JPH0820694A - 強化難燃熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

強化難燃熱可塑性樹脂組成物

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JPH0820694A
JPH0820694A JP18087494A JP18087494A JPH0820694A JP H0820694 A JPH0820694 A JP H0820694A JP 18087494 A JP18087494 A JP 18087494A JP 18087494 A JP18087494 A JP 18087494A JP H0820694 A JPH0820694 A JP H0820694A
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JP
Japan
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weight
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flame
thermoplastic resin
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JP18087494A
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Inventor
Toru Yoshida
融 吉田
Mamoru Ishida
守 石田
Masahiro Asada
正博 浅田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 α−メチルスチレン60〜80重量%とアク
リロニトリル40〜20重量%からなる共重合体を必須
とするスチレン系共重合体とグラフト共重合体により構
成されるスチレン系樹脂(D)とポリカーボネート樹脂
(E)の合計100重量部と、ブロム化ビスフェノール
型カーボネートオリゴマー(F)5〜40重量部、三酸
化アンチモン(G)1〜15重量部からなる難燃熱可塑
性樹脂組成物(S)に、平均断面積が1.5π(13/
2)2 ×10-6〜5.5π(13/2)2 ×10-6mm2
であり、繊維フィラメントの集束剤としてエポキシ系樹
脂を用いた繊維状強化剤(H)を1〜70重量%配合し
た強化難燃熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 成形加工性(流動性)、ウェルド強度、耐衝
撃性、難燃性および成形品の低反り性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形加工性(流動性)
に優れ、ウェルド強度、耐衝撃性、難燃性および低反り
性に優れた成形品を提供する強化難燃熱可塑性樹脂組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂とポリカーボネート樹脂との
アロイ樹脂は、その優れた耐衝撃性により、自動車部
品、電気用品機器、事務機器その他多くの分野において
使用されており、OA機器ハウジング材等にもガラス繊
維や炭素繊維等で強化することにより剛性を向上させて
使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、繊維状強化剤
を添加すると成形加工性が低下し、また、このような繊
維強化系樹脂においては、ウェルド部分で強化剤が流れ
方向に対して垂直方向に配向し、これがウェルド強度の
低下を引き起こす原因の1つとなっていることが知られ
ている。繊維強化系樹脂の耐衝撃性を向上させるために
繊維状強化剤の表面をシラン処理することがよく知られ
ているが、表面処理剤を適切に選定しただけでは耐衝撃
性を向上させるには不充分なことが多い。また、繊維状
強化剤を添加することで成形時の流動縦方向とこれに垂
直方向の収縮率に差が生じ、その結果、成形品に反りや
ねじれが生じてしまうという問題がある。さらに、OA
機器ハウジング等の電機部品に使用される場合、難燃剤
等を添加して難燃化を図るが、繊維状強化剤の含有量が
高くなるにつれて難燃性が低下し、難燃剤等を増量せざ
るを得ない場合がある。難燃剤の増量は、機械的強度の
低下をもたらすだけでなく、コストアップにつながる。
【0004】繊維状強化剤を添加しても成形加工性が良
く、ウェルド特性に優れ、耐衝撃性に優れ、安定した難
燃性が発現し、さらに成形品の反りやねじれといった変
形が少ないという条件を個々に満たす樹脂組成物は広く
知られているが、これらの条件を同時に全て満たす強化
系難燃樹脂組成物を得ることは至難であり、一層の改良
が切望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる問題
点に鑑み、成形加工性が良く、優れたウェルド特性を保
ち、高い耐衝撃性、安定した難燃性を発現し、特に繊維
状強化剤が高含有量であっても難燃性が低下せず、さら
に成形品の反り、ねじれが小さいという条件を同時に満
たす強化難燃樹脂組成物を得るべく鋭意努力した結果、
α−メチルスチレンとアクリロニトリルからなるスチレ
ン系共重合体を必須とするスチレン系樹脂とポリカーボ
ネート樹脂の混合系に、難燃剤と特定の集束剤で集束さ
れ、特定の断面積あるいは形状をもつ繊維状強化剤を配
合することにより、流動加工性を低下させることなく、
ウェルド強度が著しく向上し、耐衝撃性も優れ、しか
も、繊維状強化剤が高含有量の場合でも難燃性が低下せ
ず、成形品の反りやねじれも小さくなることを見いだし
本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、下記の難燃熱可塑性樹
脂組成物(S)に、平均断面積が1.5π(13/2)
2 ×10-6〜5.5π(13/2)2 ×10-6mm2 (π
は円周率)であり、繊維フィラメントの集束剤としてエ
ポキシ系樹脂を用いた繊維状強化剤(H)を1〜70重
量%配合してなる、成形加工性(流動性)、ウェルド強
度、耐衝撃性、難燃性および成形品の低反り性に優れた
強化難燃熱可塑性樹脂組成物に関するものである。 難燃熱可塑性樹脂組成物(S):下記のスチレン系樹脂
(D)10〜90重量部とポリカーボネート樹脂(E)
90〜10重量部の(D)+(E)合計100重量部に
対し、ブロム化ビスフェノール型カーボネートオリゴマ
ー(F)5〜40重量部と三酸化アンチモン(G)1〜
15重量部からなる組成物。 スチレン系樹脂(D): (A)α−メチルスチレン60〜80重量%とアクリロ
ニトリル40〜20重量%からなるスチレン系共重合体
10〜80重量部、(B)芳香族ビニル化合物50〜9
0重量%、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、そ
の他共重合可能なビニル化合物0〜30重量%からなる
スチレン系共重合体10〜80重量部、(C)共役ジエ
ン系ゴム40〜90重量部にビニル系単量体60〜10
重量部を重合してなるグラフト重合体において、ビニル
系単量体が、芳香族ビニル化合物50〜90重量%、シ
アン化ビニル化合物10〜40重量%、その他共重合可
能なビニル化合物0〜20重量%であるグラフト共重合
体5〜50重量部、の(A)+(B)+(C)の合計で
100重量部からなるスチレン系樹脂。さらに、該繊維
状強化剤(H)が、異形比(断面において最も長い距離
と短い距離の比)が1.5〜4である、断面がまゆ型、
ひょうたん型、だ円型またはそれらの類似型のガラス繊
維である場合に、より一層効果的に本発明の目的を達成
することができる。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明でまず重要なのは、スチレン系共重合体(A)であ
る。スチレン系共重合体(A)は、α−メチルスチレン
60〜80重量%とアクリロニトリル40〜20重量%
からなる。このスチレン系共重合体(A)を必須とする
ことで、最終組成物のウェルド強度が向上し難燃性が飛
躍的に向上する。特に、最終組成物中の繊維状強化剤の
含有量が30重量%以上の高含有量の場合に、その効果
が顕著となる。α−メチルスチレン量は60〜80重量
%であるが、ウェルド強度の向上および難燃性の向上か
ら好ましいのは65〜75重量%である。60重量%未
満ではウェルド強度の向上および難燃性の向上が小さ
く、80重量%を越えると最終組成物の成形加工性が低
下する。アクリロニトリル量は40〜20重量%であ
り、40重量%を越えると成形時の熱着色が生じ、20
重量%未満では耐衝撃性が低下する。
【0008】スチレン系樹脂(D)におけるスチレン系
共重合体(A)の構成量は10〜80重量部であるが、
ウェルド強度の向上および難燃性の向上から好ましいの
は20〜70重量部である。10重量部未満ではウェル
ド強度の向上と難燃性の向上性が乏しく、80重量部を
越えると最終組成物の成形加工性が低下する。
【0009】スチレン系共重合体(B)において、芳香
族ビニル化合物は50〜90重量%であるが、好ましく
は60〜80重量%である。50重量%未満では成形加
工性が低下し、90重量%を越えると耐衝撃性が低下す
る。シアン化ビニル化合物は10〜40重量%である
が、好ましくは15〜35重量%である。40重量%を
越えると成形時の熱着色等が生じ、また10重量%未満
では耐衝撃性等が低下する。芳香族ビニル化合物として
は、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン、クロロスチレン等があり、シアン化ビ
ニル化合物としてはアクリロニトリル、メタクリロニト
リル等がある。その他共重合可能なビニル化合物として
は、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、
ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチ
ルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート、マレイミド、メチルマレイミド、フェニルマレ
イミド、シクロヘキシルマレイミド、N−アルキルマレ
イミドなどが挙げられる。上記芳香族ビニル化合物、シ
アン化ビニル化合物、その他共重合可能なビニル化合物
は、いずれも単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。
【0010】スチレン系樹脂(D)におけるスチレン系
共重合体(B)の構成量は10〜80重量部であるが、
最終組成物の流動性を低下させないために15重量部以
上が好ましく、ウェルド強度の向上と難燃性の向上を考
慮すると70重量部以下が好ましい。80重量部を越え
るとウェルド強度および難燃性が低下し、10重量部未
満では成形加工性が低下する。
【0011】グラフト共重合体(C)において、共役ジ
エン系ゴムは40〜90重量部であるが、好ましくは5
0〜85重量部である。40重量部未満では耐衝撃性が
低下し、90重量部を越えると成形加工性が低下する。
ビニル系単量体は60〜10重量部であるが、ここにお
いて、芳香族ビニル化合物は、50〜90重量%であ
る。好ましくは55〜85重量%である。50重量%未
満では成形加工性が低下し、90重量%を越えると耐衝
撃性が低下する。シアン化ビニル化合物は10〜40重
量%であるが、好ましくは15〜35重量%である。1
0重量%未満では耐衝撃性が低下し、40重量%を越え
ると成形時に熱着色が生じる。
【0012】共役ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリ
ブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。芳香
族ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン
等が挙げられ、シアン化ビニル化合物としてはアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。その他
共重合可能なビニル化合物としては、例えばメチルアク
リレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチル
メタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、グリシジルメタクリレート、マレイミド、
メチルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシ
ルマレイミド、N−アルキルマレイミドなどが挙げられ
る。上記共役ジエン系ゴム、芳香族ビニル化合物、シア
ン化ビニル化合物、その他共重合可能なビニル化合物
は、いずれも単独又は2種以上組み合わせて用いられ
る。
【0013】スチレン系樹脂(D)におけるグラフト共
重合体(C)の構成量は5〜50重量部であるが、好ま
しくは10〜40重量部である。5重量部未満では耐衝
撃性が低下し、50重量部を越えると成形加工性が低下
する。
【0014】スチレン系樹脂(D)は、上記スチレン系
共重合体(A)、スチレン系共重合体(B)およびグラ
フト共重合体(C)の構成量からなり、(A)+(B)
+(C)の合計で100重量部である。
【0015】スチレン系共重合体(A)、スチレン系共
重合体(B)およびグラフト共重合体(C)は、好まし
くは乳化重合法によって製造されるが、他の製法、例え
ば、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、乳化−懸濁
重合法、塊状−懸濁重合法など種々の重合法によって製
造しうる。上記乳化重合としては、従来通常用いられて
いる方法を用いればよい。すなわち、前述した各種の単
量体を水性溶媒中、ラジカル重合開始剤の存在下で重合
させればよい。その際、各単量体を混合した後、添加し
てもよく、また必要に応じて、各別に添加してもよい。
また、単量体を反応系に添加する場合、あらかじめ全量
を仕込んでおいてもよく、また逐次添加するようにして
もよい。特に、α−メチルスチレンを用いる場合には、
α−メチルスチレンの全量あるいは一部を先に仕込み、
残りの単量体混合物を逐次添加するようにすれば、耐熱
変形性に優れた重合体を製造することができる。
【0016】乳化重合に用いる乳化剤としては、通常用
いる乳化剤、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリ
ン酸カリウム等の脂肪酸石鹸、アルキルスルホコハク酸
ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アルキル硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらは単独又
は2種以上組み合わせて用いられる。
【0017】ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウム、クメンヒドロパーオキサイ
ド、パラメンタンヒドロパーオキサイドのような水溶性
または油溶性の過酸化物が挙げられ、これらは単独又は
2種以上組み合わせて用いられる。重合度調節剤は、乳
化重合の際に一般的に使用されているものを適宜選択し
て用いればよい。
【0018】乳化重合で得られたラテックスから樹脂粉
末を回収する方法としては、従来公知の方法を用いるこ
とができる。例えば、ラテックスに塩酸、硫酸、酢酸等
の酸、および、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫
酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の水溶性金属塩を
加えてラテックスを凝固した後、脱水乾燥すればよい。
スチレン系共重合体(A)、スチレン系共重合体(B)
およびグラフト共重合体(C)は、各々別に凝固、脱水
してもよく、また、ラテックス状態においてブレンドし
た後、一度に凝固、脱水してもよい。
【0019】なお、他の重合方法として、グラフト共重
合体(C)を重合させたラテックス存在下、スチレン系
共重合体(A)およびスチレン系共重合体(B)を構成
すべき単量体を重合させる1段法による重合も可能であ
る。スチレン系樹脂(D)を得るためのスチレン系共重
合体(A)、スチレン系共重合体(B)およびグラフト
共重合体(C)の混合の仕方に何等制限はなく、ラテッ
クス状態で混合してもよいし、樹脂粉末状態にしてから
混合してもよい。スチレン系共重合体(A)、スチレン
系共重合体(B)およびグラフト共重合体(C)の固有
粘度には特に制限はないが、スチレン系共重合体
(A)、スチレン系共重合体(B)およびグラフト共重
合体(C)から構成されるスチレン系樹脂(D)の、メ
チルエチルケトンに可溶成分の固有粘度が0.3〜1.
0dl/g(N,N′−ジメチルホルムアルデヒド溶液、3
0℃)の範囲のものが成形加工性において好ましい。
【0020】本発明で用いるポリカーボネート樹脂
(E)は、2価フェノール化合物とホスゲンまたは炭酸
ジエステルの反応により製造される芳香族ポリカーボネ
ートである。2価フェノール化合物としては、ビスフェ
ノール類が好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキ
シルフェニル)プロパン、いわゆるビスフェノールAが
好ましい。ビスフェノールAの一定量あるいは全量を他
の2価フェノール化合物で置換することもできる。ビス
フェノールA以外の2価フェノール化合物としては、ハ
イドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン等の化合物が挙げられる。これらの2価フェ
ノール化合物からなるホモポリマーまたは2種以上から
なるコポリマー、あるいは、これらのブレンド物のいず
れであってもよい。また、難燃性を高めるために、リン
化合物を共重合あるいは末端封止に使用することもでき
る。
【0021】難燃熱可塑性樹脂組成物(S)において、
スチレン系樹脂(D)とポリカーボネート樹脂(E)
は、双方の合計で100重量部であるが、このうちスチ
レン系樹脂(D)は10〜90重量部である。好ましく
は20〜80重量部であり、さらに好ましくは30〜7
0重量部である。10重量部未満では成形加工性が低下
し、90重量部を越えると耐衝撃性が低下する。ポリカ
ーボネート樹脂(E)の構成量は90〜10重量部であ
るが、好ましくは80〜20重量部であり、さらに好ま
しくは70〜30重量部である。90重量部を越えると
成形加工性が低下し、また10重量部未満では耐衝撃性
が低下する。
【0022】本発明に用いる難燃剤は、ブロム化ビスフ
ェノール型カーボネートオリゴマー(F)で、例えばグ
レートレイクスケミカルカンパニー製「BS−52」
(ブロム含有率52%)が挙げられる。ブロム化ビスフ
ェノール型カーボネートオリゴマーは樹脂との相溶性も
よく、表面へのブリードもない。使用量は、上記(D)
+(E)の合計100重量部に対し、5〜40重量部、
好ましくは10〜35重量部である。5重量部未満では
難燃性の発現に乏しく、40重量部を越えると機械的物
性の低下をきたす。ブロム含有率に特に制限はないが、
10重量%以上であることが難燃化の上で効果的であ
る。
【0023】本発明に用いる三酸化アンチモン(G)の
添加部数は、上記(D)+(E)の合計100重量部に
対し、1〜15重量部であり、好ましくは3〜10重量
部である。この添加部数が、15重量部を越えると耐衝
撃性等の機械的物性が低下し、1重量部未満では難燃効
果が低下する。なお、三酸化アンチモン(G)はブロム
化ビスフェノール型カーボネートオリゴマー(F)と相
乗作用を示し、添加したブロム化ビスフェノール型カー
ボネートオリゴマー(F)の1/6〜1/2の量で難燃
効果が最大となる。
【0024】本発明に用いられる繊維状強化剤(H)
は、平均断面積が1.5π(13/2)2 ×10-6
5.5π(13/2)2 ×10-6mm2 (πは円周率)で
あり、繊維フィラメントの集束剤としてエポキシ系樹脂
を使用した繊維状強化剤である。断面積は成形品の難燃
性と低反り性に大きく関与し、難燃性の向上および成形
品の低反り性から平均断面積は2π(13/2)2 ×1
-6〜4π(13/2)2×10-6mm2 が好ましい。
1.5π(13/2)2 ×10-6mm2 未満では難燃性が
低下し、成形品の反りが大きくなる。5.5π(13/
2)2 ×10-6mm2 を越えると成形品の外観が悪くな
る。また、繊維フィラメントを集束する集束剤としてエ
ポキシ系樹脂を用いると、本発明のスチレン系樹脂とポ
リカーボネート樹脂とのブレンド系において耐衝撃性が
飛躍的に向上する。エポキシ系樹脂としては特に制限は
なく、ビスフェノールA型、フェノールノボラック型、
ビフェニール型、ポリグリシジルアミン型、アルコール
型、エステル型エポキシ樹脂等が例示され、これらは単
独又は2種以上組み合わせて用いられる。エポキシ樹脂
の添加量に特に制限はないが、配合する繊維状強化剤
(H)の0.01〜5重量%の範囲であることが耐衝撃
性を向上する上で好ましい。繊維状強化剤(H)の例と
しては、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、アル
ミニウム繊維、ポリアミド繊維等が挙げられ、これらの
1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0025】また、上記繊維状強化剤(H)が、異形比
(断面において最も長い距離と短い距離の比)が1.5
〜4である、断面がまゆ型、ひょうたん型、だ円型また
はそれらの類似型であるガラス繊維は、難燃性と低反り
性の点でより好ましい。次に、繊維の長さには特に規制
はないが、100〜1000μmが機械的強度において
好ましい。また、シラン系化合物、チタネート系化合物
等で繊維状強化剤を表面処理すると機械的強度等が向上
するため好ましいが、表面処理はあらかじめ繊維状強化
剤に施しておいても、組成物の配合時に表面処理剤を添
加しても良い。これら繊維状強化剤(H)の構成量は、
上記難燃熱可塑性樹脂組成物(S)に対し1〜70重量
%、好ましくは5〜60重量%である。1重量%未満で
は必要とされる機械的物性が得られず、また70重量%
を越えると成形加工性が低下する。
【0026】スチレン系共重合体(A)、スチレン系共
重合体(B)、グラフト共重合体(C)、ポリカーボネ
ート樹脂(E)、ブロム化ビスフェノール型カーボネー
トオリゴマー(F)、三酸化アンチモン(G)からなる
難燃熱可塑性樹脂組成物(S)および繊維状強化剤
(H)の混合方法には何等制限はなく、ヘンシェルミキ
サー、1軸または2軸混練機による混練など一般的な方
法が使用される。ただし、繊維状強化剤については、混
合時に折れ、あるいは割れが発生してしまうことが考え
られ、曲げ弾性率等の低下をきたすことがあるため、押
出機による混練時に途中フィードすることが望ましい。
また、混練に際しては、着色剤、滑剤、可塑剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、など通常の添加剤を
配合してもよい。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらは単なる例示であり、本発明はそれらによ
り何等制限されるものではない。なお、特にことわりの
ない限り、「部」は重量部、「%」は重量%を表す。
【0028】実施例1〜12、比較例1〜13 (イ)スチレン系共重合体(A)および(B)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応缶に次の物質を仕込んだ。 水 200部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 硫酸第一鉄 0.0025部 エチレンジアミン4酢酸ナトリウム 0.01部 反応缶を攪拌しながら窒素気流下で60℃まで昇温させ
た。60℃に到達後、表1に示す量のビニル単量体混合
物(I)を仕込み、充分に攪拌した後、表1に示した量
のビニル単量体混合物(II)を連続的に6時間で滴下、
添加した。滴下終了後、さらに60℃で1時間攪拌を続
け、重合を終了させ、スチレン系共重合体(A−1)、
(A−2)および(B−1)、(B−2)を製造した。
【0029】
【表1】 αMSt:α−メチルスチレン St:スチレン AN:アクリロニトリル tDM:t−ドデシルメルカプタン CHP:クメンハイドロパーオキサイド
【0030】(ロ)グラフト共重合体(C)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応缶に次の物質を仕込んだ。 水 250部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 硫酸第一鉄 0.0025部 エチレンジアミン4酢酸ナトリウム 0.01部 ポリブタジエン 70部 反応缶を攪拌しながら窒素気流下で60℃まで昇温させ
た。60℃に到達後、以下に示す化合物を連続的に4時
間で滴下、添加した。 スチレン 20部 アクリロニトリル 10部 クメンヒドロパーオキサイド 0.2部 滴下終了後さらに60℃で1時間攪拌を続け、重合を終
了させ、グラフト共重合体(C)を製造した。なお、使
用したポリブタジエンは、平均粒径0.25μm、ゲル
含有率90%でラテックス状のものである。
【0031】(ハ)強化難燃熱可塑性樹脂組成物の製造 スチレン系共重合体(A)に、フェノール系酸化防止剤
を添加し、塩化カルシウムで凝固し、脱水、水洗、乾燥
し、スチレン系樹脂を得た。また、スチレン系共重合
体(A)とグラフト共重合体(C)をラテックス状態に
おいて75:25の割合で混合し、この混合ラテックス
にフェノール系酸化防止剤を添加し、塩化カルシウムで
凝固し、脱水、水洗、乾燥し、スチレン系樹脂を得
た。さらに、スチレン系共重合体(B)とグラフト共重
合体(C)についてもラテックス状態で75:25の割
合で混合し、上記と同様にしてスチレン系樹脂を得
た。これらスチレン系樹脂、スチレン系樹脂および
スチレン系樹脂を表2に示す構成部数で混合し、スチ
レン系樹脂(D)を得た。このようにして得られたスチ
レン系樹脂(D)とポリカーボネート樹脂(E)、ブロ
ム化ビスフェノール型カーボネートオリゴマー(F)、
三酸化アンチモン(G)からなる難燃熱可塑性樹脂組成
物(S)および表3に示したガラス繊維(H)を表4〜
表7に示す配合比率で混合し、2軸押出機にて押し出し
た。ただし、ガラス繊維は混練時に途中フィードした。
なお、ブロム化ビスフェノール型カーボネートオリゴマ
ー(F)としては、「BS−52」(ブロム含有率52
%、グレートレイクスケミカルカンパニー製)を用い
た。
【0032】得られた強化難燃熱可塑性樹脂組成物を用
いて射出成形し、成形加工性を調べ、さらに曲げ試験、
燃焼性試験および反り変形量の測定を行った。成形加工
性は250℃、射出圧1000kg/cm2で成形したスパイ
ラルフロー値(厚み3mm)を指標とした。曲げ試験で
は、射出成形時に1点ゲートで成形したウェルド部の無
い長さ5インチ×幅1/2インチ×厚さ1/4インチの
試験片、および2点ゲートで成形し中央部にウェルド部
の生じた同寸法の試験片を用い、ASTM、D790に
準じて曲げ強度を測定した。燃焼性は米国におけるUL
で規格化されたサブジェクト94号(UL−94)に基
づき、長さ5インチ×幅1/2インチ×厚さ1/16イ
ンチの試験片を用いて行い、難燃性クラスとしては、9
4V−0、94V−1、94V−2、およびB(燃焼)
の4段階で判定した。反り変形量は、150×150×
3mmの平板試験片をフラットな机上に置き、最も反り上
がった点と机の表面との距離を指標とした。以上の評価
結果は表4〜表7に示す通りである。表4及び表5の実
施例のサンプルは、成形加工性、ウェルド強度、耐衝撃
性、難燃性および成形品の低反り性に優れている。これ
に対し、表6及び表7の比較例のサンプルは、成形加工
性、ウェルド強度、耐衝撃性、難燃性あるいは成形品の
低反り性に劣ることが明らかである。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
強化難燃熱可塑性樹脂組成物をプラスチックス成形材料
とし、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形等に
より成形した場合、各種自動車部品、電気用品機器、事
務OA機器等として用いて好適な、優れた成形加工性
(流動性)、ウェルド強度、耐衝撃性、難燃性および低
反り性を同時に併せもつプラスチックス成形品が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 LPP

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の難燃熱可塑性樹脂組成物(S)
    に、平均断面積が1.5π(13/2)2 ×10-6
    5.5π(13/2)2 ×10-6mm2 (πは円周率)で
    あり、繊維フィラメントの集束剤としてエポキシ系樹脂
    を用いた繊維状強化剤(H)を1〜70重量%配合して
    なる、成形加工性(流動性)、ウェルド強度、耐衝撃
    性、難燃性および成形品の低反り性に優れた強化難燃熱
    可塑性樹脂組成物。 難燃熱可塑性樹脂組成物(S):下記のスチレン系樹脂
    (D)10〜90重量部とポリカーボネート樹脂(E)
    90〜10重量部の(D)+(E)合計100重量部に
    対し、ブロム化ビスフェノール型カーボネートオリゴマ
    ー(F)5〜40重量部と三酸化アンチモン(G)1〜
    15重量部からなる組成物。 スチレン系樹脂(D): (A)α−メチルスチレン60〜80重量%とアクリロ
    ニトリル40〜20重量%からなるスチレン系共重合体
    10〜80重量部、(B)芳香族ビニル化合物50〜9
    0重量%、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、そ
    の他共重合可能なビニル化合物0〜30重量%からなる
    スチレン系共重合体10〜80重量部、(C)共役ジエ
    ン系ゴム40〜90重量部にビニル系単量体60〜10
    重量部を重合してなるグラフト重合体において、ビニル
    系単量体が、芳香族ビニル化合物50〜90重量%、シ
    アン化ビニル化合物10〜40重量%、その他共重合可
    能なビニル化合物0〜20重量%であるグラフト共重合
    体5〜50重量部、の(A)+(B)+(C)の合計で
    100重量部からなるスチレン系樹脂。
  2. 【請求項2】 繊維状強化剤(H)が、異形比(断面に
    おいて最も長い距離と短い距離の比)が1.5〜4であ
    る、断面がまゆ型、ひょうたん型、だ円型またはそれら
    の類似型のガラス繊維である請求項1記載の強化難燃熱
    可塑性樹脂組成物。
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