JPH08228523A - 移植機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 根鉢部の水分が多いポット苗であっても、持
ち上がり現象を生じさせることなく、良好に植付けるこ
とができるようにする。 【構成】 苗取爪から放出するポット苗を受け取って土
壌中に植付ける植付カップ５の内方に、カップ内面５ａ
に対し突出し、ポット苗のカップ内面５ａとの接触面積
を減らす凸状体５２を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、野菜などのポット苗を
圃場に移植する移植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種移植機は、特開平３ー８３
００９号公報に記載され、かつ、図１３に示したように
略半円錐状とした一対の割カップＡ１，Ａ１を突き合わ
せた略円錐形の植付カップＡを備え、上方の苗受取位置
では、円錐形状に閉じて、苗取爪（図示せず）から放出
するポット苗Ｐを受止めて垂直状に姿勢保持し、下方の
苗植付位置では、圃場内に突入させると共に割カップＡ
１，Ａ１を開いて内側のポット苗Ｐを地中に置き去りに
するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、以上の移植
機における植付カップＡは、金属板などを略半円錐状に
成形した割カップＡ１，Ａ１を合わせて、ポット苗Ｐの
根鉢部に対応した内面をもった略円錐形に形成されてい
るため、ポット苗Ｐの根鉢部外周がカップ内面と密接状
に接触することになる。この結果、例えば根鉢部の水分
が多いポット苗の場合、ポット苗Ｐの根鉢部が植付カッ
プＡの内面と密着状態となり、ポット苗Ｐの植付カップ
Ａ内面への粘着力が大きくなって、苗植付位置で開いて
ポット苗Ｐを置き去りするとき、該ポット苗Ｐが滑脱し
なくて、持ち上がり現象が生じ、植付不良となる不具合
があった。

【０００４】本発明は、根鉢部の水分が多いポット苗で
あっても、持ち上がり現象を生じさせることなく、良好
に植付けることができる移植機を提供することをその主
目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するため、請求項１記載の発明は、図１，２に示す
ように、苗載台３１の苗を取出す苗取爪４と、この苗取
爪４から放出するポット苗を受け取って土壌中に植付け
る植付カップ５とを備えた移植機において、植付カップ
５の内方に、カップ内面５ａに対し突出し、ポット苗Ｐ
のカップ内面５ａとの接触面積を減らす凸状体５２を設
けた。

【０００６】また、請求項２記載の発明は、図６，７に
示すように植付カップ５の内面に、ポット苗Ｐのカップ
内面５ａに対する滑り抵抗を小さくする滑脱層５３を設
けた。

【０００７】

【作用】請求項１記載の発明では、図１，２に示すよう
に、植付カップ５内に受け取ったポット苗の根鉢部外面
は、凸状体５２と接触してカップ内面５ａとの接触面積
が小さくなっているため、根鉢部の水分が多いポット苗
であっても、苗植付位置で持ち上がり現象を生じさせる
ことなく、良好に植え付けることができるのであり、し
かも、根鉢部の水分が多いポット苗を安定して良好に植
え付けることができるから、乾燥畑等での移植後の活着
を良好にできるのである。

【０００８】また、請求項２記載の発明では、図６，７
に示すように植付カップ５内に受け取ったポット苗の根
鉢部外面は、滑脱層５３と接触して、カップ内面５ａと
の粘着力が小さくなっているため、根鉢部の水分が多い
ポット苗であっても、苗植付位置で持ち上がり現象を生
じさせることなく、良好に植え付けることができるので
ある。

【０００９】

【実施例】図１０〜１２は、移植機として、走行機体１
であるトラクタの後方側に、ユニット形とされた左右一
対の植付ユニット３，３を連結して成る２条植走行タイ
プのものを示している。前記トラクタは、既知のもので
あって、機体１の前方上部にエンジンを搭載し、該エン
ジンの後方側に、ＰＴＯ軸１０をもった走行ミッション
ケース１１を備え、この走行ミッションケース１１の両
側に一対の左右駆動車輪１２を設けると共に、走行ミッ
ションケース１１の上方に油圧型昇降シリンダ１３と運
転席１４とを設ける一方、機体１の後部に、前記昇降シ
リンダ１３により上下に揺動される左右一対のリフトア
ーム１５と、上下動可能な左右一対のロワリンク１６
と、油圧型リンクシリンダから成る一つのトップリンク
１７とを設けている。

【００１０】そして、各リフトアーム１５に連結された
リフトリンク１８の先端を各ロワリンク１６の中間部に
枢着すると共に、各ロワリンク１６の先端部間に、左右
方向に延びる四角筒形のツールバー２０と、後方に延び
る略コ字形のヒッチフレーム（図示せず）とを取付け、
更に、上方に延びる一対のリンクフレーム２１を枢着
し、このリンクフレーム２１の上端部を、前記トップリ
ンク１７の先端部に枢着すると共に、各リンクフレーム
２１の上端間に、左右方向に延びるガイドレール２２を
取付けている。

【００１１】また、前記ヒッチフレームの端部に、自在
軸継手を介して前記ＰＴＯ軸１０に連動するギヤを内装
したＴ形ギヤケース２３を取付け、このギヤケース２３
に、左右方向に延びるＰＴＯ横軸２４を回転自由に支持
すると共に、前記ツールバー２０の左右両端部に一対の
軸受筒２５，２５をもった摺動体２６，２６をスライド
自由に支持し、これら摺動体２６，２６に前記各植付ユ
ニット３，３のユニットフレーム３０，３０を一対のヒ
ッチ板３ａ，３ａを介して支持すると共に、各軸受筒２
５，２５に前記ＰＴＯ横軸２４の両端部を回転自由に支
持している。

【００１２】また、各植付ユニット３，３は、上下部位
にガイドレール３０ａ，３０ｂをもったユニットフレー
ム３０，３０と、前記ガイドレール３０ａ，３０ｂ間に
前後往復動可能に支持され、ほゞ垂直状に立設された苗
載台３１，３１と、この苗載台３１，３１の上に支持さ
れ、多数のポット苗を収容した苗トレイＴから１株分の
ポット苗を突き刺して外部に取出す２本の箸形の苗取爪
４，４と、該苗取爪４，４に連動して所定の植付軌跡を
描きながら上下往復動され、その上部の苗受取位置で前
記苗取爪４から放出するポット苗を受取り、下部の植付
位置でポット苗を圃場に植付ける２つ割とされた植付カ
ップ５，５と、前記ＰＴＯ横軸２４からの回転動力を前
記苗取爪４，４及び植付カップ５，５に伝える一対の植
付駆動機構３２，３２と、各苗載台３１，３１をガイド
レール３０ａ，３０ｂに沿って前後方向に往復動させる
往復動機構（図示せず）と、苗載台３１，３１が往復動
方向の終端位置に移動したとき、該苗載台３１，３１に
支持した苗トレイＴを下方に向かって１ピッチ縦送りす
る縦送機構３３，３３とを設けている。

【００１３】前記各植付駆動機構３２，３２は、各ユニ
ットフレーム３０，３０に固定された植付駆動ケース３
４，３４を備え、この植付駆動ケース３４，３４におけ
る第１出力軸と前記苗取爪４，４との間に、該苗取爪
４，４を苗トレイＴからの苗取位置と植付カップ５の真
上側における放出位置との範囲で往復移動させる爪作動
機構（図示せず）を設け、第２出力軸と植付カップ５，
５との間に、該植付カップ５，５をポット苗の苗受取位
置と圃場内に突入される植付位置との範囲で所定の植付
軌跡を描きながら上下移動させるカップ作動機構３５，
３５を設けている。

【００１４】図１，２に示した実施例の各植付カップ
５，５は、金属板などを略半円錐状に成形した２つの割
カップ５１，５１を突き合わせて略円錐形状に形成して
おり、これら植付カップ５，５の内方に、カップ内面５
ａ，５ａに対し突出し、ポット苗Ｔのカップ内面５ａ，
５ａとの接触面積を減らす縦長状の凸状体５２を周方向
に所定間隔を置いて４個設けたのである。また、この凸
状体５２は、植付カップ３，３内に受止めたポット苗Ｐ
の根鉢部と接触する接触部分にのみ設けているが、この
ポット苗Ｐとの接触領域よりも上方に亘って形成しても
よい。図１，２に示したものは、割カップ５１，５１の
成形時、該割カップ５１，５１の外面部を凹入させて前
記凸状体５２を一体に形成しているが、その他、割カッ
プ５１，５１の成形後、図４，図５に示すように内面に
縦長板材・縦長線状材などから成る突起部材５２ａを溶
接などの結合手段により固着して形成してもよいし、ま
た、この突起部材を着脱可能に取付けてもよい。また、
前記凸状体５２は、複数個設ける他、図３に示すように
各割カップ５１，５１に一つ設けてもよい。

【００１５】以上の構成において、苗受取位置で植付カ
ップ５，５内に受止めたポット苗Ｐは、根鉢部の外面が
カップ内面５ａ，５ａの凸状体５２に接触してカップ内
面５ａ，５ａとの接触面積が小さくなっているため、根
鉢部の水分が多いポット苗であっても、苗植付位置で割
カップ５１，５１を開いて内側のポット苗Ｐを地中に置
き去りにするとき、該ポット苗Ｐが持ち上がるのを防止
できるのである。

【００１６】また、図６，７に示した実施例の植付カッ
プ５，５は、金属材・合成樹脂材などから成る略半円錐
状の割カップ５１，５１の内面に、テフロン樹脂などの
主として合成樹脂材から成る粘着性の小さい溶融材料を
コーティングして、ポット苗Ｐのカップ内面５ａ，５ａ
に対する滑り抵抗を小さくする滑脱層５３を設けてい
る。尚、この滑脱層５３は、植付カップ５，５の内面に
テフロン樹脂などの主として合成樹脂材から成る粘着性
の小さいシートを貼着して形成してもよい。また、図
６，７に示した実施例では、植付カップ５，５の外面に
もテフロン樹脂などの主として合成樹脂材から成る粘着
性の小さい溶融材料をコーティングして滑脱層を設けて
いる。

【００１７】この図６，７に示した実施例では、苗受取
位置で植付カップ５，５内に受止めたポット苗は、根鉢
部の外面がカップ内面５ａ，５ａの滑脱層５３と接触し
て、カップ内面５ａ，５ａとの粘着力が小さくなってい
るため、根鉢部の水分が多いポット苗であっても、苗植
付位置で割カップ５１，５１を開いて内側のポット苗を
地中に置き去りにするとき、該ポット苗が持ち上がるの
を防止できるのである。また、植付カップ５，５の外面
に滑脱層５３を設けることにより、苗植付時における土
の付着を少なくできるので、降雨後などの水分の多い圃
場への植え付けを良好に行うことができるのである。
尚、図１〜５に示した実施例の植付カップ５，５の外面
に滑脱層５３を設けた場合も同様の効果が得られる。

【００１８】また、図１０，１１に示した実施例の苗取
爪４，４は２本の箸形に形成しているが、その他図８に
示すようにポット苗Ｐの根鉢部に突き刺す１本の箸形と
し、この苗取爪４，４の外周に、突き刺したポット苗の
根鉢部上面に当接してポット苗を外部に押し出す押出体
４１を進退可能に設けた構造であってもよい。この後者
の場合、図９に示すように苗取爪４，４の少なくとも先
端側突刺部４ａ，４ａを、断面円形に形成することな
く、厚さよりも広幅の広幅部をもった略長方形状或いは
楕円形状に形成して、ポット苗の保持力を高めるように
するのが好ましい。斯くすることにより、根張り不良等
で根鉢部がくずれ易いポット苗Ｐを苗トレイＴから取り
出す場合であっても、根鉢部のくずれを少なくでき、ポ
ット苗を有効に取り出すことができると共に、この取り
出したポット苗を脱落なく苗放出位置に搬送することが
できるのである。

【００１９】また一方、前記カップ作動機構３５，３５
の伝動ケース３５ａ，３５ａは、植付駆動ケース３４，
３４における第２出力軸の周りに上下に揺動自由に支持
され、この伝動ケース３５ａ，３５ａに、前後方向に延
びる支持フレーム６，６を取付け、この支持フレーム
６，６の前端側に、平行リンク６０，６０を介して均平
フレーム６１，６１を枢支し、該均平フレーム６１，６
１に鎮圧輪６２，６２を転動自由に支持すると共に、支
持フレーム６，６の後端部に、枢支軸６３，６３を介し
て覆土アーム６４，６４を回転自由に支持し、該覆土ア
ーム６４，６４に左右に対向する一対の覆土輪６５，６
５を転動自由に支持し、覆土アーム６４，６４の基端部
と、前記平行リンク６０，６０の一方とをロツド６６，
６６で連結して、鎮圧輪６２，６２と覆土輪６５，６５
とを連動して上下動させるようにする一方、支持フレー
ム６，６の後端部に、前記覆土アーム６４，６４から上
方に向かって延びるアーム６７，６７に係合する植深レ
バー６８，６８と伝動杆６９，６９とを枢支し、植深レ
バー６８，６８の操作により鎮圧輪６２，６２と覆土輪
６５，６５とを連動して同一方向に昇降させ植付カップ
５，５に対する支持高さを調節するようにしている。

【００２０】前記伝動杆６９，６９と各ユニットフレー
ム３０，３０との間には、苗植可能範囲内での植付カッ
プ５，５の植深変化を検出する植深さセンサー７，７を
設けている。この植深さセンサー７，７は、各ユニット
フレーム３０，３０の横杆に上下に揺動自由に支持した
作動体７０，７０と、この作動体７０，７０に対し上下
側に配置し、苗植可能範囲内での植付カップ５，５の植
深変化を検出する上げスイッチ７１，７１及び下げスイ
ッチ７２，７２と、上げスイッチ７１，７１の上方側に
配置され、植付カップ５，５の植深が苗植えの限度であ
ることを検出する上端スイッチ（図示せず）とから成
り、植深さセンサー７，７から出力する検出信号により
リンクバルブ（図示せず）を介して前記トップリンク１
７を伸縮動作させ、前記各植付ユニット３，３を、ＰＴ
Ｏ横軸２４を中心に上下方向に揺動させ、苗の植付深さ
を変更できるようにしている。また、前記支持フレーム
６，６にはアーム８０，８０を介して畝の一側面に当接
する畝センサー８１，８１とガイドローラ８２，８２と
を取付けている。

【００２１】また、前記ツールバー２０に摺動自由に支
持した各摺動体２６，２６に一対の規制バー２７，２７
を枢支し、これら規制バー２７，２７の上端部に設けた
ローラ２８，２８を、各リンクフレーム２１，２１の上
端間に設けた前記ガイドレール２２に転動自由に係合さ
せると共に、前記規制バー２７，２７と前記ヒッチ板３
ａ，３ａから立上がる立上片とを連動リンク２９，２９
によって相対回動自由に連結し、更に、前記機体１に、
前記リフトアーム１５の昇降動作を検出するリフトセン
サー（図示せず）を設け、このリフトセンサーから出力
する検出信号により前記リンクバルブ（図示せず）を介
して前記トップリンク１７を短縮動作させ、前記各植付
ユニット３，３を、ＰＴＯ横軸２４を中心に上方向に揺
動させるようにしている。

【００２２】また、図１０において、８３，８３は各ユ
ニットフレーム３０，３０の前部上方位置と機体１との
間に張設したコイルバネ、８４は各植付ユニット３，３
の高さを調節するゲージ輪、８５，８５は前記鎮圧輪６
２の前方側に位置して、植付カップ５の苗植付部に相当
する位置の畝上面を切開するカッター、８６，８６はこ
のカツター８５，８５と前記鎮圧輪６２，６２との間に
位置して前記カッターで切開した土壌を均平にする均平
板である。

【００２３】尚、本発明の移植機は実施例で示したよう
に多条植形である他、一条植形であってもよいし、ま
た、トラクタに搭載する乗用タイプである他、歩行タイ
プであってもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上のごとく請求項１記載の発明によれ
ば、植付カップ５内にポット苗を受止めたとき、該ポッ
ト苗の根鉢部外面が凸状体５２と接触してカップ内面５
ａとの接触面積を小さくできるから、根鉢部の水分が多
いポット苗であっても、苗植付位置で持ち上がり現象を
生じさせることなく、良好に植え付けることができるの
であり、しかも、根鉢部の水分が多いポット苗を安定し
て良好に植え付けることができるから、乾燥畑等での移
植後の活着を良好にできるのである。

【００２５】また、請求項２記載の発明によれば、植付
カップ５内にポット苗を受止めたとき、該ポット苗の根
鉢部外面が滑脱層５３と接触してカップ内面５ａとの粘
着力を小さくできるから、根鉢部の水分が多いポット苗
であっても、苗植付位置で持ち上がり現象を生じさせる
ことなく、良好に植え付けることができるのであり、し
かも、根鉢部の水分が多いポット苗を安定して良好に植
え付けることができるから、乾燥畑等での移植後の活着
を良好にできるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明移植機の植付カップのみの一部を断面し
た側面図。

【図２】同図１のＸーＸ線断面図。

【図３】同植付カップのみの別の実施例を示す横断面
図。

【図４】同植付カップのみの別の実施例を示す横断面
図。

【図５】同植付カップのみの別の実施例を示す横断面
図。

【図６】同植付カップのみの一部を断面した側面図。

【図７】同図６のＹーＹ線断面図。

【図８】同苗取爪のみの別の実施例を示す側面図。

【図９】同図８のＺーＺ線断面図。

【図１０】同移植機の一部を省略した側面図。

【図１１】同移植機の一部を省略した平面図。

【図１２】同移植機の背面図。

【図１３】従来例の説明図。

【符号の説明】

４……苗取爪 ５……植付カップ ５ａ……カップ内面 ５２……凸状体 ５３……滑脱層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 和雄 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗載台（３１）の苗を取出す苗取爪
   （４）と、この苗取爪（４）から放出するポット苗を受
   け取って土壌中に植付ける植付カップ（５）とを備えた
   移植機において、植付カップ（５）の内方に、カップ内
   面（５ａ）に対し突出し、ポット苗（Ｐ）のカップ内面
   （５ａ）との接触面積を減らす凸状体（５２）を設けた
   ことを特徴とする移植機。
2. 【請求項２】 苗載台（３１）の苗を取出す苗取爪
   （４）と、この苗取爪（４）から放出するポット苗を受
   け取って土壌中に植付ける植付カップ（５）とを備えた
   移植機において、植付カップ（５）の内面に、ポット苗
   （Ｐ）のカップ内面に対する滑り抵抗を小さくする滑脱
   層（５３）を設けたことを特徴とする移植機。