JPH11176576A - 高分子発光素子 - Google Patents

高分子発光素子

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JPH11176576A
JPH11176576A JP10249555A JP24955598A JPH11176576A JP H11176576 A JPH11176576 A JP H11176576A JP 10249555 A JP10249555 A JP 10249555A JP 24955598 A JP24955598 A JP 24955598A JP H11176576 A JPH11176576 A JP H11176576A
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group
organic compound
polymer
fluorescent substance
emitting device
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JP10249555A
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English (en)
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Toshihiro Onishi
敏博 大西
Masanobu Noguchi
公信 野口
Hideji Doi
秀二 土居
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】駆動時の安定性に優れ、長寿命の高分子発光素
子を提供する。 【解決手段】少なくとも一方が透明または半透明である
一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも高
分子蛍光体を含む発光層と、該発光層に隣接した電荷輸
送層とを有する高分子発光素子において、該高分子蛍光
体が下記式(1)で示される繰り返し単位を1種類以上
含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全繰り返し単
位の50モル%以上であり、ポリスチレン換算の数平均
分子量が103〜107である高分子蛍光体であり、 −Ar1−CR1=CR2− ・・・・・(1)具体的に
は例えば かつ以下の条件1、2を満たす有機化合物が該電荷輸送
層に1重量%以上70重量%以下含まれる高分子発光素
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子発光素子
(以下、高分子LEDということがある。)に関する。
【0002】
【従来の技術】無機蛍光体を発光材料として用いた無機
エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子と
いうことがある。)は、例えばバックライトとしての面
状光源やフラットパネルディスプレイ等の表示装置に用
いられているが、発光させるのに高電圧の交流が必要で
あった。
【0003】近年、Tangらは有機蛍光色素を発光層
とし、これと電子写真の感光体等に用いられている有機
電荷輸送化合物とを積層した二層構造を有する有機エレ
クトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子というこ
とがある。)を作製した(特開昭59−194393号
公報)。有機EL素子は、無機EL素子に比べ、低電圧
駆動、高輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られる
という特徴があることから素子構造や有機蛍光色素、有
機電荷輸送化合物について多くの試みが報告されている
〔ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第27
巻、L269頁(1988年)〕、〔ジャーナル・オブ
・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phy
s.)第65巻、3610頁(1989年)〕。
【0004】また、主に低分子の有機化合物を用いる有
機EL素子とは別に、高分子量の発光材料を用いる高分
子LEDについては、WO9013148号公開明細
書、特開平3−244630号公報、アプライド・フィ
ジックス・レターズ(Appl.Phys.Let
t.)第58巻、1982頁(1991年)などで提案
されていた。WO9013148号公開明細書の実施例
には、可溶性前駆体を電極上に成膜し、熱処理を行うこ
とにより共役系高分子に変換されたポリ(p−フェニレ
ンビニレン)薄膜が得られることおよびそれを用いた素
子が開示されている。
【0005】さらに、特開平3−244630号公報に
は、それ自身が溶媒に可溶であり、熱処理が不要である
という特徴を有する共役系高分子が例示されている。ア
プライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phy
s.Lett.)第58巻、1982頁(1991年)
にも、溶媒に可溶な高分子発光材料およびそれを用いて
作成した高分子LEDが記載されている。
【0006】また、特開平3−273087号公報で
は、高分子発光材料の発光層と共役系高分子の正孔輸送
層とを積層した高分子LEDが例示されている。高分子
LEDにおいても、積層構造とすることにより、高発光
効率の素子が得られる。しかしながら、これらの素子よ
りもさらに駆動時の輝度低下や電圧上昇が小さく、十分
に長期の安定性を有する有機EL素子が望まれていた。
【0007】発光素子の長寿命化の方法としては、特に
低分子材料の蒸着により作成する有機EL素子に関し
て、WO94/06157号公開明細書、特開平8−2
31951号公報などで提案されている。WO94/0
6157号公開明細書においては、発光層または正孔輸
送層にジスチリルアリーレン誘導体を少量添加すると正
孔注入補助材として機能し、素子が長寿命化することが
示されている。また、特開平8−231951号公報に
おいては、ジアミン誘導体に縮合多環芳香族系の発光材
料を添加した発光層を用いることにより長寿命の素子が
得られることが示されている。
【0008】一方、高分子LEDは、塗布により容易に
有機層を製膜することができるので、低分子を蒸着する
場合と比較して、大面積化や低コスト化に有利であり、
高分子であることから膜の機械的強度も優れていると考
えられるが、長寿命化に関しては十分とは言えなかっ
た。すなわち高分子LEDにおいて、駆動時の安定性の
向上が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、駆動
時の安定性に優れ、長寿命の高分子発光素子を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な事情をみて鋭意検討した結果、特定の有機化合物を電
荷輸送層に添加することにより、輝度、発光効率などの
特徴を損なうことなく、安定性に優れ、長寿命の高分子
発光素子が得られることを見出し、本発明に至った。す
なわち、本発明は、少なくとも一方が透明または半透明
である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なく
とも高分子蛍光体を含む発光層と、該発光層に隣接した
電荷輸送層とを有する高分子発光素子において、該高分
子蛍光体が下記式(1)で示される繰り返し単位を1種
類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全繰り
返し単位の50モル%以上であり、ポリスチレン換算の
数平均分子量が103〜107である高分子蛍光体であ
り、
【化2】−Ar1−CR1=CR2− ・・・・・(1) 〔ここで、Ar1は、共役結合に関与する炭素原子数が
4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環
化合物基である。R1、R2は、それぞれ独立に水素、炭
素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、炭素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基か
らなる群から選ばれる基を示す。〕かつ以下の条件1、
2を満たす有機化合物が該電荷輸送層に1重量%以上7
0重量%以下含まれることを特徴とする高分子発光素子
に係るものである。 Eox2−0.15≦Eox1≦Eox2+0.10 ・・・(条件1) λedge2−30≦λedge1≦λedge2+20 ・・・(条件2) (ここで、Eox1、λedge1は、それぞれ該有機化合物の
電気化学的に求めた酸化開始電位、吸収スペクトルの吸
収端波長を示し、Eox2、λedge2は、それぞれ発光層に
用いる高分子蛍光体の電気化学的に求めた酸化開始電
位、吸収スペクトルの吸収端波長を示す。条件1におけ
る単位は、Vであり、条件2における単位は、nmであ
る。)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高分子LEDにつ
いて詳細に説明する。本発明の高分子LEDは、少なく
とも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰
極からなる電極間に、少なくとも高分子蛍光体を含む発
光層と、該発光層に隣接した電荷輸送層とを有する高分
子LEDにおいて、該高分子蛍光体が下記式(1)で示
される繰り返し単位を1種類以上含み、かつそれらの繰
り返し単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上で
あり、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107
である高分子蛍光体であり、
【化3】−Ar1−CR1=CR2− ・・・・・(1) 〔ここで、Ar1は、共役結合に関与する炭素原子数が
4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環
化合物基である。R1、R2は、それぞれ独立に水素、炭
素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、炭素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基か
らなる群から選ばれる基を示す。〕かつ上記式1、式2
の条件を満たす有機化合物(以下、有機化合物(A)と
いうことがある。)が該電荷輸送層に1重量%以上70
重量%以下含まれる高分子LEDである。
【0012】本発明の高分子LEDの構造としては、高
分子蛍光体を含む発光層と、有機化合物(A)を含む電
荷輸送層とが積層されていればよい。例えば、以下の
a)〜e)の構造が例示される。 a)陽極/正孔輸送層(有機化合物(A))/発光層/
陰極 b)陽極/正孔輸送層(有機化合物(A))/発光層/
電子輸送層/陰極 c)陽極/発光層/電子輸送層(有機化合物(A))/
陰極 d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(有機化合
物(A))/陰極 e)陽極/正孔輸送層(有機化合物(A))/発光層/
電子輸送層(有機化合物(A))/陰極 (ここで、/は積層を示し、( )はその層に含有され
ることを示す。) また、発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独
立に2層以上用いてもよく、さらに界面の密着性向上や
混合の防止等のためにいずれかの界面にバッファー層を
挿入してもよい。積層する層の順番や数、および各層の
厚さについては特に制限はないが、発光効率や素子寿命
を勘案して適宜用いることができる。さらに、本発明に
は上記の構造で電荷輸送層と同時に発光層に有機化合物
(A)が含有される場合も含まれる。
【0013】次に、本発明の高分子LEDにおいて、電
荷輸送層に添加して用いられる有機化合物(A)につい
て説明する。有機化合物(A)は、式1、式2の条件を
満たしていればよく、特に制限はない。有機化合物
(A)と発光層に用いられる高分子蛍光体の、電気化学
的に求めた酸化開始電位(それぞれEox1、Eox2)、お
よび吸収スペクトルの吸収端波長(それぞれλedge1
λedge2)が、それぞれ非常に近い値である場合に、条
件1、2を満たす。すなわち、Eox1とEox2との差が−
0.15V〜+0.10V、およびλedge1とλedge2
の差が−30nm〜+20nmの場合である。これらの
条件を満たすとき、有機化合物(A)と発光層に用いら
れる高分子蛍光体との間で相互に電荷やエネルギーのや
りとりが容易になると考えられる。
【0014】酸化開始電位の差を求める具体的な方法と
しては、以下の電気化学的な方法を用いることができ
る。すなわち、有機化合物(A)と高分子蛍光体のそれ
ぞれのサイクリックボルタンメトリーを行い、ベースラ
インから酸化波が立ち上がる電位(酸化開始電位)を求
め、差をとればよい。具体的には、例えばまず測定する
材料の溶液からディッピングにより白金電極上に薄膜を
形成する。そして、適度な支持電解質を含む有機溶媒、
例えば0.1規定のテトラブチルアンモニウムテトラフ
ルオロボレートのアセトニトリル溶液で、材料で被覆し
た白金電極を作用極、もう1つの被覆していない白金電
極を対極、および参照極として例えば銀/塩化銀電極、
飽和カロメル電極、標準水素電極等を用いて、サイクリ
ックボルタンメトリーを行う。測定する材料が電解液と
して用いる溶媒に容易に溶解する場合には、電極を被覆
する代わりに、これらの材料を電解液に溶解させて測定
してもよい。このときの濃度は、酸化波が容易に検出で
きるように選べばよい。
【0015】このとき電位の掃引速度、掃引範囲等の諸
条件は、いずれの材料の測定の際にも同一にし、例え
ば、掃引速度としては50mV/秒、掃引範囲としては
−200〜1200mV(銀/塩化銀電極に対する電
位)等が例示される。得られたサイクリックボルタモグ
ラムに対し、ベースライン、酸化波の立ち上がり部分に
それぞれ接する直線の交点の電位を、それぞれの材料で
求めて差をとればよい。
【0016】また、吸収スペクトルの吸収端波長の差を
求めるには、吸収スペクトルを測定し、ベースラインか
ら吸収が立ち上がる波長を求めて差をとればよい。具体
的には、例えば石英板上に測定する材料の溶液からスピ
ンコート等により、厚さ50〜300nm程度の薄膜を
形成し、吸収スペクトルを求める。このスペクトルに対
し、ベースライン、吸収の立ち上がり部分にそれぞれ接
する直線の交点の波長を吸収端波長とする。これをそれ
ぞれの材料で求めて差をとればよい。有機化合物(A)
としては、発光層に用いる高分子蛍光体との組み合わせ
により、条件1、2を満たすように適宜選択するが、例
えば発光層に用いる高分子蛍光体と類似または同一の繰
り返し単位を有するオリゴマーや、該繰り返し単位と類
似または同一の構造に共役結合した縮合多環芳香族化合
物基を有する低分子化合物等が例示される。この場合の
縮合多環芳香族化合物基としては、3個以上の環からな
る基が好適に用いられる。
【0017】特に、発光層に用いる高分子蛍光体と同一
の骨格からなる繰り返し単位の構造を分子内に有する場
合、すなわち発光層に用いる高分子蛍光体の繰り返し単
位のうち1種類以上を該有機化合物の構成単位の一部に
有する場合に、類似のエネルギー状態になりやすく好ま
しい。発光層に用いる高分子蛍光体自身も条件1、2を
満たすが、電荷輸送層が高分子材料からなる場合に、均
一に混合しにくく、相分離する場合がある。一方、有機
化合物(A)の分子量が非常に小さい場合には、多量に
添加すると電荷輸送層の膜質や膜の強度が不十分になる
恐れがある。よって、電荷輸送材料や有機化合物(A)
の構造にもよるが、電荷輸送層に均一に分散するために
は、有機化合物(A)の分子量が104以下5×102
上であることが好ましく、さらに好ましくは4×103
以下103以上である。例えば、上記式(1)で示され
る繰り返し単位を平均で3個以上7個以下含むオリゴマ
ーは、適度な分子量を有するので好適に用いられる。
【0018】具体的には、有機化合物(A)としては、
下記式(2)、(5)、(6)で示される化合物が例示
される。これらの有機化合物(A)は、単独で用いても
よいし、2種類以上を同時に用いてもよい。電荷輸送層
中のこれらの含有量は、該当する層に含まれる材料全体
に対して1重量%以上70重量%以下である。十分な効
果を得るためには、より多く含有する方がよいが、膜質
の維持のためには含有量が少ない方が好ましい。よって
電荷輸送層中のこれらの含有量は、好ましくは4重量%
以上70重量%以下であり、さらに好ましくは9重量%
以上50重量%以下であり、特に好ましくは15重量%
以上40重量%以下である。有機化合物(A)の電荷輸
送層への混合方法には特に制限はなく、用いる電荷輸送
材料により適宜決められる。電荷輸送材料が低分子の場
合、真空蒸着法では共蒸着による方法、高分子バインダ
ーとの混合溶液からの製膜法では溶液に混合する方法等
が例示される。また、電荷輸送材料が高分子の場合には
溶液からの製膜が一般的であるので、溶液に混合する方
法が例示される。
【0019】
【化4】 (ここで、Bは、下式(3)もしくは(4)で示される
2価の化合物基、(3)で示される基が1種類以上結合
した基、(4)で示される基が1種類以上結合した基、
または(3)で示される基が1種類以上と(4)で示さ
れる基が1種類以上とが混合されて結合した基である。
【化5】
【化6】 Ar3、Ar5、Ar6およびAr7は、それぞれ独立に共
役結合に関与する炭素原子数が4個以上20個以下から
なるアリーレン基または複素環化合物基であるが、Ar
6とAr7は同一でない。nは0〜10の整数である。B
が式(3)で示される場合、nは2〜6の整数であるこ
とがより好ましく、Bが式(4)で示される場合、nは
1〜3の整数であることがより好ましい。Ar2および
Ar4は、それぞれ独立に環の数が3以上10以下の縮
合多環芳香族化合物基であるか、あるいはnが4〜10
の場合には、Ar2およびAr4は、それぞれ独立に共役
結合に関与する炭素原始数が4個以上20個以下からな
るアリール基または複素環化合物基でもよい。R3
4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は、
それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭
素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20の複素環化
合物基およびシアノ基からなる群から選ばれる基を示
す。)
【0020】
【化7】 (ここで、Ar12は、共役結合に関与する炭素原子数が
4個以上20個以下からなる4価のアリール基または複
素環化合物基である。Ar8〜Ar11は、それぞれ独立
に環の数が3以上10以下の縮合多環芳香族化合物基か
ら選ばれる。R13〜R20は、それぞれ独立に水素、炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、炭素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基か
らなる群から選ばれる基を示す。)
【0021】
【化8】 (ここで、Ar16は、共役結合に関与する炭素原子数が
4個以上20個以下からなる3価のアリール基または複
素環化合物基である。Ar13〜Ar15は、それぞれ独立
に環の数が3以上10以下の縮合多環芳香族化合物基か
ら選ばれる。R21〜R26は、それぞれ独立に水素、炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、炭素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基か
らなる群から選ばれる基を示す。)
【0022】Ar3、Ar5、Ar6およびAr7として、
具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジ
ン、ピリダジン、ナフタレン、アントラセン、チオフェ
ン、フルオレン、フラン、キノリン、キノキサリン、ピ
レン、ペリレン、フェナンスレンを骨格とする2価の基
もしくはその誘導体基、またはそれらの骨格を組み合わ
せて得られる2価の基などが例示される。好ましい骨格
は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレ
ン、ピレンである。
【0023】Ar12として具体的には、ベンゼン、ピリ
ジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ナフタレ
ン、アントラセン、チオフェン、フルオレン、フラン、
キノリン、キノキサリン、ピレン、ペリレン、フェナン
スレンを骨格とする4価の基もしくはその誘導体基、ま
たはそれらの骨格を組み合わせて得られる4価の基など
が例示される。好ましい骨格は、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、フルオレン、ピレンである。
【0024】Ar16として具体的には、ベンゼン、ピリ
ジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ナフタレ
ン、アントラセン、チオフェン、フルオレン、フラン、
キノリン、キノキサリン、ピレン、ペリレン、フェナン
スレンを骨格とする3価の基もしくはその誘導体基、ま
たはそれらの骨格を組み合わせて得られる3価の基など
が例示される。好ましい骨格は、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、フルオレン、ピレンである。
【0025】また、Ar2、Ar4、Ar8〜Ar11およ
びAr13〜Ar15の縮合多環芳香族化合物基として、具
体的には、アントラセン、フルオレン、ピレン、ペリレ
ン、コロネン、ナフタセン、フェナンスレンを骨格とす
る2価の基もしくはその誘導体基などが例示される。好
ましい骨格は、アントラセン、フルオレン、ピレン、ペ
リレン、フェナンスレンである。なお、縮合多環芳香族
化合物の環の数とは、縮合環の中に含まれるすべての環
の数の合計数であり、例えば、アントラセンは3、フル
オレンは3、ピレンは4、ペリレンは5、コロネンは
6、ナフタセンは4、フェナンスレンは3である。さら
に、式(2)においてnが4〜10の場合のAr2、A
4の具体例としては、ベンゼン、ピリジン、ピラジ
ン、ピリミジン、ピリダジン、ナフタレン、アントラセ
ン、チオフェン、フルオレン、フラン、キノリン、キノ
キサリン、ピレン、ペリレン、フェナンスレンを骨格と
する2価の基もしくはその誘導体基、またはそれらの骨
格を組み合わせて得られる2価の基などが例示される。
好ましい骨格は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセ
ン、フルオレン、ピレンである。
【0026】さらに、R3〜R26が水素またはシアノ基
以外の置換基である場合について述べると、炭素数1〜
20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げら
れ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基が好ましい。
【0027】炭素数6〜20のアリール基としては、フ
ェニル基、4−C1〜C12アルコキシフェニル基(C1
12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様
である。)、4−C1〜C12アルキルフェニル基、1−
ナフチル基、2−ナフチル基などが例示される。炭素数
4〜20の複素環化合物基としては2−チエニル基、2
−ピロリル基、2−フリル基、2−、3−または4−ピ
リジル基などが例示される。
【0028】さらに、電荷輸送層への均一な分散を溶液
状態で行う場合には溶媒可溶性であることが好ましく、
その観点からは、電荷輸送性材料との相溶性や溶媒への
溶解性を高めるような官能基を有機化合物(A)が有し
ていることが好ましい。このような官能基としては、炭
素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜20のアルコキ
シ基、共役結合に関与する炭素数が6〜20のアリール
基、共役結合に関与する炭素数が6〜20のアリールオ
キシ基、共役結合に関与する炭素数が4〜20の複素環
化合物基等が例示される。これらの基が1つ以上置換し
たアリール基または複素環化合物基を分子中に1つ以上
有していることが好ましい。
【0029】これらの官能基として、より具体的には、
以下のものが例示される。炭素数4〜20のアルキル基
としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げら
れ、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基
が好ましい。
【0030】また、炭素数4〜20のアルコキシ基とし
ては、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ
基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキ
シ基、ラウリルオキシ基、フェニルプロポキシ基などが
挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプ
チルオキシ基、オクチルオキシ基、フェニルプロポキシ
基が好ましい。
【0031】炭素数4〜20のアリール基としては、フ
ェニル基、4−C1〜C12アルコキシフェニル基、4−
1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−
ナフチル基などが例示される。
【0032】炭素数4〜20のアリールオキシ基として
は、フェノキシ基が例示される。複素環化合物基として
は2−チエニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、2
−、3−または4−ピリジル基などが例示される。炭素
数4〜20の複素環化合物基としては2−チエニル基、
2−ピロリル基、2−フリル基、2−、3−または4−
ピリジル基などが例示される。
【0033】本発明における高分子LEDの発光層に含
まれる高分子蛍光体は、ポリアリーレンビニレンおよび
その誘導体であり、前記式(1)で示される繰り返し単
位を全繰り返し単位の50モル%以上含む重合体であ
る。該繰り返し単位の構造にもよるが、式(1)で示さ
れる繰り返し単位が全繰り返し単位の70モル%以上で
あることが好ましい。該高分子蛍光体は、式(1)で示
される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、2価の
芳香族化合物基もしくはその誘導体、2価の複素環化合
物基もしくはその誘導体、またはそれらを組み合わせて
得られる基などを含んでいてもよい。また、式(1)で
示される繰り返し単位や他の繰り返し単位が、エーテル
基、エステル基、アミド基、イミド基などを有する非共
役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそ
れらの非共役部分が含まれていてもよい。
【0034】発光材料が式(1)の繰り返し単位を含む
高分子蛍光体の場合、式(1)のAr1としては、共役
結合に関与する炭素原子数が4個以上20個以下からな
るアリーレン基または複素環化合物基であり、下記化9
〜化11に示す2価の芳香族化合物基もしくはその誘導
体基、2価の複素環化合物基もしくはその誘導体基、ま
たはそれらを組み合わせて得られる基などが例示され
る。
【0035】
【化9】 ・・・・・(7)
【0036】
【化10】 ・・・・・(8)
【0037】
【化11】 ・・・・・(9)(R27〜R118は、それぞれ独立に、
水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基およ
びアルキルチオ基;炭素数6〜18のアリール基および
アリールオキシ基;ならびに炭素数4〜14の複素環化
合物基からなる群から選ばれた基である。)
【0038】これらのなかで、フェニレン基、置換フェ
ニレン基、ビフェニレン基、置換ビフェニレン基、ナフ
タレンジイル基、置換ナフタレンジイル基、アントラセ
ン−9,10−ジイル基、置換アントラセン−9,10
−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、置換ピリジ
ン−2,5−ジイル基、チエニレン基または置換チエニ
レン基が好ましい。さらに好ましくは、フェニレン基、
ビフェニレン基、ナフタレンジイル基、ピリジン−2,
5−ジイル基またはチエニレン基である。
【0039】式(1)のR1、R2が水素またはシアノ基
以外の置換基である場合について述べると、炭素数1〜
20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げら
れ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基が好ましい。
【0040】アリール基としては、フェニル基、4−C
1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1
〜12であることを示す。以下も同様である。)、4−
1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−
ナフチル基などが例示される。
【0041】溶媒可溶性の観点からは式(1)のAr1
が、1つ以上の炭素数4〜20のアルキル基、アルコキ
シ基およびアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール
基およびアリールオキシ基ならびに炭素数4〜20の複
素環化合物基からなる群より選ばれた基を有しているこ
とが好ましい。
【0042】これらの置換基としては、以下のものが例
示される。炭素数4〜20のアルキル基としては、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、デシル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。
【0043】また、炭素数4〜20のアルコキシ基とし
ては、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ
基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキ
シ基、ラウリルオキシ基、フェニルプロポキシ基などが
挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプ
チルオキシ基、オクチルオキシ基、フェニルプロポキシ
基が好ましい。
【0044】アルキルチオ基としては、ブチルチオ基、
ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オ
クチルチオ基、デシルオキシ基、ラウリルチオ基などが
挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチル
チオ基、オクチルチオ基が好ましい。
【0045】アリール基としては、フェニル基、4−C
1〜C12アルコキシフェニル基、4−C1〜C12アルキル
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例
示される。
【0046】アリールオキシ基としては、フェノキシ基
が例示される。複素環化合物基としては2−チエニル
基、2−ピロリル基、2−フリル基、2−、3−または
4−ピリジル基などが例示される。
【0047】これら置換基の数は、該高分子蛍光体の分
子量と繰り返し単位の構成によっても異なるが、溶解性
の高い高分子蛍光体を得る観点から、これらの置換基が
分子量600当たり1つ以上であることが好ましい。
【0048】また、高分子蛍光体の末端基は、特に限定
されないが、重合活性基がそのまま残っていると、素子
にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるの
で、安定な基で保護されていることが好ましい。主鎖の
共役構造と連続した共役結合を有しているものがより好
ましく、例えば、ビニレン基を介してアリール基または
複素環化合物基と結合している構造が例示される。
【0049】具体的には、フェニル基、ピリジル基、ナ
フチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、
フェナンスレニル基、チエニル基、フリル基、オキサジ
アゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、フルオレニル基、
キノリル基、キノキサリル基およびそれらの誘導体基が
例示される。これらの中で、フェニル基、1−ナフチル
基、9−アントリル基、2−ピリジル基、2−チエニル
基、1−ピレニル基、2−フルオレニル基、2−キノリ
ル基またはそれらの誘導体基が好ましく、1−ナフチル
基、9−アントリル基、1−ピレニル基、2−フルオレ
ニル基が特に好ましい。
【0050】該高分子蛍光体の合成法としては、特に限
定されず、例えば特開平5−202355号公報に記載
の方法が挙げられる。すなわち、ジアルデヒド化合物と
ジホスホニウム塩化合物とのWittig反応による重
合、ハロゲン化メチル基を2つ有する化合物の脱ハロゲ
ン化水素法による重縮合、スルホニウム塩基を2つ有す
る化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ジアル
デヒド化合物とジアセトニトリル化合物とのKnoev
enagel反応による重合などの方法が例示される。
【0051】なお、該高分子蛍光体は、ランダム、ブロ
ックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それら
の中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯
びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率
の高い高分子蛍光体を得る観点からは完全なランダム共
重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロ
ックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分か
れがあり、末端部が3つ以上ある場合も含まれる。ま
た、薄膜からの発光を利用するので該高分子蛍光体は、
固体状態で蛍光を有するものが好適に用いられる。
【0052】該高分子蛍光体に対する良溶媒としては、
クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラ
ヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、デカ
リン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子蛍
光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に
0.1重量%以上溶解させることができる。
【0053】該高分子蛍光体は、分子量がポリスチレン
換算で103〜107であり、それらの重合度は、繰り返
し構造やその割合によっても変わる。成膜性の点から一
般には繰り返し構造の合計数が、好ましくは10〜10
000、さらに好ましくは10〜3000、特に好まし
くは20〜2000である。
【0054】これらの高分子蛍光体を高分子LEDの発
光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を
与えるため、合成後、再沈精製、クロマトグラフィーに
よる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0055】高分子LED作成の際に、これらの有機溶
媒可溶性の高分子蛍光体を用いることにより、溶液から
成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去
するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合し
た場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に
有利である。溶液からの成膜方法としては、スピンコー
ト法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、
グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワ
イアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコー
ト法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット
印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0056】発光層に例えば該高分子蛍光体以外の発光
材料を混合使用してもよい。該発光材料としては、公知
のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフ
タレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリ
レンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン
系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロ
キシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族ア
ミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその
誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその
誘導体などを用いることができる。具体的には、例えば
特開昭57−51781号、同59−194393号公
報に記載されているもの等、公知のものが使用可能であ
る。
【0057】本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有す
る場合、使用される正孔輸送材料としては、特に制限は
ないが、以下の(a)〜(e)が例示される。 (a)ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体など
のカルバゾール環またはその誘導体を側鎖に有する高分
子正孔輸送材料 (b)ポリシランもしくはその誘導体 (c)側鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導
体、ポリアニリンもしくはその誘導体などの側鎖または
主鎖に芳香族アミン化合物基を有する高分子正孔輸送材
料 (d)ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチ
ルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体など (e)ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−
フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ
(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体な
どの共役系高分子
【0058】具体的には、該正孔輸送材料として、特開
昭63−70257号公報、同63−175860号公
報、特開平2−135359号公報、同2−13536
1号公報、同2−209988号公報、同3−3799
2号公報、同3−152184号公報に記載されている
もの等が例示される。これらの中で、正孔輸送層に用い
る正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしく
はその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖も
しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキ
サン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチ
オフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビ
ニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チ
エニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔
輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカル
バゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその
誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリ
シロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合
には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ま
しい。
【0059】ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導
体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラ
ジカル重合によって得られる。ポリシランもしくはその
誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Re
v.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許
GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例
示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いること
ができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。ポ
リシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構
造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖
に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に
用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖また
は主鎖に有するものが例示される。
【0060】正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、
低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶
液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正
孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示され
る。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材
料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒と
して、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等
の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶
媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエ
ステル系溶媒が例示される。
【0061】溶液からの成膜方法としては、溶液からの
スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア
コート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコ
ート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、ス
プレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、
オフセット印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0062】混合する高分子バインダーとしては、電荷
輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に
対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分
子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレ
ート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン
等が例示される。
【0063】本発明において、高分子LEDが電子輸送
層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知
のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラ
キノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしく
はその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アン
トラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラ
キノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導
体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、
ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリン
もしくはその誘導体の金属錯体等が例示される。
【0064】具体的には、特開昭63−70257号公
報、同63−175860号公報、特開平2−1353
59号公報、同2−135361号公報、同2−209
988号公報、同3−37992号公報、同3−152
184号公報に記載されているもの等が例示される。こ
れらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンも
しくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導
体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体
の金属錯体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5
−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジ
アゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8
−キノリノール)アルミニウムがさらに好ましい。
【0065】電子輸送層の成膜法としては特に制限はな
いが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着
法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法
が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの
成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融
状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用しても
よい。
【0066】溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電
子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させ
るものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロ
ホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶
媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸
ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶
媒が例示される。
【0067】溶液または溶融状態からの成膜方法として
は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラ
ビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロー
ルコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート
法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印
刷法、オフセット印刷法等の塗布法を用いることができ
る。
【0068】混合する高分子バインダーとしては、電荷
輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光
に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高
分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェ
ンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレ
ン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビ
ニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリ
アクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメ
タクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、または
ポリシロキサンなどが例示される。
【0069】本発明において、透明または半透明の陽極
の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属
薄膜等が用いられる。具体的には、インジウム・スズ・
オキサイド(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ
(SnO2)等からなる導電性ガラスを用いて作成され
た膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いら
れ、ITO、ZnO、SnO2が好ましい。作製方法と
しては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極と
して、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェ
ンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いて
もよい。
【0070】次に、本発明で用いる陰極の材料として
は、イオン化エネルギー仕事関数の小さい材料が好まし
い。例えば、アルミニウム、インジウム、マグネシウ
ム、カルシウム、リチウム、マグネシウム−銀合金、マ
グネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニ
ウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウ
ム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−イン
ジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金、グラファ
イト、またはグラファイト層間化合物等が用いられる。
【0071】陰極の作製方法としては、真空蒸着法、ス
パッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート
法等が用いられる。また陰極作製後、該高分子LEDを
保護する保護層を装着していてもよい。
【0072】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明するために
実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。ここで、数平均分子量については、クロロホルム
を溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量を
求めた。
【0073】実施例1 <高分子蛍光体1の合成>2,5−ジオクチルオキシ−
p−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルム
アミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホ
スホニウム塩(1)を合成した。得られたホスホニウム
塩47.75重量部、およびテレフタルアルデヒド5.
5重量部を、エチルアルコール/クロロホルム混合溶媒
に溶解させた。5.4重量部のリチウムエトキシドを含
むエチルアルコール溶液をホスホニウム塩とジアルデヒ
ドのエチルアルコール/クロロホルム混合溶液に滴下
し、重合した。引き続き、この反応溶液に1−ピレンカ
ルバルデヒドのクロロホルム溶液を加えた後、さらにリ
チウムエトキシドを含むエチルアルコール溶液を溶液に
滴下し、室温で3時間撹拌しながら重合させた。一晩室
温で放置した後、沈殿を濾別し、エチルアルコールで洗
浄後、クロロホルムに溶解、これにエタノールを加え再
沈生成した。これを減圧乾燥して、重合体8.0重量部
を得た。これを高分子蛍光体1という。モノマーの仕込
み比から計算される高分子蛍光体1の繰り返し単位とそ
のモル比を下記に示す。分子末端にはピレニル基を有す
ることを1H−NMRより確認した。
【0074】
【化12】 ・・・・・(10) (上式において、二つの繰り返し単位のモル比は、5
0:50であり、二つの繰り返し単位は、交互に結合し
ている。) 該高分子蛍光体1のポリスチレン換算の数平均分子量
は、4.0×103であった。該高分子蛍光体1の構造
については赤外吸収スペクトル、NMRで確認した。
【0075】<有機化合物1の合成>2,5−ジオクチ
ルオキシ−p−キシリレンジクロライドをN,N−ジメ
チルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反
応させてホスホニウム塩を合成した。得られたホスホニ
ウム塩4.8重量部と1−ピレンカルバルデヒド2.5
重量部とを、エチルアルコール/クロロホルム混合溶媒
に溶解させた。0.15重量部のリチウムをエタノール
と反応させて得たリチウムエトキシドを含むエチルアル
コール溶液をホスホニウム塩とアルデヒドの混合溶液に
滴下し、室温で3時間反応後、沈殿を濾別し、エチルア
ルコール、エチルアルコール/水、エチルアルコールで
順次洗浄した。これを減圧乾燥して、3.0重量部の生
成物を得た。これを有機化合物1という。有機化合物1
の構造を下記に示す。
【0076】
【化13】 ・・・・・(11) 該有機化合物1の構造については赤外吸収スペクトル、
NMRで確認した。
【0077】<酸化開始電位、吸収端波長の測定>高分
子蛍光体1の1.0重量%のトルエン溶液からディッピ
ングにより白金電極上に薄膜を形成した。0.1規定の
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのア
セトニトリル溶液を用い、高分子蛍光体1で被覆した白
金電極を作用極、もう1つの被覆していない白金電極を
対極、銀/塩化銀電極を参照極として、サイクリックボ
ルタンメトリーを行った。掃引速度は50mV/秒と
し、銀/塩化銀電極に対して−200〜1200mVの
範囲で掃引した。得られたサイクリックボルタモグラム
において、ベースラインと酸化波の立ち上がり部分にそ
れぞれ接する直線の交点の電位は、750mVであっ
た。同様にして有機化合物1の酸化開始電位を求める
と、710mVであった。よって、有機化合物1は、高
分子蛍光体1に対して条件1を満たしていた。
【0078】次に、高分子蛍光体1の1.0重量%のト
ルエン溶液からスピンコートにより石英板上に薄膜を形
成した。吸光分光光度計(日立製作所製、UV3500
型)を用いて吸収スペクトルを測定し、ベースライン、
吸収の立ち上がり部分にそれぞれ接する直線の交点の波
長を求めると、530nmであった。同様にして有機化
合物1の吸収端波長を求めると、540nmであった。
よって、有機化合物1は、高分子蛍光体1に対して条件
2を満たしていた。 <素子の作成および評価>ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)(以下、PVCzと記すことがある。)と有機化合
物1を77:23の重量比で混合した。この混合粉末を
塩化メチレンに溶解し、1.7重量%溶液を調製した。
電子ビーム蒸着によって、200nmの厚みでITO膜
を付けたガラス基板に、前記PVCzの塩化メチレン溶
液を用いて、ディップコート法により50nmの厚みで
成膜した。
【0079】次に、高分子蛍光体1の1.0重量%のト
ルエン溶液を用いて、スピンコートにより40nmの厚
みで成膜した。次いで、これを減圧下120℃で1時間
乾燥した後、電子輸送層として、トリス(8−キノリノ
ール)アルミニウム(以下、Alq3と記すことがあ
る。)を0.1〜0.2nm/sの速度で40nm蒸着
した。最後に、その上に陰極として、アルミニウムリチ
ウム合金(Al:Li=約200:1重量比)を100
nm蒸着して高分子LEDを作製した。蒸着のときの真
空度はすべて1×10-5Torr以下であった。
【0080】この素子を25mA/cm2の定電流密度
で、窒素雰囲気下で定電流駆動を連続的に行なった。5
時間エージング後の輝度は716cd/m2であり、そ
の輝度からの半減寿命は約350時間であった。また、
5時間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上
昇率は0.011V/hrであった。
【0081】比較例1 有機化合物1を含まないPVCzの1.7重量%塩化メ
チレン溶液を用いた以外は実施例1と同じ方法で高分子
LEDを作製した。この素子を25mA/cm2の定電
流密度で、窒素雰囲気下で定電流駆動を連続的に行なっ
た。5時間エージング後の輝度は1173cd/m2
あり、その輝度からの半減寿命は約43時間であった。
また、5時間エージングした後における駆動中の駆動電
圧の上昇率は0.120V/hrであった。
【0082】実施例2 有機化合物1とPVCzを4.8:95.2の重量比で
混合した粉末を用いて溶液とした以外は実施例1と同じ
方法で高分子LEDを作製した。この素子を25mA/
cm2の定電流密度で、窒素雰囲気下で定電流駆動を連
続的に行なった。5時間エージング後の輝度は1395
cd/m2であり、その輝度からの半減寿命は約102
時間であった。また、5時間エージングした後における
駆動中の駆動電圧の上昇率は0.067V/hrであっ
た。
【0083】実施例3 有機化合物1とPVCzを9.1:90.9の重量比で
混合した粉末を用いて溶液とした以外は実施例1と同じ
方法で高分子LEDを作製した。この素子を25mA/
cm2の定電流密度で、窒素雰囲気下で定電流駆動を連
続的に行なった。5時間エージング後の輝度は1145
cd/m2であり、その輝度からの半減寿命は約149
時間であった。また、5時間エージングした後における
駆動中の駆動電圧の上昇率は0.045V/hrであっ
た。
【0084】実施例4 <高分子蛍光体2の合成>実施例1で合成した2,5−
ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドのホス
ホニウム塩(1)と同様に合成した2−メトキシ−5−
オクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドのホスホ
ニウム塩(2)を等モル混合し、60重量部、およびテ
レフタルアルデヒド7.2重量部を、エチルアルコール
/クロロホルム混合溶媒に溶解させた。7.0重量部の
リチウムエトキシドを含むエチルアルコール溶液をホス
ホニウム塩とジアルデヒドのエチルアルコール/クロロ
ホルム混合溶液に滴下し、重合した。引き続き、この反
応溶液に1−ピレンカルバルデヒドのクロロホルム溶液
を加えた後、さらにリチウムエトキシドを含むエチルア
ルコール溶液を溶液に滴下し、室温で3時間撹拌しなが
ら重合させた。一晩室温で放置した後、沈殿を濾別し、
エチルアルコールで洗浄後、クロロホルムに溶解、これ
にエタノールを加え再沈生成した。これを減圧乾燥し
て、重合体8.0重量部を得た。これを高分子蛍光体2
という。
【0085】モノマーの仕込み比から計算される高分子
蛍光体2の繰り返し単位を下記式(7)と(8)に示し
た。そのモル比はほぼ1:1であり、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーから求めた数平均分子量は34
00であった。また、分子末端にはピレニル基を有する
ことを1H−NMRより確認した。
【0086】<有機化合物2の合成>高分子蛍光体2で
得たホスホニウム塩(1)の4.8重量部とホスホニウ
ム塩(2)の4.3重量部とテレフタルアルデヒド1.
2重量部と1−ピレンカルバルデヒド1.6重量部と
を、エチルアルコール/クロロホルム混合溶媒に溶解さ
せた。0.28重量部のリチウムをエタノールと反応さ
せて得たリチウムエトキシドを含むエチルアルコール溶
液をホスホニウム塩とアルデヒドの混合溶液に滴下し、
室温で3時間反応、室温で一夜放置後、沈殿をろ別し、
エチルアルコールで洗浄後、クロロホルムに溶解し、こ
れにエタノールを加え再沈し、次に、トルエンに溶解
し、これにエタノールを加え再沈し、得られた沈殿を減
圧乾燥して、重合体0.9重量部を得た。これを有機化
合物2という。
【0087】モノマーの仕込み比から計算される有機化
合物2の構造とそれを構成する繰り返し単位は、高分子
蛍光体2と同様である。分子末端にはピレニル基を有す
ることを1H―NMRより確認した。1H−NMRの3.
5〜4ppm付近にあらわれる、フェニレン基に置換し
た−OCH2−および−OCH3基のプロトンに帰属した
プロトンの積分値と8〜8.5ppm付近にあらわれる
ピレニル基のプロトンに帰属したプロトンの積分値との
比から算出された、有機化合物2の一分子に含まれる
(12)と(13)で示される構造の合計数の平均値は
4であった。
【0088】
【化14】 ・・・・・(12)
【化15】 ・・・・・(13) (上式において、二つの繰り返し単位のモル比は、平均
して、50:50であり、二つの繰り返し単位は、ラン
ダムに結合している。) <酸化開始電位、吸収端波長の測定>実施例1と同じ方
法で、高分子蛍光体2、有機化合物2の酸化開始電位を
求めると、それぞれ873mV、853mVであった。
よって、有機化合物2は、高分子蛍光体2に対して条件
1を満たしていた。次に、実施例1と同じ方法で、高分
子蛍光体2、有機化合物2の吸収端波長を求めると、そ
れぞれ525nm、530nmであった。よって、有機
化合物2は、高分子蛍光体2に対して条件2を満たして
いた。
【0089】<素子の作成および評価>発光材料として
高分子蛍光体2を用い、有機化合物2とPVCzを3
0:70の重量比で混合した粉末を用いて溶液とした以
外は実施例1と同じ方法で高分子LEDを作製した。こ
の素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素雰囲気
下で定電流駆動を連続的に行なった。5時間エージング
後の輝度は518cd/m2であり、その輝度からの半
減寿命は約120時間であった。また、5時間エージン
グした後における駆動中の駆動電圧の上昇率は0.02
7V/hrであった。
【0090】実施例5 <有機化合物3の合成>2,5−ジオクチルオキシ−p
−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルムア
ミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホス
ホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩9.5
5gとイソフタルアルデヒド0.80gおよび1−ピレ
ンカルバルデヒド1.84gを、エチルアルコール/ト
ルエン混合溶媒に溶解させた。12%リチウムメトキシ
ドメタノール溶液12.7mlをエチルアルコール50
mlに溶解した溶液をホスホニウム塩とアルデヒドの混
合溶液に滴下し、室温で4時間反応後、室温で一夜放置
した。その後、生成した沈殿を回収し、エチルアルコー
ル、エチルアルコール/水、エチルアルコールで順次洗
浄した後、トルエンに溶解、これにエチルアルコールを
加えて再沈精製を行った。これを減圧乾燥して、2.7
gの生成物を得た。これを有機化合物3という。有機化
合物3の構造を下記に示す。
【0091】
【化16】 ・・・・・(14) (上式のnは、平均で2.0であった。) <酸化開始電位、吸収端波長の測定>実施例1と同じ方
法で、有機化合物3の酸化開始電位を求めると、863
mVであった。よって、有機化合物3は、高分子蛍光体
2に対して条件1を満たしていた。次に、実施例1と同
じ方法で、有機化合物3の吸収端波長を求めると、50
0nmであった。よって、有機化合物3は、高分子蛍光
体2に対して条件2を満たしていた。 <素子の作成および評価>有機化合物2の代わりに有機
化合物3を用い、有機化合物3とPVCzを5:95の
重量比で混合した粉末を用いて溶液を調製し、高分子蛍
光体の塗布を2.0重量%のデカリン溶液で行った以外
は実施例4と同じ方法で高分子LEDを作製した。この
素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素雰囲気下
で定電流駆動を連続的に行なった。10時間エージング
後の輝度は512cd/m2であり、その輝度からの半
減寿命は約138時間であった。また、10時間エージ
ングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率は0.0
25V/hrであった。
【0092】実施例6 <素子の作成および評価>有機化合物3とPVCzを1
0:90の重量比で混合した粉末を用いて溶液を調製し
た以外は実施例5と同じ方法で高分子LEDを作製し
た。この素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素
雰囲気下で定電流駆動を連続的に行なった。10時間エ
ージング後の輝度は478cd/m2であり、その輝度
からの半減寿命は約115時間であった。また、10時
間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率
は0.023V/hrであった。
【0093】実施例7 <素子の作成および評価>有機化合物3とPVCzを2
0:80の重量比で混合した粉末を用いて溶液を調製し
た以外は実施例5と同じ方法で高分子LEDを作製し
た。この素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素
雰囲気下で定電流駆動を連続的に行なった。10時間エ
ージング後の輝度は401cd/m2であり、その輝度
からの半減寿命は約163時間であった。また、10時
間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率
は0.020V/hrであった。
【0094】実施例8 <素子の作成および評価>有機化合物3とPVCzを3
0:70の重量比で混合した粉末を用いて溶液を調製し
た以外は実施例5と同じ方法で高分子LEDを作製し
た。この素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素
雰囲気下で定電流駆動を連続的に行なった。10時間エ
ージング後の輝度は527cd/m2であり、その輝度
からの半減寿命は約243時間であった。また、10時
間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率
は0.011V/hrであった。
【0095】実施例9 <素子の作成および評価>有機化合物3とPVCzを5
0:50の重量比で混合した粉末を用いて溶液を調製し
た以外は実施例5と同じ方法で高分子LEDを作製し
た。この素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素
雰囲気下で定電流駆動を連続的に行なった。10時間エ
ージング後の輝度は348cd/m2であり、その輝度
からの半減寿命は約189時間であった。また、10時
間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率
は0.009V/hrであった。
【0096】実施例10 <有機化合物4の合成>2,5−ジオクチルオキシ−p
−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルムア
ミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホス
ホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩9.5
5gとテレフタルアルデヒド0.80gおよび1−ピレ
ンカルバルデヒド1.84gを、エチルアルコール/ト
ルエン混合溶媒に溶解させた。12%リチウムメトキシ
ドメタノール溶液12mlをエチルアルコール40ml
に溶解した溶液をホスホニウム塩とアルデヒドの混合溶
液に滴下し、室温で4時間反応後、室温で一夜放置し
た。その後、生成した沈殿を回収し、エチルアルコー
ル、エチルアルコール/水、エチルアルコールで順次洗
浄した後、トルエンに溶解、これにエチルアルコールを
加えて再沈精製した。これを減圧乾燥して、1.6gの
生成物を得た。これを有機化合物4という。有機化合物
4の構造を下記に示す。
【化17】 ・・・・・(15) (上式のnは、平均で2.4であった。) <酸化開始電位、吸収端波長の測定>実施例1と同じ方
法で、有機化合物4の酸化開始電位を求めると、783
mVであった。よって、有機化合物4は、高分子蛍光体
2に対して条件1を満たしていた。次に、実施例1と同
じ方法で、有機化合物4の吸収端波長を求めると、53
5nmであった。よって、有機化合物4は、高分子蛍光
体2に対して条件2を満たしていた。 <素子の作成および評価>有機化合物2の代わりに有機
化合物4を用い、有機化合物4とPVCzを20:80
の重量比で混合した粉末を用いて溶液を調製し、高分子
蛍光体の塗布を2.0重量%のデカリン溶液で行った以
外は実施例4と同じ方法で高分子LEDを作製した。こ
の素子を25mA/cm2の定電流密度で、窒素雰囲気
下で定電流駆動を連続的に行なった。5時間エージング
後の輝度は1035cd/m2であり、その輝度からの
半減寿命は約157時間であった。また、5時間エージ
ングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率は0.0
38V/hrであった。
【0097】実施例11 <有機化合物5の合成>2,5−ビス(3−フェニルプ
ロピルオキシ)−p−キシリレンジブロミドをN,N−
ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィン
と反応させてホスホニウム塩を合成した。得られたホス
ホニウム塩10.56gとテレフタルアルデヒド0.6
7gおよび1−ピレンカルバルデヒド2.3gを、エチ
ルアルコール/トルエン混合溶媒に溶解させた。12%
リチウムメトキシドメタノール溶液12mlをエチルア
ルコール40mlに溶解した溶液をホスホニウム塩とア
ルデヒドの混合溶液に滴下し、室温で4時間反応後、室
温で一夜放置した。その後、生成した沈殿を回収し、エ
チルアルコール、エチルアルコール/水、エチルアルコ
ールで順次洗浄した後、トルエンに溶解、これにエチル
アルコールを加えて再沈精製した。これを減圧乾燥し
て、3.3gの生成物を得た。これを有機化合物5とい
う。有機化合物5の構造を下記に示す。
【化18】 ・・・・・(16) (上式のnは、平均で1.6であった。) <酸化開始電位、吸収端波長の測定>実施例1と同じ方
法で、有機化合物5の酸化開始電位を求めると、780
mVであった。よって、有機化合物5は、高分子蛍光体
2に対して条件1を満たしていた。次に、実施例1と同
じ方法で、有機化合物5の吸収端波長を求めると、52
5nmであった。よって、有機化合物5は、高分子蛍光
体2に対して条件2を満たしていた。 <素子の作成および評価>有機化合物4の代わりに、有
機化合物5を用いた以外は実施例10と同じ方法で高分
子LEDを作製した。この素子を25mA/cm2の定
電流密度で、窒素雰囲気下で定電流駆動を連続的に行な
った。30時間エージング後の輝度は495cd/m2
であり、その輝度からの半減寿命は約148時間であっ
た。また、30時間エージングした後における駆動中の
駆動電圧の上昇率は0.017V/hrであった。
【0098】実施例12 <有機化合物6の合成>2,5−ジオクチルオキシ−p
−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルムア
ミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホス
ホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩9.5
5gとテレフタルアルデヒド0.54gおよび1−ピレ
ンカルバルデヒド2.76gを、エチルアルコール/ト
ルエン混合溶媒に溶解させた。12%リチウムメトキシ
ドメタノール溶液12mlをエチルアルコール40ml
に溶解した溶液をホスホニウム塩とアルデヒドの混合溶
液に滴下し、室温で4時間反応後、室温で一夜放置し
た。その後、生成した沈殿を回収し、エチルアルコー
ル、エチルアルコール/水、エチルアルコールで順次洗
浄した後、トルエンに溶解し、これにエチルアルコール
を加えて再沈精製した。これを減圧乾燥して、1.1g
の生成物を得た。これを有機化合物6という。有機化合
物6の構造を下記に示す。
【化19】 ・・・・・(17) (上式のnは、平均で1.2であった。) <酸化開始電位、吸収端波長の測定>実施例1と同じ方
法で、有機化合物6の酸化開始電位を求めると、738
mVであった。よって、有機化合物6は、高分子蛍光体
2に対して条件1を満たしていた。次に、実施例1と同
じ方法で、有機化合物6の吸収端波長を求めると、53
5nmであった。よって、有機化合物6は、高分子蛍光
体2に対して条件2を満たしていた。 <素子の作成および評価>有機化合物4の代わりに、有
機化合物6を用いた以外は実施例10と同じ方法で高分
子LEDを作製した。この素子を25mA/cm2の定
電流密度で、窒素雰囲気下で定電流駆動を連続的に行な
った。30時間エージング後の輝度は550cd/m2
であり、その輝度からの半減寿命は約130時間であっ
た。また、30時間エージングした後における駆動中の
駆動電圧の上昇率は0.025V/hrであった。
【0099】
【発明の効果】高分子発光素子の電荷輸送層に特定の有
機化合物を添加することで輝度の減衰と駆動電圧の上昇
が非常に小さく長寿命の高分子発光素子が容易に得られ
る。したがって、該高分子発光素子は、バックライトと
しての曲面状や面状光源、フラットパネルディスプレイ
等の装置に好ましく使用できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも高
    分子蛍光体を含む発光層と、該発光層に隣接した電荷輸
    送層とを有する高分子発光素子において、該高分子蛍光
    体が下記式(1)で示される繰り返し単位を1種類以上
    含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全繰り返し単
    位の50モル%以上であり、ポリスチレン換算の数平均
    分子量が103〜107である高分子蛍光体であり、 【化1】−Ar1−CR1=CR2− ・・・・・(1) 〔ここで、Ar1は、共役結合に関与する炭素原子数が
    4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環
    化合物基である。R1、R2は、それぞれ独立に水素、炭
    素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
    基、炭素数4〜20の複素環化合物基およびシアノ基か
    らなる群から選ばれる基を示す。〕かつ以下の条件1、
    2を満たす有機化合物が該電荷輸送層に1重量%以上7
    0重量%以下含まれることを特徴とする高分子発光素
    子。 Eox2−0.15≦Eox1≦Eox2+0.10 ・・・(条件1) λedge2−30≦λedge1≦λedge2+20 ・・・(条件2) (ここで、Eox1、λedge1は、それぞれ該有機化合物の
    電気化学的に求めた酸化開始電位、吸収スペクトルの吸
    収端波長を示し、Eox2、λedge2は、それぞれ発光層に
    用いる高分子蛍光体の電気化学的に求めた酸化開始電
    位、吸収スペクトルの吸収端波長を示す。条件1におけ
    る単位は、Vであり、条件2における単位は、nmであ
    る。)
  2. 【請求項2】上記条件1、2を満たす有機化合物が、環
    の数が3以上の縮合多環芳香族化合物基を1分子内に2
    つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の高分子
    発光素子。
  3. 【請求項3】上記条件1、2を満たす有機化合物が、発
    光層に用いる高分子蛍光体の繰り返し単位のうち1種類
    以上を該有機化合物の構造単位の一部に有することを特
    徴とする請求項1または2に記載の高分子発光素子。
  4. 【請求項4】上記条件1、2を満たす有機化合物が、上
    記式(1)で示される繰り返し単位を平均で3個以上7
    個以下含むオリゴマーであることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の高分子発光素子。
  5. 【請求項5】電荷輸送層として、少なくとも正孔輸送層
    を有し、該正孔輸送層に上記条件1、2を満たす有機化
    合物が含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の高分子発光素子。
  6. 【請求項6】正孔輸送層が側鎖または主鎖に芳香族アミ
    ン化合物基を有する高分子正孔輸送材料、またはカルバ
    ゾール環もしくはその誘導体を側鎖に有する高分子正孔
    輸送材料を含むことを特徴とする請求項5に記載の高分
    子発光素子。
  7. 【請求項7】正孔輸送層がポリシランまたはポリシロキ
    サンを骨格とする高分子正孔輸送材料を含むことを特徴
    とする請求項5に記載の高分子発光素子。
  8. 【請求項8】溶液からの塗布によって形成された発光層
    を有し、かつ上記条件1、2を満たす有機化合物と電荷
    輸送材料とを含む溶液からの塗布によって形成された電
    荷輸送層を少なくとも1層以上有することを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の高分子発光素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002028984A1 (en) * 2000-10-06 2002-04-11 Sk Corporation Poly(phenylenevinylene) derivatives substituted with spirobifluorenyl group(s) and electroluminescent devices prepared using the same
JP2007145834A (ja) * 2005-11-03 2007-06-14 Semiconductor Energy Lab Co Ltd スチルベン誘導体、発光素子用材料、発光素子、発光装置及び電子機器
CN100340629C (zh) * 2002-04-19 2007-10-03 3M创新有限公司 电致发光材料及其制备方法和用途
US7592475B2 (en) 2002-06-29 2009-09-22 Dongwoo Fine-Chem Co., Ltd. Branched alpha-cyanostilbene fluorophores

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