JP2004238613A - 再生樹脂組成物およびその成形品、再生樹脂組成物の製造方法、および成形品の再利用方法 - Google Patents

再生樹脂組成物およびその成形品、再生樹脂組成物の製造方法、および成形品の再利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の廃棄物や不用品を有効利用すると共に、該成形品を特定の熱可塑性樹脂組成物において利用することにより、その難燃性が良好であり、他の機械的特性に与える悪影響が最小限であり、更に形成された成形品の外観が良好である、幅広い分野、殊にOA機器の筐体の分野に利用可能な再生樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A成分)4〜93重量%、スチレン系樹脂(B成分)5〜40重量%、リン酸エステル化合物(C成分)1〜25重量%、および硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物(D成分)1〜50重量%の合計100重量%を溶融混練してなり、かつ(i)かかる100重量%中の硬化樹脂の割合が0.000001〜1重量%であり、(ii)難燃剤として塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は再生樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、硬化樹脂が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の破砕物を含有してなる優れた難燃性を有する再生樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた機械的特性、熱的特性を有しているため工業的に広く利用されている。また、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイについても数多く開発されている。その中でもABS樹脂に代表されるスチレン系樹脂とのポリマーアロイは、機械的強度、耐熱性、成形加工性などの特性に優れているため自動車分野、OA機器分野、電子電気機器分野等に広く利用されている。また近年OA機器、家電製品等の用途を中心に、使用する樹脂材料の難燃化の要望が強い。この要望に応えるための手段としてはポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのポリマーアロイにリン酸エステル化合物を混合した樹脂組成物が多く提案され、さらにタルク、マイカ、ウォラストナイト等のケイ酸塩充填剤、PTFEなどの滴下防止剤を加えることにより、更なる難燃化を行うことが提案されている(特許文献1〜3参照)。これらは、実質的に難燃剤として塩素化合物や臭素化合物を含有することなく良好な難燃性を達成している。
一方で更に良好な難燃性を樹脂組成物に付与すべく、例えば難燃剤の他にメラミン化合物を配合することは公知であり(特許文献4参照)、より具体的にはメラミンとシアヌル酸との塩をホスフェートオリゴマーと共に配合したポリカーボネート樹脂組成物が公知である(特許文献5参照)。しかしながらかかる樹脂組成物は熱安定性の点で十分な実用性を有していない。
一方、近年は資源の再利用、環境保護の観点から工場からの廃棄物や不用になった製品を回収し再利用する、いわゆるリサイクルの検討が盛んに行われ、関連する提案も数多くなされている。
ポリカーボネート樹脂製品のリサイクルに関しては、従来からコンパクトディスク(CD)に代表される光記録媒体の分野で各種の提案がなされている。例えば、CD粉砕物、芳香族ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂および無機充填材からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、および更に臭素系難燃剤を含有した樹脂組成物が開示されている(特許文献6参照)。
また、熱硬化性樹脂で被覆された熱可塑性樹脂のリサイクルも既に広く知られている(特許文献7および8参照)。更に樹脂被膜を有する樹脂成形品のリサイクル性を向上させるため樹脂被膜を熱可塑性樹脂で形成することも既に提案されている(特許文献9参照)。しかしながら、これら文献(7〜9)においては、被覆樹脂を微細化することにより物性の低下を抑制することを提案しているものの、難燃性の悪化する問題があった。
すなわち、硬化樹脂で被覆された不用になったポリカーボネート樹脂製品を広く回収して再生し、さらにかかる再生樹脂組成物が再度多様な製品に適用できうる優れた難燃性をもつ再生樹脂組成物が強く要望されている。
特開2000−226502号公報 特開2001−164105号公報 特開2001−302898号公報 特開平10−251468号公報 特開平07−300561号公報 特開平8−311326号公報 特開平4−334408号公報 特開平7−241848号公報 特開2001−270951号公報
本発明の目的は、上記の従来技術を鑑み、硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の廃棄物や不用品を有効利用すると共に、該成形品を特定の熱可塑性樹脂組成物において利用することにより、その難燃性が良好であり、他の機械的特性に与える悪影響が最小限であり、更に形成された成形品の外観が良好である、幅広い分野、殊にOA機器の筐体の分野に利用可能な再生樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、リン酸エステル化合物、および硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物を溶融混練してなる再生樹脂組成物が、難燃性に優れ、かつ機械的特性や外観において良好な樹脂組成物を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)ポリカーボネート樹脂(A成分)4〜93重量%、スチレン系樹脂(B成分)5〜40重量%、リン酸エステル化合物(C成分)1〜25重量%、および硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物(D成分)1〜50重量%の合計100重量%を溶融混練してなり、かつ(i)かかる100重量%中の硬化樹脂の割合が0.000001〜1重量%であり、(ii)難燃剤として塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物にかかるものである。
かかる構成(1)によれば、硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の廃棄物や不用品を有効利用、並びに難燃性に優れ、かつ機械的特性や外観において良好な(以下、これらの効果を“本発明の効果”と総称する場合がある)樹脂組成物が提供される。かかるポリカーボネート樹脂に積層された硬化樹脂が特異な効果を有することは驚くべきことであり、かかる効果は樹脂がポリカーボネート樹脂に密着して十分に硬化されたことに起因するものと予想される。
本発明の好適な態様の1つは、(2)前記D成分における硬化樹脂は、実質的に着色剤を含有しない硬化樹脂である前記(1)に記載の再生樹脂組成物である。D成分における硬化樹脂は、樹脂成分以外に他の成分を含有することができるが、実質的に染料や顔料などの着色剤を硬化樹脂中に含有しない硬化樹脂が難燃性、熱安定性および成形品の外観の点からより好適である。かかる構成(2)によれば、本発明の効果を有しより良好な難燃性、熱安定性および外観を有する再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(3)前記D成分は、透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品の粉砕物である前記(1)および(2)に記載の再生樹脂組成物である。D成分の成形品は、ポリカーボネート樹脂を主体とする成形品であればよいが、より好適には実質的にポリカーボネート樹脂からなる成形品である。但し、ポリカーボネート樹脂中には、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、ブルーイング剤および光拡散剤などを少量(好ましくは2重量%以下)の添加剤を含んでよい。同様に少量の着色剤を含むことができるが、より好ましい態様は実質的に着色剤(ブルーイング剤を除く)を含有しないポリカーボネート樹脂である。かかるポリカーボネート樹脂は、本発明の効果において再生対象を更に広げることが可能であり、また難燃性、機械的特性、および外観の点でより良好である。更にD成分の硬化樹脂は、表面に形成される被膜の他、積層体の層間に含まれる態様であってもよいが、より好適にはポリカーボネート樹脂表面にハードコートとして形成された硬化樹脂である。したがってかかる構成(3)によれば、本発明の効果においてより優れた再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(4)前記D成分における硬化樹脂は、メラミン硬化樹脂、シリコーン硬化樹脂およびアクリル硬化樹脂から選択される少なくとも1種の硬化樹脂である前記(1)〜(3)に記載の再生樹脂組成物である。これらの樹脂は、ポリカーボネート樹脂に対する悪影響が少なく、かつその被膜が良好な難燃性を与える点でより好適である。したがってかかる構成(4)によれば、本発明の効果においてより優れた再生樹脂組成物が提供される。尚、より好適な態様のD成分は、メラミン硬化樹脂、シリコーン硬化樹脂およびアクリル硬化樹脂から選択される少なくとも1種の硬化樹脂以外の硬化樹脂を含まない、硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品である。
本発明の好適な態様の1つは、(5)前記D成分における硬化樹脂の厚みは、0.5〜100μmの範囲である前記(1)〜(4)に記載の再生樹脂組成物である。かかる厚みを有することにより、より良好な難燃性を有する硬化樹脂の被膜が樹脂組成物に含まれることとなる。かかる厚みが有効である理由は、その大きさに由来する燃焼時の核剤効果などが予想される。したがってかかる構成(5)によれば、本発明の効果を有し難燃性においてより優れた再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(6)更に含フッ素滴下防止剤をA成分〜D成分の合計100重量部に対し0.05〜5重量部含有してなる前記(1)〜(5)に記載の再生樹脂組成物である。かかる構成(6)によれば、本発明の効果を有し難燃性においてより優れた再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(7)更にタルク、マイカ、およびワラストナイトから選択される少なくとも1種の充填材をA成分〜D成分の合計100重量部に対し1〜100重量部含有してなる前記(1)〜(6)に記載の再生樹脂組成物である。かかる構成(7)によれば、本発明の効果を有し、難燃性において優れると共に、D成分を含まない場合の樹脂組成物に比較してその機械特性、色相および外観などの特性変化がより少ない再生樹脂組成物が提供される。かかる効果は、これらの充填材による被膜の微細化効果、隠蔽効果、ならびに難燃性に対する相乗効果によるものと予想される。
本発明の好適な態様の1つは、(8)前記(1)〜(7)に記載の再生樹脂組成物より形成された成形品であり、更に好適には(9)該成形品は、肉厚0.8〜2mmの筐体成形品である。本発明によればかかる(8)および(9)の構成を有する、本発明の効果を有する良好成形品が、ポリカーボネート樹脂成形品の廃棄物や不用品を利用して提供される。
本発明の別の態様は、(10):(1)硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物(D成分)を準備する工程(工程−i)、
(2)ポリカーボネート樹脂(A成分)、スチレン系樹脂(B成分)、リン酸エステル化合物(C成分)、および前記D成分を、これらの合計100重量%当たり、4〜93重量%のA成分、5〜40重量%のB成分、1〜25重量%のC成分、および1〜50重量%のD成分となる割合であり、かつD成分における硬化樹脂の割合が、かかる100重量%当たり0.000001〜1重量%となる割合で押出機に供給する工程(工程−ii)、
(3)かかるA成分、B成分、C成分およびD成分を押出機中で溶融混練する工程(工程−iii)および、
(4)溶融混練されて得られた再生樹脂組成物を回収する工程(工程−iv)からなる、難燃剤として塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物の製造方法にかかる物である。
かかる構成(10)によれば、硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の不用品が有効利用される樹脂組成物の製造方法が提供され、更に難燃性、機械的特性および外観において良好な樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物が提供される。
本発明の別の態様は、(11)硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の再利用方法であって、該成形品の粉砕物(D成分)を準備し、ポリカーボネート樹脂(A成分)、スチレン系樹脂(B成分)、リン酸エステル化合物(C成分)、および前記D成分を、これらの合計100重量%当たり、4〜93重量%のA成分、5〜40重量%のB成分、1〜25重量%のC成分、および1〜50重量%のD成分となる割合であり、かつD成分における硬化樹脂の割合が、かかる100重量%当たり0.000001〜1重量%となる割合で押出機に供給し、押出機中でかかるA成分、B成分、C成分およびD成分を溶融混練し、溶融混練されて得られた樹脂組成物を塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物として回収することを特徴とする再利用方法である。
かかる構成(11)によれば、付加価値の高い製品を提供可能であり、かつ硬化樹脂の特性をより発揮させた硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の再利用方法が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(12)前記A成分、B成分およびC成分は、バージン原料である、(12a)前記構成(10)の製造方法、または(12b)前記構成(11)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(13)前記A成分およぴB成分は粉粒体の形態を有し、C成分は粉粒体または液体の形態を有する、(13a)前記構成(10)、(12a)の製造方法、または(13b)前記構成(11)、(12b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(14)前記成形品は、硬化樹脂層の厚みと成形品厚みとの比率(硬化樹脂/成形品厚み)が1/30〜1/3000の範囲である、(14a)前記構成(10)、(12a)、(13a)の製造方法、または(14b)前記構成(11)、(12b)、(13b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(15)前記硬化樹脂の割合は、A成分〜D成分の合計100重量%中、0.0001〜0.5重量%(より好ましくは0.001〜0.3重量%、更に好ましくは0.002〜0.1重量%)である、(15a)前記構成(10)、(12a)〜(14a)の製造方法、または(15b)前記構成(11)、(12b)〜(14b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(16)前記D成分における硬化樹脂は、実質的に着色剤を含有しない硬化樹脂である、(16a)前記構成(10)、(12a)〜(15a)の製造方法、または(16b)前記構成(11)、(12b)〜(15b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(17)前記D成分は、透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品の粉砕物である、(17a)前記構成(10)、(12a)〜(16a)の製造方法、または(17b)前記構成(11)、(12b)〜(16b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(18)前記D成分における硬化樹脂は、メラミン硬化樹脂、シリコーン硬化樹脂およびアクリル硬化樹脂から選択される少なくとも1種の硬化樹脂である、(18a)前記構成(10)、(12a)〜(17a)の製造方法、または(18b)前記構成(11)、(12b)〜(17b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(19)前記D成分における硬化樹脂の厚みは、0.5〜100μmの範囲である、(19a)前記構成(10)、(12a)〜(18a)の製造方法、または(19b)前記構成(11)、(12b)〜(18b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(20)前記再生樹脂組成物は、更に含フッ素滴下防止剤をA成分〜D成分の合計100重量部に対し0.05〜5重量部含有してなる再生樹脂組成物である、(20a)前記構成(10)、(12a)〜(19a)の製造方法、または(20b)前記構成(11)、(12b)〜(19b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(21)前記再生樹脂組成物は、更にタルク、マイカ、およびワラストナイトから選択される少なくとも1種の充填材をA成分〜D成分の合計100重量部に対し1〜100重量部含有してなる再生樹脂組成物である、(21a)前記構成(10)、(12a)〜(20a)の製造方法、または(21b)前記構成(11)、(12b)〜(20b)の再利用方法である。本発明の好適な態様の1つは、(22a)前記工程−ivは、溶融混練された樹脂組成物をペレットの形態で回収する工程である前記構成(10)、(12a)〜(21a)の製造方法であり、更に(22b)前記溶融混練されて得られた樹脂組成物はペレットの形態を有する前記構成(11)、(12b)〜(21b)の再利用方法である。
以下、本発明の再生樹脂組成物を構成する各成分、それらの配合割合、調製方法等について、順次具体的に説明する。
<A成分について>
本発明のA成分であるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂であり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明のポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、上述した各種二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体など各種の芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに下記に示す製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネートなど各種についても2種以上を混合したものが使用できる。
芳香族ポリカーボネートの重合反応において界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールなどの単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物などの触媒を用いることができる。さらにアルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
溶融エステル交換法による反応ではフェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後のポリカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモニウム塩なとが好ましく挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、分子量が10,000未満であると成形品として十分な強度が得られ難く、50,000を超えると成形加工性が低下する。したがって、粘度平均分子量で表して10,000〜50,000のものが好ましく、14,000〜30,000のものがより好ましく、更に好ましくは14,000〜24,000である。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
特に粘度平均分子量が50,000を超える芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物はエントロピー弾性が高く、ジェッティングなどに代表されるレオロジー挙動による成形品の外観不良が生じくい特徴がある。かかる外観不良が生ずる場合には、適切な態様である。更にガスインジェクション成形などにおいてもガス注入量が安定し、また発泡成形においては発泡セルが安定し、微細かつ均質なセルが形成されやすいことから有利である。
より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの測定法において2ピーク以上の分子量分布を観察できるものが好ましく使用できる。
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
<B成分について>
スチレン系樹脂(B成分)は芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体からなる樹脂、または芳香族ビニル化合物と他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれる1種以上とを共重合して得られる共重合体からなる樹脂をいう。芳香族ビニル化合物は樹脂100重量%中10重量%以上含有するものが好ましい。B成分中の芳香族ビニル化合物の割合は、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは50〜80重量%である。かかる芳香族ビニル化合物の割合はB成分の全量100重量%中の割合であり、B成分として複数の重合体が混合する場合は、全ての重合体がかかる好適な条件を満足する必要はない。しかしいずれの重合体においても芳香族ビニル化合物の割合は10重量%以上であることが好ましい。次にスチレン系樹脂中に含まれる代表的な単量体化合物について説明する。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。尚(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物があげられる。
上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びに(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリル系ゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。中でもより好適であるのは、その効果がより発現しやすいポリブタジエン、ポリイソプレン、またはジエン系共重合体であり、特にポリブタジエンが好ましい。これらゴム質重合体はスチレン系樹脂100重量%中90重量%以下であることが好ましく、より好ましくは80重量%以下である。
スチレン系樹脂として具体的には、例えば、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、SMA樹脂、SIS樹脂、およびSBS樹脂などが挙げられ、いずれも容易に入手可能である。中でもより好適であるのはHIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、SIS樹脂およびSBS樹脂である。
これらの中でも特にABS樹脂が好ましい。ABS樹脂は薄肉成形品に対する優れた成形加工性を有し、良好な耐衝撃性も有する。殊にポリカーボネート樹脂との組合せにおいて好ましい特性が発現される。
尚、ここでMS樹脂はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重合体樹脂、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主としてなる共重合体樹脂、MABS樹脂はメチルメタクリレート、アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、MAS樹脂はメチルメタクリレート、アクリルゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体樹脂、SMA樹脂はスチレンと無水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体樹脂、SIS樹脂はポリスチレンおよびポリイソプレンからなるブロックコポリマー樹脂(ジ−ブロック以上であればよく、また水添されたものを含む)、SBS樹脂はポリスチレンおよびポリブタジエンからなるブロックコポリマー(ジ−ブロック以上であればよく、また水添されたものを含む)を示す。
スチレン系樹脂は単独で使用することも2種以上を併用することも可能である。例えばABS樹脂においてはAS重合体(アクリロニトリルとスチレンとの共重合体)およびABS共重合体(ポリブタジエンゴムにアクリロニトリルとスチレンがグラフト共重合した共重合体)との混合物が一般的であり、かかる混合物は本発明においても好適に使用される。
更にスチレン系樹脂はその製造時にメタロセン触媒等の触媒使用により、シンジオタクチックポリスチレン等の高い立体規則性を有するものであってもよい。更に場合によっては、アニオンリビング重合、ラジカルリビング重合等の方法により得られる、分子量分布の狭い重合体及び共重合体、ブロック共重合体、および立体規則性の高い重合体、共重合体であってもよい。
本発明のABS樹脂とは、ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物とをグラフト共重合した熱可塑性グラフト共重合体からなる樹脂、並びにより好適には該グラフト共重合体と、シアン化ビニル化合物およびと芳香族ビニル化合物の共重合体との混合物からなる樹脂をいう。
かかるABS樹脂のジエン系ゴム成分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、およびスチレン−ブタジエン共重合体などのガラス転移温度が−10℃以下のゴム成分が用いられ、かかるジエン系ゴム成分のABS樹脂中の割合は、ABS樹脂100重量%中好ましくは5〜80重量%の範囲であり、より好ましくは7〜50重量%の範囲であり、更に好ましくは8〜25重量%の範囲であり、特に好ましくは9〜18重量%の範囲である。
ABS樹脂における芳香族ビニル化合物としては、前記のものが挙げられ、特にスチレンが好ましい。ABS樹脂におけるシアン化ビニル化合物としては、前記のものが挙げられ、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
本発明で使用するABS樹脂においては、ABS樹脂成分100重量%中(すなわちABS重合体とAS重合体の合計100重量%中)ジエンゴム成分の割合が5〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは8〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。ジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の割合は、ABS樹脂成分100重量%中95〜20重量%が好ましく、より好ましくは92〜50重量%である。更にかかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%(より好ましくは15〜35重量%)、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%(より好ましくは65〜85重量%)であることが好ましい。更に上記のジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の一部についてメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することもでき、これらの含有割合はABS樹脂成分中15重量%以下であるものが好ましい。更に反応で使用される開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
ABS樹脂においては、ゴム粒子径は重量平均粒子径において0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましく、0.2〜0.8μmが更に好ましい。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるもの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有するものであってもよい。
またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラフトされないシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合体を含有することは従来からよく知られているところである。本発明のABS樹脂は、上記のとおりかかる重合の際に発生するフリーの重合体成分を含有してよく、また芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを別途共重合して得られるビニル化合物重合体をブレンドしたものでもよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる共重合体(AS共重合体)の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算で測定される値において、好ましくは30,000〜200,000の範囲であり、より好ましくは60,000〜140,000の範囲であり、更に好ましくは90,000〜120,000の範囲である。尚、かかるフリーのAS共重合体の割合は、アセトンなどのかかるAS共重合体の良溶媒にABS樹脂を溶解し、その可溶分を遠心分離するなどの手法により採取することが可能である。一方その不溶分(ゲル)が正味のABS共重合体となる。
ABS共重合体においてジエン系ゴム成分にグラフトされたシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の割合(ジエン系ゴム成分の重量に対するかかるグラフト成分の重量の割合)、すなわちグラフト率(重量%)は20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜80%である。
かかるABS樹脂は塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合などのいずれの方法で製造されたものでもよい。より好ましいのは塊状重合法により製造されたABS樹脂である。更にかかる塊状重合法としては代表的に、化学工学 48巻第6号415頁(1984)に記載された連続塊状重合法(いわゆる東レ法)、並びに化学工学 第53巻第6号423頁(1989)に記載された連続塊状重合法(いわゆる三井東圧法)が例示される。本発明のABS樹脂としてはいずれのABS樹脂も好適に使用される。また共重合の方法も一段で共重合しても、多段で共重合してもよい。
本発明においてAS樹脂とは、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物を共重合した熱可塑性共重合体である。かかるシアン化ビニル化合物としては、前記のものを挙げることができ、特にアクリロニトリルが好ましく使用できる。また芳香族ビニル化合物としては、同様に前記のものが挙げられるが、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好適である。AS樹脂中における各成分の割合としては、全体を100重量%とした場合、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%、好ましくは15〜35重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%、好ましくは85〜65重量%である。また反応で使用する開始剤、連鎖移動剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
かかるAS樹脂は塊状重合、溶液重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、および乳化重合などのいずれの方法で製造されたものでもよいが、好ましくは塊状重合によるものである。また共重合の方法も一段での共重合、または多段での共重合のいずれであってもよい。またかかるAS樹脂のGPC測定による標準ポリスチレン換算による重量平均分子量の好ましい範囲は、上記のフリーのAS共重合体と同様である。またABS樹脂において、ABS共重合体とAS共重合体とをブレンドする場合それぞれ共重合体における芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との割合は同一であっても、異なっていてもよいがより好ましくはほぼ同一であることが好ましい。
前記AS樹脂およびABS樹脂は、アルカリ(土類)金属量が低減されたものが良好な熱安定性や耐加水分解性などの点からより好適である。スチレン系樹脂中のアルカリ(土類)金属量は、好ましくは100ppm未満であり、より好ましくは80ppm未満であり、更に好ましくは50ppm未満であり、特に好ましくは10ppm未満である。かかる点からも塊状重合法によるAS樹脂およびABS樹脂(特に三井東圧法)が好適に使用される。更にかかる良好な良好な熱安定性や耐加水分解性に関連して、AS樹脂およびABS樹脂において乳化剤を使用する場合には、該乳化剤は好適にはスルホン酸塩類であり、より好適にはアルキルスルホン酸塩類である。また凝固剤を使用する場合には、該凝固剤は硫酸または硫酸のアルカリ土類金属塩が好適である。
本発明のB成分は前記AS樹脂やABS樹脂を好ましい主成分とするが、組成物の耐衝撃性の改良のため、ABS樹脂以外のゴム含有量の多いスチレン系樹脂を含むことが好適である。かかるスチレン系樹脂としては、殊にメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類をシェル成分として含有するコア−シェルグラフトゴムが好ましい。B成分におけるかかるコア−シェルグラフトゴムとしては、MBS樹脂が特に好ましい。MBS樹脂は、ポリカーボネート樹脂およびABS樹脂からなる樹脂組成物中に混合された場合、ASマトリックスより、ポリカーボネート樹脂マトリックス中に多く含まれるようになり耐衝撃性がより効率的に向上する。かかる点については例えば特開昭48−72249号などに記載されている。
<C成分について>
本発明のリン酸エステル化合物(C成分)としては、例えば難燃剤として知られた各種のリン酸エステル化合物を使用することができるが、より好適には下記一般式(1)で表される1種または2種以上のリン酸エステル化合物を挙げることができる。
Figure 2004238613
(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0〜5の平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立してフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−クミルフェノールから誘導されるものである。)
この中で好ましくは、上記式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは0〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立してフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるものである。
更に、特に好ましくは、Xはレゾルシノール、ビスフェノールAから誘導されるものであり、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは0または1であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立してフェノールまたはキシレノール(特に2,6−キシレノール)から誘導されるものである。
かかる有機リン酸エステル系難燃剤の中でも、モノホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェート、リン酸エステルオリゴマーとしてはレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)を主成分とするものおよびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするものが、難燃性が良好で、かつ成形時の流動性が良好であり、さらに加水分解性が良好で長期の分解が少ないなどの理由により好ましく使用できる。殊に前記リン酸エステルオリゴマーは成形安定性に優れる点から好適であり、特にビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするものが好ましい。
<D成分について>
本発明のD成分は、硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物であり、より好適には成形品の表面側もしくは裏面側の少なくも一面の面積の70%以上において硬化樹脂が積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物であり、更に好適には成形品の表面側もしくは裏面側の少なくも一面の面積の70%以上において硬化樹脂が積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物である。かかる硬化樹脂は、成形品の少なくとも一面の全て(100%)において積層されていてもよい。尚、硬化樹脂が積層される成形品は、通常板状成形品、またはその変形物とみなせ、かかる成形品の面は、表面および裏面から実質的に構成されるものである。
本発明のD成分は、より好適には該D成分における硬化樹脂は、実質的に着色剤を含有しない硬化樹脂であり、更に好適にはD成分は、透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品の粉砕物であり、これらの中でD成分における硬化樹脂は、メラミン硬化樹脂、シリコーン硬化樹脂およびアクリル硬化樹脂から選択される少なくとも1種の硬化樹脂であることを好適な態様とするものである。
本発明のD成分における硬化樹脂とは、硬化反応された熱硬化性樹脂を指す(例えばメラミン樹脂の場合、本発明は硬化後の樹脂に対しては“メラミン硬化樹脂”と称し、原料となるメチル化メチロールメラミンなどをメラミン樹脂と称するものとする)。かかる硬化は熱や触媒の作用だけでなく、紫外光などの各種刺激によって硬化するものが含まれる。硬化樹脂の反応様式も特に限定されるものでなく、重縮合反応、付加縮合反応、付加重合反応、および開環重合反応などのいずれの反応様式であってもよい。かかる硬化樹脂は架橋密度が高くラジカル生成が抑制されている方が難燃効果がより発揮されるため、したがって結果として硬度の高いものがより好ましい。よって硬化樹脂は、成形品表面に形成されたハードコート被膜であることがより好適である。かかる硬化樹脂の中でもポリカーボネート樹脂の悪影響と難燃性のバランスが取れたメラミン硬化樹脂、シリコーン硬化樹脂、およびアクリル硬化樹脂が好適である。これらはいずれもポリカーボネート樹脂成形品のハードコート被膜を形成する樹脂として知られている。
D成分において硬化樹脂のポリカーボネート樹脂成形品に対する積層の態様は、表面被覆に限定されるものではなく、少なくとも1層がポリカーボネート樹脂成形品である成形品2層間の間に積層された硬化樹脂を含む。更に表面被覆の場合においても、ポリカーボネート樹脂成形品の表裏に積層された硬化樹脂、ポリカーボネート樹脂成形品にプライマー層を介して積層された硬化樹脂、並びにポリカーボネート樹脂成形品の表面に2種以上が積層された硬化樹脂などを含む。これらの中でもポリカーボネート樹脂成形品の表面に被覆された態様が好ましい。
D成分における硬化樹脂の厚みは好ましくは0.5〜100μmの範囲であり、より好ましくは1〜50μmの範囲、更に好ましくは1.5〜20μmの範囲であり、特に好ましくは2〜15μmの範囲である。かかる範囲においては、組成物中における必要量を満足することと、表面積の向上による難燃性の向上との両立が可能となる。
一方でD成分のポリカーボネート樹脂成形品の厚みは、好ましくは0.1〜10mmの範囲であり、より好ましくは0.5〜7mmの範囲であり、更に好ましくは1〜5mmの範囲である。更に硬化樹脂の厚みと成形品厚みの比率(硬化樹脂/成形品厚み)としては、好ましくは(硬化樹脂/成形品厚み)=1/30〜1/3000(好ましくは1/60〜1/1500)の範囲である。
硬化樹脂のポリカーボーネート樹脂への積層方法も特に限定されるものではなく、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を成形品の形状に応じて適宜選択して行うことができる。中でも複雑な成形品形状に対応しやすいディップコート法、フローコート法、およびスプレーコート法が好ましく、更に膜厚制御の容易さの点でディップコート法、フローコート法、およびスプレーコート法が好ましい。
ポリカーボネート樹脂成形品におけるポリカーボネート樹脂は、前記A成分において説明したと同様である。ポリカーボネート樹脂の原料となる二価フェノールとしてはビスフェノールAが最も好ましい。またD成分のポリカーボネート樹脂成形品におけるポリカーボネート樹脂の分子量は、特に限定されないものの、あまりに低い場合には熱可塑性樹脂の機械的強度や難燃性が不足する場合があるため、好ましくは14,000〜35,000の範囲であり、より好ましくは17,000〜32,000の範囲であり、更に好ましくは19,000〜30,000の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂成形品とは、ポリカーボネート樹脂を射出成形、押出成形、ブロー成形など各種の方法により成形されたものを含み、特に成形方法は限定されない。また、D成分のポリカーボネート樹脂には、諸特性を付与するためにUV吸収剤、離型剤、酸化防止剤あるいは難燃剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。D成分において好適な透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品の具体例としては、シート成形品、窓(建築用、および車輌用含む)成形品、風防(車輌用、およびヘルメット等)、並びにレンズ(ヘッドランプなどの車輌用、および眼鏡用等)が例示される。
硬化樹脂が積層されたポリカーボネート成形品の破砕は、公知の粉砕装置を使用し粉砕することができる。例えば圧縮式破砕機(ロールクラッシャーなど)、衝撃式破砕機(インパクトクラッシャー、ハンマーミルなど)、切断式またはせん断式破砕機(カッターミル、往復動式破砕機、低速回転式破砕機(二軸せん断破砕機など)など)、衝撃せん断式破砕機(シュレッダーなど)、および各種微粉砕機(ボールミル、ディスクミル、ピンミル、ハンマーミル、ターボミル、ジェットミルなど)などを挙げることができる。上記の中でも成形品を直接供給可能で、破砕効率に優れるなどの点から切断式またはせん断式破砕機が好ましい。破砕物の形状は特に限定されるものではないが、加工性、取り扱い性などの点から破砕物の最大の粒体長径で1〜30mmであるのが好ましい。
D成分における好適な硬化樹脂であるメラミン硬化樹脂は、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とホルムアルデヒドの付加縮合により硬化された樹脂をいうが、かかるメラミンとホルムアルデヒドとの初期反応物であるメチロールメラミンおよびそのアルキル化物であるアルキル化メチロールメラミンをここでは単にメラミン樹脂と称する。メラミン硬化樹脂を形成する方法としては、通常メラミン硬化樹脂を形成する樹脂塗料を調整し、これをポリカーボネート樹脂成形品に被覆などの積層処理を行い、加熱乾燥して硬化させる方法が挙げられる。ここで樹脂塗料は、メラミン樹脂、架橋剤、硬化剤、およびその他の添加剤成分を溶剤に溶解して得られる。
メラミン樹脂としては、メチル化メチロールメラミン、プロピル化メチロールメラミン、ブチル化メチロールメラミン、イソブチル化メチロールメラミン等のメラミン樹脂単独、又はこれにアクリル樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、シリコーン樹脂等の変成剤を本発明の特性を損なわない範囲で混合したものが例示される。ここでメチロールメラミンはモノメチロールメラミンからヘキサメチロールメラミンまで、全ての置換体を含む。
メラミン硬化樹脂の架橋剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の短鎖グリコール、ポリエチレングリコール等の長鎖グリコールが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を配合してもよい。またメラミン硬化樹脂の硬化剤としては、例えばp−トルエンスルホン酸、シュウ酸、マレイン酸が挙げられる。
かかるメラミン硬化樹脂を形成する樹脂塗料における架橋剤および硬化剤の配合量は、その目的により適宜決められるが、通常架橋剤においてはメラミン樹脂の官能基および架橋剤の官能基が等モル量になることが目安とされ、メラミン樹脂100重量部に対し好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部である。また、硬化剤の量はメラミン樹脂100重量部に対し好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部である。
メラミン硬化樹脂を形成する樹脂塗料における溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は単独であるいは2種以上混合して使用される。
メラミン硬化樹脂中(よってその樹脂塗料中)に、種々の添加剤を配合することも可能である。例えば、紫外線吸収剤、屈折率調整剤、レベリング剤、および消泡剤等が挙げられる。
本発明のシリコーン硬化樹脂は、シロキサン結合をもった3次元硬化樹脂であり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくは更に4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びに更にこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン硬化樹脂は更に2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。アルコキシシラン化合物においてアルコキシ基以外の珪素原子に結合した有機基としては、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
シリコーン硬化樹脂を形成する樹脂塗料は、多官能シロキサン単位を生成する化合物単独で形成されることが可能であり、また該化合物の縮合反応時に発生する成分(例えばアルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合アルコール)などが含まれるが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させた樹脂塗料としてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。シリコーン硬化樹脂中(よってその樹脂塗料中)に、種々の添加剤を配合することも可能である。例えば、紫外線吸収剤、屈折率調整剤、レベリング剤、および消泡剤等が挙げられ、レベリング剤としては各種界面活性剤、例えば、シリコーン系、フッ化アルキル系界面活性剤などが例示される。
本発明のアクリル硬化樹脂は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルを主成分とし、これらと共重合可能なモノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリルを共重合した樹脂をいう。アクリル樹脂は架橋構造を有しないもの(いわゆるラッカー型)と架橋構造を有する熱硬化型アクリル樹脂とがあるが、本発明のアクリル硬化樹脂は架橋構造を有する熱硬化型アクリル樹脂である。本発明のアクリル硬化樹脂に使用されるモノマーは、各種のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、官能基含有モノマー、並びにその他のモノマーを使用することができ、これらを併用して使用することが好ましい。アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルにおける、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、およびステアリル基などの基が例示される。官能基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−メチロールアクリルアミド、n−ブトキシ−N−メチロールアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸Na、およびジアセトンアクリルアミドなどが例示される。その他のモノマーとしては、前記の共重合可能なモノマー以外に、例えばメタクリロニトリル、エチルビニルエーテル、塩化ビニリデンなどが例示される。
更に本発明のアクリル硬化樹脂は、アクリル硬化樹脂を形成する樹脂塗料として、有機溶剤系、水系、無溶媒系(紫外線硬化型や電子線硬化型)のいずれのものも使用可能である。更に有機溶剤系では溶液型および非水分散型のいずれも使用可能であり、水系では水溶性、コロイダルディスパージョン、およびエマルジョン形態のいずれも使用可能である。したがって本発明のアクリル硬化樹脂として、多官能イソシアネート化合物を架橋剤とするアクリルウレタン硬化樹脂、およびメラミン樹脂を架橋剤とするアクリルメラミン硬化樹脂を使用することができる。
アクリルウレタン硬化樹脂は、アクリルポリオールを主剤とし、イソシアネート化合物を架橋剤とする硬化樹脂であるが、アクリルポリオールとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、およびメチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体などが例示され、これらを単独でまたは2種以上を混合して使用する。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられ、かかるイソシアネート化合物としては例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート、あるいはまた、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体が例示され、かかる付加体または多量体としては例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)などが例示される。
アクリル硬化樹脂中(よってその樹脂塗料中)に、種々の添加剤を配合することも前記の硬化樹脂と同様可能であり、例えば、紫外線吸収剤、屈折率調整剤、レベリング剤、および消泡剤等が挙げられる。殊にアクリル硬化樹脂は各種の紫外線吸収剤成分を共重合モノマーとして導入することが可能である点で特徴的である。かかる共重合モノマーとしては、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、およびヒンダードアミン骨格を有するラジカル重合可能な化合物が挙げられ、より好適には、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にこれらの紫外線吸収性または光安定性を発現する骨格を有する単量体化合物が好ましい。例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ)プロピルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが例示される。
<各成分の組成割合について>
本発明に再生樹脂組成物において、前記のポリカーボネート樹脂(A成分)、スチレン系樹脂(B成分)、リン酸エステル化合物(C成分、および硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物(D成分)の割合について説明する。これらはA成分〜D成分の合計100重量%中、A成分4〜93重量%、B成分5〜40重量%、C成分1〜25重量%、およびD成分1〜50重量%である。好ましくは、A成分15〜85重量%(より好ましくは25〜75重量%)、B成分8〜30重量%(より好ましくは10〜25重量%)、C成分2〜20重量%(より好ましくは5〜18重量%)、およびD成分3〜50重量%(より好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜30重量%)である。A成分が前記下限を下回る場合には安定した特性の樹脂組成物を得ることが困難となり、A成分が前記上限を超える場合には硬化樹脂がポリカーボネート樹脂に与える悪影響が大きくなり所定の特性を得られ難くなる。B成分が前記下限を下回る場合には硬化樹脂がポリカーボネート樹脂に与える悪影響が大きくなり易く、B成分が前記上限を超える場合には難燃性に劣りやすい。C成分が前記下限を下回る場合には硬化樹脂がポリカーボネート樹脂に与える悪影響が大きくなったり難燃性が不足し易く、C成分が前記上限を超える場合には耐熱性が劣るようになる。D成分が前記下限を下回る場合には、廃棄物や不用品の利用効率が低下すると共に、硬化樹脂の不足による難燃性の向上が低下しやすく、D成分が前記上限を上回る場合には、安定した特性の樹脂組成物を得ることが困難となるかまたは硬化樹脂の悪影響が大きくなりやすい。
更に本発明の再生樹脂組成物は、A成分〜D成分の合計100重量%中の硬化樹脂の割合が0.000001〜1重量%であり、好ましくは0.0001〜0.5重量%、より好ましくは0.001〜0.3重量%であり、更に好ましくは0.002〜0.1重量%である。硬化樹脂の割合がかかる下限を下回る場合、難燃性の向上効果が少なく、一方かかる上限を上回る場合には、硬化樹脂のポリカーボネート樹脂に対する悪影響が増加し、色相の悪化、樹脂組成物の特性のバラツキ、および特性の低下などが生じやすくなる。
<他の添加成分について>
本発明は前記A成分〜D成分をその必須成分とするものであるが、更に本発明の効果を発揮させるため、各種の添加剤を配合することができる。中でも好適な添加剤としては、含フッ素滴下防止剤、強化フィラーおよびB成分以外のゴム弾性体が挙げられる。前者は難燃性の向上に効果があり、後者は強度や剛性の向上およびD成分の硬化樹脂の微分散化に効果がある。
本発明の含フッ素滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることかできる。中でも好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30Jなどを代表として挙げることができる。
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などを挙げることができる。
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
含フッ素滴下防止剤の組成割合は、A成分〜D成分の合計100重量部あたり、好ましくは0.05〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜2重量部であり、更に好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明の強化フィラーは、例えば、タルク、ワラストナイト、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、セラミックバルーン、グラファイト、並びに各種ウイスカー(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、および塩基性硫酸マグネシウムなど)などが挙げられる。これらの強化フィラーは1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
本発明の強化フィラーとしてより好適には珪酸塩鉱物フィラーが挙げられる。かかる珪酸塩鉱物フィラーとしては、タルク、ワラストナイト、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、およびカオリンなどが好適に例示され、タルク、ワラストナイト、およびマイカがより好適に例示される。これらの好適な強化フィラーは、難燃性において優れると共に、D成分を含まない場合の樹脂組成物に比較してその機械特性、色相および外観などの特性変化がより少ない再生樹脂組成物が提供される点において好ましい。特にワラストナイトは成形品表面の耐擦傷性の低下を抑制できるフィラーとして好適に使用することができる。
本発明で好適に使用されるワラストナイトの繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。すなわち繊維状の無機充填材の好ましい態様として繊維径0.1〜10μm、およびアスペクト比3〜30の繊維状の無機充填材が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で無機充填材を観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
本発明で好適に使用されるタルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1〜50μm(より好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.2〜5μm、特に好ましくは0.2〜3.5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
マイカの平均粒径としては、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを使用できる。好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを越えても剛性の剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しく好ましくない。マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを使用できる。好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。
強化フィラーはは2種以上を併用することができ(例えば異種、異なる形状、および異なる大きさなどの2種以上)、また予め表面処理をすることもできる。表面処理としては例えば、シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、およびポリアルキレングリコールなどの各種処理剤での化学的処理のほか、物理的な表面処理も可能である。
強化フィラーの割合は、A成分〜D成分の合計100重量部に対し、好ましくは1〜100重量部であり、より好ましくは1〜60重量部、更に好ましくは1.5〜40重量部である。
B成分以外のゴム弾性体は、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分と、該ゴム成分と共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体のうち、前記スチレン系樹脂以外のものをいう。ゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体およびアクリル・ブタジエンゴム(アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルとブタジエンとの共重合体)など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。
かかるゴム成分に共重合される単量体成分としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物などが好適に挙げられる。その他の単量体成分としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物等を挙げることができる。
より具体的には、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)重合体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)重合体、メチルメタクリレート−アルキルアクリレート−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−アルキルアクリレート−アクリルゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げることができる。
その他弾性重合体としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
ゴム弾性体のゴム成分の割合は、前記弾性重合体中40〜95重量%であり、より好ましくは50〜85重量%である。同様に熱可塑性エラストマーの場合ソフトセグメントの割合は通常40〜95重量%であり、より好ましくは50〜85重量%である。ゴム弾性体は、単独での使用、および2種以上を組み合わせた使用のいずれも選択できる。ゴム弾性体の割合は、A成分〜D成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.5〜25重量部であり、より好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは1.5〜8重量部である。
本発明の樹脂組成物には、A成分およびB成分以外の汎用樹脂、エンジニアリング樹脂、およびスーパーエンジニアリング樹脂を含むことができる。かかる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド等などが例示される。更に本発明の再生樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲でC成分以外であって塩素や臭素を含まない難燃剤(シリコーン系難燃剤や有機アルカリ金属塩系難燃剤など)、難燃助剤(フェノールノボラック樹脂などのチャー形成樹脂など)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など)、光安定剤(HALSなど)、離型剤(飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋など)、滑剤、着色剤(カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、メタリック顔料など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを含むことができる。かかる樹脂や添加剤は、再生樹脂組成物100重量%中、5重量%以下であることが好ましい。
<再生樹脂組成物の製造方法>
本発明の再生樹脂組成物は、前記A成分〜D成分を必須成分として含み、更に任意に他の強化フィラーや添加剤成分等を溶融混練機を用いて溶融混練し製造されるものである。例えばA成分〜D成分の各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。
溶融混練機としては、例えばロールミル、インターナルミキサー(バンバリーミキサーなど)、押出機などを挙げることができる。更に押出機としては、単軸スクリュー型押出機、2軸スクリュー型押出機、多軸スクリュー押出機(3軸以上の押出機)、および遊星ローラ型押出機などを挙げることができる。溶融混練機の中でも押出機が好ましい。中でも2軸押出機が好ましく、更にZSKに代表されるタイプがより好ましい。
かかる溶融混練においては、破砕物をあらかじめ溶融混練し造粒化したのち、破砕物以外の成分とブレンドまたは溶融混練する方法も適用できる。破砕物以外の成分をあらかじめ溶融混練したのち、破砕物および/または破砕物の溶融混練物とブレンドまたは溶融混練することもできる。
本発明のD成分は粉砕物の形態である場合、比較的かさ高い特性を有する。したがって押出機の供給においては他のかさ密度の高い成分と混合するか、また独立に供給する場合にあってもかさ密度の高いとと共に押出機に供給することが好ましい。かかる製造方法によってD成分に起因する樹脂の劣化はより抑制され、D成分を使用しない樹脂組成物と同等の機械特性、熱安定性および色相などが本発明の樹脂組成物において得られる。本発明の再生樹脂組成物の代表的な製造方法としては、例えば(i)A成分〜D成分の全て押出機の第1供給口に供給する。(ii)A成分とC成分とを第1供給口に供給し、B成分とD成分とを第2供給口に供給する。(iii)A成分とD成分とを第1供給口に供給し、B成分とC成分とを第2供給口に供給する。各供給口の成分は全部または一部を予備混合しても、各成分を独立に供給してもよい。またC成分を液体状で押出機に供給する場合は別途液注装置を用いて独立に供給するのがよい。更に強化フィラーを含む場合には第1供給口から供給することも可能であるが、第2供給口からの供給がより好ましい。その他の添加剤成分についてはいずれの供給口から供給されてもよい。
2軸押出機においては、そのスクリュー形状は1条、2条、3条のネジスクリューをいずれも使用することができ、特に溶融樹脂の搬送能力やせん断混練能力の両方の適用範囲が広い2条ネジスクリューが好ましく使用できる。2軸押出機におけるスクリューの長さ(L)と直径(D)との比(L/D)は、20〜45が好ましく、更に28〜40が好ましい。L/Dが大きい方が供給口および混練プロファイルの自由度が高い一方、大きすぎる場合には樹脂組成物への熱負荷が高くなり過ぎ、D成分に起因する樹脂組成物の劣化を生ずる場合がある。本発明の再生樹脂組成物を溶融混練する際の温度は好ましくは220〜340℃の範囲であり、より好ましくは230〜290℃の範囲であり、更に好ましくは240〜280℃の範囲である。
2軸押出機のスクリュー構成としては各種の仕様が可能である。かかる仕様が任意に変更できる点もZSKタイプの大きな利点である。スクリューには混練性を上げるためのニーディングディスクセグメント(またはそれに相当する混練セグメント)から構成された混練ゾーンを1個所以上有することが好ましい。更に2箇所以上の供給口から各成分を押出機に供給する場合、2箇所以上の混練ゾーンを設けることが好ましい。
更に本発明の押出機は、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有することが好ましい。ベントは、発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するため各種減圧装置に接続される。ベントの減圧度は好ましくは0.5〜50KPaの範囲であり、より好ましくは0.5〜10kPaの範囲、更に好ましくは1〜6kPaの範囲である。ベントの孔の長さは押出機のバレル内壁面において、スクリューの直径(D)に対して、好ましくは0.1D〜5D(より好ましくは0.5D〜4D、更に好ましくは1D〜3Dである)の範囲である。ベントの孔の幅は、好ましくは0.1D〜1D(より好ましくは0.2D〜0.6D)の範囲である。またスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、固形異物を樹脂組成物中から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
本発明の再生樹脂組成物は、通常かかるペレットを射出成形して成形品を得ることにより各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
また本発明の再生樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の熱可塑性樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能である。
本発明の再生樹脂組成物の特に好適な用途としては、例えばOA機器や家電製品の外装材に好適なものである。特にパソコン、ノートパソコン、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パチンコ、およびスロットマシーンなど)、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、および有機ELなど)、並びにプリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)などの外装材において好適である。殊にB成分がABS樹脂からなる再生樹脂組成物は、これらの外装材に好適であり、特にノートパソコン、ディスプレー装置、ゲーム機およびコピー機やそれらの複合機などの大型製品の外装材に好適である。更に強化フィラーとしてワラストナイトを使用した再生樹脂組成物は、高剛性かつ表面の耐傷付き性の低下が少ないことから無塗装の大型製品の外装材に好適な特性を有する。したがって本発明によれば、強化フィラーとしてワラストナイトを使用した再生樹脂組成物からなる無塗装の外装材が提供され、更に好適にはノートパソコン、ディスプレー装置、ゲーム機およびコピー機やそれらの複合機などのかかる外装材が提供される。
本発明の再生樹脂組成物は、その他幅広い用途に有用であり、例えば、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、次世代高密度ディスク、ハードディスクなど)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティックなど)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、およびタイプライターなどを挙げることができ、これらの外装材などの各種部品に本発明の再生樹脂組成物から形成された樹脂製品を使用することができる。またその他の樹脂製品としては、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品などの車両用部品を挙げることができる。
本発明の再生樹脂組成物はポリカーボネート樹脂の優れた特性を備え、硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品を効率よく再生できるものであるばかりでなく、再度広い分野の製品に再生使用可能な十分な特性を有しているため、環境保護、資源の再利用の観点からも非常に有用であり、その奏する工業的効果は格別なものである。。更に本発明の再生樹脂組成物の製造方法は、硬化樹脂被膜が積層されたポリカーボネート樹脂成形品の不用品が有効利用される樹脂組成物の製造方法を提供し、更に難燃性、機械的特性および外観において良好な樹脂組成物の製造方法および該樹脂組成物を提供するものであり、環境保護および資源の再利用の観点からも非常に有用である。また本発明の成形品の再利用方法は、付加価値の高い製品を提供を可能とし、かつ硬化樹脂の特性をより発揮させる、再利用価値の高い方法を提供する。したがって、その奏する工業的効果は格別なものである。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明する。評価は下記の方法によった。
(1)評価項目
(a)燃焼性:実施例にて作成された組成物に対し、UL規格94Vに従い表1に記載された厚みの試験片を用い、燃焼試験を実施した。試験片5本中の最大燃焼秒数、合計燃焼秒数、およびドリップの有無を観察した。
(b)硬化樹脂の定量
市場から回収された硬化樹脂に被覆されたポリカーボネート樹脂を含有する成形品破砕物20gを塩化メチレン200cmに溶解後、ろ過を行った。その後、ろ紙上に残ったポリカーボネート樹脂を取り除くために50mlの塩化メチレンで3回洗浄した。次にろ紙上のろ過残物を乾燥し、重量を測定し、硬化樹脂を定量した。
(c)硬化樹脂の特定
前記(b)にて得られた硬化樹脂をFT−IRにて定性分析を行い、硬化樹脂の種類を特定した。
(d)成形品主材の特定
FT−IRにて市場から回収された成形品の主材に対し定性分析を行い、主材の種類を確認した。
(e)成形品の厚さ測定
主材の厚さは、ノギスを用いて測定した。また、被膜である硬化樹脂の厚さは、まずミクロトームで断面を切り出した後にSEMにて厚さを測定した。
[実施例1〜7、比較例1〜8]
表1〜表3に示す組成でポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、リン酸エステル化合物、破砕物、充填剤、滴下防止剤、離型剤を、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]に供給し、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化した。それぞれの実施例および比較例においてかかるペレットの製造は以下のように実施した(成分の説明は後述する符号をもって行う)。
(i)実施例1〜3および比較例1〜3
すべての成分をタンブラーを用いて均一に混合して予備混合物を作成し、かかる混合物を押出機の第1供給口より供給した。尚、MRおよびPTFEはそれぞれPC中に2.5重量%となる濃度で予め均一に混合し、かかる混合物をタンブラーに供給した。
(ii)実施例4〜6および比較例4〜6
第2供給口から、ST−1を供給し、更に強化フィラー(TD−2)がある場合には、強化フィラーも第2供給口から単独で供給した。第2供給口からの原料はスクリュー式サイドフィーダーにより押出機に供給された。更にC成分(FR−2)は、80℃に加熱した状態で液注装置(富士テクノ工業(株)製HYM−JS−08)を用いてシリンダー途中の第3供給口(第1供給口と第2供給口との間に位置)から、各々所定の割合になるよう押出機に供給した。残りの成分はタンブラーで均一に混合し第1供給口より供給した(MR、PTFEの混合方法は前記(i)に同じ)。液注装置は一定量を供給する設定とし、その他の原料の供給量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。
(iii)実施例7および比較例7〜8
強化フィラー(TD−3)を第2供給口から供給し、残りの成分を全てタンブラーで予備混合して第1供給口から供給した。使用した装置は前記(ii)の場合と同様である。
前記で得られたペレットは、80〜90℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機[住友重機械工業(株)製SG−150U]により、シリンダー温度260℃、および金型温度60℃でUL94−V試験片用の試験片を成形した。評価結果を表1〜表3に示した。
下記表1〜表3における樹脂、破砕物、リン酸エステル化合物、添加剤の記号は下記のものを示す。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
PC:ポリカーボネート樹脂
[帝人化成(株)製:パンライトL−1225WS、粘度平均分子量20,500]
(B成分:スチレン系樹脂)
ST−1:ABS樹脂
[日本エイアンドエル(株)製:サンタックUT−61]
ST−2:AS樹脂
[CHEIL INDUSTRY INC.製:HF−5670]
ST−3:MBS樹脂
[三菱レイヨン(株)製:メタブレンC−223A]
(C成分:リン酸エステル化合物)
FR−1:トリフェニルホスフェート
[大八化学工業(株)製:TPP]
FR−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)
[大八化学工業(株)製:CR−741]
FR−3:レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)
[旭電化工業(株)製:アデカスタブFP−500]
(D成分:ポリカーボネート樹脂を含有する成形品破砕物)
RE−1:市場でオートバイ風防に使用されたポリカーボネート樹脂シート(厚み約5mm)を水洗、乾燥したのち粉砕機((株)朋来鉄工所製SB−210)にて、70kg/hの処理能力で破砕し、V型ブレンダーにて均一にブレンドし破砕物(RE−1)を得た。RE−1を組成分析した結果、メラミン系硬化樹脂(厚み2μm)にて被覆されたポリカーボネート樹脂であった。
RE−2:市場で建設機器の窓に使用された成形品(厚み約5mm)をRE−1と同様に水洗、乾燥、破砕、ブレンドし破砕物(RE−2)を得た。RE−2を組成分析した結果、シリコン系硬化樹脂(厚み10μm)にて被覆されたポリカーボネート樹脂であった。
RE−3:市場で自動車のヘッドランプレンズに使用された成形品(透光部分の厚み約3mm)をRE−1と同様に水洗、乾燥、破砕、ブレンドし破砕物(RE−3)を得た。RE−3を組成分析した結果、アクリル系硬化樹脂(厚み10μm)に被覆されたポリカーボネート樹脂であった。
(D成分の類似化合物)
MC:メラミンシアヌレート(硬化前のメラミン樹脂)[日産化学(株)製:MC]
(ゴム弾性体)
MD−1:メチルメタクリレート−エチルアクリレート−ブタジエン共重合体
[呉羽化学工業(株)製:パラロイドEXL−2602]
(強化フィラー)
TD−1:タルク
[林化成(株)製:HS−T0.8]
TD−2:ワラストナイト
[清水工業(株)製:H−1250F]
TD−3:マイカ
[YANXI MINERALS PROCESSING FACTORY 製WHITE MICA POWDER 250MESH]
(滴下防止剤)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン
[ダイキン工業(株)製:ポリフロンMPA FA−500]
〔離型剤〕
MR:脂肪酸エステル[理研ビタミン(株)製:リケマールSL900]
Figure 2004238613
Figure 2004238613
Figure 2004238613
この表から、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、およびリン酸エステル化合物に特定の破砕物に加えることにより、難燃性が向上することがわかる。例えば硬化前のメラミン樹脂を同程度配合しても同様の効果は認められない。尚、いずれの実施例においても破砕物を配合しない樹脂組成物と同様の良好な色相および外観を有しており実用性に富むものであった。更に、充填剤および滴下防止剤を加えることにより、難燃性が向上するが、破砕物が加わることにより、より優れた難燃性が得られることわかる。
また、実施例4〜6および比較例4〜6の組成物を用いて、図1に示す図1に示すノートパソコンの筐体成形品を成形した。いずれも良好な成形品を得ることができたが、破砕物の有無における外観差の最も少ないものはワラストナイトを添加した実施例6のサンプルであった。
実施例において使用したノートパソコンのハウジングを模した成形品の表側斜視概要図である(縦178mm×横245mm×縁の高さ10mm、厚み1.2mm)。 実施例において使用した成形品の表面側正面概要図であり、ゲート位置、ウエルドラインの様子および評価用サンプルの切り出し部分を示す。 実施例において使用した成形品の裏面側正面概要図であり、リブ付ボスがある様子を示す(艶消し面の部分は上下両側にリブがあるボスとなる)。
符号の説明
1 ノートパソコンのハウジングを模した成形品本体
2 艶消し表面部
3 鏡面部
4 ゲート(ピンゲート0.8mmφ、5個所)
5 およそのウエルドライン
6 リブ付ボス(鏡面部裏側に対応)
7 リブ付ボス(鏡面部裏側に対応)

Claims (11)

  1. ポリカーボネート樹脂(A成分)4〜93重量%、スチレン系樹脂(B成分)5〜40重量%、リン酸エステル化合物(C成分)1〜25重量%、および硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物(D成分)1〜50重量%の合計100重量%を溶融混練してなり、かつ(i)かかる100重量%中の硬化樹脂の割合が0.000001〜1重量%であり、(ii)難燃剤として塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物。
  2. 前記D成分における硬化樹脂は、実質的に着色剤を含有しない硬化樹脂である請求項1に記載の再生樹脂組成物。
  3. 前記D成分は、透明なポリカーボネート樹脂成形品表面にハードコート被膜が積層されてなる成形品の粉砕物である請求項1または2のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  4. 前記D成分における硬化樹脂は、メラミン硬化樹脂、シリコーン硬化樹脂およびアクリル硬化樹脂から選択される少なくとも1種の硬化樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  5. 前記D成分における硬化樹脂の厚みは、0.5〜100μmの範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  6. 更に含フッ素滴下防止剤をA成分〜D成分の合計100重量部に対し0.05〜5重量部含有してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  7. 更にタルク、マイカ、およびワラストナイトから選択される少なくとも1種の充填材をA成分〜D成分の合計100重量部に対し1〜100重量部含有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物より形成された成形品。
  9. 前記成形品は、肉厚0.8〜2mmの筐体成形品である請求項8に記載の成形品。
  10. (1)硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物(D成分)を準備する工程(工程−i)、
    (2)ポリカーボネート樹脂(A成分)、スチレン系樹脂(B成分)、リン酸エステル化合物(C成分)、および前記D成分を、これらの合計100重量%当たり、4〜93重量%のA成分、5〜40重量%のB成分、1〜25重量%のC成分、および1〜50重量%のD成分となる割合であり、かつD成分における硬化樹脂の割合が、かかる100重量%当たり0.000001〜1重量%となる割合で押出機に供給する工程(工程−ii)、
    (3)かかるA成分、B成分、C成分およびD成分を押出機中で溶融混練する工程(工程−iii)および、
    (4)溶融混練されて得られた再生樹脂組成物を回収する工程(工程−iv)からなる、難燃剤として塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物の製造方法。
  11. 硬化樹脂が成形品の少なくとも一部に積層されてなるポリカーボネート樹脂成形品の再利用方法であって、該成形品の粉砕物(D成分)を準備し、ポリカーボネート樹脂(A成分)、スチレン系樹脂(B成分)、リン酸エステル化合物(C成分)、および前記D成分を、これらの合計100重量%当たり、4〜93重量%のA成分、5〜40重量%のB成分、1〜25重量%のC成分、および1〜50重量%のD成分となる割合であり、かつD成分における硬化樹脂の割合が、かかる100重量%当たり0.000001〜1重量%となる割合で押出機に供給し、押出機中でかかるA成分、B成分、C成分およびD成分を溶融混練し、溶融混練されて得られた樹脂組成物を塩素化合物および臭素化合物を含有しない再生樹脂組成物として回収することを特徴とする再利用方法。
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