JPH0565571B2 - - Google Patents
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Description
ワイヤーハーネスのターミナル用材料として好適
な高強度、高導電性銅基合金に関するものであ
る。 (ロ) 従来技術 今日、自動車産業は周知の通り日本の基幹産業
として大きな役割を果すに至つており、その生産
台数の増加は著しく、また近時ではカーエレクト
ロニクスの発達により、これに使用される伸銅品
材料がますます増加している。 従つて、自動車の電装品の一翼を担うワイヤー
ハーネスもこれにもれず、1台当り約1Kmの長
さ、重量で約20Kgが使用されるまでになつた。 しかしながら、近時の自動車に対する要求は軽
量化、高信頼性および低コスト化とますます厳し
いものになり、従つてワイヤーハーネスも軽量
化、高信頼性および低コスト化が要求されるよう
になつて来ている。 ここで、ワイヤーハーネスは電線とターミナル
が一体となつたものであり、軽量化と配線の高密
度化のためには、ターミナル材料の材料特性およ
び信頼性の向上が必要かつ不可欠である。 上記のような背景の下に、具体的にターミナル
材料は薄肉化され、また複雑な形状にプレス成形
されることから、強度、弾性、導電性およびプレ
ス成形性が良好なことが必要である。 更に、耐食性、耐応力腐食割れ性が良いことは
勿論のことで、エンジンルーム周辺や排ガス系統
周辺では熱的な負荷も加わることから、耐応力緩
和特性にも優れていなければならない。 しかしながら、従来において上記のような諸特
性を同時に兼備し、かつ安価な材料は得られなか
つた。 (ハ) 発明の開示 本発明は、カーエレクトロニクスの発達に伴な
つて、ワイヤーハーネスのターミナル材料に要求
される上記のような諸特性を兼備した銅基合金、
さらに詳しくは強度、弾性および電気伝達性に優
れ、かつプレス成形性、耐応力緩和特性等に優れ
たワイヤーハーネスのターミナル用材料として好
適な銅基合金を開発すべく鋭意研究の結果、開発
されたものであつて、次記の銅基合金を提供する
ものである。 即ち、まず第1の発明は、Ni:0.1〜1.7wt%、
Be:0.005〜0.14wt%、Sn:0.1〜0.7wt%を含み、
Ni/Beの成分組成比率が重量比で5〜30の範囲
で、残部Cuおよび不可避不純物からなる銅基合
金であつて、導電率が35%IACS以上、引張強さ
が50Kgf/mm2以上であることを特徴とする高強度
高導電性銅基合金である。 第2の発明は、Ni:0.1〜1.7wt%、Be:0.005
〜0.14wt%、Sn:0.1〜0.7wt%、Zn:0.01〜
5.0wt%を含み、Ni/Beの成分組成比率が重量比
で5〜30の範囲で、残部Cuおよび不可避不純物
からなる銅基合金であつて、導電率が35%IACS
以上、引張強さが50Kgf/mm2以上であることを特
徴とする高強度高導電性銅基合金である。 また、第3の発明は、Ni:0.1〜1.7wt%、
Be:0.005〜0.14wt%、Sn:0.1〜0.7wt%、Zn:
0.01〜5.0wt%を含み、Ni/Beの成分組成比率が
重量比で5〜30の範囲で、更にTi、Cr、Mg、
Fe、Bのうち1種または2種以上の合成を0.005
〜1.0wt%を含み、残部Cuおよび不可避不純物か
らなる銅基合金であつて、導電率が35%IACS以
上、引張強さが50Kgf/mm2以上であることを特徴
とする高強度高導電性銅基合金である。 本発明に係る銅基合金はNi、Be、Snあるいは
Ni、Be、Sn、Znの適量を添加し、Ni/Be成分
組成比率が重量比で5〜30の範囲とすることによ
り、ワイヤーハーネスのターミナル用材料として
好適な銅基合金に必要な上記諸特性を発現せしめ
た点に基本的な特徴がある。 次に、本発明に係る銅基合金の成分組成範囲を
上記の通りに限定した理由について説明する。 (1) Ni Niは、Beと化合物を形成し、強度、弾性、
耐熱性および耐応力緩和特性等の向上に寄与す
る元素である。 また、鋳造組織および熱間加工組織を微細化
し、かつ溶体化処理時の結晶粒の粗大化を防止
する効果がある。 このような効果を発揮させるためには、Ni
含有量が0.1wt%未満では所望の効果が得られ
ず、一方1.7wt%を超えて含有させると電気伝
導性の低下が顕著となり、また経済的にも不利
となることから、その含有量は0.1〜1.7wt%の
範囲とする。 (2) Be Beは、その含有量が0.005wt%未満ではNiと
の共存下でも強度、弾性、耐熱性および耐応力
緩和特性等について所定の効果が得られず、一
方Be含有量が0.14wt%を超えると電気伝導性
が低下すると共にプレス成形性が著しく低下す
る。しかも、0.14wt%を超えると鋳造性も低下
し、かつ熱処理時の酸化被膜が強固となり、製
造上の問題を生じてくることから、その含有量
は0.005〜0.14wt%の範囲とする。 (3) Sn Snは、Cuマトリツクス中に固溶して加工性
を低下させることなく強度および弾性を向上さ
せる。また塩水やSO2ガスなどに対する耐食性
および耐酸性なども向上させる元素である。 かかる効果を充分に発揮させるためには、
0.1wt%以上を含有させる必要があるが、0.7wt
%を超えると電気伝導性が低下すると共に鋳性
や熱間加工性の低下が著しくなり、かつ経済的
にも不利となるので、その含有量は0.1〜0.7wt
%の範囲とする。 (4) Ni:Beの成分組成比率 また、Ni、BeはNi−Be系金属間化合物とし
て析出して、上記の本発明の基本的な特徴が達
成される。 このNi−Be系金属間化合物による特性強化
のより充分に発揮させるためには、Ni/Beの
成分組成比率(重量比)を5〜30の範囲とす
る。 Ni/Beの成分組成比率が上記範囲外の場合
には、マトリツクスに固溶したNi、Beの量が
多くなり電気伝導性が低下する。 (5) Zn Znは、本発明に係る銅基合金において、熱
処理時の溶着を効果的に防止する元素である。
また、溶解、鋳造時には脱酸剤として機能し、
熱間圧延や熱処理後の酸洗時の酸化膜除去につ
いても効果的に作用し、更に本発明に係る銅基
合金の半田メツキの耐候性にも効果がある。 このような効果を発揮させるためには、
0.01wt%以上の含有量が必要であるが、一方
5.0wt%を超えて含有すると、電気伝導性の低
下が顕著となり、また、耐応力腐食割れ性が低
下する。 従つて、Znの含有量は0.01〜5.0wt%の範囲
とする。 (6) 副成分 更に、副成分としてTi、Cr、Mg、Fe、Bか
らなる群がら選ばれた1種または2種以上を
Ni、Be、Sn、Znからなる本発明銅基合金に含
有させることにより本発明銅基合金の強度、弾
性、耐熱性および耐応力緩和特性等の諸特性を
より一層向上させる。また、鋳造、熱間圧延、
熱処理時の結果の微細化にも寄与するものであ
る。 (7) 酸素含有量 本発明に係る銅基合金における酸素含有量は
50ppm以下とする必要がある。これは、該銅基
合金中に50ppm以上含有すると、酸素との親和
力が大きなBeが酸化してBeOとなり、メツキ
付性およびメツキ信頼性をはじめ、上記諸特性
の劣化を招くことになる。 また、酸素含有量が50ppmより多いと、該銅
基合金の製造過程でH2ガスを用いる場合に該
銅基合金の表面および内部に水素脆化が起きる
ことが懸念さる。 次に、本発明を実施例による具体的に説明す
る。 (ニ) 実施例 実施例 1 第1表に化学成分値(wt%)を示す銅基合金
No.1〜14を高周波誘導溶解炉を用いて溶製し、20
×50×220(mm)の鋳塊に鋳造した。 ただし、溶解鋳造時の雰囲気はArガスシール
とし、鋳造後直ちに水冷した。各鋳塊を面削後、
冷間圧延と焼鈍を繰返し、厚さ0.6mmまで冷間圧
延した。 その後、600〜850℃の温度で5分間熱処理後、
水急冷および酸洗を行なつた。 この熱処理温度は、各合金の最適条件とするた
め、No.8、14は850℃、No.1、2、3、4、5、
6、7、9、12、13は800℃、No.11は700℃、No.10
は600℃の温度とした。 上記のようにして得られた熱処理材を厚さ0.3
mmまで冷間圧延し、300〜500℃の温度で60分間の
熱処理を行なつた。 ただし、この熱処理温度は各合金の最適条件と
するために、No.8は500℃、No.1、2、3、4、
5、6、7、9、12、13、14は450℃、No.11は400
℃、No.10は300℃の温度とした。 得られた試験材を用いて、各所定の試験片を作
成し、硬度、引張強さ、ばね限界値、導電率およ
び曲げ加工性を測定した。その結果を第1表に示
す。 測定法としては、硬度、引張強さ、ばね限界値
および導電率の測定は、それぞれJIS−Z−2244、
JIS−Z−2241、JIS−H−3130およびJIS−H−
0505に従つた。 曲げ加工性は、90゜W曲げ試験(CES−M−
0002−6、R=0.1mm、圧延方向および垂直方向)
を行ない、中央部の山表面が良好なものは○印、
シワの発生したものは△印、割れが発生したもの
は×印として評価した。 第1表に示した結果から、本発明に係るNo.1〜
9の銅基合金は、硬度、引張強さ、ばね限界値お
よび導電率のバランスが優れ、かつ曲げ加工性も
良好であり、副成分を含有した本発明合金No.5〜
9は、硬度、引張強さおよびばね限界値がNo.1〜
4より若干優れていることが分る。従つて、ワイ
ヤーハーネスのターミナル用材料として好適な非
常に優れた特性を有する銅基合金である。 これに対して、本発明の成分組成範囲よりBe
量が少ないNo.10、Ni量が少ないNo.11およびSnを
含まない比較合金No.12は硬度、引張強度およびば
ね限界値が本発明合金に比して低い。 また、本発明の成分組成範囲よりNi量の多い
比較合金No.13は導電率が低く、かつ曲げ加工性も
劣り、Be量が多い比較合金No.14は曲げ加工性が
悪い。
販のリン青銅2種(C5191−H)について、硬
度、引張強さ、ばね限界値、導電率、曲げ加工
性、耐応力緩和特性および耐熱性を試験測定し
た。その結果を第2表を示す。 硬度、引張強さ、ばね限界値、導電率、曲げ加
工性の測定試験は実施例1と同様の測定法であ
る。 また、応力緩和試験は試験片の中央部の応力が
40Kgf/mm2になるようにU字曲げを行ない、150
℃の温度で200時間保持後曲げぐせを応力緩和率
として、次式により算出した。 応力緩和率(%) =[(L1−RL)/(L1−L0)]×100 L0:治具の長さ(mm) L1:開始時の試料長さ(mm) L2:処理後の試料端間の水平距離(mm) 更に、耐熱性試験は、試料の硬度が初期硬度の
80%になるときの温度(30分間保持)とした。
従来の代表的なワイヤーハーネスのターミナル用
材料であるリン青銅に比較して、導電率、耐応力
緩和特性ならびに耐熱性が格段に向上しているこ
とが分る。従つて、本発明銅基合金は高度な耐環
境性を有し、信頼性に極めて優れていることが明
らかである。 (ホ) 発明の効果 以上の実施例から明らかなように、本発明に係
る銅基合金は、高強度、高弾性、高電気伝導性を
有し、かつ曲げ加工性、耐応力緩和特性および耐
熱性に優れており、各種用途に適用できることは
勿論であるが、特にワイヤーハーネスのターミナ
ル用材料として最適なものである。 しかも、本発明合金は、近年自動車用電装品の
小型計量化と配線の高密度化に充分対応できるタ
ーミナル用に好適な画期的な銅基合金である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Ni:0.1〜1.7wt% Be:0.005〜0.14wt% Sn:0.1〜0.7wt% を含み、Ni/Beの成分組成比率が重量比で5〜
30の範囲で残部Cuおよび不可避不純物からなる
銅基合金であつて、導電率が35%IACS以上、引
張強さが50Kgf/mm2以上であることを特徴とする
高強度高導電性銅基合金。 2 Ni:0.1〜1.7wt% Be:0.005〜0.14wt% Sn:0.1〜0.7wt% Zn:0.001〜5.0wt% を含み、Ni/Beの成分組成比率が重量比で5〜
30の範囲で残部Cuおよび不可避不純物からなる
銅基合金であつて、導電率が35%IACS以上、引
張強さが50Kgf/mm2以上であることを特徴とする
高強度高導電性銅基合金。 3 Ni:0.1〜1.7wt% Be:0.005〜0.14wt% Sn:0.1〜0.7wt% Zn:0.001〜5.0wt% を含み、Ni/Beの成分組成比率が重量比で5〜
30の範囲で更にTi、Cr、Mg、Fe、Bのうち1種
または2種以上を合計0.005〜1.0wt%を含み、残
部Cuおよび不可避不純物からなる銅基合金であ
つて、導電率が35%IACS以上、引張強さが50Kg
f/mm2以上であることを特徴とする高強度高導電
性銅基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21460388A JPH0266131A (ja) | 1988-08-29 | 1988-08-29 | 高強度高導電性銅基合金 |
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JPH0565571B2 true JPH0565571B2 (ja) | 1993-09-20 |
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JP21460388A Granted JPH0266131A (ja) | 1988-08-29 | 1988-08-29 | 高強度高導電性銅基合金 |
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JPS63125633A (ja) * | 1987-07-16 | 1988-05-28 | Nippon Mining Co Ltd | 高力高導電銅合金 |
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1988
- 1988-08-29 JP JP21460388A patent/JPH0266131A/ja active Granted
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