JPH0819507B2 - 加工性に優れた高強度ステンレス鋼 - Google Patents

加工性に優れた高強度ステンレス鋼

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JPH0819507B2
JPH0819507B2 JP61201071A JP20107186A JPH0819507B2 JP H0819507 B2 JPH0819507 B2 JP H0819507B2 JP 61201071 A JP61201071 A JP 61201071A JP 20107186 A JP20107186 A JP 20107186A JP H0819507 B2 JPH0819507 B2 JP H0819507B2
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武志 宇都宮
貞雄 廣津
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は加工性と強度とを必要とする材料として好適
なフェライト−マルテンサイトの2相系析出硬化型ステ
ンレス鋼に関する。
(従来技術) 従来耐食性と高強度を必要とするばね材料や構造材料
に使用されている高強度ステンレス鋼としては次のよう
なものが代表的である。
(a)SUS301鋼に代表される加工硬化型ステンレス鋼 (b)17−4PH、17−7PH鋼に代表される析出硬化型ステ
ンレス鋼。
これらの材料を使用してばね部材や構造部材に加工す
る際打抜き、切断、成形など種々の加工を施すので、材
料としては加工時に硬さが低く、加工後高くなるものが
望まれている。特に近年は用途の拡大に伴い加工の厳し
い用途に使用されるに至り、益々加工性の優れた材料の
要求が高くなっている (発明が解決しようとする問題点) しかるに上記鋼のうち、(a)の鋼は焼鈍状態でのオ
ーステナイトを冷間加工により高質のマルテンサイトに
変化させて、高強度を得るものであるので、高強度を得
るためには強度の冷間加工を施して多量のマルテンサイ
トを形成しなければならない。しかし強度の冷間加工を
施すと加工性が著しく低下し、複雑な加工が困難とな
る。
これに対して(b)の鋼はAl、Cuなどの析出硬化元素
を添加して、加工後時効処理により炭化物や金属間化合
物を析出させて高強度を得るものであるので、加工時の
加工性は前記(a)の鋼より優れている。この(b)の
鋼のうち高強度のものとして使用されているものは、マ
ルテンサイト系(例えば17−4PH鋼)、セミオーステナ
イト系(例えば17−7PH鋼)などがあるが、マルテンサ
イト系は延性が小さいため、強度の加工を加えたり、複
雑な形状に成形したりするのが困難である。一方セミオ
ーステナイト系はマルテンサイト系より延性が優れてい
るが、加工の厳しい最近の用途に使用するにはまだ加工
性が不十分であった。
そこで本発明は従来鋼と同程度の硬さを有し、加工性
をさらに向上させた高加工性、高強度のステンレス鋼を
提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは析出硬化型ステンレス鋼において、セミ
オーステナイト系と同程度の強度を有し、しかも延性に
優れた鋼を開発すべく種々検討した結果、母相をフェラ
イトとマルテンサイトの2相組織にすれば、マルテンサ
イト系と同程度の強度を維持しつつ、加工性を向上させ
ることができることを見出した。すなわち本発明は軟質
なフェライト相で加工性を確保し、硬質なマルテンサイ
ト相で時効析出させることにより強度を付与して、強度
と加工性とを兼備えさせたもので、鋼組織を重量%にお
いて、C:0.08%以下、Si:1.0〜5.0%、Mn:1.0%以下、N
i:4.0〜9.0%、Cr:12.0〜20.0%、N:0.03%以下を含有
し、さらにTi:0.1〜2.0%、Zr:0.1〜2.0%、Nb:0.1〜2.
0%、Ta:0.1〜2.0%、Al:0.1〜2.0%、Cu:0.2〜3.0%、
Mo:0.2〜3.0%の範囲にあるTi、Zr、Nb、Ta、Al、Cu、M
oの1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる合金にして、母相を溶体化処理状態
でマルテンサイト中にフェライトを20〜80%含むフェラ
イト−マルテンサイトの2相組織にしたことを特徴とし
ている。
以下本発明の限定理由を説明する。
(1)C Cは固溶強化による強度上昇に寄与するが、含有量が
多くなると焼入れマルテンサイト相が硬くなり、冷間加
工変形能を低下させ、目的とする十分なる成形加工性が
得られない。従って成形加工性を向上させるにはTi、Hb
などのC固定能を有する析出硬化元素を多く添加しなけ
ればならず、不経済である。これらの理由によりCは0.
08%以下とした。
(2)Si 本発明鋼はNi、Si、TiおよびZrなどよりなる金属間化
合物を析出させて高強度を得るもので、Siが1.0%未満
であると十分なる時効硬化が得られない。また5.0%を
越えて添加してもその効果は飽和する。このためSiの含
有量は1.0〜5.0%とした。
(3)Mn MnはNiとともに室温でマルテンサイト相になるオース
テナイト相の生成を多くする元素である。本発明鋼では
析出硬化に有効なNiを多量に添加するため、マルテンサ
イト−フェライトの2相バランスを保つ都合上Mnを低く
抑える必要があり、このためMnは1.0%以下と低くし
た。
(4)Ni Niは析出硬化能を向上させるとともに、フェライト相
の生成を調整する必須の元素である。しかし添加量を多
くするとMs点が低下して残オーステナイト相の量が増加
するため、強度が低下する。本発明鋼の場合析出硬化能
を付与するのに最低4.0%必要で、マルテンサイト相中
の残留オーステナイト相の量を増加させないためには9.
0%以下にする必要がある。
(5)Cr CrはNi量とのバランスでフェライト−マルテンサイト
の2相組織を得るのに少なくとも12.0%以上必要であ
る。しかし添加量を多くすると残留オーステナイト量が
増加し、強度が低下するので、上限は20.0%とした。
(6)N NはCと同様固溶強化に寄与するが、析出硬化元素の
Ti、Nb、Alなどとの親和力が大きいので、析出硬化元素
の添加効果を減少させる。またN含有量が高いと析出硬
化元素にTiを使用した場合TiNの大きな介在物を多量に
形成し、靭性を低下させる。これらのことからNは少な
い方が好ましく、0.03%以下とした。
(7)Ti、Zr、Nb、TaおよびAl これらの元素は析出硬化を起こさせるのに必須の元素
で、少なくとも1種以上添加する必要がある。しかるに
これらの元素はC、N、Oなどとの親和力が大きく、0.
1%以上添加しないと析出硬化が不十分である。一方2.0
%を越えて添加すると強度が著しく大きくなりすぎ、靭
性が低下する。このため上記各元素はそれぞれ0.1〜2.0
%とした。
(8)Cu Cuは析出硬化元素の1種であるが、それとともに亜硫
酸ガス系腐食環境下における耐食性を著しく向上させ
る。このためCuは用途に応じて添加するのであるが、そ
の添加効果を得るには0.2%以上必要とする。しかし3.0
%を越えて添加してもその添加量の割には効果が小さ
く、しかも鋼板あるいは鋼帯製造時の熱間加工性を害す
る。このためCu上限は3.0%とした。
(9)Mo MoはCuと同様析出硬化元素であるとともに、耐食性、
靭性改善効果の大きい元素である。その効果を発現させ
るためには0.2%以上添加する必要があるが、多量に添
加すると熱間加工性に著しく低下させるので、上限は3.
0%以下にする必要がある。
(10)相比 本発明鋼はフェライトとマルテンサイトの2相組織に
するのであるが、両相の比率はSi、Cr、Ti、Zr、Nb、T
a、AlおよびMoなどのフェライト生成元素と溶体化処理
状態でマルテンサイトとなるC、Mn、NiおよびCuなどの
オーステナイト生成元素との比率および熱処理条件によ
り変化する。従って成分範囲が本発明鋼の範囲内でも各
々の成分のバランスおよび溶体化温度により両相の比率
は変化し、それに伴って加工性、強度も変化する。フェ
ライトとマルテンサイトとの2相組織において、前者の
比率が多い場合加工性は向上するが、強度は低下し、逆
に後者が多い場合はその逆になる。そこで高加工性、高
強度の得られる範囲について検討した結果、溶体化処理
状態でマルテンサイト中のフェライト量を20〜80%にす
ればよいことを見出した。これはフェライト量が20%未
満であるとマルテンサイト単相の鋼と同程度の延性しか
得られず、逆に80%を越えるとフェライト単相の鋼と同
程度の強度しか得られず、フェライト量が20〜80%の範
囲を外れるといずれかの特性が不十分となるからであ
る。
(実施例) 次に本発明を実施例により具体的に説明する。
第1表に示すような化学成分の合金鋼を高周波溶解炉
で溶製して、通常の熱間圧延、冷間圧延により厚さ1mm
の板にした。その後これらの材料を先ず1050℃で溶体化
処理して、フェライト量と伸びを測定し、次に時効処理
して、硬さを測定した。
第1表においてNo1〜7の鋼は本発明鋼で、組織がフ
ェライトとマルテンサイトの2相になっている。またNo
11、12は成分が本発明鋼の範囲内にあるが、フェライト
生成元素およびマルテンサイト生成元素の割合を調整し
て、実質的にNo11はフェライト組織、No12はマルテンサ
イト組織にした比較鋼である。さらにNo21および22は従
来鋼で、No21がSUS301、No22がSUS631(17−7PH)であ
る。
第2表に溶体化処理後のフェライト量および標点間20
mmの試験片で引張り試験を行った後の伸び並びに時効処
理後の硬さの測定結果を示す。ただしNo21と22の従来鋼
は40%冷間圧延後の伸びおよび時効処理後の硬さを示
す。時効処理はNo1〜7の本発明鋼およびNo11、12の比
較鋼の場合525℃×1hrで、No21および22の比較鋼の場合
それぞれ400℃×1hrおよび475℃×1hrで行った。
第2表より明らかなように、マルテンサイト中のフェ
ライト量が20〜80%の本発明鋼は溶体化処理状態での伸
びがNo21、22の従来鋼より大きく、しかも時効処理後の
硬さはHv490〜520と従来鋼の488〜524と同程度である。
従って本発明鋼はセミオーステナイト系析出硬化型ステ
ンレス鋼と同程度の強度を有し、それより加工性が向上
していることがわかる。
これに対してマルテンサイト中にょフェライト量が本
発明鋼の範囲より外れた比較鋼No11の場合、伸びは従来
鋼より大きいが、フェライト相においては十分なる時効
硬化が起こらないため硬さが低く、No12の場合は伸びお
よび硬さとも従来鋼と変わらず、加工性が改善されてい
ない。
添付図面は第2表に示した時効処理前の伸びと時効処
理後の硬さの関係を示したもので、図中の数字は第2表
の試料Noで、本発明鋼は円で囲んである。この図より本
発明鋼は高延性、高強度であることがわかる。
(効果) 以上のように本発明鋼は加工性に優れているので、形
状が複雑であったり、高度の加工性を必要とする用途に
使用でき、かつ加工後には高強度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
添付図面は実施例で第2表に示した時効処理前の伸びと
時効処理後の硬さの関係を示したものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%において、C:0.08%以下、Si:1.0〜
    5.0%、Mn:1.0%以下、Ni:4.0〜9.0%、Cr:12.0〜20.0
    %、N:0.03%以下を含有し、さらにTi:0.1〜2.0%、Zr:
    0.1〜2.0%、Nb:0.1〜2.0%、Ta:0.1〜2.0%、Al:0.1〜
    2.0%、Cu:0.2〜3.0%、Mo:0.2〜3.0%の範囲にあるT
    i、Zr、Nb、Ta、Al、Cu、Moの1種または2種以上を含
    有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる合金で、
    溶体化処理状態でマルテンサイト中にフェライトを20〜
    80%含み、時効処理により高強度を得ることができる加
    工性に優れた高強度ステンレス鋼。
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