JPH08205722A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】リールに装着される釣糸侵入阻止部材が大型・
複雑化して魚釣操作性が低下することなく、しかも低コ
ストで釣糸のスプール後側からの糸落ち現象を確実に防
止できる魚釣用スピニングリールを提供すること。 【構成】 ハンドルＨの回転により前後動するスプール
２に釣糸案内部７を有する釣糸案内支持体３を介して釣
糸を巻回する魚釣用スピニングリールにおいて、前記支
持体のスプールに対向する腕部４Ａ，４Ｂにスプール軸
に直交する方向に延在する釣糸侵入阻止部材８ａをその
先端がスプール後側のフランジ２ａ部外周に当接するよ
うにして取付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は魚釣用スピニングリール
に関し、特に釣り糸が釣糸案内支持体やスプール軸に絡
み付くのを防止する機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般的に、魚釣用スピニングリールにお
いては、釣糸の放出または巻取りの一連の操作の中で、
糸ヨレ、糸グセ、巻取り張力の変化による糸フケ、風な
どの影響によって、釣糸がスプールフランジ外方より落
込んで、釣糸案内支持体（ロータ）やスプールを支持す
るスプール軸に巻き込まれるといった問題があった。

【０００３】斯かる不具合を解消するものとして、例え
ば、実公平３―９６５６号公報や実公平４―１５０１６
号公報に開示された技術が提案されている。

【０００４】前者には、釣糸の侵入を阻止する阻止体を
スプール軸に回転自在に支持させるとともに一対のロー
タ支持腕に軸方向移動可能に回り止め装着する技術が開
示されている。また、後者には、ロータの支持杆に前後
動するとともに回転自在に支持されたローラをスプール
後側のフランジ外周に結合させる技術が開示されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
形式の魚釣用スピニングリールにおいては、釣糸の侵入
を阻止する阻止体が大型重量で、かつ、複雑化している
ため、ロータ自体の重量も増加して魚釣り操作性が低下
するとともにコストアップの要因となるといった課題を
有している。また、後者の形式の魚釣用スピニングリー
ルにおいては、巻取り時に高負荷がかかると、ロータ支
持アームの変形などにより阻止部材の摺動抵抗が大きく
なり、円滑な巻取り操作を行なえない場合があるといっ
た課題を有している。

【０００６】本発明は上記従来技術の課題に鑑みて提案
されたもので、リールに装着される釣糸侵入阻止部材が
大型・複雑化して魚釣操作性が低下することなく、しか
も低コストで釣糸のスプール後側からの糸落ち現象を確
実に防止できる魚釣用スピニングリールを提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、ハンドルの回転により前後動するスプールに
釣糸案内部を有する釣糸案内支持体を介して釣糸を巻回
する魚釣用スピニングリールにおいて、前記支持体のス
プールに対向する腕部にスプール軸に直交する方向に延
在する釣糸侵入阻止部材をその一部がスプール後側のフ
ランジ部外周に当接するようにして取付けることを特徴
とする。

【０００８】また、本発明は、前記釣糸侵入阻止部材を
弾性材料で形成し、一端側を釣糸案内支持体に取付け、
他端を前記スプール外周に当接させるように構成するこ
とを特徴とする。

【０００９】さらに、本発明は、前記釣糸侵入阻止部材
を柔軟性材料で形成し、該阻止部材を釣糸案内支持体の
対向する一対の腕部間に張架するように取付け、阻止部
材の略中央部を前記スプール後側のフランジ部外周に当
接させることを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明によれば、スプール軸に直交する方向に
延在する釣糸侵入阻止部材の一部がスプール後側のフラ
ンジ部外周に当接するようにして支持体のスプールに対
向する腕部に取付けられているので、スプール後側から
糸落ちしようとする釣糸が釣糸侵入阻止部材によって移
動を阻止される。

【００１１】

【実施例】以下、添付の図面を参照して本発明の実施例
を詳細に説明する。図１は本発明の第１の実施例におけ
る魚釣用スピニングリールの側面図、図２は一部断面正
面図である。なお、以下の記載においては、リールを釣
竿に取付けた状態で、穂先側を「前」側として、また、
竿尻側を「後」側として説明する。

【００１２】図１および図２に示すように、本発明の第
１の実施例における魚釣用スピニングリールは、リール
本体１の前側に前後動するように取付けられたスプール
２と、該スプール２の外周を離間状態で回転する釣糸案
内支持体３と、スプール２を挟んで釣糸案内支持体３の
対称位置から前方に向けて延在する腕部４Ａ，４Ｂと、
前記腕部４Ａ，４Ｂの先端に取付けられたベール支持部
材５Ａ，５Ｂと、前記ベール支持部材５Ａ，５Ｂ間に架
設されたベール６と、一方の支持部材５Ａ側に設けられ
た釣糸案内部（ラインローラ）７と、前記釣糸案内支持
体３を回転させるとともにスプール２を前後動させるた
めの操作を行うハンドルＨとを有している。なお、ハン
ドルＨの回転により前部にスプール２を有するスプール
軸Ｓを前後動させる機構および釣糸案内支持体３を回転
させる機構等は、特に限定されれるものではなく、従来
のスピニングリールと同様の構成をしているものであ
る。

【００１３】上記説明においては、釣糸案内支持体３が
前後動するスプール２の外周を離間状態で回転する所謂
ロータと呼ばれる形式のものとしたが、釣糸案内支持体
３がリール本体１に固定的に取付けられており、スプー
ル２が回転しながら前後動する形式のリールであっても
本発明の対象となる。以下、説明の便宜上、スプール２
が回転せず、釣糸案内支持体３がスプール周りを回転し
てスプール２に糸を巻回する形式のものを用いて説明す
る。

【００１４】本発明の第１の実施例においては、図２か
らもっとも良く分るように、腕部４Ａ，４Ｂの上下に
は、スプール２のフランジ部２ａ外周の接線方向に向け
て夫々棒状あるいは板状の釣糸侵入阻止部材８ａが取付
けられている。この４本の釣糸侵入阻止部材８ａは、ス
テンレスや他の金属材料、あるいは合成樹脂材料で構成
されており、その先端側部分がスプール２の後側のフラ
ンジ部２ａ外周に当接するようにバネ性を付与された状
態で腕部４Ａ，４Ｂに取付けられている。

【００１４】スプール２のフランジ部２ａ外周は釣糸侵
入阻止部材８ａが当接した状態で前後動するため、この
スプール２のフランジ部２ａ外周には、摩擦係数の小さ
い表面処理を施しておくのが望ましい。この表面処理の
例としては、テフロンコーティング、研磨あるいはメッ
キ処理の外、低摩擦係数のシールを貼り付けることなど
も含まれる。

【００１５】上記第１の実施例においては、釣糸侵入阻
止部材８ａを腕部４Ａ，４Ｂの上下から対向する反対側
の腕部４Ａ，４Ｂに向けて２本ずつ合計４本の釣糸侵入
阻止部材８ａを設けることとしたが、第２の実施例にお
いては、図３および図４に示すように、２本の釣糸侵入
阻止部材８ｂを、上下において対向する左右の腕部４
Ａ，４Ｂ間を掛け渡すように設けている。そして、これ
らの上下の釣糸侵入阻止部材８ｂは、略中央部（端部以
外の部分）がスプール２のフランジ部２ａ外周に当接し
ている。この釣糸侵入阻止部材８ｂの材料としては、特
に限定されるものではないが、例えば、薄い樹脂板や金
属板、織布、あるいはテフロンをコーティングした柔軟
性板材などを用いて構成されている。

【００１６】なお、第２の実施例においても、釣糸侵入
阻止部材８ｂが当接するスプール２のフランジ部２ａ外
周を摩擦係数の小さい表面処理を施しておくのが望まし
い。この表面処理の例としては、前記第１の実施例と同
様に、テフロンコーティング、研磨あるいはメッキ処理
の外、低摩擦係数のシールを貼り付けることによって行
なわれる。

【００１７】図５は第３の実施例を示すもので、前記第
１の実施例において設けられた各釣糸侵入阻止部材８ａ
の先端に、テフロンでコーティングされたゴムや樹脂か
らなる摺接抵抗減少部材９ａを取付けておき、この摺接
抵抗減少部材９ａをスプール２のフランジ部２ａ外周に
当接させておくものである。これにより、スプール２の
前後動のとき、あるいは、スプールが回転する形式のも
のである場合には、前後動に加えて回転するが、この回
転時における摺接抵抗を小さくすることができ、巻取り
操作に影響を与えることがない。この第３の実施例にお
いても、スプール２のフランジ部２ａ外周を摩擦係数が
小さくなるような表面処理を施しておけば、それだけ摩
擦係数を小さくすることができ、巻取り操作も重くなら
ず、円滑な巻取り、繰り出し操作を行なうことができ
る。

【００１８】図６は第４の実施例を示すもので、前記第
２の実施例において設けられた各釣糸侵入阻止部材８ｂ
の中央部に、前記第３の実施例と同様の構成の摺接抵抗
減少部材９ｂを設けておき、この摺接抵抗減少部材９ｂ
をスプール２のフランジ部２ａ外周に当接させておく。
この場合も、第３の実施例と同様に、スプールの前後動
時、あるいは回転時における摺接抵抗を小さくすること
ができるものとなる。この第４の実施例においても、ス
プール２のフランジ部２ａ外周を摩擦係数が小さくなる
ような表面処理を施しておけば、それだけ摩擦係数を小
さくすることができ、巻取り操作も重くならず、円滑な
巻取り、繰り出し操作を行なうことができる。

【００１９】

【発明の効果】上記したように、本発明によれば、スプ
ール軸に直交する方向に延在する釣糸侵入阻止部材の一
部がスプール後側のフランジ部外周に当接するようにし
て支持体のスプールに対向する腕部に取付けられている
ので、スプール後側から糸落ちしようとする釣糸が釣糸
侵入阻止部材によって確実に移動を阻止されて、釣糸が
釣糸案内支持体やスプールを支持するスプール軸に巻き
込まれるといったことを有効に防止できる。

【００２０】しかも、本発明において、釣糸侵入阻止部
材が摺接するスプール後側のフランジ部を摩擦係数の小
さい表面処理を施しておいたり、あるいは、釣糸侵入阻
止部材のスプールのフランジ部外周と当接する部分に、
摺接抵抗を小さくするための摺接抵抗減少部材を設けて
おけば、ハンドルの回転操作性を損わせることがなく、
安定した円滑な巻取り操作を行なうことができる。

【００２１】さらに、本発明によれば、釣糸侵入阻止部
材の構成が極めて簡単であるので、製作コストダウンが
図れるばかりでなく、組立工程も簡便化できるととも
に、保守も容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例の側面図である。

【図２】第１の実施例の一部断面正面図である。

【図３】第２の実施例の側面図である。

【図４】第２の実施例の一部断面正面図である。

【図５】第３の実施例の一部断面正面図である。

【図６】第４の実施例の一部断面正面図である。

【符号の説明】

１ リール本体 ２ スプール ２ａ スプールのフランジ部 ３ 釣糸案内支持体 ４Ａ 腕部 ４Ｂ 腕部 ５Ａ ベール支持部材 ５Ｂ ベール支持部材 ７ 釣糸案内部 ８ａ 釣糸侵入阻止部材 ８ｂ 釣糸侵入阻止部材 ９ａ 摺接抵抗減少部材 ９ｂ 摺接抵抗減少部材 Ｈ ハンドル Ｓ スプール軸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルの回転により前後動するスプー
   ルに釣糸案内部を有する釣糸案内支持体を介して釣糸を
   巻回する魚釣用スピニングリールにおいて、 前記支持体のスプールに対向する腕部にスプール軸に直
   交する方向に延在する釣糸侵入阻止部材をその一部がス
   プール後側のフランジ部外周に当接するようにして取付
   けられていることを特徴とする魚釣用スピニングリー
   ル。
2. 【請求項２】 前記釣糸侵入阻止部材が弾性材料で形成
   されており、該釣糸侵入阻止部材の一端側を釣糸案内支
   持体に取付けられており、他端が前記スプール外周に当
   接させるように構成されていることを特徴とする請求項
   １に記載の魚釣用スピニングリール。
3. 【請求項３】 前記釣糸侵入阻止部材が柔軟性材料で形
   成されており、該釣糸侵入阻止部材が釣糸案内支持体の
   対向する一対の腕部間に張架するように取付けられてお
   り、かつ、該釣糸侵入阻止部材の略中央部が前記スプー
   ル後側のフランジ部外周に当接するように構成されてい
   ることを特徴とする請求項１に記載の魚釣用スピニング
   リール。
4. 【請求項４】 前記釣糸侵入阻止部材のスプールのフラ
   ンジ部外周に当接する部分に摺接抵抗減少部材が取付け
   られていることを特徴とする請求項１または２または３
   に記載の魚釣用スピニングリール。