JPH08217596A - ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜法および成膜装置 - Google Patents

ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜法および成膜装置

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JPH08217596A
JPH08217596A JP2195895A JP2195895A JPH08217596A JP H08217596 A JPH08217596 A JP H08217596A JP 2195895 A JP2195895 A JP 2195895A JP 2195895 A JP2195895 A JP 2195895A JP H08217596 A JPH08217596 A JP H08217596A
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JP
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film
gas
base material
forming
plasma cleaning
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JP2195895A
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English (en)
Inventor
Kenji Hiramatsu
健司 平松
Tsutomu Ota
努 太田
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 剥離しにくく付着力の高いダイヤモンドライ
クカーボン膜(DLC膜)を基材に形成するDLC膜の
成膜法および成膜装置を得ることを目的とする。 【構成】 DLC膜と線膨脹係数差の大きい基材にDL
C膜を形成する成膜法において、基材表面温度が一定に
なるまで基材をプラズマ洗浄工程41と、RF供給を停
止しないで洗浄用ガスと成膜反応ガス交換工程43と、
基材上にプラズマCVD法によりDLC膜形成工程42
を備え、これらの工程41,43,42において自己バ
イアスと放電電流の積は一定である。基材表面温度が一
定に保たれるので剥離が防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐摩耗性向上やガラ
スなどとの反応抑制などを目的とした保護膜として金
型、工具などに用いられるダイヤモンドライクカーボン
(以下、DLCという)膜の成膜法および成膜装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にプラズマCVD(Chemical vapor
deposit)法により薄膜形成を行う場合、薄膜形成前に
基材の表面をプラズマ洗浄することにより膜と基材との
密着性を向上させる。基材表面のプラズマ洗浄は、放電
ガスとしてアルゴンなどの不活性ガスや、窒素ガス、水
素ガスなどが用いられ、その放電条件やプラズマ洗浄時
間は主に基材表面の洗浄度で決められていた。また、薄
膜形成時には、基材を加熱したり、あるいは冷却したり
するなど基材の温度を制御していた。
【0003】図5は、特開平4−37615号公報に示
された従来のプラズマCVD法によるDLC膜の成膜装
置を示す図であり、図において、11は真空チャンバ
ー、12は排気口、13は成膜の対象物である超硬型な
どの基材、14はガス供給口、15は基材のホルダーで
もある放電電極、16は放電電極である。
【0004】次に動作について説明する。基材13をエ
タノール、アセトン中で超音波洗浄後、真空チャンバー
11内の放電電極15上に設置する。60sccmでア
ルゴンガス(以下、Arという)をガス供給口14から
供給して排気口12から排気する。基材13は加熱しな
いで、圧力0.1Torr、高周波出力30Wで10分
間、基材13の表面を洗浄する。洗浄後、10ー6Tor
rまで真空引きして、CH4 とH2 をそれぞれ15sc
cm、30sccmで供給する。基材13は加熱しない
で、圧力5×10-2Torr、高周波出力45WでDL
C膜を形成する。
【0005】さらに、プラズマCVD法によりDLC膜
を形成する場合、電極に発生する自己バイアスにより膜
質を制御することが行われている。自己バイアスは、電
子とイオンでその移動度が異なるためRF放電の場合、
駆動電極である放電電極15側に発生する負の電圧のこ
とである。特開平3−131509号公報では、成膜中
の自己バイアスを制御して、DLC膜の硬度、潤滑性、
応力、付着力などを制御することを示している。
【0006】DLC膜は、その硬度が高い、表面平滑性
が高いため摩擦が小さいなどの特性から、金型などへの
保護膜として広く用いられている。特に、ガラス成形に
おいてはDLC膜により成形金型とガラスとの融着が抑
制されるため、ガラス成形金型の保護膜としてよく用い
られている。特開平2−80331号公報では、ガラス
成形金型の保護膜としてDLC膜を用いた場合、高温で
ガラスとの融着を抑制するために、DLC膜中の水素含
有量の深さ方向の分布を制御することが有効であること
を示す。その水素含有量の深さ方向分布の制御は、基材
温度を変化させることで行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のDLC膜の成膜
法および成膜装置は以上のように構成されているので、
プラズマが直接、基材13の表面に接するため、基材1
3の温度が時間とともに上昇した。この現象は基材13
を加熱したり冷却したりするにも関わらずあった。特
に、自己バイアスを制御して成膜する場合は、その値が
大きくなるほどこの現象が顕著になった。また、プラズ
マ洗浄を実施しない場合にはDLC膜形成後の基材13
の表面温度の変化が著しいが、プラズマ洗浄を実施する
場合においても、プラズマ洗浄工程とDLC膜形成工程
で放電条件が異なったり、あるいはDLC膜形成工程前
に放電ガスを洗浄用ガスから成膜反応ガスに交換する
際、整合回路の設定が変わるため一度放電を停止させる
ことが多く、やはり基材13の表面温度が変化した。従
って、もともとプラズマCVD法によるDLC膜は膜の
内部応力が大きいため、成膜中にこのように基材13の
温度が変化すると、DLC膜に熱応力が発生して膜剥が
れを引き起こすなどの問題点があった。
【0008】特に、WCやSUSなどのDLC膜と線膨
張係数差の大きい基材13にDLC膜を形成するとき、
基材13の表面温度の変化の影響が大きく、DLC膜が
形成できないなどの問題点もあった。
【0009】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたものであり、基材に対して剥離しにく
く付着力の高いDLC膜の成膜法および成膜装置を得る
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るD
LC膜の成膜法は、基材表面温度が一定になるまで基材
をプラズマ洗浄した後に、プラズマCVD法によりDL
C膜を基材に形成するものである。
【0011】請求項2の発明に係るDLC膜の成膜法
は、自己バイアスと放電電流の積が一定である放電条件
でプラズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その際基材
表面温度が一定になるまで、基材をプラズマ洗浄した後
に、プラズマCVD法によりDLC膜を基材に形成する
ものである。
【0012】請求項3の発明に係るDLC膜の成膜法
は、DLC膜と線膨張係数差の大きい基材において、自
己バイアスと放電電流の積が一定である放電条件でプラ
ズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その際基材表面温
度が一定になるまで基材をプラズマ洗浄した後、RF
(Radio frequency )供給を停止しないで洗浄用ガスと
成膜反応ガスを交換して、基材上にDLC膜を形成する
ものである。
【0013】請求項4の発明に係るDLC膜の成膜法
は、DLC膜と線膨張係数差の大きい基材において、自
己バイアスと放電電流の積が一定である放電条件でプラ
ズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その際基材表面温
度が一定になるまで基材を水素ガスでプラズマ洗浄した
後、RF供給を停止しないで水素ガスと成膜反応ガスを
交換して、基材上にDLC膜を形成するものである。
【0014】請求項5の発明に係るDLC膜の成膜法
は、DLC膜と線膨張係数差の大きい基材において、自
己バイアスと放電電流の積が一定である放電条件でプラ
ズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その際基材表面温
度が一定になるまで基材を水素ガスでプラズマ洗浄した
後、RF供給を停止しないで水素ガスおよび/または成
膜反応ガスの変化率を変えて水素ガスと成膜反応ガスを
交換して、基材上にDLC膜を形成するものである。
【0015】請求項6の発明に係るDLC膜の成膜装置
は、基材表面温度が一定になるまで基材をプラズマ洗浄
ガスでプラズマ洗浄するために基材を載せる放電電極の
温度を温度測定部により測定し、ガス供給口からプラズ
マ洗浄ガスと成膜反応ガスを供給しガスの交換時にはR
F供給を停止せず、自己バイアスを自己バイアス測定部
により測定し、また放電電流を放電電流測定部により測
定して自己バイアスと放電電流の積が一定となるように
制御してプラズマ洗浄を行いDLC膜を形成するもので
ある。
【0016】請求項7の発明に係るDLC膜の成膜装置
は、基材表面温度が一定になるまで基材を水素ガスでプ
ラズマ洗浄するために基材を載せる放電電極の温度を温
度測定部により測定し、ガス供給口から水素ガスと成膜
反応ガスを供給しガスの交換時にはRF供給を停止せ
ず、自己バイアスを自己バイアス測定部により測定しま
た放電電流を放電電流測定部により測定して自己バイア
スと放電電流の積が一定となるように制御してプラズマ
洗浄を行いDLC膜を形成するものである。
【0017】
【作用】請求項1の発明におけるDLC膜の成膜法は、
基材表面温度が一定になるまで基材をプラズマ洗浄し、
基材表面温度を一定に保ちながらDLC膜を形成する。
【0018】請求項2の発明におけるDLC膜の成膜法
は、自己バイアスと放電電流の積が一定になるような放
電条件でプラズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その
際基材表面温度が一定になるまで基材をプラズマ洗浄
し、基材表面温度を一定に保ちながらDLC膜を形成す
る。
【0019】請求項3の発明におけるDLC膜の成膜法
は、自己バイアスと放電電流の積が一定になるような放
電条件でプラズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その
際基材表面温度が一定になるまで基材をプラズマ洗浄
し、プラズマ洗浄工程から成膜工程に移る際にRF供給
を停止しないで洗浄用ガスと成膜反応ガスを交換し、D
LC膜形成開始時の基材表面の温度が変化することなく
DLC膜を形成する。
【0020】請求項4の発明におけるDLC膜の成膜法
は、自己バイアスと放電電流の積が一定になるような放
電条件でプラズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その
際基材表面温度が一定になるまで基材を水素ガスでプラ
ズマ洗浄し、プラズマ洗浄工程から成膜工程に移る際に
RF供給を停止しないで水素ガスと成膜反応ガスを交換
し、DLC膜形成開始時の基材表面の温度が変化するこ
となくDLC膜中での水素含有量を変化させてDLC膜
を形成する。
【0021】請求項5の発明におけるDLC膜の成膜法
は、自己バイアスと放電電流の積が一定になるような放
電条件でプラズマ洗浄工程と膜形成工程を実施し、その
際基材表面温度が一定になるまで基材を水素ガスでプラ
ズマ洗浄し、プラズマ洗浄工程から成膜工程に移る際に
RF供給を停止しないで水素ガスおよび/あるいは成膜
反応ガスの変化率を変えて水素ガスと成膜反応ガスを交
換し、DLC膜形成開始時の基材表面の温度が変化する
ことなく、DLC膜中での水素含有量を変化させてDL
C膜を形成する。
【0022】請求項6の発明におけるDLC膜の成膜装
置は、基材を載せる放電電極の温度を温度測定部により
測定して基材表面温度が一定になるまで基材をプラズマ
洗浄ガスでプラズマ洗浄し、RF供給を停止しないでプ
ラズマ洗浄ガスと成膜反応ガスを交換し、自己バイアス
測定部により測定した自己バイアスと放電電流測定部に
より測定した放電電流の積が一定となるように制御して
プラズマ洗浄を行いDLC膜を形成する。
【0023】請求項7の発明におけるDLC膜の成膜装
置は、基材を載せる放電電極の温度を温度測定部により
測定して基材表面温度が一定になるまで基材を水素ガス
でプラズマ洗浄し、RF供給を停止しないで水素ガスと
成膜反応ガスを交換し、自己バイアス測定部により測定
した自己バイアスと放電電流測定部により測定した放電
電流の積が一定となるように制御してプラズマ洗浄を行
いDLC膜を形成する。
【0024】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1はこの発明の実施例1ないし実施例5による
プラズマCVD法によるDLC膜の成膜装置を示す図で
あり、従来技術である図5に示した相当部分には同一符
号を付してその説明を省略する。図において、10は排
気系、18は放電電極15,16に印加される高周波電
源、19は絶縁板、20は放電ガス(洗浄用ガス、成膜
反応ガス)、21は放電電極15の表面付近に埋め込ま
れた熱電対(温度測定部)、22は自己バイアス測定回
路(自己バイアス測定部)、23は高周波電流測定回路
(放電電流測定部)、24は放電条件表示部である。
【0025】次に動作について説明する。基材13を、
接地されていない駆動電極である放電電極15に設置す
る。成膜装置内にある向かい合う平行平板の2つの放電
電極15,16に、高周波電源18により高周波電圧が
印加される。放電ガス20としては、例えばH2 、CH
4 、Arを備えており、ガス供給口14から供給され、
排気口12から排気される。また、放電電極15の表面
付近にある熱電対21が、プラズマ発生中の放電電極1
5表面の温度をモニタする。自己バイアス測定回路22
を用いて高周波放電により放電電極15に発生する自己
バイアスを測定し、高周波電流測定回路23を用いて放
電電流を測定し、測定された自己バイアスと放電電流の
積などの放電条件が放電条件表示部24に表示される。
【0026】実施例1では、DLC膜と線膨張係数がよ
く似た基材に対してDLC膜を形成する場合について説
明する。例えば、膜質によって線膨張係数が異なるが線
膨張係数が2×10-6/KであるDLC膜に対して、線
膨張係数が約3×10-6/KであるSiの基材である。
【0027】図2は、実施例1における基材表面温度と
時間変化を示すグラフ図であり、この図において、横軸
は時間を、縦軸は基材表面温度を表し、41はプラズマ
洗浄工程、42は膜形成工程である。
【0028】まず、基材13を放電電極15に設置し
て、真空引き後、プラズマ洗浄用ガス(洗浄用ガス)と
してArを30sccm供給し、圧力0.13Torr
として、プラズマを生成する。放電条件は、自己バイア
スは−300V、放電電流は260mAである。この
際、プラズマ照射による放電電極15の温度変化を熱電
対21によりモニタして、基板表面の温度変化がなくな
るまで放電してプラズマ洗浄を続ける。特に基材温度を
ヒータなどで制御しない場合、この放電条件では20分
程度で120℃程度で変化がなくなる。ここで、本来モ
ニタするべきものは成膜する基材13の表面温度である
が、その測定は困難である。そこで放電電極15の表面
温度をモニタして、その温度が一定になった時に、基材
13から放電電極15までの温度分布が一定となり、基
材13の温度も一定になったと判断する。「表面温度が
一定になる」とは、例えばDLC膜形成時間を10分程
度と考えた場合、基材表面温度の変化率が少なくとも1
℃/min以下であることである。表面温度が一定にな
ったら、放電を停止して、プラズマ洗浄を終了する(プ
ラズマ洗浄工程41)。そして、Arの供給を停止して
CH4 (成膜反応ガス)を20sccm供給し、圧力を
0.1Torrとして、プラズマを生成してDLC膜の
形成を開始する。この時の自己バイアスは、例えば−6
00V、放電電流は300mA程度である(膜形成工程
42)。なお、上記のプラズマ洗浄工程41の供給ガス
流量、放電条件、プラズマ洗浄時間は膜形成工程42の
放電条件から決定されるため、DLC成膜条件に応じて
変える必要がある。
【0029】この結果、DLC膜形成中に基材の温度は
変化しないので、DLC膜形成中の膜剥離が抑制され
る。
【0030】実施例2.実施例2では、実施例1と同様
に、例えばSiなどのDLC膜と線膨張係数がよく似た
基材に対してDLC膜を形成する場合について説明す
る。実施例1と同様に、図2に示すプラズマ洗浄工程4
1と膜形成工程42を実施する。
【0031】まず、DLC膜形成時の自己バイアスと放
電電流の積とプラズマ洗浄時の積が同様となる放電条件
でプラズマ洗浄する。例えば、DLC膜形成時の放電条
件は、CH4 を20sccm流して、圧力を0.1To
rrとした場合、自己バイアスが−600V、放電電流
が300mA程度である。洗浄用ガスとしてはArを用
い、その自己バイアスと放電電流の積を上記のものと一
致させる。そのために、Arを30sccm供給、反応
室圧力を0.13Torrとし、自己バイアスを−45
0V、放電電流は390mAとして実施する。この条件
で基材表面温度が一定になるまで、プラズマ洗浄を実施
する。その後、一度RF供給を停止してプラズマ洗浄を
終了する(プラズマ洗浄工程41)。そして、放電ガス
をArからCH4 に切り替え、上記のDLC膜形成時の
放電条件でプラズマを生成しDLC膜の形成を開始し
て、DLC膜を形成する(膜形成工程42)。なお、上
記の供給ガス流量、放電条件はDLC膜形成時の放電条
件から決定されるため、DLC膜形成条件に応じて変え
る必要がある。
【0032】この結果、DLC膜形成中に基材の温度は
変化しないので、DLC膜形成中の膜剥離が抑制され
る。
【0033】実施例3.実施例3では、DLC膜との線
膨張係数差が大きい基材に対してDLC膜を形成する場
合について説明する。例えば、線膨張係数が約8×10
-6/KであるWCの基材である。
【0034】図3はこの発明の実施例3による基材表面
温度、洗浄用ガス流量と成膜反応ガス流量の時間変化を
示すグラフ図であり、図において、横軸は時間を、縦軸
は基材表面温度、洗浄用ガス流量と成膜反応ガス流量を
表し、41はプラズマ洗浄工程、43はガス交換工程、
42は膜形成工程である。
【0035】まず、DLC膜形成時の自己バイアスと放
電電流の積とプラズマ洗浄時の積が同様となる放電条件
でプラズマ洗浄する。例えば、DLC膜形成時の放電条
件は、CH4 を20sccm流して、圧力を0.1To
rrとした場合、自己バイアスが−600V、放電電流
が300mA程度である。洗浄用ガスとしてArを用い
る。自己バイアスと放電電流の積を上記のものと一致さ
せるには、Arを30sccm供給、反応室圧力を0.
13Torrとし、自己バイアスを−450V、放電電
流は390mAとして実施する。この条件で基材表面温
度が一定になるまで、プラズマ洗浄を実施する(プラズ
マ洗浄工程41)。その後、RF供給を停止することな
く、放電ガスをArからCH4 に切り替え、放電ガスの
交換を開始する。例えば、Arは30sccm/min
で減少、CH4 は20sccm/minで増加と一定の
速度でそれぞれのガス供給量を変化させる。この時、圧
力や放電ガス比が変化するため、放電電力や整合回路な
どを操作することにより常に自己バイアスと放電電流の
積が一定になるよう制御しながら放電ガスを交換する
(ガス交換工程43)。その後DLC膜を形成する(膜
形成工程42)。なお、上記の供給ガス流量、放電条件
はDLC膜形成時の放電条件から決定されるため、DL
C膜形成条件に応じて変える必要がある。
【0036】この結果、特にDLC膜形成初期での基材
温度変化が抑制され、DLC膜と線膨張係数差の大きい
基材に対しても、界面での膜応力が低減され剥離のない
膜が形成できる。
【0037】実施例4.実施例4では、実施例3と同様
に、例えばWCなどのDLC膜との線膨張係数差が大き
い基材に対してDLC膜を形成する場合について説明す
る。実施例3と同様に、図3に示すプラズマ洗浄工程4
1、ガス交換工程43と膜形成工程42を実施する。
【0038】まず、DLC膜形成時の自己バイアスと放
電電流の積とプラズマ洗浄時の積が同様となる放電条件
でプラズマ洗浄する。例えば、DLC膜形成時の放電条
件は、CH4 を20sccm流して、圧力を0.1To
rrとした場合、自己バイアスが−600V、放電電流
が300mA程度である。洗浄用ガスとして水素ガス
(H2 )を用い、自己バイアスと放電電流の積を上記の
ものと一致させる。H2を100sccm供給、反応室
圧力を0.25Torrとし、自己バイアスを−520
V、放電電流を350mAとして実施する。この条件で
基材表面温度が一定になるまで、プラズマ洗浄する(プ
ラズマ洗浄工程41)。その後、RF供給を停止するこ
となく、放電ガスをH2 からCH4 に切り替え、放電ガ
スの交換を開始する。この時、H2 とCH4 のガス交換
工程時間を変化させてDLC膜中の水素含有量の変化す
る層の膜厚を制御する。例えば、H2 は50sccm/
minで減少、CH4 は10sccm/minで増加、
と一定の速度でそれぞれのガス供給量を変化させる。そ
の際には、放電電力と整合回路を操作することにより常
に自己バイアスと放電電流の積が一定になるよう制御し
ながら放電ガスを交換する(ガス交換工程43)。その
後、DLC膜を形成する(膜形成工程41)。なお、上
記の供給ガス流量、放電条件はDLC膜形成時の放電条
件から決定されるため、DLC膜形成条件に応じて変え
る必要がある。
【0039】この結果、特にDLC膜形成初期での基材
温度変化が抑制された上、膜中の水素含有量を界面から
徐々に減少させる構造を実現でき、DLC膜と線膨張係
数差の大きい基材に対しても付着力の高いDLC膜を形
成できる。
【0040】実施例5.実施例5では、実施例3と実施
例4と同様に、例えばWCなどのDLC膜との線膨張係
数差が大きい基材に対してDLC膜を形成する場合につ
いて説明する。
【0041】図4はこの発明の実施例5による基材表面
温度、水素ガス流量と成膜反応ガス流量の時間変化を示
すグラフ図であり、この図において、横軸は時間を、縦
軸は基材表面温度、水素ガス流量と成膜反応ガス流量を
表し、41はプラズマ洗浄工程、43はガス交換工程、
42は膜形成工程である。
【0042】まず、DLC膜形成時の自己バイアスと放
電電流の積とプラズマ洗浄時の積が同様となる放電条件
でプラズマ洗浄する。例えば、DLC膜形成時の放電条
件は、CH4 を20sccm流して、圧力を0.1To
rrとした場合で、自己バイアスが−600V、放電電
流が300mA程度である。洗浄用ガスとしてH2 を用
い、その自己バイアスと放電電流の積を上記のものと一
致させる。H2 を100sccm供給、反応室圧力を
0.25Torrとし、自己バイアスを−520V、放
電電流を350mAとして実施する。この条件で基材表
面温度が一定になるまで、プラズマ洗浄する(プラズマ
洗浄工程41)。その後、RF供給を停止することな
く、放電ガスをH2 からCH4 に切り替え、放電ガスの
交換を開始する。この時、H2 とCH4 のガス交換時間
を変化させてDLC膜中の水素含有量の深さ方向分布を
制御する。例えば、図4のガス交換工程43に示すよう
に、CH4 は13sccm/minの一定の速度で増
加、一方、H2 は50sccm/minと100scc
m/minの2段階でガス供給量を減少させる。その際
には、放電電力と整合回路を操作することにより常に自
己バイアスと放電電流の積が一定になるよう制御しなが
ら放電ガスを交換する(ガス交換工程43)。その後、
DLC膜を形成する(膜形成工程41)。なお、上記の
供給ガス流量、放電条件はDLC膜形成時の放電条件か
ら決定されるため、DLC膜形成条件に応じて変える必
要がある。
【0043】この結果、特にDLC膜形成初期での基材
温度変化が抑制された上、膜中の水素含有量を界面から
2段階の傾斜で減少させる構造を実現でき、DLC膜と
線膨張係数差の大きい基材に対しても付着力の高い膜が
形成できる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、基材表面温度が一定になるまでプラズマ洗浄をして
からDLC膜を形成するように構成したので、基材表面
温度を一定に保てるためDLC膜形成中の膜剥がれを抑
制できる効果がある。
【0045】請求項2の発明によれば、自己バイアスと
放電電流の積を一定にして、基材表面温度が一定になる
までプラズマ洗浄をしてからDLC膜を形成するように
構成したので、基材表面温度を一定に保てるため膜剥が
れを抑制できる効果がある。
【0046】請求項3の発明によれば、自己バイアスと
放電電流の積を一定にして、基材表面温度が一定になる
までプラズマ洗浄をしてから、RF供給を停止しないで
洗浄用ガスと成膜反応ガスを交換して、DLC膜を形成
するように構成したので、特にDLC膜形成初期の基材
の温度が変化しないため界面での膜の応力が低減でき、
DLC膜と線膨張係数差の大きい基材に対して剥離のな
いDLC膜を形成できる効果がある。
【0047】請求項4の発明によれば、自己バイアスと
放電電流の積を一定にして、基材表面温度が一定になる
まで水素ガスによりプラズマ洗浄をしてから、RF供給
を停止しないで水素ガスと成膜反応ガスを交換して、D
LC膜を形成するように構成したので、特にDLC膜形
成初期の基材の温度が変化しないため界面での膜の応力
が低減でき、DLC膜と線膨張係数差の大きい基材に対
して剥離のないDLC膜を形成できる効果がある。ま
た、水素ガスでプラズマ洗浄しガス交換時間を変化させ
るように構成したので、DLC膜中での水素含有量の深
さ方向分布を制御できる効果もある。
【0048】請求項5の発明によれば、自己バイアスと
放電電流の積を一定にして、基材表面温度が一定になる
まで水素ガスによりプラズマ洗浄をしてから、RF供給
を停止しないで水素ガスと成膜反応ガスを交換して、D
LC膜を形成するように構成したので、特にDLC膜形
成初期の基材の温度が変化しないため界面での膜の応力
が低減でき、DLC膜と線膨張係数差の大きい基材に対
して剥離のないDLC膜を形成できる効果がある。ま
た、変化率を変えながら水素ガスおよび/または成膜反
応ガスを交換するように構成したので、DLC膜中での
水素含有量の深さ方向分布が制御できる効果もある。
【0049】請求項6の発明によれば、自己バイアス測
定部により自己バイアスを、放電電流測定部により放電
電流を測定して自己バイアスと放電電流の積を一定にし
て、温度測定部により基材の温度を測定して基材表面温
度が一定になるまでプラズマ洗浄してからRF供給を停
止しないでプラズマ洗浄ガスと成膜反応ガスを交換する
ように構成したので、基材表面温度を一定に保てるため
DLC膜形成中の膜剥がれを抑制できる効果がある。
【0050】請求項7の発明によれば、自己バイアス測
定部により自己バイアスを、放電電流測定部により放電
電流を測定して自己バイアスと放電電流の積を一定にし
て、温度測定部により基材の温度を測定して基材表面温
度が一定になるまでプラズマ洗浄してからRF供給を停
止しないで水素ガスと成膜反応ガスを交換するように構
成したので、基材表面温度を一定に保てるためDLC膜
形成中の膜剥がれを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1ないし実施例5によるD
LC膜の成膜装置を示す図である。
【図2】 この発明の実施例1および実施例2による基
材表面温度の時間変化を示すグラフ図である。
【図3】 この発明の実施例3および実施例4による基
材表面温度、洗浄用ガス流量と成膜反応ガス流量の時間
変化を示すグラフ図である。
【図4】 この発明の実施例5による基材表面温度、水
素ガス流量と成膜反応ガス流量の時間変化を示すグラフ
図である。
【図5】 従来のDLC膜の成膜装置を示す図である。
【符号の説明】
11 真空チャンバー、12 排気口、13 基材、1
4 ガス供給口、15,16 放電電極、20 放電ガ
ス(洗浄用ガス、成膜反応ガス)、21 熱電対(温度
測定部)、22 自己バイアス測定回路(自己バイアス
測定部)、23高周波電流測定回路(放電電流測定
部)、41 プラズマ洗浄工程、42 膜形成工程、4
3 ガス交換工程。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面温度が一定になるまで基材の表
    面をプラズマ洗浄するプラズマ洗浄工程と、プラズマ洗
    浄された前記基材上にプラズマCVD法によりダイヤモ
    ンドライクカーボン膜を形成する膜形成工程とを備えた
    ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜法。
  2. 【請求項2】 前記プラズマ洗浄工程と前記膜形成工程
    において自己バイアスと放電電流の積が一定であること
    を特徴とする請求項1記載のダイヤモンドライクカーボ
    ン膜の成膜法。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンドライクカーボン膜と線膨張
    係数差の大きい基材に前記ダイヤモンドライクカーボン
    膜を形成するダイヤモンドライクカーボン膜の成膜法に
    おいて、基材表面温度が一定になるまで、前記基材の表
    面をプラズマ洗浄するプラズマ洗浄工程と、RF供給を
    停止しないで、洗浄用ガスの供給量を減少させ成膜反応
    ガスの供給量を増加させて洗浄用ガスと成膜反応ガスを
    交換するガス交換工程と、前記基材上にプラズマCVD
    法により前記ダイヤモンドライクカーボン膜を形成する
    膜形成工程とを備え、前記プラズマ洗浄工程、前記ガス
    交換工程、前記膜形成工程において自己バイアスと放電
    電流の積が一定であることを特徴とするダイヤモンドラ
    イクカーボン膜の成膜法。
  4. 【請求項4】 前記洗浄用ガスが水素ガスであることを
    特徴とする請求項3記載のダイヤモンドライクカーボン
    膜の成膜法。
  5. 【請求項5】 前記ガス交換工程において、前記水素ガ
    スおよび/または前記成膜反応ガスの供給量の変化率を
    変えることを特徴とする請求項4記載のダイヤモンドラ
    イクカーボン膜の成膜法。
  6. 【請求項6】 ダイヤモンドライクカーボン膜と線膨張
    係数差の大きい基材をプラズマ洗浄した後にプラズマC
    VD法により前記基材に前記ダイヤモンドライクカーボ
    ン膜を形成するダイヤモンドライクカーボン膜の成膜装
    置において、真空チャンバー内に、プラズマ洗浄時には
    プラズマ洗浄ガスを供給し、プラズマ洗浄が終了した後
    はRF供給を停止しないでプラズマ洗浄ガスの供給量を
    減少させ成膜反応ガスの供給量を増加させてプラズマ洗
    浄ガスと成膜反応ガスを交換して、膜形成時には成膜反
    応ガスを供給するガス供給口と、前記真空チャンバーか
    ら前記プラズマ洗浄ガスおよび前記成膜反応ガスを排気
    する排気口と、1つの放電電極に基材を載せる一対の放
    電電極と、基材表面温度が一定になるまで前記基材の表
    面をプラズマ洗浄するために前記基材を載せる放電電極
    の温度を測定する温度測定部と、前記基材を載せる放電
    電極の自己バイアスを測定する自己バイアス測定部と、
    前記放電電極の放電電流を測定する放電電流測定部とを
    備え、前記自己バイアスと前記放電電流の積が一定とな
    るように制御してプラズマ洗浄を行いダイヤモンドライ
    クカーボン膜を形成することを特徴とするダイヤモンド
    ライクカーボン膜の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記プラズマ洗浄ガスが水素ガスである
    ことを特徴とする請求項6記載のダイヤモンドライクカ
    ーボン膜の成膜装置。
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