除
いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗用パレ
ットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時とほぼ同
程度の配偶体の再生が確認された。この再生させた一次
栽培体を整備種苗とした結果、2倍程度の二次栽培体が
確保された。
【0095】〔参考例6〕ヒノキゴケのコケ植物配偶体
の栽培 コケ植物を栽培する元種苗として野山に自生するコケ植
物のサンプル採取を行った。コケ植物の採取に当たって
は基本的なコケ植物の種類を選抜し、比較的低照度下で
生育していたヒノキゴケ(Rhizogoniumus dozyannum
Lac. )を、600cm2 (30×20cm) にわたって採
取した。この採取したヒノキゴケに一度簡単な清掃(ヒ
ノキゴケ群落中の枯草他植物落ち葉等の除去)を行っ
た。清掃されたヒノキゴケの群落体は、手作業で仮根及
び植物体で連結された群落を解体し、個々のコケ植物配
偶体へと分解した。この個体の配偶体を、育苗用パレッ
ト(600cm2 (30×20cm) )に水平配列した。な
お、この水平配列を行うに際して、予めパレット上に新
聞紙を砂止め用下敷き紙として積層し、次いで当該下敷
き紙の上に無機質である砂質土をコケ植物養生用砂とし
て置床した。
【0096】個体としてそれぞれ水平配列して養生した
(屋外で遮光ネットによる80%日照制限、水分は常時
補給)ヒノキゴケ配偶体上面より、30日後以降に、植
物体上に存在する休眠芽又は分裂したくきの表皮細胞か
ら再生芽が現れ、300日後にはほぼ完全な育苗用パレ
ット中に群落体が形成された。ここで現れた群落体を一
次栽培体と呼び、以下当該種苗体を基に、継代的な栽培
を行った。当該一次栽培体には、まだ他種のコケ植物の
存在もあり、また栽培中に含んだと思われる草本類も多
数含まれていたため、一次栽培体を育苗用パレットから
抜き取り、種苗解体処理中にこれらの不必要種を取り除
いた。改めてこの一次栽培体を、砂盛された育苗用パレ
ットに水平配列し、上記の一次栽培体の作出時とほぼ同
程度の配偶体の再生が確認された。この再生させた一次
栽培体を整備種苗とした結果、2倍程度の二次栽培体が
確保された。
【0097】次に、参考製造例1〜参考製造例6におい
て、上記のように栽培したコケ植物配偶体を固定した緑
化用固定物の製造例を示す。
【0098】〔参考製造例1〕緑化用固定物の製造
(1) 前記参考例1〜6によって栽培されたスナゴケ、ハイゴ
ケ、トヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及
びウロコゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水
道水で洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去し
た。このようにして調製したコケ植物配偶体を、それぞ
れの配偶体に巻縮が認められるまで自然乾燥を行った。
すなわち、スナゴケについては、屋外で遮光ネットで日
照を制限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイゴケ
については、屋外で遮光ネットにより50%の日照制限
を行って、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマシノ
ブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネットに
より80%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を行
った。そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光ネッ
トにより90%の日照制限を行って、48時間自然乾燥
を行った。
【0099】なお、かかる自然乾燥処理を施す前に、ペ
ーパータオルでコケ植物配偶体に付着した水分を吸い取
った。前記の自然乾燥を施した配偶体の形状は、群落体
状のままではなく、ある程度群落が保護された状態であ
った。
【0100】次に、これらのある程度群落が保護された
コケ植物配偶体を、当該配偶体単体にまで解体、分散し
た。そして、整理した個々のコケ植物配偶体を水溶性の
基板紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙株式会社
製))上に、乾燥重量で0.04〜0.06g/cm2 で水
平にかつ均一に配列した。A4版の大きさの基板紙上に
水平配列せしめたコケ植物上に、当該基板紙と同じく水
溶性紙である上紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙
株式会社製))を積層し、4隅をホチキスで止めた。
【0101】この結果得られた積層体を、平板状の物体
で0.2g/cm2 の荷重をかけて、5時間圧縮した。この
圧縮処理の結果上記積層体は、約1/2程度の厚さにま
で圧縮された。次いで、当該積層体に縫製を施した。当
該縫製は工業用ミシンを用いることにより、当該積層体
を一辺が約1cmの碁盤の目状の形状に、ナイロン糸を用
いておこなった。当該縫製後、上記上紙と基板紙を水洗
いしてブラッシングすることにより除去した。このよう
にして、コケ植物配偶体は上記縫製によってシート状に
連結された。
【0102】次いで、かかるコケ植物配偶体連結物の水
を一旦切り、スナゴケについては、屋外で遮光ネットで
日照を制限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイゴ
ケについては、屋外で遮光ネットにより50%の日照制
限を行って、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマシ
ノブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネット
により80%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を
行った。そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光ネ
ットにより90%の日照制限を行って、48時間自然乾
燥を行った。シートのホチキスによる縁止め部はカッタ
ーで切断して、緑化用固定物Aを製造した。
【0103】なお、上記基板紙の代わりに、厚さ2mmの
ゴムラバーを用い、当該ゴムラバーと配列済コケ植物配
偶体を一体として縫製して製造した緑化用固定物を緑化
用固定物A’とした。
【0104】〔参考製造例2〕緑化用固定物の製造2 前記参考例において栽培されたスナゴケ、ハイゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水道水で
洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去し、さらに
ペーパータオルで配偶体に付着した水分を吸い取った。
このようにして調製したコケ植物配偶体を、それぞれの
配偶体に巻縮が認められるまで自然乾燥を行った。
【0105】すなわち、スナゴケについては、屋外で遮
光ネットで日照を制限せずに24時間自然乾燥した。ま
た、ハイゴケについては、屋外で遮光ネットにより50
%の日照制限を行って、36時間自然乾燥した。さら
に、トヤマシノブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外
で遮光ネットにより80%の日照制限を行って、48時
間自然乾燥を行った。そして、ウロコゴケについては、
屋外で遮光ネットにより90%の日照制限を行って、4
8時間自然乾燥を行った。前記の自然乾燥を施した配偶
体の形状は、群落体状のままではなく、ある程度群落が
保護された状態であった。
【0106】次に、これらのある程度群落が保護された
配偶体を、配偶体単体にまで解体し、分散させた。そし
て、整理した個々のコケ植物配偶体をA4版の大きさの
水溶性の基板紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙株
式会社製))上に、乾燥重量で0.04〜0.06g/cm
2 を水平にかつ均一に配列した。さらに、上記の基板紙
上に配列した配偶体上に、網目の大きさが1×1cmのナ
イロン製ネットを被覆し、四隅をホチキスで止めること
により層状に固定して、基板紙と配偶体とネットの三層
構造の積層体を作出した。
【0107】かかる積層体を、平板状の物体で0.2g/
cm2 の荷重をかけて、5時間圧縮した。この圧縮処理の
結果上記積層体は、約1/2 程度の厚さにまで圧縮さ
れた。次いで、上記積層体上に縫製を施して縫製部(5
×5cmの碁盤の目状)を設けた。この縫製部は、ナイロ
ン糸を用いた工業用ミシンによる縫製により設けられ
た。上記縫製後、上記基板紙を水洗いしてブラッシング
することにより除去した。
【0108】このようにして、コケ植物配偶体は縫製に
よってシート状に連結された。次いで、かかるコケ植物
配偶体連結物の水を一旦切った。そして、スナゴケにつ
いては、屋外で遮光ネットで日照を制限せずに24時間
自然乾燥した。また、ハイゴケについては、屋外で遮光
ネットにより50%の日照制限を行って、36時間自然
乾燥した。さらに、トヤマシノブゴケ及びヒノキゴケに
ついては、屋外で遮光ネットにより80%の日照制限を
行って、48時間自然乾燥を行った。そして、ウロコゴ
ケについては、屋外で遮光ネットにより90%の日照制
限を行って、48時間自然乾燥を行った。基板四隅のホ
チキスによる縁止め部はカッターで切断して、緑化用固
定物Bを製造した。
【0109】なお、上記基板紙の代わりに、厚さ2mmの
ゴムラバーを用い、当該ゴムラバーと配列済コケ植物配
偶体を一体として縫製して製造した緑化用固定物を緑化
用固定物B’とした。
【0110】〔参考製造例3〕緑化用固定物の製造3 前記参考例において栽培されたスナゴケ、ハイゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水道水で
洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去した。次
に、これらのある程度群落が保護された状態のコケ植物
配偶体を水道水で濡らしたままの状態で配偶体単体にま
で解体し、分散させた。そして、整理した個々の配偶体
をプラスチックス製のパレット上に水平にかつ均一に配
列し、これらの配偶体をコテでならして平坦化した。
【0111】次に、上記の水平配列したコケ植物配偶体
上に水溶性紙(ディゾルボ120MDP(三島製紙株式
会社製))を積層した。そして、当該水溶性紙の上から
水道水を一面均等に浸潤させた後、水道水をシャワーノ
ズル付きホースを用いて当該水溶紙面に吹き付けて、そ
の水溶性紙を溶解しつつ、コケ植物体の隙間に水溶性紙
由来の紙繊維を絡めた。この結果、紙繊維が配列したコ
ケ植物配偶体同士の隙間に入り込んだ。
【0112】次いで、この紙繊維固定シートに縫製を施
して縫製部を設けた。なお、当該縫製部は革製品専用ミ
シンを用いて、一辺が約1cmの碁盤の目状の形状に、ポ
リエステル100%のジーンズステッチで縫製すること
により設けた。さらに、かかるコケ植物配偶体連結物の
水を一旦切り、スナゴケについては、屋外で遮光ネット
で日照を制限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイ
ゴケについては、屋外で遮光ネットにより50%の日照
制限を行って、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマ
シノブゴケ及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネッ
トにより80%の日照制限を行って、48時間自然乾燥
を行った。そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光
ネットにより90%の日照制限を行って、48時間自然
乾燥を行なった。このようにして、緑化用固定物Cを製
造した。
【0113】なお、上記の縫製部を設ける前段階の紙繊
維固定シートに、厚さ2mmのゴムラバーを積層し、当該
ゴムラバーと紙繊維固定シートを一体として縫製して製
造した緑化用固定物を緑化用固定物C’とした。
【0114】〔参考製造例4〕緑化用固定物の製造4 前記参考製造例3の緑化用固定物の製造工程において作
出される、紙繊維固定シートの上面に網の大きさが1×
1cmのナイロン製ネットを被覆して、当該基板とかかる
ナイロン製ネットを縫製によって縁止めをした。そし
て、さらに当該基板の対角線上に上記ナイロン製ネット
を一体として縫製した縫製部を設けた。なお、この縫製
は革製品専用ミシンを用いて、ポリエステル100%の
ジーンズステッチで行った。当該基板を緑化用固定物D
とした。
【0115】なお、上記ナイロン製ネットを被覆する際
に、当該ナイロン製ネットを被覆する側の基板における
反対側に、厚さ2mmのゴムラバーを積層し、当該ゴムラ
バー、紙繊維固定シート及び上記ナイロン製ネットを一
体として縁取り縫製及び対角線状の縫製を施して製造し
た緑化用固定物を緑化用固定物D’とした。
【0116】〔参考製造例5〕緑化用固定物の製造5 前記参考例によって栽培されたスナゴケ、ハイゴケ、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケの二次栽培体をシャワー状に噴出させた水道水で
洗浄して、配偶体に付着した土砂や埃を除去した。次
に、これらのある程度群落が保護された状態のコケ植物
配偶体を水道水に濡らしたままの状態で配偶体単体にま
で解体、分散した。
【0117】次に、A5版の大きさの水溶性紙(ディゾ
ルボ120MDP(三島製紙株式会社製))を、200
mlの水に溶解して紙繊維の水溶液を調製した。なお、か
かる水溶液は20℃であった。そして、この紙繊維の水
溶液中に、上記の配偶体単体にまで解体し、分散させた
各種のコケ植物の配偶体を10g 入れ、へらでゆっくり
混合した。このようにして調製した紙繊維の水溶液と配
偶体の混合物を、スティック状の本発明緑化用固定物の
製造を予定したプラスチック製の型(サイズ1000×
1000×5mm)に流し込み、ヘラで平坦にならした。
【0118】次いで、混合した配偶体の性質に応じた条
件下で配偶体と紙繊維の混合物の乾燥を行った。すなわ
ち、スナゴケについては、屋外で遮光ネットで日照を制
限せずに24時間自然乾燥した。また、ハイゴケについ
ては、屋外で遮光ネットにより50%の日照制限を行っ
て、36時間自然乾燥した。さらに、トヤマシノブゴケ
及びヒノキゴケについては、屋外で遮光ネットにより8
0%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を行った。
そして、ウロコゴケについては、屋外で遮光ネットによ
り90%の日照制限を行って、48時間自然乾燥を行っ
た。
【0119】当該乾燥により、各々の配偶体が紙繊維に
よって平板状に固定された。この紙繊維固定物を型から
外した。さらに、この紙繊維固定物の板状面に、一辺1
cmの碁盤の目状の縫製部を設け、これを緑化用固定物E
とした。この縫製部は、革製品専用ミシンを用いてポリ
エステル100%のジーンズステッチで設けた。なお、
本発明において、板状面とは、上記のごとき固定物の側
面のうち最大の面積を有する2側面のことをいう。
【0120】また、上記の縫製部を設ける前段階の紙繊
維固定物に、厚さ2mmのゴムラバーを積層し、当該ゴム
ラバーと紙繊維固定物とを一体として縫製して製造した
緑化用固定物を緑化用固定物E’とした。
【0121】〔参考製造例6〕緑化用固定物6の製造 参考製造例5における、縫製部を設ける前段階の固定物
の一方の板状面に、網の大きさが1×1cmのナイロン製
ネットをを被覆して、当該板状面と当該ナイロン製ネッ
トを一体として縁取り縫製を行った。そして、さらに当
該板状面の対角線上に縫製部を設けて、これを緑化用固
定物Fとした。この縫製は、革製品専用ミシンを用いて
ポリエステル100%のジーンズステッチで行った。
【0122】なお、上記ナイロン製ネットを被覆する際
に、当該ナイロン製ネットを被覆する板状面とは反対側
の板状面に、厚さ2mmのゴムラバーを積層し、当該ゴム
ラバー、紙繊維固定物及び上記ナイロン製ネットを一体
として縁取り縫製及び対角線状の縫製を施して製造した
緑化用固定物を緑化用固定物F’とした。
【0123】次に、本発明の実施例を図面を用いて説明
する。 〔実施例1〕本発明臨水法面緑化用基板の製造1 図1は、本発明臨水法面緑化用基板の一実施態様を示し
た全体図であり、図2は、当該臨水法面緑化用基板のI
−I' で示す横断面を示した断面図である。図1及び図
2において、10は本実施例における本発明臨水法面緑
化用基板である。また、11は緑化用固定物、12は浮
遊手段として用いた柔軟性を有するシート状素材、13
は緑化用固定物11に浮遊手段12を付与するために用
いた手段である。
【0124】緑化用固定物11は、浮遊手段付与手段1
3により、浮遊手段として用いた柔軟性を有するシート
状素材12の上面に貼り付けられている。なお、この浮
遊手段12上における緑化用固定物11の貼り付けは、
可能な限り、張り付けた当該緑化用固定物同士の間に間
隙が生じない態様で行うのが、緑化景観上好ましい。よ
って、可能な限りシート状の浮遊手段12の上面の面積
に近似した緑化用固定物を製造して、これを当該浮遊手
段12に貼り付けることが好ましいが、図1のごとく小
型の緑化用固定物11同士が規則正しく隣接した態様で
貼り付けることも可能である。
【0125】シート状固定物11として用いることがで
きる具体的な態様及びその製造方法については、前述の
参考例及び参考製造例において記載されている。これら
に記載された態様のいずれをも、緑化用固定物11とし
て用いることができる。
【0126】なお、ゴムラバーを積層した緑化用固定物
A’〜F’を緑化用固定物11として用いる場合は、ゴ
ムラバーが当該緑化用固定物11とシート状素材12の
間に介在するために、たとえ揮発性の有機溶媒を含む一
般の接着剤を浮遊手段付与手段13として用いても、緑
化用固定物中のコケ植物の生育に直接悪影響を及ぼすこ
とはないが、ゴムラバーを積層しない緑化用固定物A〜
Fを緑化用固定物11として用いる場合には、接着剤中
の有機溶媒等によるコケ植物の生育に対する悪影響を考
慮して、例えばシリコン系接着剤等のコケ植物の生育に
悪影響を与えず、しかも耐水性に優れた接着手段を用い
る必要がある。
【0127】さらに、浮遊手段12は、水に対する十分
な浮遊力を有し、かつ柔軟性を有するシート状素材であ
れば特に限定されず、例えば、前に例示した発泡性ウレ
タン板等を、本実施態様に関して好ましい浮遊手段とし
て挙げることができる。
【0128】図3は、本実施例に示した態様の本発明臨
水法面緑化用基板の具体的な施工態様を示した概略図で
ある。本発明臨水法面緑化用基板10は、係止部材14
によって、臨水法面15の法肩から法尻方向に懸垂され
ており、図3に示すように、かかる係止箇所以外は臨水
法面15に対して、変動する河川構造物中の水位(1
6)の上下に対して応動自在である(17)。
【0129】なお、本実施態様においては、係止部材1
4としては、例えば、前に例示したごとく、ホールアン
カやプラスチックス製クギを挙げることができる。ま
た、この係止部材14による係止以外に、強力接着剤に
よる接着によっても、上記懸垂状態を形成することがで
きる。また、上記係止部材14による係止と強力接着剤
による接着を組み合わせて用い、上記懸垂状態の強化を
図ることも可能である。
【0130】このように、本実施態様における本発明臨
水法面緑化用基板を、上記したごとく臨水法面において
施工すると、河川構造物中の水位が低い場合には、施工
済本発明臨水法面緑化用基板の大部分は臨水法面15に
対して密着状態で接触する。そして、河川構造物中の水
の水位が上昇すると、本発明臨水法面緑化用基板の当該
水に接触する部分が、その水面の上下の動きに応動して
水面上に浮遊して、本発明臨水法面緑化用基板がそのま
ま水没した場合に比べて、シート状緑化用基板の当該浮
遊部分のコケ植物における、生命活動によるガス交換を
容易にする。その結果、浮遊部分のコケ植物の連続的な
生育が可能になり、そして、当該浮遊部分においては、
河川構造物中の水による水分供給が特に恒常的に行わ
れ、コケ植物の生育に好影響を与えることとなる。さら
に、このような水分供給により、本発明臨水法面緑化用
基板の自重が増加し、風等の自然現象による当該緑化用
基板の脱落を防御することも可能である。
【0131】なお、実施態様の他の一つとして、この本
発明臨水法面緑化用基板10の裏面に、本発明臨水法面
緑化用基板10の強風等によるめくり上がりによる脱落
を、より確実に防止するために、紐状部材を脱落防止部
材として用い(図示せず)、当該紐状部材で本発明臨水
法面緑化用基板10と臨水法面15を連結することもで
きる。この場合、当該紐状部材は、河川構造物中の水面
の上下に応じて変化する「当該水面上の本発明臨水法面
緑化用基板10における、当該紐状部材を連結した部分
と臨水法面15との距離」の最大増水時に対応する長さ
を有し、増水時の本発明臨水法面緑化用基板の水面上に
おける浮遊を、その張力により妨げることがないように
することが必要である。この実施態様においては、特に
乾燥時に自重が軽くなる本発明臨水法面緑化用基板の強
風等による臨水法面からの脱落を、当該紐状部材の張力
によって防ぐことができる。
【0132】〔実施例2〕本発明臨水法面緑化用基板の
製造2 図4は、本発明臨水法面緑化用基板の他実施態様を示し
た全体図であり、図5は、当該臨水法面緑化用基板のII
−II' で示す横断面を示した断面図である。図4及び図
5において、20は本実施例における本発明臨水法面緑
化用基板である。また、21は本発明臨水法面緑化用基
板の臨水法面に対する接着手段を使用する部分である。
そして、22は本発明臨水法面緑化用基板において水に
対する浮遊手段を設けた部分である。
【0133】接着手段使用部分21は、長期間における
本発明臨水法面緑化用基板と臨水法面との接着状態を保
つことのできる形態及び素材、すなわち、長期間外部に
さらしても腐食せず、後述する浮遊手段使用部分22を
法尻方向へ懸垂しても、当該浮遊手段使用部分22の荷
重により変形等をおこさない形態及び素材であれば特に
限定されない。例えば、一定以上の厚みを有する合成ゴ
ムラバー等をこの接着手段使用部分とすることが好まし
い。
【0134】そして、接着手段使用部分21は、図4及
び図5に示すごとく、例えば緑化用固定物11を、規則
的に板状のゴムラバー23に貼り付けた形態で構成され
る。ここで、用いられる緑化用固定物の貼り付け手段
は、緑化用固定物におけるコケ植物の生育を害さない限
りにおいて特に限定されず、縫製による貼り付けや接着
剤による貼り付けを例示することができる。ただし、貼
り付ける緑化用固定物が、緑化用固定物A’〜F’のご
とく接着剤が含む揮発性の有機溶媒等とコケ植物とを遮
断する手段が設けられている場合には、一般に用いられ
ている接着剤を広く用いることができるが、そうでない
場合には、当該接着剤中の揮発性有機溶媒等によるコケ
植物の生育に対する悪影響を考慮して、例えばシリコン
系接着剤等のコケ植物の生育に悪影響を与えず、しかも
耐水性に優れた接着剤を用いる必要がある。
【0135】なお、この接着手段使用部分における緑化
用固定物11は、もっぱら本実施態様における本発明臨
水法面緑化用基板を施工した後の景観に配慮して用いる
ものであって、特に当該接着手段使用部分における緑化
を企図しない場合には、緑化用固定物11の貼り付けを
省略して、上記のゴムラバー23のみを接着手段使用部
分として用いてもよい。
【0136】次に、浮遊手段使用部分22は、図4及び
図5に示すごとく、互いに隣接して結合した、複数の浮
遊手段使用単位22’により構成されている。図6は、
この浮遊手段使用単位22’の斜視図であり、図7は、
III −III'で示す、当該浮遊手段使用単位22’横断面
を示した断面図である。そして、図8は、当該浮遊手段
使用単位の分解斜視図である。図6及び図7に示すごと
く、本実施態様における浮遊手段使用単位22’は、緑
化用固定物11と浮遊部材24とを積層してなる積層体
を、網状部材25で被包してなる。この浮遊手段使用単
位22’は、例えば、図8に示すように、緑化用固定物
11の下面に、浮遊部材23を積層させて、当該積層体
を網状部材25’及び25''で挟みこんで、当該網状部
材同士の周辺部で縁取り固定を行い製造することができ
る。
【0137】ここで用いる浮遊部材23は、当該浮遊部
材によって、浮遊手段使用単位22’を水に対して浮遊
させることができる限りにおいて特に限定されない。例
えば、発泡スチロール板、プラスチックス製浮き等を広
く用いることができる。さらに、網状部材25によっ
て、この浮遊手段使用単位22’の形態は固定され得る
ために、上記緑化用固定物11と浮遊手段23とを接着
固定する必要は特にない。
【0138】また、網状部材25として用いられる素材
としては、長期間使用しても腐食しない素材を選択する
必要がある。例えば、ナイロン等の合成繊維、プラスチ
ックス、ステンレス等を当該素材として用いることがで
きるが、これらに限定されるものではない。なお、これ
らの網状部材は、コケ植物が本来有する色彩を考慮し
て、緑色に着色したものを用いるのが好ましい。さら
に、この浮遊手段使用単位22’における、縁取り固定
方法は、特に限定されないが、長期間使用しても脱落等
をおこさない手段を用いるのが好ましい。
【0139】例えば、例えば網状部材25’及び25''
同士のステンレス製針金又はナイロン糸等による編み込
むことや、網状部材の素材に応じた強力接着剤による接
着をすることが可能である。このようにして、製造した
浮遊手段使用単位同士を連結して、図4及び図5に示す
浮遊手段使用部分22を製造する。
【0140】当該連結手段は、特に限定されないが、可
能な限り各々の浮遊手段使用単位が、施工した後に、河
川構造物中の水の動きに対して応動可能な態様で連結す
ることが、本発明臨水法面緑化用基板の耐久性を付与す
るという観点から好ましい。例えば、浮遊手段使用単位
同士を、複数のステンレスやプラスチックス等の腐食し
にくい素材のリング状部材で、隣接した浮遊手段使用単
位の網状部材同士を掛止することができる(図示せ
ず)。
【0141】このようにして製造した、浮遊手段使用部
分22と上記接着手段使用部分21とを連結して、本発
明臨水法面緑化用基板の他実施態様20が製造され得
る。なお、この浮遊手段使用部分22と上記接着手段使
用部分21との連結手段は特に限定されず、例えばナイ
ロン等の合成繊維製の強固な素材の糸を用いた縫製によ
り、この連結を行うことができる。
【0142】また、本実施態様においては、浮遊部材2
3を緑化用固定物11の下面に積層したが、これに代え
て又はこれと併用して、他の部位、例えば、上記浮遊手
段使用単位同士の連結部位に、浮遊部材を介在させて、
これを本発明臨水法面緑化用基板における浮遊手段とし
て用いることも可能である。
【0143】図9は、本実施例に示した態様の本発明臨
水法面緑化用基板の具体的な施工態様を示した概略図で
ある。本発明臨水法面緑化用基板20は、係止部材1
4' によって、臨水法面15'の法肩から法尻方向に懸
垂されており、図8に示すように、かかる係止箇所以外
は臨水法面15' に対して、変動する河川構造物中の水
位(16' )の上下に応じて浮着自在である(26)。
【0144】なお、本実施態様においては、係止部材1
4' としては、例えばホールアンカやプラスチックス製
クギを挙げることができる。また、この係止部材14'
による係止以外に、強力接着剤による接着によっても、
上記懸垂状態を形成することができる。また、上記係止
部材14' による係止と強力接着剤による接着を組み合
わせて用い、上記懸垂状態の強化を図ることも可能であ
る。
【0145】このように、本実施態様における本発明臨
水法面緑化用基板を、上記したごとく臨水法面において
施工すると、河川構造物中の水位が低い場合には、施工
済本発明臨水法面緑化用基板の大部分は臨水法面15'
に対して密に接触する。そして、河川構造物中の水の水
位が上昇すると、本発明臨水法面緑化用基板の当該水に
接触する部分が、その水面の上下の動きに応じて水面上
に浮遊して、本発明臨水法面緑化用基板がそのまま水没
した場合に比べて、シート状緑化用基板の当該浮遊部分
のコケ植物における、生命活動によるガス交換を容易に
する。その結果、浮遊部分のコケ植物の連続的な生育が
可能になり、そして、当該浮遊部分においては、河川構
造物中の水による水分供給が特に恒常的に行われ、コケ
植物の生育に好影響を与えることとなる。さらに、この
ような水分供給により、本発明臨水法面緑化用基板の自
重が増加し、風等の自然現象による当該緑化用基板の脱
落を防御することも可能である。
【0146】なお、本実施態様においては、浮遊手段使
用部分22が、浮遊手段使用単位22' に細分化され、
各々の浮遊手段使用単位同士が外部からのの力に対して
応動可能な態様で連結されているので、河川構造物の水
の微細な動きに対して応動することが可能であり、結果
として耐久性に優れ、かつ施工が可能な環境もより広く
なり好ましい。そして、実施態様の他の一つとして、こ
の本発明臨水法面緑化用基板20の裏面に、本発明臨水
法面緑化用基板20の強風等によるめくり上がりによる
脱落を、より確実に防止するために、紐状部材を脱落防
止部材として用い(図示せず)、当該紐状部材で本発明
臨水法面緑化用基板20と臨水法面15' を連結するこ
ともできるのは、上記実施例1において示した実施態様
と同様である。なお、本実施態様においては網状部材を
用いているため、上記紐状部材を容易に連結可能である
点において有利である。
【0147】〔実施例3〕本発明臨水法面緑化用基板を
用いた臨水法面の緑化1 水位を自由に変えることのできる人工池をつくり、斜度
が60°のコンクリートで固めた当該人工池の臨水法面
を屋外に設けた。当該臨水法面に、上記実施例1におい
て製造した本発明臨水法面緑化用基板の一端をシリコン
系接着剤及びホールアンカで法肩近傍に固定して、残り
の部分を法肩から法尻方向に懸垂して、当該臨水法面を
本発明臨水法面緑化用基板で被覆した。一方、比較例と
して、シリコン系接着剤及びホールアンカを用いて上記
臨水法面緑化用基板の全面を臨水法面上に接着した。
【0148】次に、水位を、上記基板の下端位置から、
比較例として貼り付けた本発明臨水法面緑化用基板の半
分程度が水没する位置まで、1週間おきに変動させ、こ
れを4月上旬から11月末まで6か月間継続した。な
お、上記本発明臨水法面緑化用基板は、当該基板におけ
るコケ植物の性質に応じて、臨水法面における施工箇所
を決めた。すなわち、スナゴケ及びハイゴケを用いた当
該基板においては、日当たりの良い法面に施工をし、ト
ヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ及びウロ
コゴケを用いた当該基板においては、余り日の当たらな
い法面に施工を行った。そして、これらを自然環境下、
そのまま放置した。
【0149】まず、一端のみを法面上に接着した本発明
臨水法面緑化用基板においては、懸垂された部分が、水
面の上下に応動して当該水面上に浮遊したが、当然、比
較例として基板全体を法面上に接着したものは、増水時
にはそのまま水中に没したままであった。そして、この
緑化実験期間を通じて、一端のみを法面上に接着した本
発明臨水法面緑化用基板は、用いたコケ植物の性質に応
じて植物体部分が成長し、所望する緑化状態を形成し
た。
【0150】すなわち、スナゴケを用いた本発明臨水法
面緑化用基板では5月上旬には、上記緑化用基板上より
再生芽があらわれ、6月中旬には茶褐色であった上記緑
化用基板が黄緑色となった。6月末には、新植物体の成
長高が1cmまで伸び、縫製糸は完全に被覆され、群落体
が形成された。この時期の植物体は仮根で覆われ、互い
の植物体も仮根で絡み合っており、通常の栽培により成
体化したスナゴケ群落体とほぼ同じ形態となった。
【0151】ハイゴケを用いた本発明臨水法面緑化用基
板では、4月下旬には、上記緑化用基板上より本体頂部
が伸長し、さらに新植物体が基板面を這うように形成さ
れた。その後、6月末には新植物体が成体化して、通常
の栽培により成体化したハイゴケ群落体とほぼ同じ形態
となった。
【0152】トヤマシノブゴケを用いた本発明臨水法面
緑化用基板では、5月中旬には、上記緑化用基板上より
本体頂部が伸長し、さらに新植物体が基板面を這うよう
に形成された。その後、9月末には新植物体が成体化し
て、通常の栽培により成体化したトヤマシノブゴケとほ
ぼ同じ形態となった。
【0153】オオシッポゴケを用いた本発明臨水法面緑
化用基板では、4月下旬には、上記緑化用基板上より新
植物体が形成された。その後、10月中旬には新植物体
が成体化して、通常の栽培により成体化したオオシッポ
ゴケとほぼ同じ形態となった。
【0154】ヒノキゴケを用いた本発明臨水法面緑化用
基板では、4月下旬には、上記緑化用基板上より新植物
体が形成された。その後、10月上旬には新植物体が成
体化して、通常の栽培により成体化したオオシッポゴケ
とほぼ同じ形態となった。そして、その後、当該新植物
体は冬の到来と共に弱体化した。しかしながら、翌年の
4月には再び新植物体が発生し、前年に成体化した植物
体とかみ合いつつさらに新植物体は成体化した。
【0155】ウロコゴケを用いた本発明臨水法面緑化用
基板では、5月下旬には、上記緑化用基板上より新植物
体が形成された。その後、10月下旬には新植物体が成
体化して、通常の栽培により成体化したウロコゴケとほ
ぼ同じ形態となった。
【0156】これらに対して、比較例においては、常時
水面から離れている部分に関しては、上記と同様の経過
で緑化状態を形成したが、水没部分は、大部分のコケ植
物が腐敗してしまい、満足な緑化状態に至ることができ
なかった。
【0157】本実施例により、上記緑化方法を用いるこ
とによって、本発明臨水法面緑化用基板を被覆した臨水
法面を容易に緑化できることが判明し、当該基板の有用
性が裏付けられた。
【0158】〔実施例4〕本発明臨水法面緑化用基板を
用いた臨水法面の緑化2 水位を自由に変えることのできる人工池をつくり、上半
分の斜度が80°であり、下半分の斜度が60°のコン
クリートで固めた当該人工池の臨水法面を屋外に設け
た。上記実施例2において製造した本発明臨水法面緑化
用基板の接着手段使用部分を法肩近傍にシリコン系接着
剤及びホールアンカで接着して、残りの部分を法肩から
法尻方向に懸垂して、当該臨水法面を上記2種類の斜度
部分を含めて本発明臨水法面緑化用基板で被覆した。
【0159】一方比較例として、実施例1の本発明臨水
法面緑化用基板を、上記実施例3と同様に、法肩近傍に
その一端を接着して、残りの部分を法肩から法尻方向に
懸垂し、上記2種類の斜度部分を含めて本発明臨水法面
緑化用基板で被覆した。また、実施例2の本発明臨水法
面緑化用基板の全面を、シリコン系接着剤及びホールア
ンカを用いて臨水法面に接着し、臨水法面を被覆した。
次に、本発明臨水法面緑化用基板の下端位置から、斜度
が80°の法面が十分に水と接触できる位置まで、水位
を1週間おきに変動させ、これを4月上旬から11月末
まで6か月間継続した。
【0160】なお、上記本発明臨水法面緑化用基板は、
当該基板におけるコケ植物の性質に応じて、臨水法面に
おける施工箇所を決めた。すなわち、スナゴケ及びハイ
ゴケを用いた当該基板においては、日当たりの良い法面
に施工をし、トヤマシノブゴケ、オオシッポゴケ、ヒノ
キゴケ及びウロコゴケを用いた当該基板においては、余
り日の当たらない法面に施工を行った。そして、これら
を自然環境下、そのまま放置した。
【0161】まず、接着手段使用部分においてのみ法面
上に接着した実施例2の本発明臨水法面緑化用基板は、
懸垂された部分が、水面の上下に応動して当該水面上に
浮遊した。なお、減水時、法面の斜度の変換点において
も、当該基板は、特に浮遊手段使用単位同士の連結部が
柔軟に折れ曲がることによって、当該法面に密着してお
り、より自然な状態に近い景観を呈していた。
【0162】また、一端のみを法面上に接着した、実施
例1の本発明臨水法面緑化用基板においては、上と同様
に懸垂された部分が、水面の上下に応動して当該水面上
に浮遊したが、減水時、法面の斜度が60°から80°
に変化する地点の近傍では、当該基板が法面に密着して
被覆されない傾向にあり、不自然な景観であることは否
めなかった。そして、当然、比較例として基板全体を法
面上に接着したものは、増水時にはそのまま水中に没し
たままであった。
【0163】そして、この緑化実験期間を通じて、接着
手段使用部分においてのみ法面上に接着した、実施例2
の本発明臨水法面緑化用基板、及び一端のみを法面上に
接着した実施例1の本発明臨水法面緑化用基板は、用い
たコケ植物の性質に応じて植物体部分が成長し、所望す
る緑化状態を形成した。
【0164】すなわち、スナゴケを用いた本発明臨水法
面緑化用基板では5月上旬には、上記緑化用基板上より
再生芽があらわれ、6月中旬には茶褐色であった上記緑
化用基板が黄緑色となった。6月末には、新植物体の成
長高が1cmまで伸び、縫製糸は完全に被覆され、群落体
が形成された。この時期の植物体は仮根で覆われ、互い
の植物体も仮根で絡み合っており、通常の栽培により成
体化したスナゴケ群落体とほぼ同じ形態となった。
【0165】ハイゴケを用いた本発明臨水法面緑化用基
板では、4月下旬には、上記緑化用基板上より本体頂部
が伸長し、さらに新植物体が基板面を這うように形成さ
れた。その後、6月末には新植物体が成体化して、通常
の栽培により成体化したハイゴケ群落体とほぼ同じ形態
となった。
【0166】トヤマシノブゴケを用いた本発明臨水法面
緑化用基板では、5月中旬には、上記緑化用基板上より
本体頂部が伸長し、さらに新植物体が基板面を這うよう
に形成された。その後、9月末には新植物体が成体化し
て、通常の栽培により成体化したトヤマシノブゴケとほ
ぼ同じ形態となった。
【0167】オオシッポゴケを用いた本発明臨水法面緑
化用基板では、4月下旬には、上記緑化用基板上より新
植物体が形成された。その後、10月中旬には新植物体
が成体化して、通常の栽培により成体化したオオシッポ
ゴケとほぼ同じ形態となった。
【0168】ヒノキゴケを用いた本発明臨水法面緑化用
基板では、4月下旬には、上記緑化用基板上より新植物
体が形成された。その後、10月上旬には新植物体が成
体化して、通常の栽培により成体化したオオシッポゴケ
とほぼ同じ形態となった。そして、その後、当該新植物
体は冬の到来と共に弱体化した。しかしながら、翌年の
4月には再び新植物体が発生し、前年に成体化した植物
体とかみ合いつつさらに新植物体は成体化した。
【0169】ウロコゴケを用いた本発明臨水法面緑化用
基板では、5月下旬には、上記緑化用基板上より新植物
体が形成された。その後、10月下旬には新植物体が成
体化して、通常の栽培により成体化したウロコゴケとほ
ぼ同じ形態となった。
【0170】これらに対して、基板全面を法面に接着し
た比較例においては、常時水面から離れている部分に関
しては、上記と同様の経過で緑化状態を形成したが、水
没部分は、大部分のコケ植物が腐敗してしまい、満足な
緑化状態に至ることができなかった。
【0171】本実施例により、上記緑化方法を用いるこ
とによって、本発明臨水法面緑化用基板を被覆した臨水
法面を容易に緑化できること、そして、特に実施例2に
示した態様の基板は、変化に富む臨水法面であっても、
乾燥時には法面に密着して、より自然に近い景観を提供
することが可能であることが判明し、当該基板の有用性
が裏付けられた。
【0172】
【発明の効果】本発明により、臨水法面の緑化用資材、
当該緑化用資材を用いた臨水法面の緑化方法及び当該緑
化用資材を用いて緑化した臨水法面が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明臨水法面緑化用基板の一実施態様を示し
た全体図である。
【図2】図1に示す、本発明臨水法面緑化用基板の横断
面を示した断面図である。
【図3】図1に示す、本発明臨水法面緑化用基板の具体
的な施工態様を示した概略図である。
【図4】本発明臨水法面緑化用基板の他実施態様を示し
た全体図である。
【図5】図4に示す、本発明臨水法面緑化用基板の横断
面を示した断面図である。
【図6】図4に示す、本発明臨水法面緑化用基板におけ
る浮遊手段使用単位の斜視図。
【図7】図6に示す、浮遊手段使用単位の横断面を示し
た断面図である。
【図8】図6に示す、浮遊手段使用単位の分解斜視図で
ある。
【図9】図4に示す、本発明臨水法面緑化用基板の具体
的な施工態様を示した概略図である。
【符号の説明】
10 臨水法面緑化用基板の一実施例 11 緑化用固定物 12 浮遊手段 15 臨水法面 20 臨水法面緑化用基板の他実施例 21 接着手段使用部分 22 浮遊手段使用部分 22’浮遊手段使用単位 24 浮遊手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生
    育可能な状態を維持可能な固定手段により固定した緑化
    用固定物に、当該固定物全体を水に対して浮遊させるこ
    とが可能な浮遊手段を設けたことを特徴とする臨水法面
    緑化用基板。
  2. 【請求項2】請求項1記載の臨水法面緑化用基板に、当
    該基板の臨水法面に対する接着手段使用部を設けたこと
    を特徴とする臨水法面緑化用基板。
  3. 【請求項3】接着手段使用部が、コケ植物配偶体を当該
    コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
    により固定した緑化用固定物の下面に、板状体を積層し
    てなることを特徴とする請求項2記載の臨水法面緑化用
    基板。
  4. 【請求項4】浮遊手段使用部が、コケ植物配偶体を当該
    コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
    により固定した緑化用固定物の下面に、水に対する比重
    が1未満の板状体を積層してなることを特徴とする、請
    求項1乃至請求項3のいずれかの請求項記載の臨水法面
    緑化用基板。
  5. 【請求項5】水に対する比重が1未満の板状体の素材
    が、発泡性ウレタンであることを特徴とする、請求項4
    記載の臨水法面緑化用基板。
  6. 【請求項6】浮遊手段使用部が、コケ植物配偶体を当該
    コケ植物配偶体が生育可能な状態を維持可能な固定手段
    により固定した緑化用固定物の下面に、比重が1未満の
    板状体を積層してなる積層体を網状体で被包してなる、
    隣接した浮遊手段使用単位を複数個連結してなることを
    特徴とする、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの請
    求項記載の臨水法面緑化用基板。
  7. 【請求項7】コケ植物配偶体を当該コケ植物配偶体が生
    育可能な状態を維持可能な固定手段が、緑化用固定物に
    おける縫製であることを特徴とする、請求項1乃至請求
    項6記載の臨水法面緑化用基板。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項7のいずれかの請求項
    記載の臨水法面緑化用基板に、当該基板の臨水法面から
    の脱落防止手段を設けたことを特徴とする、臨水法面緑
    化用基板。
  9. 【請求項9】脱落防止手段が、請求項1乃至請求項7の
    いずれかの請求項記載の臨水法面緑化用基板の下面に設
    けた紐状部材と臨水法面との連結であることを特徴とす
    る、臨水法面緑化用基板。
  10. 【請求項10】請求項1記載の臨水法面緑化用基板の一
    部を臨水法面に接着し、又は請求項2乃至請求項7のい
    ずれかの請求項記載の臨水法面緑化用基板を、その接着
    手段使用部において臨水法面に接着し、これらの接着部
    分で臨水法面緑化用基板を、当該基板が臨水法面の下方
    の水面に容易に接触可能な位置において、法肩から法尻
    方向に懸垂し、次いで当該基板のコケ植物配偶体を養生
    することを特徴とする、臨水法面の緑化方法。
  11. 【請求項11】請求項8又は請求項9記載の臨水法面緑
    化用基板において、接触手段を設けていない臨水法面緑
    化用基板においては、当該基板の一部を臨水法面に接着
    し、それ以外の臨水法面緑化用基板においては、当該基
    板の接着手段使用部を臨水法面に接着し、これらの接着
    部分で臨水法面緑化用基板を、当該基板が臨水法面の下
    方の水面に容易に接触可能な位置において、法肩から法
    尻方向に懸垂し、さらに当該基板が上昇した水面に対し
    て浮遊可能な態様で、上記請求項記載の脱落防止手段に
    より、当該基板の当該臨水法面における係止度を向上さ
    せ、次いで当該基板のコケ植物配偶体を養生することを
    特徴とする、臨水法面の緑化方法。
  12. 【請求項12】請求項1記載の臨水法面緑化用基板の一
    部を臨水法面に接着し、又は請求項2乃至請求項7のい
    ずれかの請求項記載の臨水法面緑化用基板を、その接着
    手段使用部において臨水法面に接着し、これらの接着部
    分で臨水法面緑化用基板を、当該基板が臨水法面の下方
    の水面に容易に接触可能な位置において、法肩から法尻
    方向に懸垂した臨水法面緑化用基板によって被覆された
    臨水法面。
  13. 【請求項13】請求項8又は請求項9記載の臨水法面緑
    化用基板において、接触手段を設けていない臨水法面緑
    化用基板においては、当該基板の一部を臨水法面に接着
    し、それ以外の臨水法面緑化用基板においては、当該基
    板の接着手段使用部を臨水法面に接着し、これらの接着
    部分で臨水法面緑化用基板を、当該基板が臨水法面の下
    方の水面に容易に接触可能な位置において、法肩から法
    尻方向に懸垂し、さらに当該基板が上昇した水面に対し
    て浮遊可能な態様で、上記請求項記載の脱落防止手段に
    より、当該基板の当該臨水法面における係止度を向上さ
    せた臨水法面緑化用基板によって被覆された臨水法面。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005074390A3 (ja) * 2004-02-10 2005-10-06 Hero Corp コケ稚苗の生産方法及びコケマットの生産方法並びにコケ稚苗

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