JPH08188947A - フェルトおよびその製造方法 - Google Patents

フェルトおよびその製造方法

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JPH08188947A
JPH08188947A JP7017499A JP1749995A JPH08188947A JP H08188947 A JPH08188947 A JP H08188947A JP 7017499 A JP7017499 A JP 7017499A JP 1749995 A JP1749995 A JP 1749995A JP H08188947 A JPH08188947 A JP H08188947A
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composite fiber
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Takashi Nishikino
隆 錦野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は耐熱性に優れかつ再利用が出来
るフェルトを作業環境を悪化させることなく簡単に製造
することにある。 【構成】高融点芯部と低融点鞘部とからなる複合繊維を
フェルト1の材料として使用するが、該低融点繊維の融
点を150℃以上として該フェルトに耐熱性を付与す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えば自動車の内装材と
して有用なフェルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車の天井材、ドアトリ
ム、トランクルームマット等には再生繊維をフェノール
樹脂で結着したレジンフェルトが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら該レジン
フェルトには成形時にフェノール樹脂を硬化させるため
高温加熱(約200℃)が必要であり、また成形時間も
長くなり生産性が悪く、更に成形時の高温加熱によって
繊維が劣化するし、フェノール樹脂が分解して悪臭が発
生する等の問題点がある。更にレジンフェルトの廃物は
熱硬化したフェノール樹脂を含むために再溶融出来ず、
再利用も困難なものとなっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
を解決するための手段として、高融点芯部と低融点鞘部
とからなる複合繊維を材料とするフェルトであって、該
複合繊維の芯部と鞘部とは同種の熱可塑性樹脂材料から
なり、かつ該鞘部の融点は150℃以上であるフェルト
を提供し、更に高融点芯部と低融点鞘部とからなる複合
繊維であって該芯部と鞘部とは同種の熱可塑性樹脂材料
からなり、かつ該鞘部の融点は150℃以上である複合
繊維のウェブをニードルパンチ加工によって絡合し、得
られた繊維絡合体を芯部の融点以下でかつ鞘部の融点以
上の温度で加熱して該複合繊維相互を融着せしめるフェ
ルトの製造方法を提供するものである。
【0005】本発明のフェルトの材料は上記したように
高融点芯部と低融点鞘部とからなる複合繊維であり、該
複合繊維の芯部と鞘部とは例えばポリエステル系樹脂、
ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の同一材料
が使用され、鞘部の融点は150℃とすべきであり、ま
た芯部の融点は200℃以上であることが好ましく、か
つ鞘部の融点よりも20℃以上高いことが好ましい。該
複合繊維において、芯部と鞘部との混合比は通常70:
30〜30:70とされ、更に該複合繊維の太さは通常
1〜15デニールとされる。該複合繊維の芯部は中心に
配置されても偏心して配置されてもよく、また鞘部と芯
部との間に中空部が形成されてもよい。芯部が偏心しか
つ中空部が形成されている複合繊維は潜在捲縮性を示
し、加熱時に捲縮して高密度高剛性のフェルトを与え
る。
【0006】上記複合繊維によってフェルトを製造する
には、通常該複合繊維のウェブをニードルパンチ加工に
よって絡合し、得られた繊維絡合体を芯部の融点以下で
かつ鞘部の融点以上の温度で加熱して該複合繊維相互を
融着せしめる方法が採られるが、該複合繊維のウェブを
ニードルパンチ加工することなくそのまゝ上記温度で加
熱して該複合繊維相互を融着せしめる方法が採られても
よい。上記したように潜在捲縮性を有する複合繊維を使
用すると、上記温度に加熱した際に該複合繊維が捲縮
し、高密度高剛性のフェルトが得られる。
【0007】本発明のフェルトには例えばウレタン樹
脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル
等のような熱硬化性樹脂が含浸されてもよいが、本発明
のフェルトは複合繊維相互が融着しているのでそれ自体
高剛性を有し、したがって該熱硬化性樹脂の添加量は1
0重量%以下で充分であり、この程度の添加量であれば
悪臭発生も僅かになりかつ廃品の再利用も可能である。
更に本発明のフェルトには合成繊維や天然繊維の不織
布、編織物、ガラス繊維の不織布、編織物、抄造物、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレン、ポリウレタン等のプラスチックシートあるいは
上記プラスチックの発泡体シート等の積層材の一種また
は二種以上が積層されてもよい。該積層材は資源回収の
観点からすればフェルトと同種同材料であることが望ま
しい。
【0008】本発明のフェルトは例えば自動車の内装材
等に使用する時には所定形状に成形される。該成形は該
複合繊維の鞘部の軟化点以上の温度でホットプレスして
成形する方法、該フェルトを上記温度に加熱してからコ
ールドプレスする方法等によって行なわれるが、複合繊
維が捲縮性を有する場合には該複合繊維が再捲縮しない
ようにするためにフェルト製造時の加熱温度以下の温度
を適用することが望ましい。更に本発明ではフェルト製
造と同時に成形を行なってもよい。この場合には該複合
繊維のウェブあるいはニードルパンチ加工による繊維絡
合体を該複合繊維の芯部の融点以下でかつ鞘部の融点以
上の温度でホットプレスして該複合繊維相互を融着せし
める同時に成形する方法、該ウェブあるいは繊維絡合体
を上記温度に加熱して該複合繊維相互を融着せしめその
余熱を利用してコールドプレスを行なう方法が採られ
る。
【0009】本発明のフェルトに上記積層材を積層する
場合には、上記積層材の積層は該フェルトの成形前ある
いは成形と同時あるいは成形後に行なわれる。また積層
材がプラスチックシートのような非通気性の場合には、
該積層材を成形前にフェルトに積層して真空成形を適用
することが出来る。
【0010】
【作用】本発明のフェルトにおいては複合繊維相互が低
融点鞘部を介して融着しているので、フェノール樹脂等
の熱硬化性樹脂を使用しなくても剛性が高いフェルトと
なり、熱硬化性樹脂を添加する場合でも少量の添加で充
分である。したがって加熱時にフェノール樹脂等の分解
による悪臭の問題は回避される。また成形時の加熱温度
は該複合繊維の鞘部の軟化点以上であればよいので比較
的低温成形が可能であり、繊維の劣化が防止出来る。更
に加熱冷却成形あるいは加熱真空成形等を適用すれば成
形時間が大巾に短縮される。そして該複合繊維の鞘部の
融点が150℃以上であれば、熱変形性の小さい耐熱性
に優れたフェルトになる。更に該複合繊維の芯部と鞘部
とは同種の熱可塑性樹脂を材料とするから、フェルトの
廃物はそのまゝ溶融して紡糸し繊維にしたり、成形して
成形用ペレットにしたり、そのまゝ射出成形して成形物
としたりすることによって再利用出来る。
【0011】
【実施例】
〔実施例1〕芯部が融点250℃のポリエステル系樹脂
材料からなり、鞘部が融点155℃のポリエステル系樹
脂材料からなり、芯部と鞘部の複合比は60:40であ
り、該芯部は偏心しかつ中空率15%の中空部が形成さ
れている潜在捲縮性複合繊維を使用した。該複合繊維の
太さは5デニールである。該複合繊維のウェブをニード
ルパンチ加工して繊維絡合体とし、該繊維絡合体に20
0℃の熱風を貫通させて該複合繊維の鞘部を溶融し、該
複合繊維相互を該鞘部を介して融着し、その後直ちに2
kg/cm2 、3分間の冷間プレスを行なってフェルトを製
造した。この際該複合繊維は熱によって捲縮してフェル
トは高密度高剛性になった。得られたフェルトは目付1
200g/m2 、厚さ3mmであった。上記フェルトを1
50×50mmのテストピースPに切取り、図1に示すよ
うに該テストピースPの両端を25mm長だけ一対の台S
Sに支持させる。該台SSの間隔lは100mmである。
径24mmの円柱状重りWを該テストピースPの中央部に
載置してこの状態で80℃のオーブンに16時間入れ、
その後の該テストピースPの熱変形量dを測定する。上
記耐熱変形テストの結果は下記の通りであった。 重り 熱変形量(d) 100g 5mm 200g 9mm 図2に示すように上記フェルト(1) は180℃に加熱軟
化された上で冷間プレス成形型(5) にセットされ、該フ
ェルト(1) 上にポリエチレンシート(2) を介してポリプ
ロピレン不織布(3) を載置してプレス圧3kg/cm2 で3
0秒間冷間プレス成形を行なう。このようにして図3に
示すような自動車の天井材(4) が製造される。
【0012】〔比較例1〕実施例1の複合繊維におい
て、鞘部に145℃の融点のポリエステル系樹脂材料を
使用し、他は同様にして製造したフェルトについて、実
施例1と同様な熱変形テストを行なった。その結果は下
記の通りであった。 重り 熱変形量(d) 100g 21mm 200g 台から滑落する。 上記の結果から複合繊維の鞘部に150℃未満の融点の
ポリエステル系樹脂材料を使用した比較例1のフェルト
は実施例1のフェルトに比して耐熱変形性が格段に劣る
ことが分かる。
【0013】〔比較例2〕実施例1の複合繊維のウェブ
に代えて融点250℃、太さ5デニールのポリエステル
系繊維と、融点155℃、太さ5デニールのポリエステ
ル系繊維とを60:40重量比に混合した混合ウェブを
使用し、他は同様にして製造したフェルトについて、実
施例1と同様な熱変形テストを行なった。その結果は下
記の通りであった。 重り 熱変形量(d) 100g 18mm 200g 37mm 上記の結果から低融点繊維を高融点繊維に単に混合した
混合繊維ウェブを使用した比較例2のフェルトは実施例
1のフェルトに比して耐熱変形性が大巾に劣ることが分
かる。
【0014】〔実施例2〕芯部が融点280℃のポリエ
ステル系樹脂材料からなり、鞘部が融点160℃のポリ
エステル系樹脂材料からなり、芯部と鞘部の複合比は5
0:50であり、該芯部は中心に配置されている複合繊
維を使用した。該複合繊維の太さは7デニールである。
該複合繊維のウェブに200℃の熱風を貫通させて該複
合繊維の鞘部を溶融し、その後直ちに2kg/cm2 、3分
間冷間プレスを行なって目付1500g/m2、厚さ8m
mのフェルトを製造した。図4に示すように該フェルト
(11)をポリエチレン層(12)を介してカーペット本体(13)
に裏打ちし、該フェルト(11)を遠赤外線ヒーターによっ
て180℃に加熱した上でカーペット成形型(15)にセッ
トし、プレス圧2.5kg/cm2 で1分間冷間プレス成形
を行なう。このようにして図5に示すように形状安定性
のよい自動車床敷用カーペット(14)が製造される。
【0015】〔実施例3〕芯部が融点280℃のポリア
ミド系樹脂材料からなり、鞘部が融点165℃のポリア
ミド系樹脂材料からなり、芯部と鞘部の複合比は40:
60であり、該芯部は中心に配置されている複合繊維を
使用した。該複合繊維の太さは5デニールである。該複
合繊維のウェブをニードルパンチ加工して繊維絡合体と
し、該繊維絡合体に200℃の熱風を貫通させて該複合
繊維の鞘部を溶融し、該複合繊維相互を該鞘部を介して
融着し、その後直ちに3kg/cm2 、3分間冷間プレスを
行なってフェルトを製造した。得られたフェルトは目付
1500g/m2 、厚さ3mmであった。該フェルト(21)
にポリエチレンシート(22)を介してポリプロピレン不織
布(23)を貼合わせ、該フェルト(21)を遠赤外線ヒーター
によって190℃に加熱軟化せしめた上でプレス真空成
形型(25)にセットし、冷間プレス真空成形する。このよ
うにして図7に示すような自動車のドアトリム(24)が製
造される。
【0016】
【発明の効果】本発明のフェルトは作業環境を悪化させ
ずに簡単に製造出来、かつ耐熱性に非常に優れたもので
ある。そして本発明のフェルトは再利用が容易に出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐熱変形テストの説明図図1および図2は本発
明の実施例1を示すものである。
【図2】成形型にセットした状態の説明図
【図3】製品斜視図図4および図5は本発明の実施例2
を示すものである。
【図4】成形型にセットした状態の説明図
【図5】製品斜視図図6および図7は本発明の実施例3
を示すものである。
【図6】成形型にセットした状態の説明図
【図7】製品斜視図
【符号の説明】
1,11,21 フェルト

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高融点芯部と低融点鞘部とからなる複合繊
    維を材料とするフェルトであって、該複合繊維の芯部と
    鞘部とは同種の熱可塑性樹脂材料からなり、かつ該鞘部
    の融点は150℃以上であることを特徴とするフェルト
  2. 【請求項2】該フェルトには熱硬化性樹脂が含浸されて
    いる請求項1に記載のフェルト
  3. 【請求項3】高融点芯部と低融点鞘部とからなる複合繊
    維であって該芯部と鞘部とは同種の熱可塑性樹脂材料か
    らなり、かつ該鞘部の融点は150℃以上である複合繊
    維のウェブをニードルパンチ加工によって絡合し、得ら
    れた繊維絡合体を芯部の融点以下でかつ鞘部の融点以上
    の温度で加熱して該複合繊維相互を融着せしめることを
    特徴とするフェルトの製造方法
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