JPH08214872A - 光学活性ジオールの製造法 - Google Patents
光学活性ジオールの製造法Info
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- JPH08214872A JPH08214872A JP4784895A JP4784895A JPH08214872A JP H08214872 A JPH08214872 A JP H08214872A JP 4784895 A JP4784895 A JP 4784895A JP 4784895 A JP4784895 A JP 4784895A JP H08214872 A JPH08214872 A JP H08214872A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】一般式〔I〕
【化1】
(式中nは1または2、Rは直鎖または分岐鎖状のC1
〜C11のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、C2〜C
11のアルケニル基、またはヘテロ原子を含んでもよい芳
香族基を示す)で表される環状炭酸エステルを立体選択
的にジオールに変換する能力を有し、該環状炭酸エステ
ルに対し高度の耐性を示す、パラコッカス属に属する菌
を用いる光学活性ジオール類の製造法およびそれに用い
られる菌。 【効果】本発明により、農医薬の中間原料として有用で
ある光学活性ジオール類を経済的に有利に製造すること
ができる。
〜C11のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、C2〜C
11のアルケニル基、またはヘテロ原子を含んでもよい芳
香族基を示す)で表される環状炭酸エステルを立体選択
的にジオールに変換する能力を有し、該環状炭酸エステ
ルに対し高度の耐性を示す、パラコッカス属に属する菌
を用いる光学活性ジオール類の製造法およびそれに用い
られる菌。 【効果】本発明により、農医薬の中間原料として有用で
ある光学活性ジオール類を経済的に有利に製造すること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は環状炭酸エステルを分解
する新規な微生物、およびその微生物を利用する光学活
性ジオールの製造法である。光学活性な1,2−ジオー
ル、1,3−ジオール類およびそれらの置換体は、医薬
・農薬に利用される生理活性化合物の合成中間体、ある
いは液晶等の機能性材料の原料として重要性が高い。
する新規な微生物、およびその微生物を利用する光学活
性ジオールの製造法である。光学活性な1,2−ジオー
ル、1,3−ジオール類およびそれらの置換体は、医薬
・農薬に利用される生理活性化合物の合成中間体、ある
いは液晶等の機能性材料の原料として重要性が高い。
【0002】
【従来の技術および課題】2級水酸基を有する光学活性
ジオール類は、医薬・農薬に利用される光学活性な生理
活性化合物の基幹合成中間体としての利用が検討され
(E. Hungerbuehleret al. Helv. Chim. Acta 64, 146
7(1981))、また強磁性液晶用素材の原料としても期待
されている(特開平2-67252)。そのため経済的に高純
度の該化合物およびその誘導体を製造する方法の確立が
望まれている。光学活性ジオール類の製造法としては、
ジオール類から容易に合成できる環状炭酸エステルを原
料とし、それに酵素類を作用させて製造する方法がある
(特願平6ー87655)。この方法では環状炭酸エステルが
加水分解を受けた際に、エステルの酸部分である炭酸ガ
スが気体として系から除かれ、反応系が単純化されるた
め、簡便で経済的に優れていると考えられる。生成した
ジオール類を水溶液より分離精製する工程においては、
ジオール類を適切な有機溶媒で抽出する等の方法が用い
られるが、この場合ジオール類の濃度が高い方がエネル
ギーおよび溶媒等の消費が少なく、経済的に有利であ
る。これまでに、この不斉合成法に用いることの可能な
数種の微生物が見いだされたが、これらの微生物は基質
に対する耐性が低く、低濃度の環状炭酸エステル水溶液
中でしか使用できなかった。これらを用いて生成された
ジオールは低濃度の水溶液状態であり、従って分離精製
の点で難点があった。またこれらの微生物は反復使用に
対する耐性も低く、経済性に問題があった。
ジオール類は、医薬・農薬に利用される光学活性な生理
活性化合物の基幹合成中間体としての利用が検討され
(E. Hungerbuehleret al. Helv. Chim. Acta 64, 146
7(1981))、また強磁性液晶用素材の原料としても期待
されている(特開平2-67252)。そのため経済的に高純
度の該化合物およびその誘導体を製造する方法の確立が
望まれている。光学活性ジオール類の製造法としては、
ジオール類から容易に合成できる環状炭酸エステルを原
料とし、それに酵素類を作用させて製造する方法がある
(特願平6ー87655)。この方法では環状炭酸エステルが
加水分解を受けた際に、エステルの酸部分である炭酸ガ
スが気体として系から除かれ、反応系が単純化されるた
め、簡便で経済的に優れていると考えられる。生成した
ジオール類を水溶液より分離精製する工程においては、
ジオール類を適切な有機溶媒で抽出する等の方法が用い
られるが、この場合ジオール類の濃度が高い方がエネル
ギーおよび溶媒等の消費が少なく、経済的に有利であ
る。これまでに、この不斉合成法に用いることの可能な
数種の微生物が見いだされたが、これらの微生物は基質
に対する耐性が低く、低濃度の環状炭酸エステル水溶液
中でしか使用できなかった。これらを用いて生成された
ジオールは低濃度の水溶液状態であり、従って分離精製
の点で難点があった。またこれらの微生物は反復使用に
対する耐性も低く、経済性に問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高濃度の
環状炭酸エステルの存在下で光学選択的なジオール類を
生産する微生物を得るために、高濃度(5%)の環状炭
酸エステルを含む培地中で生育することを指標として、
環境中より新菌株の分離を行い、本発明であるパラコッ
カス(Paracoccus)属 NSB2010菌を得た。
環状炭酸エステルの存在下で光学選択的なジオール類を
生産する微生物を得るために、高濃度(5%)の環状炭
酸エステルを含む培地中で生育することを指標として、
環境中より新菌株の分離を行い、本発明であるパラコッ
カス(Paracoccus)属 NSB2010菌を得た。
【0004】本発明は、一般式〔I〕
【化5】 (式中、nは1または2、Rは直鎖または分岐鎖状のC
1〜C11のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、C2〜C
11のアルケニル基、またはヘテロ原子を含んでもよい芳
香族基を示す)で表される環状炭酸エステルのエナンチ
オマー混合物を立体選択的にジオールに変換する能力を
有し、該環状炭酸エステルに対し高度の耐性を示す、パ
ラコッカス(Paracoccus)属に属する微生物の培養液、
該菌体、該菌体処理物または該菌体由来の酵素を用いて
一般式〔I〕
1〜C11のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、C2〜C
11のアルケニル基、またはヘテロ原子を含んでもよい芳
香族基を示す)で表される環状炭酸エステルのエナンチ
オマー混合物を立体選択的にジオールに変換する能力を
有し、該環状炭酸エステルに対し高度の耐性を示す、パ
ラコッカス(Paracoccus)属に属する微生物の培養液、
該菌体、該菌体処理物または該菌体由来の酵素を用いて
一般式〔I〕
【化6】 (式中、nおよびRは前記と同じ意味を表す)で表され
る環状炭酸エステルのエナンチオマー混合物を立体選択
的に加水分解することを特徴とする、一般式〔II〕
る環状炭酸エステルのエナンチオマー混合物を立体選択
的に加水分解することを特徴とする、一般式〔II〕
【化7】RC* H(OH)(CH2)n OH 〔II〕 (式中、nおよびRは前記と同じ意味を表す)で表され
る光学活性ジオール類の製造法であり、そのために用い
られ、該環状炭酸エステルに対し高度の耐性を示すパラ
コッカス(Paracoccus)属新菌 NSB2010菌であ
る。
る光学活性ジオール類の製造法であり、そのために用い
られ、該環状炭酸エステルに対し高度の耐性を示すパラ
コッカス(Paracoccus)属新菌 NSB2010菌であ
る。
【0005】原料となる環状炭酸エステルは文献記載の
方法(J. Org. Chem., 24巻 1873頁(1959))により対
応するジオールから容易に合成できる。この原料化合物
は入手の容易な点でラセミ体(エナンチオマーの等量混
合物)が好ましいがエナンチオマー混合比率は特に限定
されるものではなく、いかなる混合比でもよい。
方法(J. Org. Chem., 24巻 1873頁(1959))により対
応するジオールから容易に合成できる。この原料化合物
は入手の容易な点でラセミ体(エナンチオマーの等量混
合物)が好ましいがエナンチオマー混合比率は特に限定
されるものではなく、いかなる混合比でもよい。
【0006】本発明であるパラコッカス属 NSB20
10菌は、50g/lの4−メチル−1,3−ジオキサ
ン−2−オンを含む寒天培地(グルコース5.0g/
l、酵母エキス5.0g/l、FeSO4・7H2O 0.
01g/l、MnSO4・4〜6H2O 0.01g/
l、MgSO4・7H2O 1.0g/lを含む)上で生
育する微生物として環境中より分離した新菌株である。
10菌は、50g/lの4−メチル−1,3−ジオキサ
ン−2−オンを含む寒天培地(グルコース5.0g/
l、酵母エキス5.0g/l、FeSO4・7H2O 0.
01g/l、MnSO4・4〜6H2O 0.01g/
l、MgSO4・7H2O 1.0g/lを含む)上で生
育する微生物として環境中より分離した新菌株である。
【0007】パラコッカス属 NSB2010菌の菌学
的性質を以下に示す。
的性質を以下に示す。
【表1】 細菌の形および大きさ: 球菌、直径0.7〜1.0μm グラム染色性 : 陰性 運動性 : 無 硝酸塩の還元 : + 亜硝酸塩の還元 : + 脱窒反応 : − 色素の生成 : +(微弱な蛍光色素を生成することがある) ゼラチンの液化 : 20℃で液化する オキシダーゼ : + カタラーゼ : + ウレアーゼ : − 生育の範囲 : 温度 5〜37℃で生育する pH pH5.1〜9.0で生育する 食塩濃度 0〜6.0%で生育する 酸素に対する態度 : 好気的 O−Fテスト : − DNAのGC含量 : 71% 無機窒素の利用 : 硝酸塩、アンモニウム塩を利用可能 炭素化合物の資化性 : メタノール、メチルアミンを資化する
【0008】以上の菌学的性質をバージーズ マニュア
ル オブ システマティック バクテリオロジー(Berg
ey's Manual of Systematic Bacteriology)に基づいて
検索した結果、本菌はパラコッカス(Paracoccus)属に
該当する新菌と判断された。本菌は、4−メチル−1,
3−ジオキサン−2−オンに作用して、対応する(R)−
1,3−ブタンジオールに変換する能力を持つ。そこで
本発明者らは、本菌をパラコッカス(Paracoccus sp.)N
SB2010菌と命名し、工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託した(FERM P-14751)。
ル オブ システマティック バクテリオロジー(Berg
ey's Manual of Systematic Bacteriology)に基づいて
検索した結果、本菌はパラコッカス(Paracoccus)属に
該当する新菌と判断された。本菌は、4−メチル−1,
3−ジオキサン−2−オンに作用して、対応する(R)−
1,3−ブタンジオールに変換する能力を持つ。そこで
本発明者らは、本菌をパラコッカス(Paracoccus sp.)N
SB2010菌と命名し、工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託した(FERM P-14751)。
【0009】本発明の菌の培養のために用いられる培地
は、微生物が資化しうる炭素源、窒素源、無機イオン、
さらに必要ならば有機栄養源を含む通常の培地である。
炭素源としては、グルコース等の炭水化物、エタノール
等のアルコール類、有機酸、その他が適宜使用される。
窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩,アミノ酸そ
の他が用いられる。無機イオンとしては、カルシウムイ
オン、マグネシウムイオン、鉄イオン、その他が必要に
応じ使用される。有機栄養源としては、ビタミン、アミ
ノ酸等およびこれらを含有するコーンスティープリカ
ー、酵母エキス、ポリペプトン、肉エキス、その他が適
宜用いられる。培養は好気的条件下に、pH6ないし
8、温度25ないし37℃の適当な範囲に制御しつつ行
えばよい。本発明の菌を用いての環状炭酸エステルから
のジオール類の製造において、環状炭酸エステルに微生
物を作用させる方法は、環状炭酸エステルを含む培地中
で微生物を培養してもよいし、菌体または菌体処理物を
水溶液中で環状炭酸エステルに接触させてもよい。微生
物を培養することにより環状炭酸エステルをジオールに
変換させる方法としては、培養当初より環状炭酸エステ
ルを含む培地を用いてもよいし、また培養途中に環状炭
酸エステルを培地に添加してもよい。環状炭酸エステル
の濃度を0.1〜50%、好ましくは5〜30%とし
て、上記の方法により1ないし10日間培養を行うこと
により、高濃度の光学活性ジオールが生成蓄積される。
一方、微生物の菌体または菌体処理物を水溶液中にて環
状炭酸エステルと接触させて作用させる場合には、上記
の方法により6ないし48時間程度培養を行い、微生物
を十分増殖させることにより菌体を得る。菌体の使用法
としては、菌体を含む培養液をそのまま使用してもよい
し、また菌体を培養液より分離回収したのち洗浄しても
よいし、洗浄せずに使用してもよい。菌体処理物として
は、機械的破砕菌体、超音波で処理した菌体、凍結融解
を施した菌体、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、リゾ
チーム等の酵素で処理した菌体、界面活性剤やトルエン
等で処理した菌体、菌体の蛋白画分、菌体より精製した
酵素、その他が適宜用いられる。反応法としては、菌体
培養液、もしくは菌体または菌体の処理物を溶解または
懸濁した水溶液に環状炭酸エステルを添加し、温度5〜
40℃、好ましくは10〜30℃、pH4〜11、好ま
しくは5〜7に保ちつつ静置または攪拌すればよい。こ
の際適切な緩衝液を用いるのが望ましい。環状炭酸エス
テルの濃度は0.1〜50%、好ましくは5〜30%で
あり、必要ならば環状炭酸エステルは反応の間追補添加
される。この方法により1ないし24時間で、水溶液中
には高濃度の光学活性ジオールが生成蓄積される。また
菌体を使用する場合、反応後に菌体を分離回収し、水ま
たは適当な緩衝液で洗浄した後、再度同条件での反応に
用いることができる。菌体を反復使用すれば経済的に有
利である。以上の方法により生成された光学活性ジオー
ルは、適当な有機溶媒にて抽出し分別蒸留する等の方法
により分離精製することができる。本発明により得られ
るジオール水溶液は高濃度であるから、エネルギーおよ
び溶媒等の消費量を少なくして高効率でジオールを得る
ことができる。かくして多量の光学活性ジオールを経済
的に有利に製造することができる。
は、微生物が資化しうる炭素源、窒素源、無機イオン、
さらに必要ならば有機栄養源を含む通常の培地である。
炭素源としては、グルコース等の炭水化物、エタノール
等のアルコール類、有機酸、その他が適宜使用される。
窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩,アミノ酸そ
の他が用いられる。無機イオンとしては、カルシウムイ
オン、マグネシウムイオン、鉄イオン、その他が必要に
応じ使用される。有機栄養源としては、ビタミン、アミ
ノ酸等およびこれらを含有するコーンスティープリカ
ー、酵母エキス、ポリペプトン、肉エキス、その他が適
宜用いられる。培養は好気的条件下に、pH6ないし
8、温度25ないし37℃の適当な範囲に制御しつつ行
えばよい。本発明の菌を用いての環状炭酸エステルから
のジオール類の製造において、環状炭酸エステルに微生
物を作用させる方法は、環状炭酸エステルを含む培地中
で微生物を培養してもよいし、菌体または菌体処理物を
水溶液中で環状炭酸エステルに接触させてもよい。微生
物を培養することにより環状炭酸エステルをジオールに
変換させる方法としては、培養当初より環状炭酸エステ
ルを含む培地を用いてもよいし、また培養途中に環状炭
酸エステルを培地に添加してもよい。環状炭酸エステル
の濃度を0.1〜50%、好ましくは5〜30%とし
て、上記の方法により1ないし10日間培養を行うこと
により、高濃度の光学活性ジオールが生成蓄積される。
一方、微生物の菌体または菌体処理物を水溶液中にて環
状炭酸エステルと接触させて作用させる場合には、上記
の方法により6ないし48時間程度培養を行い、微生物
を十分増殖させることにより菌体を得る。菌体の使用法
としては、菌体を含む培養液をそのまま使用してもよい
し、また菌体を培養液より分離回収したのち洗浄しても
よいし、洗浄せずに使用してもよい。菌体処理物として
は、機械的破砕菌体、超音波で処理した菌体、凍結融解
を施した菌体、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、リゾ
チーム等の酵素で処理した菌体、界面活性剤やトルエン
等で処理した菌体、菌体の蛋白画分、菌体より精製した
酵素、その他が適宜用いられる。反応法としては、菌体
培養液、もしくは菌体または菌体の処理物を溶解または
懸濁した水溶液に環状炭酸エステルを添加し、温度5〜
40℃、好ましくは10〜30℃、pH4〜11、好ま
しくは5〜7に保ちつつ静置または攪拌すればよい。こ
の際適切な緩衝液を用いるのが望ましい。環状炭酸エス
テルの濃度は0.1〜50%、好ましくは5〜30%で
あり、必要ならば環状炭酸エステルは反応の間追補添加
される。この方法により1ないし24時間で、水溶液中
には高濃度の光学活性ジオールが生成蓄積される。また
菌体を使用する場合、反応後に菌体を分離回収し、水ま
たは適当な緩衝液で洗浄した後、再度同条件での反応に
用いることができる。菌体を反復使用すれば経済的に有
利である。以上の方法により生成された光学活性ジオー
ルは、適当な有機溶媒にて抽出し分別蒸留する等の方法
により分離精製することができる。本発明により得られ
るジオール水溶液は高濃度であるから、エネルギーおよ
び溶媒等の消費量を少なくして高効率でジオールを得る
ことができる。かくして多量の光学活性ジオールを経済
的に有利に製造することができる。
【0010】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
述べる。
述べる。
【0011】実施例1 グルコース25g/l、コーンスティープリカー15g
/l、FeSO4・7H2O1.0g/l、 MnSO4・
4〜6H2O1.0g/l、 MgSO4・7H2O 10
g/l、CaCl2 10g/lを含む培地100mlを
500ml容バッフル付き三角フラスコに入れ、121
℃で15分間滅菌した。これに上記組成寒天培地で30
℃にて一晩培養したパラコッカス属 NSB2010菌
(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号FERM P-1
4751)を1白金耳接種し、30℃で20時間振盪培養し
た。この培養液中より菌体を遠心分離により採取し、水
で1回洗浄し、菌体を集めた。この菌体(湿菌体量0.
10g相当)を、4−メチル−1,3−ジオキサン−2
−オン82mgを含む50mM2-モルホリノエタンス
ルホン酸緩衝液(pH5.5)1.0mlに添加して20
℃、20時間振盪し反応を行った。反応終了後、遠心分
離により菌体を除いた。高速液体クロマトグラフ法(屈
折率検出器)により21.0mgの1,3−ブタンジオ
ールの生成を確認した(収率32.0%)。生成した
1,3−ブタンジオールはR体であった(旋光度検出器
による測定で光学純度95%ee)。得られた水溶液
1.0mlに塩化ナトリウム0.35gを溶解し、トルエ
ン2.5mlで2回抽出し4−メチル−1,3−ジオキ
サン−2−オンを除いた後、酢酸エチル2.5mlで2
回抽出し純度95%の(R)−1,3−ブタンジオール2
0.0mg(光学純度95%ee)を得た。
/l、FeSO4・7H2O1.0g/l、 MnSO4・
4〜6H2O1.0g/l、 MgSO4・7H2O 10
g/l、CaCl2 10g/lを含む培地100mlを
500ml容バッフル付き三角フラスコに入れ、121
℃で15分間滅菌した。これに上記組成寒天培地で30
℃にて一晩培養したパラコッカス属 NSB2010菌
(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号FERM P-1
4751)を1白金耳接種し、30℃で20時間振盪培養し
た。この培養液中より菌体を遠心分離により採取し、水
で1回洗浄し、菌体を集めた。この菌体(湿菌体量0.
10g相当)を、4−メチル−1,3−ジオキサン−2
−オン82mgを含む50mM2-モルホリノエタンス
ルホン酸緩衝液(pH5.5)1.0mlに添加して20
℃、20時間振盪し反応を行った。反応終了後、遠心分
離により菌体を除いた。高速液体クロマトグラフ法(屈
折率検出器)により21.0mgの1,3−ブタンジオ
ールの生成を確認した(収率32.0%)。生成した
1,3−ブタンジオールはR体であった(旋光度検出器
による測定で光学純度95%ee)。得られた水溶液
1.0mlに塩化ナトリウム0.35gを溶解し、トルエ
ン2.5mlで2回抽出し4−メチル−1,3−ジオキ
サン−2−オンを除いた後、酢酸エチル2.5mlで2
回抽出し純度95%の(R)−1,3−ブタンジオール2
0.0mg(光学純度95%ee)を得た。
【0012】実施例2 実施例1の方法により得たパラコッカス属 NSB20
10菌の菌体(湿菌体量0.10g相当)を、4−メチ
ル−1,3−ジオキサン−2−オン82mgを含む50
mM2-モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(pH5.
5)1.0mlに添加し、更にエタノール50mgを添
加して、20℃、20時間振盪し反応を行った。反応終
了後、遠心分離により菌体を除いた。高速液体クロマト
グラフ法(屈折率検出器)により29.6mgの1,3
−ブタンジオールの生成を確認した(収率45.0
%)。生成した1,3−ブタンジオールはR体であった
(旋光度検出器による測定で光学純度96%ee)。得
られた水溶液1.0mlから実施例1の方法により純度
97%の(R)−1,3−ブタンジオール28.1mg
(光学純度96%ee)を得た。
10菌の菌体(湿菌体量0.10g相当)を、4−メチ
ル−1,3−ジオキサン−2−オン82mgを含む50
mM2-モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(pH5.
5)1.0mlに添加し、更にエタノール50mgを添
加して、20℃、20時間振盪し反応を行った。反応終
了後、遠心分離により菌体を除いた。高速液体クロマト
グラフ法(屈折率検出器)により29.6mgの1,3
−ブタンジオールの生成を確認した(収率45.0
%)。生成した1,3−ブタンジオールはR体であった
(旋光度検出器による測定で光学純度96%ee)。得
られた水溶液1.0mlから実施例1の方法により純度
97%の(R)−1,3−ブタンジオール28.1mg
(光学純度96%ee)を得た。
【0013】実験例3 実施例1の方法により得たパラコッカス属 NSB20
10菌の菌体(湿菌体量41g相当)を、4−メチル−
1,3−ジオキサン−2−オン33gを含む25mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)400mlに添加
し、小型ジャーファーメンターを用いて攪拌(200回
転/分)・通気(2 l/分)しながら20℃に調節し
て20時間、反応を行った。反応終了後、遠心分離によ
り菌体と水溶液を分離した。菌体を水で1回洗浄し再び
上記と同じ反応に供した。この反応を4回反復した。こ
の反復反応で生成した(R)−1,3−ブタンジオールの
収率と光学純度を第1表に示す。4回の反復による収率
の実質的低下はみられなかった。得られた水溶液全16
00mlから実施例1の方法により純度97%の(R)−
1,3−ブタンジオール全44g(光学純度91%e
e)を得た。
10菌の菌体(湿菌体量41g相当)を、4−メチル−
1,3−ジオキサン−2−オン33gを含む25mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)400mlに添加
し、小型ジャーファーメンターを用いて攪拌(200回
転/分)・通気(2 l/分)しながら20℃に調節し
て20時間、反応を行った。反応終了後、遠心分離によ
り菌体と水溶液を分離した。菌体を水で1回洗浄し再び
上記と同じ反応に供した。この反応を4回反復した。こ
の反復反応で生成した(R)−1,3−ブタンジオールの
収率と光学純度を第1表に示す。4回の反復による収率
の実質的低下はみられなかった。得られた水溶液全16
00mlから実施例1の方法により純度97%の(R)−
1,3−ブタンジオール全44g(光学純度91%e
e)を得た。
【0014】
【表2】 第 1 表 反復反応結果 ─────────────────────────── 反復回数 収率(%) 光学純度(%) ─────────────────────────── 1 49.4 91 2 44.3 91 3 46.0 91 4 43.7 92 ───────────────────────────
【0015】実施例4 実施例1の方法により得たパラコッカス属 NSB20
10菌菌体(湿菌体6.23g相当)を25mM2-モル
ホリノエタンスルホン酸緩衝液(pH6.0)20ml
に懸濁し超音波破砕装置(クボタ製インソネーター20
0M)を用いて氷温下100Wで48分間処理し、遠心
して上清を回収した。上清0.1mlに4−メチル−
1,3−ジオキサン−2−オン3.5mgを加え、30
℃で1時間保温した。その結果、1,3−ブタンジオー
ル0.68mg(収率25%)を得た。これはR体であ
った(旋光度検出器による測定で光学純度92%e
e)。
10菌菌体(湿菌体6.23g相当)を25mM2-モル
ホリノエタンスルホン酸緩衝液(pH6.0)20ml
に懸濁し超音波破砕装置(クボタ製インソネーター20
0M)を用いて氷温下100Wで48分間処理し、遠心
して上清を回収した。上清0.1mlに4−メチル−
1,3−ジオキサン−2−オン3.5mgを加え、30
℃で1時間保温した。その結果、1,3−ブタンジオー
ル0.68mg(収率25%)を得た。これはR体であ
った(旋光度検出器による測定で光学純度92%e
e)。
【0016】実施例5 実施例4の遠心上清20mlに硫安を添加して25%飽
和とし、遠心分離により沈澱を除いた。上清にさらに硫
安を添加して50%飽和とし、遠心分離により沈澱を回
収した。沈澱を2mlの上記緩衝液で抽出し、抽出液に
塩化カルシウム(最終濃度5mM)を添加した。この溶
液0.1mlに4−メチル−1,3−ジオキサン−2−
オン3.5mgを加え、30℃で1時間保温した。その
結果、1,3−ブタンジオール0.87mg(収率32
%)を得た。これはR体であった(旋光度検出器による
測定で光学純度94%ee)。
和とし、遠心分離により沈澱を除いた。上清にさらに硫
安を添加して50%飽和とし、遠心分離により沈澱を回
収した。沈澱を2mlの上記緩衝液で抽出し、抽出液に
塩化カルシウム(最終濃度5mM)を添加した。この溶
液0.1mlに4−メチル−1,3−ジオキサン−2−
オン3.5mgを加え、30℃で1時間保温した。その
結果、1,3−ブタンジオール0.87mg(収率32
%)を得た。これはR体であった(旋光度検出器による
測定で光学純度94%ee)。
【0017】
【発明の効果】本発明により、農医薬の中間原料として
有用である光学活性ジオール類を経済的に有利に製造す
ることができる。
有用である光学活性ジオール類を経済的に有利に製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01) (72)発明者 児嶋 高和 神奈川県小田原市高田345 日本曹達株式 会社小田原研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】一般式〔I〕 【化1】 (式中、nは1または2、Rは直鎖または分岐鎖状のC
1〜C11のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、C2〜C
11のアルケニル基、またはヘテロ原子を含んでもよい芳
香族基を示す)で表される環状炭酸エステルのエナンチ
オマー混合物を立体選択的にジオールに変換する能力を
有し、該環状炭酸エステルに対し高度の耐性を示す、パ
ラコッカス(Paracoccus)属に属する微生物の培養液、
該菌体、該菌体処理物または該菌体由来の酵素を用いて
一般式〔I〕 【化2】 (式中、nおよびRは前記と同じ意味を表す)で表され
る環状炭酸エステルのエナンチオマー混合物を立体選択
的に加水分解することを特徴とする、一般式〔II〕 【化3】RC* H(OH)(CH2)n OH 〔II〕 (式中、nおよびRは前記と同じ意味を表す)で表され
る光学活性ジオール類の製造法。 - 【請求項2】パラコッカス(Paracoccus)属に属し、一
般式〔I〕 【化4】 (式中、nおよびRは前記と同じ意味を表す)で表され
る環状炭酸エステルを加水分解する能力を有するNSB
2010菌。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4784895A JPH08214872A (ja) | 1995-02-13 | 1995-02-13 | 光学活性ジオールの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4784895A JPH08214872A (ja) | 1995-02-13 | 1995-02-13 | 光学活性ジオールの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08214872A true JPH08214872A (ja) | 1996-08-27 |
Family
ID=12786792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4784895A Pending JPH08214872A (ja) | 1995-02-13 | 1995-02-13 | 光学活性ジオールの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08214872A (ja) |
-
1995
- 1995-02-13 JP JP4784895A patent/JPH08214872A/ja active Pending
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