JPH0822415B2 - 遠赤外線加燃炉 - Google Patents

遠赤外線加燃炉

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JPH0822415B2
JPH0822415B2 JP5762189A JP5762189A JPH0822415B2 JP H0822415 B2 JPH0822415 B2 JP H0822415B2 JP 5762189 A JP5762189 A JP 5762189A JP 5762189 A JP5762189 A JP 5762189A JP H0822415 B2 JPH0822415 B2 JP H0822415B2
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有 坂井
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は遠赤外線により被加熱部材を加熱するための
炉に係り、特に遠赤外線の放射源として遠赤外線放射材
料が放熱面に被覆されたスチーム式ヒータを用いる遠赤
外線加熱炉に関する。
[従来の技術] 遠赤外線はその波長が長いことからたとえばプラスチ
ック或いは樹脂を主成分とする塗料に対して浸透力が大
きく且つ塗料に効率良く吸収される特徴がある。このた
め、搬送装置により一列に搬送される被塗装部材に対面
し且つ少なくとも上下方向において面状に配列された複
数の遠赤外線パネル式ヒータを有する塗装乾燥装置が考
えられている。このようにすれば、遠赤外線パネル式ヒ
ータから放射された遠赤外線が塗料に吸収されてその内
部も好適に加熱されるのでヒータが比較的低温でも被塗
装部材が速やかに乾燥され且つ高品質が得られる。ま
た、遠赤外線が塗料に無駄なく吸収されるので高いエネ
ルギ効率が得られる。
ところで、上記乾燥装置においては少なくとも上下方
向において配設された遠赤外線パネル式ヒータから発射
された遠赤外線が被塗装部材に投射され、これにより被
塗装部材が専ら加熱されるが、各遠赤外線パネル式ヒー
タにそれぞれ同じ電力エネルギなどを供給させると、対
流などの影響により被加熱部材の上部温度が下部に対し
て高くなり、温度分布に不均一が生じる不都合があっ
た。
そこで、搬送装置により一列に搬送される被塗装部材
に対面し且つ少なくとも上下方向において面状に配列さ
れた複数の遠赤外線パネル式ヒータを有する塗装乾燥装
置において、(a)前記複数の遠赤外線パネル式ヒータ
の内、上部に位置する遠赤外線パネル式ヒータの出力を
制御する上部出力制御装置と、(b)前記複数の遠赤外
線パネル式ヒータの内、下部に位置する遠赤外線パネル
式ヒータの出力を制御する下部出力制御装置と、を含む
ものが提案された(特開昭63−104681号)。
このようにすれば、被塗装部材に対面し且つ少なくと
も上下方向において面状に配列された複数の遠赤外線パ
ネル式ヒータの内の上部のものが上部出力制御装置によ
り出力制御され、下部のものが下部出力制御装置により
出力制御されるので、被塗装部材の上部および下部の加
熱状態に応じて上部および下部に位置する遠赤外線パネ
ル式ヒータの出力を設定し或いは制御することにより、
乾燥領域中の被塗装物の温度分布を好適に改善すること
ができる。
[発明が解決しようとする課題] 特開昭63−104681号で提案された装置で主として用い
られている遠赤外線ヒータは電気パネル式のものであ
り、エネルギコストが嵩んでいた。なお、同号公報第3
頁にエネルギが蒸気であっても良いことが記載されてい
るが、具体的な蒸気制御機構等は記載されていない。
本発明は、炉内の温度分布が自由に設定でき、エネル
ギコストも低廉である遠赤外線加熱炉を提供するもので
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明の請求項(1)は、被加熱部材を加熱するため
の加熱炉であって、該加熱炉には独立して制御される複
数のヒータが設置箇所を異ならせて設置された遠赤外線
加熱炉において、該ヒータは放熱パイプの放熱面に遠赤
外線放射材料が被覆されたスチーム式ヒータであり、該
放熱パイプには、炉内温度及び設定温度に応じてスチー
ム流量を制御する制御弁を介してボイラが接続されてお
り、かつ炉壁には排気ファンが設けられていることを特
徴とするものである。
請求項(2)は、請求項(1)において炉内減圧用減
圧装置を備えたものである。
[作用] 請求項(1)の発明にあっては、制御弁を開度調節す
ることによりヒータ出力を制御できる。これにより、炉
内の各箇所における投入加熱エネルギを所望通りに制御
できる。また、熱源はスチームであり、エネルギコスト
が低廉である。
請求項(2)のように構成すると、空気加熱に伴う熱
ロスが減少される。
[実施例] 以下、図面に基いて実施例を説明する。
第1図は実施例装置の一部破断斜視図であり、炉体1
内に被加熱部材2を通過させるための搬送装置(図示
略)が設けられている。この炉体1の天井部には天井部
スチームヒータ3が設けられ、側壁部には側部スチーム
ヒータ4,5が設けられている。炉体1にはこれらスチー
ムヒータ3,4,5に供給されるスチームを制御するための
スチームコントロールユニット6と制御盤7が設けられ
ている。また、炉体1の天井部には排気ファン8が設け
られている。
なお、スチームコントロールユニットはスチーム配管
9を介してスチームボイラ(図示略)に接続されてい
る。また、炉体1内には炉内温度(雰囲気温度や被加熱
部材2の表面温度)を測定するためのセンサが設けられ
ており、センサの出力値は制御盤7に入力されている。
制御盤7には炉内の被加熱部材2の加熱プログラムの設
定器が設けられている。
前記スチームヒータ3,4,5は、それぞれ炉体1の長手
方向に延在する1対のヘッダ管3a,4a,5aと、該1対のヘ
ッダ管を橋絡するように炉体幅方向又は高さ方向に配設
された放熱パイプ3b,4b,5bを備えており、該放熱パイプ
3b,4b,5bの表面には遠赤外線の放射材料が被覆されてい
る(なお、ヘッダ管3a,4a,5aにも同様の被覆を施しても
良い。) このように構成された加熱装置において、被加熱部材
2は炉体1の長手方向に順次送られ、その途中において
スチームヒータ3,4,5から放射される遠赤外線により十
分に加熱される。この場合、各スチームヒータ3,4,5は
独立して出力制御可能であり、被加熱部材2の側面や上
面に入力される輻射エネルギを各面ごとに制御できる。
また、この際の炉内温度や被加熱部材2の表面温度が
センサにより検出され、検出温度が設定プログラムの温
度に合致した温度となるようにスチームコントロールユ
ニット6が作動されるので、被加熱部材2を設定プログ
ラムに正確に従って加熱することができる。
この加熱により被加熱部材2等から蒸発した気体等
は、排気ファン8により炉外に排出される。
なお、上記実施例装置を用いて木製家具やアオリ板の
塗装乾燥を行なったところ、従来の熱風乾燥炉に比べ、
1/2〜1/3程度の時間で乾燥が行なえた。また、熱風乾燥
炉の如く炉内に熱風が流通されることもないので、炉内
雰囲気が塵芥のない清浄ななものとなり、塗膜面が汚れ
ることも全くなかった。
さらに、熱源としてスチームを採用しており、エネル
ギコストも低廉であった。
上記実施例では、スチームヒータを天井部及び側壁部
に別々に設けたが、本発明では例えば炉体1の入口側と
出口側とに別々にスチームヒータを配設するなど、スチ
ームヒータの加熱対象区域の区画は任意である。
本発明では、必要に応じ、炉内を減圧するための減圧
装置を付設しても良い。減圧の程度は、50torr以下とり
わけ20〜30torrの炉内圧になるようにするのが好適であ
る。このように減圧すると、空気加熱に伴う熱ロスが著
しく減少される。
本発明において、遠赤外線放射材料としては特に制限
はなく、各種の遠赤外線放射セラミックスを用いること
ができる。また被覆層の厚さにも特に制限はなく、ヒー
タ1の大きさ、性能、要求特性、被覆層の強度等を勘案
して、一般には0.01〜0.5mm程度の範囲で適宜決定され
る。
このような遠赤外線放射材料の被覆層は、遠赤外線放
射材料を刷毛塗り又はスプレー塗装等により鋼製円管等
の基体表面に塗布し、これを加熱乾燥又は焼結すること
により、あるいは遠赤外線放射材料を溶射することによ
り、容易に形成することができる。
なお、図に示すスチームヒータ3,4,5は一実施例であ
って、本発明は何ら図示のものに限定されるものではな
い。
例えば、ヘッダ管と放熱パイプとの接続形態を変える
ことにより、図示の平面状のヒータに限らず、様々な形
状のヒータとすることができる。ヘッダの断面は円形に
限らず矩形あるいは半月状でも良く、また、放熱管も円
管に限らず断面矩形の所謂角パイプであっても良い。ま
た、フィン付管を用いても良い。角パイプを用いた場合
には、放熱面が略平面状となり、放熱効率が高められる
という利点がある。また、フィン付管の場合にも、放熱
面積がフィンの面積分だけ増えるため、放熱効率が高め
られる。
第2図は好適な一例に係るスチームヒータ20の正面
図、第3図は第2図のIII−III線断面図である。このス
チームヒータ20は1対のヘッダ管21,22の間に放熱管23
が架設されたものである。この放熱管23は両端側が小径
部23aとなっており、中央部が拡径した胴体状の大径部2
3bとなっている。このスチームヒータ20においては、大
径部23b同志の間が狭まり(例えば5mm以下、とりわけ2
〜3mm程度)、スチームヒータ全体としての放熱面積が
大きくなるという効果が奏される。
第3図では小径部23aと大径部23bとが同軸的に設けら
れているが、本発明では第4図の如く、小径部23aの内
面と大径部23bの内面とが連続した面23Aを形成するよう
にしても良い。このように連続面23Aを形成すると、放
熱管23内の凝縮水等がヘッダ管21,22へ向って流れ易く
なるという効果が奏される。第4図のスチームヒータ
は、特に被加熱物体の底面を加熱するように配設される
のに好適であるが、被加熱物体の上面や側面を加熱する
ように配設されても良いことは明らかである。なお、第
3図に示した構成のスチームヒータは、被加熱物体の上
面又は側面を加熱するように配設される場合に好適であ
る。
なお、第2〜4図のスチームヒータ20にあっては、小
径部23aをヘッダ管21,22に溶接する場合、溶接の長さ
(ビードの長さ)が短いと共に、小径部23aの周囲にス
ペースが存在するところから、溶接が簡単に行なえると
いう効果が奏される。
本発明において、遠赤外線放射材料の被覆層として
は、比較的低温の加熱乾燥により容易に硬化させること
ができ、しかも金属基体に強固に付着させることができ
るなどの利点を備えることから、次の方法により形成し
たものが好ましい。
即ち、遠赤外線放射セラミックス粉末20〜90重量%、
第一燐酸アルミニウム塩粉末5〜20重量%及び平均粒径
50〜800μmの骨材5〜75重量%を配合してなる粉体原
料100重量部と、 水ガラス及び/又はアルミナゾルと、必要に応じて希
釈剤とからなる液体原料と、 を該液体原料中の固形分が前記粉体原料100重量部に対
し5〜25重量部となるように混合すると共に混練し、ペ
ースト状又はスラリー状と成し、これを鋼管等の放熱管
基体の表面に塗布し、常温ないし300℃以下の温度で乾
燥硬化させる方法である。
以下に、このような遠赤外線放射材料の被覆層の形成
方法について説明する。なお、以下において、%は特記
しない限り重量%を表す。
まず、遠赤外線放射セラミックス粉末20〜90%、好ま
しくは40〜75%、第一燐酸アルミニウム塩粉末5〜20
%、好ましくは10〜20%、及び骨材5〜75%、好ましく
は5〜50%を予め混合し、粉体原料とする。
次に、水ガラス、アルミナゾル、又は、アルカリ珪酸
塩とアルミナゾルとの混合液、更に必要に応じて希釈剤
を加えたものを液体原料として調製し、前記粉体原料に
液体原料を、粉体原料100重量部に対し、液体原料中の
固形分が5〜25重量部となる割合で加え、所望の粘度の
ペースト又はスラリーとする。
このようにして調製したペースト又はスラリーは、刷
毛塗りやスプレー塗装等で放熱パイプ等の表面に塗布し
た後、常温ないし300℃以下の低温で乾燥して硬化させ
る。
この場合、遠赤外線放射セラミックス粉末としては、
通常用いられるもので良く、特に制限はないが、例えば
ジルコニア、アルミナ、チタニア、その他遷移金属酸化
物系セラミックス等の粉末が挙げられる。これらのうち
でも遷移金属酸化物を50重量%以上含むものが好まし
い。この遠赤外線放射セラミックス粉末の粒度は、骨材
の粒度よりも小さいものとし、かつなるべく細かいもの
が好ましい。
第一燐酸アルミニウム塩粉末としては、トリポリリン
酸アルミニウム粉末等が好ましい。
骨材としては、シャモット、焼結アルミナ、焼結ジル
コニア等のセラミックスの粗粒や、珪砂、雲母等の天然
鉱物等の無機質骨材が挙げられ、その平均粒径は50〜80
0μm、好ましくは、200〜600μmのものとする。
水ガラスとしては、各種の市販のソーダ水ガラス、カ
リ水ガラス等で、用途に合う種類のものを適宜選択して
用いる。また、アルミナゾルは、アルカリ珪酸塩の白華
現象を抑制したい場合に用いるのが好ましい。
希釈剤としては、コロイダルシリカ、水又はアルコー
ル等が挙げられる。
なお、製造過程における原料ペースト又はスラリーの
粘度調節、あるいは、得られる遠赤外線放射材料の耐水
性の向上等のために、必要に応じて、層状構造を有する
カオリン、粘土、タルク等の充填材を原料中に配合する
こともできる。
このように第一燐酸アルミニウム塩、水ガラス、アル
ミナゾル等を用いることにより、常温ないし300℃以下
の比較的低温度の加熱乾燥で被覆層を形成することがで
きる。
また、第一燐酸アルミニウム塩は耐水性を高め、白華
を抑制すると共に、材料の熱膨張率を金属の熱膨張率に
近づけるという効果がある。
このようにして形成させた被覆層の放熱管基体への付
着性は極めて強固である。
しかも骨材添加により、形成される被覆層外表面が粗
となり、その表面積を大きくすることができる。更に骨
材の添加により、ひび割れ、欠け、被覆層の脱落等を防
止することもできる。
このようにして遠赤外線放射セラミックスを用いて製
造されるスチームヒータは、前述したスチームヒータの
利点に加え、 放熱体が熱的、化学的に安定なセラミックスで被覆
されたものであるため、耐久性に優れる。
加熱、乾燥時間が短縮され、生産性が向上する。
既存のスチームヒータについて容易に被覆すること
ができる。
等の効果を有し、粉体乾燥、印刷面乾燥、石膏ボード、
合板の乾燥、塗装面乾燥、布の乾燥、ウエブ材料の乾燥
等、様々な加熱ないし乾燥工程等に幅広く利用すること
ができる。
[発明の効果] 以上の通り、本発明の請求項(1)、(2)の遠赤外
線加熱炉によると、次の如き各種の効果が奏される。
温度分布が自由に設定でき、加熱された後の物品の
品質を向上できる。
スチームヒータによる加熱のため、品温がおさえら
れ、過熱防止できる。また、雰囲気温度も低くてすむ。
熱風循環のためのファンが不要である。(ただし、
本発明ではこの熱風循環ファンを併用しても良い。) スチーム源として各種のものを採用できる。例えば
プロセススチームや、廃材を燃料とするボイラのスチー
ム等が利用できる。
請求項(2)によると、熱ロスが減少し、加熱効率が
向上される。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例を示す斜視図である。第2図はスチーム
ヒータ20の正面図、第3図及び第4図はスチームヒータ
の断面図である。 1……炉体、 3,4,5,20……スチームヒータ、 8……排気ファン。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加熱部材を加熱するための加熱炉であっ
    て、該加熱炉には独立して制御される複数のヒータが設
    置箇所を異ならせて設置された遠赤外線加熱炉におい
    て、 該ヒータは放熱パイプの放熱面に遠赤外線放射材料が被
    覆されたスチーム式ヒータであり、該放熱パイプには、
    炉内温度及び設定温度に応じてスチーム流量を制御する
    制御弁を介してボイラが接続されており、 かつ炉壁には排気ファンが設けられていることを特徴と
    する遠赤外線加熱炉。
  2. 【請求項2】加熱炉内を減圧する減圧装置を備えたこと
    を特徴とする請求項(1)の遠赤外線加熱炉。
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