JPH0995747A - 伸び特性及び屈曲性に優れた導電用高力銅合金、及びその製造方法 - Google Patents

伸び特性及び屈曲性に優れた導電用高力銅合金、及びその製造方法

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JPH0995747A
JPH0995747A JP25482395A JP25482395A JPH0995747A JP H0995747 A JPH0995747 A JP H0995747A JP 25482395 A JP25482395 A JP 25482395A JP 25482395 A JP25482395 A JP 25482395A JP H0995747 A JPH0995747 A JP H0995747A
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copper alloy
tensile strength
flexibility
elongation
copper
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Yasuhito Taki
康仁 滝
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な熱処理工程を必要とせず、導電率の低
下を招かないで屈曲性、伸び特性、引張強さを向上して
械的衝撃に対し高強度を保ち、安価に製造できるように
する。 【解決手段】 Mgを0.05〜0.25wt%、Sn
を0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
%、Inを0.02〜0.2wt%、Niを0.10〜
0.25wt%含有し、残部が基本的に銅によって構成
し、MgとSnの含有比を、Mg:Sn=(1):
(1.0以上)にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅合金に係り、特
に、例えば自動車用電線の導体等として用いた場合に適
した屈曲性、伸び特性、引張強さに優れた導電用高力銅
合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から自動車の自動車用電線の導体と
しては軟銅線が主として用いられてきたが、各種計器類
等の車載装置の電子化が図られ、自動車内における電
気、電子配線回路の数が著しく増加し、自動車内におけ
る占積空間が増加し、自動車用電線による自動車総重量
の増加を招いている。しかし、自動車の車体は、燃費の
向上の点から軽量であることが望ましく、車体の軽量化
を図る上から、自動車内の配線回路数の増加があって
も、自動車内における占積空間の狭小化、及び自動車用
電線の総重量の増加の抑制の要望が強まっている。自動
車用電線の使用重量を小さくすることは、導体径を小さ
くすることによって実現が可能であるが、従来の如き軟
銅線にあっては、導体外径を小さくすると機械的強度が
低下してしまう。そこで、近年、導体外径を小さくして
も、機械的強度を確保でき、比較的良好な繰り返し屈曲
強度及び導電性を有する銅合金として、Ni−Si−I
n−Sn銅合金(特公平5−27699号公報)が開発
されている。このNi−Si−In−Sn銅合金は、C
u母相中に固溶しているNi、Siを時効処理により微
細に析出させて引張強さ、伸び、導電率を向上させてい
る。さらにIn、SnをCu母相中に固溶させ引張強さ
を、さらに向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のNi
−Si−In−Sn銅合金にあっては、高価なNiを多
量に使用(通常2〜3wt%)することになり、電線導
体としての材料のコストが高くなる。この導体材料のコ
スト高は、電線の価格に影響を与えることになり、使用
数量が特に増加している自動車部門では、自動車価格を
押上げる結果を招来することになる。価格競争の激しい
自動車部門においては、自動車の機能を下げずに自動車
価格の低廉化を実現することが要求され、それには、自
動車のあらゆるパーツ類について、各パーツの性能を落
とさず、幅広くコストダウンを図ることが有効であり、
エンジン制御の電子化に伴い使用数量が特に増加してい
る自動車用電線の価格の低廉化が重要な要素となってい
る。また、従来のNi−Si−In−Sn銅合金は、溶
体化処理、時効処理を行う時効硬化型銅合金のため、通
常の電線製造設備とは別に溶体化処理、時効処理のため
の設備を必要としている。この時効硬化型銅合金の場合
には、溶体化処理、時効処理を行う際に、熱処理の温度
制御を正確に行わないと、銅合金として良好な特性が得
られないにも拘らず熱処理の温度を正確に制御すること
が難しい。このため、従来の時効硬化型銅合金であるN
i−Si−In−Sn銅合金にあっては、特性にバラツ
キが生じ易くなっている。さらに、従来のNi−Si−
In−Sn銅合金は、溶体化処理、時効処理を行って製
造する時効硬化型銅合金であるため、加工コストがアッ
プし、製品コストが大幅にアップしている。
【0004】本発明の目的は、複雑な熱処理工程を必要
とせず、導電率の低下を招かないで屈曲性、伸び特性、
引張強さを向上して械的衝撃に対し高強度を保ち、安価
に製造できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Mgを0.05〜0.25wt%、Snを0.1〜0.
6wt%、Pを0.02〜0.08wt%、Inを0.
02〜0.2wt%、Niを0.10〜0.25wt%
含有し、残部が基本的に銅からなり、前記MgとSnの
含有比を、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) にしたものである。
【0006】請求項1記載の発明は、MgをCu母相中
に固溶させ、引張強さを向上させると共に、Mgの最適
添加量を限定することで、Mgによる鋳造性の悪化を最
小に止め、Snを添加することで屈曲特性を大幅に向上
させると共に、一層の引張強さ、焼鈍後の伸びの向上を
図り、またMg添加による鋳造性の悪化を改善するもの
である。そしてPを添加することにより、耐熱性を向上
させると共に、さらなる鋳造性の向上を図った。さら
に、Inの添加により引張強さを一層向上させ、Niを
添加することにより伸び特性及び屈曲性の更なる向上を
図ったものである。
【0007】MgをCuに添加すると、鋳造時に鋳巣な
どが発生しやすくなり、鋳造性が悪化することが従来よ
り知られている。特に、連続鋳造時には鋳造割れが発生
しやすく、微小な鋳造割れでも圧延した時や伸線した時
に、この微小な鋳造割れ部が圧延又は伸線後の銅合金の
欠陥部となる。一方、Mgの添加は導電率の低下が少な
い割りに、引張強さの向上効果が非常に大きい。請求項
1記載の発明において、Mgの含有量を0.05〜0.
25wt%としたのは、Mgの含有量が0.05wt%
未満では、引張強さを向上させる効果が小さく、Mgを
0.25wt%を超えて含有させても、引張強さを向上
させる効果は飽和してしまい、導電性が大幅に低下し、
鋳造性が急速に悪化するからである。
【0008】また、Snを添加するとMgの添加により
悪化した鋳造性を向上させると共に、屈曲性が大幅に向
上する。また、Snの添加は、引張強さの向上に効果が
あると共に焼鈍後の伸びの向上にも非常に効果を発揮す
る。請求項1記載の発明において、Snの含有量を0.
1〜0.6wt%としたのは、Snの含有量が0.1w
t%未満では、屈曲性及び鋳造性を向上させる効果が小
さく、Snを0.6wt%を超えて含有させても、引張
強さ及び鋳造性の向上効果が飽和してしまい、焼鈍後の
伸び、屈曲性が悪化し、導電性を大幅に低下させるため
である。
【0009】さらにPの添加は、Snとの相乗効果によ
って鋳造性を向上させる効果が非常に大きく、Mgの添
加による鋳造性の悪化を大きく改善する。またPの添加
によって耐熱性も大きく向上するが、導電率の低下が大
きいため添加量は限定される。請求項1記載の発明にお
いて、Pの含有量を0.02〜0.08wt%としたの
は、Pの含有量が0.02wt%未満では、耐熱性の向
上に効果が少なく、またMgの添加によって低下した鋳
造性を改善しきれず、Pを0.08wt%を超えて含有
させると耐熱性及び鋳造性は向上するが、導電性が大幅
に低下して実用的でないからである。
【0010】さらにまた、Inの添加は、引張強さを大
きく向上させる。請求項1記載の発明において、Inの
含有量を0.02〜0.2wt%としたのは、Inの含
有量が0.02wt%未満では、引張強さを向上させる
効果を期待できず、Inを0.2wt%を超えて含有さ
せると引張強さの向上効果が飽和し、導電性の低下を招
来するからである。また、高価なInを多量に添加する
ことはコストアップとなり実用的でない。
【0011】また、Niの添加は、伸び特性及び屈曲性
を向上させる。請求項1記載の発明において、Niの含
有量を0.10〜0.25wt%としたのは、Niの含
有量が0.10wt%未満では、伸び特性及び屈曲性を
向上させる効果がなく、Niを0.25wt%を超えて
含有させると伸び特性及び屈曲性の向上効果が飽和し、
導電性の低下を招来するからである。
【0012】請求項1記載の銅合金におけるMgとSn
の添加比率は、鋳造性に大きく影響する。すなわち、M
gの添加量1に対してSnの添加量を1.0以上の比率
にする必要がある。MgとSnの添加比率が、 Mg>Sn の比率では鋳造性の改善はできない。
【0013】請求項2記載の発明は、Mgを0.05〜
0.25wt%、Snを0.1〜0.6wt%、Pを
0.02〜0.08wt%、Inを0.02〜0.2w
t%、Niを0.1〜0.25wt%含有し、残部が基
本的に銅からなり、前記MgとSnの含有比を、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) にした銅合金を連続鋳造によって作製した鋳造棒を圧
延、伸線後に500〜600℃で連続焼鈍し、その後に
85〜95%の加工率で伸線し、最終熱処理を350〜
450℃で連続焼鈍して製造するものである。
【0014】したがって、溶体化処理、時効処理等の複
雑な熱処理工程を省略することができ、溶体化処理に対
する中間焼鈍及び時効処理に対する最終焼鈍ともに、電
線製造工程で通常使用されている連続焼鈍機を用いた2
回の熱処理で実施することができ、硬銅以上の引張強さ
を有し、導電率は若干低下するが、軟銅よりも優れた屈
曲性を有し、従来のNi−Si−In−Sn銅合金と比
べても、引張強さは低下するが伸び率、導電率、屈曲性
が優れ、添加元素もNi−Si−In−Sn銅合金と比
べ廉価であり、製造工程も簡素化することができる。
【0015】
【実施例】伸び特性及び屈曲性に優れた導電用高力銅合
金の具体的実施例についての導電率、引張強さ、伸び、
屈曲性の測定結果が従来例と比較して表1に、比較例に
ついての導電率、引張強さ、伸び、屈曲性の測定結果が
表2にそれぞれ示されている。
【0016】表 1 表 2 表1、表2に示される各実施例についての導電用高力銅
合金、比較例についての導電用高力銅合金、従来例につ
いての導電用高力銅合金は、次のような方法で製造した
ものである。
【0017】表1に示される実施例については、まず、
不活性ガス雰囲気に保たれたグラファイト製の坩堝炉
で、黒鉛粒被覆下にて電気銅地金を溶解した後、Mg,
Sn,In,Niを純金属の形態で、Pを母合金の形態
で添加して均一な溶湯を得る。これを連続鋳造により表
1に示す如き各実施例(No1〜No18)の組成に基
づいて20mmφの鋳造棒を作製した。これらを冷間圧延
後、伸線機によって3.2mmφに伸線し、550℃で連
続焼鈍した。これを、さらに伸線機によって1.0mmφ
に伸線した後、410℃で連続焼鈍した。その後、導電
率、引張強さ、伸び、屈曲性を測定した。
【0018】表1に示される従来例1については、ま
ず、不活性ガス雰囲気に保たれたグラファイト製の坩堝
炉で、黒鉛粒被覆下にて電気銅地金を溶解した後、I
n,Sn,Niを純金属の形態で、Siを母合金の形態
で添加して均一な溶湯を得る。これを連続鋳造により表
1に示す如き組成の20mmφの鋳造棒を作製した。これ
を冷間圧延後、伸線機によって3.2mmφに伸線した
後、不活性ガス雰囲気炉で900℃で1時間加熱保持
後、水冷し溶体化処理を施した。その後、1.0mmφま
で伸線し、さらに不活性ガス雰囲気炉で470℃で6時
間の時効処理を行った。その後、導電率、引張強さ、伸
び、屈曲性を測定した。硬銅は通常の無酸素銅線であ
る。また、軟銅については通常の無酸素銅線を不活性ガ
ス雰囲気炉で300℃で2時間の焼鈍処理を行った後、
導電率、引張強さ、伸び、屈曲性を測定した。表2に比
較例(No1〜No10)が示されており、この各比較
例は、実施例と同様の製造方法によって製造されたもの
である。なお、表1、2に示される各連続焼鈍機におけ
る焼鈍温度は、熱効率を90%と仮定して、焼鈍電圧
(V)、焼鈍速度(m/分)、各銅合金線の導体抵抗
(Ω)から産出したものである。また、表1、2に示さ
れる各銅合金のそれぞれについての屈曲性試験は、図1
に示す如く、治具1に供試材2を挟持し、他端を2kg
の引張荷重Wを加えた状態で図1に図示(A)→(B)
→(C)→(D)と左右90゜曲げを1回として破断す
るまで、繰返し行い、その破断するまでの曲げ回数で表
した繰返し屈曲強度を屈曲性とした。なお、比較例の合
金No1〜No10は、組成がMg,Sn,P,In,
Niと本発明の合金No1〜No18と同一の組成成分
で構成されているが、比較例合金の各組成の含有量が本
発明の各組成の含有量とは異なっている。
【0019】表1の実施例(No1〜No18)は、従
来例1のNi−Si−In−Sn銅合金と比べて引張強
さで若干劣るが、導電率、伸び率、屈曲性(繰り返し屈
曲強度)においては良好な特性を有している。また、実
施例(No1〜No18)は、硬銅に比べると導電率は
劣るものの引張強さ、伸び率、屈曲性については大幅に
向上していることが判る。
【0020】さらに、実施例(No1〜No18)は、
屈曲性に優れる軟銅と比較すると、屈曲性が軟銅と同等
以上の特性を有していることが判る。このように、表1
の実施例(No1〜No18)は、各従来例と比較する
と総合的に各従来例よりも優れた特性を有していること
が判る。
【0021】表2の比較例(No1〜No10)は、次
のようなものである。比較例1は、Mgの添加量が上限
以上であり、引張強さは良好であるが、導電率、伸び
率、屈曲性が低下する。また、Mg:Snの比率が1:
1.0以下のため伸線機における伸線加工性が悪化す
る。比較例2は、Mgの添加量が下限以下のため、引張
強さ、伸び率が大幅に劣る。比較例3は、Snの添加量
が上限以上であり、引張強さは良好であるが、導電率、
伸び率及び屈曲性が著しく劣る。比較例4は、Snの添
加量が下限以下のため、導電率は良好であるが、引張強
さ、伸び率、屈曲性が大幅に劣る。また、Mg:Snの
比率が1:1.0以下のため伸線機における伸線加工性
が悪化する。比較例5は、Pの添加量が上限以上のた
め、導電率が大幅に劣る。比較例6は、Pの添加量が下
限以下のため、導電率は良好であるが、伸線機における
伸線加工性が悪化する。比較例7は、Inの添加量が上
限以上のため、引張強さは良好であるが、導電率が著し
く劣る。比較例8は、Inの添加量が下限以下のため、
引張強さが劣る。比較例9は、Niの添加量が上限以上
のため、導電率が大幅に劣る。比較例10は、Niの添
加量が下限以下のため、伸び率及び屈曲性が劣る。
【0022】したがって、本発明に係る伸び特性及び屈
曲特性に優れた導電用高力銅合金の実施例によれば、自
動車用電線の導体に適した特性を有し、導体外径の小
型、軽量化に対応した機械的強度を確保し、圧着端子部
における引張り及び屈曲による断線を減少させることが
できる。また、本実施例によれば、製造コストも安価に
することができる。
【0023】次に、本願請求項2記載の発明に係る伸び
特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合金の製造方法
の実施例について比較例と比較して説明する。請求項2
記載の発明は、Mgを0.05〜0.25wt%、Sn
を0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
%、Inを0.02〜0.2wt%、Niを0.1〜
0.25wt%含有し、残部が基本的に銅からなり、前
記MgとSnの含有比を、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) にした銅合金を連続鋳造によって作製した鋳造棒を圧
延、伸線後に500〜600℃で連続焼鈍し、その後に
85〜95%の加工率で伸線し、最終熱処理を350〜
450℃で連続焼鈍して製造するものである。
【0024】連続鋳造で作製した鋳造棒を、圧延、伸線
後に連続焼鈍するのは、圧延及び伸線での加工組織を回
復させ、最終熱処理で引張強さを大幅に低下することな
く伸び及び屈曲性を向上させるためである。そして、連
続焼鈍の焼鈍温度を500〜600℃としたのは、焼鈍
温度が500℃を下回る温度では圧延及び伸線での加工
組織を十分回復させることができないために最終熱処理
で伸びが十分に向上せず、焼鈍温度が600℃を超える
と焼鈍処理中の変色が著しく、線材としての巻き取り張
力の調整が困難となるためである。また、500〜60
0℃で焼鈍した後に伸線するのは、最終熱処理で引張強
さを大幅に低下させることなく、伸び及び屈曲性を向上
させるためである。そして、この伸線の加工率を85〜
95%にしたのは、加工率が85%を下回ると、最終熱
処理後において十分な引張強さが確保できず、95%を
超える加工率では最終熱処理後において伸び及び屈曲性
が十分に向上しないためである。さらに、連続焼鈍して
最終熱処理を施すのは、伸び及び屈曲性を向上するため
である。そして、この連続焼鈍の焼鈍温度を350〜4
50℃としたのは、焼鈍温度が350℃を下回る温度で
は伸びが十分に向上せず、450℃を超える焼鈍温度で
は引張強さが低下するためである。
【0025】このような伸び特性及び屈曲特性に優れた
導電用高力銅合金の製造法によって製造した導電用高力
銅合金の実施例と比較例とが表3に示されている。表3
における実施例(No19)と比較例(No11〜No
15)とは組成成分が同一でその製造方法を変えたもの
である。
【0026】表 3 実施例19は表1の実施例18と同一の組成を有し、同
一の製造方法によって製造されたものである。すなわ
ち、実施例19は、不活性ガス雰囲気に保たれたグラフ
ァイト製の坩堝炉で、黒鉛粒被覆下にて電気銅地金を溶
解した後、Mg,Sn,In,Niを純金属の形態で、
Pを母合金の形態で添加して均一な溶湯を得、これを連
続鋳造により20mmφの鋳造棒を作製し、さらに冷間圧
延後、伸線機によって3.2mmφに伸線し、550℃で
連続焼鈍した後、伸線機によって1.0mmφに伸線し、
410℃で連続焼鈍して製造したものである。この導電
用高力銅合金の線材について、各特性試験を行った結
果、導電率が66.4%IACS、引張強さが54.8kg/
mm2 、伸び率が8.6%、屈曲性が49回となってい
る。
【0027】比較例11は、中間焼鈍温度が350℃と
焼鈍温度範囲(500〜600℃)の下限値以下であ
り、中間焼鈍によって圧延及び伸線での加工組織を十分
回復させることができないため、引張強さが51.9kg
/mm2 、伸び率が6.8%と、最終焼鈍で実施例19の
ように引張強さを低下させることなく、伸びを向上させ
ることができない。比較例12は、中間焼鈍から最終焼
鈍までの伸線加工率が75%と加工率範囲(85〜95
%)の下限値以下であり、引張強さが47.5kg/mm2
と最終熱処理後において伸線加工による引張強さの向上
が十分に得られない。比較例13は、中間焼鈍から最終
焼鈍までの伸線加工率が99%と加工率範囲の上限値以
上であり、最終焼鈍で引張強さは56.1kg/mm2 と実
施例19より低下することはないが、伸び率が6.8
%、屈曲性が41回といずれも実施例19よりも向上さ
せることができない。
【0028】比較例14は、最終焼鈍温度が320℃と
焼鈍温度範囲(350〜450℃)の下限値以下であ
り、引張強さは55.1kg/mm2 と実施例19とほぼ同
等であるが、焼鈍効果が得られず、伸び率が4.6%、
屈曲性が37回といずれも実施例19より向上しない。
比較例15は、最終焼鈍温度が500℃と焼鈍温度範囲
の上限値以上であり、導電率が69.3%IACS、伸び率
が8.8%、屈曲性が49回と実施例19よりも良好で
あるが、引張強さが44.0kg/mm2 と大幅に低下して
しまう。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、導電率の
低下を招かないで屈曲性、伸び特性、引張強さを向上し
て械的衝撃に対し高強度を保ち、圧着端子部における屈
曲による断線を減少させた導電用高力銅合金を得ること
ができる。
【0030】請求項2記載の発明によれば、溶体化処
理、時効処理等の複雑な熱処理工程を省略することがで
き、溶体化処理に対する中間焼鈍及び時効処理に対する
最終焼鈍ともに、電線製造工程で通常使用されている連
続焼鈍機を用いた2回の熱処理で実施することができ、
硬銅以上の引張強さを有し、導電率は若干低下するが、
軟銅よりも優れた屈曲性を有し、従来のNi−Si−I
n−Sn銅合金と比べても、引張強さは低下するが伸び
率、導電率、屈曲性が優れ、添加元素もNi−Si−I
n−Sn銅合金と比べ廉価であり、製造工程も簡素化す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例、従来例の屈曲試験
方法を示す図である。
【符号の説明】
1……………………………………治具 2……………………………………供試材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】本発明の目的は、複雑な熱処理工程を必要
とせず、屈曲性、伸び特性、引張強さを向上して械的
衝撃に対し高強度を保ち、安価に製造できるようにする
ことにある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、導電率の
低下を招かないで屈曲性、伸び特性、引張強さを向上し
械的衝撃に対し高強度を保ち、圧着端子部における
屈曲による断線を減少させた導電用高力銅合金を得るこ
とができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mgを0.05〜0.25wt%、Sn
    を0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
    %、Inを0.02〜0.2wt%、Niを0.10〜
    0.25wt%含有し、残部が基本的に銅からなり、前
    記MgとSnの含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である伸び特性及び屈曲特性に優れた導電用高力銅合
    金。
  2. 【請求項2】 Mgを0.05〜0.25wt%、Sn
    を0.1〜0.6wt%、Pを0.02〜0.08wt
    %、Inを0.02〜0.2wt%、Niを0.1〜
    0.25wt%含有し、残部が基本的に銅からなり、前
    記MgとSnの含有比が、 Mg:Sn=(1):(1.0以上) である銅合金を連続鋳造によって作製した鋳造棒を、圧
    延、伸線後に500〜600℃で連続焼鈍し、その後に
    85〜95%の加工率で伸線し、最終熱処理を350〜
    450℃で連続焼鈍して製造する伸び特性及び屈曲性に
    優れた導電用高力銅合金の製造方法。
JP25482395A 1995-10-02 1995-10-02 伸び特性及び屈曲性に優れた導電用高力銅合金、及びその製造方法 Pending JPH0995747A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100758150B1 (ko) * 2006-05-17 2007-09-12 한국생산기술연구원 카드뮴을 함유하지 않는 고전기전도도와 고강도 및 내열동합금
WO2011093114A1 (ja) * 2010-01-26 2011-08-04 三菱マテリアル株式会社 高強度高導電性銅合金
CN105970016A (zh) * 2016-05-06 2016-09-28 河南理工大学 一种传输用高导电耐弯曲铜合金线及其制备方法

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