JP4578701B2 - 基板処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基板処理方法に関し、特に、被処理基板の温度制御を短時間に行うことができる基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造工程において、基板表面を処理する基板処理装置として、スパッタリング装置、エッチング装置、CVD装置などが知られている。これらの基板処理装置では、被処理基板の表面が各種の作用に基づいて処理される。基板は、所要の圧力に減圧された処理チャンバ内に設けられた基板ホルダのステージ上に置かれて固定される。ステージ上に基板を固定する装置としては、静電吸着作用を利用した静電チャック、あるいは機械的機構を利用したクランプチャックなどが知られている。
【0003】
例えばスパッタリング装置においてスパッタリング作用に基づいて基板の表面に成膜処理を行うとき、処理チャンバ内に基板を搬入し、基板を基板ホルダのステージ上に載置し、例えば静電チャックの吸着作用で基板を固定する。この固定状態で基板の裏面を基板ホルダのステージ表面に十分に接触させる。静電チャックを動作させるために、静電チャックには、吸着用静電力を生じさせるに必要な電圧を印加するための電源が付設されている。静電チャックには電極板が内蔵される。この電極板に、電源から電圧が印加される。基板を成膜処理する際には、上記減圧状態および所定ガスの導入に加えて、基板の温度を望ましい温度に保持することが必要である。このため、基板ホルダには加熱機構を内蔵して基板ホルダを予め所要の温度に保持し、基板ホルダのステージ上に固定された基板を加熱するようにしている。基板ホルダのステージ上に固定された基板を効果的に加熱するために、従来では、ステージに裏面ガス導入経路を形成し、この経路に裏面ガス、例えばArやN2を流すようにしている。当該裏面ガスは、熱伝導ガスであり、基板ホルダ側から基板への熱の伝導を円滑にかつ効率よく行い、基板の温度を目的温度にするためのものである。基板の裏面側に裏面ガスを供給するときには、従来、マスフローコントローラによって制御するようにしていた。裏面ガスの供給の制御では、ガス圧力を制御する場合と制御しない場合がある。裏面ガスのガス圧力を制御する場合には、裏面ガス導入経路に隔膜真空計(ダイアフラムゲージ)などを設けてガス圧を測定し、この測定データに基づいて圧力制御を行う。
【0004】
基板処理装置において基板を保持した基板保持装置で、基板の裏面側に導入されるガスを利用して基板の昇温または降温を行うための発明を開示した従来の公知文献として、特公昭52−61334号公報、特公平6−22213号公報を挙げる。
【0005】
特公昭52−61334号公報は、真空処理装置における基板の冷却機構を示す。基板ホルダには、基板の裏面側には冷却空所を形成し、この冷却空所に冷却ガスが導入される構造が設けられている。この冷却機構によれば、冷却空所に導入される冷却ガスの圧力を制御し、一定熱入力に対して基板の温度を一定範囲で制御できる構成を有している。
【0006】
特公平6−22313号公報は、試料の温度制御方法および装置を示す。この装置では、試料台の上に試料を載置し、試料を例えば静電吸着装置で吸着して固定し、試料の裏面と試料台の間に形成された隙間に伝熱ガスを供給する構造を有している。この伝熱ガス供給機構によれば、基板の温度を計測しながら、ヘリウムガス(伝熱ガス)の供給量を制御する構成が言及されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスパッタリング装置などで採用されていた基板ホルダにおける裏面ガス導入の仕方は、基板ホルダに載置され固定された基板を単に加熱すること、あるいは保温することに重きを置き、裏面ガスは単に流されているだけであるのが一般的であった。
【0008】
しかし、基板製作のスループットを高めること、および基板に成膜される膜の膜質を向上することを考慮すると、基板の温度を目的温度に早く立ち上げることが要求される。従来の裏面ガスの導入方法によれば、基板を目的温度まで高めるのに長い時間がかかる。基板を目的温度までに昇温させるのに時間がかかると、例えばスパッタリング装置では、成膜中に基板の温度が変化し、これによって膜質が変化すると可能性が高い。さらに、単位時間当たりの基板の処理枚数が少なくなるという問題も提起される。
【0009】
上記の例は基板ホルダ上に載置され静電チャックなどで固定された基板の昇温に関する問題であったが、基板の裏面側に冷却ガスを導入し、当該基板の温度を降温させる場合にも同様な問題を生じる。
【0010】
また前述した従来の各公知文献に開示される発明は、基板保持装置上に配置された基板を所望の温度にするため、あるいは所望の温度に維持するため、裏面ガスを利用しかつ圧力を大きくすることによって、あるいは流量(供給量)を制御することによって温度制御を行うようにしている。しかしながら、単に圧力を大きくしたり、単に流量を制御するだけでは、或る力で基板保持装置上に固定された基板の当該固定状態を保持することができないという問題が発生する。
【0011】
本発明の目的は、上記の課題を解決することにあり、基板ホルダ上に固定された基板の温度制御を短時間に行い、基板処理に要する時間を短縮し、基板製作のスループットを高め、膜質を向上するようにした基板処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る基板処理方法は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0013】
本発明に係る基板処理方法(請求項1に対応)は、
処理される基板が置かれる加熱機構を有するステージと、このステージ上に置かれた基板を固定する固定装置を備える基板保持装置であって、
基板の裏面側から所望の基板昇温特性を実現するための板温度調整ガスを供給するガス供給部と、ガス供給部から供給される基板温度調整ガスの流量を調整する調整部と、調整部による調整動作を制御し、基板の固定状態が維持される範囲で基板温度調整ガスの流量を制御する制御部と、を備える基板保持装置を備えた基板処理装置に用いた基板処理方法であって、
基板を基板保持装置のステージ上に載置し、該基板の裏面に基板温度調整ガスを所定流量で流す工程と、
基板を昇温する基板温度に応じて、基板温度調整ガスの流量を所定流量より増大させた後、該基板温度調整ガスの流量が段階的に減少するように時間および圧力を設定する工程と、
上記の設定により、基板の昇温処理を行う工程と、
を有することを特徴とする。
本発明に係る基板処理方法(請求項2に対応)は、上記の基板の昇温処理を行う工程は脱ガス方法であることを特徴とする。
本発明に係る基板処理方法(請求項3に対応)は、上記の基板処理装置はスパッタリング装置であることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る基板処理装置の基板保持装置の実施形態を示す構成図であり、基板処理装置の処理チャンバ部分は縦断面図で示している。この図では、基板処理装置の処理チャンバおよび基板保持装置の概略構成と、基板保持装置に搭載された基板に対して裏面ガスを導入するための構成が示されている。基板処理装置は一例として基板表面に成膜を行うスパッタリング装置である。しかしながら、本発明が適用される基板処理装置はスパッタリング装置に限定されるものではない。
【0022】
図1において、処理チャンバ11は、内部を所要の減圧状態にする排気装置12と、プラズマの発生に用いられる材料としてプロセスガスを導入するガス供給装置13と、スパッタリング粒子を供給するターゲット14と、ターゲット14に電力を供給する電源15を設けている。ターゲット14には、成膜物質に応じた材料が用いられる。さらに処理チャンバ11の内部には、底部16に取りつけられた基板ホルダ17が設けられている。基板保持装置は基板ホルダ17を主要部として含んで成る。基板ホルダ17は支柱18によって底部16に固定されている。通常、支柱18は、基板搭載面の位置を上下に変える目的で昇降するように設けられている。支柱18は絶縁部材で作られている。上記ターゲット14は処理チャンバ11の天井部19に固定されている。処理チャンバ11は導体で作られ、接地されることにより接地電位に保持されている。処理チャンバ11の天井部19に設けられたターゲット14はその周囲を絶縁リング20で保持され、上記電源15は、接地電位である処理チャンバ11とターゲット14の間に設けられている。
【0023】
基板ホルダ17は、基板21を搭載するステージとしての誘電体板22と、搭載された基板21を適当な吸着力で誘電体板22に押付けて固定するための静電吸着装置23と、基板ホルダの全体を必要な温度に保つ加熱機構24とを備えている。基板ホルダ17では、さらに、静電吸着装置23によって誘電体板22上に固定された基板21の裏面側に対して、熱伝導用の裏面ガスを導入するための空所22aと経路(または流路)25が形成されている。経路25は孔として形成することができるし、パイプ状部材として形成することもできる。裏面ガスは、基板ホルダ17の熱が基板21に効率よく伝達されるようにするためのガスであり、従来では、アルゴンガス(Ar)や窒素ガス等が用いられている。
【0024】
静電吸着装置23は内部に電極26を有している。電極26は板状の絶縁体部材23aの中に埋設されている。この電極26には、電源ライン27aを介して電源27から所要の電圧が印加される。電圧の印加は、基板21を誘電体板22の上に固定するタイミングで行われる。加熱機構24は、静電吸着装置23を所定の温度にし、さらに基板21を望ましい温度に設定し保持するための機構である。加熱機構24にはヒータ等の任意の機構を用いることができる。図1において加熱機構24に関しては具体的な構造の図示は省略されている。
【0025】
上記の経路25は、静電吸着装置23の絶縁体部材23a、加熱機構24、支柱18の各々の内部を通って設けられている。さらに経路25は、基板ホルダ17の下側に設けられたガス導入管28につながっている。経路25とガス導入管28との接続部の図示は省略されている。ガス導入管28にはマスフローコントローラ(MFC)29が設けられ、さらに分岐管部28aを形成してこれに隔膜真空計30が付設されている。マスフローコントローラ29は、ガス導入管28を流れ、さらに基板ホルダ17内の経路25を流れる裏面ガスの流量を制御する。また隔膜真空計30は裏面ガスの圧力を測定する。これによって裏面ガスの圧力状態が常時モニタされる。隔膜真空計30による測定で得られた裏面ガスの圧力に係る信号は制御部31に入力される。制御部31は、通常、パソコン(PC)で構成されている。制御部31は、少なくとも、処理チャンバ11における基板21へのスパッタリング成膜動作のための通常の成膜制御機能部31aと、裏面ガスの導入方法を制御するための裏面ガス導入制御機能部31bを備えている。裏面ガス導入制御機能部31bによって本実施形態による特徴的な導入方法が実施される。また裏面ガス導入制御機能部31bは、成膜中の裏面ガスの導入においてその圧力を制御する機能も有している。基板21の裏面に裏面ガスを導入するときにおいてその圧力を制御する機構は、APC(Automatic Pressure Control)機構と呼ばれている。APC機構は、隔膜真空計30によってモニタされた裏面ガスの圧力情報に基づいて、当該圧力が規定圧力まで達したときに裏面ガスの供給を停止して圧力封止にて裏面圧力を維持し、規定圧力を下まわったときには設定流量にて裏面ガスを供給し規定圧力まで昇圧させるという作用を有する。
上記規定値等は任意に設定される。また裏面ガス導入制御機能部31bによって実行される特徴的な裏面ガス導入プロセス(導入シーケンス)の内容は、後で詳述される。以上のごとく、裏面ガス導入制御機能部31bは、裏面ガスの流量を流量を変えるべくマスフローコントローラ29に指示信号を与える。
【0026】
図1に示された基板処理装置において、基板ホルダ17に配置された基板21は、静電吸着装置23による静電吸着力に基づいて誘電体板22上に固定される。基板21が基板ホルダ17で固定された状態において、基板21に対してプラズマによる成膜処理や脱ガス処理が行われる。32はプロセスガスを導入する導入管である。その処理の際に、プロセス中でも、制御部31によって、裏面ガスの流量が任意に変更され、裏面ガスの圧力が任意に設定される。
【0027】
スパッタリング装置の場合、プラズマ処理を施さないときにも基板21は加熱させることが必要である。そのため、後述される評価における静電吸着装置23による吸着用DC電圧の極性は、正負双極形を用いている。
【0028】
次に上記基板保持装置を備えたスパッタリング装置で実施される裏面ガスの導入の制御方法を説明する。この裏面ガス導入制御は、制御部31の裏面ガス導入制御機能部31bに用意されたプログラムで実行される。すなわち、裏面ガス導入制御機能部31bにより裏面ガスの導入と、APC制御とが実行される。また静電吸着装置23への電圧印加の制御も行われる。この制御は、通常の成膜制御機能部31aが行う。
【0029】
以下において裏面ガス導入の制御を説明するため、基板ホルダ17に搭載される基板として試験用基板(シリコンウェハ等)が用いられる。試験用基板は、基板の温度変化を見ることができ、基板の温度測定に使用される。試験用基板には温度センサとして熱電対が埋め込まれている。試験用基板の熱電対から基板の温度に関する信号が得られる。この温度信号によって、本実施形態に係る裏面ガスの導入制御方法を説明するための基板の昇温特性を得る。
【0030】
上記基板保持装置を用いた基板の昇温特性に関しては、以下に述べるように、2通りの評価が行われた。第1の基板昇温特性の評価は、図2に示されるごとき、昇温特性の裏面ガス圧力依存性に関するものであり、第2の基板昇温特性の評価は、図3に示されるごとき、昇温特性の裏面ガス流量依存性に関するものである。
【0031】
図2のグラフで横軸は経過時間(秒、sec)、縦軸は基板温度(℃)である。図2において、静電吸着を行う基板ホルダ17の温度設定が加熱機構24により例えば370℃の場合の基板温度の時間依存性を裏面ガス圧力をパラメータ(10Torrの場合と6Torrの場合)として示している。本評価では、裏面ガス流量を2sccmで一定値に保ち、目的とする裏面ガス圧力に到達するまでの時間には何らの考慮を払っていない。このグラフから分かるように、裏面ガスの圧力が高い方(曲線41、10Torrの場合)が低い方(曲線42、6Torrの場合)に比較して飽和に到達するまでの時間が明らかに速い。同じ実験を、後述するデガスチャンバに搭載した異なるタイプの静電吸着ホルダにおいてホルダ温度を150℃に設定して評価したが、この場合にも裏面ガス圧力が高い方が昇温速度が速いことが判明した。
【0032】
次に図3のグラフでは、同じく横軸は経過時間(秒、sec)、縦軸は基板温度(℃)を示している。図3のグラフで示された実験例では、基板ホルダ17の設定温度が加熱機構17により同じく370℃に設定され、裏面ガスの圧力が10Torrに設定されている。グラフ中の複数の曲線51,52,53は、裏面ガスの流量が異なる場合、すなわち10sccm、2sccm、0sccmの場合を示している。図3に示されるごとく、流量が大きいほど温度が飽和するまでの時間は短いことが分かる。この評価によれば、裏面ガスが、基板ホルダ17から基板21への熱伝導性を高くし、また裏面ガスの流量が多い方が昇温速度が速くなることを示している。
【0033】
図2および図3の各グラフを参照して説明された以上の現象は、基板ホルダ17で静電吸着装置23によって誘電体板22上に固定された基板21を加熱するメカニズムが、基板ホルダ17の加熱機構24によって生じた熱が裏面ガスを熱媒体として受けとっていることからくるものと理解される。裏面ガスは、静電吸着装置23側からの熱を効率良く基板21側へ伝達し、基板21の温度を所望の温度に高める(調整する)熱媒体としての作用を生じる。このことは裏面ガスが冷却ガスとして作用する場合にも同様に当てはまることである。
【0034】
そこで、次に、基板の昇温(降温)の場合における裏面ガスによる熱伝導の作用について説明する。
【0035】
裏面ガスの熱伝導率をSとすると、
S∝P (P:裏面ガス圧力) …(1)
P∝F×t …(2)
(F:裏面ガス流量、t:裏面ガス導入時からの時間)
T∝S×P=P×F×t (T:基板の温度) …(3)
の関係が成立する。
【0036】
(3)式を考慮すれば、前述した図2と図3の結果は妥当な結果であることが分かる。また(3)式に基づけば、基板21の昇温速度は、裏面ガスを導入した時点からの経過時間に依存することが分かる。つまり、裏面ガスを流し始めてから、いかに早く裏面ガスの圧力を高い圧力までに昇圧させるかによって、基板21の短期昇温特性が決まることを示唆している。
【0037】
次に、上記評価を考慮し、前述の基板保持装置において制御部31の裏面ガス導入制御機能部31bによって実行される本実施形態に係る裏面ガスの導入方法の例を説明する。
【0038】
この裏面ガスの導入方法では、裏面ガス導入制御部31bがマスフローコントローラ29による流量調整動作を制御して、裏面ガスの流量を瞬時的に大きく変化させる。すなわち経路25を介して基板21の裏面の空所へ裏面ガスを導入することにおいて、ガススパイクの状態を発生させる。ここで「ガススパイク」とは、厳密には、基板21を静電吸着装置23により基板ホルダ17に固定した後、裏面ガスを後述するような方式により流し、裏面ガス圧力の上昇を高めるシーケンスによる裏面ガス注入のことを意味する。なおこのとき、静電吸着装置23によって誘電体板22上に固定される基板21の当該固定状態が維持されるように、裏面ガスの流量は制限を受ける。
【0039】
図4は、裏面ガスの導入で上記ガススパイクによる制御を取り入れた実験結果を示している。
【0040】
ガススパイクによる裏面ガスの導入方法を一般的に述べると、次の三段階から成っている。
最初に、X(sccm)にてt1(秒)の間、裏面ガスを流す。
次いで、Y(sccm)にてt2(秒)の間、裏面ガスを流す。
最後に、Z(sccm)にてP(Torr)のAPC制御を行う。
以上において、流量、時間、圧力の値として一般的にパラメータX,Y,Z,t1,t2,Pが用いられている。上記パラメータX,Y,Zの間ではX>Y≧Zという関係が成立している。パラメータX,Y,Z,t1,t2の関係に関しては図5に示されている。図5において、横軸は処理時間を示し、縦軸は裏面ガスの流量を示している。図5によれば、裏面ガスの流量は、t1(秒)の間はX(sccm)、t2(秒)の間はY(sccm)、それ以降はZ(sccm)にてP(Torr)のAPC制御が実施される。
【0041】
図4では2つの曲線61,62が示されている。曲線61は、X=10、Y=6、Z=2、t1=3、t2=2、P=10に設定した場合の「ガススパイクあり」の裏面ガス導入方法による基板温度の昇温変化特性である。曲線62は、X=0、Y=0、Z=2、t1=0、t2=0、P=10に設定した場合の「ガススパイクなし」の裏面ガス導入方法による基板温度の昇温変化特性である。図4のグラフにおいて、経過時間15秒を起点にして30秒後の基板の温度を比較すると、曲線61では飽和温度に達しているのに対して、曲線62では飽和温度に達していないことが分かる。
【0042】
以上のことから、経路25を介して基板21の背面に裏面ガスを導入するとき、基板21の温度を短期に昇温させるためには、ガススパイクによって裏面ガスの流量を制御すると、昇温速度が短縮化され、効率良く昇温することができる。
ただし、このときにおいて、基板21は誘電体板22の上に静電吸着装置23の吸着力によって固定されているので、裏面ガスの流量を一定時間の間増加させるとき裏面ガスの圧力が高くなるが、その圧力は基板21の固定状態が維持される範囲(解除されない範囲)に含まれるように裏面ガスの流量が制限される。すなわち、ガススパイクによる裏面ガスの導入制御を行うとき、静電吸着力を考慮して裏面ガスの圧力は最適化される。
【0043】
次に図6を参照して、スパッタリング装置に設けられたデガスチャンバ(脱ガスチャンバ)において評価された結果を示す。
【0044】
デガスチャンバの装置の構成は、図1で説明した構成でターゲット14を除いたものと同等である。基板ホルダ17において搭載した基板21を固定するには静電吸着装置が使用されるが、当該静電吸着装置は、図1で説明したものとは型式が異なっている。従って基板ホルダ17に内蔵される加熱機構24によって保持される温度の帯域が異なっている。
【0045】
評価の対象温度は100℃と150℃である。150℃の場合においてガススパイクによる昇温効果を評価した。図6では4つの曲線71,72,73,74が描かれている。150℃の場合の曲線は71,72である。前述のパラメータX,Y,Z,t1,t2,Pについて、曲線71はX=20、Y=0、Z=4、t1=5、t2=0、P=20という値(条件1)を設定しており、曲線72は、X=10、Y=0、Z=10、t1=5、t2=0、P=10という値(条件2)を設定している。曲線71に基づく評価では、初期の裏面ガスの圧力を22Torrに設定しており、曲線71に関する設定では、初期ガススパイク(X=20、t1=5)で約25〜27Torrへ突入するオーバーシュートが認められる。ここで、ガススパイクのための条件「150℃、20sccm、22Torr、5sec」は基板の昇温時間の短縮化を図ることを可能する。このガススパイクのための条件は、基板を基板ホルダに保持するための限界の条件である。なお「4sccm、20Torr、APC」は一度昇温した基板を保温するための条件である。またガススパイクのない曲線72に関する評価結果と比較すると、条件1が昇温に適した条件である。この条件1は、タイプの異なる基板ホルダ17においては、条件2と比較すると、ガススパイクは短期間に昇温を行うときに極めて有効である。
【0046】
なお条件を、X=20、Y=0、Z=4、t1=5、t2=0、P=20に設定し、初期の5秒の間、裏面ガスの圧力を30Torrに設定する場合には、昇温特性結果は条件1の結果と同じである。ガススパイクと裏面ガス圧力が一定の値を満たすように設定された場合には、一定の値で得られる昇温特性以上の昇温特性を期待することはできない。
【0047】
評価の対象温度が100℃である場合には、ガススパイクを行うようにしているが、その初期の設定を変更した場合で評価を実施した。ガススパイクによる昇温後のAPC機構による制御は、両方共に、Z=4、P=20の設定を用いている。
【0048】
図6において評価の対象温度が100℃である場合の曲線73,74である。
曲線73に関して、初期ガススパイクでのオーバーシュートは、16sccm、20Torr、5秒において約22Torr、曲線74に関して、20sccm、22Torr、5秒において約25〜27Torrである。図6に示された曲線73,74のグラフから、初期のオーバーシュートに僅かな差がある場合で、昇温特性に差が出る可能性が認められる。
【0049】
図6で示した評価では、基板を150℃の設定温度に昇温する場合と、基板を100℃の設定温度に昇温する場合とではガススパイクの条件が異なる。一般的に設定温度が低くなるほど、昇温時間の短縮化が困難になるという特性が見うけられる。
【0050】
前述の実施形態では、基板ホルダ17に静電吸着装置23によって基板21を固定し、加熱機構24で生じた熱を、経路25を流れ基板21の裏面の隙間(空所)に供給される裏面ガスの伝熱作用を利用して基板21に伝える構成において、所要のシーケンスに基づきガススパイク状態で裏面ガスを供給するようにしたが、基板固定装置は、静電吸着装置に限定されない。例えば固定装置として機械的なクランプ機構を用いることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、静電吸着装置等の固定装置で基板を基板ホルダ上に固定し、加熱機構で生じた熱を、基板の裏面隙間に供給される裏面ガスの伝熱作用を利用して基板に伝える構成において所要のシーケンスに基づくガススパイク状態で裏面ガスを供給するようにしたため、基板の昇温効果を高め、昇温時間を短縮化し、膜質の変化を防止、基板成膜のスループットを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の基板保持装置の構成と裏面ガスを導入する構成とを示す一部を断面とした構成図である。
【図2】裏面ガスの圧力を異ならせAPC制御に基づいて裏面ガスを導入するときの基板温度の経時的変化を示す図である。
【図3】裏面ガスの流量を異ならせ、裏面ガスを導入するときの基板温度の経時的変化を示す図である。
【図4】本実施形態によるガススパイクによって裏面ガスを導入するときの基板温度の経時的変化を説明する図である。
【図5】本実施形態における処理ガスと裏面ガスの流量との関係を説明する図である。
【図6】デガスチャンバにおける本発明の実施形態による裏面ガスの導入方法を説明する図である。
【符号の説明】
11 処理チャンバ
17 基板ホルダ
21 基板
22 誘電体板
23 静電吸着装置
24 加熱機構
25 経路
26 電極
28 ガス導入管
29 マスフローコントローラ
30 隔膜真空計
31 制御部
31a 成膜制御機能部
31b 裏面ガス導入制御部
Claims (3)
- 処理される基板が置かれる加熱機構を有するステージと、このステージ上に置かれた前記基板を固定する固定装置を備える基板保持装置であって、
前記基板の裏面側から所望の基板昇温特性を実現するための基板温度調整ガスを供給するガス供給部と、前記ガス供給部から供給される前記基板温度調整ガスの流量を調整する調整部と、前記調整部による調整動作を制御し、前記基板の固定状態が維持される範囲で前記基板温度調整ガスの流量を制御する制御部と、を備える前記基板保持装置を備えた基板処理装置に用いた基板処理方法であって、
前記基板を前記基板保持装置の前記ステージ上に載置し、該基板の裏面に前記基板温度調整ガスを所定流量で流す工程と、
前記基板を昇温する前記基板温度に応じて、前記基板温度調整ガスの流量を前記所定流量より増大させた後、該基板温度調整ガスの流量が段階的に減少するように時間および圧力を設定する工程と、
前記設定により、前記基板の昇温処理を行う工程と、
を有することを特徴とする基板処理方法。 - 前記基板の昇温処理を行う工程は脱ガス方法であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理方法。
- 前記基板処理装置はスパッタリング装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理方法。
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