JPH0821475A - 空気ばね - Google Patents

空気ばね

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JPH0821475A
JPH0821475A JP15597094A JP15597094A JPH0821475A JP H0821475 A JPH0821475 A JP H0821475A JP 15597094 A JP15597094 A JP 15597094A JP 15597094 A JP15597094 A JP 15597094A JP H0821475 A JPH0821475 A JP H0821475A
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秀樹 北田
Kenjiro Kamibayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軌道カーブ点での車両高速化に対応できる左
右方向反力の非線形特性に優れた空気ばねを提供する。 【構成】 積層ゴム1を併用した空気ばねにおいて、ダ
イヤフラム4の接触時にダイヤフラムの空気反力を増大
させる対向一対のカバー9を付加し、積層ゴム1の部分
の水平方向ばね定数をダイヤフラム4部の同方向ばね定
数の2倍以上にし、さらに、積層ゴムの各ゴム層2の水
平方向ばね定数を下層側から上層側に向かって順次小さ
くする。これにより、水平変位が無理なく抑制され、ま
た、ゴムの剛性低下を招く積層ゴム上面の水平変位によ
る傾きも抑制され、好ましい非線形効果が生まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両等に利用する
空気ばね、特に、水平方向のばね定数に非線形特性を持
たせて台車と車両台枠が水平方向(左右方向)に相対移
動するときの緩衝効果並びに相対移動そのものの抑制効
果を高めた空気ばねに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、電車においては、車体の上下振
動を空気ばねを用いて減衰させることが行われている。
この空気ばねは、垂直方向にはばね定数の非線形特性を
持ち、優れた振動吸収能を発揮するが、水平方向ばね定
数は線形に近く、台車と車両台枠の水平方向相対移動を
止める力が弱い。このため、在来軌道をそのままにして
車両の高速化を図ろうとすると、カーブ点通過時にカン
ト不足による超過遠心力が働いて台車と車両台枠間の水
平(左右)方向相対移動量が大きくなり、車体の大きな
横揺れ、左右動ストッパに対する台枠の衝突が生じて乗
心地が著しく悪化する。
【0003】そこで、フランスのTGV等では、空気ば
ねの両側に壁を設け、この壁で水平方向ばね定数に非線
形特性を持たせる方法を採っている。この構造では、水
平方向相対移動が一定量を越えると空気ばねのダイヤフ
ラムが壁に当たり、ダイヤフラムの空気反力が増して水
平方向ばね定数が高まる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤフラムの両側に
壁を設けて水平方向のばね定数に非線形特性を与える上
記の方法は、ダイヤフラムが壁に当たるまでは水平方向
変位量に対する反力の増加が少なく、比較的小さな力で
空気ばねが大きく変位する。特に、積層ゴムを併用して
いるボルスターレス台車用の空気ばね(これは積層ゴム
の上部にダイヤフラムを取付けてある)は、積層ゴムの
変形で水平方向変位の許容値を広げるようにしているの
でその変位が大きくなる。これに対し、車両の左右動ス
トッパ隙間は車両設計上の理由から一般には20〜30
mm程度に制限され、従って、従来の空気ばねでは、ダイ
ヤフラムが壁に当たり充分な反力が得られる前に左右動
ストッパが作用し、乗り心地が悪くなるケースが多くな
る。
【0005】また、積層ゴムを併用した空気ばねは、水
平方向変位により積層ゴムの上面がその面に止着される
ダイヤフラムの下面板と共に傾斜し、変位量が大きいほ
どその傾斜がきつくなるため水平方向変位による空気ば
ね全体の剛性低下が著しく、顕著な非線形化効果が得ら
れない。
【0006】さらに、ダイヤフラムと壁との接触による
ダイヤフラム摩耗が生じ易く、耐久性にも問題がある。
【0007】なお、水平方向変位の抑制策として空気ば
ねの水平方向ばね定数を高めると壁に対する左右動スト
ッパの衝突を減らすことができるが、この方法を採ると
直線走行時のクッション効果が低下して乗り心地が悪化
する。
【0008】そこで、本発明は、積層ゴムを併用した空
気ばねを改善の対象としてこのばねの水平方向ばね定数
に優れた非線形特性を与えられるようにすることを第1
の課題としている。また、ダイヤフラム摩耗を抑制する
こと及び、カバー併用時と同等の効果をダイヤフラム摩
耗を生じさせない別の構造によって得ることを第2、第
3の課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
るため、本発明においては、ダイヤフラム外周を180
°反対位置で同心的に覆ってダイヤフラム接触時にダイ
ヤフラムの空気反力を増大させる平面視円弧状のカバー
を付加し、積層ゴム部のばね定数を積層ゴムの上部に取
付けられるダイヤフラム部の水平方向ばね定数の2倍以
上とし、さらに、積層ゴムの各層の水平方向ばね定数を
下層側から上層側にむかって順次小さくする構成を採用
したのである。
【0010】かかる構成の空気ばねは、使用するカバー
の大きさをダイヤフラムの周長のほぼ1/9〜1/6に
対応するサイズとし、より好ましくは当該カバーのダイ
ヤフラム接触面も低摩擦係数の材料で形成すると、ダイ
ヤフラム摩耗の抑制も図れる。
【0011】また、前述の空気ばねに、前記のカバーに
代わるものとして、中心に長孔を有するストッパフラン
ジと、先端径を前記長孔の孔幅よりも少し小さくしてあ
るストッパを付加し、前記ストッパフランジを積層ゴム
の上面に止着されるダイヤフラムの下面板に、積層ゴム
の軸心部に同心配置する前記ストッパを積層ゴム下端の
プレートに各々固定し、前記ストッパフランジの長孔に
ストッパ先端を挿入する構成にすれば、ダイヤフラム摩
耗を招かずに優れた非線形化効果を得ることができる。
【0012】このストッパフランジとストッパ及び前述
のカバーを併用すれば、非線形化の効果は更に高まる。
【0013】
【作用】積層ゴムを併用した空気ばねは、水平方向に変
位すると基本的には積層ゴム部及び空気ばねの本体部で
あるダイヤフラム部がそれぞれのばね定数値に反比例し
て水平変位の総量を分担することになる。
【0014】このとき、ダイヤフラム部の水平方向ばね
定数に対し、積層ゴム部の同方向ばね定数が充分に確保
されていないと積層ゴムの変位が大きくなり、これによ
り、ダイヤフラムと壁が接触するまでの空気ばねのトー
タル変位も大きくなる。図2(a)は、ダイヤフラムを
壁に当てて空気反力を増加させる空気ばねの特性(水平
変位に対する反力増加)を示したもので、非線形効果が
生じるまでの水平変位量Lが大きい。従って、限られた
水平変位では非線形効果が生じる前に左右動ストッパが
作用してショックを感じる。また、先に述べたように、
空気ばねの水平方向ばね定数を高めて水平変位量を小さ
くする方法を採ると直線走行時の乗り心地が犠牲にな
る。
【0015】本発明では、かかる不具合を無くすため
に、積層ゴムとダイヤフラム部の水平方向ばね定数につ
いて、前者のそれを後者の値の2倍以上に定めた。これ
により、積層ゴムの変位負担が減り、図2(b)に示す
ように、非線形効果が生じるまでの水平変位量L1 が小
さくなる。
【0016】また、水平変位により積層ゴムが傾くと座
屈するような状態になって積層ゴムの剛性が大きく低下
し(この現象は、壁となるカバーを設置すると上面にこ
じり力が働くのでより著しい)、非線形効果が減じられ
るので、このための対策として積層ゴムの各層の水平方
向ばね定数に差をつける方法を採った。各層のゴムの水
平方向ばね定数を下層側から上層側に向かって順次小さ
くすると、各層のこじりばね定数が上層から下層に向か
って順次小さくなるので、水平方向の変形によって生じ
るこじりモーメントで各層に生じる歪(又は応力)が均
一化され、積層ゴムの傾きが小さくなる。従って、この
傾きによるゴムの剛性低下が少なく、非線形効果が維持
される。
【0017】次に、ダイヤフラムを受け止めるカバーを
備えた空気ばねは、ダイヤフラムがカバーに当たると空
気反力が増大するので(円弧状のカバーは接触面が大き
くなるので反力の増加が顕著)より望ましい非線形特性
を持たせ得るが、ダイヤフラムがカバーに接触して摩耗
するので、一般の空気ばねに比べて短寿命になる。この
ため、必要に応じ、その問題の改善策として、カバーの
ダイヤフラム接触面を低摩擦係数の材料で形成し、接触
摩耗を減少させる。また、場合によってはカバーの大き
さも特定する。円弧状のカバーの場合、大き過ぎると空
気ばねがカバーによる水平変位の抑制方向と直角方向
(前後方向)に作動する際にダイヤフラムとカバーの接
触摩耗が増えることを実験で確認した。そこで、非線形
効果と耐久性の双方を満足できるカバーの大きさについ
て検討したところ、ダイヤフラム周長の1/9〜1/6
に対応するサイズが最良であった。
【0018】カバーの代わりに、ストッパフランジとス
トッパを付加した空気ばねは、ストッパフランジの水平
変位量がストッパフランジの長孔の融通範囲に制限さ
れ、この制限位置で積層ゴムの変位変形が止まる。従っ
て、この場合には、カバー無しで非線形効果をより良い
ものにすることができ、また、カバーが不要であるの
で、カバーとの接触によるダイヤフラム摩耗も無くする
ことができる。
【0019】なお、このストッパフランジとストッパ
を、カバー9を有する図1の空気ばねに付加した構成に
すると非線形化の効果がより顕著に引き出される。
【0020】
【実施例】図1に、本発明の空気ばねの一実施例を示
す。図の1は数層のゴム層2と挾みプレート3を交互に
重ねて一体化した積層ゴム、4は積層ゴムの上部に取付
けたダイヤフラムである。ダイヤフラム4は、空気孔付
きの連結軸5aを中心に有する傘型の外筒5に空気で膨
らませる筒状ゴム6の上端を気密に取付け、さらに、筒
状ゴム6の下端に下面板7を一体的に取付けた構成にし
て前記下面板7をボルトナット8で積層ゴム1の上端に
止着してある。
【0021】積層ゴム1は中空構造とし、最下段の挾み
プレート3には空気孔の付いた連結軸3aを設けてあ
る。また、下面板7にはダイヤフラムの空気室を積層ゴ
ムの内部空洞を介して連結軸3aの空気孔に連通させる
孔7aをあけてある。
【0022】この積層ゴム1は、水平方向のばね定数を
ダイヤフラム部の同方向ばね定数の2倍以上にしてあ
り、また、ここでは、各ゴム層2の硬さに差を付けてゴ
ムの剪断弾性率を上層側(ダイヤフラムを取付ける側)
から下層側に向けて順次小さくしてある。ゴムの硬さ
は、カーボン混入量を変えるなどして自由に調整し得
る。この剪断弾性率の差で上側のゴム層ほど水平方向ば
ね定数が小さくなってこじりばね定数が下層側に行くに
従って小さくなっている。
【0023】水平方向ばね定数に差を付けるのは、ゴム
の硬さを変える以外に、例えば、ゴム層2の厚さ(高
さ)を上層から下層に向かって小さくする、或いはゴム
層2の外径を上層から下層に向かって大きくすると言っ
た方法でも行い得る。また、これ等の方法を組合わせて
水平方向ばね定数に差をつけることも可能である。
【0024】積層ゴム1をこのように構成すると、直線
走行時の乗り心地を犠牲にせずに空気ばねの水平変位と
積層ゴム上面の傾きを抑制でき、好ましい非線形特性を
与え得る。
【0025】次に、例示の空気ばねは、ダイヤフラム外
周を180°反対位置で同心的に覆う平面視円弧状のカ
バー9を外筒5に取付けて設けてある。空気ばねの水平
変位が一定量に達すると筒状ゴム6がこのカバー9に接
してダイヤフラムの空気圧力が増大する。従って、この
構造では衝撃を伴わずに水平変位量をより小さくするこ
とができる。
【0026】10はカバー9の内面に取付けた低摩擦係
数のシートである。ダイヤフラムの筒状ゴム6はフッ素
樹脂、ポリエチレン等で形成されたこのシート10に接
触し、そのために接触摩耗が少なくなる。
【0027】カバー9は、空気ばねの中心を基準にした
開き角α(図1(b)参照)が40°〜60°になる大
きさ(これはダイヤフラム周長の1/9〜1/6に対応
する)にしてあり、そのため、目的とする非線形効果が
充分に発揮され、同時に、図1(b)の矢印方向(車輌
の前後方向)に空気ばねが作動したときのカバー9に対
する筒状ゴム6の接触摩耗も抑制される。
【0028】なお、11は筒状ゴム6の積層ゴム1との
接触部を保護するゴム座、12は筒状ゴム6の外筒5と
の接触部を保護するゴム層である。
【0029】図3は、本発明の第2実施例である。この
空気ばねには、図1に示す空気ばねのカバー9に代え
て、水平変位の抑制手段として働くストッパフランジ1
3と空気孔を有する筒状のストッパ14を付加してあ
る。ストッパフランジ13は、ダイヤフラムの下面板7
に止着されるもので、その中心に長孔13aを有してい
る。一方、ストッパ14は、積層ゴム1の最下段の挾み
プレート3で支持して積層ゴムの軸心部に同心配置さ
れ、長孔13aの孔幅よりも少し小径にした先端を長孔
13aに挿入している(図3(b)参照)。これによ
り、ストッパフランジ13の水平変位が一方向に制限さ
れ、また、その一方向の水平変位量も長孔13aの融通
の範囲に制限される。従って、積層ゴム1の変位に上限
が生じ、空気ばねのトータル変位が小さくなるほか、積
層ゴム上面の水平変位による傾きも小さくなる。
【0030】なお、この第2実施例の空気ばねも積層ゴ
ム1の水平方向ばね定数はダイヤフラム部のそれの2倍
以上とするのが望ましいが、その比率は図1の空気ばね
に比べると少し小さくしてもよい。積層ゴム1の各層の
水平方向ばね定数に差を付ける点に関しては、図1の空
気ばねと同様にする。また、ここでは図1のカバー9を
省いた構成にしたが、カバー9をもつものに図3の構成
を付加してもよい。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の空気ばね
は、直線走行時の乗り心地を悪化させずに、つまり、空
気ばね全体の水平方向ばね定数を高めずに小さな左右変
位で好ましい非線形効果を生じさせることが可能であ
り、在来軌道での車両高速化に対する対応が容易にな
る。即ち、車両、台車の改造を行わずに横揺れや横変位
時の衝撃等を減少させてカーブ点を含む軌道全域での乗
り心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):本発明の空気ばねの一例を示す断面図 (b):同上の空気ばねの平面図
【図2】(a):従来の空気ばねの特性を示す図 (b):本発明の空気ばねの特性を示す図
【図3】(a):他の実施例の断面図 (b):ストッパフランジとストッパの係合部を示す斜
視図
【符号の説明】
1 積層ゴム 2 ゴム層 3 挾みプレート 4 ダイヤフラム 5 外筒 6 筒状ゴム 7 下面板 8 ボルトナット 9 カバー 10 低摩擦係数のシート 11 ゴム座 12 保護用のゴム層 13 ストッパフランジ 13a 長孔 14 ストッパ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気で膨らませるダイヤフラムを積層ゴ
    ムの上部に取付けて構成される空気ばねにおいて、ダイ
    ヤフラム外周を180°反対位置で同心的に覆ってダイ
    ヤフラム接触時にダイヤフラムの空気反力を増大させる
    平面視円弧状のカバーを付加し、前記積層ゴム部の水平
    方向ばね定数をダイヤフラム部の水平方向ばね定数の2
    倍以上とし、さらに、積層ゴムの各層の水平方向ばね定
    数を下層側から上層側に向かって順次小さくしたことを
    特徴とする空気ばね。
  2. 【請求項2】 前記カバーの大きさをダイヤフラムの周
    長のほぼ1/9〜1/6に対応するサイズにした請求項
    1記載の空気ばね。
  3. 【請求項3】 前記カバーのダイヤフラム接触面を低摩
    擦係数の材料で形成した請求項1又は2記載の空気ば
    ね。
  4. 【請求項4】 空気で膨らませるダイヤフラムを積層ゴ
    ムの上部に取付けて構成される空気ばねにおいて、中心
    に長孔を有するストッパフランジと、先端径を前記長孔
    の孔幅よりも少し小さくしてあるストッパを付加し、前
    記積層ゴム部の水平方向ばね定数をダイヤフラム部の水
    平方向ばね定数よりも大とし、さらに積層ゴムの各層の
    水平方向ばね定数を下層側から上層側に向かって順次小
    さくし、前記ストッパフランジを積層ゴムの上面に止着
    されるダイヤフラムの下面板に、積層ゴムの軸心部に同
    心配置する前記ストッパを積層ゴム下端のプレートに各
    々固定し、前記ストッパフランジの長孔にストッパ先端
    を挿入してある空気ばね。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の空気ばねに更に、中心に
    長孔を有するストッパフランジと、先端径を前記長孔の
    孔幅よりも少し小さくしてあるストッパを付加し、前記
    ストッパフランジを積層ゴムの上面に止着されるダイヤ
    フラムの下面板に、積層ゴムの軸心部に同心配置する前
    記ストッパを積層ゴム下端のプレートに各々固定し、前
    記ストッパフランジの長孔にストッパ先端を挿入してあ
    る空気ばね。
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