JPH08209269A - 伸び特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合金、及びその製造方法 - Google Patents
伸び特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合金、及びその製造方法Info
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Abstract
下を招かないで屈曲性、伸び特性、引張強さを向上して
機械的衝撃に対し高強度を保ち、圧着端子部における屈
曲による断線を減少させた導電用高力銅合金を安価に製
造できるようにする。 【構成】 Mgを0.05〜0.25wt%、Snを
0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
%、Inを0.02〜0.2wt%、Mnを0.05〜
0.15wt%含有し、残部が基本的に銅によって構成
し、前記MgとSnの含有比を(1):(1.0以上)
にする。
Description
例えば自動車用電線の導体等として用いた場合に適した
屈曲性、伸び特性を有する導電用高力銅合金に関する。
しては軟銅線が主として用いられてきたが、各種計器類
等の車載装置について電子化が図られ、自動車内におけ
る電気、電子配線回路の数が著しく増加し、自動車用電
線による自動車内における占積空間の増加、自動車総重
量の増加を招いている。しかし、自動車の車体は、燃費
の向上の点から軽量であることが望ましく、車体の軽量
化を図る上から、自動車内の配線回路数の増加があって
も、車内における自動車用電線の電線占積空間の狭小
化、及び自動車用電線の総重量の増加の抑制の要望が強
まっている。そこで、自動車用電線を軽量化するため導
体外径を小さくしても機械的強度を確保できる材料とし
て硬銅線が検討されたが、硬銅線は材質的に伸びが著し
く小さいため、硬銅線を用いて端子間を圧着接合して
も、自動車走行中に生じる振動衝撃の外力による機械的
負荷が接合部に加わると、この接合部が損傷してしまう
ことがある。このように硬銅線を用いて端子間を圧着接
合すると、端子圧着箇所が機械的な弱点部となり外的衝
撃によって断線を生じやすく信頼性に乏しいという結果
を招来している。また、自動車用電線の使用重量を小さ
くすることは、導体径を小さくすることによって実現が
可能であるが、従来の如き軟銅線にあっては、導体外径
を小さくすると機械的強度が低下してしまう。そこで、
近年、導体外径を小さくしても、機械的強度を確保で
き、比較的良好な繰り返し屈曲強度及び導電性を有する
銅合金として、Ni−Si−In−Sn銅合金(特公平
5−27699号公報)が開発されている。このNi−
Si−In−Sn銅合金は、Cu母相中に固溶している
Ni、Siを時効硬化処理により微細に析出させて引張
強さ、伸び、導電率を向上させている。さらにIn、S
nをCu母相中に固溶させ引張強さを、さらに向上させ
ている。
−Si−In−Sn銅合金にあっては、高価なNiを多
量に使用(通常2〜3wt%)することになり、電線導
体としての材料のコストが高くなるという問題点を有し
ている。この導体材料のコスト高は、電線の価格に影響
を与え、電線価格の上昇は、使用数量が特に増加してい
る自動車部門において、自動車価格を押上げる結果とな
り兼ねず、価格競争の激しい自動車部門においては、自
動車の機能を下げずに自動車価格の低廉化を実現するこ
とが要求されている。それには、自動車のあらゆるパー
ツ類について、各パーツの性能を落とさず、コストダウ
ンを図ることが必要であり、エンジン制御の電子化に伴
い使用数量が特に増加している自動車用電線の場合も例
外ではない。また、従来のNi−Si−In−Sn銅合
金は、溶体化処理、時効硬化処理を行う時効硬化型銅合
金のため、通常の電線製造設備とは別に溶体化処理、時
効硬化処理のための設備を必要とし、加工コストがアッ
プするため、製品コストが大幅にアップすることにな
る。この時効硬化型銅合金の場合には、溶体化処理、時
効硬化処理を行う際に、熱処理の温度制御を正確に行わ
ないと、銅合金として良好な特性が得られない。ところ
が溶体化処理、時効硬化処理を行う際の熱処理の温度
は、正確に制御することが難しく、特性にバラツキが生
じ易くなっている。本発明の目的は、複雑な熱処理工程
を必要とせず、導電率の低下を招かないで屈曲性、伸び
特性、引張強さを向上して械的衝撃に対し高強度を保
ち、圧着端子部における屈曲による断線を減少させた導
電用高力銅合金を安価に製造できるようにすることにあ
る。
Mgを0.05〜0.25wt%、Snを0.1〜0.
6wt%、Pを0.02〜0.08wt%、Inを0.
02〜0.2wt%、Mnを0.05〜0.15wt%
含有し、残部が基本的に銅からなり、前記MgとSnの
含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) にしたものである。
0.25wt%、Snを0.1〜0.6wt%、Pを
0.02〜0.08wt%、Inを0.02〜0.2w
t%、Mnを0.05〜0.15wt%含有し、残部が
基本的に銅からなり、前記MgとSnの含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である銅合金を連続鋳造によって作製した鋳造棒を圧
延、伸線後に500〜600℃で連続焼鈍し、その後に
85〜95%の加工率で伸線し、最終熱処理を320〜
420℃で連続焼鈍して製造しようというものである。
溶させ、引張強さを向上させると共に、Mgの最適添加
量を限定することで、Mgによる鋳造性の悪化を最小に
止め、Snを添加することで屈曲特性を大幅に向上させ
ると共に、一層の引張強さ、焼鈍後の伸びの向上を図
り、またMg添加による鋳造性の悪化を改善するもので
ある。そしてPを添加することにより、耐熱性を向上さ
せると共に、さらなる鋳造性の向上を図り、さらに、I
nの添加により引張強さを一層向上させ、Mnを添加す
ることにより伸び及び屈曲性のさらなる向上を図ったも
のである。
どが発生し易くなり、鋳造性が悪化することが従来より
知られており、特に、連続鋳造時には鋳造割れが発生し
やすく、この微小な鋳造割部が圧延又は伸線後の銅合金
の欠陥部となり、断線の原因となっていた。このためM
g銅合金の場合は、表皮を面削してから伸線を行うが、
断線が多発する場合がある。一方、Mgの添加は導電率
の低下が少ない割りに、引張強さの向上効果が非常に大
きい。このことから請求項1記載の発明において、Mg
の含有量を0.05〜0.25wt%としており、Mg
の含有量を0.05〜0.25wt%としたのは、Mg
の含有量が0.05wt%未満では、引張強さを向上さ
せる効果が小さく、Mgの含有量が0.25wt%を超
えても、引張強さを向上させる効果は飽和してしまい、
導電性が大幅に低下し、鋳造性が急速に悪化するからで
ある。
大幅に向上し、引張強さを一層向上し、焼鈍後の伸びの
向上を図ると共にMgの添加により悪化した鋳造性を向
上させる。請求項1記載の発明において、Snの含有量
を0.1〜0.6wt%としたのは、Snの含有量が
0.1wt%未満では、屈曲性及び鋳造性を向上させる
効果が小さく、Snの含有量が0.6wt%を超えて
も、引張強さ及び鋳造性の向上効果が飽和してしまい、
焼鈍後の伸び、屈曲性が悪化し、導電性を大幅に低下さ
せるためである。
って鋳造性を向上させる効果が非常に大きく、Mgの添
加による鋳造性の悪化を大きく改善でき、耐熱性も大き
く向上するが、導電率の低下が大きいため添加量は限定
される。したがって、請求項1記載の発明において、P
の含有量を0.02〜0.08wt%としており、Pの
含有量を0.02〜0.08wt%としたのは、Pの含
有量が0.02wt%未満では、耐熱性の向上に効果が
少なく、またMgの添加によって低下した鋳造性を改善
しきれず、Pの含有量が0.08wt%を超えると耐熱
性及び鋳造性は向上するが、導電性が大幅に低下して実
用的でないためである。
きく向上させる。請求項1記載の発明において、Inの
含有量を0.02〜0.2wt%としたのは、Inの含
有量が0.02wt%未満では、引張強さを向上させる
効果が小さく、Inの含有量が0.2wt%を超えると
引張強さの向上効果が飽和し、導電性が低下してしま
い、多量に添加することはInが高価であるため全体の
コストアップとなり実用的でないからである。
る。請求項1記載の発明において、Mnの含有量を0.
05〜0.15wt%としたのは、Mnの含有量が0.
05wt%未満では、伸び特性及び屈曲性を向上させる
効果が小さく、Mnの含有量が0.15wt%を超える
と伸び特性及び屈曲性の向上効果が飽和し、導電性が低
下してしまうためである。
向上させるSnの添加比率は、Mg−Sn−P−In−
Mn銅合金の鋳造性に大きく影響するため、Mgの添加
量1に対してSnの添加量を1.0以上の比率にする必
要がある。MgとSnの添加比率が、 Mg>Sn であると、Mg−Sn−P−In−Mn銅合金の鋳造性
の改善はできない。
作製したMgを0.05〜0.25wt%、Snを0.
1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt%、I
nを0.02〜0.2wt%、Mnを0.05〜0.1
wt%含有し、残部が基本的に銅からなり、前記Mgと
Snの含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である銅合金の鋳造棒を圧延、伸線後に500〜600
℃で連続焼鈍し、その後に85〜95%の加工率で伸線
し、最終熱処理を320〜420℃で連続焼鈍して製造
することにより、複雑な熱処理工程(溶体化処理、時効
硬化処理)を必要としない固溶強化型の銅合金で、特に
伸び特性、屈曲特性、伸線加工特性に優れ、引張強さに
も優れた、安価な銅合金を得ることができる。
後に連続焼鈍するのは、圧延及び伸線での加工組織を回
復させ、最終熱処理で引張強さを低下することなく伸び
及び屈曲性を向上させるためである。そして、連続焼鈍
の焼鈍温度を500〜600℃としたのは、焼鈍温度が
500℃を下回る温度では圧延及び伸線での加工組織を
十分回復させることができないために最終熱処理で伸び
が十分に向上せず、焼鈍温度が600℃を超えると焼鈍
処理中の変色が著しく、線材としての巻き取り張力の調
整が困難となるためである。また、500〜600℃焼
鈍した後に伸線するのは、最終熱処理で引張強さを大幅
に低下させることなく、伸び及び屈曲性を向上させるた
めである。そして、この伸線の加工率を85〜95%に
したのは、加工率が85%を下回ると、最終熱処理後に
おいて十分な引張強さが確保できず、95%を超える加
工率では最終熱処理後において伸び及び屈曲性が十分に
向上しないためである。さらに、連続焼鈍して最終熱処
理を施すのは、伸び及び屈曲性を向上するためである。
そして、この連続焼鈍の焼鈍温度を320〜420℃と
したのは、焼鈍温度が320℃を下回る温度では伸びが
十分に向上せず、420℃を超える焼鈍温度では引張強
さが低下するためである。
性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合金の具体的実施
例について比較例、従来例と比較して説明する。本願請
求項1記載の発明の実施例として、不活性ガス雰囲気に
保たれたグラファイト製の坩堝炉で、黒鉛粒被覆下にて
電気銅地金を溶解した後、Mg,Sn,Inを純金属の
形態で、P,Mnを母合金の形態で添加して均一な溶湯
を得る。これを連続鋳造により表1に示す如き各実施例
(No1〜No11)の組成の20mmφの鋳造棒を作製
した。これらを冷間圧延後、伸線機によって3.2mmφ
に伸線し、550℃で連続焼鈍した。これを、さらに伸
線機によって1.0mmφに伸線した後、不活性ガス雰囲
気の電気炉を用い、400℃で連続焼鈍した。その後、
導電率、引張強さ、伸び、屈曲性を測定した。
グラファイト製の坩堝炉で、黒鉛粒被覆下にて電気銅地
金を溶解した後、Ni,Sn,Inを純金属の形態で、
Siを母合金の形態で添加して均一な溶湯を得る。これ
を連続鋳造により表1に示す如き組成の20mmφの鋳造
棒を作製した。これを冷間圧延後、伸線機によって3.
2mmφに伸線した後、不活性ガス雰囲気炉で900℃で
1時間加熱保持後、水冷し溶体化処理を施した。その
後、1.0mmφまで伸線し、さらに不活性ガス雰囲気炉
で470℃で6時間の時効硬化処理を行った。その後、
導電率、引張強さ、伸び、屈曲性を測定した。硬銅は通
常の無酸素銅線である。また、軟銅は通常の無酸素銅線
を不活性ガス雰囲気炉で300℃で2時間の焼鈍処理を
行った後、導電率、引張強さ、伸び、屈曲性を測定し
た。表2に比較例(No1〜No10)が示されてお
り、この各比較例は、実施例と同様の製造方法によって
製造されたものである。なお、表1、2に示される各連
続焼鈍機における焼鈍温度は、熱効率を90%と仮定し
て、焼鈍電圧(V)、焼鈍速度(m/分)、各銅合金線
の導体抵抗(Ω)から産出したものである。また、表
1、2に示される各銅合金のそれぞれについての屈曲性
試験は、図1に示す如く、治具1に供試材2を挟持し、
他端を2kgの引張荷重Wを加えた状態で図1に図示
(A)→(B)→(C)→(D)と左右への90゜曲げ
を1回として破断するまで、繰返し行い、その破断する
までの曲げ回数で表した繰返し屈曲強度を屈曲性とし
た。なお、比較例の合金No1〜No10は、組成がM
g,Sn,P,In,Mnと本発明の合金No1〜No
11と同一の組成成分で構成されているが、比較例合金
の各組成の含有量が本発明の各組成の含有量とは異なっ
ている。
−Si−In−Sn銅合金と比べて引張強さで若干劣る
が、導電率、伸び率、屈曲性(繰り返し屈曲強度)にお
いては良好な特性を有している。また、実施例(No1
〜No11)は、硬銅に比べると導電率は劣るものの引
張強さ、伸び率、屈曲性については大幅に向上している
ことが判る。
屈曲性に優れる軟銅と比較すると、屈曲性が軟銅と同等
以上の特性を有していることが判る。このように、表1
の実施例(No1〜No11)は、各従来例と比較する
と総合的に各従来例よりも優れた特性を有していること
が判る。
のようなものである。比較例1は、Mgの添加量が本願
請求項1記載の発明におけるMgの添加量の範囲の上限
以上であり、引張強さは良好であるが、導電率、伸び
率、屈曲性が低下する。また、Mg:Snの比率が1:
1.0以下のため伸線機における伸線加工性が悪化す
る。比較例2は、Mgの添加量が本願請求項1記載の発
明におけるMgの添加量の範囲の下限以下のため、引張
強さ、伸び率、屈曲性が大幅に劣る。比較例3は、Sn
の添加量が本願請求項1記載の発明におけるSnの添加
量の範囲の上限以上であり、引張強さは良好であるが、
導電率、伸び率及び屈曲性が著しく劣る。比較例4は、
Snの添加量が本願請求項1記載の発明におけるSnの
添加量の範囲の下限以下のため、導電率は良好である
が、引張強さ、伸び率、屈曲性が大幅に劣る。また、M
g:Snの比率が1:1.0以下のため伸線機における
伸線加工性が悪化する。比較例5は、Pの添加量が本願
請求項1記載の発明におけるPの添加量の範囲の上限以
上のため、導電率が大幅に劣る。比較例6は、Pの添加
量が本願請求項1記載の発明におけるPの添加量の範囲
の下限以下のため、導電率は良好であるが、伸線機にお
ける伸線加工性が悪化する。比較例7は、Inの添加量
が本願請求項1記載の発明におけるInの添加量の範囲
の上限以上のため、引張強さは良好であるが、導電率が
著しく劣る。比較例8は、Inの添加量が本願請求項1
記載の発明におけるInの添加量の範囲の下限以下のた
め、引張強さが劣る。比較例9は、Mnの添加量が本願
請求項1記載の発明におけるMnの添加量の範囲の上限
以上のため、導電率が大幅に劣る。比較例10は、Mn
の添加量が本願請求項1記載の発明におけるMnの添加
量の範囲の下限以下のため、伸び率及び屈曲性が劣る。
曲特性に優れた導電用高力銅合金の実施例によれば、自
動車用電線の導体に適した特性を有し、導体外径の小
型、軽量化に対応した機械的強度を確保し、圧着端子部
における引張り及び屈曲による断線を減少させることが
できる。また、本実施例によれば、製造コストも安価に
することができる。
特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合金の製造方法
の実施例について比較例と比較して説明する。請求項2
記載の発明に係る伸び特性及び屈曲特性に優れた導電用
高力銅合金の製造方法は、連続鋳造によって作製したM
gを0.05〜0.25wt%、Snを0.1〜0.6
wt%、Pを0.02〜0.08wt%、Inを0.0
2〜0.2wt%、Mnを0.05〜0.1wt%含有
し、残部が基本的に銅からなり、前記MgとSnの含有
比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である銅合金の鋳造棒を圧延、伸線後に500〜600
℃で連続焼鈍し、その後に85〜95%の加工率で伸線
し、最終熱処理を320〜420℃で連続焼鈍して製造
するものである。
導電用高力銅合金の製造法によって製造した導電用高力
銅合金の実施例と比較例とが表3に示されている。表3
における実施例(No12)と比較例(No11〜No
15)とは組成成分が同一でその製造方法を変えたもの
である。
一の製造方法によって製造されたものである。すなわ
ち、実施例12は、不活性ガス雰囲気に保たれたグラフ
ァイト製の坩堝炉で、黒鉛粒被覆下にて電気銅地金を溶
解した後、Mg,Sn,Inを純金属の形態で、P,M
nを母合金の形態で添加して均一な溶湯を得、これを連
続鋳造により20mmφの鋳造棒を作製し、さらに冷間圧
延後、伸線機によって3.2mmφに伸線し、550℃で
連続焼鈍した後、伸線機によって1.0mmφに伸線し、
不活性ガス雰囲気の電気炉を用い、400℃で連続焼鈍
して製造したものである。この導電用高力銅合金の線材
について、各特性試験を行った結果、導電率が64.8
%IACS、引張強さが53.4kg/mm2 、伸び率が8.0
%、屈曲性が49回となっている。
本願請求項2記載の発明における焼鈍温度範囲(500
〜600℃)の下限値以下であり、中間焼鈍温度が低い
ため中間焼鈍によって圧延及び伸線での加工組織を十分
回復させることができず、400℃で行う最終焼鈍によ
って引張強さが51.7kg/mm2 、伸び率が6.2%と
実施例12のように引張強さを低下させることなく、伸
び率を向上させることができない。比較例12は、中間
焼鈍から最終焼鈍までの伸線加工率が75%と本願請求
項2記載の発明における加工率範囲(85〜95%)の
下限値以下であり、比較例12によると引張強さが4
7.0kg/mm2 と最終熱処理後において伸線加工による
引張強さの向上が十分に得られない。比較例13は、中
間焼鈍から最終焼鈍までの伸線加工率が99%と本願請
求項2記載の発明における加工率範囲の上限値以上であ
り、最終焼鈍(400℃)によって引張強さが55.6
kg/mm2 と低下させることはないが、伸び率が6.0
%、屈曲性が41回と向上させるに至っていない。
本願請求項2記載の発明における焼鈍温度範囲(320
〜420℃)の下限値以下であり、引張強さは54.5
kg/mm2 と良好であるが、焼鈍効果が得られず、伸び率
が4.2%、屈曲性が38回と向上しない。比較例15
は、最終焼鈍温度が500℃と本願請求項2記載の発明
における焼鈍温度範囲の上限値以上となっており、比較
例15によると、導電率が66.3%IACS、伸び率が
8.2%、屈曲性が50回と良好であるが、引張強さが
43.2kg/mm2 と大幅に低下してしまう。
理、時効処理等の複雑な熱処理工程を省略することがで
き、溶体化処理に対する中間焼鈍及び時効処理に対する
最終焼鈍ともに、電線製造工程で通常使用されている連
続焼鈍機を用いた2回の熱処理で実施することができ、
硬銅以上の引張強さを有し、導電率は若干低下するが、
軟銅よりも優れた屈曲性を有し、従来のNi−Si−I
n−Sn銅合金と比べても、引張強さは低下するが伸び
率、導電率、屈曲性が優れ、添加元素もNi−Si−I
n−Sn銅合金と比べ廉価であり、製造工程も簡素化す
ることができる。
低下を招かないで屈曲性、伸び特性、引張強さを向上し
て械的衝撃に対し高強度を保ち、圧着端子部における屈
曲による断線を減少させた導電用高力銅合金を得ること
ができる。
理工程(溶体化処理、時効硬化処理)を必要としない固
溶強化型の銅合金で、特に屈曲特性、伸線加工特性に優
れ、引張強さ、伸びにも優れた、安価な銅合金を製造す
ることができる。
方法を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mgを0.05〜0.25wt%、Sn
を0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
%、Inを0.02〜0.2wt%、Mnを0.05〜
0.15wt%含有し、残部が基本的に銅からなり、前
記MgとSnの含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である伸び特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合
金。 - 【請求項2】 Mgを0.05〜0.25wt%、Sn
を0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
%、Inを0.02〜0.2wt%、Mnを0.05〜
0.15wt%含有し、残部が基本的に銅からなり、前
記MgとSnの含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である銅合金を連続鋳造によって作製した鋳造棒を圧
延、伸線後に500〜600℃で連続焼鈍し、その後に
85〜95%の加工率で伸線し、最終熱処理を320〜
420℃で連続焼鈍して製造する伸び特性及び屈曲特性
に優れた導電用高力銅合金の製造方法。
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---|---|---|---|
JP01565395A JP3333654B2 (ja) | 1995-02-02 | 1995-02-02 | 伸び特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合金、及びその製造方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2010001532A (ja) * | 2008-06-20 | 2010-01-07 | Daido Metal Co Ltd | 銅系摺動材料 |
WO2015093317A1 (ja) * | 2013-12-19 | 2015-06-25 | 住友電気工業株式会社 | 銅合金線、銅合金撚線、電線、端子付き電線、及び銅合金線の製造方法 |
CN113201661A (zh) * | 2021-04-25 | 2021-08-03 | 江苏青益金属科技股份有限公司 | 一种用于轿车座椅加热的合金丝材及其制备方法 |
-
1995
- 1995-02-02 JP JP01565395A patent/JP3333654B2/ja not_active Expired - Fee Related
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