JP2009127059A - ダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シンプルな工程で、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の付着強度を向上させることができるダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法を提供する。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板11の表面をプラズマ照射により改質し、この改質されたPTFE基板11の表面に、化学気相蒸着法によりダイヤモンドライクカーボン膜12を形成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の形成方法に関する。
DLCは、高硬度で、低摩擦性、耐磨耗性、絶縁性、耐食性、ガスバリア性、赤外透過性、生体親和性などに優れており、コーティング膜として様々な分野に使用されている。
例えば、耐薬品性に優れ、半導体産業などに幅広く用いられている高分子材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にDLC膜を形成することで、その材料特性を向上させることができる。
また、医療分野においては、PTFEなどからなる人工血管や、ステンレス(SUS316)、ニチノール(NiTi)、チタン(Ti)などの金属材料からなるステントにDLC膜を形成することで、その生体親和性や抗血栓性を向上させることができる。
その他にも、機械部品、切削工具、金型、光学部品、衛生機器、装飾品など、幅広い分野にDLC膜は応用されている。
DLC膜は、例えば、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により形成することができる。しかし、DLC膜は、高分子材料や金属材料との付着強度が弱く、材料から剥離しやすかった。そこで、DLC膜の剥離を防止するための技術として、高分子材料の表面に炭素中間層を形成した後にDLC膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−2377号公報
しかし、特許文献1に開示された技術では、炭素中間層を設けるため処理工程の複雑化を招くという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、シンプルな工程で、高分子材料や金属材料に対するダイヤモンドライクカーボン膜の付着強度を向上させることができるダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ポリテトラフルオロエチレンからなる基材の表面をプラズマ照射により改質する表面改質工程と、プラズマ照射により改質された前記基材の表面に、化学気相蒸着法によりダイヤモンドライクカーボン膜を形成する膜形成工程とを含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、金属材料からなる基材の表面をプラズマ照射により改質する表面改質工程と、プラズマ照射により改質された前記基材の表面に、化学気相蒸着法によりダイヤモンドライクカーボン膜を形成する膜形成工程とを含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法において、前記基材は、ステンレス、ニチノール、およびチタンから選ばれる1種類からなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法において、前記表面改質工程において、プラズマ照射における反応ガスとして、窒素または酸素を用いることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法において、前記表面改質工程において、プラズマCVD法によりプラズマ照射を行うことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法において、前記膜形成工程において、前記化学気相蒸着法でダイヤモンドライクカーボン膜を形成するための原料ガスとして、メタン、アセチレン、およびベンゼンから選ばれる1種類を用いることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法において、前記化学気相蒸着法は、プラズマCVD法であることを特徴とする。
本発明のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法によれば、シンプルな工程で、高分子材料や金属材料に対するダイヤモンドライクカーボン膜の付着強度を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
本発明の実施の形態に係るダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法では、まず、PTFE等の高分子材料や、ステンレス(SUS316)、NiTi、Ti等の金属材料からなる基材の表面をプラズマ照射により改質する。
なお、基材の大きさや形状は、平板状、シート状、筒状、球状など、適宜のものを使用することができる。
この基材の表面をプラズマ照射により改質する工程(表面改質工程)では、プラズマによって生成された原子または分子ラジカル種を基材の表面に付着させ取り込ませ、基材の表面を改質する各種のプラズマ処理方法を採用することができ、例えば、プラズマCVD法によって基材の表面に反応ガスを用いてプラズマ照射を行う方法を採用することができる。
図1は、プラズマCVD装置の概略図である。図1に示すプラズマCVD装置は、チャンバ1内に対向配置された1対の電極2,3を備え、一方の電極2は接地され、他方の電極3は整合器4を介して高周波電源5に接続されている。このようなプラズマCVD装置を用いて、電極3に基材6を載置し、ガス注入口7から反応ガスを導入し、高周波電源5により電極2,3間に高周波電圧を印加してプラズマ8を発生させることにより、基材6の表面を改質する。
ここで、高周波電源5の周波数は、100kHz〜1000MHzであるが、例えば、工業用周波数である13.56MHzのものを使用する。
プラズマ照射での反応ガスとしては、窒素、酸素、水蒸気、アルゴン等を用いることができ、特に窒素、酸素が好適である。このようなガスを用いることにより、基材表面を改質して表面エネルギーを増大させ、DLC膜の付着強度を向上させることができる。
また、プラズマ照射における反応温度は、基材が熱的に変質しない範囲が好ましく、25℃〜300℃とすることが好ましい。また、反応圧力は、0.01Pa〜100Paとすることが好ましく、処理時間は、1分〜15分程度で適宜調整することができる。
次いで、プラズマ照射により改質された基材の表面にDLC膜を形成する。このDLC膜を形成する工程(膜形成工程)では、例えばCVD法を採用することができる。CVD法としては、プラズマCVD法、大気圧CVD法、減圧CVD法、光CVD法等が挙げられるが、プラズマCVD法が特に好ましい。
プラズマCVD法では、CVD法の中でも比較的低温(約300℃以下)での処理が可能であり、また、原料をプラズマ状態にするため、原料を高速で堆積させ、DLC膜の形成時間を短縮することができる。さらに、上述の表面改質工程でもプラズマCVD法を採用すれば、表面改質工程と膜形成工程とを、同じプラズマCVD装置を用いて連続して行うことができる。
CVD法では、析出させる膜の揮発性化合物を原料ガスとして、熱分解あるいは反応させて生成物の薄膜を析出させる。DLC膜を形成する場合は、原料ガスとして、メタン、アセチレン、ベンゼンなどを用いることができるが、メタンが好ましい。
形成されるDLC膜の厚さは、0.01μm〜1μmとすることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いとDLC膜の効果が十分に発揮しにくく、1μmより厚いとDLC膜の剥離を誘発し不適である。DLC膜の厚さは、反応温度、反応圧力、処理時間などを適宜調整することにより調整することができる。
DLC膜の形成では、基材が熱的に変質しないように、反応温度を25℃〜300℃とすることが好ましい。また、反応圧力は、0.01Pa〜100Paとすることが好ましい。この範囲より低圧側では反応が進行しにくく、高圧側ではDLC膜がより軟質になり、膜本来の特性を失うため不適である。また、処理時間は、形成するDLC膜の厚さに応じて、0.2分〜200分程度で適宜調整することができる。
このように本実施の形態に係るDLC膜の形成方法では、PTFE等の高分子材料や、ステンレス、NiTi、Ti等の金属材料からなる基材の表面をプラズマ照射により改質し、この改質された基材の表面にCVD法によりDLC膜を形成する。プラズマ照射により表面改質を行うことで、基材の表面エネルギーを増大させ、基材に対するDLC膜の付着強度を向上させることができる。また、処理工程の複雑化を招くこともない。
また、生体材料として用いられるPTFE、ステンレス、NiTi、Ti等に、生体親和性等に優れたDLC膜を付着性よく形成できるため、長期間体内に埋め込まれる人工血管やステント等の表面状態を改善し、長期にわたる安全な使用が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例を参照して説明する。
<実施例1>
PTFE(ニチアス株式会社製 ナフロンシート TOMBO−9000)からなる基板(縦10mm×横10mm×厚さ3mm)に対して、プラズマ照射による表面改質処理を行った後、DLC膜を形成した。表面改質処理の効果を測定するため、表面改質処理後、DLC膜形成前の基板に対して、X線光電子分光分析(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)測定、接触角試験を行った。DLC膜の付着強度と耐磨耗性については、テープ試験、引張試験、Ball-on disk試験により評価した。
(試料作製)
高周波プラズマCVD装置(キャノンアネルバ株式会社製PED−301)のチャンバ内にPTFEからなる基板をセットし、チャンバ内の圧力を真空(0.01Pa以下)とした後、ガス流量45sccmで反応ガスを導入し、下記条件でプラズマを発生させて基板の表面改質を行った。
反応ガス:酸素または窒素
反応圧力:13.3Pa
印加電力:250W(電力密度7.4mW/mm
電極間距離:45mm
処理時間:1〜10分
なお、基板は、アセトンによる10分間の超音波洗浄を行ったものを用いた。
次いで、表面改質処理した基板にプラズマCVD法によりDLC膜を形成した。表面改質処理後、基板をチャンバ内にそのまま残し、チャンバ内の圧力を真空(0.01Pa以下)とした後、チャンバ内にDLC膜の原料となるメタンをガス流量45sccmで導入して、下記条件でプラズマCVD法によりDLC膜を形成した。
反応圧力:13.3Pa
印加電力:250W(電力密度7.4mW/mm
電極間距離:45mm
処理時間:5〜10分
なお、処理時間を調整することにより、形成するDLC膜厚を調整し、引張試験に用いる試料のDLC膜厚は0.2μm、その他の試験に用いる試料のDLC膜厚は0.1μmとした。
上記のような条件で形成された膜をラマン分光(NRS−2100)により分析した。図2は、PTFE基板、およびPTFE基板にコーティングした膜のラマンスペクトルを示す図である。PTFE基板では、1220〜1377cm−1でC−C結合の3つのピークが見られる。膜では、ガウス分布に沿ったカーブから1304cm−1と1541cm−1とで2つの幅広いラマンピークを示した。
DLC膜のラマンスペクトルは、約1350cm−1で生じる不規則構造炭素だとされるDバンドと、約1540〜1580cm−1で生じるグラファイトだとされるGバンドとの2つの幅広いピークを示す。実施例1における膜のスペクトルは、DバンドとGバンドとが混在する代表的なDLC膜に近いものであった。このことから、DLC膜がPTFE上に形成できたことが確認された。
(XPS測定)
表面改質処理したDLC膜形成前のPTFE基板の表面をXPS(JPS−9010)により測定した。XPS測定条件は、X線:MgKα線、電圧10.0kV、電流10.0mAとした。
図3は、表面改質処理におけるプラズマ処理の反応ガスに酸素(O)を用いたPTFE基板、反応ガスに窒素(N)を用いたPTFE基板、および表面改質処理されていない未処理のPTFE基板のXPS結果を示す図であり、図3(a)はF1sスペクトルを示す図、図3(b)はC1sスペクトルを示す図、図3(c)はN1sスペクトルを示す図である。
図3(a)に示すように、F1sスペクトルでは、Oプラズマ処理されたPTFE基板と未処理のPTFE基板との間に変化はなかった。Nプラズマ処理されたPTFE基板においては、688.9eVでC−F基の減少と687.4eVで新たなC−N−F基の出現が観察された。
また、図3(b)に示すように、Oプラズマ処理されたPTFE基板のC1sスペクトルでは、285.4eVでのC−Cピークの減少を除いて、C−Fピークは未処理のPTFE基板と同等だと認められた。Nプラズマ処理されたPTFE基板において、主要な基は285.0eVでのC−N基もしくはC=N基であり、その他のC−N−F基は291.0eVで観察された。
また、図3(c)に示すように、Nプラズマ処理されたPTFE基板のN1sスペクトルおいて、C−N基もしくはC=N基が主要な基として400.6eVで観察された。
図4は、Oプラズマ処理されたPTFE基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図、図5は、Nプラズマ処理されたPTFE基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。図4(a)、図5(a)に示すように、表面改質処理前のPTFE基板11の表面は、C−F基が主要な基となっている。
上記のXPS結果より、Oプラズマ処理は、PTFE基板11の表面のエッチング効果を生じさせるが、図4(b)に示すように、PTFE基板11の表面の化学組成はほとんど変わらない。一方、Nプラズマ処理では、図5(b)に示すように、PTFE基板11の表面近傍にC−N基、C=N基、C−N−F基が生成されたことがわかる。
(接触角試験)
表面改質処理したDLC膜形成前のPTFE基板の表面の濡れ性を接触角試験により測定した。
個体の表面エネルギーは、その物質の様々な特性を示している。例えば、吸着性、濡れ性、付着強度などである。そして、表面エネルギーは接触角で決定することができる。接触角とは、固体表面に液体を滴下し、この液体の曲面に接線を引いたとき、この接線と固体表面とのなす角のことである。
接触角の測定方法を説明する。まず、マイクロピペットを用いて、2μlの蒸留水を試料に滴下する。水滴の量が4μl以下の場合には、水滴の形状は球の一部とみなせるので、図6に示すように、試料と水滴との接地部Aと水滴の頂点Bとを結ぶ直線ABと、試料表面とのなす角θ/2を読み取り、これを2倍することにより接触角θを求めた。図6中のrは、水滴が試料に接している面の半径である。
プラズマ処理により表面改質処理されたPTFE基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたPTFE基板、未処理のPTFE基板のそれぞれについて接触角を測定した。Oプラズマ処理されたPTFE基板、およびNプラズマ処理されたPTFE基板については、処理時間がそれぞれ1,2,3分間のものを用いて接触角を測定した。
図7は、PTFE基板の接触角試験の結果を示す画像、図8は、PTFE基板の接触角試験の結果を示す表図である。図7、図8に示すように、Oプラズマ処理されたPTFE基板では、処理時間の増加に伴い、接触角はわずかに増加した。一方、Nプラズマ処理されたPTFE基板では、処理時間の増加に伴い、接触角は急激に減少した。
表面エネルギーは、以下の(数式1)で与えられるヤングの方程式を用いることによって算出される。
E=γ(1+cosθ) (数式1)
ここで、γは20℃での水の表面張力(γ=72.8mN/m)、θは接触角(°)である。
図9は、上記(数式1)によって算出したPTFE基板の表面エネルギーを示す表図である。Oプラズマ処理されたPTFE基板では、表面エネルギーは処理時間の増加に伴って次第に減少した。上述のXPSの結果から、Oプラズマ処理によりPTFE基板の表面が削られただけであり、処理時間の増加に伴う表面エネルギーの減少は、PTFE基板表面上の有機混入物質がOプラズマエッチングによって取り除かれ、クリーンな表面が出てきたことを意味する。図4(c)に示すように、クリーンにされたPTFE基板11の表面にDLC膜12を形成することにより、DLC膜12の付着強度を向上させることができる。
プラズマ処理されたPTFE基板においては、処理時間の増加に伴って表面エネルギーは増大した。この結果は、Nプラズマ処理によりPTFE基板表面の化学組成が修正されたことを示している。これは、上述のXPSによるPTFE基板表面のC−N基,C=N基,C−N−F基の導入結果と一致する。
PTFE基板の表面エネルギーの増加は、PTFE基板とDLC膜との付着強度を向上させる。図5(c)に示すように、表面改質により表面エネルギーが増大したPTFE基板11の表面に、DLC膜12を形成することにより、DLC膜12の付着強度を向上させることができる。
(テープ試験)
表面改質処理したPTFE基板上にDLC膜を形成した試料のDLC膜形成面に粘着性テープ(共和株式会社製)を貼り付け、これを引き剥がすことにより、PTFE基板とDLC膜との付着強度について観察した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,2,3,4,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のPTFE基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図10は、テープ試験の結果を示す画像である。試験はすべて試料の左半分を用いて行っており、図中の点線で囲まれた部分が剥離部を示す。未処理の試料(図10(a))では剥離が確認されたが、その他では、Oプラズマ処理の処理時間10分間の試料(図10(g))以外に剥離は確認されず、付着強度が向上していることがわかる。
(引張試験)
表面改質処理したPTFE基板上にDLC膜を形成した試料のPTFE基板とDLC膜との付着強度を引張試験により測定した。
図11は引張試験装置の概略図である。DLC膜が形成された試料21のDLC膜形成面に直径6mmのアルミ円柱22を接着剤(住友スリーエム製 SW2214)で接着し、ジグ23で試料21を固定する。そして、アルミ円柱22を速度1mm/minで引張り、アルミ円柱22が試料から外れたときの力(N)を測定し、この測定値を引張痕の面積で除したものを付着強度(MPa)とした。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,2,3,4,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のPTFE基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。各試料とも測定は6回行った。また、引張試験後、DLC膜の剥離を確定するため、ラマン分光により確認した。
図12は、引張試験の結果を示す図、図13(a)は、引張痕の一例を示す画像、図13(b)は、引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図である。図12に示すように、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理ともに、表面改質処理を行うことにより付着強度が大きく向上した。また、図13(a),(b)より、DLC膜がはっきりと剥がれていることがわかる。
なお、処理時間が2,3分間より長くなると、徐々に付着強度が減少する傾向があるが、これは、過度のプラズマ処理がPTFE基板表面にダメージを与えることを意味する。これより、処理時間は2〜3分間程度が有効であると考えられる。
(耐磨耗性試験)
表面改質処理したPTFE基板上に形成されたDLC膜の耐磨耗性を評価するためにBall-on disk試験を行った。
図14は、Ball-on disk試験装置の概略図である。回転ディスク24上に試料21を固定し、アーム25の先端に設置された試料ボール26に垂直方向に一定荷重を与え、試料21に静置させる。その後、回転ディスク24を一定速度で回転させた。試験後の試料21の表面を顕微鏡で観察することにより耐磨耗性を評価した。Ball-on disk試験の条件を以下に示す。
試料ボール:ステンレス球(直径D=3.96mm)
荷重:0.5N
回転速度:100rpm
回転半径:2mm
試験時間:10min
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,2,3,4,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のPTFE基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図15は、Ball-on disk試験後の試料表面の観察像である。図中の矢印は試験時の回転方向を示し、点線で囲まれた部分が剥離部を示す。また、比較のため、Ball-on disk試験を行っていない試料の表面の観察像を図15(a)に示した。
図15(b)に示すように、表面改質処理を行っていない試料では、DLC膜が大きく剥離した。これは、表面改質処理なしのPTFE基板上に形成されたDLC膜は、付着強度が低いことを示している。これと比較して、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理を行った試料では、剥離が小さくなっており、付着強度や耐磨耗性が向上していることがわかる(図15(c)〜(n))。
<実施例2>
ステンレス(SUS316:株式会社ニコラ製)の基板(縦10mm×横10mm×厚さ1mm)を使用し、実施例1と同様の手順および条件により、プラズマ照射による表面改質処理を行った後、DLC膜を形成した。実施例1と同様に、XPS測定、接触角試験、テープ試験、引張試験、Ball-on disk試験を行った。
(XPS測定)
表面改質処理したDLC膜形成前のステンレス基板の表面を、実施例1と同様の条件でXPSにより測定した。
図16は、Oプラズマ処理により表面改質処理されたステンレス基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたステンレス基板、および表面改質処理されていない未処理のステンレス基板のXPS結果を示す図であり、図16(a)はFe2pスペクトルを示す図、図16(b)はO1sスペクトルを示す図、図16(c)はN1sスペクトルを示す図、図16(d)はCr2pスペクトルを示す図である。
図16(a)に示すように、Oプラズマ処理されたステンレス基板のFe2pスペクトルでは、Fe2p3/2の結合エネルギーが709〜711eVで観察され、これはFe3+と一致する。また、図16(b)に示すように、Oプラズマ処理されたステンレス基板のO1sスペクトルでは、Fe3+のピークが529〜530eVで観察された。これらは、Oプラズマ処理により、ステンレス基板表面近傍でFが生成されたことを示している。
一方、図16(c)に示すように、Nプラズマ処理されたステンレス基板のN1sスペクトルでは、397.1eVでCr−N基の出現が観察された。また、図16(d)に示すように、Nプラズマ処理されたステンレス基板のCr2pスペクトルでは、576.5eVでCr−N基の出現が観察された。これらは、Nプラズマ処理により、ステンレス基板表面近傍でCrN結合が生成されたことを示している。
図17は、Oプラズマ処理されたステンレス基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図、図18は、Nプラズマ処理されたステンレス基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。図17(a)、図18(a)に示すように、表面改質処理前のステンレス基板13の表面近傍は、主にFe、Crにより構成されている。
上記のXPS結果より、Oプラズマ処理では、図17(b)に示すように、ステンレス基板13の表面近傍にFが生成され、Nプラズマ処理では、図18(b)に示すように、ステンレス基板13の表面近傍にCrNが生成されたことがわかる。
(接触角試験)
表面改質処理したDLC膜形成前のステンレス基板の表面の濡れ性を実施例1と同様の接触角試験により測定した。
プラズマ処理により表面改質処理されたステンレス基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたステンレス基板、未処理のステンレス基板のそれぞれについて接触角を測定した。Oプラズマ処理されたステンレス基板、およびNプラズマ処理されたステンレス基板については、処理時間がそれぞれ1,5,10分間のものを用いて接触角を測定した。
図19は、ステンレス基板の接触角試験の結果を示す画像、図20は、ステンレス基板の接触角試験の結果を示す表図、図21は、前述の(数式1)によって算出したステンレス基板の表面エネルギーを示す表図である。図19〜図21に示すように、Oプラズマ処理およびNプラズマ処理された各ステンレス基板において、未処理のステンレス基板よりも接触角が減少し、表面エネルギーが増大した。
この結果は、Oプラズマ処理およびNプラズマ処理によりステンレス基板表面の化学組成が修正されたことを示している。これは、上述のXPSにより、Oプラズマ処理されたTi基板の表面近傍にFが検出され、Nプラズマ処理されたTi基板の表面近傍にCrNが検出されたことと合致する。
ステンレス基板の表面エネルギーの増加は、ステンレス基板とDLC膜との付着強度を向上させる。図17(c)、図18(c)に示すように、表面改質により表面エネルギーが増大したステンレス基板13の表面に、DLC膜12を形成することにより、DLC膜12の付着強度を向上させることができる。
(テープ試験)
実施例1と同様のテープ試験により、ステンレス基板とDLC膜との付着強度について観察した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のステンレス基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図22は、テープ試験の結果を示す画像である。試験はすべて試料の左半分を用いて行っており、図中の点線で囲まれた部分が剥離部である。未処理の試料(図22(a))では剥離が確認されたが、その他の試料では剥離は確認されず、表面改質処理により付着強度が向上していることがわかる。
(引張試験)
ステンレス基板とDLC膜との付着強度を実施例1と同様の引張試験により測定した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のステンレス基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。各試料とも測定は6回行った。また、引張試験後、DLC膜の剥離を確定するため、ラマン分光により確認した。
図23は、引張試験の結果を示す図、図24(a)は、引張痕の一例を示す画像、図24(b)は、引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図である。図23に示すように、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理ともに、表面改質処理を行うことにより付着強度が増加し、また、処理時間の増加に伴って付着強度も増加している。また、図24(a),(b)より、DLC膜がはっきりと剥がれていることがわかる。
(耐磨耗性試験)
表面改質処理したステンレス基板上に形成されたDLC膜の耐磨耗性を実施例1と同様のBall-on disk試験により評価した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のステンレス基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図25は、Ball-on disk試験後の試料表面の観察像である。図中の矢印は試験時の回転方向を示し、点線で囲まれた部分が剥離部を示す。また、比較のため、Ball-on disk試験を行っていない試料の表面の観察像を図25(a)に示した。
図25(b)に示すように、表面改質処理を行っていない試料では、DLC膜が大きく剥離した。これと比較して、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理を行った試料では、剥離が小さくなっており、付着強度や耐磨耗性が向上していることがわかる(図25(c)〜(h))。
<実施例3>
NiTi(古河電工株式会社製)の基板(縦10mm×横10mm×厚さ1mm)を使用し、実施例1と同様の手順および条件により、プラズマ照射による表面改質処理を行った後、DLC膜を形成した。実施例1と同様に、XPS測定、接触角試験、テープ試験、引張試験、Ball-on disk試験を行った。
(XPS測定)
表面改質処理したDLC膜形成前のNiTi基板の表面を、実施例1と同様の条件でXPSにより測定した。
図26は、Oプラズマ処理により表面改質処理されたNiTi基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたNiTi基板、および表面改質処理されていない未処理のNiTi基板のXPS結果を示す図であり、図26(a)はTi2pスペクトルを示す図、図26(b)はNi2pスペクトルを示す図、図26(c)はO1sスペクトルを示す図、図26(d)はN1sスペクトルを示す図である。
図26(a)に示すように、Oプラズマ処理されたNiTi基板のTi2pスペクトルでは、未処理のNiTi基板に対して、Ti4+ピークが増大しており、TiOの 生成、増加が示唆される。また、図26(b)に示すように、Oプラズマ処理されたNiTi基板のNi2pスペクトルでは、NiOの生成が856eVに認められた。さらに、図26(b)に示すように、Oプラズマ処理されたNiTi基板のO1sスペクトルでは、未処理のNiTi基板に対して、Ti2+ピークとTi4+ピークとが増大しており、TiOおよびTiOの 生成、増加が示唆される。
一方、図26(d)に示すように、Nプラズマ処理されたNiTi基板のN1sスペクトルでは、未処理のNiTi基板に対して、TiNOピークが399.2eVで増大している。
図27は、Oプラズマ処理されたNiTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図、図28は、Nプラズマ処理されたNiTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。図27(a)、図28(a)に示すように、表面改質処理前のNiTi基板14の表面近傍は、Ni、Tiにより構成されている。
上記のXPS結果より、Oプラズマ処理では、図27(b)に示すように、NiTi基板14の表面近傍にTiO、TiO、およびNiOが生成され、Nプラズマ処理では、図28(b)に示すように、NiTi基板14の表面近傍にTiNOが生成されたことがわかる。
(接触角試験)
表面改質処理したDLC膜形成前のNiTi基板の表面の濡れ性を実施例1と同様の接触角試験により測定した。
プラズマ処理により表面改質処理されたNiTi基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたNiTi基板、未処理のNiTi基板のそれぞれについて接触角を測定した。Oプラズマ処理されたNiTi基板、およびNプラズマ処理されたNiTi基板については、処理時間がそれぞれ1,5,10分間のものを用いて接触角を測定した。
図29は、NiTi基板の接触角試験の結果を示す画像、図30は、NiTi基板の接触角試験の結果を示す表図、図31は、前述の(数式1)によって算出したNiTi基板の表面エネルギーを示す表図である。図29〜図31に示すように、Oプラズマ処理およびNプラズマ処理された各NiTi基板において、未処理のNiTi基板よりも接触角が減少し、表面エネルギーが増大した。
この結果は、Oプラズマ処理およびNプラズマ処理によりNiTi基板表面の化学組成が修正されたことを示している。これは、上述のXPSにより、Oプラズマ処理されたTi基板の表面近傍にTiO、TiO、およびNiOが検出され、Nプラズマ処理されたTi基板の表面近傍にTiNOが検出されたことと合致する。
NiTi基板の表面エネルギーの増加は、NiTi基板とDLC膜との付着強度を向上させる。図27(c)、図28(c)に示すように、表面改質により表面エネルギーが増大したNiTi基板14の表面に、DLC膜12を形成することにより、DLC膜12の付着強度を向上させることができる。
(テープ試験)
実施例1と同様のテープ試験により、NiTi基板とDLC膜との付着強度について観察した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のNiTi基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図32は、テープ試験の結果を示す画像である。試験はすべて試料の左半分を用いて行っており、図中の点線で囲まれた部分が剥離部である。未処理の試料(図32(a))では剥離が確認されたが、その他の試料では剥離は確認されず、表面改質処理により付着強度が向上していることがわかる。
(引張試験)
NiTi基板とDLC膜との付着強度を実施例1と同様の引張試験により測定した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のNiTi基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。各試料とも測定は6回行った。また、引張試験後、DLC膜の剥離を確定するため、ラマン分光により確認した。
図33は、引張試験の結果を示す図、図34(a)は、引張痕の一例を示す画像、図34(b)は、Nプラズマ処理を5分間行った試料の引張痕を示す画像、図34(c)は、引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図である。図33に示すように、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理ともに、表面改質処理を行うことにより付着強度が増加し、また、処理時間の増加に伴って付着強度も増加している。また、図34(a),(c)より、DLC膜がはっきりと剥がれていることがわかる。
なお、Nプラズマ処理した試料では、処理時間が5分間の場合において、大幅に付着強度が増加した結果になったが、これは、図34(b)に示すように、アルミ円柱22の円周のみでDLC膜が剥がれ、この剥がれた面積で引張試験測定値を除したためである。また、Nプラズマ処理の処理時間が10分間の場合、DLC膜の剥離が確認できなかったため、付着強度を求めることができなかった。
(耐磨耗性試験)
表面改質処理したNiTi基板上に形成されたDLC膜の耐磨耗性を実施例1と同様のBall-on disk試験により評価した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のNiTi基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図35は、Ball-on disk試験後の試料表面の観察像である。図中の矢印は試験時の回転方向を示し、点線で囲まれた部分が剥離部を示す。また、比較のため、Ball-on disk試験を行っていない試料の表面の観察像を図35(a)に示した。
図35(b)に示すように、表面改質処理を行っていない試料では、DLC膜が大きく剥離した。これと比較して、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理を行った試料では、剥離が小さくなっており、付着強度や耐磨耗性が向上していることがわかる(図35(c)〜(h))。
<実施例4>
Ti(株式会社ニコラ製)の基板(縦10mm×横10mm×厚さ1mm)を使用し、実施例1と同様の手順および条件により、プラズマ照射による表面改質処理を行った後、DLC膜を形成した。実施例1と同様に、XPS測定、接触角試験、テープ試験、引張試験、Ball-on disk試験を行った。
(XPS測定)
表面改質処理したDLC膜形成前のTi基板の表面を、実施例1と同様の条件でXPSにより測定した。
図36は、Oプラズマ処理により表面改質処理されたTi基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたTi基板、および表面改質処理されていない未処理のTi基板のXPS結果を示す図であり、図36(a)はTi2pスペクトルを示す図、図36(b)はO1sスペクトルを示す図、図36(c)はN1sスペクトルを示す図である。
図36(a)に示すように、Oプラズマ処理されたTi基板のTi2pスペクトルでは、Ti4+ピークが458.6eVで観察された。また、図36(b)に示すように、Oプラズマ処理されたTi基板のO1sスペクトルでは、Ti2+ピークとTi4+ピークとが観察され、TiOおよびTiOの生成が示唆される。
一方、図36(c)に示すように、Nプラズマ処理されたTi基板のN1sスペクトルでは、TiNの生成が397eVに認められ、TiNOの生成が399eVに認められた。
図37は、Oプラズマ処理されたTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図、図38は、Nプラズマ処理されたTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。図37(a)、図38(a)に示すように、表面改質処理前のTi基板15の表面近傍は、Tiにより構成されている。
上記のXPS結果より、Oプラズマ処理では、図37(b)に示すように、Ti基板15の表面近傍にTiO、TiOが生成され、Nプラズマ処理では、図38(b)に示すように、Ti基板15の表面近傍にTiN、TiNOが生成されたことがわかる。
(接触角試験)
表面改質処理したDLC膜形成前のTi基板の表面の濡れ性を実施例1と同様の接触角試験により測定した。
プラズマ処理により表面改質処理されたTi基板、Nプラズマ処理により表面改質処理されたTi基板、未処理のTi基板のそれぞれについて接触角を測定した。Oプラズマ処理されたTi基板、およびNプラズマ処理されたTi基板については、処理時間がそれぞれ1,5,10分間のものを用いて接触角を測定した。
図39は、Ti基板の接触角試験の結果を示す画像、図40は、Ti基板の接触角試験の結果を示す表図、図41は、前述の(数式1)によって算出したTi基板の表面エネルギーを示す表図である。図39〜図41に示すように、Oプラズマ処理およびNプラズマ処理された各Ti基板において、未処理のTi基板よりも接触角が減少し、表面エネルギーが増大した。
この結果は、Oプラズマ処理およびNプラズマ処理によりTi基板表面の化学組成が修正されたことを示している。これは、上述のXPSにより、Oプラズマ処理されたTi基板の表面近傍にTiO、TiOが検出され、Nプラズマ処理されたTi基板の表面近傍にTiN、TiNOが検出されたことと合致する。
Ti基板の表面エネルギーの増加は、Ti基板とDLC膜との付着強度を向上させる。図37(c)、図38(c)に示すように、表面改質により表面エネルギーが増大したTi基板15の表面に、DLC膜12を形成することにより、DLC膜12の付着強度を向上させることができる。
(テープ試験)
実施例1と同様のテープ試験により、Ti基板とDLC膜との付着強度について観察した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。また、比較例として、未処理(処理時間0分)のTi基板上にDLC膜を形成した試料についても同様に試験を行った。
図42は、テープ試験の結果を示す画像である。試験はすべて試料の左半分を用いて行っており、図中の点線で囲まれた部分が剥離部である。未処理の試料(図42(a))では剥離が確認されたが、その他の試料では剥離は確認されず、表面改質処理により付着強度が向上していることがわかる。
(引張試験)
Ti基板とDLC膜との付着強度を実施例1と同様の引張試験により測定した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。各試料とも測定は6回行った。また、引張試験後、DLC膜の剥離を確定するため、ラマン分光により確認した。
図43は、引張試験の結果を示す図、図44(a)は、引張痕の一例を示す画像、図44(b)は、引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図、図44(c)は、未処理(処理時間0分)のTi基板上にDLC膜を形成した試料を示す画像である。図43に示すように、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理ともに、処理時間の増加に伴って付着強度も増加している。また、図44(a),(b)より、DLC膜がはっきりと剥がれていることがわかる。
なお、未処理(処理時間0分)のTi基板上にDLC膜を形成した試料の試験結果がないのは、図44(c)に示すように、DLC膜の剥離が激しく、引張試験を行うことができなかったためである。
(耐磨耗性試験)
表面改質処理したTi基板上に形成されたDLC膜の耐磨耗性を実施例1と同様のBall-on disk試験により評価した。
プラズマ処理、Nプラズマ処理のそれぞれについて、処理時間を1,5,10分間として作製した試料を用いて試験を行った。
図45は、Ball-on disk試験後の試料表面の観察像である。図中の矢印は試験時の回転方向を示し、点線で囲まれた部分が剥離部を示す。また、比較のため、Ball-on disk試験を行っていない試料の表面の観察像を図45(a)に示した。なお、未処理(処理時間0分)のTi基板上にDLC膜を形成した試料は、DLC膜の剥離が激しく、Ball-on disk試験を行うことができなかった(図45(b))。
図45(c)〜(h)に示すように、Oプラズマ処理、Nプラズマ処理を行った試料では、処理時間の増加に伴って剥離が小さくなっており、付着強度や耐磨耗性が向上していることがわかる。
本発明の実施の形態に係るダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法に用いるプラズマCVD装置の概略図である。 PTFE基板、およびPTFE基板にコーティングした膜のラマンスペクトルを示す図である。 実施例1におけるXPS結果を示す図である。 プラズマ処理されたPTFE基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 プラズマ処理されたPTFE基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 接触角の測定方法を説明するための図である。 実施例1における接触角試験の結果を示す画像である。 実施例1における接触角試験の結果を示す表図である。 実施例1におけるPTFE基板の表面エネルギーを示す表図である。 実施例1におけるテープ試験の結果を示す画像である。 引張試験装置の概略図である。 実施例1における引張試験の結果を示す図である。 (a)は、実施例1における引張痕の一例を示す画像、(b)は、実施例1における引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図である。 Ball-on disk試験装置の概略図である。 実施例1におけるBall-on disk試験後の試料表面の観察像である。 実施例2におけるXPS結果を示す図である。 プラズマ処理されたステンレス基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 プラズマ処理されたステンレス基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 実施例2における接触角試験の結果を示す画像である。 実施例2における接触角試験の結果を示す表図である。 実施例2におけるステンレス基板の表面エネルギーを示す表図である。 実施例2におけるテープ試験の結果を示す画像である。 実施例2における引張試験の結果を示す図である。 (a)は、実施例2における引張痕の一例を示す画像、(b)は、実施例2における引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図である。 実施例2におけるBall-on disk試験後の試料表面の観察像である。 実施例3におけるXPS結果を示す図である。 プラズマ処理されたNiTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 プラズマ処理されたNiTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 実施例3における接触角試験の結果を示す画像である。 実施例3における接触角試験の結果を示す表図である。 実施例3におけるNiTi基板の表面エネルギーを示す表図である。 実施例3におけるテープ試験の結果を示す画像である。 実施例3における引張試験の結果を示す図である。 (a)は、実施例3における引張痕の一例を示す画像、(b)は、実施例3におけるNプラズマ処理を5分間行った試料の引張痕を示す画像、(c)は、実施例3における引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図である。 実施例3におけるBall-on disk試験後の試料表面の観察像である。 実施例4におけるXPS結果を示す図である。 プラズマ処理されたTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 プラズマ処理されたTi基板の表面近傍の改質の様子を示す模式図である。 実施例4における接触角試験の結果を示す画像である。 実施例4における接触角試験の結果を示す表図である。 実施例4におけるTi基板の表面エネルギーを示す表図である。 実施例4におけるテープ試験の結果を示す画像である。 実施例4における引張試験の結果を示す図である。 (a)は、実施例4における引張痕の一例を示す画像、(b)は、実施例4における引張試験後の試料のラマンスペクトルの一例を示す図、(c)は、未処理のTi基板上にDLC膜を形成した試料を示す画像である。 実施例4におけるBall-on disk試験後の試料表面の観察像である。
符号の説明
1 チャンバ
2,3 電極
4 整合器
5 高周波電源
6 基材
7 ガス注入口
8 プラズマ
11 PTFE基板
12 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜
13 ステンレス基板
14 NiTi基板
15 Ti基板
21 試料
22 アルミ円柱
23 ジグ
24 回転ディスク
25 アーム
26 試料ボール

Claims (7)

  1. ポリテトラフルオロエチレンからなる基材の表面をプラズマ照射により改質する表面改質工程と、
    プラズマ照射により改質された前記基材の表面に、化学気相蒸着法によりダイヤモンドライクカーボン膜を形成する膜形成工程と
    を含むことを特徴とするダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
  2. 金属材料からなる基材の表面をプラズマ照射により改質する表面改質工程と、
    プラズマ照射により改質された前記基材の表面に、化学気相蒸着法によりダイヤモンドライクカーボン膜を形成する膜形成工程と
    を含むことを特徴とするダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
  3. 前記基材は、ステンレス、ニチノール、およびチタンから選ばれる1種類からなることを特徴とする請求項2に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
  4. 前記表面改質工程において、プラズマ照射における反応ガスとして、窒素または酸素を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
  5. 前記表面改質工程において、プラズマCVD法によりプラズマ照射を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
  6. 前記膜形成工程において、前記化学気相蒸着法でダイヤモンドライクカーボン膜を形成するための原料ガスとして、メタン、アセチレン、およびベンゼンから選ばれる1種類を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
  7. 前記化学気相蒸着法は、プラズマCVD法であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のダイヤモンドライクカーボン膜の形成方法。
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