JPH08192102A - プレス加工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板 - Google Patents
プレス加工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板Info
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- JPH08192102A JPH08192102A JP540395A JP540395A JPH08192102A JP H08192102 A JPH08192102 A JP H08192102A JP 540395 A JP540395 A JP 540395A JP 540395 A JP540395 A JP 540395A JP H08192102 A JPH08192102 A JP H08192102A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、プレス油なしに成形加工が可能
で、加工後の耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板を
提供する。 【構成】 片面に膜厚が5μm以上50μm未満で伸び
率が100%以上の有機物塗膜(A)を有し、他方の面
には、膜厚が0.2〜5μmの有機物塗膜(B)を有す
ることによって、上記目的を達成した有機被覆金属板が
得られる。有機物塗膜(A)は、ガラス転移温度が30
〜60℃の高分子ポリエステル樹脂が好ましく、有機物
塗膜(B)は、エーテル・エステル型ウレタン樹脂とエ
ポキシ樹脂にポリオレフィンワックスとシリカを含有さ
せた有機物が好ましい。 【効果】 プレス油を使用せずに加工でき、その後塗料
の塗布工程なしに、製品の組み立てに使用できる。プレ
ス油を使用しないため、塗膜への悪影響もなく、プレス
油の洗浄工程が省略でき、金属板ユーザーでコストダウ
ンができる。
で、加工後の耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板を
提供する。 【構成】 片面に膜厚が5μm以上50μm未満で伸び
率が100%以上の有機物塗膜(A)を有し、他方の面
には、膜厚が0.2〜5μmの有機物塗膜(B)を有す
ることによって、上記目的を達成した有機被覆金属板が
得られる。有機物塗膜(A)は、ガラス転移温度が30
〜60℃の高分子ポリエステル樹脂が好ましく、有機物
塗膜(B)は、エーテル・エステル型ウレタン樹脂とエ
ポキシ樹脂にポリオレフィンワックスとシリカを含有さ
せた有機物が好ましい。 【効果】 プレス油を使用せずに加工でき、その後塗料
の塗布工程なしに、製品の組み立てに使用できる。プレ
ス油を使用しないため、塗膜への悪影響もなく、プレス
油の洗浄工程が省略でき、金属板ユーザーでコストダウ
ンができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス油を塗布するこ
となく成形加工できるプレス加工性と加工後耐熱性に優
れた無塗油型有機被覆金属板に関する。
となく成形加工できるプレス加工性と加工後耐熱性に優
れた無塗油型有機被覆金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】建材、家電、雑貨、自動車などの分野に
おいては、加工後の金属板に他の性能や意匠性を付与す
るために金属板上に塗料を塗布して所定目的の製品を供
給することが行なわれている。その際、金属板の加工か
ら塗料の塗布作業及び焼き付け作業並びに製品組立は、
すべて金属板を使用するユーザー側で行なわれるのが一
般的である。ところが、上記の作業のうち、塗料の塗布
及び焼き付け作業は、有機溶剤使用による環境汚染への
対応、人手不足、設備投資等の問題がある。このため、
このような問題を解決する方策として加工性を有する塗
料を予め金属板に施したプレコート金属板が開示されて
いる。例えば、特開昭63−301215号公報や特開
昭63−301217号公報において、折曲げ加工性の
良好なプレコートメタル用樹脂組成物について開示され
ている。しかしながら、絞り加工や張り出し加工のよう
な変形様式のプレス加工性や加工後耐熱性、他面の有機
塗膜の必要性については言及されていない。
おいては、加工後の金属板に他の性能や意匠性を付与す
るために金属板上に塗料を塗布して所定目的の製品を供
給することが行なわれている。その際、金属板の加工か
ら塗料の塗布作業及び焼き付け作業並びに製品組立は、
すべて金属板を使用するユーザー側で行なわれるのが一
般的である。ところが、上記の作業のうち、塗料の塗布
及び焼き付け作業は、有機溶剤使用による環境汚染への
対応、人手不足、設備投資等の問題がある。このため、
このような問題を解決する方策として加工性を有する塗
料を予め金属板に施したプレコート金属板が開示されて
いる。例えば、特開昭63−301215号公報や特開
昭63−301217号公報において、折曲げ加工性の
良好なプレコートメタル用樹脂組成物について開示され
ている。しかしながら、絞り加工や張り出し加工のよう
な変形様式のプレス加工性や加工後耐熱性、他面の有機
塗膜の必要性については言及されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のような加工性を
有する塗膜を施した金属板は成形加工によって所定の形
状に仕上げられるが、プレス成形性を持たせるためには
伸びのある樹脂を用いる必要がある。また、母材として
の金属板の特性によっては、片面に加工性を有する塗膜
を施し、他面にプレス油を塗布することによって成形加
工性(耐かじり性)を付与しなければならないこともあ
る。プレス油を塗布する際に、プレス油が塗膜の面に付
着すると外観を損ねたり、さらにその上に印刷を施す必
要のある場合には、印刷が不可能となるので、プレス油
の塗布には十分な注意を払わなければならない。もし、
誤って塗膜面にプレス油が付着すると、材料の歩留まり
の低下として問題となる。そこで、付着したプレス油を
洗浄する工程を追加することが考えられるが、そのため
の設備を必要としコスト高となる。また、有機被覆金属
板は、加工後に150℃前後までの加熱雰囲気の中で用
いられることがあるが、場合によっては、加熱によって
塗膜が剥離することも散見される。本発明は、上記課題
を解決し、塗膜に悪影響を及ぼすプレス油を用いないで
プレス成形が可能で、また加工後の耐熱性も優れた有機
被覆金属板の提供を目的とする。
有する塗膜を施した金属板は成形加工によって所定の形
状に仕上げられるが、プレス成形性を持たせるためには
伸びのある樹脂を用いる必要がある。また、母材として
の金属板の特性によっては、片面に加工性を有する塗膜
を施し、他面にプレス油を塗布することによって成形加
工性(耐かじり性)を付与しなければならないこともあ
る。プレス油を塗布する際に、プレス油が塗膜の面に付
着すると外観を損ねたり、さらにその上に印刷を施す必
要のある場合には、印刷が不可能となるので、プレス油
の塗布には十分な注意を払わなければならない。もし、
誤って塗膜面にプレス油が付着すると、材料の歩留まり
の低下として問題となる。そこで、付着したプレス油を
洗浄する工程を追加することが考えられるが、そのため
の設備を必要としコスト高となる。また、有機被覆金属
板は、加工後に150℃前後までの加熱雰囲気の中で用
いられることがあるが、場合によっては、加熱によって
塗膜が剥離することも散見される。本発明は、上記課題
を解決し、塗膜に悪影響を及ぼすプレス油を用いないで
プレス成形が可能で、また加工後の耐熱性も優れた有機
被覆金属板の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前述のような課題に対し
て、プレス成形性と加工後耐熱性という2つの機能を同
時に付与するために、本発明者らは、金属板の両面に被
覆する有機物の種類、膜厚等について種々検討を行な
い、その結果をもとに本発明を完成させた。本発明は、
金属板の片面には、膜厚が5μm以上50μm未満であ
り、伸び率100%以上の有機物塗膜(A)を有し、他
方の面には、膜厚が0.2μm以上5μm以下の有機物
塗膜(B)を有することを特徴とするプレス加工性と加
工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板である。有
機物塗膜(A)は、高分子ポリエステル樹脂が好まし
く、そのガラス転移温度(Tg)が30℃以上60℃以
下のポリエステル樹脂を下塗り塗膜とした2コートにす
ると、さらに好ましい。また、有機物塗膜(B)は、ビ
スフェノール型骨格、エステル骨格およびカルボキシル
基を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂(a)と
エポキシ樹脂(b)を総和(a+b)で全固形分に対し
て50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を
3〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を1
0〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付け
て得られる皮膜であることが望ましい。
て、プレス成形性と加工後耐熱性という2つの機能を同
時に付与するために、本発明者らは、金属板の両面に被
覆する有機物の種類、膜厚等について種々検討を行な
い、その結果をもとに本発明を完成させた。本発明は、
金属板の片面には、膜厚が5μm以上50μm未満であ
り、伸び率100%以上の有機物塗膜(A)を有し、他
方の面には、膜厚が0.2μm以上5μm以下の有機物
塗膜(B)を有することを特徴とするプレス加工性と加
工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板である。有
機物塗膜(A)は、高分子ポリエステル樹脂が好まし
く、そのガラス転移温度(Tg)が30℃以上60℃以
下のポリエステル樹脂を下塗り塗膜とした2コートにす
ると、さらに好ましい。また、有機物塗膜(B)は、ビ
スフェノール型骨格、エステル骨格およびカルボキシル
基を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂(a)と
エポキシ樹脂(b)を総和(a+b)で全固形分に対し
て50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を
3〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を1
0〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付け
て得られる皮膜であることが望ましい。
【0005】
【作用】まず、本発明の有機物塗膜(A)について以下
説明する。本発明において有機物塗膜(A)として使用
できる樹脂は、高分子ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン
等であるが、高分子ポリエステル樹脂が最適である。樹
脂の伸び率は100%以上必要とする。100%未満で
あると、プレス成形時に塗膜が切れてしまうという不都
合が生じる。樹脂は、溶剤型、溶融型、水系、粉体など
の形態のものでも良い。さらに樹脂には、顔料、染料、
充填剤、各種添加剤を添加することができる。前述した
有機物塗膜(A)の樹脂は、金属板に5〜50μmの膜
厚で形成させる。5μm未満でも50μmを超えても、
金属板の成形加工時に有機物塗膜(A)が剥離すること
がある。
説明する。本発明において有機物塗膜(A)として使用
できる樹脂は、高分子ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン
等であるが、高分子ポリエステル樹脂が最適である。樹
脂の伸び率は100%以上必要とする。100%未満で
あると、プレス成形時に塗膜が切れてしまうという不都
合が生じる。樹脂は、溶剤型、溶融型、水系、粉体など
の形態のものでも良い。さらに樹脂には、顔料、染料、
充填剤、各種添加剤を添加することができる。前述した
有機物塗膜(A)の樹脂は、金属板に5〜50μmの膜
厚で形成させる。5μm未満でも50μmを超えても、
金属板の成形加工時に有機物塗膜(A)が剥離すること
がある。
【0006】次に、本発明の有機物塗膜(B)について
以下に説明する。本発明の有機物塗膜(B)は、特定の
ウレタン樹脂(a)、エポキシ樹脂(b)、ポリオレフ
ィンワックス(c)、シリカ(d)からなる水性潤滑塗
料を塗布・焼き付けて得られる。まず、ウレタン樹脂
(a)は、分子量が3000以上でビスフェノール型骨
格とエステル骨格を有し、かつカルボキシル基を有する
水分散性のエーテル・エステル型ウレタン樹脂であり、
このポリエステル骨格に対するポリエーテル骨格の重量
比率は10:90〜70:30であることが望ましい。
この範囲よりもポリエステルの比率が高いとプレス加工
性に悪影響を及ぼし、ポリエーテルの比率が高いと強靱
ではあるが伸びが悪化する。このウレタン樹脂のカルボ
キシル基の量は、ウレタン固形分当たりの酸価で10〜
50であることが適切である。10未満の場合、密着性
が不十分で加工性及び耐食性が劣る。50を越える場
合、耐水性、耐アルカリ性は劣るため耐食性が低下す
る。
以下に説明する。本発明の有機物塗膜(B)は、特定の
ウレタン樹脂(a)、エポキシ樹脂(b)、ポリオレフ
ィンワックス(c)、シリカ(d)からなる水性潤滑塗
料を塗布・焼き付けて得られる。まず、ウレタン樹脂
(a)は、分子量が3000以上でビスフェノール型骨
格とエステル骨格を有し、かつカルボキシル基を有する
水分散性のエーテル・エステル型ウレタン樹脂であり、
このポリエステル骨格に対するポリエーテル骨格の重量
比率は10:90〜70:30であることが望ましい。
この範囲よりもポリエステルの比率が高いとプレス加工
性に悪影響を及ぼし、ポリエーテルの比率が高いと強靱
ではあるが伸びが悪化する。このウレタン樹脂のカルボ
キシル基の量は、ウレタン固形分当たりの酸価で10〜
50であることが適切である。10未満の場合、密着性
が不十分で加工性及び耐食性が劣る。50を越える場
合、耐水性、耐アルカリ性は劣るため耐食性が低下す
る。
【0007】次に、エポキシ樹脂(b)は、グリコール
骨格またはビスフェノール骨格を有するタイプであっ
て、その配合量としては、エポキシ樹脂(b)の有する
反応性官能基(水酸基、エポキシ基など)が、ウレタン
樹脂のカルボキシル基の20〜100%が反応する比率
で配合するのが望ましい。20%未満では配合効果が乏
しく、100%を越える量では、エポキシ樹脂が可塑剤
的役割となるため高度の加工性が得にくくなる。上記の
ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和は、塗
膜(B)の塗料の全固形分に対して50〜80重量%と
する。50%未満の場合及び85%を越える場合は、耐
食性と加工性が不十分である。
骨格またはビスフェノール骨格を有するタイプであっ
て、その配合量としては、エポキシ樹脂(b)の有する
反応性官能基(水酸基、エポキシ基など)が、ウレタン
樹脂のカルボキシル基の20〜100%が反応する比率
で配合するのが望ましい。20%未満では配合効果が乏
しく、100%を越える量では、エポキシ樹脂が可塑剤
的役割となるため高度の加工性が得にくくなる。上記の
ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和は、塗
膜(B)の塗料の全固形分に対して50〜80重量%と
する。50%未満の場合及び85%を越える場合は、耐
食性と加工性が不十分である。
【0008】ポリオレフィンワックス(c)は、塗膜
(B)の塗料の全固形分重量に対して固形分比で3〜3
0重量%を添加する。3%未満では加工性向上効果が小
さく、30%を越えると加工性および耐食性が低下す
る。また、ワックスの粒径は、0.1〜7.0μmが適
切である。7.0μmを越えると、固体化したワックス
の分布が不均一となるので好ましくない。また、0.1
μm未満の場合、加工性が不十分である。ポリオレフィ
ンワックスの融点(軟化点)は、金属板加工時の素材の
変形熱と摩擦熱によって皮膜温度が上昇するため、70
〜160℃が適切である。70℃未満では加工時に軟化
溶融して固体潤滑添加物としての優れた特性が発揮され
ない。また、160℃を越える融点のものは、硬い粒子
が表面に存在することとなり、摩擦特性を低下させるの
で高度の加工性が得られない。ポリオレフィンワックス
のケン化価としては、30以下または0であり、かつ分
岐構造を有するものを使用することが好ましい。ケン化
価が30を越えるものは、極性が大きく樹脂に相溶しや
すいため、成膜時に樹脂表面に存在しにくくなる。従っ
て、高度な加工性能レベルが必要な場合には適切とは言
えない。
(B)の塗料の全固形分重量に対して固形分比で3〜3
0重量%を添加する。3%未満では加工性向上効果が小
さく、30%を越えると加工性および耐食性が低下す
る。また、ワックスの粒径は、0.1〜7.0μmが適
切である。7.0μmを越えると、固体化したワックス
の分布が不均一となるので好ましくない。また、0.1
μm未満の場合、加工性が不十分である。ポリオレフィ
ンワックスの融点(軟化点)は、金属板加工時の素材の
変形熱と摩擦熱によって皮膜温度が上昇するため、70
〜160℃が適切である。70℃未満では加工時に軟化
溶融して固体潤滑添加物としての優れた特性が発揮され
ない。また、160℃を越える融点のものは、硬い粒子
が表面に存在することとなり、摩擦特性を低下させるの
で高度の加工性が得られない。ポリオレフィンワックス
のケン化価としては、30以下または0であり、かつ分
岐構造を有するものを使用することが好ましい。ケン化
価が30を越えるものは、極性が大きく樹脂に相溶しや
すいため、成膜時に樹脂表面に存在しにくくなる。従っ
て、高度な加工性能レベルが必要な場合には適切とは言
えない。
【0009】その他の添加物として、耐食性及び加工性
向上のため粒径3〜30nmのシリカ(d)、SiO2
を全固形分に対して10〜40重量%を添加する。粒径
が3nm未満の場合及び30nmを越える場合には、高
度の加工性、耐食性が得られない。シリカの添加量は、
10%未満の場合は効果不足であり、40%を越えると
樹脂のバインダー効果が小さくなり耐食性が低下すると
共に、樹脂の伸びと強度が低下する。シリカの種類とし
ては、液相コロイダルシリカ及び気相シリカのいずれで
もよい。また、溶接性向上のために導電フィラー、また
着色顔料、沈降防止剤、レベリング剤、増粘剤などの各
種添加剤を添加してもよい。
向上のため粒径3〜30nmのシリカ(d)、SiO2
を全固形分に対して10〜40重量%を添加する。粒径
が3nm未満の場合及び30nmを越える場合には、高
度の加工性、耐食性が得られない。シリカの添加量は、
10%未満の場合は効果不足であり、40%を越えると
樹脂のバインダー効果が小さくなり耐食性が低下すると
共に、樹脂の伸びと強度が低下する。シリカの種類とし
ては、液相コロイダルシリカ及び気相シリカのいずれで
もよい。また、溶接性向上のために導電フィラー、また
着色顔料、沈降防止剤、レベリング剤、増粘剤などの各
種添加剤を添加してもよい。
【0010】有機物塗膜(A,B)の金属板表面への形
成方法としては、浸漬法、カーテンフロー法、ロールコ
ート法、バーコート法、静電法、刷毛塗り法、T−ダイ
法、ラミネート法などが用いられる。焼き付け方法とし
ては熱風、常温、近赤外線、遠赤外線、誘導加熱等が挙
げられる。本発明の有機被覆金属板を製造する方法とし
ては、通常のプレコート金属板を製造するラインにおい
て、通常のプレコート金属板と同様の方法で製造するこ
とができる。金属板としては、冷延鋼板、熱延鋼板、各
種めっき鋼板(例えば亜鉛めっき、亜鉛合金めっき、錫
めっき、鉛めっき、アルミニウムめっき、クロムめっき
鋼板など)、ステンレス板、チタン板、アルミニウム板
などが使用でき、これらをそのままあるいは通常の化成
処理を施して使用すればよい。また、有機物と金属板と
の接着性を向上させるために、他の樹脂を施した金属板
を使用してもよい。例えば、ナイロン、ポリアクリル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウ
レタン、エポキシ、ポリアミド、フェノール、ポリオレ
フィン等が挙げられる。
成方法としては、浸漬法、カーテンフロー法、ロールコ
ート法、バーコート法、静電法、刷毛塗り法、T−ダイ
法、ラミネート法などが用いられる。焼き付け方法とし
ては熱風、常温、近赤外線、遠赤外線、誘導加熱等が挙
げられる。本発明の有機被覆金属板を製造する方法とし
ては、通常のプレコート金属板を製造するラインにおい
て、通常のプレコート金属板と同様の方法で製造するこ
とができる。金属板としては、冷延鋼板、熱延鋼板、各
種めっき鋼板(例えば亜鉛めっき、亜鉛合金めっき、錫
めっき、鉛めっき、アルミニウムめっき、クロムめっき
鋼板など)、ステンレス板、チタン板、アルミニウム板
などが使用でき、これらをそのままあるいは通常の化成
処理を施して使用すればよい。また、有機物と金属板と
の接着性を向上させるために、他の樹脂を施した金属板
を使用してもよい。例えば、ナイロン、ポリアクリル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウ
レタン、エポキシ、ポリアミド、フェノール、ポリオレ
フィン等が挙げられる。
【0011】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明する。表
1に示すように、有機物塗膜(A)のプレス成形性を有
する樹脂として高分子ポリエステルを選び、下塗りとし
ては種々のガラス転移温度のもの、上塗りとしては種々
の伸び率のものを使用した。有機物塗膜(B)として分
子量5000のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフ
ェノールAエーテル:酸価8、エーテル/エステル比3
0/70、イソシアネート含有率8、ウレタン固形分当
たりの酸価で10〜50)とプロピレングリコールエポ
キシ樹脂(エポキシ当量220)の総和を全固形分に対
し66重量%、平均8nmのシリカゾルを21重量%、
粒径が0.6〜20μmのポリエチレンワックス(比重
0.93、軟化点120℃、ケン化価0〜30)を13
重量%を配合した潤滑塗料を準備した。
1に示すように、有機物塗膜(A)のプレス成形性を有
する樹脂として高分子ポリエステルを選び、下塗りとし
ては種々のガラス転移温度のもの、上塗りとしては種々
の伸び率のものを使用した。有機物塗膜(B)として分
子量5000のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフ
ェノールAエーテル:酸価8、エーテル/エステル比3
0/70、イソシアネート含有率8、ウレタン固形分当
たりの酸価で10〜50)とプロピレングリコールエポ
キシ樹脂(エポキシ当量220)の総和を全固形分に対
し66重量%、平均8nmのシリカゾルを21重量%、
粒径が0.6〜20μmのポリエチレンワックス(比重
0.93、軟化点120℃、ケン化価0〜30)を13
重量%を配合した潤滑塗料を準備した。
【0012】次に、塗布型クロメート処理を施した厚さ
0.4mmの冷延鋼板のおもて面に有機物塗膜(A)
を、裏側に塗膜(B)の塗料を、それぞれバーコーター
により塗布し、焼き付けた後速やかに水冷し、表1に示
す有機被覆鋼板を製造した。また、比較例としては、お
もて面に有機物塗膜(A)のみを塗布した冷延鋼板及び
下塗り樹脂のガラス転移温度や上塗り樹脂の伸び率、膜
厚を変えたものを製造した。得られた有機被覆鋼板につ
いて、以下に示す性能試験を行なった。
0.4mmの冷延鋼板のおもて面に有機物塗膜(A)
を、裏側に塗膜(B)の塗料を、それぞれバーコーター
により塗布し、焼き付けた後速やかに水冷し、表1に示
す有機被覆鋼板を製造した。また、比較例としては、お
もて面に有機物塗膜(A)のみを塗布した冷延鋼板及び
下塗り樹脂のガラス転移温度や上塗り樹脂の伸び率、膜
厚を変えたものを製造した。得られた有機被覆鋼板につ
いて、以下に示す性能試験を行なった。
【0013】(1)プレス性 有機物塗膜(B)が内側になるように円筒深絞りを行な
った(ポンチ直径50mm、絞り比2.0)。その際、
本発明鋼板はそのまま試験に供したが、比較の鋼板につ
いては一部未処理面にプレス油を塗布して行なった。プ
レス性は、◎:表裏共にカジリ発生なし、×:カジリ発
生を示す。 (2)プレス後の耐熱性 上記(1)で作成した円筒深絞りサンプルを150℃雰
囲気の加熱炉に1時間入れた。 ◎:加熱による表面の塗膜剥離なし、×:加熱による塗
膜剥離発生を示す。 (3)プレス油の塗膜への影響 上記(1)に記したように、比較の鋼板については、一
部未処理面にプレス油を塗布してプレス加工を行った。
×は、プレス油により表面の塗膜がわずかでも膨潤等損
傷を受けたことを示す。ただし、プレス油をしなかった
場合は、塗膜は影響を受けないので◎で示した。
った(ポンチ直径50mm、絞り比2.0)。その際、
本発明鋼板はそのまま試験に供したが、比較の鋼板につ
いては一部未処理面にプレス油を塗布して行なった。プ
レス性は、◎:表裏共にカジリ発生なし、×:カジリ発
生を示す。 (2)プレス後の耐熱性 上記(1)で作成した円筒深絞りサンプルを150℃雰
囲気の加熱炉に1時間入れた。 ◎:加熱による表面の塗膜剥離なし、×:加熱による塗
膜剥離発生を示す。 (3)プレス油の塗膜への影響 上記(1)に記したように、比較の鋼板については、一
部未処理面にプレス油を塗布してプレス加工を行った。
×は、プレス油により表面の塗膜がわずかでも膨潤等損
傷を受けたことを示す。ただし、プレス油をしなかった
場合は、塗膜は影響を受けないので◎で示した。
【0014】以上の評価試験の結果を表1に示す。これ
らの結果から明らかなように、本発明鋼板はプレス油な
しに成形加工が可能であり、加工後の耐熱性にも優れて
いる。一方、比較例ではプレス時もしくは耐熱試験後に
塗膜が剥離したり、塗膜面がプレス油の悪影響を受け
た。なお、金属板として、本実施例に示した冷延鋼板以
外に、各種めっき鋼板、ステンレス板、アルミニウム
板、チタン板を用いて同様な評価試験を実施した結果、
本発明範囲内の条件で塗膜を形成したものは、実施例と
同等の良好な性能を示した。
らの結果から明らかなように、本発明鋼板はプレス油な
しに成形加工が可能であり、加工後の耐熱性にも優れて
いる。一方、比較例ではプレス時もしくは耐熱試験後に
塗膜が剥離したり、塗膜面がプレス油の悪影響を受け
た。なお、金属板として、本実施例に示した冷延鋼板以
外に、各種めっき鋼板、ステンレス板、アルミニウム
板、チタン板を用いて同様な評価試験を実施した結果、
本発明範囲内の条件で塗膜を形成したものは、実施例と
同等の良好な性能を示した。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】以上示したように、本発明の有機被覆金
属板は、塗膜に悪影響を及ぼすプレス油を用いないでプ
レス成形ができるので、金属板ユーザーとしては、プレ
ス油塗布工程が省略できるばかりでなく、誤って塗膜面
にプレス油が付着することによる歩留まりの低下の心配
もなくなる。また、プレス油を洗浄する工程も必要なく
なる。すなわち、本発明の有機被覆金属板を使用するこ
とにより、金属板ユーザーは、塗料塗布工程、プレス油
塗布工程、洗浄工程をすべて省略して、製品を完成する
ことができるようになる。
属板は、塗膜に悪影響を及ぼすプレス油を用いないでプ
レス成形ができるので、金属板ユーザーとしては、プレ
ス油塗布工程が省略できるばかりでなく、誤って塗膜面
にプレス油が付着することによる歩留まりの低下の心配
もなくなる。また、プレス油を洗浄する工程も必要なく
なる。すなわち、本発明の有機被覆金属板を使用するこ
とにより、金属板ユーザーは、塗料塗布工程、プレス油
塗布工程、洗浄工程をすべて省略して、製品を完成する
ことができるようになる。
Claims (5)
- 【請求項1】 金属板の片面には、膜厚が5μm以上5
0μm未満、伸び率が100%以上の有機物塗膜(A)
を有し、他方の面には、膜厚が0.2μm以上5μm以
下の有機物塗膜(B)を有することを特徴とするプレス
加工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属
板。 - 【請求項2】 有機物塗膜(A)が、伸び率が100%
以上の高分子ポリエステル樹脂からなる1コートの塗膜
であることを特徴とする請求項1記載のプレス加工性と
加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板。 - 【請求項3】 有機物塗膜(A)が、ガラス転移温度
(Tg)が30℃以上60℃以下である高分子ポリエス
テル樹脂の下塗り塗膜と、伸び率が100%以上である
高分子ポリエステル樹脂の上塗り塗膜からなる2コート
の塗膜であることを特徴とする請求項1記載のプレス加
工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板。 - 【請求項4】 有機物塗膜(B)が、ビスフェノール型
骨格、エステル骨格およびカルボキシル基を有するエー
テル・エステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂
(b)を総和(a+b)で全固形分に対して50〜85
重量%、ポリオレフィンワックス(c)を3〜30重量
%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40重量
%含有する水性潤滑塗料からなる塗膜であることを特徴
とする請求項1,2,3のいずれかに記載のプレス加工
性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板。 - 【請求項5】 金属板が、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、
亜鉛系合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、クロムめっ
き鋼板、ステンレス鋼、アルミニウム板、銅板のいずれ
かであることを特徴とする請求項1、2、3、又は4の
いずれかに記載のプレス加工性と加工後耐熱性に優れた
無塗油型有機被覆金属板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP540395A JPH08192102A (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | プレス加工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP540395A JPH08192102A (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | プレス加工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08192102A true JPH08192102A (ja) | 1996-07-30 |
Family
ID=11610185
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP540395A Pending JPH08192102A (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | プレス加工性と加工後耐熱性に優れた無塗油型有機被覆金属板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08192102A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008132496A (ja) * | 2008-02-08 | 2008-06-12 | Shikoku Res Inst Inc | 旧塗膜の補修塗装方法 |
JP4787372B1 (ja) * | 2010-08-05 | 2011-10-05 | 住友軽金属工業株式会社 | 樹脂被覆アルミニウム合金板 |
-
1995
- 1995-01-18 JP JP540395A patent/JPH08192102A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008132496A (ja) * | 2008-02-08 | 2008-06-12 | Shikoku Res Inst Inc | 旧塗膜の補修塗装方法 |
JP4787372B1 (ja) * | 2010-08-05 | 2011-10-05 | 住友軽金属工業株式会社 | 樹脂被覆アルミニウム合金板 |
WO2012017708A1 (ja) * | 2010-08-05 | 2012-02-09 | 住友軽金属工業株式会社 | 樹脂被覆アルミニウム合金板 |
CN103068570A (zh) * | 2010-08-05 | 2013-04-24 | 住友轻金属工业株式会社 | 树脂被覆铝合金板 |
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A02 | Decision of refusal |
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