JPH0822109A - 写真用シアンカプラー - Google Patents

写真用シアンカプラー

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JPH0822109A
JPH0822109A JP15382894A JP15382894A JPH0822109A JP H0822109 A JPH0822109 A JP H0822109A JP 15382894 A JP15382894 A JP 15382894A JP 15382894 A JP15382894 A JP 15382894A JP H0822109 A JPH0822109 A JP H0822109A
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photographic
cyan coupler
color
coupler
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Yutaka Kaneko
金子  豊
Rudochienko Urajimiiru
ウラジミール・ルドチエンコ
Satoru Ikesu
悟 池洲
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の素材とし
て用いられる写真用シアンカプラー及び該シアンカプラ
ーから形成されたシアン色素画像の耐熱性および耐湿性
に優れた色素画像を形成できる写真用シアンカプラーの
提供。 【構成】 下記一般式〔I〕で表される写真用シアンカ
プラー 【化1】 式中、R及びR1は置換基を表し、nは0または1〜3
の整数を表す。nが2以上の整数のとき、複数のRは同
じであっても異なっていてもよい。但し、(R)nで表
される置換基に含まれる炭素原子の数とR1で表される
置換基に含まれる炭素原子の数の総和は少なくとも8で
ある。Xは、ハロゲン原子、アルキルチオ、アリールチ
オ、アリールオキシ基、及び炭素数が10以下の脂肪族オ
キシ基を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀カラー写真
感光材料の素材として用いられるシアンカプラーに関
し、詳しくは色再現性および熱・湿度に対する堅牢性が
優れている色素画像を形成できる写真用シアンカプラー
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、カラー写真を製造する場合に
は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光
材料ともいう)に露光を与えた後、これを発色現像処理
すると、その露光領域において、酸化された芳香族第一
級アミン発色現像主薬と色素形成カプラーとが反応して
色素を生成し、色画像が形成されるが、このような写真
方法においては減色法による色再現法が使用され、それ
によってイエロー、マゼンタおよびシアンの各色画像が
形成される。
【0003】従来、上記のイエロー色画像を形成させる
ために用いられる写真用カプラーとしては、例えばアシ
ルアセトアニリド系カプラーがあり、またマゼンタ色画
像形成用のカプラーとしては、例えばピラゾロン、ピラ
ゾロベンツイミダゾール、ピラゾロトリアゾールまたは
インダゾロン系カプラーが知られており、さらにシアン
色画像形成用のカプラーとしては、例えばフェノールま
たはナフトール系カプラーが一般的に用いられており、
これらのカプラーから得られる色素画像は、長時間光に
曝されても、また高温、高湿下に保存されても変退色し
ないことが望まれている。
【0004】しかしながら、シアン色素を形成するため
のカプラーとして、これまでに研究・実用化が進められ
てきた上記フェノール系カプラーおよびナフトール系カ
プラーは形成されたシアン色素画像の耐熱性および耐湿
性等の点で今一つ不十分であり、したがってこれの改良
をめざして、カプラー中の置換基の選択、探求をはじめ
として、従来種々の提案がなされているが、これらの特
性に関するすべての要求を満足するようなカプラーはま
だ発見されていない。
【0005】そこで本発明者等は、このような状況に鑑
みてさらに研究を進めた結果、形成されたシアン色素画
像の耐熱性および耐湿性に優れた色素画像を形成できる
写真用カプラーを見いだした。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
第一の課題はハロゲン化銀カラー写真感光材料の素材と
して用いられる写真用シアンカプラーを提供することに
あり、そして本発明の第二の課題は該シアンカプラーか
ら形成されたシアン色素画像の耐熱性および耐湿性に優
れた色素画像を形成できる写真用シアンカプラーを提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は以下
の構成により達成される。
【0008】下記一般式〔I〕で表される写真用シアン
カプラー。
【0009】
【化2】
【0010】式中、R及びR1は置換基を表し、nは0
または1〜3の整数を表す。nが2以上の整数のとき、
複数のRは同じであっても異なっていてもよい。但し、
(R)nで表される置換基に含まれる炭素原子の数とR1
で表される置換基に含まれる炭素原子の数の総和は少な
くとも8である。Xは、ハロゲン原子、アルキルチオ、
アリールチオ、アリールオキシ基、及び炭素数が10以下
の脂肪族オキシ基を表す。
【0011】以下、より具体的に本発明を説明する。
【0012】一般式〔I〕において、R及びR1の表す
置換基としては特に制限はないが、代表的には、脂肪
族、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミ
ド、ホスホニルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、
アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、
この他にハロゲン原子及びシクロアルケニル、アルキニ
ル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、
アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アル
コキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、カル
バモイルオキシ、アミノ、イミド、ウレイド、スルファ
モイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリール
オキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリ
ールオキシカルボニル、ヒドロキシ、カルボキシ、複素
環チオ等の各基、ならびにスピロ化合物残基、有橋炭化
水素化合物残基等も挙げられる。
【0013】以下に本発明を更に詳しく説明する。R及
びR1で表される脂肪族基は、直鎖状でも分岐状でも良
く、また飽和でも不飽和でも良い。また、この脂肪族基
は他の置換基によって置換されていてもよく、その置換
基としては特に制限はないが、代表的にはアリール、ア
ニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチ
オ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各
基が挙げられるが、この他にハロゲン原子及びシクロア
ルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィ
ニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモ
イル、シアノ、アルコキシ、複素環オキシ、シロキシ、
アシルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキル
アミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、ア
ルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニル
アミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボ
ニル、ヒドロキシ、カルボキシ、複素環チオ等の各基、
ならびにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等
も挙げられる。
【0014】アリール基としては、フェニル基、1-ナフ
チル基、2-ナフチル基が好ましい。
【0015】アシルアミノ基としては、アルキルカルボ
ニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げら
れる。
【0016】スルホンアミド基としては、アルキルスル
ホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げ
られる。
【0017】ホスホニルアミノ基としては、ジアルキル
ホスホニルアミノ基、ジアリールホスホニルアミノ基、
ジアルコキシホスホニルアミノ基、ジアリールオキシホ
スホニルアミノ基等が挙げられる。
【0018】アルキルチオ基、アリールチオ基における
アルキル成分、アリール成分としては、直鎖及び分岐の
アルキル基、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基
が挙げられ、さらにそれらは他の置換基によって置換さ
れていてもよい。
【0019】アルケニル基としては、炭素原子数2〜32
のもの、シクロアルキル基としては、炭素原子数3〜1
2、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖
でも分岐でもよい。
【0020】シクロアルケニル基としては、炭素原子数
3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0021】スルホニル基としては、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基等;スルフィニル基として
は、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基
等;ホスホニル基としては、アルキルホスホニル基、ア
ルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、
アリールホスホニル基等;アシル基としては、アルキル
カルボニル基、アリールカルボニル基等;カルバモイル
基としては、アルキルカルバモイル基、アリールカルバ
モイル基等;スルファモイル基としては、アルキルスル
ファモイル基、アリールスルファモイル基等;アシルオ
キシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基、アリー
ルカルボニルオキシ基等;カルバモイルオキシ基として
は、アルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモ
イルオキシ基等;ウレイド基としては、アルキルウレイ
ド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基
としては、アルキルスルファモイルアミノ基、アリール
スルファモイルアミノ基等;複素環基としては、5〜7
員のものが好ましく、具体的には2-フリル基、2-チエニ
ル基、2-ピリミジル基、2-ベンゾチアゾリル基等;複素
環オキシ基としては、5〜7員の複素環オキシ基が好ま
しく、3,4,5,6-テトラヒドロピラニル-2-オキシ基、1-
フェニルテトラゾール-5-オキシ基等;複素環チオ基と
しては、5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2-
ピリジルチオ基、2-ベンゾチアゾリルチオ基、2,4-ジフ
ェノキシ-1,3,5-トリアジン-6-チオ基等;シロキシ基と
しては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ
基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては、
こはく酸イミド基、3-ヘプタデシルこはく酸イミド基、
フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合物残
基としては、スピロ〔3.3〕ヘプタン-1-イル等;有橋炭
化水素化合物残基としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ
ン-1-イル、トリシクロ〔3.3.1.13'7〕デカン-1-イル、
7,7-ジメチル-ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン-1-イル等が
挙げられる。
【0022】Rとして好ましくは、脂肪族、アリール、
アシルアミノ、スルホンアミド、ハロゲン原子、アシ
ル、カルバモイル、スルファモイル、アルコキシ、アシ
ルオキシ、カルバモイルオキシ、イミド、ウレイド、ス
ルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ア
リールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニ
ル、アリールオキシカルボニル、ヒドロキシの各基が挙
げられる。
【0023】R1として好ましくは、脂肪族基、アリー
ル基、脂肪族オキシ基、アシルアミノ基、イミド基、ス
ルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、オキシカル
ボニルアミノ基及びホスホニルアミノ基の各基が挙げら
れる。
【0024】但し、一般式〔I〕において、(R)nで
表される置換基に含まれる炭素原子の数とR1で表され
る置換基に含まれる炭素原子の数の総和は少なくとも8
でなければならない。(R)nで表される置換基に含ま
れる炭素原子の数とR1で表される置換基に含まれる炭
素原子の数の総和が少なくとも8であれば、感光材料層
中において、一般式〔I〕で表されるシアンカプラーを
耐拡散化するのに適しているからである。
【0025】一般式〔I〕におけるXで表される基は、
すべて発色現像主薬の酸化体との反応により離脱する基
である。
【0026】Xで表されるハロゲン原子として、塩素原
子、臭素原子および沸素原子が挙げられるが、塩素原子
が最も好ましい。
【0027】Xで表されるアルキルチオ基、アリールチ
オ基におけるアルキル成分、アリール成分としては、直
鎖及び分岐のアルキル基、フェニル基、1-ナフチル基、
2-ナフチル基が挙げられ、さらにそれらは他の置換基に
よって置換されていてもよい。
【0028】Xで表されるアリールオキシ基におけるア
リール成分としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナ
フチル基が挙げられ、さらにそれらは他の置換基によっ
て置換されていてもよい。
【0029】Xで表される炭素数が10以下の脂肪族オキ
シ基における脂肪族成分は、直鎖状でも分岐状でも良
く、また飽和でも不飽和でも良い。また、この脂肪族成
分は他の置換基によって置換されていてもよく、その置
換基としては特に制限はないが、代表的にはアリール、
アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチ
オ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各
基が挙げられるが、この他にハロゲン原子及びシクロア
ルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィ
ニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモ
イル、シアノ、アルコキシ、複素環オキシ、シロキシ、
アシルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキル
アミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、ア
ルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニル
アミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボ
ニル、ヒドロキシ、カルボキシ、複素環チオ等の各基も
挙げられる。Xで表される炭素数が10以下の脂肪族オキ
シ基として好ましい基は置換基を有してもよい低級のア
ルキルオキシ基である。
【0030】Xとして最も好ましくは、塩素原子及び炭
素数が10以下の置換基を有してもよい低級のアルキルオ
キシ基が好ましい。
【0031】以下に本発明にかかる具体的な化合物例を
示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化3】
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】以下に本発明に係る前記一般式〔I〕で表
されるシアンカプラーの合成例を示す。
【0037】
【化7】
【0038】1)例示化合物(I−2)の合成 36gの中間体−1で示されるスルホニルクロリドを、1
9.3gの3-アミノ-5,6-ジメトキシインダゾール(米国特
許第4,001,269号に記載されている方法で合成した)を
溶解した、500mlのピリジン溶液中に0℃で1時間かけ
て加えた。反応液を0℃でさらに2時間撹拌した後、氷
水に注ぎ、析出する結晶を濾取、アセトニトリルより再
結晶して、白色粉末結晶である例示化合物(I−2)を
27g(52%)得た。融点、195℃。(同定は1H-NMR、I
R、FDマススペクトルにより行った)。
【0039】
【化8】
【0040】2)例示化合物(I−3)の合成 42gの中間体−2で示されるスルホニルクロリドを、20
gの3-アミノ-5-クロロ-7-メトキシインダゾール(米国
特許第4,001,269号に記載されている方法で合成した)
を溶解した、500mlのピリジン溶液中に0℃で1時間か
けて加えた。反応液を0℃でさらに2時間撹拌した後、
氷水に注ぎ、析出する結晶を濾取、アセトニトリルより
再結晶して、白色粉末結晶である例示化合物(I−3)
を41g(71%)得た。融点、85℃。(同定は1H-NMR、I
R、FDマススペクトルにより行った)。
【0041】本発明の写真用シアンカプラーは通常ハロ
ゲン化銀1モル当り1×10-3〜1モル、好ましくは1×
10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0042】また本発明の写真用シアンカプラーは他の
種類のシアンカプラーと併用することもできる。
【0043】本発明の写真用シアンカプラーには、通常
の色素形成カプラーにおいて用いられる方法および技術
が同様に適用される。
【0044】本発明の写真用シアンカプラーはいかなる
発色法によるカラー写真形成用素材として用いることが
できるが、具体的には、外式発色法および内式発色法が
挙げられる。外式発色法として用いられる場合、本発明
の写真用シアンカプラーはアルカリ水溶液あるいは有機
溶媒(例えばアルコール等)に溶解して、現像処理液中
に添加し使用することができる。
【0045】本発明の写真用シアンカプラーを内式発色
法によるカラー写真形成用素材として用いる場合、本発
明の写真用シアンカプラーは写真感光材料中に含有させ
て使用する。
【0046】典型的には、本発明の写真用シアンカプラ
ーをハロゲン化銀乳剤に配合し、この乳剤を支持体上に
塗布して感光材料を形成する方法が好ましく用いられ
る。本発明の写真用シアンカプラーは、例えばカラーの
ネガおよびポジフィルム並びにカラー印画紙などの感光
材料に用いられる。
【0047】このカラー印画紙を始めとする本発明の写
真用シアンカプラーを用いた感光材料は、単色用のもの
でも多色用のものでもよい。多色用感光材料では、本発
明の写真用シアンカプラーはいかなる層に含有させても
よいが、通常は赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層に含有さ
せる。多色用感光材料はスペクトルの3原色領域のそれ
ぞれに感光性を有する色素画像形成構成単位を有する。
各構成単位は、スペクトルのある一定領域に対して感光
性を有する単層または多層乳剤層から成ることができ
る。画像形成構成単位の層を含めて感光材料の構成層
は、当業界で知られているように種々の順序で配列する
ことができる。典型的な多色用感光材料は、少なくとも
1つのシアンカプラーを含有する少なくとも1つの赤感
光性ハロゲン化銀乳剤層からなるシアン色素画像形成構
成単位(シアンカプラーの少なくとも1つは本発明のシ
アンカプラーである)、少なくとも1つのマゼンタカプ
ラーを含有する少なくとも1つの緑感光性ハロゲン化銀
乳剤層からなるマゼンタ色素画像形成構成単位、少なく
とも1つのイエローカプラーを含有する少なくとも1つ
の青感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるイエロー色素画
像形成構成単位を支持体上に担持させたものからなる。
【0048】感光材料は、追加の層たとえばフィルター
層、中間層、保護層、下塗り層等を有することができ
る。
【0049】本発明の写真用シアンカプラーを乳剤に含
有せしめるには、従来公知の方法に従えばよい。例えば
トリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート等の沸
点が175℃以上の高沸点有機溶媒または酢酸ブチル、プ
ロピオン酸ブチル等の低沸点溶媒のそれぞれ単独でまた
は必要に応じてそれらの混合液に本発明の写真用シアン
カプラーを単独でまたは併用して溶解した後、界面活性
剤を含むゼラチン水溶液と混合し、次に高速度回転ミキ
サーまたはコロイドミルで乳化した後、ハロゲン化銀に
添加して本発明に使用するハロゲン化銀乳剤を調製する
ことができる。
【0050】本発明の写真用シアンカプラーを用いた感
光材料に好ましく用いられるハロゲン化銀組成として
は、塩化銀、塩臭化銀または塩沃臭化銀がある。また更
に、塩化銀と臭化銀の混合物等の組合せ混合物であって
もよい。即ち、ハロゲン化銀乳剤がカラー用印画紙に用
いられる場合には、特に速い現像性が求められるので、
ハロゲン化銀のハロゲン化銀組成として塩素原子を含む
ことが好ましく、少なくとも1%の塩化銀を含有する塩
化銀、塩臭化銀または塩沃臭化銀であることが好まし
い。
【0051】ハロゲン化銀乳剤は、常法により化学増感
される。また所望の波長域に光学的に増感できる。
【0052】ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工
程、保存中、あるいは写真処理中のカブリの防止、およ
び/または写真性能を安定に保つことを目的として、写
真業界においてカブリ防止剤または安定剤として知られ
ている化合物を加えることができる。
【0053】本発明の写真用シアンカプラーを用いたカ
ラー感光材料には、通常感光材料に用いられる色カブリ
防止剤、色素画像安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、マット剤、界面活性剤等を用いることができる。こ
れらについては例えばリサーチ・ディスクロージャー(R
esearch Disclosure)、176巻、22〜31頁 (1978年12月)
の記載を参考にすることができる。
【0054】本発明の写真用シアンカプラーを用いた感
光材料は、当業界公知の発色現像処理を行うことにより
画像を形成することができる。
【0055】本発明の写真用シアンカプラーを用いた感
光材料は、親水性コロイド層中に発色現像主薬を発色現
像主薬そのものとして、あるいはそのプレカーサーとし
て含有し、アルカリ性の活性化浴により処理することも
できる。
【0056】本発明の写真用シアンカプラーを用いた感
光材料は、発色現像後、漂白処理、定着処理を施され
る。漂白処理は定着処理と同時に行ってもよい。
【0057】定着処理の後は、通常は水洗処理が行われ
る。また水洗処理の代替えとして安定化処理を行っても
よいし、両者を併用してもよい。
【0058】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0059】実施例1 ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体上に下記の
各層を支持体側より順次塗設し、赤色感光性カラー感光
材料試料1を作成した。尚、化合物の添加量は特に断わ
りのない限り1m2当りを示す(ハロゲン化銀は銀換算
値)。
【0060】第1層:乳剤層 ゼラチン1.3g,赤感性塩臭化銀乳剤(塩化銀99.5モル
%含有)0.21gおよびジオクチルフタレート0.45gに溶
解した比較シアンカプラー(a)9.1g×10-4モルから
なる赤感性乳剤層。
【0061】第2層:保護層 ゼラチン0.50gを含む保護層。尚、硬膜剤として2,4-ジ
クロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジンナトリウム塩をゼラ
チン1g当り0.017gになるように添加した。
【0062】次に、試料1において比較シアンカプラー
(a)を以下に示す本発明の写真用シアンカプラー(添
加量は比較シアンカプラー(a)と同モル量)に代えた
以外は全く同様にして、本発明の試料2〜8を作成し
た。
【0063】上記で得た試料1〜8は、それぞれ常法に
従ってウエッジ露光を与えた後、次の工程で現像処理を
行った。
【0064】処理条件は下記の通りである。
【0065】 処理工程 温 度 時 間 発色現像 35.0±0.3℃ 45秒 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 安定化 30〜34℃ 90秒 乾 燥 60〜80℃ 60秒 〔発色現像液〕 純水 800ml トリエタノールアミン 10g N,N-ジエチルヒドロキシルアミン 5.0g 臭化カリウム 0.02g 塩化カリウム 2.0g 亜硫酸カリウム 0.3g 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸 1.0g エチレンジアミン四酢酸 1.0g カテコール-3,5-ジホスホン酸2ナトリウム 1.0g ジエチレングリコール 10.0g N-エチル-N-β-メタンスルホンアミドエチル -3-メチル-4-アミノアニリン・硫酸塩 4.5g 蛍光増白剤(4,4′-ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 1.0g 炭酸カリウム 27.0g 水を加えて全量を1lとし、pH10.10に調整する。
【0066】 〔漂白定着液〕 エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム2水塩 60g エチレンジアミン四酢酸 3.0g チオ硫酸アンモニウム(70%溶液) 100ml 亜硫酸アンモニウム (40%溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウムまたは氷酢酸
でpH=5.7に調整する。
【0067】 〔安定化液〕 5-クロロ-2-メチル-4-チアゾリン-3-オン 0.2g 1,2-ベンツイソチアゾリン-3-オン 0.3g エチレングルコール 1.0g 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸 2.0g O-フェニルフェノールナトリウム 1.0g エチレンジアミン四酢酸 1.0g 水酸化アンモニウム(20%水溶液) 3.0g 蛍光増白剤(4,4′-ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 1.5g 水を加えて全量を1lとし、硫酸または水酸化カリウム
でpH=7.0に調整する。
【0068】上記で処理された試料1〜8について、濃
度計(コニカ株式会社製KD-7型)を用いて濃度を測定
し、さらに、上記各処理済み試料を高温・高湿(60℃、
80%RH)雰囲気下に14日間放置し、色素画像の耐熱・耐
湿性を調べた。結果は以下に示す。但し、耐熱・耐湿性
は初濃度1.0に対する耐熱・耐湿試験後の色素残留パー
セント(色素残存率)で表す。
【0069】比較シアンカプラー(a)
【0070】
【化9】
【0071】 試料 No. 使用カプラー 色素残存率(%) 1 比 較 (a) 61 2 本発明 (I−1) 91 3 本発明 (I−2) 90 4 本発明 (I−5) 90 5 本発明 (I−8) 89 6 本発明 (I−12) 86 7 本発明 (I−18) 88 8 本発明 (I−20) 91 以上の結果から明らかなように、本発明の写真用シアン
カプラーを用いた試料は、比較カプラーを用いた試料に
比べて、いずれも色素残存率が高く、耐熱・耐湿性に優
れており堅牢であることがわかる。
【0072】実施例2 下引済みのトリアセチルセルロースフィルム支持体上
に、下記の各層を支持体側より順次塗設し、以下に示す
シアンカプラーを含有する赤色感光性カラー反転感光材
料(試料9〜14)を作成した。
【0073】第1層:乳剤層 ゼラチン1.4g,赤感性塩臭化銀乳剤(塩化銀96モル%
含有)0.5gおよびジブチルフタレート1.5gに溶解した
以下に示すカプラー9.1g×10-4モルからなる赤感性乳
剤層。
【0074】第2層:保護層 ゼラチン0.5gを含む保護層。尚、硬膜剤として2,4-ジ
クロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジンナトリウム塩をゼラ
チン1g当り0.017gになるように添加した。
【0075】上記で得た試料は、それぞれ常法に従って
ウエッジ露光を与えた後、次の工程で現像処理を行っ
た。
【0076】 〔反転処理工程〕 処理工程 温度 時間 第1現像 38℃ 6分 水 洗 38℃ 2分 反 転 38℃ 2分 発色現像 38℃ 6分 調 整 38℃ 2分 漂 白 38℃ 6分 定 着 38℃ 4分 水 洗 38℃ 4分 安 定 常温 1分 乾 燥 処理液の組成は以下のものを用いる。
【0077】 〔第1現像液〕 テトラポリ燐酸ナトリウム 2.0g 亜硫酸ナトリウム 20g ハイドロキノン・モノスルホネート 30g 炭酸ナトリウム(1水塩) 30g 1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン 2.0g 臭化カリウム 2.5g チオシアン酸カリウム 1.2g 沃化カリウム(0.1%溶液) 2ml 水を加えて 1000mlとする。
【0078】 〔反 転 液〕 ニトリロトリメチレンホスホン酸・6ナトリウム塩 3.0g 塩化第1スズ(2水塩) 1.0g p-アミノフェノール 0.1g 水酸化ナトリウム 5.0g 氷酢酸 15ml 水を加えて 1000mlとする。
【0079】 〔発色現像液〕 テトラポリ燐酸ナトリウム 2.0g 亜硫酸ナトリウム 7.0g 第3燐酸ナトリウム(12水塩) 36g 臭化カリウム 1.0g 沃化カリウム(0.1%溶液) 90ml 水酸化ナトリウム 3.0g シトラジン酸 1.5g N-エチル-N-β-メタンスルホンアミドエチル-3- メチル-4-アミノアニリン・硫酸塩 11g エチレンジアミン 3.0g 水を加えて 1000mlとする。
【0080】 〔調 整 液〕 亜硫酸ナトリウム 12g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(2水塩) 8.0g チオグリセリン 0.4ml 氷酢酸 3ml 水を加えて 1000mlとする。
【0081】 〔漂 白 液〕 エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(2水塩) 2.0g エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム(2水塩) 120g 臭化カリウム 100g 水を加えて 1000mlとする。
【0082】 〔定 着 液〕 チオ硫酸アンモニウム 80g 亜硫酸ナトリウム 5.0g 重亜硫酸ナトリウム 5.0g 水を加えて 1000mlとする。
【0083】 〔安 定 液〕 ホルマリン(37重量%) 5ml コニダックス(コニカ株式会社製) 5ml 水を加えて 1000mlとする。
【0084】上記で処理された試料各について、実施例
1と同様に色素画像の耐熱・耐湿性を調べた。その結果
を以下に示す。
【0085】 試料No. 使用カプラー 色素残存率(%) 9 比 較 (a) 59 10 本発明 (I−3) 88 11 本発明 (I−4) 89 12 本発明 (I−9) 91 13 本発明 (I−11) 84 14 本発明 (I−15) 87 以上の結果から明らかなように、本発明の写真用シアン
カプラーを用いた試料は、比較カプラーを用いた試料に
比べて、いずれも色素残存率が高く、耐熱・耐湿性に優
れており堅牢であることがわかる。
【0086】実施例3 透明ポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、
支持体1m2当り以下の構成成分からなる熱現像感光層を
塗設して熱現像感光材料を作成した。
【0087】 ベンズトリアゾール銀 0.6g ゼラチン 3.0g 還元剤*1 0.97g 本発明の写真用シアンカプラー(I−6) 1.0g 沃臭化銀(銀換算) 0.45g ポリビニルピロリドン 1.0g ベンズトリアゾール 0.02g 抑制剤*2 0.001g 熱溶剤*3 4.5g
【0088】
【化10】
【0089】上記の感光材料を像様露光後、写真用バラ
イタ紙上にポリ塩化ビニルを塗設して得た受像材料と重
ね合わせて、150℃で1分間熱現像したところ受像材料
上に良好なシアン色の転写画像が得られた。
【0090】
【発明の効果】本発明による写真用シアンカプラーは、
該シアンカプラーから形成されたシアン色素画像の耐熱
性および耐湿性に優れた色素画像を形成できることがで
きる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔I〕で表される写真用シア
    ンカプラー。 【化1】 〔式中、R及びR1は置換基を表し、nは0または1〜
    3の整数を表す。nが2以上の整数のとき、複数のRは
    同じであっても異なっていてもよい。但し、(R)nで
    表される置換基に含まれる炭素原子の数とR1で表され
    る置換基に含まれる炭素原子の数の総和は少なくとも8
    である。Xは、ハロゲン原子、アルキルチオ、アリール
    チオ、アリールオキシ基、及び炭素数が10以下の脂肪族
    オキシ基を表す。〕
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