JP4947377B2 - コケ植物等の栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コケ植物、具体的には、ミズゴケや、それ以外のコケ植物の養生を効率的に行うための栽培基に関する発明である。
ミズゴケは、正確には、ミズゴケ亜網(Sphagnidae)に属するコケ植物のことをいい、世界に1科1属約150種が、日本に約35種が記録されている。ミズゴケは、コケ植物の中では最も経済的価値の高いものの一つとして知られており、日本では、主に園芸用に用いられることが多い。
また、水面上で泥炭が発達する高層湿原では、ミズゴケが一面に繁茂し、その下に、主にミズゴケの遺骸からなる泥炭層が、深さ数メートルにもわたり形成されることが知られている。このような高層湿原では、数千年という長い期間にわたり、大量の二酸化炭素を固定しており、現在の地球上での、非常に重要な二酸化炭素吸収源であることが知られている。
現在、さまざまな理由により、このような高層湿原が、急速に損なわれつつあり、地球規模の二酸化炭素の固定力の低下による、地球の温暖化の加速が懸念されている。
このような状況下、ミズゴケを大量に、かつ、容易に栽培し得る手段が望まれている。
このようなことを踏まえて、本発明者らは、ミズゴケの大量栽培を可能とするミズゴケ栽培基(以下、従来のミズゴケ栽培基)についての出願を行った[PCT/JP03/16882号:WO2004/060049A1(2004年7月22日国際公開)]。
また、ミズゴケ以外のコケ植物(スナゴケやハイゴケ等)については、既に数多くの養生方法が提案されているが、さらなる提案が待たれている。
従来のミズゴケ栽培基は、ミズゴケの大量栽培を可能とする画期的な技術であるが、さらに、様々な態様のミズゴケの栽培手段を確立することは、ミズゴケによる地球環境の保全の可能性をいっそう高める上で意義あることである。
上記出願公報においても明らかにしたように、ミズゴケの植物体10は、茎部11、葉部及び枝部12(以下、当該葉部及び枝部を「頭部」として総称する)(図1)からなるが、これらのミズゴケ植物体の個別部分は、各々の部分毎に再生能力を有することが知られている(上記公報において明らかにされている)。これらのミズゴケの植物体の部位のうち、従来のミズゴケ栽培基は、ミズゴケ植物体の茎部を主要な養生対象とするものであった。これは、生長ミズゴケを乾燥ミズゴケの集合物に定着させるために、生長ミズゴケにおいて突起している部分が必要であることに起因している。生長ミズゴケを乾燥ミズゴケの集合物への定着は、実用可能な製品を製造する上で、相当の課題を残す作業であり、本発明者は、この点を解決するために、乾燥ミズゴケを束状の集合物として、当該集合物の横断面の隙間に、生長ミズゴケの茎部を差し込む技術を提供した(特願2004−183591号)。これにより、乾燥ミズゴケの集合物への生長ミズゴケの定着工程が効率化されたが、当該技術も、実質的に生長ミズゴケの茎部を必要とする技術である。
仮に、実質的に生長ミズゴケの頭部のみを用いて、生長ミズゴケの栽培を大規模に行うことが可能な技術が提供されれば、生長ミズゴケの茎部を乾燥ミズゴケの集合物に差し込む手間が省け、総体的な作業効率が飛躍的に向上することが考えられる。また、養生対象が実質的に生長ミズゴケの頭部のみであれば、栽培した生長ミズゴケであっても、自生している生長ミズゴケであっても、頭部のみの刈り取りで済ますことが可能であるので、親ミズゴケへのダメージを少なくすることが可能である。頭を刈られた親ミズゴケは、茎部がそのまま再生して短期間で元の状態となることが可能である。このことは、特に、自生しているミズゴケを栽培に用いる場合に意義がある。すなわち、生長ミズゴケの確保のために、自生しているミズゴケに過大なダメージを与えることは、自然保護の観点からすると本末転倒となってしまうことになるからである。よって、生長ミズゴケの頭部を養生対象とする栽培技術は、例えば、自然に存在するミズゴケ湿原の回復作業を行うのに適していることになる。
また、上述したように、ミズゴケ以外のコケ植物(スナゴケやハイゴケ等)については、既に数多くの養生方法が提案されているが、さらなる提案が待たれている。
そこで、本発明の課題は、実質的にミズゴケの頭部のみを用いても容易に行うことのできる、ミズゴケの栽培技術を提供することにあり、さらには、ミズゴケ以外のコケ植物等の新たな養生方法を提供することにある。
本発明者は、この課題を解決するために、まず、ミズゴケの頭部の乾燥ミズゴケの集合物に対する簡便かつ確実な定着手段の検討を行い、さらに、現実的に都会等における過酷な環境(汚れた水、夏期の高温等)にも適用可能な栽培条件の検討を行った。その結果、以下の発明を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。また、驚くべきことに、このミズゴケに対して検討した栽培条件が、ミズゴケ以外のコケ植物、さらには他の植物の継続的な養生に非常に適していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一定の場に載置又は固定されている解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の上面側をコケ植物の植物体との接触部分とし、かつ、当該集合物のコケ植物の植物体との接触部分以外の部分が、当該集合物の下に存在する水と直接的又は間接的に接触可能であることを特徴とする、コケ植物栽培基(以下、本栽培基ともいう)を提供する発明である。また、さらに本発明は、栽培の対象となるコケ植物の植物体が、本栽培基において、湿潤した解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物において形成された隙間に載置されてなることを特徴とする、コケ植物栽培体(以下、本栽培体ともいう)を提供する発明である。
本栽培基にコケ植物を載置した本栽培体は、その使用を施工現場で効率的に行うことが可能であり、かつ、過酷な都市環境(異常高温等の温度要因、汚水等の水要因等)に対しても適用可能であり、さらには、失われてしまった湿原の回復手段として用いることである。
A.コケ植物
本発明は、上述したように、コケ植物の栽培手段を提供する発明であり、その栽培対象としての「コケ植物(植物体):特に断らない限り、ミズゴケとミズゴケ以外のコケ植物を含む」の他に、当該コケ植物と接触させる「乾燥ミズゴケ」を必要とする。
「乾燥ミズゴケ」とは、湿潤状態にあるか否かを問わず、主に、殺菌死滅処理を加えた乾燥ミズゴケ(市販品も可)を意味するものであるが、生長ミズゴケ(生命活動が維持されているミズゴケ)を単純に乾燥したものも含むものとする。
(1)ミズゴケ
本開示において、「ミズゴケ」と記載した場合は、Sphagnum L.を総括的に意味することの他に、特に断らない限り、本発明の直接的な対象物としての「生長ミズゴケ」を意味するものとする。
本栽培体における栽培の対象となる「生長ミズゴケ」、さらに、上述した「乾燥ミズゴケ」共、本発明が適用され得るミズゴケは、コケ植物蘚類 ミズゴケ科 ミズゴケ属(Sphagnum L.)に属する全てを意味し、例えば、日本国原産のものであれば、オオミズゴケ(Sphagnum palustre L.)、イボミズゴケ(Sphagnum papillosum Lindb.)、ムラサキミズゴケ(Sphagnum magellanicum Brid.)、キレハミズゴケ(Sphagnum aongstroemii C.Hartm)、キダチミズゴケ(Sphagnum compactum DC.)、コアナミズゴケ(Sphagnum microporum Warnst.ex Card)、コバノミズゴケ(Sphagnum calymmatophyllum Warnest.& Card.)、ユガミミズゴケ(Sphagnum subsecundum Nees ex Sturm)、ホソバミズゴケ(Sphagnum girgensohnii Russow)、チャミズゴケ(Sphagnum fuscum(Schimp.) H.Klinggr.)、ヒメミズゴケ(Sphagnum fimbriatum Wilson ex Wilson & Hook.f.)、スギハミズゴケ(Sphagnum capillifolium(Ehrh.) Hedw.)、ホソベリミズゴケ(Sphagnum junghuhnianum Dozy & Molk. Subsp. Pseudomolle(Warnest.) H.Suzuki)、ワタミズゴケ(Sphagnum tenellum Hoffm.)、ハリミズゴケ(Sphagnum cuspidatum Hoffm.)、アオモリミズゴケ(Sphagnum recurvum P. Beauv.)、ウロコミズゴケ(Sphagnum squarrosum Crome)等を挙げることができる。また、日本国以外の地域原産のミズゴケを、本発明に適用することも可能であることは勿論である。
これらのミズゴケの中でも、オオミズゴケは、「生長ミズゴケ」としても、「乾燥ミズゴケ」としても、本発明を適用するのに好適なミズゴケの一つである。
本開示における「生長ミズゴケ植物体」とは、茎部と頭部を有する生長ミズゴケの植物体を意味すると同時に、「茎部のみ」、「頭部のみ」、「実質的に頭部のみ」等の、生長ミズゴケ植物体の一部を意味することとする。なお、「実質的に頭部のみ」とは、頭部のみ、又は、頭部と茎部を有するが、茎部がごく短い場合(茎部の長さが、概ね10mm以内、好適には5mm以内(0mmを含む))を意味することとする。
(2)ミズゴケ以外のコケ植物
本発明において用い得る「ミズゴケ以外のコケ植物」[この(2)の欄では、コケ植物という]は、自然界に自生しているコケ植物をそのまま用いることも可能であり、栽培法で得たコケ植物を用いることも可能である。また、いわゆる培養法〔例えば、「植物バイオテクノロジーII」,東京化学同人:現代化学・増刊20の第39頁「蘚苔類の培養」(小野著)等参照のこと〕を用いた「培養ゴケ」を用いることも可能であるが、通常は、栽培法で得たコケ植物を用いることが好ましい。
この栽培されたコケ植物は、通常の栽培法で得たコケ植物を用いることができるが、特に、本発明においては、以下の方法で得られる、コケ植物断片群を用いることが好ましい。
すなわち、生長したコケ植物の群落の頂部近傍を切断し、切断したコケ植物断片を収穫物として用い、切断されたコケ植物の群落の養生を継続して行い、かつ、この養生と収穫のサイクルを繰りかえし行う、コケ植物の栽培方法において得られる、上記コケ植物の断片群を、本発明において用いることができる。
ここで、生長したコケ植物の群落は、天然のコケ植物の群落であっても、通常のパレット栽培で得られるコケ植物の群落であっても、コケ植物を固定した人工基盤を養生して得られるコケ植物の群落であってもよい。コケ植物の群落は、平置きの状態で養生したものであっても、壁面や法面等において養生したものであってもよい。頂部付近の切断を行う時期は、上記の生長したコケ植物が、概ね2〜3cm程度に達した時点が好適である。コケ植物の群落の頂部近傍の切断は、コケ植物の群落の上部(緑が多い部分)を、種々の切断器具、たとえば、ハサミ、バリカン、サンダー等を用いて行うことができる。また、ほうきや刷毛等で、コケ植物の群落の上部をなでつけることによっても、コケ植物の頂部近傍は容易に切断され、所望するコケ植物の断片を得ることができる。
上述した切断工程の後、切断して得たコケ植物の断片は、「収穫物」として、本栽培基において載置されるコケ植物として用いることができる。また、切断された後のコケ植物の群落は、養生を継続して行いコケ植物を再び生長させることができる。この再生長させたコケ植物の群落に対して、再び切断工程を行うことで、コケ植物の断片群を再度得ることができる。この養生と収穫のサイクルを繰りかえし行うことにより、効率的にコケ植物を「収穫物」として得ることができる。
本発明において用い得るコケ植物の種類は特に限定されない。
例えば、Atrichum undulatum(Hedw.)P.Beauv(Namigata-Tachigoke)等のAtrichum P.Beauv.(Tachigoke-zoku); Pogonatum inflexum(Lindb.)Lac.(Ko-sugigoke)等のPogonatum P.Beauv(Niwa-sugigoke-zoku); Polytrichastrum formosum(Hedw.)G.L.Smith等のPolytrichastrum G.L.Smith(Miyama-sugigoke-zoku); Polytrichum commune Hedw.(Uma-sugigoke)等のPolytrichum Hedw.(Sugigoke-zoku); Ceratodon purpureus (Hedw.) Bird.(Yanoueno-akagoke)等のCeratodon Bird.(Yanouenoaka-goke-zoku); Dicranum japonicum Mitt.(Shippogoke)、Dicranum nipponense Besch(O-shippogoke)、Dicranum scoparium Hedw.(Kamojigoke)、Dicranum polysetum Sw.(Nami-shippogke)等のDicranum Hedw. (Shippogoke-zoku); Leucobryum scabrum Lac.(O-shiragagoke)、Leucobryum juniperoideum(Brid.) C.Mull.(Hosoba-okinagoke) 等のLeucobryum Hampe(Shiragagoke-zoku); Bryum argenteum Hedw.(Gingoke)等のBryum Hedw.(Hariganegoke-zoku); Rhodobryum giganteum(schwaegr.)Par.(O-kasagoke)等のRhodobryum(Schimp.)Hampe(Kasagoke-zoku); Plagiomnium acutum(Lindb.)T.Kop.(Kotsubogoke) 等のPlagiomnium T.Kop.(Tsuru-chochingoke-zoku); Trachycystis microphylla(Dozy et Molk.)Lindb.(Kobano-chochingoke)等のTrachycystis Lindb.(Kobano-chochingoke-zoku); Pyrrhobryum dozyanum(Lac.) Manuel(Hinokigoke)等のPyrrhobryum Mitt.(Hinokigoke-zoku); Bartramia pomiformis Hedw.(O-tamagoke) 等のBartramia Hedw.(tamagoke-zoku); Climacium dendroides(Hedw.)Web.et Mohr(Furoso)、Climacium japonicium Lindb.(Koyano-mannengusa)等のClimacium Web.et Mohr(Koyano-mannengusa-zoku); Racomitrium ericoides(Web.et Brid) Brid(Hai-sunagoke)、Racomitrium japonicium Dozy et Molk.(Ezo-sunagoke)、Racomitrium canescens(Hedw.) Brid.ssp.latifolium(Sunagoke)、Racomitrium barbuloides Card.(Kobanosunagoke)等のRacomitrium Brid.(Shimofurigoke-zoku);Hypnum plumaeforme Wils.(Haigoke)等のHypnum Hedw.,nom.cons.(Haigoke-zoku); Thuidium Kanedae Sak.(Toyama-shinobugoke)等のThuidium Bruch et Schimp.in B.S.G.(Shinobugoke-zoku)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これらのコケ植物は、単独種類のコケ植物を用いることは勿論のこと、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。特に、強い日照を好むコケ植物(例えば、スナゴケ、ツノゴケ等)と、日陰を好むコケ植物(例えば、ハイゴケ、シッポゴケ、ヒノキゴケ、カサゴケ等)を組み合わせて用いることにより、本栽培体が用いられる日照環境に依存せずに、コケ植物の生育を維持することが可能となる。
なお、本栽培体のコケ植物(ミズゴケを含む)、さらには他の植物(後述する)を、屋内にて養生する手段については後述する。
B.本栽培基
(1)乾燥ミズゴケの集合物
本栽培基は、栽培対象としての「コケ植物の植物体」(ミズゴケを含む)の支持体となると共に、コケ植物の植物体への、水の供給経路となる「乾燥ミズゴケの集合物」によって構成され、かつ、当該集合物は特定の態様をとっていることを主要な特徴とする。上述したように、本栽培基は、「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」を、その構成として用いることを特徴とする。
この「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」は、例えば、乾燥ミズゴケ(殺菌死滅処理を施して圧縮梱包された市販品。一般には、蘭等の栽培用に市販されている。)を水に浸漬して[浸漬時間は1〜10分程度である。この時間が長くても(例えば、1日)問題はないが、当該時間は短い方が効率的である]、これを圧縮することで、適度に湿潤した乾燥ミズゴケを得ることができる。この「適度な圧縮」の適切な表現の一つとして、「水垂しない程度の圧縮」であり、この圧縮は、典型的には手で絞ることにより行うことができる(握力:約10〜30Kgが想定されるが、これに限定されない)が、機械力で行うことも可能である。所望の湿潤程度の乾燥ミズゴケが調整されたか否かは、手力を用いた場合は、手を離した場合の水垂の有無により容易に判断できる(文字通り、水垂れが認められないことが好適である)。なお、この水の中に、水溶性の糊、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等の増粘多糖類を溶かして、これらの物質による固定力を利用することにより、「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」が初期の期間、一定形状に保たれた状態とすることを助けることができる。
次に、当該「湿潤した乾燥ミズゴケ」をほぐした状態として、本栽培体を作出しようとする場に載置する。この載置は、上記の工程で圧縮された状態の「湿潤した乾燥ミズゴケ」をほぐして、これを、そのままの状態で当該場に載置することにより行うことができる。そのままの状態とは、「フワッとした状態」であり、例えるならば、「固まった状態の生麺(うどん、中華そば麺、日本そば麺、パスタ麺等)をほぐして、そのまま盛りつける要領」で、ソフトに載置を行って得られる状態である。下方向に積極的に圧力をかけて載置すると、当該乾燥ミズゴケの集合物に隙間が少なくなってしまい、生長ミズゴケ植物体を簡便に定着させることが困難になる。
このようにして、所望の解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物を得ることができる。
なお、「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」の態様として、本栽培体において養生した生長ミズゴケの植物体を、当該栽培体から分離して、そのまま乾燥させたものを用いる態様も、主要な態様の一つとして挙げられる(これについては後述する)。また、後述するように、上記の解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物を、コケ植物(ミズゴケを含む)を養生する場に載置して、当該集合物自体の当該場における定着手段を施してなる、乾燥ミズゴケの集合物も、本発明の「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」に含むものである。
(2)乾燥ミズゴケの集合物の載置・定着
後述するように、この解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物は、そのままコケ植物(ミズゴケを含む)を養生する場に載置して本栽培基として用いることにより、風で飛ばされることもなく経時的に、コケ植物を養生することが可能である。しかしながら、後述するキットのように移送することが前提となる場合には、上記場に解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物を定着させる手段を講じて、転倒等によっても当該集合物が脱落しないようにする必要性が高くなる。また、平置きの場であっても、コケ植物(ミズゴケを含む)の養生の場に多様な形態を施す場合、例えば、当該場の内部に池(例えば、地塘を模したもの)を設ける場合には、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物に定着手段を施すことが好適である。
例えば、解かれた状態のミズゴケの集合物を載置する場(凹構造)の底面積が広く、かつ、浅い場合には、当該場において、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の係止機構を設けることが好適である。
かかる係止機構は、特に限定されないが、例えば、上記の場に載置された解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の上に、網状体が被覆された状態にて固定する態様が挙げられる。この場合の網状体は、場に載置された解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物を逆さまにしても、当該集合物を構成する乾燥ミズゴケが網状体の網の目から容易に脱落しない程度の網の目の大きさであることが好適である。具体的には、一つの網の目の大きさが1〜10cm2程度であることが好適である。この大きさが1cm2未満程度よりも小さいと生長ミズゴケの植え付けがしにくくなり、10cm2程度を超えるほど大きいと、網の目から乾燥ミズゴケが脱落しやすくなる傾向が強くなる。このようにして用いる網状体は、上記場が設けられた器からの着脱が自在とすることが可能である。このような着脱自在とする手段としては、例えば、複数の突起を器に設けてかかる突起に上記網状体の網の目を引っかけることが挙げられる。また、もう一歩進んで、互いに嵌合が可能な部材(フック等)の組の一方を網状体に取り付けて、他方を器に設けて、かかる嵌合部材にて脱着を行う態様が挙げられる。この網状体の素材は、水や酸(生長ミズゴケは酸性物質を滲出する)に対して耐性を有する素材、具体的には、ステンレス等の防腐性金属、プラスチック、木綿、麻等が挙げられる。また、事後的に網状体を除去したい場合には、積極的に網状体を上記乾燥ミズゴケ集合物から取り外す他、生分解性プラスチックを網状体の素材として用いることもできる。
また、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の内部に係止機構を設けるのも好適な態様の一つである。この場合は、器において設けられた凹状の場の縁に網状体を固定した態様を挙げることができる。この網状体の固定方法は特に限定されず、網状体を器の凹状の場の縁部に沿って、当該凹状場の底面に対して距離をおいた状態(例えば、当該底面と網状体の面が互いに平行である状態)にて付設する方法を挙げることができる。かかる網状体の付設方法は特に限定されず、例えば、網状体と当該縁部に設けられた嵌合部材による嵌合係止、網状体と当該縁部との熱融着、網状体と当該縁部との接着剤による接着、網状体を器から上方向に向けて固定された棒状部材による支持等を例示することができる。この網状体の素材は、水や酸(生長ミズゴケは酸性物質を滲出する)に対して耐性を有する素材、具体的には、ステンレス等の防腐性金属、プラスチック、木綿、麻、ナイロン等の合成繊維等が挙げられる。また、当該網状体は、既成の網であってもよいし、針金を所望の形状に編み上げることにより形成させてもよい。また、網状体は、一平面上のみに設けてもよいし、当該多数の平面からなる多段構造としてもよいし、一平面上から上方に設けて全体を立体的としても良い。さらに、平面といっても、例えば、当該平面形状は、器の凹部全体を覆うものであってもよいが、その一部のみでもよい。特に、器の凹部の横断面形状の一部のみとすることにより、解かれた状態の乾燥ミズゴケを固定する場を所望の形状とすることが可能となる(例えば、当該場の中に池状の水貯め場を設けることができる)。網状体の網の目の大きさは、特に限定されないが、一般的には、網の目一つの面積が5〜225cm2程度の範囲であることが好適であり、さらに好適には25〜100cm2程度の範囲である。このような網状体を場に設け、乾燥ミズゴケ植物体を当該網状体に対して潜らせたり、絡めたりすること、さらには、乾燥ミズゴケ植物体同士を絡め合わせること等により、乾燥ミズゴケ植物体の集合物として、解かれた状態で、かつ、場において定着した状態が提供される。
(3)水との接触
本栽培基においては、これを構成する「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」における、養生対象となるコケ植物の植物体との接触部分(通常は、本栽培基の上面側に露出した解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の部分)以外の部分が、当該集合物の下に存在する水と直接的又は間接的に接触可能であることを特徴とする。「解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」は、水と接触することにより、当該水をミズゴケ自体の吸水力にて吸い上げて、当該集合物全体を湿潤した状態とすることができる。この湿潤状態となった乾燥ミズゴケの集合物とコケ植物を継続的に接触させることにより、当該コケ植物の養生を行うことができる。このコケ植物の養生については後述する。この解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物と水との接触は、当該集合物が水と直接接触していても、間接的に接触(例えば、「他の乾燥ミズゴケ」が直接的に水と接触しており、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物が、当該他の乾燥ミズゴケと接触することにより実現される)することにより行われる。間接的な接触の典型的な態様としては、上記「他の乾燥ミズゴケ」として、乾燥ミズゴケの集合物を用いる方法を例示することができる。また、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の底部から水に向かって垂れ下がった乾燥ミズゴケの細長形の構成物を介して行うこともできる。この場合の当該細長形の構成物の、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物の底部の面積における設置密度は、概ね1m2当たり1本程度以上であることが好適であり、特に好適には25〜400cm2当たりに1本程度である。ここで用いられる水は特に限定させず、上水(水道水)、中水、雨水、地下水、湖沼水、河川水等の他、クーラー等の使用により発生する水も用いることができる。なお、当該水の水位は、本栽培基の乾燥ミズゴケの集合物において、コケ植物が定着している部分よりも下であることが要求される(具体的には後述する)。また、当該水を貯める場の深さを10cm以上として、降雨を受ける屋外に、本栽培体を設置することにより、初期に水を与えておけば、余程の渇水が続かない限り、新たな水やりがほとんど不必要とすることができる。
本栽培基は、上述の通り製造した当時と同じく湿潤した状態のままで、下記の本栽培体とすることも可能であるが、一旦乾燥させても、ここに記載した通り、水との直接的又は間接的な接触により、容易に湿潤状態を回復することができる。
C.本栽培体
上述のように、本栽培体は、本栽培基において、栽培の対象となるコケ植物の植物体が、湿潤した解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物において形成された隙間に載置されてなることを特徴とする。すなわち、本栽培基の湿潤した解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物上に、生長ミズゴケ植物体の定着を行う。この解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物の湿潤状態は、上述したように、本栽培基の製造工程において実現され、また、乾燥後は、下からの水の浸潤等により容易に実現することができる。
(1)コケ植物体が生長ミズゴケ植物体である場合
用いる生長ミズゴケ植物体は、頭部と茎部が揃っているものでもよいが、茎部が長すぎると、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物への差し込み載置(生長ミズゴケ植物体の解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物表面への「載置」には、この「差し込み載置」を含むこととする)を行わなければならず、個々の植え付け作業の負担が増大する傾向が認められる。よって、好適な生長ミズゴケ植物体は、実質的に頭部のみからなるものが好ましい。具体的には、好適な茎部の長さは、0〜20mm程度、好適には0〜10mm程度、さらに好適には0〜5mm程度である。
このように、生長ミズゴケ植物体の植え付け作業は、当該植物体が実質的に頭部のみである場合が効率的であり、この場合の植え付けは、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物の表面に存在する細かい隙間(凹傾向にある部分)に、ピンセット等(手指でも可能である)で、生長ミズゴケ植物体を、ごく軽い力で押しつけるようにして載置することにより行うことが可能である。また、特に、屋外の平置き型タイプや湿原の回復を行う場合には、ピンセット等による押しつけをおこなわず、生長ミズゴケ植物体の解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物に対するばらまきのみでも、上記植えつけ作業を完了させることも可能である。上述したように、用いる生長ミズゴケ植物体が、実質的に頭部のみで効率的な植え付け作業を行うことが可能であることは、親ミズゴケが、栽培した生長ミズゴケであっても、自生している生長ミズゴケであっても、頭部のみの刈り取りで済ますことが可能であるので、刈り取り後の親ミズゴケへのダメージを最小限で止めることが可能となる。
また、生長ミズゴケ植物体の解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物表面への植え付け密度は、大きい方が好適である(植え付け密度を大きくすることは、植え付け部分全体をブルトとしてとらえることを意味する)。通常(植え付ける生長ミズゴケ植物体が頭部を有する場合)は、植え付けた生長ミズゴケ植物体の頭部同士が触れあう程度であるが、それよりも高い密度で植え付けを行ってもよい。当該植え付け平均密度は、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物表面当該表面0.2〜4cm2あたりに生長ミズゴケ植物体1個となる程度とすることが好適であり、特に好適には、同0.5〜3cm2に生長ミズゴケ植物体1個程度である。このような植え付け密度とすることにより、複数の生長ミズゴケ植物体同士が接触して、互いに水分やミズゴケ特有の成分を融通し合って相乗的に生長を促進させるものと考えられる。生長ミズゴケ植物体個々の生長は、当該植え付け密度が高い方が良好である傾向が認められる。
植え付け密度が小さくなると、生長ミズゴケ植物体同士の接触が起こらず、おそらく、上記の生長ミズゴケ植物体同士の水分や成分の融通ができないために、生長速度が緩慢になる傾向があるものと考えられるが、生長ミズゴケ自体の養生は十分に行うことができる。ただし、余りに植え付け密度が小さいと、ミズゴケ特有の滲出物が十分に周囲に供給されず、藻類等が乾燥ミズゴケへ定着する頻度が高くなると考えられる。このような観点から、生長ミズゴケの植え付け密度は、10cm2に生長ミズゴケ1個体以上とすることが通常である。
(2)コケ植物体が、ミズゴケ以外のコケ植物の場合には、当該コケ植物の植物体における好適には生長点側の任意の切片を、上記のミズゴケと同じ要領で、本栽培基上に載置することで、当該栽培基上の載置を完了することができる。コケ植物体の載置密度が高い方が好適であることもミズゴケの場合と同様である。ミズゴケ以外のコケ植物の場合は、本栽培基上に少量の土を播いた上に載置することが好適な場合がある。具体的には、カサゴケ、ツノゴケ、ハイゴケ等を用いる場合が、この土を用いることが好適な場合に該当する。ミズゴケとミズゴケ以外のコケ植物体は、共に養生対象とすることも可能であり、別個に対象とすることも可能である。ただし、ミズゴケ以外のコケ植物は、ミズゴケと共に養生対象とする方が、本栽培体の乾燥ミズゴケの腐食が生長ミズゴケの滲出物により抑制されるという点において好適である。このミズゴケとそれ以外のコケ植物を、本栽培体において養生する場合は、それぞれを別の場所にて養生することも可能であり、近接させて、又は、混合状態で養生することも可能である。驚くべきことに、本栽培体においては、わずかなミズゴケ以外のコケ植物の植物体の断片でも生長可能である。具体的には、好ましくは生長点を含んで、1〜5mmの長径、好適には、3〜5mmの長径のミズゴケ以外のコケ植物の植物体であっても、生長が可能である(これ以上の大きさのコケ植物の植物体であってもよいことは勿論である)。これは、単位面積当たりに用いるミズゴケ以外のコケ植物の総量を著しく節約可能である、という本発明の大きな特徴の一つをあらわしている。
(3)上記のようにコケ植物体を載置してなる本栽培体は、さらに、コケ植物体を定着させた側の上からの緩水流の流しかけにより、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物全体が締まり、当該コケ植物体と乾燥ミズゴケとの隙間が縮小することにより、乾燥ミズゴケの集合物におけるコケ植物体の定着度を向上させることができる。
なお、ここで用いる「緩水流」は、上水道(通常は、0.05〜1MPa程度の水圧である)をシャワーノズルで連結して得られるシャワー水流や、如雨露からのシャワー水流等を用いることが好適である。
上記(1)〜(2)により得られる本栽培体は、コケ植物体を定着させた乾燥ミズゴケ同士の隙間が未だ開いている状態であり、例えば、この状態のまま、例えば、平置きタイプのコケ栽培体に固定して、屋上等に設置した場合、自然降雨により上記の締まった状態とならない限り、強風等により変形等を起こしてしまう可能性がある。
しかしながら、上記(1)〜(2)により得られる本栽培体の状態でも、例えば、緩水流を流しかける工程を買い主に任せて、当該買い主に一種の満足感を与える場合が想定される。よって、上記(1)〜(2)の段階の本栽培体であっても、十分に独立して流通過程に存在することが可能であり、それにより本発明の実質的な部分が現実世界において実施されることとなる。すなわち、上記(1)〜(2)の段階の本栽培体は、本発明の技術的範囲を構成する態様として存在する。
上記の緩水流の流しかけ工程を経た本栽培体は、湿潤している状態(すなわち、継続的に水分が供給されている状態)においては、雨や風に対して堅牢であり、風雨により、当該集合物自体が崩れたり、定着しているコケ植物体が脱落することがなく、経時的に安定した状態でコケ植物体の養生を行うことが可能である。
D.本栽培体の実施態様
本栽培体は、コケ植物体の養生に適した場において固定された状態で、上記の養生を行うことにより、コケ植物体を伸長させることができる。このようなコケ植物体の養生に適した場の条件として、「水位調整手段が施され、かつ、底部から少なくとも予定水位の高さまでは防水状態が保たれている」ことが挙げられる。ここにいう水位とは、「本栽培体の解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物が吸い上げる水の源となる水の水位」である。そして、当該水位の調整手段としては、防水状態が保たれた予定水位の高さに設けられた排水機構(排水口、排水溝等)や、予定水位の高さにおいて水位を検知して当該水位以上の水の供給を制御する水位調整装置等が挙げられる。このような水位条件を提供することが可能な場に本栽培基を固定して、これに上述した要領でコケ植物を載置して下部水源からの水の供給を行うことにより、コケ植物の養生を行うことができる。なお、当該場を有し、かつ、本栽培体が固定されて組み込まれた、コケ植物体の養生を行うための器を「コケ植物の栽培器」として定義する。当該栽培器の素材は、限定されない。例えば、木、プラスチック、金属、合成繊維、石材等を限定なく用いることができる。このコケ植物の栽培器の代表的な形態としては、(a)上記の水位条件を有する場が、上側が開口した箱状器(ここで「箱状」とは、内側にプールや水槽のように水を溜められる場が設けてある上側が開口した物体を意味するものであり、これを形成する外枠部の形状は限定されるものではない)の内側において形成されている形態(平置き形態:屋上、路上、ベランダ上等の平面におけるコケ植物の養生に適している。また、後述するように特定の照明を用いることにより屋内においてもコケ植物の養生が可能である)である栽培器、(b)上記の水位条件を有する場が、浮力で水に浮くことができる物、具体的には、発泡スチロール、比重が1未満の軽質コンクリート、木材等を主要材料として形成された、比重が1未満の物、において形成された貫通口を含む形態(フロー形態:水上におけるコケ植物体の養生に適している)である栽培器、(c)上記の水位条件を有する場が、垂直面や斜面において突出させてなる上側が開口した容器の内側において形成される場(壁掛け形態:垂直面におけるコケ植物体の養生に適している)である栽培器、等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、本栽培体を、湿原の復元に用いる場合は、当該復元箇所を、コケ植物の栽培領域(ただし、少なくとも生長ミズゴケを含む。生長ミズゴケは、乾燥ミズゴケの経時的な腐食を防ぐために必要だからである)とすることにより、所望する湿原の復元を行うことができる。すなわち、上記の水位条件を有する場を、湿原の復元を行うべき領域における地面にて形成された竪穴とすることにより、当該領域においてコケ植物の養生を行うことが可能であり、その結果、当該領域を、ミズゴケを主体とする湿原として回復させることができる。なお、この湿原回復において本発明を適用する場合には、手作業等による個々の生長ミズゴケ等のコケ植物の載置作業は必ずしも必要ではなく、例えば、当該植物を解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の上から均等になるように、当該乾燥ミズゴケの集合物の表面積に対して適切な個数のコケ植物体をふりかけることによっても行うことができる。
D.室内における養生
従来、特に、ミズゴケやスナゴケのように多くの日照を必要とするコケ植物は、屋内での継続的な養生は難しいとされているが、本栽培体によりコケ植物の養生を行うに際して、コケ植物に向けて3000〜20000ルクス程度、好適には10000〜20000ルクスの光を、光源、例えば、蛍光灯、白熱電球、メタルハライドランプ等、好適には、蛍光灯又はメタルハライドランプ光、極めて好適にはメタルハライドランプ光を継続的に(1日あたり6〜12時間程度、24時間も可能)照射することにより、これらのコケ植物を室内で養生することが可能である。例えば、メタルハライドランプ光を選択した場合の、コケ植物に対する照射角度は、コケ植物に対して概ね垂直上方からの直接光であることが好適である。光量は、コケ植物から30〜100cm程度の距離を隔てた、50〜150W程度のメタルハライドランプからの光量程度である。これと同程度の光量であれば、例えば、より光量の強い光源を、上記の距離よりも遠くとすることや、逆に、弱い光源をより近くとすることも可能である。本発明において用いられるメタルハライドランプについては、例えば、特開2002−343301号に記載のメタルハライドランプ等を用いることができる。
E.養生の結果物
上述した内容にて、コケ植物の養生を行うことが可能であり、これにより、養生の当初はごく小さなサイズのコケ植物体であったものが、特に、生長ミズゴケの場合は、2〜6ヶ月のうちに十分に伸長する。これにより、本栽培体の露出表面の生長ミズゴケ等のコケ植物が稠密に起立し、見た目にも美しくなり、この状態になれば「収穫」が可能になる。この収穫の主要な形態として、生長ミズゴケに対しては、下記(a)(b)の形態を挙げることができる。
(a)生長ミズゴケ植物体の頭部のみを切断する形態
本栽培体において伸長した生長ミズゴケの植物体の頭部を、ハサミ等で切断して、新たな生長ミズゴケの植物体の頭部を得ることができる。この頭部は、新たな本栽培体を構成する要素として用いることが可能であり、また、既存の本栽培体の補修材料として用いることができる(屋外で、本栽培体にてコケ植物を養生する過程で、まれに鳥によるいたずらを被る場合がある)。
(b)生長ミズゴケの植物体全体を分離する形態
本栽培体において伸長した生長ミズゴケの植物体は、その全体を容易に本栽培体から分離することができる。この分離した生長ミズゴケ植物体は、そのまま生長ミズゴケ植物体として用いることも可能であり、乾燥後に乾燥ミズゴケ植物体として用いることも可能である。生長ミズゴケ植物体も、乾燥ミズゴケも、蘭等の植物栽培や土壌改良材として非常に有用である。
特に、この過程において得られる乾燥ミズゴケは、各々の植物体が起立した状態でそのまま乾燥させることが可能であり、はじめから各々の乾燥ミズゴケ間で隙間が空いている。よって、この過程により得られる乾燥ミズゴケは、上述した輸入品等として得られる乾燥ミズゴケと異なり、そのまま水で湿潤させることにより、本栽培体を構成する「湿潤し、かつ、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」として用いることができる。
生長ミズゴケ植物体を分離した乾燥ミズゴケの集合物の表面には、先に定着・養生した生長ミズゴケ植物体の跡として凹凸が残っており、当該凹凸に直接新たに生長ミズゴケ植物体の頭部を載置して、再び、当該新たな生長ミズゴケの植物体の養生を行うことができる。また、生長ミズゴケ植物体を分離した乾燥ミズゴケ植物体ベッド(乾燥ミズゴケ植物体ベッド:コケ植物を載置した解かれた状態のミズゴケ集合物の上から緩水流をかけて、当該集合物の乾燥ミズゴケ同士を引き締めたもの)の表面に、新たに、「湿潤し、かつ、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物」を薄く上層して、当該集合物にて乾燥ミズゴケ同士により形成された隙間に、新たに生長ミズゴケ植物体の頭部の頭部を載置して、上述した過程に従って、当該新たな生長ミズゴケの植物体の養生を行うことができる。
なお、当初より生長ミズゴケの植物体全体の分離・収穫を予定する場合には、乾燥ミズゴケ集合物と生長ミズゴケの植物体の間に網状体[網の目の大きさは、生長ミズゴケの植物体の頭部よりも若干小さい(網の目の平均直径が0.5〜1.8cm程度)ことが好適である]を介在させ、分離時に当該金網を引っ張り上げることにより、さらに容易に生長ミズゴケの植物体の分離作業を行うことができる。
F.他の植物
本栽培体のコケ植物(少なくとも生長ミズゴケを含む)〜乾燥ミズゴケと、他の植物の植物体又は種子(球根も含む)を接触させた状態を保つことにより、当該他の植物の継続的な養生を行うことが可能である。「他の植物」としては、いわゆる水生植物(水中を中心に生活する植物の総称)一般を挙げることができる。具体的には、シュロガヤツリ、地性ラン(アツモリソウ、クマガイソウ、ミズトンボ、シュンラン、トキソウ、カキラン、サギソウ、パフィオペディルム属、フラグミペディウム属、コチョウラン等)、ユキノシタ科に属する植物、葦科に属する植物、アヤメ科に属する植物、モウセンゴケ科に属する植物(モウセンゴケ、コモウセンゴケ、ドロセラファルコネリー、ドロセラペティオラリス、ドロセラアデラエ、アフリカナガバノモウセンゴケ、ドロセラピグミー、イトバモウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケ、イシモチソウ、ハエトリソウ、ドロソフィラムルシタニカム、ムジナモ等)、ムシトリスミレ属に属する植物、ビブリス属に属する植物、ウツボカズラ属に属する植物、セファロータス属に属する植物、サラセニア属に属する植物、ダーリングトニア属に属する植物、ホソバノセイタカギク、等を例示できる。また、芝、イネ、ムギ等の一般的な植物についての養生を行うことも可能である。これらの水生植物や一般的な植物、とミズゴケ(主に乾燥ミズゴケ)を接触させて、当該水生植物を養生する手段は既に提供されているが、これらの既存の手段では、例えば、途中でミズゴケの取り替えを行ったり、頻繁に鉢移し等を行わなければならず、継続的な養生を行うには、相当の手間と経験が必要であった。しかしながら、生長ミズゴケを用いる本栽培体において上記の他の植物を組み込むことにより、生長ミズゴケの連続的な養生と並行して、すなわち、生長ミズゴケの養生を行うだけで、他の植物には何の積極的な手間をかけずに、当該他の植物の継続的な養生を行うことが可能である。
また、この他の植物も、屋内では、上記と同様に、3000〜20000ルクス、好適には10000〜20000ルクス程度の光を、蛍光灯、白熱電球、メタルハライドランプ光等を照射することにより、コケ植物(生長ミズゴケを含む)と並行して養生することができる。
G.キット
本栽培体を用いたコケ植物の養生を効率的に行うために、当該養生を行うためのキットが提供される。代表的なキットの形態としては、例えば、下記の要素(a)(b)のセットが挙げられる。
(a)上述した解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物が定着した本栽培基
(b)コケ植物体(生長ミズゴケであれば、その頭部、それ以外のコケ植物であれば、その生長点を含む断片が好適である)
この形態のキットの場合、例えば、前もって施工現場に要素(a)を移送し、具体的な施工日に合わせて要素(b)を移送して、直ちに施工を開始することが想定される(要素(b)は、生長ミズゴケの植物体の頭部や他のコケ植物の切片の切断日から可能な限り早めに施工することが望ましい)。また、施工場所が海外の場合には、現地の生物の輸入制限との関係から生長ミズゴケの植物体を現地で調達する必要があるために、要素(a)を前もって現地に移送して、事後的に現地で要素(b)を容易して施工することが想定される。
また、上記の(a)(b)のセットに加えて、必要に応じて下記の要素等を加えることが可能である。
(c)他の植物の植物体又は種子
上記の他の植物の植物体又は種子を要素として加えることにより、積極的に当該他の植物の継続的な養生を行うことが可能となる。
(d)コケ植物の栽培用具
例えば、着脱式の(a)を付設するコケ植物の栽培用具である。具体的には、例えば、水槽の縁に沿って嵌合することが可能な構造の本栽培基と組とする水槽(当該水槽は水貯めとして用いられる)、さらには図15(1)及び(2)に示す植物の栽培用容器等が挙げられる。
(e)メタルハライドランプ、蛍光灯等の光源
上述のように、コケ植物等を屋内で養生する場合に必要である。
本発明により、実質的にミズゴケの頭部(葉部及び枝部)のみ、その他のコケ植物の切片を用いても容易に行うことのできる、コケ植物の栽培技術が提供される。これにより、例えば、下記のような効果を得ることができる。
i)コケ植物の炭酸同化作用による空気中の二酸化炭素の削減効果が発揮される。
ii)本栽培体による施工対象物に対する温度安定化効果(例えば、平置きタイプのミズゴケ等の栽培器を屋上に設置した建築物では、夏涼しく、冬暖かく、その結果、冷暖房の使用頻度・強度を現象させることが可能であり、省エネルギー効果が期待される)が発揮される。
iii)本栽培体から絶えず水蒸気が蒸散し、殊に夏期の高温時にはその程度が大きく、気化熱による周辺の空気の冷却効果が期待できる。いわば、継続的な「打ち水」の効果を発揮することが可能である。
iv)コケ植物体を養生するベースとなる部分は、実質的にコケ植物や他の植物のみで構成され、原則として土は全く用いていない(上述したように、ツノゴケやカサゴケやハイゴケ等の例外有り)。これは、例えば、屋上緑化に本栽培体を適用した場合、雨や風により土が全く外部に脱落しないことを意味する。ミズゴケ以外のコケ植物は、ごく小さな断片でも養生が可能であり、著しく当該コケ植物の使用量を節約することができる。
v)本栽培体内に、本来的に高層湿原に生育する植物や他の一般的植物、例えば、モウセンゴケ、ハエトリソウ、サギソウ、芝等の種子等を埋め込みながら、生長ミズゴケ植物体やミズゴケ以外のコケ植物の養生を行うことにより、これらの養生・増殖を継続的に行うことができる。
vi)本栽培体を、生長ミズゴケの収穫目的に用いることも可能である。本栽培体において養生したコケ植物体は、容易に本栽培基から分離することが可能であり、これを新たなコケ植物として活用することも可能である。また、ミズゴケの場合は、乾燥ミズゴケとして用いることも可能である。また、養生した生長ミズゴケの植物体の頭部のみを切断することにより、当該頭部を新たな本栽培体を構成する要素とすることができる。
vii)特に、本栽培体を上述したフロー形態で用いた場合、当該複合体の生長ミズゴケが、本栽培体に接触させる水から、例えば、富栄養化した湖沼等のリンイオンや窒素イオンを吸収することにより、当該水の効果的な浄化を行うことができる。
viii)本栽培体の生長ミズゴケ乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分において、他の植物の植物体又は種子が接触した状態が保つことにより、当該他の植物の継続的な養生を、生長ミズゴケの養生と並行して行うことができる。
ix) 特に、ミズゴケ以外のコケ植物と、他の植物を組み合わせて近接させて養生を行うと、他の植物の生長が先行して行われ、これにより形成される日陰により好適な生育環境を与えられたコケ植物が後からこれに代わり、さらに、その後からは、地衣類や藻類が定着する退行遷移が行われると考えられる。
x)メタルハライドランプや蛍光灯等の光源と組み合わせることにより、屋内でコケ植物の養生を行うことができる。
[ミズゴケの栽培圃場・ミズゴケの人工庭園として用い得る形態(1)]
図2は、ミズゴケの栽培圃場・ミズゴケ人工庭園等として用い得る、本栽培体を用いた平置きの栽培器20に関する一実施態様を、その組み立て工程を併せて示した図面である(縦断面図)。図2(1)において、平地面21の上に、第1の枠状部材231(材質は特に限定されず、木材、プラスチック、金属等を使用可能)を水平に載置し、その枠材の上から防水シート22(ビニールシート等)を、当該枠状部材231の載置により形成される凹部の淵に密着するように被せ、当該枠材の上面の平面形状と実質的に同一の形状の透水部材233(網状部材等)を、防水シート22が被せられた当該枠材の上に載置する。次いで、第1の枠状部材231の枠材の上に重ね合わせることが可能な形状の、第2の枠状部材232を載置固定する。これにより、その外枠に排水可能な隙間234が設けられた、上側が開口した箱状の構造物が構築される。当該箱状構造物の中に、貫通口242が設けられた多数の凹構造が設けられた凹凸板状部材24の凹構造の開口部を上に向けて載置し、その上から、乾燥ミズゴケ25[乾燥ミズゴケ25は、湿潤した状態であっても、乾燥した状態であってもよいが、湿潤した状態(水切りがされていなくてもよい)であることが好適である]を詰め込む。なお、この乾燥ミズゴケ25を詰め込む状態となった、平置き構造体は、この例では丹念に組み立てているが、これと同様の構造と機能の一体成型品とすることも勿論可能である。
乾燥ミズゴケ25は、これを介して、乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731に十分な水を供給できる状態となっていれば、必ずしも、凹凸板状部材24の全ての凹構造に乾燥ミズゴケ25が詰め込まれている必要はない。また、当該凹凸板状部材24は、乾燥ミズゴケ25により形成される第1の乾燥ミズゴケ層に用いる乾燥ミズゴケの量を節約するために用いるものであり、乾燥ミズゴケの量を考慮に入れないのであれば、当該凹凸板状部材24を用いずに、箱状構造物の底に直接に乾燥ミズゴケ25を詰め込んで、これを第1の乾燥ミズゴケ層とすることも可能である。この段階で水26として想定される量の一部を箱状構造物の中に注入することが好適である。また、例えば、当該箱状構造物の中に、煉瓦状部材243等の部材を載置して、当該箱状構造物中の水26の水位の確認口、兼、水26の注入口を設けることが好適である。水26は、例えば、管261を介して箱状構造物中に注入されるが、これに限定されるものではない。また、凹凸板状部材24の開口部よりも上部に、上述した本発明のキットの欄で開示した乾燥ミズゴケの係止手段、例えば、最終的に乾燥ミズゴケの集合物273[図2(2)]の中に隠れるように、かつ、上記開口部の淵よりも高い位置に、網の目一つの面積が好適には5〜225cm2程度の範囲、さらに好適には25〜100cm2程度の範囲の網状体(図示せず)を設け、当該網状体の係止力により乾燥ミズゴケの集合物273の鳥獣のいたずらによる大規模な脱落を防ぐことができる。また、同様の目的から、乾燥ミズゴケ集合物273の上から、上記のキットの欄にて開示したように、一つの網の目の大きさが1〜10cm2程度の網状体を被覆固定することも好適である。
このようにして形成された第1の乾燥ミズゴケ層25の上に、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物273を形成する。この解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物273の形成は、好適には、水に濡らした乾燥ミズゴケ271を手力等により水垂れ(272)しない程度に圧縮して、これを、ほぐして、そのまま、第1の乾燥ミズゴケ層の上に載置することにより行うことができる(この具体的な要領については上述した)。当該解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物273の上側表面全面に、生長ミズゴケ植物体28(自然界に自生するミズゴケの植物体であっても、本栽培体等により栽培されたミズゴケの植物体であってもよい)を載置する(この載置の要領については上述した)。次いで、好適には、生長ミズゴケ植物体28の載置を行った、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物273の上側表面全面に、シャワーノズル291から噴出された緩水流292を流しかけて、当該乾燥ミズゴケ集合物273全体の引き締め処理を行うことで(この処理により、当該乾燥ミズゴケ集合物273の高さが減じ、この減じた高さが、本栽培体20全体の高さH3となる。)、生長ミズゴケ植物体28の定着工程は完了して、上側が開口した箱状の構造物上に乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731が形成される。
最後に、部材243を用いて設けた注水口に水を注ぎ入れて、水26の水位を規定の水位H1とする。当該規定水位H1に達した時点で、余剰な水が枠材間に形成された排水用の隙間から流出しはじめるので、当該流出が認められた時点で注水を中止して、全ての本複合体20の構築作業は終了する。規定水位H1から、乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731の上面までの距離(高さ)は、上述したように、汚れた水の雑成分の生長ミズゴケ植物体28に対するトラップ機能と、特に夏期の気温変動により水26の水温が上昇した場合の温度緩衝機能を、乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731が十分に果たすために必要な高さである。当該高さは、最低2cm以上、好ましくは5cm以上、さらに好ましくは7cm以上設けるべきである。当該高さは、乾燥ミズゴケ集合物が揚水可能な高さまで設定可能であり、20〜30cm以上とすることも可能であるが、当該高さが大きすぎると、余分な乾燥ミズゴケを使うことになり、資源の効率的な使用の観点からは問題が生じる場合もあり得る。なお、この「水位からの高さ」に関しては、特に断りがなくても、本発明の全ての態様について共通する技術的な事項である。
水26は、第1の乾燥ミズゴケ集合物25〜乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731を介して、生長ミズゴケ植物体28に接触し、これと、適当量の日照により、当該ミズゴケ植物体28は養生され、生長し、当該ベッド2731表面は次第にマット状となる。
この形態の本栽培体20は、都会のビルの屋上や、広場、公園等の人工湿原として、特に有用であると考えられる。
本栽培体20において継続的に生長ミズゴケ28を養生することにより、二酸化炭素削減効果、ビル等の温度上昇抑制効果、水26中のリンや窒素を除去することによる水浄化効果等が期待される。また、本栽培体中に、サギソウ、モウセンゴケ、ハエトリソウ、葦等の種子や植物体を仕込むことにより、継続的にこれらの植物の養生を行うことが可能となることも大きな特徴である。
本栽培体20のメンテナンスは、水26の水位がH1近辺にあるように、水やりを、手動又は自動で行うのみで、上記の生長ミズゴケ28の継続的な養生を行うことが可能となる。
図3は、平置きタイプの本栽培体を用いた栽培器にて養生した生長ミズゴケの植物体を分離して用いる態様を示した図面である。
図3(1)は、図2に示した平置きタイプの栽培器を簡略化して示した図面(縦断面図)である。乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731の上に載置・固定して、適当な丈(少なくとも5cm以上が好適である)にまで伸長した生長ミズゴケの植物体281は、手力等で容易に、当該ベッド2731から引き剥がすように分離することが可能である。この分離した生長ミズゴケの植物体281’は、そのまま園芸等の用途に活用することや、他のタイプの環境改善用途にて用いることが可能である。また、このようにして分離した生長ミズゴケの植物体281’を、そのまま適当な場所291に置いて、天日292にて乾燥させることにより、植物体が縦配列の乾燥ミズゴケ集合物71を得ることができる[図3(2)]。
図3(3)は、前述したように、当初より事後的な生長ミズゴケの植物体28の分離活用を行うことが予定されている場合における好適な態様を示している。上述した解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物273への生長ミズゴケの植物体28の載置工程の前に、底部が網状体部分721となっており、好適には縁722付きの網状体72[網の目の大きさは、生長ミズゴケの植物体の頭部よりも若干小さい(網の目の平均直径が0.5〜1.8cm程度)ことが好適である]を、当該乾燥ミズゴケ集合物273の上に載置して、その上から生長ミズゴケの植物体28の載置・定着を行い、上述した工程に従って乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731を形成して、生長ミズゴケの植物体28の養生を行い、これを適当な丈まで伸長させた生長ミズゴケの植物体281とする。次いで、好適には縁722を取手として網状体72を乾燥ミズゴケ植物体ベッド2731から取り外すことで、極めて簡便に生長ミズゴケの植物体281の分離を行うことができる。例えば、この生長ミズゴケの植物体’が縦に配列した形態にて保たれている網状体72を、そのまま天日292にて乾燥させることにより、極めて簡便に縦配列の乾燥ミズゴケ集合物71を得ることができる[図3(4)]。
図3(5)は、上述した工程により得られる縦配列の乾燥ミズゴケ集合物71を用いて、本栽培体を、平置きタイプの栽培器にて構成する態様を示した略式図面である(縦断面図)。図3(1)〜(4)に示した工程にて得た、縦配列の乾燥ミズゴケ集合物は、元々乾燥ミズゴケの個々の植物体同士の間に間隙が形成されているので、輸入品等として得られる乾燥ミズゴケと異なり、そのまま水で湿潤させることにより、本栽培体を構成する「解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物」として用いることができる。図3(5)において、防水された箱状容器731の中に、水732を予定水位733となるように満たし、その中に縦配列の乾燥ミズゴケ集合物71を載置する。その載置の前に、例えば、箱状容器731の中に前記凹凸板状部材24の凹構造の開口部を上に向けて配置し、その上から、乾燥ミズゴケ25を詰め込み、さらに、その上に、縦配列の乾燥ミズゴケ集合物71を載置することもできる。このような凹凸板状部材等の配置により、縦配列の乾燥ミズゴケ集合物71に要求される丈の長さを短くすることが可能である。このような状態とすることにより、乾燥ミズゴケ集合物71自体の給水力により水732を自然に当該乾燥ミズゴケ集合物71に浸潤させることができる。この水が浸潤した状態の乾燥ミズゴケ集合物71の個々の乾燥ミズゴケ植物体710同士の間に形成されている隙間に、生長ミズゴケの植物体(好適には頭部)733を載置する。図3(6)は、この載置の様子(点線で囲んだ部分:734)を示した拡大図である。次いで、好適には、上部から緩水流をかけ流すことにより、平置きタイプのミズゴケ栽培器を構成することができる。
[ミズゴケ湿原の回復に用いる形態(1)]
本栽培体に係る技術は、失われたミズゴケ湿原の回復にも用いることが可能である。図4は、その概略を示した図面である。
図4(1)は、正常のミズゴケ湿原(A領域)と、本来ミズゴケ湿原であった領域が、ミズゴケが失われて活力を失った状態(B領域)を示している。
湿原には一定の地下水位が認められ、当該水位が十分に保たれている場合には、ミズゴケ湿原は維持されるが、当該水位が低下し、植生領域まで十分に水が供給されなくなると、ミズゴケ湿原は失われてしまう。A領域においては、水位(HAa)が十分に保たれているので、水はミズゴケの遺骸層(A2層)を介して、自生しているミズゴケA1まで経時的に供給されており、ミズゴケA1は継続的に二酸化炭素を吸収し、それを、自らの遺骸として蓄積してゆく。この場合、遺骸層A2は、継続的にミズゴケA1から滲出する特有の物質(酸性物質)により腐食することなく、吸収された二酸化炭素も遺骸の中に固定された状態が続くことになる。なお、ミズゴケの遺骸層A2の下には、さらに長年のミズゴケの堆積によるピート層A3が形成されている。ミズゴケ湿原が健在である場合のピート層A3でも、二酸化炭素を封じ込めた状態が維持されている。
これに対して、失われたミズゴケ湿原(B領域)においては、地下水位が、HBb分低下してHBaとなり、植生領域B1まで、当該地下水が供給されなくなり、その結果、ミズゴケA1は失われてしまい、ミズゴケの遺骸層(B2)及びピート層(B3)も、ミズゴケA1の存在による活力が失われてしまう。その結果、領域B1は、一般の植物に覆われはじめることになる。このような一般の植物も、二酸化炭素の固定を行うが、枯れた後は腐食することになるので、その際に折角固定した二酸化炭素は空中に戻ることになる。そこで、二酸化炭素の削減を徹底させるため、また、ミズゴケ湿原に生息する希少な生物を保全するため等に、ミズゴケ湿原の回復作業が重要となってくる。
図4(2)は、本発明によるミズゴケ湿原の回復手段の一態様を示している。まず、ミズゴケ湿原の回復対象となる領域31の掘削を行い、プール状領域を形成する。次いで、当該プール状領域の上から、防水シート32をその凹形状に沿って被せ、その外側部分を地中に埋め、さらに、係止具321による係止等を行うことにより、当該被覆状態を強固に行うことが好適である。さらに、防水シート32で覆われた凹形状部の底部に、石山33を複数設けている。この石山33の設置を行うか否かは選択的であるが、用いる乾燥ミズゴケの使用量の節約のためには、石山33の設置を行うことが好適である。また、周辺部の盛り土332と共に、縁石331(盛り石による)を凹形状部の周辺に設けている。また、水が給水管36から凹形状部の中へ供給可能な状態になっている(注水口の高さは、掘削前の土地の高さよりも高い位置にある)。さらに、プール状領域のすぐ外側に、排水用の水路37(礫石371により補強されている)が、切削前の土地の高さよりも低い位置に設けられている。このようにして構築された、防水がなされた凹構造の上に、水垂が認められない程度に水を切られた湿潤した解かれた状態の乾燥ミズゴケを、当該凹構造の上に緩やかに載置し、上述した生長ミズゴケ植物体35の定着、緩水流の流しかけ工程をへて、これを乾燥ミズゴケ植物体ベッド34とする生長ミズゴケ植物体35は、近隣の失われずに保たれているミズゴケ湿原において自生しているミズゴケの植物体である(好ましくは、実質的に頭部のみの生長ミズゴケ植物体としての使用である)場合もあり、本栽培体等により栽培された生長ミズゴケの植物体である場合もある(この場合は、自生のミズゴケから得られた生長ミズゴケ植物体を用いることが効率的である)。給水管36から提供される水が、最大水位を切削前の土地の高さとして凹構造内において維持される(余剰の水は、縁石331、盛り土332を経て、排水用の水路37に排水される)。当該提供水が、乾燥ミズゴケ植物体ベッド34の中を、ミズゴケの吸水力により上昇し、継続的に生長ミズゴケ植物体35に供給されて養生される。このようにして、失われたミズゴケ湿原の回復を行うことができる。なお、生長ミズゴケ植物体35の切削前の地面の高さ(本実施態様における最大水位)に対する高さは2cm以上、好適には5cm以上、さらに好適には7cm以上設けられている。
図4(3)は、本発明によるミズゴケ湿原の回復手段の他の態様を示している。まず、ミズゴケ湿原の回復対象となる領域41の掘削を行い、プール状領域を形成する。当該プール状領域の最外延部に、第1の粘土層421、その内側に掘削により得られたピート層4のピートモスからなるピートモス等422、及び、その内側に第2の粘土層423を設けて、プール状領域底部に不透水層を形成し、その上に、上述の要領で、乾燥ミズゴケ植物体ベッド43(生長ミズゴケ植物体44)を形成させる。生長ミズゴケ植物体44の定着位置は、切削前の土面の高さよりも2cm以上、好適には5cm以上、さらに好適には7cm以上高い位置にあり、好適には、水位の確認口453が設けられている。水は、水源451から、給水管452を経て、プール状領域内に継続的に提供され、余剰の水は、当該プール状領域外に流れ出して、排水用の水路454(礫石4541により補強されている)に流れ出る。このようにして、乾燥ミズゴケ植物体ベッド43が配置されたプール状領域内に一定の水位が保たれ、当該水が乾燥ミズゴケ植物体ベッド43を介して、生長ミズゴケ植物体44に継続的に供給される。なお、例えば、必要に応じて木杭462を地中に差し込んで、これを支持柱として木板をミズゴケ湿原の回復該当箇所近傍に張り巡らしてなる木道46を設置することもできる。
また、特に、図4に示したミズゴケ湿原の回復を図る場合においては、複数種類の生長ミズゴケを用い、ミズゴケ同士の競合を積極的に起こして、回復該当箇所においてより継続的生育に適したミズゴケを選択することができる[図4(4)]。上記図4(3)の例で示せば、乾燥ミズゴケ植物体ベッド43に定着させた生長ミズゴケ441の群落の上に、それとは異なる種類の生長ミズゴケ植物体442、さらにその上に、生長ミズゴケ植物体443を定着させ(この場合は、生長ミズゴケ植物体442・443は茎部を含んでおり、当該茎部を差し込んで植え付けを行うことが好適である)ることで、所望する積極的な競合を惹起することも可能である。なお、この複数種類の生長ミズゴケ植物体の使用は、あらゆる形態の本栽培体において行うことが可能である。
[壁面において用いる態様(1)]
図5は、本栽培体を、壁面(垂直面)において用いる態様の実施態様を示した図面である。向かって左の図は、当該実施態様の側面図(50A)、向かって右の図は、同正面図(50B)である。
実施態様50の連結型の壁面用ミズゴケ栽培器は、壁面51に固定されたパネル523において、栽培ユニット50A1〜50A4が設けられている。これらの栽培ユニットは、いずれも同一であるが、ユニット50A1への水55の供給は、水源に直結した給水管551を介してなされるのに対し、ユニット50A2への水の供給は、ユニット50A1内の水55の水位が所定の高さH50を超えた余剰水のみを供給するための給水管552によりなされ、同様に、ユニット50A2の余剰水が給水管553によりユニット50A3に供給され、ユニット50A3の余剰水が給水管554によりユニット50A4に供給される。ユニット50A4の余剰水は、排水口555から外部に排出される。本例のように、給水機構を、各ユニット間で連結することの他に、各々のユニット毎に別々に、独立の給水機構を設けることも可能である。
実施態様50の各ユニット共、壁面外側に乾燥ミズゴケ植物体ベッドを設けるための箱状構造(52A1〜52A4)が設けられ、それぞれの箱状構造の中から外側に向かって乾燥ミズゴケ植物体ベッドが露出している(ユニット50A1においては乾燥ミズゴケ植物体ベッド53)。各々の乾燥ミズゴケ植物体ベッドの生長ミズゴケ植物体には、ほぼ一定水位H50に保たれた水55(上記各箱状構造には、各箱状構造の水位H50を保つための水位50Hよりも深い水貯留槽が連続的に結合されている)から、乾燥ミズゴケ植物体ベッドの乾燥ミズゴケを介して水が継続的に供給されて、生長ミズゴケ植物体の継続的な養生が、各ユニットにおいて行われる。なお、水55の最大水位の高さから生長ミズゴケ植物体までの高さは2cm以上、好適には5cm以上、さらに好適には7cm以上である。
なお、上記の箱状構造52A1〜52A4の底部には、例えば、前述した凹凸板状部材24に準じた部材を載置して、乾燥ミズゴケの使用量の節約を行うことが好適であり、さらに、壁面故の乾燥ミズゴケ植物体ベッドを補強するための補強具[例えば、目の粗いネット(2cmマス程度)を、各乾燥ミズゴケ植物体ベッドに被覆する]を用いることも好適な態様である。
このようにして、壁面においても、本ミズゴケ培養基を用いて、ミズゴケの継続的な養生を行うことができる。
図6は、別態様の壁面等への適用例を示している。
図6(1)(i)において、直接的な日照が認められる壁面741において突出させてなる上側が開口した容器742の中において、水743が適正水位にて保たれており、その中に本栽培体75(乾燥ミズゴケ植物体ベッド751、生長ミズゴケの植物体752)が固定されている。この状態を保つことにより、生長ミズゴケの植物体752は伸長するが、10cm程度の高さにまで伸長した段階で、生長ミズゴケの植物体752は、壁面741から外側の方向に傾く傾向が認められるが、壁面垂直方向に対して横架された第1の線状部材761により、この生長ミズゴケの植物体752の傾きが係止されることにより、当該生長ミズゴケの植物体752は、さらに上方向に伸長する。当該生長ミズゴケの植物体752が、さらに10cm程度伸長した時点で再び顕れる外側への傾きも、第2の線状部材762により係止される。同様に第3の線状部材763により、次の生長ミズゴケの植物体752の伸長による傾きも係止される。このようにして、高さに応じて連続して横架させた線状部材761〜763により、生長ミズゴケの植物体752を外側に傾かせることを抑制して、生長ミズゴケの植物体が壁面741に沿って縦に長く伸びて当該壁面を覆い隠すようにすることができる[図6(1)(ii)]。はじめは露出していた線状部材761〜763も、生長ミズゴケの植物体752の茎部から横上方向に伸長する植物体部分7521により覆い隠される[図6(1)(iii)]。なお、図6(1)〜(3)中の矢印74は、生長ミズゴケの植物体752が伸長する方向を示している。
図6(2)は、斜面上に固定した本栽培体の一態様を示した図面である(縦断面図)。平地上に設けられた、好適には表面に防水処理が施されている斜面771上に、透水性のある係止用部材、例えば、斜面771上に、当該斜面上の同一の高さ方向(横方向)に向けて起立させた網状体772を設けて、当該係止用部材を利用して、上述した要領に従って、本栽培体773(乾燥ミズゴケ植物体ベッド7731、生長ミズゴケの植物体7732)が固定されている。斜面下部に防水手段7741が施された水溜槽774に、給水管7743を介して水775が供給されるように設計されている。水775は、揚水管776を介して、揚水ポンプ7761の揚水力により、連続的に斜面771の上部に向けて供給されることにより、当該斜面771上を水溜槽774に向けて流れ落ちることとなる。このように、水775は、水溜槽774→揚水管776→斜面771→水溜槽774と循環する仕組みになっている。水775の総量が不足することがないように、水775は水位調整手段(例えば、水位センサー等)により一定の水位に保たれ、必要に応じて給水パイプ7743から供給される。なお、水775を斜面771の上部にて放出する場合、その放出方向は矢印7710方向(直接斜面771自体に向いた方向)であることが好適である。少なくとも、生長ミズゴケの植物体7732に直接水775がかかることは避けることが必要である。
このような仕組みにより、本栽培体773の生長ミズゴケの植物体7732には、乾燥ミズゴケ植物体ベッド7731を介して、斜面771を流れ落ちる水775が供給され、生長ミズゴケの植物体7732の養生を連続的に行うことができる。なお、乾燥ミズゴケ植物体ベッドは、縦方向のみでなく、横方向へも水を浸潤させる能力が高いため、斜面771を流れ落ちる水は均等に生長ミズゴケの植物体7732に向けて供給される。
[浮島等として用いる態様(フロー形態)(1)]
図7(1)において、事後的に取り外し可能な柔軟性を有する、上側が開口した箱形状の外枠61(ビニール製枠等)の底部に、複数の乾燥ミズゴケの集合物62を垂直方向に立てて、これらの乾燥ミズゴケの集合物62が埋まらない程度の深さで、ウレタンフォーム63(容器631から噴出させている)を、外枠61内に、当該枠の中心近傍が低く、外側を高くなるように充填して、全体的に上側が開口した箱形状となるように固化させる。次いで、当該箱状物の凹部分に前述した要領に従って、乾燥ミズゴケ植物体ベッド64を形成する(生長ミズゴケ植物体65)。この場合、前述のキットの欄で開示した乾燥ミズゴケの係止手段を施すことができる(網状体の被覆であっても、埋め込みであってもよい)。その後、外枠61を引き剥がして、所望する浮島型の本ミズゴケ培養基60を得ることができる。本栽培体60は、これを浮遊させた水の貯留場66から、乾燥ミズゴケ集合物62を介して、その揚水力により、継続的に乾燥ミズゴケ植物体ベッド64に水が供給され、さらに、当該ベッド64を構成する乾燥ミズゴケの揚水力により、当該水は、生長ミズゴケ植物体65に供給される。このようにして、浮島型本栽培体60上で、生長ミズゴケ植物体65の継続的な養生が可能となる。また、ウレタンフォーム層63の一番高い位置から生長ミズゴケ植物体65までの高さは2cm以上であることが好適である(浮島型本栽培体を水に浮かべた場合の、当該複合体内の水位から2cm以上、好適には5cm以上、さらに好適には7cm以上の距離があるべきである)。
なお、所望により、浮島型本栽培体60のウレタンフォーム63で構成される側に、装飾を施すことが、意匠上好適な場合が多い。
当該装飾の最も好適な例として、砂や土等の土質細物66を定着させることが挙げられる。この装飾態様は、自然の風合いを出すことができる上に、上記ウレタンフォーム63で構成される部分の補強手段としても好適である。具体的には、上記ウレタンフォーム63で構成される部分の土質細物66の付着予定箇所に、事後的に硬化し、かつ、固化前は粘調な液体素材を塗布する。かかる事後的な硬化素材としては、接着剤、例えば、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、セルロース系接着剤、合成ゴム系接着剤、紫外線硬化系接着剤、嫌気性接着剤、紫外線嫌気性接着剤等を用いることができる。また、現在、上薬として提供されている製品を用いることが可能であり、例えば、水性の下地安定剤(シーラー)として販売されているアクリル樹脂の水性剤(アトミクス株式会社製等)を用いることが好適である。この塗布の方法は特に限定されず、例えば、上記液体素材を入れた射出用容器(射出用チューブ等)から、当該液体素材を対象物の表面に射出し、これを小手、ローラー、刷毛等で均すことも可能であり、また、吹き付けガンを用いて、当該液体素材を吹き付けることも可能である。
次に、土質細物(砂利、砂、土、陶器粉、ガラス粉、灰類、軽量骨材、粘土、ピートモス、乾燥ミズゴケ粉砕粒子、パーライト等)を、上記の液体素材の塗布部分にふりかけた後、当該液体素材を固化(乾燥、紫外線照射、嫌気等の事後的硬化素材の種類に応じた固化方法による)させることにより、土質細物を付着固定することができる。なお、この付着固定ささせた土質細物の上から、さらに上記の下地安定剤(シーラー)を塗布して乾燥させることも好適に行うことができる。
ここで、この土質細物のふりかけ工程においては、土質細物を粒径別に集め、大きな粒径の土質細物群から小さな粒径の土質細物群へと段階的にふりかけることで、大きな粒径の土質細物粒子の間に小さな粒径の土質細物同士が入り込み、ふりかけ箇所における土質細物のふりかけむらが生ずるのを防ぐことができる。
図8は、フロー形態の本栽培体を用いた栽培器の他の態様を示した図面である。
図8(1)(2)は、当該栽培器の他の態様の製造工程について例示した図面(縦断面図)である。図8(1)では、発泡スチロール等を主体とした、比重が1未満の素材の基板状部材81には、貫通口811が設けられており、当該貫通口の一方の開口部は、好適には、網状体による被覆や、2本以上の棒状体の横架等による、乾燥ミズゴケの集合物の脱落防止手段812が設けられている。次に、水に濡らして圧縮し(821)、次いで、これをほぐした乾燥ミズゴケの集合物(822)を、貫通口811の中にごく軽い力で載置し(8221)、基板状部材81の脱落防止手段812が設けられた側の反対側を上に向けて、この載置した乾燥ミズゴケ8221に接するように、当該上面に解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物を載置する(8222)。次いで、図8(2)にて示すように、乾燥ミズゴケの集合物8222において乾燥ミズゴケ同士の間に設けられている隙間に、生長ミズゴケの植物体83を載置した後、その上から緩水流を流しかけることにより、乾燥ミズゴケ植物体ベッド8223が形成される。これを水84の上に浮かべることにより、水84が乾燥ミズゴケの集合物8221→8222を経て、生長ミズゴケの植物体83に継続的に供給され、生長ミズゴケの植物体83の養生を行うことができる。
図8(2)(縦断面図)では、その表面に顔に似せた装飾を施した、全体の比重が1未満の素材で構成されたドーム状器84(装飾の方法は、図7にて説明した方法に準ずる)において、その底面から頂部にかけて、頂部近傍の開通口851の断面積が広く、底部近傍の開通口852の断面積が狭く、かつ、底部側の開通口852には乾燥ミズゴケの集合物の係止手段が設けられている貫通口85が設けられている。この貫通口85の中に、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物86を軽い力で載置し、さらに、頂部側の当該乾燥ミズゴケ集合物86において形成されている隙間に生長ミズゴケの植物体87を載置し、好適には、この上から緩水流を流しかけることにより、乾燥ミズゴケ植物体ベッドとすることができる。これを水88に浮かばせることにより、生長ミズゴケの植物体83の養生を行うことができる。なお、解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物86が貫通口85中に配置されている器と、別パック89に入った生長ミズゴケの植物体83’を一つのセットとして扱うことが好適な場合がある。例えば、このセットの購入者に対して、生長ミズゴケの植物体83’の配置・固定作業を行わせる楽しみを与えることが可能である。このセット化は、上述したように、他の態様のミズゴケ栽培器でも同様に行うことができる。
[乾燥ミズゴケの細長形の構成物]
図9(1)は、「乾燥ミズゴケの細長形の構成物」の態様を例示した図面(縦断面図)である。立体の網状体011は、平板の網状体0111と0112が複数の指示棒113を介して違いに向かい合った状態で構成されている。第1の乾燥ミズゴケ0121は、上側の網状体0121にその一端が引っかけられた状態で垂れ下がっている。そして、当該第1の乾燥ミズゴケの下端が、下側の網状体0113において、当該第1の乾燥ミズゴケと同様に垂れ下がった状態で固定されている第2の乾燥ミズゴケ0122の上端に接した状態が保たれている、この場合、両乾燥ミズゴケ同士を糸で縛る等の手段により固定されていることが好適である。このような第1の乾燥ミズゴケ0121と第2の乾燥ミズゴケ0122同士が接した組を立体の網状体011において1組以上設け、第2の乾燥ミズゴケ0112の下端が水013と接する状態とすることによって、乾燥ミズゴケ独特の吸水力により、水を第2の乾燥ミズゴケ0122の下端から、第1の乾燥ミズゴケ0121の上端にまで継続的に吸い上げることができる。そして、このような状態とした第1の乾燥ミズゴケ0121の上端を、解かれた状態の乾燥ミズゴケ(図示せず)の下端に接触させることにより、水013を間接的に当該解かれた状態の乾燥ミズゴケに向けて供給することが可能となる。
なお、この第1の乾燥ミズゴケ0121と第2の乾燥ミズゴケ0122の組は、上記のような立体網状体011を用いる以外に、例えば、単純に、複数の乾燥ミズゴケ0123、0124、0125を、糸0141と0142にて、それぞれ結んで連結させた、乾燥ミズゴケの連結体012として(図9(2))、当該連結体012の第1のミズゴケ0123の上端を解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物に接触させて、第3の乾燥ミズゴケ0125の下端を水に接触させることにより、同様の揚水効果を発揮させることができる。また、上端に鈎状部が設けられ、下側に向かってテーパした螺旋状の金具143の螺旋金具の内側に乾燥ミズゴケ0126を差し込んでなる構成物012’の下端を水に接触させて、上端を、鉤状部を、例えば、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物に対して設けられている支持用の網状体に引っかけることにより、乾燥ミズゴケ0126を当該乾燥ミズゴケの下端と接触させて、水を継続的に解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物に供給することができる。
[水槽を用いる形態]
図10は、本栽培体の水槽を用いる態様02(図10(3):縦断面図)を例示した図面である。図10(1)において、水槽021の上側の縁には、嵌合可能な構造の枠材022が、その構造に従い嵌め込まれている。枠材022は、水槽021に対して着脱可能とすることもできる。枠材22の内側には、真ん中の部分024が抜けた形状となるように、網状体023が張設されている。かかる網状体023には、1個以上の乾燥ミズゴケの構成物012’(上記)が、その鉤状部材にて引っ掛かって懸垂状態となっている。この状態の網状体023上に、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物025を載置する(図10(2))。また、水槽021の中に水026を、網状体023に懸垂された乾燥ミズゴケの構成物012’の下端に接するまで注入し、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物025の上に、例えば、生長ミズゴケ0251、食虫植物に代表される他の植物0252、ミズゴケ以外のコケ植物0253を載置して、好適には、その上から緩水流を流しかけることにより、水槽を器として用いた本栽培体023を得ることができる。この本栽培体023においては、水026が、乾燥ミズゴケの構成物012’を介して、継続的に乾燥ミズゴケの集合物025に供給され、コケ植物や他の植物(0251〜0253)の養生を行うことが可能である。水槽021の中で、金魚等を飼育することも可能である。また、本態様02を屋外に置く場合には、そのままで良いが、上述したように、屋内に置く場合には、メタルハライドランプや蛍光灯の照射光を生長対象のコケ植物や他の植物(0251〜0253)に向けて照射することが好適である。
図10(4)は、この水槽を用いる他の態様を示した図面である(縦断面図)。水槽031には、水038が注入されており、水槽031の上縁部には、当該上縁部と嵌合可能な網状体032が嵌合しており、かかる網状体032は、その上部にも網状体パーツ034(当該パーツ034は、網状体032の下面と向かい合うように設けられている)が設けられた立体網状体である。解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物035は、網状体032上に、網状体パーツ034において乾燥ミズゴケの繊維が交差するように載置され、その結果、乾燥ミズゴケの集合物035は、網状体032上に固定された状態となっている。一方、上述したミズゴケ構成物012に準じた033の一端が、網状体032の下部網状体に垂れ下がった状態で固定されている。上記の例と同様に、生長ミズゴケ植物体036、他の植物037(ミズゴケ以外のコケ植物体が加わってもよい)が、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物035上に載置された後、その上から緩水流をかけ流すことにより、水槽を器として用いた本栽培体03が構成され、ミズゴケ構成物033を介して水038が乾燥ミズゴケの集合物035に供給され、上記のコケ植物や他の植物(036〜037)を養生することが可能となる。
[浮島等として用いる態様(フロー形態)(2)]
図11(縦断面図)において、器041は、発泡スチロール等の水よりも軽い素材で構成され、その横断面中心近傍に貫通口0412が設けられ、さらに、その上側の縁の一部に突出部が設けられた平場0411を有する器である。器0411の貫通口0412には、当該貫通口0412の半ばの深さに設けられた第1の網状体0421、平場0411から貫通口0412の入り口近傍に設けられた第2の網状体0422が設けられている。また、平場0411の縁の突出部から、平場0411の底に対して平行面には、第3の網状体044が設けられている。図9に示した態様に準じて、第1の網状体0431から垂れ下がり、貫通口0412の下口から露出している第1の乾燥ミズゴケ0431と、第2の網状体0432から垂れ下がって、第1の乾燥ミズゴケ0431と第1の網状体0422の近傍において接触している第2の乾燥ミズゴケ0432からなる、乾燥ミズゴケの構成物が1セット以上設けられている。このような器041の平場0411の上に、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物045が載置され、第3の網状体044の係止力により、当該乾燥ミズゴケの集合物045は、平場0411にて固定されている。次いで、この解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物045の上に、生長ミズゴケ046、ミズゴケ以外のコケ植物044(食虫植物に代表される他の植物も可能)が載置され、好適にはその上から緩水流がかけ流されて、コケ植物等が乾燥ミズゴケの集合物045において固定される。このような構成の浮島タイプの本栽培体04を、水047に浮かせることにより、本栽培体04は、水047の上に浮上しつつ、乾燥ミズゴケの構成物(0431+0432)を介して、当該水047を水源として、水を乾燥ミズゴケの集合物045に継続的に供給可能となり、コケ植物等(044、046)を養生することができる。
[ミズゴケの栽培圃場・ミズゴケの人工庭園として用い得る形態(2)]
図12は、ミズゴケを中心とした人工庭園05についての概略図面である。人工庭園05は、以下のように構成される。外枠付きの浅広の上部が開口した箱状物051は、その内部から水漏れしないように防水手段が施されている。例えば、防水シートにて、箱の内側を被覆することで、その目的を達成することができる。また、箱状物051の外枠には、その中に入れた水053が一定水位を超えないように、所望の高さに排水口、排水溝等の排水手段が設けられていることが好適である。また、当該外枠の高さを乾燥ミズゴケの集合物054の表面部の高さよりも低く設定し、当該高さを所望する水053の水位とすることも可能である。また、一定水位になると強制的に水053を外部に排出する、センサ−ポンプ機構を設けることも可能である。箱状物051の内側には、外枠から網状体052が、平面上の空白部が、池を設ける予定箇所に沿って形成された状態にて張り巡らされている。また、当該箱状物051の底部から網状体052に向けて、網状体0521がたるまずに一定の高さを保つための支え部材0521を用いることもできる。網状体0521は適宜、上側に向かって立体構造を有している(図示せず)。網状体0521の平面部分には、例えば、前出の乾燥ミズゴケ構成物012’が架けられてぶら下がった状態となっている(図示せず)。解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物054は、乾燥ミズゴケを適宜当該立体部分に絡ませるように載置することにより、載置固定されている。当該乾燥ミズゴケの集合物054の上に、生長ミズゴケ、それ以外のコケ植物、他の植物を適宜織り交ぜて載置して、好適には上から緩水流を流しかけることにより、これらを当該乾燥ミズゴケの集合物054の上に固定することができる。水053から、当該乾燥ミズゴケの集合物054に向けて、乾燥ミズゴケ構成物(012’等)を介して供給され、継続的な養生が可能となる。また、庭園内部に地塘を模した池(0531、0532、0533)を設け、例えば、その上に浮島状の本栽培体(0541、0542)を浮かせ、その上の生長ミズゴケ、他の植物(食虫植物類:05411、アシ・ヨシ類:05421等)を養生することが可能である。また、池に水草05422を配したり、金魚等を泳がせることも可能である。このようにして、人工庭園05が構成される。このような人工庭園は、屋外は勿論、前出のメタルハライドランプや蛍光灯を用いることにより、屋内に設けることも可能である。
[ミズゴケ湿原の回復に用いる形態(2)]
図13(縦断面図)は、例えば、湿原をより自然状態に近い形で回復させる態様を表した図面である。まず、湿原を回復させるべき箇所に竪穴0632を設けて、その底には、防水手段(例えば、粘土層:0611、防水シート層:0612)が設けられている。さらに、ミズゴケ等を積極的に生育させようとする箇所に、木材、竹材、荒縄、ヨシ、アシ、ワラ、茅、ススキ、稲ワラ等、適切な材料062、好ましくは、天然素材品を載置して、その上に解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物063を載置する。材料062には、前述した乾燥ミズゴケの細長型の構成物を懸垂させることができる。水065は、用水路等0651から水路0661を経て供給され、放水路0662から他の用水路等0652に放水され、竪穴0632において一定の水位(少なくとも解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物063の表面より低い)に保たれている。解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物063の上に、生長ミズゴケ、他のコケ植物又は他の植物063を播くことにより、継続的に水065が乾燥ミズゴケの集合物063を間接的又は直接的に接触して、コケ植物等063に供給され、これらが生育することにより、湿原を回復させることができる。乾燥ミズゴケ集合物063を配置しない部分は、池となり、湿原においては地塘に相当することとなる。この部分に例えば、上述した浮島型の本栽培基064を浮かべることにより、より実際に近い形態にて湿原を回復させることが可能である。
[壁面において用いる態様(2):斜面含む]
図14は、斜面において本栽培体を用いる態様を示した図面(縦断面図)である。水076が貯留されたプール状の場071において、斜面が設けられている物体072を載置し、その斜面に沿った表面上に適切な高さで網状体073を設置して、かかる網状体に解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物074を絡ませるように固定して、その上から生長ミズゴケ等のコケ植物075を植え付けて、好適にはその上から緩水流を流しかけることにより、斜面において本栽培体を構成することができる。水076は、乾燥ミズゴケ集合物074から継続的に揚水されることにより、コケ植物075に継続的に供給されることにより、当該コケ植物075の養生を行うことができる。
[壁面において用いる態様(3):斜面含む]
図15は、壁面において本栽培器を用いる、好適な態様の一つを示した図面である。この態様は、例えば、「平板面において突出した容器を一単位として構成され、当該平板面に対する実質的な垂直面にて開口した開口部を有し、当該開口部を構成する突出辺を一辺とする連続面が、当該平板面と接合し、当該接合辺から開口部に向かう中途において、容器内部から外部への排水手段が設けられていることを特徴とする植物栽培用容器。」、として表現される植物栽培用容器を用いる態様であり、好適には、当該栽培用容器では、複数の突出した容器が、一の容器の開口部と他の容器の接合辺が近接した状態で配置固定されていることを特徴としている。
図15(1)は、上記植物栽培用容器の突出部の1単位08Aを示した図面である。08Aは、平板081上に、互いに同一の形状の直角三角形の形状の板状体082と082’が、その直角辺の一方が平板081面において固定されており、当該直角辺の他方は、当該081面において垂直方向に突出している。板状体082と082’の直角三角形の非垂直辺に対して、短辺が当該非垂直辺の長さと同一であり、かつ、長辺が、板状体082と082’間の距離と等しいかやや長い、長方形の板状体083が接着固定されている(板状体038の一方の長辺は、平板081面と接している)。このようにして平板081面上に形成される三角柱状の空間の開口部近傍下方に、網状体084が設けられている(これは、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の係止機構として機能する)。また、網状体084の三角柱状空間の最深部の高さ近傍(やや低いことが好適である)に、排水口0831が貫通口として設けられている。図15(2)は、上述した植物栽培用容器において、複数単位の突出した容器が、複数単位設けられている植物栽培用容器を示した図面である。平板面081’には、上述した(1)の要領で、突出部の1単位08A(排水口0831が設けられている)、08B(排水口0832が設けられている)及び08C(排水口0833が設けられている)が設けられており、かつ、一の容器の開口部と他の容器の接合辺が近接した状態で配置固定されている。このようにして構成される植物栽培用容器08’は、垂直面を形成する角材085と085’に、木ねじ0851と0851’により固定されている。
図15(3)は、植物栽培用容器08’を用いた本栽培器08における突出部08Aと08Bの部分を、矢印080の方向から見た拡大解説図である。すなわち、垂直面に、平板081’は、係止用具0841と0842により固定されている。突出部08A内の網状体084の上に解かれた状態の乾燥ミズゴケ集合物を経由してなる乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862が載置されており、その一部分08621が下部に垂れ下がり、突出部08A内に溜まった水0861に接触している。水0861の貯留方法は特に限定されず、屋外であれば、雨水からの供給が第1に挙げられる。また、それと共に、又は、別個に灌水装置を用いることも可能であり、必要に応じて人力での水やりも勿論可能である。水位が上がり過ぎた場合には、排水口0831から外部に排水され、その水が、下方の突出部08Bに垂れて、再び、突出部08Bにおける供給水となる過程を繰り返す。このような水の循環過程を形成し、突出部08A→08B→08C…08G(図15(4))、と水が下方に順々にかつ均等に供給されることが、この態様の特徴の一つである。突出部08Aの中で、生長ミズゴケ0863は、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862の上に載置されて、水はけが良好で、かつ、水持ちの良い環境の中で、生長することができる。
突出部08Bでは、当該突出部の内部は突出部05Aと同様に構成されている(網状体084に代えて084’、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862に代えて0862’、その垂れ下がり部分08621に代えて08621’、水0861に代えて0861’、排水口0831に代えて0832)。選択的に設けられる網状体0867は、突出部08Bの開口部の上面を覆っており、これにより、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862’は、鳥のいたずら等から保護される。乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862’には、上記の生長ミズゴケ0863に代えて、他の植物0864(例えば、芝等)と、ミズゴケ以外のコケ植物0865が配置されている。このような形態をとる場合、養生初期には、他の植物0864が先行して生長し、板状体083に沿って伸張して、板状体083は、他の植物0864によって覆われることになる。一方、コケ植物0865は、他の植物0864の伸張によって、適度な日陰環境となり、初期生長に都合の良い環境が与えられる。これによりコケ植物0865は、他の植物0864に遅れて生長し、やがて他の植物0865は枯死するが、その後はコケ植物0865が突出部05Bの植物相を支配することとなる。他の植物0865は、その根を残すために、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862’は、より強固になる。コケ植物0865の後、又は、これと共に、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862’上に、藻類や地衣類が自然に定着するものと考えられる。
図15(4)は、本栽培器08の全体像を、矢印080((2))の方向から見たものである。平板081’に沿って、突出部08A〜08Gが順次設けられて、(3)にて述べた水の供給が、上から下へと行われている。配置された、ミズゴケ、ミズゴケ以外のコケ植物、又は、他の植物は、互いに補完・競合しながら、突出部08A〜08Gの斜部に沿って、これを覆うように生長し、本栽培器08は、正面から見ると植物の緑に覆われることとなる。光源087は、特に、本栽培器08を屋内に設置する場合に必要である。光源087を構成するランプは、好適にはメタルハライドランプ又は蛍光灯である。
図16は、本栽培器08を、斜面(屋根面や法面)に用いる態様08’を示した図面である。斜面0810には、突出部08A’、08B’、…、08H’が、開口部と非開口部が互い違いに順次設けられている、本栽培器08’が設置されている。本栽培器08’と、これを形成する突出部08A’〜08H’の基本的構成は、上述した本栽培器08と同様である(08A’を例とすると、排水口0831に代えて0831’、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862に代えて0862’’、その垂れ下がり部分08621に代えて08621’、水0861に代えて0861’、ミズゴケ0863に代えて、「ミズゴケ、他の植物及び/又はミズゴケ以外のコケ植物」0863’)。ただし、網状体0841は、突出部08A内の網状体084とは異なる角度で、突出部内部に設けられている。すなわち、網状体084は、突出部08Aが設置されている垂直壁面に対して、ほぼ垂直の方向に突出する向きとなるように設けられているのに対し、網状体0841は、地平面に対して平行面を形成するように設けられている。このような面取で網状体を設けることは、乾燥ミズゴケ植物体ベッド0862’’の上面を地平面に対して平行とするために有利である。このように、網状体084は、設置壁面の角度に応じて自在に突出部内の角度を、例えば、網状体0841のように変更できるように設計することが好適である(例えば、突出部内で網状体をいくつかの想定される角度にはめ込めるようなはめ込み機構を作成しておき、施工部分の角度に応じて、はめ込み角度を任意選択することが可能にする態様を例示できる)。水は、天然降雨又は積極灌水により、斜面上部から下部に向かって順次供給される。
このような、垂直面、斜面に応じた微調整をするだけで、図15及び図16に示した本栽培器は、ほどよい水の循環を行いながら、植物(ミズゴケ、他の植物、ミズゴケ以外のコケ植物)の養生を継続的・段階的に行うことができる。
以下、本発明の実施例を記載するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
[実施例1]平板型の本栽培体を用いた栽培器
上記図2を用いて示した要領に従って、平板型の本栽培体を用いた栽培器を、日照が確保できるが、ビル風が強い東京都内の5階建てのビル屋上にて作出した(2005年6月19日)。なお、当該栽培器のサイズは、1m×2m(平面)、高さ約5cmの木製の枠材2枠を、これらの枠材の間にプラスチック製の薄い網状部材と共に、防水シートとして用いた5mm厚のビニールシートの外側部分近傍を挟み込んで固定して、上面が開口した箱状の構造物(プール箱)を作成した。その中に、高さ約4cm程度のプラスチック製の凹凸平面部材を全面に載置し、水に浸した乾燥ミズゴケを当該凹凸平面部材の凹部の中に押し込みつつ、当該凹凸平面部材上を水に浸した乾燥ミズゴケで粗く覆った。その上に、上述した要領で、水垂れしない程度に湿潤した、解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物を、約10cmの高さで全面に載置した。載置終了後、実質的に頭部のみで構成される生長ミズゴケ植物体(本栽培体を用いてに栽培したミズゴケの頭部近傍を茎部から刈り取ったもの)を、頭部同士が接する程度の密度(2〜3cm2に1植物体程度)で、当該乾燥ミズゴケ集合物の隙間に位置するように、ピンセットを用いて載置を行った。載置終了後、如雨露で全面に水をふりかけると、乾燥ミズゴケの集合物の高さが2cm程度下に沈んで、隙間が締まり込む様子が確認できた。その後、上記枠材の隙間から水の流出が確認できるまで、水をプール箱の中に汲み入れた。これで、当日の作業を終了した。
その後は、ほぼ毎日1回、水が規定水位を保つ程度にプール内に水を補給した(水の補給は、プール箱の隅の、乾燥ミズゴケを上層せずに設けた水溜めに、水を注ぎ入れることにより行った)。その間、雨天の日や強風の日にも乾燥ミズゴケや生長ミズゴケ植物体の脱落は全く認められず、継続的に生長ミズゴケ植物体が養生されて、生長することが確認された。以下、具体的に示す。
6月26日の朝に、上記栽培器が鳥のいたずらを受け、ほぼ20cm四方にわたって乾燥ミズゴケごとほじくり返されたので、その部分の湿潤した乾燥ミズゴケを手で直し、そこに生長ミズゴケの頭部を定着させるべく試みた。この時点においては、すでに土台となる乾燥ミズゴケ同士の隙間は狭められてしまっており、生長ミズゴケの頭部の定着を行うには、一つ一つ凹部を乾燥ミズゴケ集合物上に設けなければならず、手間がかかり、これを広い部分にわたって行うことは実用的には困難であることが実感された。また、そのような定着作業の困難性故に、生長ミズゴケ植物体同士の定着密度を5cm2に1個体程度とせざるを得ず、その後の生長ミズゴケの植物体の生長自体も、稠密に生長ミズゴケの植物体を定着させた他の部分に比べると明らかに緩慢であった。よって、生長ミズゴケの植物体を稠密(互いの頭部が接触する程度)に定着させることは、生長ミズゴケの植物体の生長を促進する上で非常に重要な要素であり、本栽培体は、これを現実的に実現するために必要な要素であることが明らかになった。
7月26日に台風7号に見舞われ、台風経過後に様子を観察したが、全く、台風の風雨によるネガティブな影響は認められなかった(その時点の生長ミズゴケの植物体の長さは3cm程度)。
また、再び、8月25日に台風11号に見舞われ、台風経過後に様子を観察したが、全く、台風の風雨によるネガティブな影響は認められなかった(その時点の生長ミズゴケの植物体の長さは7cm程度)。なお、この台風11号の東京通過が予想される半日前に、生長ミズゴケ植物体群の一部分離を試みたところ、手力で容易に分離を行うことができた。また、再び分離箇所に当該生長ミズゴケの植物体群を手で載置したが、驚くべきことに、その分離・載置箇所を含めて台風11号の風雨によるネガティブな影響は全く認められなかった。
その後、冬期には、ミズゴケは褐色化し、休眠状態となったが、翌年(2006年)の春には、緑色の再生芽が認められ、初夏には、前年以上の稠密さで美しい緑色のミズゴケで全面が覆われた。この際のミズゴケの植物体の長さは、10〜12cm程度であった。
以上述べたように、生長ミズゴケの植物体の頭部を、上記手順に従って載置した平置きタイプの栽培器を、普段からもビル風が強い屋上に置き、かつ、2度にわたる台風の直撃に遭っても、ミズゴケの脱落等のネガティブな影響は全く認められなかった。これは、本栽培体における生長ミズゴケの植物体の載置・植え付けの簡便性を考慮すると、驚くべき結果であった。また、上記の事後的な生長ミズゴケの植物体の分離と再載置を行った後の台風11号に対する結果により、生長ミズゴケの植物体の養生開始後に、本栽培体の一部を補修しても、その風雨に対する堅牢性が維持されることも明らかになった。また、冬期は、ミズゴケは休眠状態となり褐色化したが、再び、翌年の春以降、再生芽が全面に認められた。これにより、本発明品は、継続的に過酷な外部条件においても、十分に維持されることが認められた。
[実施例2]他の植物を組み込んだ本栽培体(1)
上記実施例1にて説明したものとは別の平板型の本ミズゴケ栽培器(実施例1の栽培器の6ヶ月程度前に試験を開始)において、生長ミズゴケの植え付け終了後、ハエトリソウの葉と、モウセンゴケの種子と、サギソウの球根を別々の場所にごく浅く埋め込んで、実施例1と同様の連続した生長ミズゴケの養生を行った。その結果、当該生長ミズゴケの生長と並行してこれらの他の植物も生長し、徐々に増殖も認められた。
[実施例3]他の植物を組み込んだ本栽培体(2)
図10(3)に示す、水槽を用いたタイプの本栽培体を構築した。用いたコケ植物は、生長ミズゴケであり、それ以外のコケ植物として、ハイゴケ、スナゴケ、カサゴケ、ツノゴケを用い、他の植物としてサギソウを用いた。北向きに窓がある通常のマンションの一室にて、これらの植物から約40cmの距離で、メタルハライドランプ光を昼間10時間にわたって照射した[メタルハライドランプ:ADAソーラーII(アクアデザインアマノ社)]。
約3ヶ月間にわたってこれを継続したところ、上記の全てのコケ植物と他の植物は順調に生育したことを確認した。
なお、メタルハライドランプに代えて、ハロゲンランプを用いた場合は、おそらく熱でコケ植物等が育たず、ランプを用いない場合は、他の植物は枯れ、生長ミズゴケは白化し、他のコケ植物の生長は全く認められなかった。
さらに、メタルハライドランプに代えて、蛍光灯(20Wを2本、ミズゴケ等から約30cmの距離)を用いた場合も、コケ植物や他の植物の生長程度はやや緩慢であるものの、継続的な生長が認められた。
[実施例4]ミズゴケ以外のコケ植物を用いた本栽培体
実施例3と同様の水槽タイプの水供給場とセットとなった本栽培基の上に、スナゴケとハイゴケの長さ3mm程度の植物体片(生長点を含むものと、それ以外のものが混在)を振りかけて、そのまま屋上に放置した。驚くべきことに、これらのコケの旺盛な再生が短期間(2006年3月初旬〜4月下旬)のうちに認められ、風雨による脱落は全く認められなかった。
生長ミズゴケの全体を示した概略図である。 平置きタイプの本栽培体の態様を示した図面である。 平置きタイプの本栽培体を養生した生長ミズゴケの植物体を分離して用いる態様を示した図面である。 本発明を、湿原の回復に用いる態様を示した図面である。 壁面適用タイプの本栽培体の態様を示した図面である。 壁面適用タイプの本栽培体を用いた他の態様を示した図面である。 浮島に似せたフロー形態の本栽培体の態様を示した図面である。 フロー形態の本栽培体を用いた栽培器の他の態様を示した図面である。 乾燥ミズゴケの細長形の構成物の態様を例示した図面である。 本栽培体の水槽を用いる態様を示した図面である。 浮島等として用いる他の態様を示した図面である。 ミズゴケを中心として用いた人工庭園の態様を示した図面である。 湿原の回復に用いる他の態様を示した図面である。 斜面において本栽培体を用いる態様を示した図面である。 垂直面において本栽培体を用いる態様を示した図面である。 斜面において本栽培体を用いる態様を示した図面である。

Claims (3)

  1. 一定の場に載置又は固定されている解かれた状態の乾燥ミズゴケの集合物の上面側をコケ植物の植物体との接触部分とし、かつ、当該集合物のコケ植物の植物体との接触部分以外の部分が、当該集合物の下に存在する水と直接的又は間接的に接触可能であることを特徴とするコケ植物栽培基において、「コケ植物の植物体との接触部分」の乾燥ミズゴケ集合物において形成された隙間に、栽培の対象となる「茎部の長さが0〜20mmの範囲の頭部を含んだ生長ミズゴケ植物体」及び/又は「ミズゴケ以外のコケ植物の植物体の断片」を載置し、当該コケ植物の側に緩水流を流しかけることによりこれらをコケ植物栽培基に固定し、「コケ植物の植物体との接触部分」以外の部分に水を間接的又は直接的に接触させることにより、コケ植物を養生することを特徴とする、コケ植物の栽培方法
  2. コケ植物と一緒に他の植物体又は種子を「コケ植物の植物体との接触部分」に接触させて、コケ植物と共に他の植物を養生することを特徴とする、請求項1に記載のコケ植物の栽培方法。
  3. コケ植物及び/又は他の植物を屋内にて養生する場合に、当該コケ植物及び/又は他の植物に向けてメタルハライドランプ光又は蛍光灯の光を照射することを特徴とする、請求項1又は2に記載のコケ植物の栽培方法。
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