JP5927751B1 - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)とを混合して反応させる工程を含むポリエステル樹脂の製造方法であって、前記エステル化合物(A)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有し、かつ、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1〜1.5dl/gである。また、前記エステル化合物(B)は、環状アセタール骨格を有しないジカルボン酸構成単位と環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位とを含み、かつ、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。

Description

本発明は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を含み、ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有するポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。
環状アセタール骨格を有するジオールを構成単位に含有するポリエステル樹脂は、環状アセタールの剛直な骨格やアセタール結合に由来して耐熱性や接着性、難燃性等が向上することが知られている。例えば、特許文献1では、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下「SPG」ということがある)で変性されたPETは、ガラス転移点が高く耐熱性に優れるとの記載がなされている。
また、特許文献2において、SPGを共重合成分とする、ガラス転移温度が高く、透明性、機械強度に優れたポリエステル樹脂が記載されている。更に、特許文献3〜4において、SPGを共重合成分とするポリエステル樹脂の製造方法が記載されている。
特許文献4に記載のとおり、環状アセタール骨格を有するジオールは酸により環状アセタール骨格が分解しやすい為、ジカルボン酸を原料とする通常の直接エステル化法で得られるポリエステル樹脂は、著しく分子量分布が広い場合や、ゲル状となる場合がある。このため、環状アセタール骨格を有するジオールを構成単位に持つポリエステル樹脂の製造方法としては、特許文献3や特許文献5などに記載されるジカルボン酸のエステル化物を原料とするエステル交換法や、特許文献4などに記載されるエステルとして低酸価のポリエステルやそのオリゴマーを用いた特殊なエステル交換法が開示されている。
また、特許文献6には、環状アセタール骨格を有するエステル化合物、ジカルボン酸、環状アセタール骨格を有しないジオールを原料とする粉体塗料向けのポリエステル樹脂の製造方法が開示されている。
米国特許第2,945,008号公報 特開2002−69165号公報 特開2003−212981号公報 特開2004−137477号公報 特開2008−169260号公報 特開2009−120765号公報
しかしながら、特許文献3や特許文献5では、昇華性のあるジオールを原料として使用した場合、ジオールの昇華が製造上の問題となり、工程が煩雑となる問題がある。
また、特許文献4などに記載される方法では、エステルとして酸価の低いポリエステルやそのオリゴマーを用いる必要があるが、それらを製造するためにはエステル製造時のジカルボン酸構成単位に対するジオール構成単位のモル比を大きくする必要があるため、エステル化合物中のジオールの脱水反応で生成するエーテル量が増大する問題があったり、反応器の利用効率が悪いといった問題がある。またエステル化反応を十分行う必要性があり、エステル製造時間が長時間になるといった問題がある。
さらに、特許文献6に記載の製造方法で得られるポリエステル樹脂は、末端酸価が大きく、極限粘度が低く高分子量化が十分でなく、成形性や機械的性能に問題がある。
また、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合が比較的低いポリエステル樹脂の場合、半結晶化時間が比較的短いために厚物の成形品を得る場合に透明性が低下したり、二次成形の予熱時に白化する課題や、樹脂中のジエチレングリコールの含有量が増加してガラス転移点が低下したり、熱安定性が悪く色調が悪化する課題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、従来の製造方法に比べて半結晶化時間がより長く、ジエチレングリコールの含有量がより少ないポリエステル樹脂を工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、環状アセタール骨格を有するジオールを構成単位として含有するポリエステル樹脂を製造する際に、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の供給源として、環状アセタール骨格を有するジオールを構成単位に含むエステル化合物を用いることで、昇華性のあるジオールの昇華を抑制できるとともに、直接エステル化法で問題となるジカルボン酸による環状アセタール骨格の分解、及びそれによるポリエステル樹脂のゲル化を防げることを見出し、更に半結晶化時間が長く、ジエチレングリコールの含有量が少ないポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有する、ポリエステル樹脂の製造方法であって、
環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)とを混合して反応させる工程を含み、
以下の(1)及び(2)の条件を満たす、製造方法:
(1)前記エステル化合物(A)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有し、かつ、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1〜1.5dl/gである;
(2)前記エステル化合物(B)は、環状アセタール骨格を有しないジカルボン酸構成単位と環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位とを含み、かつ、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。
[2]
前記エステル化合物(A)に含有される環状アセタール骨格を有するジオール構成単位が、一般式(a)又は一般式(b)で表わされる化合物に由来するジオール構成単位である、[1]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
Figure 0005927751

(式(a)中、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の2価の脂環式炭化水素基及び炭素数が6〜10の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
Figure 0005927751

(式(b)中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数が1〜10の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の1価の脂環式炭化水素基及び炭素数が6〜10の1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
[3]
前記エステル化合物(A)に含有される環状アセタール骨格を有するジオール構成単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、又は5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール構成単位である、[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
[4]
前記エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位の2〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
[5]
前記ポリエステル樹脂に含まれる全ジオール構成単位の1〜40モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、半結晶化時間が長く、ジエチレングリコールの含有量が少ないポリエステル樹脂を工業的に有利に製造することができる。
以下に本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態に係るポリエステル樹脂の製造方法は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有する、ポリエステル樹脂の製造方法である。さらに、本実施形態に係るポリエステル樹脂の製造方法は、環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)とを混合して反応させる工程を含み、以下の(1)及び(2)の条件を満たす:
(1)前記エステル化合物(A)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有し、かつ、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1〜1.5dl/gである;
(2)前記エステル化合物(B)は、環状アセタール骨格を有しないジカルボン酸構成単位と環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位とを含み、かつ、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。
上記のように構成されているため、本実施形態に係るポリエステル樹脂の製造方法によれば、半結晶化時間が長く、ジエチレングリコールの含有量が少ないポリエステル樹脂を工業的に有利に製造することができる。すなわち、本実施形態において製造されるポリエステル樹脂(以下、単に「ポリエステル樹脂(C)」ともいう。)は、半結晶化時間が長いため、厚みのある成形体とした場合でも結晶化による濁りを効果的に防止することができ、さらに、ジエチレングリコール生成量が少ないため、ガラス転移点が向上し、耐熱性にも優れるものということができる。さらに、本実施形態に係るポリエステル樹脂の製造方法によれば、ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有するポリエステル樹脂を製造する際に生じうる、水やジカルボン酸のカルボキシル基による環状アセタール骨格の分解を防止することができ、結果としてポリエステル樹脂のゲル化や分子量分布の増大が防止される。このように、従来の製造方法では問題となっていた好ましくない副反応が抑制され、副生成物の少ないポリエステル樹脂を安定して製造することができる。このようにして得られたポリエステル樹脂は耐熱性などの機械物性にも優れる。
本実施形態において、エステル化合物(A)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有する。 エステル化合物(A)の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位は、一般式(a)又は一般式(b)で表される化合物に由来するジオール構成単位であることが好ましい。
Figure 0005927751
Figure 0005927751
一般式(a)及び(b)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。R及びRは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、以下に限定されないが、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基が挙げられる。Rは炭素数が1〜10の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の1価の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、以下に限定されないが、例えば、イソプロピル基、イソブチル基が挙げられる。これらのジオールにより、半結晶化時間をより効果的に長くすることが可能である。
一般式(a)及び(b)で表される化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が好ましい。すなわち、エステル化合物(A)に含有される環状アセタール骨格を有するジオール構成単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、又は5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール構成単位であることが好ましく、これらのジオールは容易に入手でき半結晶化時間をより効果的に長くすることが可能である。
本実施形態において、エステル化合物(A)は環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位を含有していてもよい。エステル化合物(A)の環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位としては、特に限定されないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオールが例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が好ましく、エチレングリコールがより好ましい。なお、環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位は、上記したものの中の1種類を含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
本実施形態において、エステル化合物(A)のジカルボン酸構成単位としては、特に限定されないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性を考慮すると芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。なお、ジカルボン酸構成単位は上記したものの中の1種類を含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
エステル化合物(A)は、従来公知のポリエステル樹脂の製造方法を用いて製造することができる。
エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合は、2〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜75モル%であり、更に好ましくは20〜70モル%であり、より更に好ましくは30〜65モル%である。通常、ポリエステル樹脂(C)の全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合は、エステル化合物(A)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合よりも低くなる。そのため、ポリエステル樹脂(C)の組成の多様性を確保する観点から、エステル化合物(A)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合を2モル%以上とすることが好ましい。また、エステル化合物(A)の良好な結晶性を確保する観点や、エステル化合物(B)と混合し反応させる際の溶解性などの取り扱い性を確保する観点から、エステル化合物(A)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合を80モル%以下とすることが好ましい。全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合が2〜80モル%であるエステル化合物(A)は、例えば、原料の仕込み量を調整することで得られる。なお、エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位の90モル%以上が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとエチレングリコールであり、かつ、全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合が上述した好ましい範囲にあるものであることがとりわけ好ましい。また、エステル化合物(A)に含まれる全ジカルボン酸構成単位中のテレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸の合計の割合が60モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上であり、更に好ましくは80モル%以上であり、より更に好ましくは90モル%以上である。
エステル化合物(A)は金属種を含んでいてもよく、以下に限定されないが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、スズ、リンなどが挙げられる。これらの中でも、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、カリウム、リン、コバルトから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。なお、これらの金属種は単独で含んでいてもよく、複数のものを併せて含んでいてもよい。金属種の量は、それぞれ、エステル化合物(A)に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下である。
エステル化合物(A)の極限粘度は、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒中25℃で測定した値が0.1〜1.5dl/gである必要がある。ポリエステル化合物(A)の極限粘度は、好ましくは0.3〜1.0dl/g、より好ましくは0.4〜0.8dl/g、さらに好ましくは0.4〜0.75dl/gである。上記極限粘度が0.1dl/g未満ではエステル化合物(A)の扱いが難しくなるため好ましくない。具体的には溶融状態での粘度が低すぎること、機械物性が低く脆いことから、例えばポリエステル樹脂の製造装置から取り出してペレット化することが難しくなる。また、上記極限粘度が1.5dl/gを超えると、ポリエステル樹脂の原料として使用する際に溶融粘度が過剰に大きくなり、他の原料であるエステル化合物(B)との混合物の流動性が損なわれたり、流動性を得るために過度の加熱が必要になったりすることがあり好ましくない。
エステル化合物(A)の形状は特に限定されないが、ペレット、フレーク、粉体等が例示できる。
エステル化合物(A)の具体的な例としては、以下に限定されないが、三菱ガス化学株式会社製のALTESTER S5812、同 ALTESTER S4500,同 ALTESTER S3000,同 ALTESTER S2000,同 ALTESTER SN4500,同 ALTESTER SN3000,同 ALTESTER SN1500が挙げられる。
本実施形態において、エステル化合物(B)は、環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位と環状アセタール骨格を有しないジカルボン酸構成単位からなる。
本実施形態のエステル化合物(B)の環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位としては、特に限定されないが、前記エステル化合物(A)の環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位として例示したものを含むことができる。
本実施形態のエステル化合物(B)の環状アセタール骨格を有しないジカルボン酸構成単位としては、特に限定されないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性を考慮すると芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。なお、ジカルボン酸構成単位としては、上記したものの中の1種類のみを含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。また、上記ジカルボン酸のアルキルエステルを使用する場合、容易に酸価1μ当量/g以上150μ当量/g未満のエステル化合物(B)を得られる傾向にあり、好ましい。
本実施形態において、エステル化合物(B)の溶融粘弾性や分子量などを調整するために、本実施形態の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコールやトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸やそのエステル形成性誘導体、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸やそのエステル形成性誘導体をエステル化合物(B)の原料として使用してもよい。
エステル化合物(B)の製造方法は、特に限定されない。例えば、ジカルボン酸構成単位としてジカルボン酸のアルキルエステルを使用する場合は、従来のポリエステル樹脂のエステル交換法を用いた製造方法におけるエステル交換工程及び重縮合工程と同様に行うことができ、従来既知の条件、触媒を適用することができる。具体的にはジカルボン酸エステルとジオールをエステル交換反応する製造方法が挙げられる。また、ジカルボン酸構成単位としてカルボン酸の状態の化合物を使用する場合は、従来のポリエステル樹脂の直接エステル化法を用いた製造方法におけるエステル化工程及び重縮合工程と同様に行うことができ、従来既知の条件、触媒を適用することができる。具体的にはジカルボン酸とジオールを直接エステル化反応する製造方法、種オリゴマーにジカルボン酸とジオールを添加しエステル化反応する製造方法が挙げられる。
エステル化合物(B)の製造を、ジカルボン酸構成単位としてジカルボン酸のアルキルエステルを使用して行う場合、原料ジカルボン酸エステルに対するジオールの仕込み比は、モル比で1.01〜10であることが好ましく、より好ましくは1.05〜5であり、更に好ましくは1.10〜2.2である。仕込み比を上記範囲とすることで、ジオールの脱水エーテル化などの好ましくない副反応がより抑制される傾向にある。
エステル化合物(B)のカルボン酸構成単位としてジカルボン酸のアルキルエステルを使用する場合のエステル交換工程の温度、圧力も従来のポリエステル樹脂のエステル交換法による製造方法における条件と同様であり、特に限定されないが、反応系の圧力は通常10〜500kPaとすることができる。また、反応温度は通常80〜270℃であり、好ましくは150〜265℃であり、より好ましくは200〜260℃である。エステル交換反応は、エステル形成体に由来して生成するアルコールを反応系外に抜き出しながら、アルコールの抜出し量から算出されたエステル交換率が通常80〜98%となるまで行う。エステル交換反応として、好ましくは上記エステル交換率が85〜96%となるまで、より好ましくは92〜95%となるまで行う。
また、エステル化合物(B)の製造を、ジカルボン酸構成単位としてカルボン酸の状態の化合物を使用して行う場合、原料ジカルボン酸に対するジオールの仕込み比はモル比で、1.01〜10であることが好ましく、より好ましくは1.05〜5であり、更に好ましくは1.10〜2である。仕込み比を上記範囲とすることで、ジオールの脱水エーテル化などの好ましくない副反応がより抑制される傾向にある。
エステル化合物(B)のジカルボン酸構成単位としてカルボン酸の状態の化合物を使用する場合のエステル化工程の温度、圧力も従来のポリエステル樹脂の直接エステル化法による製造方法における条件と同様であり、特に限定されないが、反応系の圧力は通常10〜500kPaとすることができる。また、反応温度は通常80〜270℃であり、好ましくは150〜265℃であり、更に好ましくは200〜260℃である。エステル化反応は、生成する水を反応系外に抜き出しながら、水の抜出し量から算出されたエステル転化率が通常80〜99%となるまで行う。エステル化反応として、好ましくは上記エステル転化率が85〜98%となるまで、より好ましくは92〜97%となるまで行う。
エステル化合物(B)の製造工程では、従来既知の触媒を用いてもよい。上記触媒としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド); 金属マグネシウムなどが挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、複数のものを併用することもできる。触媒成分の使用量はエステル化合物(B)に対して、それぞれ、通常1000ppm以下とすることができ、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以下である。
エステル化合物(B)の製造工程ではリン化合物を使用することもできる。リン化合物の使用量はエステル化合物(B)に対して通常1000ppm以下とすることができ、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下である。リン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、リン酸エステル、亜リン酸エステルが挙げられ、中でもリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルが好ましく、リン酸トリエチルがより好ましい。
エステル化合物(B)の製造工程では塩基性化合物を使用することもできる。塩基性化合物の使用量はエステル化合物(B)に対して通常1000ppm以下であり、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以下である。塩基性化合物としては、特に限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、酸化物、塩化物、アルコキシド; ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、酸化物、塩化物、アルコキシド; トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物が例示できる。これらの中で、アルカリ金属の炭酸塩、水酸化物、及びカルボン酸塩; アルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、及びカルボン酸塩が好ましく、アルカリ金属のカルボン酸塩がより好ましい。アルカリ金属のカルボン酸塩を使用することで、耐熱分解性がより向上する傾向にあり、加えて樹脂の透明性がより向上する傾向にある。アルカリ金属のカルボン酸塩としては、以下に限定されないが、例えば、アルカリ金属のギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属のギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、及び安息香酸塩が好ましく、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びプロピオン酸リチウムがより好ましい。これらは単独で用いることもできるし、複数のものを併用することもできる。
エステル化合物(B)の酸価は1μ当量/g以上150μ当量/g未満であり、好ましくは2μ当量/g以上120μ当量/g以下であり、より好ましくは4μ当量/g以上100μ当量/g以下である。酸価を1μ当量/g以上150μ当量/g未満の範囲にすることでポリエステル樹脂(C)のゲル化や分子量分布の増大を抑え、ポリエステル樹脂(C)中のジエチレングリコールの含有量を低減することができる。なお、上記酸価は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有するポリエステル樹脂である。なお、本実施形態において、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位の合計量は特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂(C)の全構成単位中の90モル%以上がジカルボン酸構成単位とジオール構成単位であることが好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造方法は、エステル化合物(B)とエステル化合物(A)とを混合し反応させる方法であり、従来既知のポリエステル樹脂の重縮合工程における条件、触媒等を適用することができる。好ましい形態としては、前記の方法で製造した溶融状態のエステル化合物(B)にエステル化合物(A)を添加する形態が挙げられる。本実施形態において、エステル化合物(A)が高分子であったとしても、重縮合工程でランダム化が同時に起きる可能性があり、本工程の前にランダム化の工程はあってもよいが必須ではない。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造工程の温度、圧力も従来のポリエステル樹脂の製造方法における重縮合工程と同様に行うことができる。例えば、重合温度は徐々に上げていき、最終的に好ましくは200〜300℃とし、圧力は徐々に下げていき、最終的に好ましくは300Pa以下とする。この条件で主に環状アセタール骨格を有しないジオールを系外に抜き出す。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造工程の触媒は従来既知のものを用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド);金属マグネシウムなどが挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、複数のものを併用することもできる。これらの中でもチタンのアルコキシド、ゲルマニウム酸化物、アンチモン酸化物が好ましく、テトラブトキシチタン、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンがより好ましい。触媒成分は環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)由来又は環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)由来であってもよく、新規に触媒を添加することは必ずしも必要ではない。触媒量は、得られるポリエステル樹脂(C)に対して、それぞれ通常1000ppm以下とすることができ、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下である。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造方法では、エステル化合物(A)及び(B)以外に、環状アセタール骨格を有しないジオールを使用してもよい。そのような環状アセタール骨格を有しないジオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオールを原料として使用してもよい。耐衝撃性の向上を考慮すると1,4−シクロヘキサンジメタノールの使用が好ましい。なお、環状アセタール骨格を有しないジオールは上記したものの中から1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのジオールの添加のタイミングは特に限定されないが、例えば、エステル化合物(B)とエステル化合物(A)とを混合する際に添加することができる。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造方法では、溶融粘弾性や分子量などを調整するために、エステル化合物(A)及び(B)以外に、本実施形態の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコールやトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸やそのエステル形成性誘導体、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸やそのエステル形成性誘導体を原料として使用してもよい。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造方法では、リン化合物を使用することもできる。リン化合物は、環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)由来又は環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)由来でもよい。リン化合物の使用量としては、得られるポリエステル樹脂(C)に対して通常1000ppm以下とすることができ、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下である。リン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、リン酸エステル、亜リン酸エステルが挙げられる。これらの中でも、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルが好ましく、リン酸トリエチルがより好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造方法では、塩基性化合物を使用することもできる。塩基性化合物は環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)由来又は環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)由来でもよい。塩基性化合物の使用量は、得られるポリエステル樹脂(C)に対して通常1000ppm以下とすることができ、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以下である。塩基性化合物としては、特に限定されるものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、酸化物、塩化物、アルコキシド; ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、酸化物、塩化物、アルコキシド; トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属の炭酸塩、水酸化物、及びカルボン酸塩; アルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、及びカルボン酸塩が好ましく、アルカリ金属のカルボン酸塩がより好ましい。アルカリ金属のカルボン酸塩を使用することで、耐熱分解性がより向上する傾向にあり、加えて樹脂の透明性がより向上する傾向にある。アルカリ金属のカルボン酸塩としては、以下に限定されないが、例えば、アルカリ金属のギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属のギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、及び安息香酸塩が好ましく、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びプロピオン酸リチウムが好ましい。これらは単独で用いることもできるし、複数のものを併用することもできる。
また、本実施形態のポリエステル樹脂(C)の製造方法では、公知のエーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等を用いることができる。具体的には、以下に限定されないが、エーテル化防止剤としてアミン化合物等が例示される。その他光安定剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、離型剤、補色剤等を加えてもよい。具体的には、以下に限定されないが、補色剤としてはコバルト化合物が例示される。
本実施形態において、ポリエステル樹脂(C)の耐熱性及び機械的な強度をより向上させる観点から、ポリエステル樹脂(C)に含まれる全ジオール構成単位中の1〜40モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位であることが好ましく、より好ましくは2〜35モル%であり、更に好ましくは3〜30モル%である。全ジオール構成単位中の1〜40モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位であるポリエステル樹脂(C)は、例えば、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の混合比率を調整することで得られる。なお、ポリエステル樹脂(C)に含まれる全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態において、ポリエステル樹脂(C)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合は、エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合よりも低くなる。生産性を考慮すると、ポリエステル樹脂(C)に含まれる全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合は、エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位の割合の1/2以下となることが好ましい。
ポリエステル樹脂(C)の極限粘度は、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒中25℃で測定した値で0.1〜1.5dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0dl/gであり、更に好ましくは0.4〜0.8dl/gであり、より更に好ましくは0.4〜0.75dl/gである。
本実施形態の製造方法で得られるポリエステル樹脂(C)は、例えば、特開2005−314643号公報に示される方法で得られるポリエステル樹脂に比べて、ジエチレングリコールの含有量が少なくなるため、ガラス転移温度がより高くなり耐熱性に優れる。また、半結晶化時間が長くなることで、透明性に優れた樹脂となる。なお、ジエチレングリコールの含有量及び半結晶化時間については、後述する実施例に記載の方法で確認することができる。
ポリエステル樹脂(C)は、半結晶化時間が比較的長いため、厚物成形時に透明性を維持し、また二次成形時に予熱温度を上昇できるため、歪みを低減でき、容器の耐熱性が向上するなどの長所を有し、種々の用途に用いることができる。ポリエステル樹脂(C)の用途としては、以下に限定されないが、例えば、射出成形体、シート、フィルム、パイプ、繊維等の押し出し成形体、ボトル、発泡体、粘着材、接着剤、塗料等が挙げられる。より詳細には、シートは単層でも多層でもよく、フィルムも単層でも多層でもよく、また未延伸のものでも、一方向、又は二方向に延伸されたものでもよく、鋼板などに積層してもよい。繊維は単一成分型でも複合型でもよく、また短繊維でも長繊維でもよい。またモノフィラメントの断面形状については特に限定されるものではなく、例えば、丸形、楕円形、三角・四角・六角などの多角形、星形・X字形・Y字形・H字形・花びら形・帽子形などの異形断面、及び中空形などを挙げることができ、これらの形状を一部変更したものや合成したものでもよい。また、産業資材への使用にあたっては、これらの各種の断面形状を組み合わせてもよい。ボトルはダイレクトブローボトルでもインジェクションブローボトルでもよく、射出成形されたものでもよい。発泡体は、ビーズ発泡体でも押出し発泡体でもよい。
なお、単純にエステル化合物(A)と環状アセタール骨格を有しないポリエステル樹脂を押出機でブレンドしたものは、本実施形態のポリエステル樹脂(C)とは物性が異なり、ポリエステル樹脂(C)と比較し、色調が悪く、重合度の上がり具合も低い樹脂となる。
以下実施例により本実施形態を更に具体的に説明する。ただし、本実施形態は実施例により限定するものではない。各評価は以下のように行い、評価結果は表1〜3に示した。
〔ポリエステル樹脂(C)の評価〕
1.環状アセタール骨格を有するジオールの共重合率等
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオールの共重合率、テレフタル酸単位の比率およびDEG量をH−NMR測定にて算出した。測定装置はBruker BioSpin K.K.製、AscendTM500を用いた。溶媒には重クロロホルムを用いた。なお、重クロロホルムに不溶な場合は、トリフルオロ酢酸を数滴使用し、重クロロホルムに溶解させた。
2.極限粘度
ポリエステル樹脂をフェノール/1,1,2,2,−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)に90℃で加熱溶解させ、0.2、0.4、0.6g/dlの溶液を調製した。その後、25℃まで冷却して測定用サンプルを調製した。装置はViscotek社製 相対粘度計Y501を用い、温度25℃で測定を行った。
3.分子量測定
ポリエステル樹脂5mgを5gの10mmol/Lのテトラフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定、標準ポリメタクリル酸メチルで検量し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求めた。得られたMw及びMnの値から、分子量多分散度(Mw/Mn)を求めた。GPCは東ソー株式会社製カラムTSKgel guardcolumn SuperH−Hを1本、TSKgel SuperHM−H(6.0mmI.D.×150mm)を2本接続した東ソー社製HLC−8320GPCを用い、カラム温度40℃で測定した。溶離液は10mmol/Lのテトラフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノールを0.3mL/minの流速で流し、RI検出器で測定した。
4.半結晶化時間測定
測定には(株)コタキ製作所製ポリマー結晶化速度測定装置 MK−701型を使用し、サンプルは2枚のカバーガラス(18mm×18mm)間でポリエステル樹脂を溶融させることで得た。サンプルを温度280℃に加熱した溶融炉中に3分間保持し、次に温度160℃に加熱したシリコンオイルバス中の光路へ移動させた。次いで、結晶化過程のサンプルを透過する光強度を検出し、レコーダーに記録した。得られたチャートから透過光の強度が半分に低下する時間を読み取り、半結晶化時間を算出した。
〔エステル化合物(A)の評価〕
1.環状アセタール骨格を有するジオールの共重合率
上述の〔ポリエステル樹脂(C)の評価〕1.と同様の方法で実施した。
2.極限粘度
上述の〔ポリエステル樹脂(C)の評価〕2.と同様の方法で実施した。
〔エステル化合物(B)の評価〕
1.ジカルボン酸構成単位に対するジオールの構成単位(G/A)
エステル化合物中のジオールの共重合率とジカルボン酸の共重合率をH−NMR測定にて算出した。測定装置はBruker BioSpin K.K.製、AscendTM500で測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。なお、重クロロホルムに不溶な場合はトリフルオロ酢酸を数滴使用し、重クロロホルムに溶解させた。
2.酸価
エステル化合物1.5gをo−クレゾール/1,1,2,2−テトラクロロエタン/クロロホルムの混合溶媒(質量比70:15:15)50mLに加熱溶解した。この溶液を0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で電位差滴定した。滴定は平沼産業株式会社製 自動滴定装置 COM−1600にて行った。
<製造例1:エステル化合物(B1)の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた3Lのポリエステル製造装置に、テレフタル酸ジメチル、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコールとテトラブトキシチタンを添加し、230℃、常圧にてエステル交換反応を行い、生成するメタノールを留去しながら、エステル化合物(B1)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及びエステル化合物(B1)の評価結果を表1に示す。
<製造例2:エステル化合物(B2)の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた3Lのポリエステル製造装置にジカルボン酸構成単位(全てテレフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位)に対するジオール構成単位(全てエチレングリコールに由来するジオール構成単位)のモル比が2.0である種オリゴマー(D1)を仕込み、ジカルボン酸、環状アセタール骨格を持たないジオールを所定のモル比になるように添加し、240℃、常圧にてエステル化反応を行い、生成する水を留去しながら、エステル化合物(B2)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及びエステル化合物(B2)の評価結果を表1に示す。
<製造例3:エステル化合物(B3)の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた3Lのポリエステル製造装置にジカルボン酸構成単位(全てテレフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位)に対するジオール構成単位(全てエチレングリコールに由来するジオール構成単位)のモル比が1.2である種オリゴマー(D2)を仕込み、ジカルボン酸、環状アセタール骨格を持たないジオールを所定のモル比になるように添加し、240℃、常圧にてエステル化反応を行い、生成する水を留去しながら、エステル化合物(B3)を得た。エステル化反応の終点を製造例2より2時間早め、エステル化合物(B3)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及びエステル化合物(B3)の評価結果を表1に示す。
<実施例1>
エステル化合物(A)として、三菱ガス化学社製 ALTESTER S4500を使用した(以下、エステル化合物(A1)と記載する。)。その評価結果を表2に示す。また、エステル化合物(B)として、製造例1で製造したエステル化合物(B1)を使用した。
全縮器、コールドトラップ、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた1Lのポリエステル製造装置に表3に記載の量のエステル化合物(B1)を仕込み、常圧、窒素雰囲気下で内温を250℃まで昇温した。昇温後、触媒として二酸化ゲルマニウム、熱安定剤としてリン酸トリエチル、塩基性化合物として酢酸カリウム、補色剤として酢酸コバルトを添加し、エステル化合物(A1)を加え、280℃まで昇温しながら100Pa以下の圧力となるまで徐々に減圧し、主に環状アセタール骨格を有しないジオールを留去した。徐々に反応物の粘度が上昇し、適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂(C1)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及び得られたポリエステル樹脂(C1)の評価結果を表3に示す。
<実施例2>
エステル化合物(A)として、三菱ガス化学社製 ALTESTER S5812を使用した。(以下、エステル化合物(A2)と記載する。)その評価結果を表2に示す。また、エステル化合物(B)として、製造例2で製造したエステル化合物(B2)を使用した。
全縮器、コールドトラップ、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた1Lのポリエステル製造装置に表3に記載の量のエステル化合物(B2)を仕込み、常圧、窒素雰囲気下で内温を260℃まで昇温した。昇温後、触媒としてテトラブトキシチタン、三酸化アンチモン、熱安定剤としてリン酸トリエチル、塩基性化合物として酢酸カリウム、補色剤として酢酸コバルトを添加し、エステル化合物(A2)を加え、280℃まで昇温しながら100Pa以下の圧力となるまで徐々に減圧し、主に環状アセタール骨格を有しないジオールを留去した。徐々に反応物の粘度が上昇し、適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂(C2)を得た。
<比較例1>
エステル化合物(A)として、三菱ガス化学社製 ALTESTER S5812を使用した。(以下、エステル化合物(A3)と記載する。)その評価結果を表2に示す。また、エステル化合物(B)として、製造例3で製造したエステル化合物(B3)を使用した以外は、実施例2と同じ条件で反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及び得られたポリエステル樹脂の評価結果を表3に示す。
<比較例2>
特開2005−314643号公報に示される方法に従って環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂を製造した。具体的には、充填塔式精留塔、分縮器、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた3Lのポリエステル製造装置にジカルボン酸構成単位(全てテレフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位)に対するジオール構成単位(全てエチレングリコールに由来するジオール構成単位)のモル比が1.2である種オリゴマー(D2)1108.2gを仕込み、高純度テレフタル酸724.1g、エチレングリコール135.3gを添加し、240℃、常圧にてエステル化反応を行い、生成する水を留去しながら、エステル化反応の終点を製造例2より早め、エステルを得た。得られたエステルに解重合用エチレングリコール189.4gと二酸化ゲルマニウム0.228gを加え、215℃、常圧で解重合を行い、酸価92.9μ当量/gのエステル化合物(B4)を得た。
得られたエステル化合物(B4)258.4gに解重合用エチレングリコール211.3gを加え、215℃、常圧でさらに解重合を行った。生成する水を留去しつつ、3時間反応を行ったあと、215℃、13.3kPaでジオールを留去し、酸価25μ当量/gのエステルを得た。
得られたエステルに環状アセタール骨格を有するジオールとして3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン85.8g、触媒としてテトラブトキシチタン0.0385g、二酸化ゲルマニウム0.0296g、熱安定剤としてリン酸トリエチル0.2035g、塩基性化合物として酢酸カリウム0.0444g、及び補色剤として酢酸コバルト0.0210gを添加し、225℃、13.3kPaで3時間反応を行った。本オリゴマーを昇温、減圧し、最終的に280℃、13.3kPa以下で重縮合反応を行い、所定の溶融粘度となったところで反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の評価結果を表3に示す。
Figure 0005927751
Figure 0005927751
Figure 0005927751
表1〜3において、以下の略称を使用した。
・PTA :高純度テレフタル酸
・DMT :テレフタル酸ジメチル
・NDCM:ナフタレンジカルボン酸ジメチル
・EG :エチレングリコール
・SPG :3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
・DEG :ジエチレングリコール
・TBT :テトラブトキシチタン
・GeO:二酸化ゲルマニウム
・TEP :リン酸トリエチル
・AcOK:酢酸カリウム
・(AcO)Co:酢酸コバルト
・G/A :ジカルボン酸構成単位に対するジオール構成単位のモル比
本出願は、2014年7月18日出願の日本国特許出願(特願2014−147701号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (5)

  1. ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有する、ポリエステル樹脂の製造方法であって、
    環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と環状アセタール骨格を有しないエステル化合物(B)とを混合して反応させる工程を含み、
    以下の(1)及び(2)の条件を満たす、製造方法:
    (1)前記エステル化合物(A)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを含み、かつ、当該ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール構成単位を含有し、かつ、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1〜1.5dl/gである;
    (2)前記エステル化合物(B)は、環状アセタール骨格を有しないジカルボン酸構成単位と環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位とを含み、かつ、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。
  2. 前記エステル化合物(A)に含有される環状アセタール骨格を有するジオール構成単位が、一般式(a)又は一般式(b)で表わされる化合物に由来するジオール構成単位である、請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
    Figure 0005927751

    (式(a)中、R、Rはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の2価の脂環式炭化水素基及び炭素数が6〜10の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    Figure 0005927751

    (式(b)中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数が1〜10の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の1価の脂環式炭化水素基及び炭素数が6〜10の1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
  3. 前記エステル化合物(A)に含有される環状アセタール骨格を有するジオール構成単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、又は5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール構成単位である、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位の2〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 前記ポリエステル樹脂に含まれる全ジオール構成単位の1〜40モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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