JPH08190986A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JPH08190986A
JPH08190986A JP7000481A JP48195A JPH08190986A JP H08190986 A JPH08190986 A JP H08190986A JP 7000481 A JP7000481 A JP 7000481A JP 48195 A JP48195 A JP 48195A JP H08190986 A JPH08190986 A JP H08190986A
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JP
Japan
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group
organic
carbon atoms
compound
fluorescent substance
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Application number
JP7000481A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Onishi
敏博 大西
Masanobu Noguchi
公信 野口
Hideji Doi
秀二 土居
Yoshihiko Tsuchida
良彦 土田
Fumi Yamaguchi
扶美 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】高分子を用いた高輝度、高発光効率、低駆動電
圧の有機EL素子を提供する。 【構成】有機エレクトロルミネッセンス素子において、
発光層に用いる高分子蛍光体と有機化合物を含む層に用
いる有機化合物とに関してそれぞれ次に示すEを求めた
とき、 E=EOX−1239/λedge 〔λedge(nm)は薄膜の吸収端波長、EOX(V)は酸
化開始電位〕 高分子蛍光体および有機化合物のEを、それぞれE1
2 とすると 0.7≦(E1 −E2 )≦1.2 が成り立ち、高分子蛍光体が下式(1) −Ar1 −CR1 =CR2 − (1) 〔Ar1 はアリーレン基または複素環化合物基、R1
2 は水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜
20のアリール基、炭素数4〜20の複素環化合物基お
よびシアノ基〕で示される繰り返し単位が全繰り返し単
位の50モル%以上であり、ポリスチレン換算の数平均
分子量が103 〜107 である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子蛍光体と特定の
有機化合物を用いて作成された有機エレクトロルミネッ
センス素子(以下、有機EL素子ということがある。)
に関する。詳しくは、少なくともポリ(アリーレンビニ
レン)系高分子蛍光体からなる発光層と特定のエネルギ
ー準位を有する有機化合物を含む層とを有する有機EL
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】無機蛍光体を発光材料として用いた無機
エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子と
いうことがある。)は、例えばバックライトとしての面
状光源やフラットパネルディスプレイ等の表示装置に用
いられているが、発光させるのに高電圧の交流が必要で
あった。近年、Tangらは有機蛍光色素を発光層と
し、これと電子写真の感光体等に用いられている有機電
荷輸送化合物とを積層した二層構造を有する有機EL素
子を作製し、低電圧駆動、高効率、高輝度の有機EL素
子を実現させた(特開昭59−194393号公報)。
有機EL素子は、無機EL素子に比べ、低電圧駆動、高
輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られるという特
長があることから素子構造や有機蛍光色素、有機電荷輸
送化合物について多くの試みが報告されている〔ジャパ
ニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス
(Jpn.J.Appl.Phys.)第27巻、L2
69頁(1988年)、ジャーナル・オブ・アプライド
・フィジックス(J.Appl.Phys.)第65
巻、3610頁(1989年)〕。
【0003】これまでに、発光層に用いる材料として
は、低分子量の有機蛍光色素が一般に用いられており、
高分子量の発光材料としては、WO9013148号公
開明細書、特開平3−244630号公報、アプライド
・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Le
tt.)第58巻、1982頁(1991年)などで提
案されていた。WO9013148号公開明細書の実施
例には、可溶性前駆体を電極上に成膜し、熱処理を行な
うことにより共役系高分子に変換されたポリ(p−フェ
ニレンビニレン)薄膜が得られ、それを用いたEL素子
が開示されている。また、特開平3−244630号公
報には、それ自身が溶媒に可溶であり、熱処理が不要で
あるという特徴を有する共役系高分子が例示されてい
る。アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.
Phys.Lett.)第58巻、1982頁(199
1年)にも、溶媒に可溶な高分子発光材料およびそれを
用いて作成した有機EL素子が記載されている。しか
し、これらの材料を用いて作成された有機EL素子は、
発光効率が必ずしも十分に高くはなかった。
【0004】一方、ポリ(N−ビニルカルバゾール)
(以下、PVCzと称することがある。)は、正孔輸送
特性と蛍光特性を有しており、薄膜のエレクトロルミネ
ッセンスが報告されている〔ポリマー(POLYME
R)第24巻、748頁(1983年)〕。また、PV
Czと発光剤(クマリン7)を含む高分子結着剤とを積
層した素子が緑色に発光することが示されている(特開
平4−2096号公報)。さらに、PVCzと発光材料
としてトリス(8−キノリノール)アルミニウムとを積
層した素子が開示されている(特開平3−190088
号公報)。また、ポリシランは正孔輸送性を有してお
り、薄膜のエレクトロルミネッセンスが報告されている
〔ケミストリーレターズ(Chemistry Let
ters)657頁(1990年)〕。しかし、これら
の素子は、発光効率や輝度が十分ではなく、駆動電圧も
高かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまで報告された、
高分子を用いた有機EL素子では、素子の発光効率が必
ずしも高くないため、高輝度発光をさせるためには大き
な電流を流さなくてはならなかった。高分子を用いた高
輝度、高発光効率、低駆動電圧の有機EL素子が要望さ
れていた。
【0006】本発明の目的は、高分子を用いた高輝度、
高発光効率、低駆動電圧の有機EL素子を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な事情をみて、高分子蛍光体を発光層として用いた有機
EL素子の発光効率を向上させるために鋭意検討した結
果、ポリ(アリーレンビニレン)系高分子蛍光体からな
る発光層と特定のエネルギー準位を有する有機化合物を
含む層とを積層することにより、高輝度、高発光効率、
低駆動電圧の有機EL素子が得られることを見出し、本
発明に至った。
【0008】すなわち本発明は次に記す発明である。 〔1〕少なくとも一方が透明または半透明である一対の
陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発光層を
有し、かつ陽極と該発光層との間に、該発光層に隣接し
て有機化合物を含む層を設けた有機エレクトロルミネッ
センス素子において、該発光層に用いる高分子蛍光体と
該有機化合物を含む層に用いる有機化合物とに関してそ
れぞれ次に示すEを求めたとき、
【数3】E=EOX−1239/λedge 〔ここで、λedge(nm)は薄膜の吸収スペクトルの吸
収端波長を示し、EOX(V)は電気化学的に求めた酸化
開始電位を示す。〕 該高分子蛍光体および該有機化合物のEを、それぞれE
1 、E2 とすると
【数4】0.7≦(E1 −E2 )≦1.2 が成り立ち、かつ該高分子蛍光体が下式(1)
【化6】 −Ar1 −CR1 =CR2 − (1) 〔ここで、Ar1 は、共役結合に関与する炭素原子数が
4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環
化合物基、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭
素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基からなる
群から選ばれる基を示す。〕で示される繰り返し単位を
1種類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全
繰り返し単位の50モル%以上であり、ポリスチレン換
算の数平均分子量が103 〜107 であることを特徴と
する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0009】〔2〕有機化合物が下式(2)
【化7】 〔ここで、Ar2 は下式(3)のカルバゾイル基を示
す。〕
【化8】 〔R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10
11の部位の1つで式(2)の主鎖と結合しており、か
つ式(2)の主鎖と結合していない部位は、それぞれ独
立に水素、炭素数1〜20のアルキル基およびアルコキ
シ基、炭素数6〜20のアリール基およびアリールオキ
シ基並びに炭素数4〜20の複素環化合物基からなる群
から選ばれる基を示す。〕で示される繰り返し単位を1
種類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全繰
り返し単位の50モル%以上であり、ポリスチレン換算
の数平均分子量が103 〜107 の高分子であることを
特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセン
ス素子。
【0010】〔3〕有機化合物が下式(4)
【化9】 〔ここで、R12、R13はそれぞれ独立に水素、炭素数1
〜20の直鎖状、分岐状のアルキル基および環状のシク
ロアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数7
〜26のアラルキル基並びに炭素数4〜20の複素環化
合物基からなる群から選ばれる基を示す。〕で示される
繰り返し単位を1種類以上含み、かつそれらの繰り返し
単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上であり、
ポリスチレン換算の数平均分子量が103 〜107 の高
分子であることを特徴とする請求項1記載の有機エレク
トロルミネッセンス素子。
【0011】〔4〕有機化合物を含む層が式(5)
【化10】 〔ここで、Ar3 は、炭素数6〜20のアリーレン基お
よび炭素数4〜20の二価の複素環化合物基からなる群
から選ばれた基、またAr4 、Ar5 、Ar6 、Ar7
はそれぞれ独立に、炭素数6〜20のアリール基および
炭素数4〜20の複素環化合物基からなる群から選ばれ
た基を示す。〕で示されるジアミン誘導体を高分子マト
リックスに分散させた薄膜からなり、該有機化合物を含
む層が該ジアミン誘導体を30wt%以上99wt%以
下含むことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子。
【0012】〔5〕陰極と発光層との間に、該発光層に
隣接して電子輸送性化合物からなる層を設けたことを特
徴とする請求項1、2、3または4記載の有機エレクト
ロルミネッセンス素子。
【0013】以下、本発明の有機EL素子について詳細
に説明する。本発明の有機EL素子は、少なくとも、高
分子蛍光体を含む発光層と、陽極と該発光層の間に該発
光層に隣接して、特定のエネルギー準位を有する有機化
合物を含む層を有する。
【0014】本発明の有機EL素子の発光層に用いられ
る高分子蛍光体について説明する。該高分子蛍光体は、
式(1)で示される繰り返し単位を1種類以上含み、か
つそれらの繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の50
モル%以上である高分子蛍光体である。繰り返し単位の
構造にもよるが、式(1)で示される繰り返し単位が全
繰り返し単位の70%以上であることがより好ましい。
該高分子蛍光体は、式(1)で示される繰り返し単位以
外の繰り返し単位として、2価の芳香族化合物基または
その誘導体、2価の複素環化合物基またはその誘導体、
およびそれらを組み合わせて得られる基などを含んでい
てもよい。具体的には、下記化11に示す基およびそれ
らを組み合わせて得られる基などが例示される。
【0015】
【化11】 (R14〜R105 は、それぞれ独立に、水素;炭素数1〜
20のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ
基;炭素数6〜18のアリール基およびアリールオキシ
基並びに炭素数4〜14の複素環化合物基からなる群か
ら選ばれた基である。) また、式(1)で示される繰り返し単位や他の繰り返し
単位が、エーテル基、エステル基、アミド基、イミド基
などを有する非共役の単位で連結されていてもよいし、
繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよ
い。これらの中でエーテル基、エステル基が好ましく、
エーテル基が特に好ましい。
【0016】本発明の高分子蛍光体において、式(1)
のAr1 としては、共役結合に関与する炭素原子数が4
個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環化
合物基であり、上記化11に示す2価の芳香族化合物基
またはその誘導体基、2価の複素環化合物基またはその
誘導体基、およびそれらを組み合わせて得られる基など
が例示される。
【0017】これらのなかでフェニレン基、置換フェニ
レン基、ビフェニレン基、置換ビフェニレン基、ナフタ
レンジイル基、置換ナフタレンジイル基、アントラセン
−9,10−ジイル基、置換アントラセン−9,10−
ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、置換ピリジン
−2,5−ジイル基、チエニレン基および置換チエニレ
ン基が好ましい。さらに好ましくは、フェニレン基、ビ
フェニレン基、ナフタレンジイル基、ピリジン−2,5
−ジイル基、チエニレン基である。
【0018】化6のR1 、R2 が水素またはシアノ基以
外の置換基である場合について述べると、炭素数1〜2
0のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げら
れ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基が好ましい。
【0019】アリール基としては、フェニル基、4−C
1 〜C12アルコキシフェニル基(C 1 〜C12は炭素数1
〜12であることを示す。)、4−C1 〜C12アルキル
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例
示される。アリールオキシ基としては、フェノキシ基が
例示される。複素環化合物基としては2−チエニル基、
2−ピロリル基、2−フリル基、2−、3−または4−
ピリジル基などが例示される。
【0020】溶媒可溶性の観点からは化6のAr1 が、
1つ以上の炭素数4〜20のアルキル基、アルコキシ基
およびアルキルチオ基、炭素数6〜18のアリール基お
よびアリールオキシ基並びに炭素数4〜14の複素環化
合物基から選ばれた基を有している繰り返し単位が30
モル%以上含まれることが好ましい。
【0021】これらの置換基としては以下のものが例示
される。炭素数4〜20のアルキル基としては、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、デシル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。
また、炭素数4〜20のアルコキシ基としては、ブトキ
シ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチル
オキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリ
ルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシ
ルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が好
ましい。アルキルチオ基としては、ブチルチオ基、ペン
チルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチ
ルチオ基、デシルオキシ基、ラウリルチオ基などが挙げ
られ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ
基、オクチルチオ基が好ましい。アリール基としては、
フェニル基、4−C1 〜C12アルコキシフェニル基、4
−C1 〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2
−ナフチル基などが例示される。アリールオキシ基とし
ては、フェノキシ基が例示される。複素環化合物基とし
ては2−チエニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、
2−、3−または4−ピリジル基などが例示される。こ
れら置換基の数は、該高分子蛍光体の分子量と繰り返し
単位の構成によっても異なるが、溶解性の高い高分子蛍
光体を得る観点から、これらの置換基が分子量600当
たり1つ以上であることがより好ましい。
【0022】なお、本発明の有機EL素子に用いる高分
子蛍光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合
体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高
分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であ
ってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る
観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯
びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合
体が好ましい。また、本発明の有機EL素子は、薄膜か
らの発光を利用するので該高分子蛍光体は、固体状態で
蛍光を有するものが用いられる。
【0023】本発明の有機EL素子に用いる高分子蛍光
体の例として、より具体的には、下記化12〜化16で
示されるそれぞれの繰り返し単位からなる重合体、化1
2〜化15で示されるそれぞれの繰り返し単位の側鎖長
の異なる2種類以上のものからなるブロック共重合体ま
たはランダム共重合体、化13で示される繰り返し単位
と化14で示される繰り返し単位の交互共重合体または
それらのモル比が10:1〜1:1のランダム共重合
体、化13で示される繰り返し単位と化15で示される
繰り返し単位の交互共重合体またはそれらのモル比が1
0:1〜1:5のランダム共重合体、化12で示される
繰り返し単位と化16で示される繰り返し単位の交互共
重合体などが例示される。
【0024】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】 (ここで、R106 〜R111 、R113 〜R114 は、それぞ
れ独立に、水素;炭素数1〜20のアルキル基、アルコ
キシ基およびアルキルチオ基;炭素数6〜18のアリー
ル基およびアリールオキシ基並びに炭素数4〜14の複
素環化合物基からなる群から選ばれた基である。また、
112 は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜
18のアリーレン基および炭素数4〜14の2価の複素
環化合物基からなる群から選ばれた基である。)
【0025】化12〜化15の具体的な置換基の例とし
て、R106 〜R111 、R113 〜R11 4 の場合、炭素数1
〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げら
れ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基が好ましい。また、炭素数1〜2
0のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシ
ルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デ
シルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられ、メト
キシ基、エトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキ
シ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が好まし
い。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチ
オ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ
基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ
基、デシルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられ、メ
チルチオ基、エチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシル
チオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、4−C1 〜C12アル
コキシフェニル基、4−C1 〜C12アルキルフェニル
基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示され
る。アリールオキシ基としては、フェノキシ基が例示さ
れる。複素環化合物基としては2−チエニル基、2−ピ
ロリル基、2−フリル基、2−、3−または4−ピリジ
ル基などが例示される。
【0026】R112 の場合、炭素数1〜10のアルキレ
ン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチ
レン基、オクチレン基、デシレン基などが挙げられ、メ
チレン基、エチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、
ヘプチレン基、オクチレン基、デシレン基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基、置換フェニレン
基、ビフェニレン基、置換ビフェニレン基、ナフタレン
ジイル基、置換ナフタレンジイル基、アントラセン−
9,10−ジイル基、置換アントラセン−9,10−ジ
イル基が例示され、フェニレン基、ビフェニレン基、ナ
フタレンジイル基が好ましい。2価の複素環化合物基と
しては、ピリジン−2,5−ジイル基、置換ピリジン−
2,5−ジイル基、チエニレン基および置換チエニレン
基が例示され、ピリジン−2,5−ジイル基、チエニレ
ン基が好ましい。
【0027】本発明の有機EL素子に用いる高分子蛍光
体に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレ
ン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、
キシレンなどが例示される。高分子蛍光体の構造や分子
量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1wt%以上
溶解させることができる。
【0028】本発明の高分子蛍光体は、分子量がポリス
チレン換算で103 〜107 であることが好ましく、そ
れらの重合度は繰り返し構造やその割合によっても変わ
る。成膜性の点から一般には繰り返し構造の合計数で好
ましくは4〜10000、さらに好ましくは5〜300
0、特に好ましくは10〜2000である。また、これ
らの高分子蛍光体を有機EL素子の発光材料として用い
る場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、合成
後、再沈精製、クロマトグラフによる分別等の純化処理
をすることが望ましい。
【0029】本発明の有機EL素子に用いる高分子蛍光
体の合成法としては特に限定されないが、例えば、芳香
族環または置換基を有する芳香族環にアルデヒド基が2
つ結合したジアルデヒド化合物と、芳香族環または置換
基を有する芳香族環にハロゲン化メチル基が2つ結合し
た化合物とトリフェニルホスフィンとから得られるジホ
スホニウム塩からのWittig反応が例示される。ま
た、他の合成法としては、芳香族環または置換基を有す
る芳香族環にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物
からの脱ハロゲン化水素法が例示される。さらに、芳香
族環または置換基を有する芳香族環にハロゲン化メチル
基が2つ結合した化合物のスルホニウム塩をアルカリで
重合して得られる中間体から熱処理により該高分子蛍光
体を得るスルホニウム塩分解法が例示される。この場合
には、中間体が溶媒可溶性であり、該高分子蛍光体は必
ずしも可溶性とは限らない。いずれの合成法において
も、モノマーとして、芳香族環以外の骨格を有する化合
物を加え、その存在割合を変えることにより、生成する
高分子蛍光体に含まれる繰り返し単位の構造を変えるこ
とができるので、式(1)で示される繰り返し単位が5
0モル%以上となるように加減して仕込み、共重合して
もよい。これらの方法のうち、Wittig反応による
方法が、反応の制御や収率の点で好ましい。
【0030】より具体的に、本発明の有機EL素子に用
いられる高分子蛍光体の1つの例であるアリーレンビニ
レン系共重合体の合成法を説明する。Wittig反応
により高分子蛍光体を得る場合は、例えばまず、ビス
(ハロゲン化メチル)化合物、より具体的には、例え
ば、2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジブロ
ミドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェ
ニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成し、
これとジアルデヒド化合物、より具体的には、例えば、
テレフタルアルデヒドとを、例えばエチルアルコール
中、リチウムエトキシドを用いて縮合させるWitti
g反応により、フェニレンビニレン基と2,5−ジオク
チルオキシ−p−フェニレンビニレン基を含む高分子蛍
光体が得られる。この時、共重合体を得るために2種類
以上のジホスホニウム塩および/または2種類以上のジ
アルデヒド化合物を反応させてもよい。
【0031】次に、本発明の有機EL素子の陽極と発光
層との間に、発光層に隣接して設けられる層に含まれる
有機化合物について説明する。本発明の有機EL素子の
該有機化合物含有層に用いられる有機化合物は、該素子
の発光層に用いる高分子蛍光体に対して、次の条件を満
たしていればよい。すなわち、該発光層に用いる高分子
蛍光体と該有機化合物を含む層に用いる有機化合物とに
関してそれぞれ次に示すEを求めたとき、
【数5】E=EOX−1239/λedge 〔ここで、λedge(nm)は薄膜の吸収スペクトルの吸
収端波長を示し、EOX(V)は電気化学的に求めた酸化
開始電位を示す。〕 該高分子蛍光体および該有機化合物のEを、それぞれE
1 、E2 とすると
【数6】0.7≦E1 −E2 ≦1.2 が成り立てばよい。ここで、λedgeを求めるには、薄膜
の吸収スペクトルを測定し、ベースラインから吸収が立
ち上がる波長を求める。具体的には、石英板上に高分子
蛍光体または有機化合物の溶液をスピンコートして、厚
さ50〜300nmの薄膜を形成し、吸収スペクトルを
求める。このスペクトルに対し、ベースライン、吸収の
立ち上がり部分にそれぞれ接する直線の交点の波長をλ
edgeとする。
【0032】また、EOXを求めるには、電気化学的な測
定、具体的にはサイクリックボルタンメトリーを行な
い、ベースラインから酸化波が立ち上がる電位を求め
る。具体的には、例えばまず高分子蛍光体または有機化
合物の溶液からディッピングにより白金電極上に薄膜を
形成する。そして、適度な支持電解質を含む有機溶媒、
例えば0.1規定のテトラブチルアンモニウムテトラフ
ルオロボレートのアセトニトリル溶液中で、高分子蛍光
体または有機化合物で被覆した白金電極を作用極、もう
1つの被覆していない白金電極を対極、参照極として、
例えば銀/塩化銀電極、飽和カロメル電極、標準水素電
極等を用いて、サイクリックボルタンメトリーを行な
う。このとき電位の掃引速度、掃引範囲等の諸条件は、
高分子蛍光体の測定と有機化合物の測定で同一にし、掃
引速度は50mV/秒、掃引範囲は−200〜1200
mV(参照極に対する電位)等が例示される。高分子蛍
光体または有機化合物が電解液に用いる溶媒に容易に溶
解する場合は、これらを電解液に溶解させて測定しても
よい。このときの濃度は、酸化波が容易に検出できるよ
うに選べばよい。得られたサイクリックボルタモグラム
に対し、ベースライン、酸化波の立ち上がり部分にそれ
ぞれ接する直線の交点の電位をEOXとすればよい。
【0033】本発明の有機EL素子に用いられる有機化
合物の例としては、式(2)で示される繰り返し単位を
1種類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全
繰り返し単位の50モル%以上である重合体、式(4)
で示される繰り返し単位を1種類以上含み、かつそれら
の繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以
上である重合体、または、化10で示されるジアミン誘
導体である。該有機化合物が高分子である場合は、式
(2)、式(4)で示される繰り返し単位以外の繰り返
し単位として、芳香族化合物基またはその誘導体、複素
環化合物基またはその誘導体、芳香族アミノ基またはそ
の誘導体からなる群から選ばれた基を側鎖に有するエチ
レン基または芳香族化合物基もしくはその誘導体、複素
環化合物基もしくはその誘導体を含んでいてもよい。繰
り返し単位の構造にもよるが、式(2)または式(4)
で示される繰り返し単位が全繰り返し単位の70%以上
であることがより好ましい。該有機化合物が化10のジ
アミン誘導体である場合は、高分子マトリックスに30
wt%以上分散させて有機化合物を含む層を形成する。
該層中のジアミン誘導体は、50wt%以上がより好ま
しい。
【0034】式(2)で示される繰り返し単位として具
体的には、N−カルバゾイルエチレン基、2−アルキル
−N−カルバゾイルエチレン基、3−アルキル−N−カ
ルバゾイルエチレン基、2−フェニル−N−カルバゾイ
ルエチレン基、3−フェニル−N−カルバゾイルエチレ
ン基などが例示される。これらのなかでN−カルバゾイ
ルエチレン基が好ましい。
【0035】ここで、式(3)で示される構造のR3
4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R 9 、R10、R11が主
鎖との連結および水素以外の置換基である場合について
述べると、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ラウ
リル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。
また、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチ
ルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オ
クチルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基な
どが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、ペンチルオキ
シ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチル
オキシ基が好ましい。アリール基としては、フェニル
基、4−C1 〜C12アルコキシフェニル基、4−C1
12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチ
ル基などが例示される。アリールオキシ基としては、フ
ェノキシ基が例示される。複素環化合物基としては2−
チエニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、2−、3
−または4−ピリジル基などが例示される。
【0036】式(4)で示される繰り返し単位のR12
13としては、水素、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状
のアルキル基または環状のシクロアルキル基、炭素数6
〜24のアリール基、炭素数7〜26のアラルキル基、
炭素数4〜20の複素環化合物基からなる群から選ばれ
る基が挙げられる。具体的には、アルキル基として、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基
などが例示される。シクロアルキル基としては、シクロ
ヘキシル基が例示される。アリール基としては、フェニ
ル基、ナフチル基、アンスリル基が例示される。アラル
キル基としては、ベンジル基、フェネチル基、p−ベン
ジル基が例示される。複素環化合物基としては2−チエ
ニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、2−、3−ま
たは4−ピリジル基などが例示される。これらのうち、
メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基、ベンジル基が好ましく、メチル
基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル
基が特に好ましい。高分子の安定性、合成の容易さのた
めには、R12、R13のうち1つ以上が炭素数6〜24の
アリール基であることが好ましい。
【0037】本発明で用いる有機高分子化合物は、分子
量がポリスチレン換算で103 〜107 であることが好
ましく、それらの重合度は繰り返し構造やその割合によ
っても変わる。成膜性の点から一般には繰り返し構造の
合計数で好ましくは4〜10000、さらに好ましくは
5〜3000、特に好ましくは10〜2000である。
【0038】なお、本発明の有機EL素子に用いる有機
高分子化合物は、ランダム、ブロックまたはグラフト共
重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有す
る高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体
であってもよい。
【0039】有機高分子化合物に対する良溶媒として
は、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、ト
ルエンなどが例示される。有機高分子化合物の構造や分
子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1wt%以
上溶解させることができる。
【0040】本発明で用いる式(2)で表される繰り返
し単位を有する有機高分子化合物の合成法としては特に
限定されないが、例えば、ジャーナル・オブ・アプライ
ド・ポリマー・サイエンス(Journal of A
pplied Polymer Science)第9
巻、3939頁(1965年)等に記載されている方法
と同様な方法を用いることができる。すなわち、例えば
ビニルモノマーのラジカル重合、カチオン重合を挙げる
ことができる。共重合体を得るために2種類以上のビニ
ルモノマーを反応させてもよい。
【0041】本発明で用いる式(4)で表される繰り返
し単位を有する有機高分子化合物の合成法としては特に
限定されないが、例えば、ジャーナル・オブ・オルガノ
メタリック・ケミストリー(Journal of O
rganometallicChemistry)第C
27巻、198頁(1980年)、またはジャーナル・
オブ・ポリマー・サイエンス:ポリマー・ケミストリー
・エディション(Journal of Polyme
r Science:Polymer Chemist
ry Edition)第22巻、159頁(1984
年)等に記載されている方法と同様な方法を用いること
ができる。
【0042】すなわち、酸素および水分を除去した高純
度不活性雰囲気下で、下記一般式、化17で代表される
ジクロロシランモノマー、または該ジクロロシランモノ
マーとの混合物をアルカリ金属からなる縮合触媒に接触
させてハロゲン脱離と縮重合を行ない、主鎖骨格に前記
式(4)で表される側鎖にアリール基を有する繰り返し
構造単位を含んだポリシラン化合物を合成する。
【0043】
【化17】 〔ここで、R115 、R116 は、それぞれ独立に水素;炭
素数1〜20の直鎖状、分岐状のアルキル基および環状
のシクロアルキル基;炭素数6〜24のアリール基;炭
素数7〜26のアラルキル基並びに炭素数4〜20の複
素環化合物基からなる群から選ばれる基を示す。〕
【0044】また、これらの有機高分子化合物を有機E
L素子において用いる場合、その純度が発光特性に影響
を与えるため、合成後、再沈精製、クロマトグラフによ
る分別等の純化処理をすることが望ましい。
【0045】有機化合物を含む層に高分子マトリックス
に分散させたジアミン誘導体を用いる場合の、ジアミン
誘導体としては、式(5)に示す構造を有していればよ
い。ここで、Ar4 、Ar5 、Ar6 、Ar7 として
は、具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、
3−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル
基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが例示さ
れ、フェニル基、3−メチルフェニル基、チエニル基、
ピリジル基が好ましい。Ar3 としては、1,4−フェ
ニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビフェニ
レン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン
基、9,10−アントリレン基などが例示され、1,4
−フェニレン基、1,3−フェニレン基、4,4’−ビ
フェニレン基が好ましい。具体的な化合物としては、
4,4’−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェ
ニルアミノ)ベンゼン、4,4’−ビス(N(3−メチ
ルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが例示
される。
【0046】また、高分子マトリックス材料としては、
ジアミン誘導体を分散させることができ、成膜性の良好
なものであれば特に限定されないが、電荷輸送を極度に
阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収
が強くないものが好適に用いられる。例えば、ポリ(N
−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導
体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェ
ニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チ
エニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネー
ト、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが例示され
る。該高分子マトリックス材料の分子量は、成膜性が良
好な範囲であればよく、材料によっても異なるが、通
常、ポリスチレン換算の数平均分子量として103 〜1
7 である。該高分子マトリックス材料に対する良溶媒
としては、材料にもよるが、クロロホルム、塩化メチレ
ン、ジクロロエタン、トルエンなどの内、該高分子マト
リックス材料を少なくとも0.1wt%以上溶解させる
ことができる溶媒を選択すればよい。分散させるジアミ
ン誘導体の量は、高分子マトリックスとジアミン誘導体
の合計に対して30wt%以上99wt%以下であり、
50wt%以上90wt%以下がより好ましい。
【0047】なお、塗布により有機高分子化合物を含む
層、または有機化合物を高分子マトリックスに分散させ
た層と、高分子蛍光体からなる発光層とを積層するため
には、発光層を成膜する際に使用する溶媒に対して、用
いる有機高分子化合物または高分子マトリックス材料が
溶解する速度が十分に遅いことが望ましい。よって、有
機高分子化合物または高分子マトリックス材料の分子量
は、ポリスチレン換算で104 〜107 であることが好
ましい。また、有機化合物を含む層と発光層とはそれぞ
れ異なる溶媒から成膜されることが好ましい。具体的に
は、例えば有機化合物のクロロホルム溶液から層を成膜
した後に、高分子蛍光体のトルエン溶液から発光層を成
膜する等の方法が例示される。
【0048】有機EL素子作成の際に、これらの有機溶
媒可溶性の高分子蛍光体および有機高分子化合物または
高分子マトリックスに分散させた有機化合物を用いるこ
とにより、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾
燥により溶媒を除去するだけでよく、また後述するさら
に電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同
様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。
【0049】本発明の有機EL素子の構造については、
特に制限はなく、公知の構造が採用される。例えば、高
分子蛍光体からなる発光層、もしくは該高分子蛍光体と
電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意
味する。)との混合物からなる発光層と陽極との間に有
機化合物を含む層を積層し、その両面に一対の電極を有
する構造のもの、さらに発光層と陰極との間に電子輸送
材料を含有する電子輸送層を積層したものが例示され
る。また、発光層や電荷輸送層は1層の場合と複数の層
を組み合わせる場合も本発明に含まれる。さらに、発光
層に、例えば下記に述べる該高分子蛍光体以外の発光材
料を混合使用してもよい。また、該高分子蛍光体および
/または電荷輸送材料を高分子化合物に分散させた層と
することもできる。
【0050】本発明の高分子蛍光体とともに使用される
電荷輸送材料、すなわち、電子輸送材料または正孔輸送
材料としては公知のものが使用でき、特に限定されない
が、正孔輸送材料としてはピラゾリン誘導体、アリール
アミン誘導体、スチルベン誘導体またはトリフェニルジ
アミン誘導体等が、電子輸送材料としてはオキサジアゾ
ール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導
体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンも
しくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導
体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘
導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレ
ンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体または8
−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体等
が例示される。
【0051】具体的には、特開昭63−70257号、
同63−175860号公報、特開平2−135359
号、同2−135361号、同2−209988号、同
3−37992号、同3−152184号公報に記載さ
れているもの等が例示される。正孔輸送材料としてはト
リフェニルジアミン誘導体、電子輸送材料としてはオキ
サジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導
体、アントラキノンもしくはその誘導体または8−ヒド
ロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体が好まし
く、特に、正孔輸送材料としては4,4’−ビス(N
(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェ
ニル、電子輸送材料としては2−(4−ビフェニリル)
−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキ
サジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス
(8−キノリノール)アルミニウムが好ましい。これら
のうち、電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物のい
ずれか一方、または両方を同時に使用すればよい。これ
らは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用い
てもよい。
【0052】発光層/有機化合物含有層と電極との間に
さらに電荷輸送層を設ける場合、これらの電荷輸送材料
を使用して電荷輸送層を形成してもよい。また、電荷輸
送材料を発光層に混合して使用する場合、電荷輸送材料
の使用量は使用する化合物の種類等によっても異なるの
で、十分な成膜性と発光特性を阻害しない量範囲でそれ
らを考慮して適宜決めればよい。通常、発光材料に対し
て1〜40重量%であり、より好ましくは2〜30重量
%である。
【0053】本発明の高分子蛍光体と共に使用できる既
知の発光材料としては特に限定されないが、例えば、ナ
フタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペ
リレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン
系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロ
キシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族ア
ミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその
誘導体またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘
導体などを用いることができる。具体的には、例えば特
開昭57−51781号、同59−194393号公報
に記載されているもの等、公知のものが使用可能であ
る。
【0054】次に、本発明の有機EL素子の代表的な作
製方法について述べる。陽極および陰極からなる一対の
電極で、透明または半透明な電極としては、ガラス、透
明プラスチック等の透明基板の上に、透明または半透明
の電極を形成したものが用いられる。陽極の材料として
は、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用い
られる。具体的にはインジウム・スズ・オキサイド(I
TO)、酸化スズ等からなる導電性ガラスを用いて作成
された膜(NESAなど)、Au、Pt、Ag、Cu等
が用いられる。作製方法としては真空蒸着法、スパッタ
リング法、メッキ法などが用いられる。
【0055】この陽極上に前記有機化合物を含む層を形
成する。形成方法としては有機高分子化合物の溶融液、
溶液または混合液を使用して、スピンコーティング法、
キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロ
ールコート法等の塗布法、または高分子マトリックス材
料と有機化合物とを溶液状態または溶融状態で混合し分
散させた後の溶液または混合液をスピンコーティング
法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート
法、ロールコート法等の塗布法が例示されるが、溶液ま
たは混合液をスピンコーティング法、キャスティング
法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法等
の塗布法により成膜するのが特に好ましい。
【0056】有機化合物を含む層の膜厚としては、好ま
しくは1nm〜1μm、さらに好ましくは2〜500n
mである。電流密度を上げて発光効率を上げるためには
5〜100nmの範囲が好ましい。次いで、発光材料と
して上記高分子蛍光体、または該高分子蛍光体と電荷輸
送材料を含む発光層を形成する。形成方法としてはこれ
ら材料の溶融液、溶液または混合液を使用してスピンコ
ーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バ
ーコート法、ロールコート法等の塗布法が例示される
が、溶液または混合液をスピンコーティング法、キャス
ティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコ
ート法等の塗布法により成膜するのが特に好ましい。
【0057】発光層の膜厚としては好ましくは1nm〜
1μm、さらに好ましくは2nm〜500nmである。
電流密度を上げて発光効率を上げるためには5〜100
nmの範囲が好ましい。なお、有機化合物を含む層およ
び発光層を塗布法により薄膜化した場合には、溶媒を除
去するため、有機化合物を含む層形成後および/または
発光層形成後に、減圧下または不活性雰囲気下、好まし
くは30〜300℃、さらに好ましくは60〜200℃
の温度で加熱乾燥することが望ましい。
【0058】また、該発光層の上にさらに電子輸送層を
積層する場合には、上記の成膜方法で発光層を設けた後
にその上に電子輸送層を形成することが好ましい。
【0059】電子輸送層の成膜方法としては、特に限定
されないが、粉末状態からの真空蒸着法、または溶液に
溶かした後のスピンコーティング法、キャスティング
法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法等
の塗布法、または高分子化合物と電子輸送材料とを溶液
状態または溶融状態で混合し分散させた後のスピンコー
ティング法、キャスティング法、ディッピング法、バー
コート法、ロールコート法等の塗布法を用いることがで
きる。混合する高分子化合物としては、特に限定されな
いが、電子輸送を極度に阻害しないものが好ましく、ま
た、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いら
れる。
【0060】例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェ
ンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレ
ン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビ
ニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリ
アクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメ
タクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポ
リシロキサンなどが例示される。成膜が容易に行なえる
という点では、高分子化合物を用いる場合は塗布法を用
いることが好ましい。
【0061】電子輸送層の膜厚は、少なくともピンホー
ルが発生しないような厚みが必要であるが、あまり厚い
と、素子の抵抗が増加し、高い駆動電圧が必要となり好
ましくない。したがって、電荷輸送層の膜厚は1nm〜
1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好まし
くは5〜100nmである。
【0062】次いで、発光層または電子輸送層の上に電
極を設ける。この電極は電子注入陰極となる。その材料
としては、特に限定されないが、イオン化エネルギーの
小さい材料が好ましい。例えば、Al、In、Mg、C
a、Li、Mg−Ag合金、In−Ag合金、Mg−I
n合金、Mg−Al合金、Mg−Li合金、Al−Li
合金またはグラファイト薄膜等が用いられる。陰極の作
製方法としては真空蒸着法、スパッタリング法等が用い
られる。
【0063】
【実施例】以下本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。ここで、数平均分子量に
ついては、クロロホルムを溶媒として、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレ
ン換算の数平均分子量を求めた。 実施例1 <高分子蛍光体1の合成と評価>2,5−ジオクチルオ
キシ−p−キシリレンジブロミドをN,N−ジメチルホ
ルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させ
てホスホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩
19.1重量部、イソフタルアルデヒド1.34重量
部、およびテレフタルアルデヒド1.34重量部を、エ
チルアルコールに溶解させた。2.3重量部のリチウム
エトキシドを含むエチルアルコール溶液をホスホニウム
塩とジアルデヒドのエチルアルコール溶液に滴下し、室
温で3時間重合させた。一夜室温で放置した後、沈殿を
濾別し、エチルアルコールで洗浄後、クロロホルムに溶
解、これにエタノールを加え再沈生成した。これを減圧
乾燥して、重合体2.0重量部を得た。これを高分子蛍
光体1という。
【0064】モノマーの仕込み比から計算される高分子
蛍光体1の繰り返し単位とそのモル比を下記に示す。
【化18】 該高分子蛍光体1のポリスチレン換算の数平均分子量
は、9.8×103 であった。該高分子蛍光体1の構造
については赤外吸収スペクトル、NMRで確認した。
【0065】石英板上に高分子蛍光体1の0.2wt%
クロロホルム溶液をスピンコートして、薄膜を形成し、
吸収スペクトルを測定した。このスペクトルに対し、ベ
ースライン、吸収の立ち上がり部分にそれぞれ接する直
線を引くと、その交点の波長は520nmであった。次
に、高分子蛍光体1の1wt%クロロホルム溶液からデ
ィッピングにより白金電極上に薄膜を形成し、作用極と
した。そして、0.1規定のテトラブチルアンモニウム
テトラフルオロボレートのアセトニトリル溶液中で、被
覆していない白金電極を対極、参照極として銀/塩化銀
電極を用いて、サイクリックボルタンメトリーを行なっ
た。このとき掃引速度は50mV/秒、掃引範囲は−2
00〜1200mV(vs 銀/塩化銀電極)とした。
得られたサイクリックボルタモグラムに対し、ベースラ
イン、酸化波の立ち上がり部分にそれぞれ接する直線を
引くと、その交点の電位は0.700Vであった。よっ
てE1 =0.700−1239/520=−1.683
であった。
【0066】<素子の作成および評価>スパッタリング
によって、40nmの厚みでITO膜を付けたガラス基
板に、ポリ(N−ビニルカルバゾール)の1.0wt%
クロロホルム溶液を用いて、ディッピングにより75n
mの厚みで成膜した。次に、高分子蛍光体1の1.0w
t%トルエン溶液を用いて、スピンコートにより40n
mの厚みで成膜した。更に、これを減圧下80℃で1時
間乾燥した後、電子輸送層として、トリス(8−キノリ
ノール)アルミニウム(Alq3 )を0.1〜0.2n
m/sの速度で70nm蒸着した。最後に、その上に陰
極としてマグネシウム−銀合金(Mg:Ag=9:1重
量比)を150nm、次いでアルミニウムを50nm蒸
着して有機EL素子を作製した。蒸着のときの真空度は
すべて8×10-6Torr以下であった。この素子に電
圧12.5Vを印加したところ、電流密度30.0mA
/cm2の電流が流れ、輝度1900cd/m2 の黄緑
色のEL発光が観察された。この時の発光効率は、6.
3cd/Aであった。輝度はほぼ電流密度に比例してい
た。また、ELピーク波長は534nmで、高分子蛍光
体1の薄膜の蛍光ピーク波長とほぼ一致しており高分子
蛍光体1よりのEL発光が確認された。この素子の有機
化合物含有層に用いたポリ(N−ビニルカルバゾール)
に対して高分子蛍光体1の場合と同じ方法でλedge、E
OXを求めたところ、それぞれ370nm、0.720V
であり、E2 =0.720−1239/370=−2.
629である。よって、この素子においては、E1 −E
2 =0.946であった。
【0067】実施例2 <高分子蛍光体2の合成と評価>ホスホニウム塩47.
75重量部、テレフタルアルデヒド6.7重量部を用
い、イソフタルアルデヒドを用いず、リチウムエトキシ
ドを5.8重量部用いた以外は実施例1と同じ方法で合
成、洗浄、再沈を行ない、重合体8.0重量部を得た。
これを高分子蛍光体2という。モノマーの仕込み比から
計算される高分子蛍光体2の繰り返し単位とそのモル比
を下記に示す。
【化19】 該高分子蛍光体2のポリスチレン換算の数平均分子量
は、1.0×104 であった。該高分子蛍光体2の構造
については赤外吸収スペクトル、NMRで確認した。高
分子蛍光体2に対して、実施例1の高分子蛍光体1の場
合と同じ方法でλed ge、EOXXを求めたところ、それぞ
れ550nm、0.700Vであり、E2 =0.700
−1239/550=−1.553であった。 <素子の作成および評価>高分子蛍光体1の代わりに高
分子蛍光体2を用いた以外は、実施例1と同じ方法で素
子を作成した。この素子に電圧12.5Vを印加したと
ころ、電流密度44.5mA/cm2 の電流が流れ、輝
度1445cd/m2 の黄緑色のEL発光が観察され
た。この時の発光効率は、3.3cd/Aであった。輝
度はほぼ電流密度に比例していた。また、ELピーク波
長は540nmで、高分子蛍光体2の薄膜の蛍光ピーク
波長とほぼ一致しており高分子蛍光体2よりのEL発光
が確認された。また、この素子においては、E1 −E2
=1.076であった。
【0068】実施例3 <素子の作成および評価>スパッタリングによって、4
0nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、N、
N’−ビス(3メチルフェニル)−N、N’−ジフェニ
ル−[1、1’−ビフェニル]−4、4’−ジアミン
(以下、TPDということがある)、0.5wt%、ポ
リビニルカルバゾール、0.5wt%のクロロホルム溶
液を用いて、ディッピングにより50nmの厚みで成膜
した。次いで、発光層として、実施例2で合成した高分
子発光体2の1.0wt%トルエン溶液を用いてスピン
コートにより50nmの厚みで成膜した。これを減圧下
150℃で1時間乾燥した後、電子輸送層として、トリ
ス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )を
0.1〜0.2nm/sの速度で70nm蒸着した。最
後に、その上に陰極としてマグネシウム−銀合金(M
g:Ag=9:1重量比)を150nm、さらにその上
にアルミニウムを150nm蒸着して有機EL素子を作
製した。蒸着のときの真空度はすべて8×10-6Tor
r以下であった。この素子に電圧12.5Vを印加した
ところ、電流密度156.9mA/cm 2 の電流が流
れ、輝度5908cd/m2 の黄緑色のEL発光が観察
された。この時の発光効率は、3.7cd/Aであっ
た。輝度はほぼ電流密度に比例していた。更に電流密度
を増すと最高輝度31260cd/m2 に達した。ま
た、ELピーク波長は538nmで、高分子蛍光体2の
薄膜の蛍光ピーク波長とほぼ一致しており高分子蛍光体
2よりのEL発光が確認された。TPDに対して、実施
例1の高分子蛍光体1の場合と同じ方法でλedgeを求め
たところ385nmであった。また、0.1規定のテト
ラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのアセト
ニトリル溶液中にTPDを1wt%溶解させ、被覆して
いない白金電極を作用極とした以外は実施例1の高分子
蛍光体1の場合と同じ方法でEOXを求めたところ、0.
710Vであった。よって、E2 =0.710−123
9/385=−2.508である。また、この素子にお
いては、E 1 −E2 =0.955であった。
【0069】比較例1 スパッタリングによって、40nmの厚みでITO膜を
付けたガラス基板に、高分子蛍光体1の1.0wt%ク
ロロホルム溶液を用いて、ディッピングにより85nm
の厚みで成膜した。次に、これを減圧下80℃で1時間
乾燥した後、電子輸送層として、トリス(8−キノリノ
ール)アルミニウム(Alq3 )を0.1〜0.2nm
/sの速度で70nm蒸着した。最後に、その上に陰極
としてマグネシウム−銀合金(Mg:Ag=9:1重量
比)を150nm、次いでアルミニウムを50nm蒸着
して有機EL素子を作製した。蒸着のときの真空度はす
べて8×10-6Torr以下であった。この素子に電圧
12.5Vを印加したところ、電流密度32.8mA/
cm2の電流が流れ、輝度920cd/m2 の黄緑色の
EL発光が観察された。この時の発光効率は、2.8c
d/Aであった。輝度はほぼ電流密度に比例していた。
また、ELピーク波長は534nmで、高分子蛍光体1
の薄膜の蛍光ピーク波長とほぼ一致しており高分子蛍光
体1よりのEL発光が確認された。。
【0070】比較例2 高分子蛍光体1の代わりに高分子蛍光体2を用いた以外
は、比較例1と同じ方法で素子を作成した。この素子に
電圧12.5Vを印加したところ、電流密度6.6mA
/cm2 の電流が流れ、輝度120cd/m2 の黄緑色
のEL発光が観察された。この時の発光効率は、1.8
cd/Aであった。輝度はほぼ電流密度に比例してい
た。また、ELピーク波長は540nmで、高分子蛍光
体2の薄膜の蛍光ピーク波長とほぼ一致しており高分子
蛍光体2よりのEL発光が確認された。
【0071】比較例3 高分子蛍光体からなる層を設けなかった以外は、実施例
1と同じ方法で素子を作成した。この素子に電圧12.
5Vを印加したところ、電流密度2.5mA/cm2
電流が流れ、輝度65cd/m2 の黄緑色のEL発光が
観察された。この時の発光効率は、2.6cd/Aであ
った。輝度はほぼ電流密度に比例していた。また、EL
ピーク波長は530nmで、Alq3 の薄膜の蛍光ピー
ク波長とほぼ一致しており、スペクトルの形状も一致す
ることより、電子輸送層に用いたAlq3 よりのEL発
光が確認された。
【0072】
【表1】 このように、実施例1、実施例2または実施例3におけ
る高分子蛍光体からなる層と有機化合物を含む層を積層
した有機EL素子は、有機化合物を含む層を有していな
い比較例1もしくは比較例2の有機EL素子、または高
分子蛍光体を含む層を有していない比較例3の有機EL
素子よりも、高い輝度と高い発光効率を有するなど、優
れたEL特性を示した。
【0073】実施例4 <ポリメチルフェニルシランの合成と評価>乾燥した5
00mlの褐色三ツ口フラスコに、褐色ジムロート冷却
器、攪拌羽根、褐色滴下ロートを取付けて、褐色ジムロ
ート冷却器の上部をアルゴンで封止した。この三ツ口フ
ラスコ中に脱水トルエン75mlと金属ナトリウム7.
97グラム(0.35モル)を仕込み攪拌しながらオイ
ルバスでトルエンの還流温度まで加熱した。次に減圧蒸
留精製(沸点、83℃、10Torr)したフェニルメ
チルジクロロシラン(信越化学工業株式会社製)30グ
ラム(0.16モル)を滴下ロートを用いて反応系にゆ
っくり滴下した。滴下終了後、トルエンの還流温度で2
4時間攪拌し、縮重合させた。この後室温まで冷却し、
生成した塩(NaCl)と合成したフェニルメチルポリ
シランのトルエン溶液とをG5ガラスフィルターにより
ろ別し、ろ液(トルエン溶液)を水洗した。ロータリー
エバポレータを用いてろ液のトルエンを除去し白色の固
体を得た。得られた白色固体をテトラヒドラフラン10
0mlに溶解させた後、約1リットルのイソプロピルア
ルコールにゆっくり滴下して再沈精製を行った。G5ガ
ラスフィルターにより沈殿物をろ別し白色の粉体を得
た。収率は46%で、ポリスチレン換算の数平均分子量
は1.0×104 であった。該ポリメチルフェニルシラ
ンの構造については赤外吸収スペクトル、NMRで確認
した。このポリメチルフェニルシランに対して、実施例
1の高分子蛍光体1の場合と同じ方法でλedge、EOX
求めたところ、それぞれ360nm、0.900Vであ
り、E2 =0.900−1239/360=−2.54
2であった。
【0074】<素子の作成および評価>スパッタリング
によって、40nmの厚みでITO膜を付けたガラス基
板に、実施例4で合成したポリメチルフェニルシラン、
0.5wt%、ポリビニルカルバゾール、0.5wt%
のクロロホルム溶液を用いて、ディッピングにより50
nmの厚みで成膜した。次いで、発光層として、実施例
2で合成した高分子発光体2の1.0wt%トルエン溶
液を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し
た。これを減圧下150℃で1時間乾燥した後、電子輸
送層として、トリス(8−キノリノール)アルミニウム
(Alq3 )を0.1〜0.2nm/sの速度で70n
m蒸着した。最後に、その上に陰極としてマグネシウム
−銀合金(Mg:Ag=9:1重量比)を150nm、
さらにその上にアルミニウムを150nm蒸着して有機
EL素子を作製した。蒸着のときの真空度はすべて8×
10 -6Torr以下であった。この素子の輝度1.0c
d/m2 の発光が認められる最低電圧(以下、駆動電圧
ということがある。)は5.83Vであった。また、こ
の素子においては、E1 −E2 =0.985であった。
【0075】実施例5 <素子の作成および評価>ポリビニルカルバゾールの代
わりにポリカーボネートを用いた以外は、実施例3と同
じ方法で素子を作成した。この素子の輝度1.0cd/
2 の発光が認められる最低電圧は5.75Vであっ
た。また、この素子においては、E1 −E2 =0.95
5であった。
【0076】比較例4 比較例2の素子の輝度1.0cd/m2 の発光が認めら
れる最低電圧は7.50Vであった。実施例4、5、比
較例4の結果をまとめて表2に示す。
【表2】 このように、実施例4または実施例5の高分子蛍光体を
含む層と有機化合物を含む層を積層した有機EL素子
は、有機化合物を含む層を有していない比較例4の有機
EL素子よりも、非常に低い駆動電圧を有するなど、優
れたEL特性を示した。
【0077】
【発明の効果】本発明の有機EL素子は、融点や分解温
度が比較的高い高分子材料を用いているので熱的に安定
で、積層構造を有しているため素子の発光効率が高いも
のと考えられる。また塗布法により容易に有機化合物含
有層および発光層を形成できることから、非常に容易に
高輝度、高発光効率、低駆動電圧の有機EL素子を作製
することができる。このように、本発明の高分子蛍光体
を含む層と有機化合物を含む層を有する有機EL素子
は、作成が容易で、また優れた発光特性を示すので、バ
ックライトとしての面状光源,フラットパネルディスプ
レイ等の装置として好ましく使用できる。
フロントページの続き (72)発明者 土田 良彦 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 山口 扶美 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発
    光層を有し、かつ陽極と該発光層との間に、該発光層に
    隣接して有機化合物を含む層を設けた有機エレクトロル
    ミネッセンス素子において、該発光層に用いる高分子蛍
    光体と該有機化合物を含む層に用いる有機化合物とに関
    してそれぞれ次に示すEを求めたとき、 【数1】E=EOX−1239/λedge 〔ここで、λedge(nm)は薄膜の吸収スペクトルの吸
    収端波長を示し、EOX(V)は電気化学的に求めた酸化
    開始電位を示す。〕 該高分子蛍光体および該有機化合物のEを、それぞれE
    1 、E2 とすると 【数2】0.7≦(E1 −E2 )≦1.2 が成り立ち、かつ該高分子蛍光体が下式(1) 【化1】 −Ar1 −CR1 =CR2 − (1) 〔ここで、Ar1 は、共役結合に関与する炭素原子数が
    4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環
    化合物基、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭
    素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基からなる
    群から選ばれる基を示す。〕で示される繰り返し単位を
    1種類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全
    繰り返し単位の50モル%以上であり、ポリスチレン換
    算の数平均分子量が103 〜107 であることを特徴と
    する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】有機化合物が下式(2) 【化2】 〔ここで、Ar2 は下式(3)のカルバゾイル基を示
    す。〕 【化3】 〔R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10
    11の部位の1つで式(2)の主鎖と結合しており、か
    つ式(2)の主鎖と結合していない部位は、それぞれ独
    立に水素;炭素数1〜20のアルキル基およびアルコキ
    シ基;炭素数6〜20のアリール基およびアリールオキ
    シ基並びに炭素数4〜20の複素環化合物基からなる群
    から選ばれる基を示す。〕で示される繰り返し単位を1
    種類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全繰
    り返し単位の50モル%以上であり、ポリスチレン換算
    の数平均分子量が103 〜107 の高分子であることを
    特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセン
    ス素子。
  3. 【請求項3】有機化合物が下式(4) 【化4】 〔ここで、R12、R13はそれぞれ独立に水素、炭素数1
    〜20の直鎖状、分岐状のアルキル基および環状のシク
    ロアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数7
    〜26のアラルキル基並びに炭素数4〜20の複素環化
    合物基からなる群から選ばれる基を示す。〕で示される
    繰り返し単位を1種類以上含み、かつそれらの繰り返し
    単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上であり、
    ポリスチレン換算の数平均分子量が103 〜107 の高
    分子であることを特徴とする請求項1記載の有機エレク
    トロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】有機化合物を含む層が式(5) 【化5】 〔ここで、Ar3 は、炭素数6〜20のアリーレン基お
    よび炭素数4〜20の二価の複素環化合物基からなる群
    から選ばれた基、またAr4 、Ar5 、Ar6 、Ar7
    はそれぞれ独立に、炭素数6〜20のアリール基および
    炭素数4〜20の複素環化合物基からなる群から選ばれ
    た基を示す。〕で示されるジアミン誘導体を高分子マト
    リックスに分散させた薄膜からなり、該有機化合物を含
    む層が該ジアミン誘導体を30wt%以上99wt%以
    下含むことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】陰極と発光層との間に、該発光層に隣接し
    て電子輸送性化合物からなる層を設けたことを特徴とす
    る請求項1、2、3または4記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998036620A1 (fr) * 1997-02-17 1998-08-20 Nippon Steel Corporation Element electroluminescent organique et procede de production
US6369258B1 (en) 1997-02-28 2002-04-09 Sumitomo Chemical Company, Limited Silicon-containing compound and organic electroluminescence device using the same
JP2009146972A (ja) * 2007-12-12 2009-07-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 有機発光素子

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