JPH08217875A - ポリ(アミド−エステル)重合体の製造方法 - Google Patents

ポリ(アミド−エステル)重合体の製造方法

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JPH08217875A
JPH08217875A JP5036995A JP5036995A JPH08217875A JP H08217875 A JPH08217875 A JP H08217875A JP 5036995 A JP5036995 A JP 5036995A JP 5036995 A JP5036995 A JP 5036995A JP H08217875 A JPH08217875 A JP H08217875A
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JP
Japan
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poly
amide
chemical
ester
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JP5036995A
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English (en)
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Kohei Goto
幸平 後藤
Yasutake Inoue
靖健 井上
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が均質で、低硬度領域を含む広い硬度範
囲において、優れた耐熱性、力学的特性等を有するポリ
(アミド−エステル)重合体を、工業的に再現性よく且
つ高効率に製造する方法を提供する。 【構成】 ポリ(アミド−エステル)重合体の製造方法
は、下記式で代表される芳香族アミドビスカルボン酸エ
ステルとポリ(オキシアルキレン)グリコールと、場合
によりさらにジカルボン酸またはジカルボン酸エステル
とを、エステル化触媒の存在下で200〜350℃の温
度に保ち、混合しながら、減圧下で副生するアルコール
またはアルコールと水とを除去しつつ、均一状態で溶融
重縮合させることを特徴とする。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種弾性成形品、繊
維、フィルム、シート等として幅広く利用できるポリ
(アミド−エステル)重合体の製造方法に関わり、さら
に詳しくは、高品質の該ポリ(アミド−エステル)重合
体を、均質な製品として工業的に再現性よく且つ高効率
に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、常温では所要のゴム弾性を示し、
かつ高温では可塑化される熱可塑性エラストマーが、省
エネルギー、高生産性、リサイクル性等の観点から、新
しい形態の弾性材料として、熱可塑性樹脂および従来の
弾性材料である加硫ゴムの分野で展開されてきており、
その開発も鋭意進められている。このような熱可塑性エ
ラストマーは、基本的にゴム弾性に寄与するソフトセグ
メントと分子鎖拘束相をなすハードセグメントとから構
成され、該分子鎖拘束相が加硫ゴムの架橋点相当の役割
を担うものである。そして、熱可塑性エラストマーの種
類としては、ハードセグメントの種類により、スチレン
系、オレフィン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステ
ル系、アミド系等が知られているが、これらのハードセ
グメントは全て高分子量体からなるため、熱可塑性エラ
ストマーにゴム弾性を発現させるためには必然的に高含
量となり、ハードセグメントの含量が低いもの、換言す
れば、低硬度の熱可塑性エラストマーに十分なゴム弾性
を発現させることが困難であった。即ち、在来の熱可塑
性エラストマーは、加硫ゴムと熱可塑性樹脂との間を埋
める比較的高硬度領域で弾性を示す材料と位置づけられ
ていたのである。これに対して、低硬度でゴム弾性に優
れた熱可塑性エラストマーを調製できれば、低硬度領域
が中心である従来の加硫ゴムの代替弾性材料としての活
用の道をさらに拡大できるため、低硬度の熱可塑性エラ
ストマーの開発が強く望まれていた。しかしながら、低
硬度の熱可塑性エラストマーを得るためには、従来の高
分子量体からなるハードセグメント構造では、その含量
を減少させると、ゴム弾性の低下に加え、耐熱性も低下
し、実用特性の面で満足できないという大きな問題があ
る。そこで、このような問題点を解決するため、モノメ
リック構造を有する低分子量体からなる高融点成分をハ
ードセグメント成分に用い、耐熱性を維持しつつ、低含
量即ち低硬度で、ゴム弾性を発現させようとする試みが
なされている。例えば、特開平2−276817号公報
には、高融点の4,4’−ジヒドロキシ−p−クォータ
ーフェニルをハードセグメント成分とし、脂肪族ポリエ
ステルをソフトセグメントとしたポリエステルエラスト
マーが、耐熱性に優れかつ低硬度の弾性材料であること
が開示されている。しかしながら、このポリエステルエ
ラストマーは、4,4’−ジヒドロキシ−p−クォータ
ーフェニルの液晶転移点(即ち、溶融重縮合可能な下限
温度)が336℃と高温であるため、300℃以上とい
う、ソフトセグメント成分の熱分解温度付近の厳しい温
度条件で重縮合させることが必要となり、その結果、反
応中のソフトセグメント成分の熱分解や解重合を来たし
やすく、また重縮合反応が未溶融のハードセグメント成
分の存在する不均一状態となるため、得られるエラスト
マーに未反応のモノマーやハードセグメント、オリゴマ
ー等が混在したり、生成ポリマーが広い分子量分布をも
つ不均質構造となって、得られるエラストマーのゴム弾
性等の力学的特性の低下を招くという問題がある。しか
も重縮合条件によっては、ソフトセグメント成分である
脂肪族ポリエステルの連鎖長の分布が非常に広くなり、
ゴム弾性に寄与する無定形構造のみではなく、結晶化し
た部分も混在する場合があるなど、製造上の再現性にも
大きな課題がある。また、欧州特許EP−267773号
明細書には、各種の芳香族アミド化合物、芳香族ビスイ
ミド化合物等の高融点化合物をハードセグメント成分と
するポリアミドエステルエラストマーまたはポリイミド
エステルエラストマーが開示されており、例えば、前記
高融点化合物と、脂肪族ジオール化合物および脂肪族ジ
カルボン酸等とを、約300℃で重縮合させている。し
かしながら、この方法も、前記特開平2−276817
号公報の場合と同様、脂肪族ジオール化合物と脂肪族ジ
カルボン酸とから生成される脂肪族ポリエステルの熱分
解温度付近で重縮合させることが必要であるため、該脂
肪族ポリエステルの熱分解によるエラストマーの力学的
特性の低下、不均質エラストマーの形成、製造上の再現
性等という課題は依然解決されない。また該特許明細書
には、比較的温和な温度条件(256〜290℃)で重
縮合を行う例も示されているが、使用されるハードセグ
メント成分とソフトセグメント成分との混和性が悪く、
またハードセグメント成分の融点も高いことから、反応
が未溶融成分を含むスラリー状態を経由する不均一状態
とならざるをえない。その結果、得られるエラストマー
の組成分布が非常に広くなり、不均質ポリマーの形成と
いう問題が却って大きくなるおそれがある。さらに近
年、芳香族エステルアミド共重合体を、芳香族ジカルボ
ン酸と芳香族ジアミン誘導体とからなる芳香族オリゴエ
ステルアミドと、ポリ(オキシアルキレン)グリコール
との溶融重縮合(特開平6−207006号公報参
照)、芳香族ジカルボン酸と芳香族アミノカルボン酸と
からなる芳香族オリゴエステルアミドと、ポリ(オキシ
アルキレン)グリコールとの溶融重縮合(特開平6−2
07007号公報参照)により製造する方法が提案され
ており、具体的には約150〜240℃でエステル交換
を行い、その後減圧下、約150〜300℃で重縮合さ
せている。しかしながら、これらの方法においては、芳
香族オリゴエステルアミドの融点が高く、また熱分解温
度の低いポリ(オキシアルキレン)グリコールとの混和
性も十分ではなく、溶融重縮合温度の制限から、反応中
均一状態を維持することが困難であるばかりか、反応時
間も長くなり、もともと熱安定性に課題をもつポリ(オ
キシアルキレン)グリコールを使用する熱可塑性エラス
トマーの製造方法としては、得られるエラストマーの再
現性、製造効率等の面からみても、工業的に満足できる
ものではない。このように、従来の熱可塑性エラストマ
ーの製造方法においては、高融点のハードセグメント成
分を用いて、耐熱性、ゴム弾性等の力学的特性等に優
れ、しかもこれらの特性が低硬度領域を含む広い硬度範
囲において確保されるエラストマーを、均質な製品とし
て工業的見地から再現性よく製造することは、未だ実現
されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、構造が均質
で、低硬度領域を含む広い硬度範囲において優れた耐熱
性、力学的特性等を有するポリ(アミド−エステル)重
合体を、均一状態における溶融重縮合により、均質な製
品として工業的に再現性よく且つ高効率に製造する方法
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、そのカルボキシル基を
特定炭素数のアルコールでエステル化した芳香族アミド
ビスカルボン酸エステルとポリ(オキシアルキレン)グ
リコールとを溶融重縮合させることにより、該芳香族ア
ミドビスカルボン酸エステルの低融点化を達成できるた
め、ソフトセグメント成分であるポリ(オキシアルキレ
ン)グリコールの熱分解温度より十分低い温度で反応さ
せることが可能となり、さらには、重縮合時の各反応成
分間の混和性、相溶性等が顕著に改善できるため、ソフ
トセグメント成分の熱分解も抑制できる結果となり、均
質なポリ(アミド−エステル)重合体が再現性よく且つ
高効率に得られること、並びにこのようなポリ(アミド
−エステル)重合体が、低硬度領域から比較的高い硬度
領域にわたって、耐熱性と力学的特性との両面において
極めて優れていることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0005】本発明の要旨は、下記一般式(1)で表さ
れる少なくとも1種の芳香族アミドビスカルボン酸エス
テルと、下記一般式(2)で表される少なくとも1種の
ポリ(オキシアルキレン)グリコールと、あるいはさら
に下記一般式(3)で表される少なくとも1種のジカル
ボン酸または下記一般式(4)で表される少なくとも1
種のジカルボン酸ジエステルとを、エステル化触媒の存
在下で200〜350℃の温度に保ち、混合しながら、
減圧下で副生するアルコールまたはアルコールと水とを
除去しつつ、均一状態で溶融重縮合させることを特徴と
するポリ(アミド−エステル)重合体の製造方法、から
なる。
【0006】
【化1】
【0007】〔一般式(1)において、Aは一般式
(5)または(6)で表される2価の基を示し、R1は炭
素数5〜12のアルキル基を示す。〕
【0008】
【化2】
【0009】〔一般式(2)において、R2およびR3は相
互に同一でも異なってもよく、水素原子または炭素数1
〜6のアルキル基を示し、iおよびjはそれぞれ0また
は1〜100の整数、nは10〜400の整数であ
る。〕
【0010】
【化3】〔一般式(3)において、Bは2価の脂肪族、
脂環族または芳香族の基を示す。〕
【0011】
【化4】〔一般式(4)において、Bは2価の脂肪族、
脂環族または芳香族の基を示し、R4は炭素数1〜12の
アルキル基を示す。〕
【0012】
【化5】〔一般式(5)において、Ar1 およびAr2 は相
互に同一でも異なってもよく、2価の芳香族の基を示
す。〕
【0013】
【化6】
【0014】〔一般式(6)において、Ar2 およびAr3
は相互に同一でも異なってもよく、2価の芳香族の基を
示す。〕 以下、本発明を詳細に説明する。これにより、本発明の
目的、構成および効果が明確となるであろう。先ず、本
発明において使用される前記一般式(1)で表される芳
香族アミドビスカルボン酸エステルは、基Aの両端に、
カルボン酸エステル基(-COOR1) を有する化合物であ
る。ここで、Aは前記一般式(5)または(6)で表さ
れる、3個の芳香族基が2個のアミド結合(-NHCO- また
は-CONH-) を介して結合した芳香族アミドビスカルボン
酸の2価の残基を示す。また、一般式(1)中の2個の
R1、Ar1 およびAr2 は、それぞれ相互に同一でも異なっ
てもよい。一般式(1)において、Aにおける各芳香族
基を構成する芳香環は、炭素環でも複素環でもよく、ま
た単環でも多環でもよい。多環芳香環の場合、縮合環で
も、2個以上の芳香環が単結合あるいは多価の結合基を
介して相互に結合されたものでもよい。前記多価の結合
基のうち、例えば2価の結合基としては、-C(R5)2-(但
し、R5は水素原子または適宜の置換基を示す。)、-N(R
6)- (但し、R6は水素原子または適宜の置換基を示
す。)、-O- 、-S- 、-NHCO-、-COO- 、-CO-、-SO2- 等
を挙げることができる。一般式(1)のAにおける芳香
環の総数は、3個以上である。本発明においては、該芳
香環の総数を芳香族アミドビスカルボン酸エステルの融
点が350℃以下となるように選定することが好まし
く、具体的には3〜6個が好ましい。この場合、A中の
芳香環の総数が7個以上であると、該芳香環中の置換基
の有無や、置換基の種類、数あるいは位置にもよるが、
芳香族アミドビスカルボン酸エステルの融点が350℃
より高くなり、均一状態での溶融重縮合により均質なポ
リ(アミド−エステル)重合体を得ることが困難となる
傾向がある。また一般式(1)において、芳香族基間に
介在されるアミド結合は、芳香環に直接結合している。
これにより、得られるポリ(アミド−エステル)重合体
に対して高い融点を発現させることができる。一方、前
記アミド結合と芳香環との間に他の結合基が介在する場
合、例えば一般式(1)のAの構造の少なくとも一部が
キシレンジカルボン酸残基やキシリレンジアミン残基か
らなる場合は、重合体の融点が低下し、好ましくない。
また、一般式(1)におけるアミド結合(-NHCO- または
-CONH-) とカルボン酸エステル基(-COOR1) との位置関
係、および同一の芳香族基に結合した2個のアミド結合
間の位置関係は、いずれも同軸関係にあることが、ポリ
(アミド−エステル)重合体の融点上昇の観点から好ま
しい。一般式(5)および式(6)におけるAr1 、Ar2
およびAr3 の具体例としては、下記のものを挙げること
ができる。
【0015】
【化7】
【化8】
【0016】
【化9】
【化10】
【0017】
【化11】
【化12】
【0018】
【化13】
【化14】
【0019】
【化15】
【化16】
【0020】
【化17】
【化18】
【0021】
【化19】
【化20】
【0022】
【化21】
【化22】
【0023】
【化23】
【化24】
【0024】
【化25】
【化26】
【0025】
【化27】
【化28】
【0026】
【化29】
【0027】
【化30】
【0028】
【化31】
【0029】
【化32】
【0030】
【化33】
【0031】
【化34】
【0032】
【化35】
【0033】
【化36】
【0034】
【化37】
【0035】
【化38】
【0036】
【化39】
【0037】
【化40】
【0038】
【化41】
【0039】
【化42】
【0040】
【化43】
【0041】
【化44】
【0042】これらのAr1 、Ar2 およびAr3 のうち、特
【0043】
【化7】
【0044】
【化9】
【0045】
【化18】
【0046】
【化40】
【0047】
【化41】
【0048】が好ましい。また、一般式(1)における
R1は、炭素数が5〜12のアルキル基を示すが、本発明
において、R1の炭素数は、下記(イ)〜(ハ)の点で重
要な因子である。 (イ)芳香族アミドビスカルボン酸エステルの融点は、
R1の炭素数によって変化し、該炭素数が多いほど融点が
低下する傾向にあり、この融点低下により、ポリ(オキ
シアルキレン)グリコールおよび得られる重合体中のポ
リエーテルセグメントの分解温度より十分低い温度で、
均一状態において溶融重縮合させることが可能となる。 (ロ)R1の炭素数が多いほど、芳香族アミドビスカルボ
ン酸エステルの極性が小さくなり、ポリ(オキシアルキ
レン)グリコールとの混和性、相溶性等が改善され、重
縮合反応の全過程において均一状態を維持することがで
き、それにより反応速度も大きくなる結果、構造が均質
で優れた特性を有するポリ(アミド−エステル)重合体
が短時間で得られる。 (ハ)芳香族アミドビスカルボン酸エステルとポリ(オ
キシアルキレン)グリコールとの重縮合に際しては、副
生するアルコール(R1-OH) を反応系外に除去する必要が
あるが、R1の炭素数が多いほど、対応するアルコールの
沸点が高くなり、それを反応系外に除去するのに、高温
度、高真空等の厳しい条件が必要となり、芳香族アミド
ビスカルボン酸エステルの融点低下の利点が十分発揮で
きなくなり、また製造上の困難性や不利を招く。本発明
におけるR1の炭素数5〜12は、前記(イ)〜(ハ)の
諸点を総合した最適値として選定されたものである。こ
こで、芳香族アミドビスカルボン酸エステルにおけるア
ルキル基の構造と融点との関係を検討するため、テレフ
タル酸1モルとp−アミノ安息香酸2モルとのビスアミ
ドからなる芳香族ビスカルボン酸と各種アルコールとの
ジエステルの融点を、各アルコールの沸点とともに、表
1に示す。表1から明らかなように、炭素数4以下のア
ルコールを用いた芳香族アミドビスカルボン酸エステル
の融点は350℃に近いかあるいはそれ以上である。こ
れに対して、特に炭素数8以上のアルコールを用いた芳
香族アミドビスカルボン酸エステルは、融点が300℃
に近いかあるいはそれ以下となる。また融点低下はアル
コールの炭素数が8付近で効果がほぼ飽和され、炭素数
の大きいアルコールを使用するメリットがなくなる。さ
らに、炭素数12以下のアルコールは、沸点が常圧でも
300℃より十分低く、本発明における重縮合反応条件
下で容易に反応系外に除去できる。
【0049】
【表1】
【0050】一般式(1)におけるR1の具体例として
は、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基
や、これらの構造異性体等を挙げることができる。これ
らのR1のうち、炭素数6〜10のアルキル基が好まし
く、さらに好ましくはn−ヘキシル基、n−オクチル
基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル
基であり、特に2−エチルヘキシル基が好ましい。本発
明における特に好ましい芳香族アミドビスカルボン酸エ
ステルの例を、Ar1 、Ar2 、Ar3 およびR1の組合せ[A
r1:Ar2:R1]あるいは[Ar2:Ar1:R1](一般式(5)の場
合)、並びに[Ar2:Ar3:R1]あるいは[Ar3:Ar2:R1](一般
式(6)の場合)として、さらに具体的に下記に示す。
【0051】[
【化7】:
【化7】:n−ヘキシル ]
【0052】[
【化7】:
【化7】:n−オクチル ]
【0053】[
【化7】:
【化7】:2−エチルヘキシル ]
【0054】[
【化7】:
【化7】:n−ノニル ]
【0055】[
【化7】:
【化7】:イソノニル ]
【0056】[
【化7】:
【化9】:n−ヘキシル ]
【0057】[
【化7】:
【化9】:n−オクチル ]
【0058】[
【化7】:
【化9】:2−エチルヘキシル ]
【0059】[
【化7】:
【化9】:n−ノニル ]
【0060】[
【化7】:
【化9】:イソノニル ]
【0061】[
【化7】:
【化18】:n−ヘキシル ]
【0062】[
【化7】:
【化18】:n−オクチル ]
【0063】[
【化7】:
【化18】:2−エチルヘキシル ]
【0064】[
【化7】:
【化18】:n−ノニル ]
【0065】[
【化7】:
【化18】:イソノニル ]
【0066】[
【化7】:
【化40】:n−ヘキシル ]
【0067】[
【化7】:
【化40】:n−オクチル ]
【0068】[
【化7】:
【化40】:2−エチルヘキシル ]
【0069】[
【化7】:
【化40】:n−ノニル ]
【0070】[
【化7】:
【化40】:イソノニル ]
【0071】[
【化7】:
【化41】:n−ヘキシル ]
【0072】[
【化7】:
【化41】:n−オクチル ]
【0073】[
【化7】:
【化41】:2−エチルヘキシル ]
【0074】[
【化7】:
【化41】:n−ノニル ]
【0075】[
【化7】:
【化41】:イソノニル ]
【0076】一般式(1)で表される芳香族アミドビス
カルボン酸エステルの製造方法としては、例えば、下記
の方法を挙げることができる。先ず、一般式(1)にお
けるAが一般式(5)で表される芳香族アミドビスカル
ボン酸エステルは、例えば、Ar1 がp−アミノ安息香酸
残基、Ar2 がテレフタル酸残基である場合、下記、
の方法に製造することができる。 テレフタル酸および/またはそのジ酸クロリドから
なるテレフタル酸成分と、p−アミノ安息香酸とアルコ
ールR1-OH とのエステルからなるp−アミノ安息香酸成
分とを縮合させる方法; テレフタル酸および/またはそのジ酸クロリドから
なるテレフタル酸成分と、p−アミノ安息香酸および/
またはp−アミノ安息香酸と他のアルコール(好ましく
は炭素数4以下のアルコール)とのエステルからなるp
−アミノ安息香酸成分とを縮合させたのち、アルコール
R1-OH によりエステル化および/またはエステル交換す
る方法。 前記およびの方法における縮合反応は、テレフタル
酸成分1モルに対して、好ましくは2モルのp−アミノ
安息香酸成分を、必要に応じて塩化リチウム、塩化カル
シウム等の無機塩を添加した、好ましくは脱水処理した
無水の非プロトン性極性溶媒中、通常、−30〜+10
0℃、好ましくは−10℃〜室温で、攪拌下で接触させ
ることにより容易に進行する。この場合に用いられる非
プロトン性極性溶媒としては、例えばN−メチルピロリ
ドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシド等の1種以上を挙げることができ
る。また、テレフタル酸成分としてテレフタル酸ジクロ
リドを用いる場合は、トリエチルアミンやピリジン等の
受酸剤を併用することが好ましい。また、前記の方法
におけるアルコールR1-OH によるエステル化および/ま
たはエステル交換反応は、例えばテレフタル酸成分とp
−アミノ安息香酸成分との縮合生成物を、アルコールR1
-OH とともに、適当な溶媒中、適当なエステル化触媒の
存在下、例えば60〜250℃、好ましくは80〜20
0℃の温度で、好ましくは攪拌下で接触させることによ
り実施することができる。この場合に用いられる溶媒と
しては、例えば前記縮合反応について例示した非プロト
ン性極性溶媒を挙げることができ、またエステル化触媒
としては、例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸等のプ
ロトン酸;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、カドミウ
ム、錫、鉛、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、マン
ガン等の単体金属、有機金属化合物、有機酸塩、金属ア
ルコキシドあるいは金属酸化物等を挙げることができ
る。好ましいエステル化触媒は、具体的には、酢酸カル
シウム、酸化鉛、酸化ゲルマニウム、酸化アンチモン、
チタン酸エステル等である。前記エステル化触媒は、単
独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
の方法におけるエステル化あるいはエステル交換に際
しては、反応を促進するために、アルコールR1-OH を過
剰に用いることが好ましく、またエステル化反応の場合
は、トルエン、キシレン等の水と共沸する溶媒を添加
し、あるいはエステル交換の場合は、キャリヤーガスと
して窒素等の不活性気体を流すことにより、副生するア
ルコールおよび/または水を効率的に反応系外に除去す
ることができる。の方法は、前記テレフタル酸成分と
p−アミノ安息香酸成分との縮合によって得られる芳香
族アミドビスカルボン酸エステルの前記非プロトン性極
性溶媒に対する溶解性が低い場合でも、これらの懸濁状
態で行うことができるが、所望により、該溶媒中に塩化
リチウム、塩化カルシウム等の可溶化させるための無機
塩を添加することにより、均一系とすることができる。
なお、このようなエステル化および/またはエステル交
換反応は、前記テレフタル酸成分とp−アミノ安息香酸
成分との縮合生成物の溶液から、該縮合生成物を単離
し、必要に応じて洗浄したのち、前記非プロトン性極性
溶媒に再溶解して実施しても、あるいは前記テレフタル
酸成分とp−アミノ安息香酸成分との縮合により得られ
る溶液をそのまま用いて実施してもよい。
【0077】次に、一般式(1)におけるAが一般式
(6)で表される芳香族アミドビスカルボン酸エステル
は、例えば、Ar2 がテレフタル酸残基、Ar3 がp−フェ
ニレンジアミン残基である場合、下記の方法により製
造することができる。 p−フェニレンジアミンと、テレフタル酸とアルコ
ールR1-OH とのモノエステルの酸クロリドからなるテレ
フタル酸成分とを縮合させる方法;前記の方法におけ
る縮合反応は、p−フェニレンジアミン1モルに対し
て、好ましくは2モルの前記テレフタル酸成分を、必要
に応じて無機塩を添加した非プロトン性極性溶媒中、通
常、−30〜+100℃、好ましくは−10℃〜室温
で、好ましくは攪拌下で接触させることにより容易に進
行する。この場合、無機塩および非プロトン性極性溶媒
としては、例えば前記およびの方法で挙げた無機塩
および溶媒を使用することができる。またの方法で
は、トリエチルアミンやピリジン等の受酸剤を併用する
ことが好ましい。の方法は、芳香族アミドビスカルボ
ン酸エステルが高収率で得られる点で、好ましい方法で
ある。前述したようにして得られた芳香族アミドビスカ
ルボン酸エステルを溶液から単離する方法としては、例
えば反応溶液に、水、メタノール、エタノール、アセト
ン等の芳香族アミドビスカルボン酸エステルに対する貧
溶媒を添加し、もしくは反応溶液を濃縮して、芳香族ア
ミドビスカルボン酸エステルを析出させたのち、析出物
をろ過、遠心分離等により分離する方法等を挙げること
ができる。以上、一般式(1)で表される芳香族アミド
ビスカルボン酸エステルの製造方法を、特定の芳香族化
合物を使用する場合に基づいて例示したが、他の芳香族
化合物を使用する場合も同様にして実施することができ
る。本発明においては、目的に応じて、一般式(1)で
表される芳香族アミドビスカルボン酸エステルを単独で
も2種以上でも使用することもできる。
【0078】次に、一般式(2)におけるR2あるいはR3
のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基や、これ
らの構造異性体等を挙げることができる。一般式(2)
で表されるポリ(オキシアルキレン)グリコールとして
は、例えばポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、
ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシエ
チレン)グリコール等の単独重合体や、これらのオキシ
アルキレングリコール類およびメチルテトラヒドロフラ
ンの開環重合により得られるオキシアルキレングリコー
ルの群から選ばれる2種以上のグリコールを共重合して
なるランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げるこ
とができる。本発明においては、ポリ(オキシアルキレ
ン)グリコールを、前記一般式(3)で表される少なく
とも1種のジカルボン酸または前記一般式(4)で表さ
れる少なくとも1種のジカルボン酸ジエステルと併用す
ることができる。これらの場合、該ジカルボン酸および
ジカルボン酸エステルは鎖延長剤として作用し、ソフト
セグメントとして機能するエラストマー成分の分子量を
上げることができる。このようなジカルボン酸あるいは
ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば蓚酸、こはく
酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸等の脂
肪族ジカルボン酸類;シクロペンタンジカルボン酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン
酸等の脂環族ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族
ジカルボン酸類;これらのジカルボン酸と炭素数1〜1
2のアルコールとのジエステル類等を挙げることができ
る。本発明におけるポリ(オキシアルキレン)グリコー
ルの数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、50
0〜100,000が好ましい。この場合、ポリ(オキ
シアルキレン)グリコールのMnが500未満では、得
られるポリ(アミド−エステル)重合体の硬度が高くな
る反面、ゴム弾性が低下する傾向があり、一方100,
000を超えると、得られるポリ(アミド−エステル)
重合体の耐熱性や強度等が低下する傾向があるので、好
ましくない。また、前記鎖延長剤によりソフトセグメン
トを高分子量化する場合も、そのMnは100,000
以下が好ましい。さらに、ポリ(オキシアルキレン)グ
リコールの分子量分布(Mw/Mn、但しMwは重量平
均分子量である)は、通常、1.5〜10.0、好まし
くは1.5〜5.0の範囲である。本発明において、前
記ポリ(オキシアルキレン)グリコールは、単独でまた
は2種以上を混合して使用することができる。使用され
るポリ(オキシアルキレン)グリコールの種類とMnお
よび2種以上の化合物を用いる場合の各化合物間の比率
は、得られるポリ(アミド−エステル)重合体の硬度、
低温特性、耐候性、耐光性、耐油性等の諸物性のうち、
目的とする1つ以上の物性を考慮して適宜選定される。
さらに、本発明において、前記ポリ(オキシアルキレ
ン)グリコールからなる長鎖グリコールは、場合により
短鎖グリコールを併用して使用することもできる。この
ような短鎖グリコールとしては、例えばアルキレングリ
コール、エーテルグリコール、チオエーテルグリコール
等を挙げることができる。前記アルキレングリコールの
例としては、HO-C2H4-OH、HO-C3H6-OH、HO-C4H8-OH、HO
-C5H10-OH 、HO-C6H12-OH 、HO-C7H14-OH 、HO-C8H16-O
H 、HO-C9H18-OH 、HO-C10H20-OH等を;前記エーテルグ
リコールの例としては、HO-C2H4-O-C2H4-OH 、HO-C3H6-
O-C3H6-OH 、HO-C4H8-O-C4H8-OH 等を;前記チオエーテ
ルグリコールの例としては、HO-C2H4-S-C2H4-OH 、HO-C
3H6-S-C3H6-OH 等を挙げることができる。本発明におい
て、前記短鎖グリコールの使用量は、ポリ(オキシアル
キレン)グリコールと短鎖グリコールとの合計量に対し
て、97モル%以下が好ましく、さらに好ましくは90
モル%以下である。この場合、短鎖グリコールの使用量
が97モル%を超えると、得られるポリ(アミド−エス
テル)重合体中のポリ(オキシアルキレン)グリコール
の含量が少なくなり、芳香族アミドビスカルボン酸エス
テルに由来するハードセグメント鎖が相対的に長くな
り、ポリ(アミド−エステル)重合体が硬質樹脂とな
る。但し、前記短鎖グリコールは、芳香族アミドビスカ
ルボン酸エステルの鎖延長剤として作用し、特に高硬度
のポリ(アミド−エステル)重合体を製造する際に有効
な成分である。
【0079】次に、本発明における溶融重縮合反応の条
件について説明する。本発明においては、前記一般式
(1)で表される少なくとも1種の芳香族アミドビスカ
ルボン酸エステルと、前記一般式(2)で表される少な
くとも1種のポリ(オキシアルキレン)グリコールと、
あるいはさらに前記一般式(3)で表される少なくとも
1種のジカルボン酸または前記一般式(4)で表される
少なくとも1種のジカルボン酸ジエステルとを、エステ
ル化触媒の存在下で200〜350℃の温度に保ち、混
合しながら、減圧下で副生するアルコールまたはアルコ
ールと水とを除去しつつ、均一状態で溶融重縮合させ
る。本発明における重縮合反応時の芳香族アミドビスカ
ルボン酸エステルと、ポリ(オキシアルキレン)グリコ
ールと短鎖グリコールとの合計量とのモル比は、得られ
るポリ(アミド−エステル)重合体の分子量に直接関係
する。本発明における前記反応モル比は、通常、1:
0.8〜1:1.2、好ましくは1:0.9〜1:1.
1である。また、本発明における重縮合反応の温度は、
200〜350℃、好ましくは250〜320℃であ
る。この場合、200℃未満では、反応中溶融した均一
状態を維持することが困難となり、一方350℃を超え
ると、ポリ(オキシアルキレン)グリコールあるいは得
られるポリ(アミド−エステル)重合体の熱劣化が無視
できなくなる。また、本発明における反応温度は、段階
的に上げることもでき、あるいは所定レベルまで上げた
のち段階的に下げることもできる。本発明における重縮
合反応に際しては、反応系を減圧下に維持するが、反応
系内の圧力が低いほど、副生するアルコールの除去が容
易となる。したがって、好ましい圧力は10mmHg以下で
あり、さらに好ましくは5mmHg以下である。また、反応
系内の圧力は、反応の進行状況に合わせて、段階的に低
下させてもよい。本発明においては、ポリエステルを製
造する際に一般に用いられているエステル化触媒を用い
る。このようなエステル化触媒としては、例えばマグネ
シウム、カルシウム、亜鉛、カドミウム、錫、、鉛、チ
タン、ゲルマニウム、アンチモン、マンガン等の単体金
属、有機金属化合物、有機酸塩、金属アルコキシドある
いは金属酸化物等を挙げることができる。好ましいエス
テル化触媒の具体例は、酢酸カルシウム、酸化鉛、酸化
ゲルマニウム、酸化アンチモン、チタン酸エステル等で
ある。前記エステル化触媒は、単独でまたは2種以上を
混合して使用することができる。本発明においては、前
述した条件で溶融重縮合させることにより、反応を均一
状態で行うことができるのみならず、ポリ(オキシアル
キレン)グリコールの熱分解も実質上問題とならないた
め、芳香族アミドビスカルボン酸エステルに由来するハ
ードセグメントの連鎖長が実質的に均一で、ポリ(オキ
シアルキレン)グリコールに由来するソフトセグメント
の連鎖長の分布も狭く、均質な構造を有し、しかも低硬
度領域から比較的高い硬度領域にわたる広い硬度範囲に
おいて、耐熱性、力学的特性等に優れたポリ(アミド−
エステル)重合体を、工業的に再現性よく且つ高効率で
製造することができる。本発明により製造されるポリ
(アミド−エステル)重合体のMnは、通常、1万〜5
0万、好ましくは1万〜30万である。この場合、ポリ
(アミド−エステル)重合体のMnが1万未満では、力
学的特性が低下する傾向があり、また50万を超える
と、成型加工性が低下する傾向がある。本発明により製
造されるポリ(アミド−エステル)重合体は、射出成
形、トランスファー成形、押出成形、インフレーション
成形、ブロー成形、熱成形、真空成形等の所謂熱可塑性
樹脂に対して採用される各種の成形技術により容易に成
形することができる。また、本発明により製造されるポ
リ(アミド−エステル)重合体は、各種安定剤を配合し
て、熱、酸化、紫外線等に対する安定化を図ることがで
きる。安定剤の配合時期は、重縮合反応時、重縮合反応
終了直後あるいは成形前のいずれの段階でもよい。さら
に、本発明により製造されるポリ(アミド−エステル)
重合体には、所望により、補強剤、充填剤、可塑剤、滑
剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、防かび剤等の他の添
加剤を配合することもできる。本発明により製造される
ポリ(アミド−エステル)重合体は、各種弾性成形品、
繊維、フィルム、シート等の成形品や、塗料、接着剤、
プラスチック改質剤等の幅広い用途に有用である。
【0080】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの
実施例に何ら制約されるものではない。 〔合成例1〕テレフタル酸モノ−2−エチルヘキシル・
クロリド98.3g(0.252モル)および4,4’
−ジアミノジフェニルエーテル22.1g(0.12モ
ル)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100
0ミリリットル中に添加し、加熱して還流を開始させ
た。還流開始後、チタン酸テトラブチル1.5ミリリッ
トルを添加し、副生する水を系外に除去しつつ、15時
間反応させた。反応中、テレフタル酸モノ−2−エチル
ヘキシル・クロリドは当初懸濁状態にあったが、反応の
進行とともに溶解して、濃褐色の均一溶液となった。そ
の後、反応溶液を冷却したのち、大過剰のメタノール中
に徐々に添加して、反応生成物を析出させた。次いで、
析出物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥した。得ら
れた化合物を赤外線吸収スペクトル測定装置で分析した
結果、下記式で示されるテレフタル酸モノ−2−エチル
ヘキシルと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの
ビスアミドであることが確認された。この化合物を化合
物(A)とする。化合物(A)の融点は153℃であ
り、化合物(A)における2−エチルヘキシル基がとも
にメチル基に置換された場合の化合物の融点が334℃
であるのに対して、181℃の融点低下を示した。
【0081】
【化45】
【0082】〔合成例2〕p−アミノ安息香酸34.6
g(0.252モル)をN−メチル−2−ピロリドン
(NMP)500ミリリットルに溶解し、この溶液を氷
浴上におき、窒素気流下で攪拌しつつ、NMP100ミ
リリットルに溶解したテレフタル酸ジクロリド24.4
g(0.12モル)を、30分かけて滴下した。滴下終
了後、室温でさらに1時間攪拌を継続し、析出した白色
結晶をろ過して、少量のNMPで洗浄したのち、さらに
メタノールで洗浄し、乾燥した。得られた化合物を赤外
線吸収スペクトル測定装置で分析した結果、下記式で示
されるテレフタル酸とp−アミノ安息香酸とのビスアミ
ドであることが確認された。この化合物を化合物(a)
とする。
【0083】
【化46】
【0084】実施例1 留去管および二重螺旋翼を備えた容量250ミリリット
ルの反応容器に、合成例1で得た化合物(A)14.4
g(0.02モル)、ポリ(オキシテトラメチレン)グ
リコール(Mn=2805)56.1g(0.02モ
ル)、および安定剤としてIRGAFOS 168(商品名、チバガ
イギー社製)100mgとIRGANOX 1330(商品名、チバガ
イギー社製)100mgを仕込み、300℃に加熱して、
均一に溶融させた。次いで、チタン酸テトラブチル0.
1ミリリットルを添加し、反応系内を徐々に減圧して、
20分間で0.1mmHgまで減圧したのち、さらに10分
間重縮合させて、弾性のある淡褐色のポリ(アミド−エ
ステル)重合体を定量的に得た。これから、本発明にお
ける重縮合反応の速度が極めて高いことが明らかとなっ
た。この重合体をポリ(アミド−エステル)重合体
(I)とする。また、ポリ(アミド−エステル)重合体
(I)は、Mnが5.8万、分子量分布(Mw/Mn)
が2.3であり、化合物(A)に由来するハードセグメ
ントの含量は、化合物(A)の仕込み量と生成重合体量
および副生アルコール量とから計算した結果、14重量
%であった。ポリ(アミド−エステル)重合体(I)
は、図1に示すように、アミド結合の特性吸収(波数1
600cm-1) を示した。また、ポリ(アミド−エステ
ル)重合体(I)を220℃で熱プレスして、サンプル
シートを作製し、下記測定方法により、密度、熱分解温
度、融点、MFR(溶融流れ指数)、硬度、引張試験に
よる強度と伸度を測定した。測定結果を表2に示す。物性測定方法 密度 : 浮力法により25℃で測定した。 熱分解温度: TGA(Thermogravimetric Analysis:熱
天秤)を用い、窒素雰囲気下、20℃/分の昇温条件
で、試料重量の5%が分解する温度を、熱分解温度とし
た。 融点 : DMTA(Dynamic Mechanical Thermal
Analysis) を用い、周波数1Hz で測定した動的粘弾性
の温度依存性から、化合物(A)に由来するセグメント
の主分散に基づく tanδのピーク温度を、融点とした。
動的粘弾性の動的貯蔵弾性率の温度依存性(測定周波数
1Hz)を図2に示す。 MFR : 温度190℃で測定した。 硬度 : JIS A硬度はJIS K6301に
準拠し、ショアD硬度はASTM D2240に準拠し
て測定した。 強度 : JIS K6301に準拠して測定し
た。 伸度 : JIS K6301に準拠して測定し
た。
【0085】
【表2】
【0086】比較例1 実施例1で用いた化合物(A)の代わりに、合成例2で
得た化合物(a)のジメチルエステルを用い、実施例1
と同様にして重縮合させた。この場合、300℃の重縮
合温度では、30分反応させても、前記ジメチルエステ
ルが完全に溶融せず、不均一な状態であった。さらに反
応を進行させるため、徐々に昇温させたが、370℃に
達しても、反応系は完全には溶融していない固体状物が
存在する不均一な状態のままであり、しかも重縮合反応
の進行による粘度上昇が認められるまでに、さらに18
0分を要した。また、得られた重合体は、茶褐色に著し
く着色しており、その強度および伸度を実施例1と同様
にして測定したところ、それぞれ8.6MPa および15
0%であり、力学的特性に劣っていた。 比較例2 合成例2で得た化合物(a)、アジピン酸ジメチルおよ
びエチレングリコールを、化合物(a)とアジピン酸ジ
メチルとの合計量とエチレングリコールとのモル比を
1:1として、実施例1と同様にして重縮合させた。こ
の場合、得られた重合体は、室温でゴム弾性を示さない
樹脂状であり、ポリエチレンアジペートの長い結晶性連
鎖が形成されていた。
【0087】
【発明の効果】本発明によると、芳香族アミドビスカル
ボン酸エステルとポリ(オキシアルキレン)グリコール
との混和性が良く、また該芳香族アミドビスカルボン酸
エステルの融点も低く、溶融重縮合反応を均一状態で行
うことができるのみならず、ポリ(オキシアルキレン)
グリコールの熱分解も実質上問題とならないため、均質
な構造を有し、低硬度領域から比較的高い硬度領域にわ
たる広い硬度範囲において優れた耐熱性、力学的特性等
を有するポリ(アミド−エステル)重合体を、工業的に
再現性よく且つ高効率に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たポリ(アミド−エステル)重合
体の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得たポリ(アミド−エステル)重合
体の動的粘弾性の動的貯蔵弾性率の温度依存性を示す図
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される少なくとも
    1種の芳香族アミドビスカルボン酸エステルと、下記一
    般式(2)で表される少なくとも1種のポリ(オキシア
    ルキレン)グリコールと、あるいはさらに下記一般式
    (3)で表される少なくとも1種のジカルボン酸または
    下記一般式(4)で表される少なくとも1種のジカルボ
    ン酸ジエステルとを、エステル化触媒の存在下で200
    〜350℃の温度に保ち、混合しながら、減圧下で副生
    するアルコールまたはアルコールと水とを除去しつつ、
    均一状態で溶融重縮合させることを特徴とするポリ(ア
    ミド−エステル)重合体の製造方法。 【化1】 〔一般式(1)において、Aは一般式(5)または
    (6)で表される2価の基を示し、R1は炭素数5〜12
    のアルキル基を示す。〕 【化2】 〔一般式(2)において、R2およびR3は相互に同一でも
    異なってもよく、水素原子または炭素数1〜6のアルキ
    ル基を示し、iおよびjはそれぞれ0または1〜100
    の整数、nは10〜400の整数である。〕 【化3】 〔一般式(3)において、Bは2価の脂肪族、脂環族ま
    たは芳香族の基を示す。〕 【化4】 〔一般式(4)において、Bは2価の脂肪族、脂環族ま
    たは芳香族の基を示し、R4は炭素数1〜12のアルキル
    基を示す。〕 【化5】 〔一般式(5)において、Ar1 およびAr2 は相互に同一
    でも異なってもよく、2価の芳香族の基を示す。〕 【化6】 〔一般式(6)において、Ar2 およびAr3 は相互に同一
    でも異なってもよく、2価の芳香族の基を示す。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103910879A (zh) * 2012-12-28 2014-07-09 第一毛织株式会社 结晶聚酰胺酯树脂、其制备方法和由其生产的制品
US9371421B2 (en) 2012-12-28 2016-06-21 Cheil Industries Inc. Crystalline polyamide ester resin, method for preparing the same, and article including the same
CN103910879B (zh) * 2012-12-28 2017-07-21 乐天尖端材料株式会社 结晶聚酰胺酯树脂、其制备方法和由其生产的制品

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