JPH08224836A - 多層パイプおよびその用途 - Google Patents

多層パイプおよびその用途

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JPH08224836A
JPH08224836A JP3214495A JP3214495A JPH08224836A JP H08224836 A JPH08224836 A JP H08224836A JP 3214495 A JP3214495 A JP 3214495A JP 3214495 A JP3214495 A JP 3214495A JP H08224836 A JPH08224836 A JP H08224836A
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JP
Japan
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layer
pipe
polyolefin
inner layer
ethylene
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JP3214495A
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Shukichi Kawamura
修吉 河村
Taichi Negi
太一 祢宜
Sato Hirofuji
俐 廣藤
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)エチレン含有量20〜70モル%、ビ
ニルエステル成分の鹸化度90モル%以上のエチレン−
ビニルエステル共重合体鹸化物(a)100重量部に対
し、粒子径0.1μm以下の微粒子無機物(b)を0.
01〜5重量部、および炭素数4〜24の高級脂肪酸、
その金属塩、エステルおよびアミドから選ばれた1種ま
たは2種以上(c)を0.005〜5重量部含有する樹
脂組成物よりなる外層または外層寄りの層、(B)ポリ
ブテンまたは架橋ポリオレフィンよりなる内層または内
層寄りの層および(C)それらの層を結合する接着剤層
を有する多層パイプ、および、これら多層パイプからな
る温水または熱水循環用パイプ。 【効果】 本発明の多層パイプは、耐久性、耐腐食性、
柔軟性、耐熱性などの特性に優れ、酸素ガスやその他の
気体を通さずガスバリアー性に優れ、紫外線遮断性に優
れているのでパイプの劣化が少なく、長期間にわたって
温水や熱水などを通してもそれらの性能は低下しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリア−性と紫外
線吸収機能とを兼ね備えたプラスチック多層パイプに関
する。詳細には、温水(熱水)循環法によるセントラル
ヒーティング、集中フロアーヒーティング等の設備、そ
の他の温水や熱水の供給,循環,排出設備などに使用す
るのに適するプラスチック多層パイプに関するものであ
り、本発明の多層パイプは施工性および酸素などの気体
遮断性を有し、且つ紫外線などでプラスチィック表面を
劣化することがない。
【0002】
【従来の技術】フロアーヒーティングやセントラルヒー
ティングなどの温水や熱水の循環用パイプとしては、従
来、鉄、銅などの金属パイプが主に用いられてきた。こ
れらの金属パイプは施工時にコンクリート内に埋め込ま
れたり、床下や床上の立上がり部分に設置され。これら
の設備は、例えば約30〜50年というような長期にわ
たっての耐久性が要求される。しかし、従来の金属パイ
プは比較的高価であり、しかも溶接などが必要なため施
工性に劣り、溶接部で漏水などを生じ易く、また鉄製パ
イプの場合は腐食しやすいという欠点がある。
【0003】上記の点から、金属パイプに代わり、軽量
であり、しかも継ぎ目が少なくて溶接部での漏れの心配
のないプラスチックパイプが熱水や温水の循環用パイプ
として近年用いられるようになり、例えば架橋ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィ
ン製パイプが使用されている。しかしながら、プラスチ
ックパイプを使用した場合には、フロアーヒーティング
などの設備で使用する熱交換器やポンプなどの装置にお
ける金属部分の腐食が大きくなったり、紫外線の影響で
プラスチック表面が劣化するという問題が新らたに発生
している。この金属部分の腐食は、プラスチックパイプ
のパイプ壁を通して大気中の酸素ガスや炭酸ガスなどが
パイプ内に侵入してパイプ内を流れる温水や熱水に溶解
し、この溶存ガスが金属部分を腐食するために生じる為
で紫外線による劣化は、太陽光線によるものである。
【0004】従来、ガスバリアー性と紫外線遮断機能と
を兼備えた構造体を得る方法としては、ガスバリアー性
樹脂として塩化ビニリデン共重合体、ビニルアルコール
共重合体、アクリロニトリル共重合体などを用い、紫外
線遮断機能はベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導
体、安息香酸誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体などの
紫外線吸収剤を樹脂、接着剤、インキなどに練込み多層
化する方法が知られている。しかし有機物系の紫外線吸
収剤の多くは、250nm付近の紫外線を遮断できない
こと、紫外線吸収剤自身の変質による吸収能の低下の問
題がある。
【0005】特開平1−253442号公報には、エチ
レンモノマー単位を20〜50モル%含むエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体樹脂55〜97重量%とポリア
ミド、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリカーボ
ネートから選ばれる少なくとも一種の樹脂45〜3重量
%からなる組成物の中間層を有するガスバリアー性多層
包装体について述べられており、中間層の組成物には、
安定剤としてステアリン酸カルシウム、着色剤として酸
化チタン、を含んでも良いとの記述がある。しかし該公
報の酸化チタンは、着色剤として使用されているもので
あり、本発明の酸化チタンに比べ粒子径が大きいもので
あり、作用効果も異なる。またステアリン酸カルシウム
も安定剤として添加されており、紫外線遮断性が改善さ
れることに関する記述もない。
【0006】特開平3−72541号公報には、ポリオ
レフィン、エチレン含有率20〜65モル%、酢酸ビニ
ル成分の鹸化度96モル%以上であるエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体鹸化物、酸化チタン、炭素数8〜22の高
級脂肪酸金属塩からなる組成物について述べられてい
る。しかし該公報は、焦げ、目ヤニ、流動異常を解消す
ることに関するものであり、酸化チタンはポリオレフィ
ンとEVOHの相溶性改善のために用いられており、特
定の粒径を持つ酸化チタンが紫外線遮断性を示すことに
関しての記述がない。しかも紫外線吸収剤として列記さ
れているものの中にも酸化チタンは含まれていない。さ
らに炭素数8〜22の高級脂肪酸金属塩は、ポリオレフ
ィンの残存触媒であるチタニウム化合物を含む場合に焦
げ、目ヤニ、流動異常の解消に特に効果があると述べて
おり、紫外線遮断性が改善されることに関する記述もな
い。
【0007】また、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化
物はポリビニルアルコールやポリ塩化ビニリデンなどに
比べて成形加工性が優れており、そのためプラスチック
パイプの最外層に設けることが既に提案されているが
(特開昭61−83035号公報、特開昭61−140
691公報)、それにより得られるパイプは紫外線に対
して耐性が無く、ヒビ割れの原因になる。上記のような
異常が発生した場合には簡単に取り替えることができな
いことから、大きなトラブルの原因となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、ガスバリ
アー性と紫外線遮断機能とを兼備えた耐久性の優れた構
造体を得る方法に未だ十分なものがなく、かかる特性を
有する構造体の多層パイプの開発が長年望まれていた。
しかして本発明は、耐久性に優れ、さらに施工性に優れ
たプラスチックパイプ、特に温水や熱水の循環、供給、
排出経路で用いるのに適するプラスチックパイプを提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、(A)エチ
レン含有量20〜70モル%、ビニルエステル成分の鹸
化度90モル%以上のエチレン−ビニルエステル共重合
体鹸化物(a)100重量部に対し、粒子径0.1μm
以下の微粒子無機物(b)を0.01〜5重量部および
炭素数4〜24の高級脂肪酸、その金属塩、エステルお
よびアミドから選ばれた1種または2種以上(c)を
0.005〜5重量部含有する樹脂組成物よりなる外層
または外層よりの層、(B)ポリブテンまたは架橋ポリ
オレフィンよりなる内層または内層寄りの層および
(C)それらの層を結合する接着剤層を有する多層パイ
プを提供することによって達成される。
【0010】本発明の多層パイプでは、その外層または
外層寄りの層(A)[以下両者を総称して「外層
(A)」という]に用いる、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体鹸化物(a)(以下EVOHと略記する)と
はエチレン−ビニルエステル共重合体鹸化物であり、エ
チレン含量は20〜70モル%が好ましく、さらに好適
には22〜65モル%であり、またビニルエステル成分
の鹸化度は90%以上が好ましく、さらに好適には95
%以上である。エチレン含量が20モル%未満では溶融
成形性が悪く、ガスバリアー性および熱安定性が悪くな
る。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なもの
としてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル
(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用
できる。また、EVOHに共重合成分としてビニルシラ
ン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合に
は共押出しする際の基材樹脂との溶融粘性の整合性が改
善され、均質な共押し出し多層フィルムの製造が可能な
だけでなく、EVOH同士をブレンドして使用する際の
分散性が改善され成形性などの改善の面で有効である。
ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタ
クリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。な
かでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシランが好適に用いられる。さらに、本発明の目的が
阻害されない範囲で、他の共単量体[例えば、プロピレ
ン、ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステル
{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルメ
チル、エチル)など}、ビニルピロリドン(N−ビニル
ピロリドンなど)をブレンドすることもできる。また、
本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス
(MI){190℃、2160g荷重下で測定した値;
融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2
160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対
数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトインデックス
(対数)を縦軸としてプロットし、190℃に外挿した
値}は0.1〜50g/10分、最適には0.5〜20
g/10分である。
【0011】また、EVOHには更に少量のプロピレ
ン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、
オクテン等のα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン
酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリ
ル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシラ
ン等のビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その
塩、アルキルチオール類、N−ビニルピロリドン等の共
重合成分を含んでいても差支えない。
【0012】また、EVOHはエチレン含有量の異なる
2種類以上のEVOHの混合物であってもよく、また、
重合度や化度の異なる2種類以上のEVOHの混合物で
あってもよい。さらに、エチレン含有量と重合度や鹸化
度が共に異なっていてもよい。
【0013】さらにまた、EVOH層が、エチレン含有
量が異なる2種以上のEVOHの多層体であっても良
い。このような場合には、すべての層が本発明の組成物
であっても良いが、特定の層のみが本発明の組成物であ
っても良い。またEVOHの多層体は、すべての層が二
軸延伸されていても良いし、特定の層だけが二軸延伸さ
れていても良いし、さらにすべての層が無延伸であって
も良い。またEVOH層の表面が、硼酸やホルマリンを
初めとする各種アルデヒドで架橋処理されていても良
い。さらに表面にアルミニウム、酸化アルミニウム、酸
化珪素等の金属および金属酸化物が蒸着されていてもよ
い。
【0014】また、EVOHには、本発明を阻害しない
範囲で、酸化防止剤、色剤、有機系紫外線吸収剤、滑
剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、フィラ−、
無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレフィ
ン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
【0015】本発明において、微粒子無機物(b)とし
ては、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型を問わな
い)、酸化鉄、酸化亜鉛、タルク、カオリン、炭酸カル
シウムなどの微粒子が挙げられるが、屈折率が大きく化
学的に安定な酸化チタンが好ましい。無機微粒子として
は無機物の種類よりも、粒子径が0.1μm以下、好ま
しくは0.08μm以下、さらに好ましくは0.06μ
m以下の物であることが重要である。粒子径が0.1μ
mを越えると紫外領域だけでなく可視領域にも吸収が現
れやすく、しかも不透明になりやすい。粒子径が0.0
01μm未満の物も使用可能であるが、製造に困難さが
あることと、またあまりに小さいと紫外線遮断性に劣る
事があること、さらにまた微粒子が凝集して完全分散し
にくくなるため、0.001μm以上の粒子径が好まし
い。なお粒子径は、透過型電子顕微鏡を用い5万倍で観
察して、1μm角視野内の粒子(二次凝集している場合
は、それを構成している一次粒子)の任意の20個の直
径(針状やラグビーボール状で球状でないときは直径)
を測定した値の平均値をいう。
【0016】このような微粒子無機物は、無機物をミル
などにより粉砕することでも得られるが、酸化チタンで
は四塩化チタンを気相で酸素・水素炎中で加水分解する
方法、チタンのアルコキシドを霧化した後含酸素炎中で
加水分解する方法、硫酸チタニルを加水分解し、得られ
た水酸化チタンを焼成する方法などが挙げられる。酸化
鉄では含水酸化鉄を加熱し、その結晶水を除く方法、酸
化鉄と炭酸バリウムを混合・焼成法または共沈・塩触媒
法で一旦バリウムフェライトを得、これよりバリウムを
抜く方法などが挙げられる。酸化亜鉛では塩基性炭酸亜
鉛、シュウ酸亜鉛、水酸化亜鉛などを加熱分解するか、
脱水温度で仮焼する方法などが挙げられる。製法が重要
なのでなく、前述した粒子径が重要である。これら微粒
子無機物の表面は、酸化アルミ、有機シロキサン、酸化
珪素、脂肪酸などで表面処理が施されていても良い。
【0017】本発明において、粒子径0.1μm以下の
微粒子無機物(b)の添加量は、EVOH(a)100
重量部に対し(b)を0.01〜5重量部、好ましくは
0.05〜4重量部、より好ましくは0.1〜4重量部
である。(b)の添加量が0.01重量部未満では紫外
線遮断性が無い為パイプの劣化が生じ満足すべき耐久性
が得られず、添加量が5重量部を越えると紫外線遮断性
は同じにもかかわらず、分散不良によるブツ発生や、可
視領域にも吸収が現れる。
【0018】本発明において用いられる、炭素数4〜2
4の高級脂肪酸、その金属塩、エステル、アミド(c)
において、炭素数4〜24の高級脂肪酸としては、直鎖
または分岐を持つ炭素数4〜24の飽和および不飽和脂
肪酸であり、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン
酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステア
リン酸、イソステアリン酸、リシノール酸、エルカ酸、
ベヘニン酸などが例示される。炭素数が4未満では、微
粒子無機物(b)のEVOH(a)中への分散が悪い。
炭素数が24を越えると(c)自身がEVOH(a)中
への分散が悪くなる。炭素数が4〜24の場合には、微
粒子無機物(b)と(c)自身のEVOH(a)中への
分散が良好となり(b)の添加量が同じでも紫外線遮断
性が良好となる。
【0019】炭素数4〜24の高級脂肪酸の金属塩とし
ては、上記高級脂肪酸とリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウ
ム、亜鉛などの金属との塩が例示される。
【0020】炭素数4〜24の高級脂肪酸のエステルと
は、前記高級脂肪酸と水酸基を持つ化合物とのエステル
であり、水酸基を持つ化合物としては、メタノール、エ
タノール、エチレングリコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、
グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、蔗
糖、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、オ
クタノール、エチルヘキシルアルコール、ラウリルアル
コール、オレイルアルコール、ステアリルアルコールな
どのアルコールが例示される。
【0021】炭素数4〜24の高級脂肪酸のアミドと
は、前記高級脂肪酸とアミノ基を持つ化合物とのアミド
であり、アミノ基を持つ化合物としては、アンモニア、
メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、メチ
ロールアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、
オクチルアミン、エチルヘキシルアミン、ラウリルアミ
ン、オレイルアミン、ステアリルアミンなどのアミンが
例示される。
【0022】本発明において、(c)としては、上記に
例示した高級脂肪酸、およびその高級脂肪酸の金属塩、
エステル、アミドより選ばれた1種または2種以上の混
合物を使用する事が可能である。
【0023】本発明において、(c)の添加量は、EV
OH(a)100重量部に対し0.005〜5重量部、
好ましくは0.01〜4重量部、さらに好ましくは0.
03〜3重量部である。0.005重量部未満では微粒
子無機物(b)のEVOH(a)中への分散が悪くな
る。一方、5重量部を越えても微粒子無機物(b)のE
VOH(a)中への分散性に変化がないが(c)自身の
分散が悪くなる。
【0024】本発明において、(b)および(c)を併
用することは重要で、併用することにより、紫外線遮断
性が著しく改善される。このことは後述する実施例1
{(b)と(c)の併用}は、比較例1{(c)のみ使
用}および比較例2{(b)のみ使用}に比べ格段に優
れていることからも明らかである。
【0025】外層(A)の(a)と(b)と(c)より
なる樹脂組成物のブレンド方法、ブレンド順序に特に制
限はなく、公知の方法が採用可能である。たとえば、E
VOH(粉体、ペレット状、フレーク状など形状を問わ
ない)、微粒子無機物、高級脂肪酸またはその誘導体
(金属塩、エステル、アミド)の混合物を、一軸押出機
または二軸押出機を用いてペレット化する方法(先ずド
ライブレンド工程を経ても良い)。EVOH、微粒子無
機物、高級脂肪酸またはその誘導体の混合物を、混練部
分があるスクリューを装着した一軸押出機または二軸押
出機を用いてペレット化する方法(先ずドライブレンド
工程を経ても良い)。EVOH、微粒子無機物、高級脂
肪酸またはその誘導体の混合物を、溶融下ミキサーで混
練を行い、その後一軸押出機または二軸押出機を用いて
ペレット化する方法(混練部分があるスクリューを装着
しても良い)。さらに微粒子無機物、高級脂肪酸または
その誘導体の混合物を、EVOHに前記方法で練込む方
法。EVOHの溶液(公知の溶媒、例えば水、n−プロ
ピルアルコールの混合溶媒)に微粒子無機物と高級脂肪
酸またはその誘導体の混合物を分散させた後、溶剤を除
去してペレットを得る方法。微粒子無機物の水またはア
ルコール、または水とアルコールの混合溶媒に分散させ
後、EVOHと高級脂肪酸またはその誘導体の混合物を
溶解させた後、溶剤を除去してペレットまたはフィルム
を得る方法等が例示される。アルコールとしてはメタノ
ール、エタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、グリセリン、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチ
ルアルコール、tert−ブチルアルコール、オクタノ
ール、エチルヘキシルアルコール等があげられる。
【0026】そして、本発明の多層パイプでは、その内
層または内層寄りの層(B)(以下両者を総称して「内
層(B)」という)がポリブテンまたは架橋ポリオレフ
ィンよりなることが必要である。その場合のポリブテン
としては、ポリブテン−1のホモポリマー、ブテン−1
を主成分として他のビニルモノマーを少量成分としてそ
の主鎖中に共重合させたグラフト重合体のうちの1種ま
たは2種以上をもちいることができる。ブテン−1の共
重合体またはグラフト重合体でもちいることのできる他
のビニルモノマーとしてはエチレン、プロピレン、ジオ
レフィン、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水
物などを挙げることができる。また、内層(B)をポリ
ブテンから形成する場合は、本発明の目的を阻害しない
範囲内で、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体エ
ラストマーやポリイソブチレンゴムなどの熱可塑性エラ
ストマーなどの熱可塑性重合ポリブテン中に配合してあ
ってもよい。
【0027】また、本発明で使用する架橋ポリオレフィ
ンとしては、水架橋ポリオレフィン、放射線架橋ポリオ
レフィン、過酸化物架橋ポリオレフィンが代表的なもの
としてあげられる。水架橋ポリオレフィンは、加水分解
可能な有機基を持ったシリル基を有するビニルモノマー
を、オレフィンと共重合したりまたはポリオレフィンに
グラフト重合して得られる水架橋性ポリオレフィンをシ
ラノール縮合触媒の存在下に水、熱水、水蒸気などを、
使用して架橋して得られるポリオレフィンから構成する
場合は、架橋する前の水架橋性ポリオレフィンを使用し
て内層パイプを製造するかまたは内層(B)、接着剤層
(C)および外層(A)が一体になった多層パイプを製
造し、その後に内層(B)の内側に水、熱水、水蒸気な
どを通して内層(B)を構成する水架橋性ポリオレフィ
ンを架橋させるようにするのがよい。多層パイプの内層
(B)を水架橋ポリオレフィンから構成する場合には、
その水架橋ポリオレフィン内層における架橋度を55%
以上としておくのが好ましい。
【0028】なお、特に限定されるものではないが、水
架橋ポリオレフィンを製造するおに用いられる上記した
加水分解性可能な有機基を持つシリル基含有ビニルモノ
マーは、例えば下記の一般式;
【0029】R−Si−(OR’)3 [式中、RはCH2=CH−またはCH=C(CH3)−
COO−(CH2)n−(n=1〜5の整数)、R’は
メチル基、エチル基、CH3−O−CH2−CH2−など
を示す]で表されるビニルモノマーなどをあげることが
でき、かかるビニルモノマーをオレフィンと共重合させ
たり、またはポリオレフィンにグラフト重合させること
により水架橋性ポリオレフィンが得られる。
【0030】内層(B)を上記の水架橋ポリオレフィン
から構成する場合は、本発明の目的を阻害しない範囲内
の量で未変性のポリオレフィンを配合しておいてもよ
く、その場合にもその最終的な架橋度が55%以上にな
るようにするのが好ましい。
【0031】また、本発明で使用する過酸化物架橋ポリ
オレフィンは、過酸化物特に有機過酸化物を用いて、重
合槽または押出機によりポリオレフィンと反応させるこ
とにより得ることができる。過酸化物の具体的な例とし
ては、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイ
ド、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイ
ド、アルキルパーエステルなどがあげられる。
【0032】また、本発明の多層パイプの内層(B)を
放射線架橋ポリオレフィンより構成する場合は、放射線
架橋ポリオレフィンとして、ポリエチレン;ポリプロピ
レン;エチレンおよび/またはプロピレンを主成分とし
て、これにブテンなどの他のオレフィン類、ジオレフィ
ン、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物の1
種または2種以上を共重合した共重合体;並びにエチレ
ンおよび/またはプロピレンからなる幹重合体にブテン
などの他オレフィン類、ジオレフィン、無水マレイン酸
などの不飽和カルボン酸無水物の1種または2種以上を
グラフト重合したグラフト共重合体の1種または2種以
上からなるポリオレフィン、或いはこれらのポリオレフ
ィンに必要に応じて他の熱可塑性重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンエラストマ
ー、ポリイソブチレンゴムなどの熱可塑性エラストマー
を本発明の目的が阻害されない範囲内の量で配合したも
のを、放射線で架橋したポリオレフィンが好ましく用い
られる。
【0033】内層(B)として放射線架橋ポリオレフィ
ンを用いる場合は、架橋する前の上記したポリオレフィ
ン類またはその組成物を使用して内層パイプを製造する
か、または内層(B)、接着剤層(C)および外層
(A)が一体になった多層パイプを製造し、その後に内
層(B)の内側から放射線を照射して架橋するのがよ
い。その場合の放射線としては、γ線、β線、電子線、
X線などの電離性放射線を使用するのが好ましく、放射
線の線量は約5〜20Mrad程度とするのがよい。
【0034】また、内層(B)を構成するポリブテン、
架橋ポリオレフィン中には必要に応じて滑剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、金属キレート
剤、着色剤、フィラ−などの添加剤を含有させておいて
もよい。添加剤の具体的な例としては次の様なものが挙
げられる。
【0035】酸化防止剤:2,5−t−ブチルハイドロ
キノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、
4,4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノ−ル)、
2,2´−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノ−ル)、オクタデシル−3−(3´,5´−
ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネ−ト、4,4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノ
−ル)等。 紫外線吸収剤:エチレン2−シアノ−3,3´−ジフェ
ニルアクリレレ−ト、2−(2´−ヒドロキシ−5´−
メチルフェニル)ベンゾトリゾ−ル、2−(2´ヒドロ
キシ−3´−t−ブチル−5´−メチルフェニル)5−
クロロベンゾトリアゾ−ル、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキトシ
キベンゾフェノン等。 帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレ−ト、ソ
ルビタンモノパルミテ−ト、硫酸化ポリオレフィン類、
ポリエチレンオキシド、カ−ボワックス等。 滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレ−
ト等。 着色剤:カ−ボンブラック、フタロシアニン、キナクリ
ドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。 フィラ−:グラスファイバ−、アスベスト、バラストナ
イト、ケイ酸カルシュウム等。
【0036】そして、本発明の多層パイプにおいて外層
(A)と内層(B)を結合する接着剤層(C)として
は、外層(A)と内層(B)を強固に接着できる接着剤
であればいずれも使用可能であるが、不飽和カルボン酸
またはその誘導体(以下両者を含めて「不飽和カルボン
酸類」という)で変性されたポリオレフィンを用いるの
が好ましい。不飽和カルボン酸類で変性されたポリオレ
フィンとしては、エチレン、プロピレン、その他の炭素
数4〜12のα−オレフィンの1種または2種以上と不
飽和カルボン酸類を、必要に応じて他の共重合性ビニル
単量体(例えば,酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステ
ル類、アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エス
テル類など)と共に共重合して得られる不飽和カルボン
酸類変性ポリオレフィン類;エチレン、プロピレン、そ
の他の炭素数4〜12のα−オレフィンの1種または2
種以上を重合して得られるポリオレフィン、またはこれ
らのオレフィンと前記したのと同様の他の共重合性ビニ
ル単量体を共重合して得られるオレフィン共重合体に、
不飽和カルボン酸類をグラフト重合させて得られるグラ
フト共重合体などを挙げることができる。
【0037】上記においてポリオレフィンの変性に用い
る不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、メチルメタクリル酸などの一塩基性不飽和カルボ
ン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸などの二塩基性不飽和カルボン酸、またはそれらの
無水物を挙げることができ、これらの不飽和カルボン酸
類は単独で使用しても2種以上を併用しても良い。その
内でも特に無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン
を用いるのが好ましい。
【0038】また、不飽和カルボン酸類で変性されたポ
リオレフィンでは、変性後のポリオレフィンの全重量に
基ずいて、不飽和カルボン酸類による変性割合0.01
〜2重量%であるのがより好ましい。接着剤層(C)を
不飽和カルボン酸類で変性されたポリオレフィンより構
成する場合に、この変性ポリオレフィン中に接着力の低
下などを招かない範囲の量で未変性のポリオレフィンな
ど配合した重合体組成物を用いても良い。そしてそのよ
うな重合体組成物を使用する場合にも、不飽和カルボン
酸類による変性割合を,接着剤層を構成する重合体組成
物の全重量に基づいて、0.005〜5重量%とするの
が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましい。ま
た、接着剤層(C)中にも必要に応じて酸化防止剤(例
えば3、5−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、イ
ルガノックス1010、イルガノックス1098など)
などを配合しておいてもよい。
【0039】そして、本発明の多層パイプの典型的な層
構造としては、前記樹脂組成物からなる外層(A)/接
着剤層(C)/ポリブテンまたは架橋ポリオレフィンよ
りなる内層(B)とからなる構造を挙げることができる
が,本発明の多層パイプの層構成はこれに限定されず、
前記樹脂組成物からなる層が最外層または外層寄りの層
を構成し、内層用ポリオレフィンよりなる層が最内層ま
たは内層寄りの層を構成し、それらの層が接着剤によっ
て結合されている多層パイプはいずれも本発明の範囲に
含まれる。
【0040】本発明の多層パイプの例としては、 樹脂組成物層(A)/接着剤層(C)/内層用ポリオ
レフィン層(B)よりなる多層パイプ、 樹脂組成物層(A)/接着剤層(C)/樹脂組成物層
(A)/接着剤層(C)/内層用ポリオレフィン層
(B)よりなる多層パイプ、 樹脂組成物層(A)/接着剤層(C)/内層用ポリオ
レフィン層(B)/接着剤層(C)/樹脂組成物層
(A)/接着剤層(C)/内層用ポリオレフィン層
(B)よりなる多層パイプ、などを挙げることができ、
上記およびの多層パイプにおいては,そこで用いら
れている複数の樹脂組成物層(A)同士、または複数の
内層用ポリオレフィン層(B)同士はその樹脂内容が同
じであってもまたは異なってもよい。
【0041】また、場合によっては、上記〜のよう
な多層パイプにおいて、その最外層を構成する樹脂組成
物層(A)の表面をさらに接着剤を介してまたは介さず
に表面保護層を設けても良い。その場合の表面保護層の
素材としては、ポリブテン、架橋ポリオレフィン、ポリ
エステル、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリスチ
レン、ポリアミドなどの耐久性のある重合体が好まし
い。表面保護層の厚みは、5〜200μ程度にしておく
とよい。
【0042】本発明の多層パイプの外径、内径、肉
(壁)厚はそれぞれの用途に応じて適時選択することが
でき特に制限されない。例えば、外径を5〜50mm、
内径を3〜40mmおよび肉(壁)厚を1〜5mmの多
層パイプの場合には、樹脂組成物から構成される層
(A)の厚みを約15〜300μ、好ましくは50〜1
50μ、接着剤層(C)の厚みを2〜10μ、好ましく
は4〜16μ、内層用ポリオレフィンから構成させる層
(B)の厚み1000〜4500μ、好ましくは、15
00〜3500μとするのがよい。
【0043】そして、本発明の多層パイプは上記した外
層(A)、接着剤層(C)および内層(B)を有する多
層パイプを製造した後に、必要に応じて、外層(A)側
からβ線、γ線、電子線、X線などの放射線を照射する
ことも自由である。また、外層(A)の表面に表面保護
層がさらに設けられている場合には、その表面保護層の
外側から照射することも可能である。
【0044】本発明の多層パイプの製造方法としては、
特に限定されず、任意の方法を採用することができる
が、製造方法の例としては、 (1)内層用ポリオレフィンを用いて内層パイプを溶融
押出成形し、この内層パイプが水架橋ポリオレフィン、
放射線架橋ポリオレフィン、または過酸化物架橋ポリオ
レフィンより形成される場合は水架橋または放射線架橋
を行った後、その外側表面に接着剤層を溶融押出し被覆
し、さらに、その上に樹脂組成物を溶融押出し被覆して
多層パイプを製造した後に外層から放射線を照射する方
法: (2)内層用ポリオレフィンを用いて内層パイプを溶融
押出成形し、その外側表面に接着層を溶融押出し被覆
し、さらにその上に樹脂組成物を溶融押出し被覆した後
に、外側から放射線を照射し、そして内層パイプが水架
橋性ポリオレフィンまたは放射線架橋性ポリオレフィン
より形成されている場合は内層パイプの水架橋または放
射線架橋を外層側からの放射線照射と同時にまたは放射
線照射後に行う方法; (3)樹脂組成物(a)、接着剤および内層用ポリオレ
フィン(b)を用いて同時に共押出して多層パイプを製
造した後、多層パイプの外側から放射線を照射する方法
(この場合に内層が水架橋性ポリオレフィンまたは放射
線架橋性ポリオレフィンより形成されている場合は内層
の水または放射線による架橋は外層からの放射線照射と
同時,外層からの放射線照射の前または後に行うことが
できる)などを挙げることができる。
【0045】また、樹脂組成物からなる外層の表面が更
に表面保護層で被覆されている場合は、外層側から放射
線を照射する前または照射した後に表面保護層を形成す
ることができ、その場合の表面保護層の形成は,押出被
覆による方法,多層パイプの外層(A)、接着剤層
(C)および内層(B)との共押出しによる方法、表面
保護の材料を溶かした溶液を多層パイプの表面に塗布す
る方法などの任意の方法を採用することができる。
【0046】本発明の多層パイプは、施工性および耐久
性に優れ、しかも酸素ガスなどの気体に対するバリアー
性および耐熱性に優れているので、温水や熱水などの供
給、循環,排出用のパイプとして特に適しており、フロ
アーヒーティングやセントラルヒーティングなどにおけ
る温水や熱水の循環用のパイプとして好ましく用いられ
る。しかしそれに限定されず、その優れたガスバリアー
性、施工性、加工性などをいかして各種の液体やガス用
のパイプとして有効に使用することができる。
【0047】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが本発明はそれにより限定されない。以下の実施
例および比較例において、それぞれの例で製造された多
層パイプの酸素バリアー性および紫外線遮断性は、次の
様にして測定した。
【0048】(1)酸素バリアー性: 熱水を通す前:約3mの長さの多層パイプの一端をシリ
コンゴム栓および接着剤を用いて密閉し、もう一端を酸
素透過量測定装置(モダンコントロール社製:OX−T
RAN)に接続して測定した(雰囲気20℃−65%R
H)。 熱水(95℃)を通した後:約1時間程度多層パイプを
冷却した後、熱水を通す前と同様の操作で酸素透過量を
測定した。 (2)紫外線遮断性: 熱水を通す前:多層パイプの外層部分を切り取り(幅1
0mm,長さ10mm,厚100μ)自記分光光度計
(島津UV−2100)で紫外線遮断性を測定した(雰
囲気20℃−65%RH)。 熱水(95℃)を通した後:約1時間程度多層パイプを
冷却した後、熱水を通す前と同様の操作で紫外線遮断性
を測定した(雰囲気20℃−65%RH)。
【0049】実施例1 (1)EVOH{エチレン量27モル%、けん化度9
9.6%、メルトインデックス2.0g/10分(21
0℃、2160g荷重)}100部、粒子径0.02〜
0.05μmの微粒子酸化チタン1部(ルチル型、アル
ミナ表面処理)、エチレンビスステアリン酸アミド2部
を、混練部を持つ二軸押出機を用いて、210℃にて溶
融混練しペレット化した。 (2)内層(B)用の架橋性ポリエチレン(住友ベーク
ライト社製「モルデークスS−141」)、接着層
(C)用の無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井石油
化学社製「アドマーNF500」)および上記(1)で
調整した樹脂組成物を多層パイプ製造用の共押出成形機
に供給して、同時に溶融押出積層して,外層/接着剤層
/架橋性ポリエチレンの内層からなる外径20mmの多
層パイプを製造した。得られた多層パイプにおける外層
/接着剤層/内層の厚みは100μ/50μ/1850
μであった。この多層パイプの酸素バリアー性および紫
外線遮断性を上記に示した方法にて測定または評価した
ところ,表1に示す結果となった。
【0050】比較例1 実施例1において、(1)の組成で粒子径0.02〜
0.05μmの微粒子酸化チタンを添加しなかった以外
は、実施例1と同様の条件で得たパイプである。
【0051】比較例2 実施例1において、(1)の組成でエチレンビスステア
リン酸アミドを添加しなかった以外は、実施例1と同様
の条件で得たパイプである。
【0052】比較例3 実施例1において、(1)の組成で粒子径0.02〜
0.05μmの微粒子酸化チタンを粒子径0.2〜1μ
mの酸化チタンに変更した以外は、実施例1と同様の条
件で得たパイプである。
【0053】比較例4 実施例1において、(1)の組成で微粒子酸化チタンを
イルガノックス1098に変更した以外は、実施例1と
同様の条件で得たパイプである。
【0054】実施例2 実施例1において、(1)の組成がエチレン含有量44
モル%、ビニルエステル成分のけん化度99.5モル%
のEVOH50部、エチレン含有量32モル%、ビニル
エステル成分のけん化度99.5モル%以上のEVOH
50部、粒子径0.02〜0.05μmの微粒子酸化チ
タン1部(ルチル型、アルミナ・オルガノシロキサン表
面処理)、エチレンビスステアリン酸アミド1部である
以外は、実施例1と同様の条件で得たパイプである。
【0055】実施例3 実施例2において、(1)の組成でエチレンビスステア
リン酸アミド1部をステアリン酸マグネシウム2部に変
更し、粒子径0.02〜0.05μmの微粒子酸化チタ
ンを粒子径0.04〜0.06μmの微粒子酸化鉄に変
更した以外は、実施例1と同様の条件で得たパイプであ
る。
【0056】実施例4 実施例2において、(1)の組成でエチレンビスステア
リン酸アミド1部をステアリン酸カルシウム0.3部に
変更した以外は、実施例1と同様の条件で得たパイプで
ある。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】上記表1の結果から、実施例1〜3の本発
明の多層パイプは、長期間にわたって95℃の熱水をパ
イプ内に通しても酸素バリアー性の低下が全くなく、最
初の良好な酸素バリアー性をそのまま保持でき又、紫外
線遮断性が有る。一方、比較例1〜3の多層パイプの場
合は、良好な酸素バリアー性を有しているものの、紫外
線遮断性が無く使用に耐えなくなることがわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明の多層パイプは、耐久性、耐腐食
性、柔軟性、耐熱性などの特性に優れ、酸素ガスやその
他の気体を通さずガスバリアー性に優れ、紫外線遮断性
に優れているのでパイプの劣化が少なく、長期間にわた
って温水や熱水などを通してもそれらの性能は低下しな
い。そして、その優れたガスバリアー性によってパイプ
外の酸素ガスなどの気体が多層パイプの壁部を通してパ
イプ内を流れる温水や熱水などに溶存することがないの
で、多層パイプが取り付けられる、例えば熱交換器、温
水循環用ポンプなどの各種設備における金属部分の腐食
を抑制できる。更に、本発明の多層パイプは成形や加工
が容易であって、良好な性能を長期にわたって維持する
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン含有量20〜70モル
    %、ビニルエステル成分の鹸化度90モル%以上のエチ
    レン−ビニルエステル共重合体鹸化物(a)100重量
    部に対し、粒子径0.1μm以下の微粒子無機物(b)
    を0.01〜5重量部および炭素数4〜24の高級脂肪
    酸、その金属塩、エステルおよびアミドから選ばれた1
    種または2種以上(c)を0.005〜5重量部含有す
    る樹脂組成物よりなる外層または外層寄りの層、(B)
    ポリブテンまたは架橋ポリオレフィンよりなる内層また
    は内層寄りの層および(C)それらの層を結合する接着
    剤層を有することを特徴とする多層パイプ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多層パイプからなる温水
    または熱水循環用プラスチックパイプ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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