JP2001234052A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物およびその再生成形材料 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物およびその再生成形材料

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JP2001234052A JP2000047117A JP2000047117A JP2001234052A JP 2001234052 A JP2001234052 A JP 2001234052A JP 2000047117 A JP2000047117 A JP 2000047117A JP 2000047117 A JP2000047117 A JP 2000047117A JP 2001234052 A JP2001234052 A JP 2001234052A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、耐熱性、流動性、難燃性、リサイ
クル特性に優れた非ハロゲン性の難燃性熱可塑性樹脂組
成物およびその再生成形材料を提供すること。 【解決手段】 (A)エチレン−プロピレン系ゴム質重
合体および/または水素添加ジエン系ゴム質重合体の存
在下に、単量体成分をグラフト重合して得られるゴム強
化樹脂10〜40重量部、および(B)重量平均分子量
が16,000〜30,000の芳香族ポリカーボネー
ト90〜60重量部、の合計100重量部に対して、
(C)特定の構造式を有するリン酸エステル化合物8〜
25重量部、および、(D)ポリテトラフルオロエチレ
ン0.05〜10重量部を含有する難燃性熱可塑性樹脂
組成物およびその成形品の粉砕品を含有する再生成形材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、耐熱
性、流動性、難燃性、リサイクル特性に優れた非ハロゲ
ン系の難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、難燃性を付与したABS樹脂は、
成形品表面外観、成形加工性、機械的性質などが優れて
いることより、電気・電子分野、OA機器分野に幅広く
使用されている。近年、これらの製品においては、環境
保護の立場よりハロゲン系難燃剤の使用を自粛する傾向
があり、PC(ポリカーボネート)/ABSアロイ樹脂
をベースにリン酸エステル系難燃剤を組み合わせた難燃
材料が上市されている。しかしながら、PC/ABSア
ロイ樹脂にリン酸エステル系難燃剤を組み合わせた場合
には、リサイクル性、特にリサイクルした場合の耐衝撃
性の低下が大きい問題がある。リサイクルした場合の耐
衝撃性の低下は、主にポリカーボネートの分子量低下に
よって引き起こされる。このため、高分子量ポリカーボ
ネートをベースにすると耐衝撃性の低下はある程度防止
できるが、反面、流動性が低下し、実際の成形材料とし
ては適さないものとなる。そして、ポリカーボネートの
分子量低下を防止するための熱安定剤も、効果の優れた
ものは現状では現れていない。このため、一般的には、
PC/ABS樹脂にリン酸エステル系難燃剤を組み合わ
せた材料は、リサイクルには適さないと言われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、上記問題点を解決で
きる、高流動性でリサイクル後の耐衝撃性に優れ、広範
囲の用途に使用できる非ハロゲン系の難燃性熱可塑性樹
脂組成物を提供することを目的とする。本発明者らは、
かかる現状に鑑み、鋭意材料の開発について検討した結
果、特定のゴム強化樹脂、特定の芳香族ポリカーボネー
ト、特定のリン酸エステル系難燃剤および特定の添加剤
を使用することで、上記問題点を解決できることを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)(a)
エチレン−プロピレン系ゴム質重合体および/または水
素添加ジエン系ゴム質重合体の存在下に、(b)芳香族
ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を主成分とす
る単量体成分をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂
10〜40重量部、および(B)重量平均分子量が1
6,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート9
0〜60重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量
部〕の合計100重量部に対して、(C)下記一般式
(I)で表されるリン酸エステル化合物8〜25重量
部、および(D)ポリテトラフルオロエチレン0.05
〜10重量部を配合してなることを特徴とする難燃性熱
可塑性樹脂組成物に関する。
【0005】
【化2】
【0006】(ただし、R1 ,R2 ,R3 およびR
4 は、それぞれ相互に独立して選ばれるフェニル基また
はキシレニル基、Xはm−フェニレン基または2,2−
ビス(4′−フェニレン)プロパン基を表し、nは0.
5〜1.2である。) また、本発明は、上記難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形
品の粉砕品を5重量%以上含有する再生成形材料に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の(A)ゴム強化樹脂は、
(a)エチレン−プロピレン系ゴム質重合体および/ま
たは水素添加ジエン系ゴム質重合体の存在下に、(b)
芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を主成
分とする単量体成分をグラフト重合して得られる。な
お、本発明の(A)ゴム強化樹脂は、上記グラフト重合
して得られるゴム強化樹脂に、上記単量体成分の群から
選ばれた少なくとも1種の単量体成分の(共)重合体を
別に製造し、ブレンドしたものでもよい。
【0008】上記エチレン−プロピレン系ゴム質重合体
としては、エチレンとプロピレンからなる二元共重合
体、エチレン、プロピレン、および非共役ジエンからな
る三元共重合体などが挙げられる。非共役ジエンとして
は、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロペン
タジエンなどが挙げられる。エチレン−プロピレン系ゴ
ム質重合体中のエチレンとプロピレンの重量比は、9
0:10〜20:80が好ましい。
【0009】また、水素添加ジエン系ゴム質重合体とし
ては、スチレン−ブタジエン(ブロック)共重合体の水
素添加物、スチレン−イソプレン(ブロック)共重合体
の水素添加物、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体
の水素添加物、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体の水素添加物、その他のブタジエン系(共)
重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共
重合体の水素添加物、などのジエン系重合体の水素添加
物が挙げられる。上記(a)成分は、1種単独で使用す
ることも、あるいは2種以上を混合して使用することも
できる。これらの中で、好ましくはエチレン−プロピレ
ン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の
水素添加物である。
【0010】なお、(a)成分の重量平均分子量(M
w)は、好ましくは6万〜30万、さらに好ましくは7
万〜25万である。6万未満では、得られる(A)ゴム
強化樹脂の耐衝撃性が劣る。一方、30万を超えると、
成形外観が悪くなり、好ましくない。また、(A)ゴム
強化樹脂中の(a)成分の電子顕微鏡法および画像解析
法により測定される平均粒子径は、0.05〜1.5μ
m、好ましくは0.1〜1.0μm、さらに好ましくは
0.15〜0.6μmである。平均粒子径が0.05μ
m未満であると、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の
耐衝撃強度が低下し、一方、1.5μmを超えると、樹
脂組成物の成形品表面外観が低下する。また、平均粒子
径の異なる2種以上の(a)成分を用いてもよい。好ま
しくは、0.10〜0.30μmと0.40〜1.0μ
mの2種の粒径の異なる(a)成分を用いる。この場
合、2種以上の(a)成分の存在下で(A)ゴム強化樹
脂を製造しても、また、それぞれゴム粒子径の異なる2
種の(A)ゴム強化樹脂を使用することもできる。
【0011】また、上記(A)ゴム強化樹脂中の(a)
成分の含有量は、好ましくは5〜60重量%、さらに好
ましくは10〜50重量%、特に好ましくは10〜40
重量%である。(A)成分中の(a)成分の含有量が5
重量%未満では、耐衝撃強度が低下し、一方、60重量
%を超える場合は、成形加工性、剛性が低下する。
【0012】(A)成分のグラフト重合に用いられる
(b)単量体成分中の芳香族ビニル化合物としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエ
ン、メチル−α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、
1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−
アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノ
メチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレンなど
が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ま
しい。単量体成分中に、α−メチルスチレンを10〜5
0重量%、好ましくは20〜30重量%用いると、本発
明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に耐熱性を付与すること
ができる。
【0013】上記芳香族ビニル化合物の配合量は、
(b)単量体成分中に、好ましくは45〜90重量%、
さらに好ましくは45〜80重量%、特に好ましくは4
5〜70重量%である。
【0014】(b)単量体成分中のシアン化ビニル化合
物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルな
どが挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。上記シア
ン化ビニル化合物の配合量は、(b)単量体成分中に、
好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40
重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
【0015】上記(b)単量体成分には、さらに必要に
応じて共重合可能なその他の単量体を使用することがで
きる。その他の単量体としては、例えば、不飽和酸無水
物、不飽和酸、不飽和ジカルボン酸のイミド化合物など
が挙げられる。不飽和酸無水物としては、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げら
れ、無水マレイン酸が好ましい。不飽和酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。不飽和ジカ
ルボン酸のイミド化合物としては、マレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニル
マレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、
N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シク
ロヘキシルマレイミドなどが挙げられ、N−フェニルマ
レイミドが好ましい。上記(A)成分に使用される
(b)単量体成分は、単独であるいは2種以上混合して
用いられる。
【0016】さらに、上記(b)成分には、必要に応じ
て、官能基含有ビニル単量体を使用することもできる。
官能基含有ビニル単量体としては、具体例として、グリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリ
ルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合
物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−
1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トラ
ンス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−
2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒド
ロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸ア
ミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メ
タクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;
アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;ビニルオキ
サゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが
挙げられる。上記官能基含有ビニル単量体は、単独であ
るいは2種以上混合して用いられる。これらの官能基含
有ビニル単量体を共重合することで、他の樹脂を配合し
た場合に、該樹脂との界面密着(相溶性)を高めること
ができる。
【0017】上記(A)ゴム強化樹脂のグラフト率は、
好ましくは20〜150%、さらに好ましくは20〜1
00%、特に好ましくは20〜80%である。ここで、
グラフト率(%)は、ゴム質重合体にグラフトした単量
体成分の割合であり、次式により求められる値である。 グラフト率(%)=100×(T−S)/S (ただし、Sは、ゴム強化樹脂1g中のゴム質重合体の
重量を表し、仕込み量から計算した値である。また、上
記Tは、メチルエチルケトン不溶分であり、ゴム強化樹
脂1gを50mlのメチルエチルケトン中に投入し、振
とう機で室温下、2時間振とうし、遊離の(共)重合体
を溶解させ、遠心分離器を用いて、この溶液を15,0
00rpmで30分間、遠心分離し、得られた不溶分
を、真空乾燥により120℃で1時間乾燥したものの重
量である。) グラフト率が20%未満では、得られる難燃性熱可塑性
樹脂組成物の耐衝撃強度が劣る。一方、150%を超え
ると、流動性、難燃性が劣る。
【0018】また、本発明の(A)ゴム強化樹脂中のマ
トリックス成分であるメチルエチルケトン可溶分の極限
粘度〔η〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)
は、好ましくは0.2〜1.0dl/g、さらに好まし
くは0.3〜1.0dl/g、特に好ましくは0.3〜
0.8dl/gである。なお、極限粘度の測定は、
(A)成分1gを20mlのメチルエチルケトン中に投
入し、振とう機で室温下、2時間振とうし、遊離の
(共)重合体を溶解させ、遠心分離器を用いて、この溶
液を15,000rpmで30分間、遠心分離し、分離
乾燥後の不溶分を除いた可溶分について測定する。極限
粘度〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、耐熱性、
流動性に優れる。なお、上記グラフト率(%)、極限粘
度〔η〕は、ゴム強化樹脂を重合するときの、重合開始
剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに
重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制
御することができる。
【0019】本発明のゴム強化樹脂は、(a)ゴム質重
合体の存在下に、(b)単量体成分を、公知の乳化重
合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合などでラジカルグラ
フト重合を行い、製造することができる。好ましくは乳
化重合、溶液重合である。なお、ゴム強化樹脂を製造す
るのに用いる(a)ゴム質重合体および(b)単量体成
分は、ゴム質重合体全量の存在下に、単量体成分を一括
添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重
合してもよい。また、これらを組み合わせた方法で、重
合してもよい。さらに、ゴム質重合体の全量または一部
を、重合途中で添加して重合してもよい。
【0020】また、上記ラジカルグラフト重合には、通
常、使用されている重合溶媒(溶液重合の場合)、重合
開始剤、連鎖移動剤、乳化剤(乳化重合の場合)などが
用いられる。
【0021】溶液重合法では、溶剤が用いられる。この
溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶
剤であり、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香
族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケト
ン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化
炭化水素などが用いられる。溶剤の使用量は、上記ゴム
質重合体および単量体成分の合計量100重量部に対
し、好ましくは20〜200重量部、さらに好ましくは
50〜150重量部である。
【0022】上記重合開始剤は、重合法に合った一般的
な開始剤が用いられる。溶液重合に際しては、例えばケ
トンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジア
シルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物が重合開始剤として用
いられる。また、重合開始剤は、重合系に、一括または
連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量
は、単量体成分に対し、通常、0.05〜2重量%、好
ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0023】また、乳化重合に際しては、重合開始剤と
して、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイド
ロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオ
キサイド類と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート
処方などで代表される還元剤との組み合わせによるレド
ックス系、あるいは過硫酸塩、アゾビスイソブチロニト
リル、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物が使用
される。好ましくは、油溶性開始剤であり、クメンハイ
ドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロ
パーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド
などで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と、含
糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方などで代表さ
れる還元剤との組み合わせによるレドックス系がよい。
また、上記油溶性開始剤と水溶性開始剤とを組み合わせ
てもよい。組み合わせる場合の水溶性開始剤の添加比率
は、全添加量の好ましくは50重量%以下、さらに好ま
しくは25重量%以下である。さらに、重合開始剤は、
重合系に一括または連続的に添加することができる。重
合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.1
〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%であ
る。
【0024】また、連鎖移動剤としては、オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テト
ラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン
などのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィ
ド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエ
タンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロ
レイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグ
リコール、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げら
れる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上を
組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用
方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいずれ
の方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単量
体成分に対し、通常、0.05〜2.0重量%以下程度
である。
【0025】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
このうち、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級
アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン
酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、高級脂肪酸塩、リン酸系、
脂肪酸塩などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性
剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキル
エステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエ
ーテル型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤と
しては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステ
ル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部
分としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つも
のが挙げられる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対
し、通常、0.3〜5.0重量%程度である。
【0026】なお、乳化重合を促進させるために、上記
重合開始剤とともに、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第1鉄、グル
コース、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレー
ト、L−アスコルビン酸およびその塩などの還元剤や、
グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウ
ムなどのキレート剤を併用することもできる。乳化重合
に際しては、上記乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤のほ
か、必要に応じて各種電解質、pH調整剤などを併用
し、上記単量体成分の合計量100重量部に対し、例え
ば水を、通常、100〜300重量部使用する。なお、
重合温度は、通常、30〜130℃、好ましくは40〜
100℃とし、通常、1〜5時間重合させる。
【0027】なお、(A)ゴム強化樹脂が乳化重合によ
り製造される場合には、通常、凝固剤により凝固させ、
得られた粉末を水洗後、乾燥することにより精製させ
る。凝固剤としては、例えば硫酸、塩酸などの酸、塩化
ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸
マグネシウム、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、
硫酸アルミニウム、活性シリカ、リン酸カリウムなどの
無機塩などが挙げられる。(A)成分中にこれら無機塩
の凝固剤が残ると、(B)芳香族ポリカーボネートの分
解が起こる恐れがあるので、凝固剤としては、酸のほう
が好ましい。
【0028】なお、本発明の(A)ゴム強化樹脂には、
必要に応じて、上記(b)単量体成分から選ばれた少な
くとも1種の単量体成分の(共)重合体を配合してもよ
い。ここで、(共)重合体の単量体成分は、上記グラフ
ト重合に使用される単量体成分と同一の組成であって
も、異なっていてもよい。また、上記(共)重合体は、
幾つかの(共)重合体成分の組み合わせであってもよ
い。上記(共)重合体は、例えば、上記と同様に重合し
て得ることができる。上記(共)重合体のメチルエチル
ケトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエチル
ケトン中で測定)は、好ましくは0.2〜1.0dl/
g、さらに好ましくは0.3〜1.0dl/g、特に好
ましくは0.3〜0.8dl/gである。極限粘度
〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、耐熱性、流動
性、難燃性、リサイクル特性に優れた本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物が得られる。なお、極限粘度〔η〕
は、上記と同様に制御することができる。
【0029】代表的な(A)ゴム強化樹脂としては、下
記のような組成が挙げられるが、本発明の権利範囲は、
その請求範囲を超えないかぎり、下記の例示に何ら限定
されるものではない。 エチレン−プロピレン共重合体/アクリロニトリル/
スチレングラフト共重合体 エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重
合体/アクリロニトリル/スチレングラフト共重合体 ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物
/アクリロニトリル/スチレングラフト共重合体
【0030】(A)成分の配合量は、(A)および
(B)成分合計100重量部中に、10〜40重量部、
好ましくは10〜30重量部、特に好ましくは20〜3
0重量部である。配合量が10重量部未満であると加工
性が低下し、一方、40重量部を超えると燃焼性評価に
劣る。
【0031】次に、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
に用いられる(B)重量平均分子量が16,000〜3
0,000の芳香族ポリカーボネート樹脂としては、種
々のジヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの反応に
よって得られるもの(ホスゲン法)、あるいはジヒドロ
キシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエス
テル交換反応によって得られるもの(エステル交換法)
が挙げられる。代表的な芳香族ポリカーボネートとして
は、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、すなわちビスフェノールAとホスゲンとの反応によ
って得られるポリカーボネートである。
【0032】ここで、ポリカーボネートの原料となるジ
ヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン、2,2′−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス
(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパ
ン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェ
ニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1′−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1′
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′
−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスル
フィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェ
ニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスル
ホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチ
ルジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′
−ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾル
シンなどが挙げられ、これらは、1種または2種以上で
用いられる。特に好ましいものは、2,2′−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノ
ールAである。
【0033】上記(B)芳香族ポリカーボネートの重量
平均分子量は、16,000〜30,000、好ましく
は17,000〜28,000、さらに好ましくは1
8,000〜26,000である。重量平均分子量が1
6,000未満では耐衝撃性が劣り、一方、30,00
0を超えると流動性が劣る。また、分子量の異なる2種
以上の芳香族ポリカーボネートを用いることもできる。 (B)成分の配合量は、(A)および(B)成分合計1
00重量部中に、90〜60重量部、好ましくは85〜
70重量部、特に好ましくは85〜75重量部である。
【0034】本発明の(C)リン酸エステル化合物は、
上記一般式(I)で表される。ここで、一般式(I)で
表されるリン酸エステル化合物は、1種類の化合物とし
て、または2種類以上の異なるリン酸エステルの混合物
としてのいずれの形態でも使用することができる。上記
1 〜R4 中のフェニル基またはキシレニル基は、その
芳香族環の水素原子がアルキル基などにより置換されて
いてもよい。また、上記Xは、ジヒドロキシ化合物であ
るレゾルシノールまたはビスフェノールAから誘導され
る2価の有機基、すなわちm−フェニレン基または2,
2−ビス(4′−フェニレン)プロパン基である。上記
一般式(I)のR1 ,R2 ,R3 およびR4 はキシレニ
ル基、Xはm−フェニレン基であることが好ましい。 (C)成分が混合物の場合は、nの値は、縮合リン酸エ
ステルの混合物中の平均値(平均重合度)を表す。平均
重合度nは0.5〜1.2、好ましくは0.7〜1.
2、さらに好ましくは0.9〜1.1である。平均重合
度nが0.5未満の場合には、耐熱性が低下し、成形品
のシルバー不良など外観不良を発生しやすい。一方、平
均重合度nが1.2を超えるリン酸エステル化合物は、
製造が困難であるため高価格であり経済的に利用し難
い。
【0035】本発明の(C)縮合リン酸エステルの配合
量は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量
部に対し、8〜25重量部、好ましくは10〜20重量
部、さらに好ましくは10〜15重量部である。8重量
部未満では、難燃性が不充分であり、一方、25重量部
を超えると、耐熱性が低下する。
【0036】本発明の(D)ポリテトラフルオロエチレ
ンは、燃焼時のドリッピング防止剤として使用されるも
のであり、数平均分子量100万以上の高分子量のもの
が好ましい。数平均分子量が100万未満ではドリッピ
ング防止効果が劣る。(D)ポリテトラフルオロエチレ
ンの平均粒径は、好ましくは600μm以下、さらに好
ましくは400μm以下である。平均粒径が600μm
を超えると、耐衝撃強度が低下する。ポリテトラフルオ
ロエチレンの製造方法としては、乳化重合、懸濁重合な
どが挙げられる。
【0037】本発明の(D)成分の配合量は、(A)成
分および(B)成分の合計量100重量部に対し、0.
05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さら
に好ましくは0.1〜0.5重量部である。0.05重
量部未満では、必要なドリッピング防止効果が得られ
ず、一方、10重量部を超えると、耐衝撃強度が低下す
る。
【0038】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイ
ト、タルク、マイカ、カオリン、ガラスビーズ、ガラス
フレーク、ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チ
タン酸カリウムウィスカーなどの充填材を、1種単独で
または2種以上併用することができる。これらの充填材
を配合することで、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
に剛性を付与することができる。また、タルクなどを配
合することで、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に艶
消し性を付与することができる。上記ガラス繊維、炭素
繊維の好ましい形状としては、繊維径が6〜20μm、
繊維長が30μm以上である。
【0039】また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、アンチモン化合物などの難燃助剤、公知のカップ
リング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防止剤、耐候(耐
光)剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)、滑剤、帯
電防止剤などの添加物を、要求される性能を損なわない
範囲で配合することができる。
【0040】さらに、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物には、要求される性能に応じて、他の(共)重合体を
配合することができる。ここで、他の(共)重合体とし
ては、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポ
リマー、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−酢酸ビニル
共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミド
エラストマー、ポリエステルエラストマー、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂などが挙げられ
る。
【0041】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各
種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロー
ル、フィーダールーダーなどを用い、各成分を混練りす
ることにより得られる。好ましい製造方法は、押し出し
機、バンバリーミキサーを用いる方法である。また、各
成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練り
してもよく、数回に分けて添加混練りしてもよい。混練
りは、押し出し機で多段添加式で混練りしてもよく、ま
たバンバリーミキサー、ニーダーなどで混練りし、その
後、押し出し機でペレット化することもできる。
【0042】このようにして得られる本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し、真空
成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、
プレス成形、ブロー成形などによって、各種成形品に成
形することができる。
【0043】上記成形法によって得られる各種成形品
は、耐衝撃性、耐熱性、流動性、難燃性、リサイクル特
性に優れており、OA・家電分野、電気・電子・通信分
野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、車
両分野などで好適に使用することができる。
【0044】さらに、本発明では、本発明の難燃性熱可
塑性樹脂組成物から得られた成形品をリサイクルするた
め、これを粉砕した粉砕物をバージン樹脂などと混ぜ
て、再生成形材料に供することができる。例えば、本発
明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形品を回収材料とし
て、これを、粉砕、洗浄、異物除去し、必要に応じて、
バージン樹脂とともに原料とし、タンブリング処理によ
り均一化処理を行なう。ここで、原料中の回収樹脂の比
率は、5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さら
に好ましくは20〜90重量%、特に好ましくは30〜
80重量%である。5重量%未満では、リサイクル効率
が低下してしまう。一方、上記比率が100重量%であ
れば、リサイクル効率としては、最も好ましい。しかし
ながら、上記比率を大きくすればするほど、リサイクル
材料としての性能、特に異物混入量の増大による成形品
外観の低下が見られ、材料の物性値は低下する場合があ
る。
【0045】回収樹脂は、上記のように、必要に応じ
て、バージン樹脂とともに、タンブラーでタンブリング
して均一化処理されたのち、ペレット化されて、最終的
な再生プラスチック材料とすることができる。このよう
にして得られる再生成形材料は、バージン樹脂とほとん
ど変わらない物性を有するので、本発明の難燃性熱可塑
性樹脂組成物と同様の用途に用いることができる。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に何等制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種評価は、次のようにして測定したも
のである。
【0047】平均粒子径 ゴム質重合体の平均粒子径は、電子顕微鏡法と画像解析
法により計測した。なお、ゴム質重合体がラテックスで
ある場合は、あらかじめ乳化状態で合成したラテックス
の粒径がそのままゴム強化樹脂中の分散粒子の粒径を示
すことを、電子顕微鏡で確認したのち、ラテックス中の
分散粒子の粒子径を光散乱法で測定した。測定機器は、
大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA−
3100であり、70回積算で、キュムラント法を用い
て、粒子径を測定した。
【0048】グラフト率 本文中に記載極限粘度〔η 〕 (A)成分中の不溶分と可溶分の分離については、本文
中に詳細を記載した。この可溶分を真空乾燥機で充分乾
燥した。この可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、
濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用
い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極
限粘度〔η〕を求めた。単位はdl/gである。重量平均分子量 芳香族ポリカーボネートを、メチレンクロライドに溶解
させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度
管を用い、20℃で各濃度の還元粘度を測定した結果か
ら、極限粘度値を得た。得られた極限粘度値より、Ma
rk−Houwink式を使用して、重量平均分子量を
計算した。使用したMark−Houwink定数は、
Kが1.23×10-4、aが0.83である。
【0049】耐衝撃性(アイゾット衝撃強度) (株)日本製鋼所製の射出成形機J100E−C5を用
い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃で、JI
S K7110の2号型試験片を成形し、アイゾット衝
撃強度を測定した。単位は、kgf−cm/cmであ
る。熱変形温度 幅12.8mm×高さ12.8mm×長さ128mmの
試験片を使用し、JIS K7207に準拠して、曲げ
応力18.5kgf/cm2 で測定した。単位は℃であ
る。流動性(メルトフローレート、MFR) JIS K7210に準じて測定した。測定温度は24
0℃、荷重は98N、単位はg/10分である。
【0050】落錘衝撃強度 (株)島津製作所製、高速衝撃試験機サーボパルサEH
F−2H−20Lを用い、50×80×2.4mm厚み
の試験片の破壊エネルギーを測定した。測定条件は、試
験片受け台径30φ、打撃棒先端12.7R、打撃速度
3.1m/sであった。単位は、kgf−mmである。燃焼性評価(難燃性) UL94規格に定められた方法により、長さ127mm
×幅12.7mm×厚み2.5mmの試験片について垂
直燃焼試験を行った。評価結果としては、「V−0」は
垂直試験結果でV−0合格を、「BN」は燃焼(bur
ning)で不適合を表す。
【0051】リサイクル特性 試料を50mmφ押し出し機を用い、シリンダー温度2
20〜250℃で溶融押し出しし、ペレットを得た。得
られたペレットを、シリンダー温度240℃、金型温度
50℃で射出成形し、成形品を得、得られた成形品を粉
砕機で粉砕し、再度上記条件で押し出しペレット化し、
ペレットのメルトフローレート(MFR)を測定した。
ペレットをさらに射出成形し、得られた成形品の落錘衝
撃強度を上記方法に従い測定した。リサイクル特性とし
て、下記式(II)および(III)で得られるMFR上昇率
と落錘衝撃強度保持率を評価した。 MFR上昇率(%)=〔(リサイクル後のMFR−リサイクル前のMFR)/ (リサイクル前のMFR)〕×100 ・・・・・(II) 落錘衝撃強度保持率(%)=(リサイクル後の落錘衝撃強度/リサイクル前の 落錘衝撃強度)×100 ・・・・・(III)
【0052】参考例1〔(a)ゴム質重合体の調製〕 ゴム質重合体として下記に示すものを使用した。 (a−1);エチレン−プロピレン−エチリデンノルボ
ルネン共重合体ゴム (a−2);ポリブタジエンラテックス(平均粒径35
0nm)
【0053】参考例2〔(A)成分の調製〕 表1に示す配合割合で、ゴム質重合体(a−1)、単量
体成分を用いて溶液重合を行い、ゴム強化樹脂(A−1
〜2)を得た。また、ゴム質重合体(a−2)および単
量体成分を用いて乳化重合を行い、ゴム強化樹脂(A′
−1〜2)を得た。さらに、単量体成分だけで溶液重合
し、共重合体(A″−1)を得た。得られたゴム強化樹
脂および共重合体の物性を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】参考例3〔芳香族ポリカーボネート(B)
成分の調製〕 (B)成分として下記に示す芳香族ポリカーボネート
(B−1〜3)、(B′−1〜2)を使用した。 (B−1):重量平均分子量が18,000のポリカー
ボネート (B−2):重量平均分子量が23,000のポリカー
ボネート (B−3):重量平均分子量が28,000のポリカー
ボネート (B′−1):重量平均分子量が15,000のポリカ
ーボネート (B′−2):重量平均分子量が31,000のポリカ
ーボネート
【0056】参考例3〔リン酸エステル化合物(C)成
分の調製〕 (C)成分として下記に示すリン酸エステル(C−1〜
3)、(C′−1〜2)を使用した。 (C−1):上記一般式(I)のR1 〜R4 がフェニル
基、Xが2,2−ビス(4′−フェニレン)プロパン
基、nが1.1のリン酸エステル化合物 (C−2):上記一般式(I)のR1 〜R4 が2,6−
キシレニル基、Xがm−フェニレン基、nが1.0のリ
ン酸エステル化合物 (C−3):上記一般式(I)のR1 〜R4 がフェニル
基、Xが2,2−ビス(4′−フェニレン)プロパン
基、nが0.6のリン酸エステル化合物 (C′−1):トリフェニルフォスフェート〔上記一般
式(I)のR1 〜R4がフェニル基、nが0のリン酸エ
ステル〕、〔大八化学工業(株)製〕 (C′−2):上記一般式(I)のR1 〜R4 がフェニ
ル基、Xが2,2−ビス(4′−フェニレン)プロパン
基、nが0.3のリン酸エステル化合物 参考例4〔(D)成分の調製〕 (D−1)成分として、ダイニオン株式会社製、商品名
ホスタフロンTF1620(平均粒径220μm、嵩密
度850kg/m3 )を使用した。
【0057】実施例1〜10、比較例1〜10 上記各成分を、表2〜5に示す配合割合でヘンシェルミ
キサーにより3分間混合したのち、ナカタニ機械(株)
製、NVC型50mmベント付き押し出し機でシリンダ
ー設定温度220〜250℃で溶融押し出しし、ペレッ
トを得た。得られたペレットを充分に乾燥し、(株)日
本製鋼所製の射出成形機J100E−C5を用い、シリ
ンダー温度240℃、金型温度50℃で射出成形し、各
種評価用試験片を得た。この試験片を用い、上記評価法
で評価した。評価結果を表2〜5に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】表3の実施例1〜10より明らかなよう
に、本発明の樹脂組成物は、いずれも耐衝撃強度、耐熱
性、流動性、難燃性、リサイクル特性に優れている。一
方、表4〜6より明らかなように、比較例1,2は、
(A)成分をブタジエンゴムに変えた例であり、リサイ
クル特性が劣る。比較例3は、(A)成分が本発明の外
で少なく、(B)成分が本発明の範囲外で大きい例であ
り、流動性が劣る。比較例4は、(B)成分の重量平均
分子量が本発明の範囲外で小さい例であり、耐衝撃性が
劣る。比較例5は、(B)成分の重量平均分子量が本発
明の範囲外で大きい例であり、流動性が劣る。比較例
6,7は、(C)成分の重合度が本発明の範囲外で小さ
い例であり、耐熱性が劣る。比較例8は、(C)成分の
配合量が本発明の範囲外で少ない例であり、難燃性が劣
る。比較例9は、(C)成分の配合量が本発明の範囲外
で多い例であり、耐熱性が劣る。比較例10は、(D)
成分の配合量が本発明の範囲外で少ない例であり、難燃
性が劣る。
【0063】
【発明の効果】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
非ハロゲン系であり、耐衝撃性、耐熱性、流動性、難燃
性、リサイクル特性に優れている。そして、その成形品
は、OA・家電分野、電気・電子・通信分野、コンピュ
ータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、車両分野などで
好適に使用することができる。また、本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物の成形品は、リサイクルして再生成形
材料とすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C08L 69/00 (C08L 69/00 51:06 51:06 27:18) 27:18) (72)発明者 檜垣 圭吾 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 (72)発明者 宮崎 広秋 東京都中央区京橋一丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BD153 BN062 BN142 CG001 EW046 FD136 GQ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)エチレン−プロピレン系ゴ
    ム質重合体および/または水素添加ジエン系ゴム質重合
    体の存在下に、(b)芳香族ビニル化合物およびシアン
    化ビニル化合物を主成分とする単量体成分をグラフト重
    合して得られるゴム強化樹脂10〜40重量部、および
    (B)重量平均分子量が16,000〜30,000の
    芳香族ポリカーボネート90〜60重量部〔ただし、
    (A)+(B)=100重量部〕の合計100重量部に
    対して、(C)下記一般式(I)で表されるリン酸エス
    テル化合物8〜25重量部、および(D)ポリテトラフ
    ルオロエチレン0.05〜10重量部を配合してなるこ
    とを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (ただし、R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、それぞれ相
    互に独立して選ばれるフェニル基またはキシレニル基、
    Xはm−フェニレン基または2,2−ビス(4′−フェ
    ニレン)プロパン基を表し、nは0.5〜1.2であ
    る。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成
    物の成形品の粉砕品を5重量%以上含有する再生成形材
    料。
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